JP4191134B2 - 光ファイバケーブルの接続部 - Google Patents
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Description
この種の光ファイバケーブルは、大きな水圧や電力ケーブルからの側圧を受け易いので、より側圧に強い構造のものが求められている。この要求に対応する典型的な構造のものとして、通称スロット型光ファイバケーブル(以下単に光ファイバケーブルという)と呼ばれている構造の光ファイバケーブルがある。
このように光ファイバが樹脂被覆表面に設けられた溝内に余長を持って収納されていることから、光ファイバがケーブル外部からの側圧や張力を直接受け難く、それ故外力に強い、という特徴を有している。
その理由は、光ファイバケーブル同士を接続する場合、接続端部においてテンションメンバーや光ファイバを接続するためには、接続端から所定長さ樹脂被覆を除去してテンションメンバーを露出したり、接続に要する光ファイバの長さを所定長さ確保しなければならないからである。
それ故、接続後の光ファイバをそのままの状態にしておくと、隣接する光ファイバ同士が絡んだり、あるいは接続部が自重で垂れ下がったりしてマイクロベンドを起こし、光ファイバの伝送損失が増加してしまうといった問題があった。
これは図6及び図7が示すように、光ファイバケーブル10、10のテンションメンバー1の樹脂被覆11を除去した部分に、ちょうど除去した樹脂被覆11の長さに見合う2つ割りされた円柱状スペーサ3を用意し、これをこの円柱状スペーサ3の半割り面に設けられている凸部4と凹部5とを嵌め併せてテンションメンバー1に装着して使用するものである。
因みに、円柱状スペーサ3の外表面に設けられている溝6は、図7が示すように、光ファイバケーブル10、10の樹脂被覆11の外表面に設けられている溝9とおおよそ連続するように形成されている。またこの円柱状スペーサ3の外径もテンションメンバー1に被覆されている樹脂被覆11の外径とほぼ同径または少し小径に仕上げられて、接続部全体に保護スリーブ20を被せた場合、光ファイバケーブル10の外径とこの接続部の外径とが概略等しくなるようになっている。
ここで、図7における符号12は、光ファイバケーブル10に設けられているシースである。
またこの接続部をケーブル製造の早い段階で形成した場合、この接続部付きの光ファイバケーブル10を、例えば電力ケーブルと集合するときには、ドラムに巻いて後工程の集合工程まで運ぶ必要があるが、接続部に前述した円柱状スペーサ3が使用されていると接続部が曲り難くドラム巻きが容易でない、という問題がある。あえてドラムに巻こうとすれば、予想外の大きなドラムが必要になり、その結果後工程の設備の能力も変更が必要になる等、後工程の製造が極めて難しくなる、という問題もある。
また光ファイバの動きに対して、適度に回転自在スペーサの動きを添わせることができるので、スペーサの溝あるいは貫通孔内に収納されている光ファイバに加わる曲げや引っ張りを緩和することもでき、もって光ファイバの伝送損失の増加を抑えることができる。
図1が示すように、まず接続すべきスロット型の光ファイバケーブル10、10の接続端部のシース12を、テンションメンバー1に被覆されている樹脂被覆11の外表面に設けられている溝9内に収納されている光ファイバ2に傷をつけないように注意しながら所定長さ、ここでは約1000mmずつ剥ぎ取った。尚、この剥ぎ取り長さはケーブル全体の外径等にもよって変わるが、通常400mm〜1000mmの範囲が一般的である。
次にテンションメンバー1に被覆されている樹脂被覆11も、光ファイバ2に傷をつけないように配慮しながら約950mmずつ剥ぎ取り、テンションメンバー1を両ケーブル10、10の接続端末で合計約1900mm露出せしめた。すなわちシース12の端部が樹脂被覆11の端部より少し後退した位置になるようにした。
次に対向しているテンションメンバー1、1の端部を、光ファイバ2の接続に必要な長さ及び必要な余長を生み出すべく、例えば各々100mmずつ切り落とした。もちろんこの切り落とし長さは、この接続部に余長をどのくらい入れるか等を考慮してその都度調整される。
各光ファイバ2については、例えば汎用の融着接続器で融着接続し、この融着接続部に補強スリーブ等を装着して光ファイバ接続部15を形成した。因みに、図1では光ファイバ2は1本しか描かれていないが、これは図を煩雑にしないために他の光ファイバを省略したもので、実際には複数本あるのが一般的である。
ここでスペーサ13の装着に際しては、テンションメンバー1に対して回転不能に装着する固定スペーサ13aと、テンションメンバー1に対して回転可能な回転自在スペーサ13bとを所定のルールに従って装着し分けた。
ここで、例えばテンションメンバー1に対して回転可能とは、テンションメンバー1の軸周りに回転できることを意味している。
テンションメンバー1の接続部7及び光ファイバ2の各接続部15のすぐ両側に装着されるスペーサ13はテンションメンバー1に対して回転不能な固定スペーサ13aとし、テンションメンバー1の露出開始端部にもっとも近い位置、すなわち図1において露出しているテンションメンバー1の左右端部にもっとも近い位置に装着されるスペーサ13は、テンションメンバー1に対して回転自在な回転自在スペーサ13bとし、それ以外の範囲では固定スペーサ13aと回転自在スペーサ13bとを交互に装着する、というものである。
図1ではハッチングの入っている固定スペーサ13aとハッチングの入っていない回転自在スペーサ13bとがこのルールに従ってテンションメンバー1にお互いの間隔が100mm〜200mmの範囲で、ほぼ等間隔で装着されている。
一方、回転自在スペーサ13bは、装着後テンションメンバー1の長さ方向に移動しないように前述した図3が示すスペーサ固定部材18により左右から挟持されている。
また、回転自在スペーサ13bは、スペーサ13自体がそのテンションメンバー貫通孔16とテンションメンバー1との間に適切なクリアランスを有しているので、スペーサ13をテンションメンバー1に装着したままの状態で回転自在スペーサ13bとして使用する。そしてこの回転自在スペーサ13bは、その光ファイバ貫通孔17を通されている光ファイバ2に張力が加わったりすると、その張力を緩和する方向にテンションメンバー1の軸周りを回転するような状態でテンションメンバー1に装着されている。
さらにまた固定スペーサ13a及び回転自在スペーサ13bの装着間隔を100mm〜200mmにしているが、この間隔は光ファイバケーブル10、10の樹脂被覆11の外表面に形成されている溝9のピッチとは無関係である。
因みに、スペーサ13の間隔が100mm以下では、スペーサ13が多過ぎて接続部が曲げ難くなり、200mm以上になると、光ファイバ2の接続部15が自重で垂れ下がってマイクロベンドを起こしたり、垂れ下がった接続部15近傍の光ファイバ2が、可撓性保護管21の内面と接触して擦れ、傷付く恐れが高くなる。
すなわち、樹脂被覆11の外表面に穿たれている溝9が2本の場合には、原則的には図2の(a)が示すスペーサ13を、溝9が3本なら図2(b)が示すものを、そして溝9が4本なら図2(c)が示すスペーサ13を使用する。
好適には図1が示すように、ある任意の1本の光ファイバ2が回転自在スペーサ13bの光ファイバ貫通孔17を貫通後、隣接する固定スペーサ13aに設けられた前記回転自在スペーサ13bの光ファイバ貫通孔17と180°ずれた位置に設けられている光ファイバ貫通孔17を通るように、回転自在スペーサ13b側をテンションメンバー1の軸周りに回転して調整する。
因みに、固定スペーサ13aと回転自在スペーサ13bの各光ファイバ貫通孔17のずれ角度が90°以下では光ファイバ2に十分な余長を持たせることができないし、逆に270°以上になると、光ファイバ2がテンションメンバー1に絡み付いてマイクロベンドを起こし、伝送損失の増加を招いたり、回転自在スペーサ13bが光ファイバ2に負荷された外力を緩和すべく回転しようとした際、この回転がテンションメンバー1に絡みついた光ファイバ2で阻害されてしまう恐れがあるからである。
尚、複数本の光ファイバ2にあっては、光ファイバ接続部15の位置が1組の固定スペーサ13a間に集まらないようにテンションメンバー1の長さ方向に適宜位置をずらして接続した。
また回転自在スペーサ13bも混在していることから、光ファイバケーブルの接続部において必要な光ファイバ2の余長を、この回転自在スペーサ13bと隣接する固定スペーサ13aの角度を調整することで調節でき便利である。
加えて、この接続部に外力が加わって、光ファイバ2に張力が負荷しても、その際、回転自在スペーサ13bが張力を緩和する方向に回転するため、光ファイバ2に外力が直接加わらないようにもなっている。
図4が示すスペーサ13は点線の部分で2つに分割できるタイプのものを示している。図4が示す各スペーサ13においては、最初に外側のリング部分を点線で示す部分で中心部と分離しておき、各光ファイバ貫通孔17に所定の光ファイバ2を配置せしめたら外側のリング部分を中心部のものに装着し、必要なら接着剤で互いを接着し、光ファイバ2が光ファイバ貫通孔17から抜け出さないようにしている。
このようにテンションメンバー1の貫通孔16を切り分けるように分割すると、テンションメンバー1や光ファイバ2を接続した後で、スペーサ13をテンションメンバー1に装着できる利点がある。尚、装着に際しては接着剤等を利用して分離部分を接着し、一体化する。
因みに、図4、図5が示す分割タイプのスペーサ13にあっては、最終的に一体化する場合、前述したように接着剤で一体化してもよいが、互いの合わせ面に予めお互いに嵌合する凹凸を設けておく方法等で一体化する方法も採用できる。
またこの光ファイバケーブルを電力光複合海底ケーブルとすべく、電力ケーブルと複合して使用する場合には、可撓性保護管21は金属製の管であるインターロック管や金属製の波付き管を用いる。
2 光ファイバ
3 円柱状スペーサ
6 溝
7 テンションメンバーの接続部
9 溝
10 スロット型光ファイバケーブル
11 樹脂被覆
12 シース
13 スペーサ
16 テンションメンバー貫通孔
17 光ファイバ貫通孔
18 スペーサ固定部材
20 保護スリーブ
21 可撓性保護管
Claims (1)
- 中心にテンションメンバーが配置され、このテンションメンバーの外側に被覆された樹脂被覆の表面にらせん状または反転らせん状の溝が設けられ、該溝内に光ファイバが収納されている光ファイバケーブル同士が接続された光ファイバケーブルの接続部が可撓性保護管で覆われてなり、前記テンションメンバーは各々接続端部で前記樹脂被覆が所定長除去されて露出された状態で接続されていて、かつ露出されたテンションメンバーの長さ方向には、前記可撓性保護管の内径以下の外径とその周方向に設けられた前記光ファイバが通過する溝または孔とを有する円板状のスペーサが間欠的に複数個装着されていて、前記光ファイバが前記スペーサにより余長を有する状態で保持されている光ファイバケーブルの接続部であって、
前記複数個のスペーサのうち前記テンションメンバー及び光ファイバの各接続部のすぐ両側に装着されるスペーサは、前記テンションメンバーに対して回転不能な固定スペーサであり、
前記テンションメンバーの露出開始端部にもっとも近い位置に装着されるスペーサは、前記テンションメンバーに対して回転自在な回転自在スペーサであって、
それ以外の範囲では固定スペーサと回転自在スペーサとが交互に装着されていることを特徴とする光ファイバケーブルの接続部。
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