JP4190687B2 - スピーカユニット取付装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車等の車両に音響機器としてのスピーカユニットを取り付けるためのスピーカユニット取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車に装備される音響機器としてのスピーカユニットは、例えばドア等の鋼鈑に直接取り付けられている。図7は、従来のスピーカユニットをドアに取り付ける方法を説明する斜視図である。
図7に示すように、自動車のドアパネル4にはスピーカユニット1を装着するための開口部5が形成されている。この開口部5の周りの所定の位置には、複数の止め孔4aが形成されている。この止め孔4aにはビス3をねじ込むためのグロメット2が嵌入される。次に、スピーカユニット1に形成されたビス孔1aとドアパネル4に装着されたグロメット2の取付孔2aとの位置合わせが行われる。そして、作業者はスピーカユニット1を装着部である開口部5に配置した状態を保持して、ビス3をビス孔1aを通してグロメット2の取付孔2aにねじ込む。このように、スピーカユニット1はドアパネル4の開口部5の所定の位置に取り付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来のスピーカユニット1を車両のスピーカユニット取付け部分にネジにより固着するためには、そのスピーカユニット取付け部分における錆の発生等を考慮してグロメット2を用いる必要があった。したがって、従来のスピーカユニット取付装置は部品点数が多く、またスピーカユニット1を取り付けるためには多くの作業工数が必要であった。したがって、従来のスピーカユニット取付装置を用いた場合には組立に時間がかかり、製造コストも高くなるという問題があった。
【0004】
また、スピーカユニット1の取付作業において、ネジ3を締めつけるとき、スピーカユニット1のビス孔1aとグロメット2の取付孔2aとを正確に位置あわせする必要があった。そのため、従来のスピーカユニット取付装置は、作業性が悪く、また作業者がスピーカユニット1、ネジ3、ドライバーを同時に保持して作業する必要があり、生産性が低くなるという問題があった。
さらに、完成した車両においてスピーカユニット1を別のスピーカユニットと交換する必要性が生じた場合、ネジ3を外してスピーカユニットを交換し、再度位置決めしてネジ3による取り付け作業を行う必要があった。このため、交換作業には手数と時間がかかり、交換コストが高くなるという問題があった。
本発明は、上記の各種の問題を解決するものであり、部品点数を削減し、作業性を改善し、優れた生産性を有するスピーカユニット取付装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために本発明に係るスピーカユニット取付装置は、スピーカ本体を有するスピーカユニットを車両パネルのスピーカユニット取付板に装着固定するスピーカユニット取付装置であって、
前記スピーカユニットは、前記スピーカ本体を所定位置に保持するスピーカフレームと、前記スピーカフレームの背面側に設けられた抜落ち防止係合片と、前記スピーカフレームの背面側に設けられ弾性体で形成された回転防止当接片とを有し、
前記スピーカユニット取付板は、前記スピーカ本体が実質的に中心に配置される開口を持つ取付開口部と、前記取付開口部の縁に形成され前記抜落ち防止係合片と係合する係合受座と、前記取付開口部の縁に形成され前記回転防止当接片を係止する当接受座とを有する。
【0006】
上記のように構成されたスピーカユニット取付装置は、スピーカユニットに設けられた抜落ち防止係合片を前記スピーカユニット取付板に設けられた係合受座に係合させ、スピーカユニットに設けられた回転防止当接片を前記スピーカユニット取付板に設けられた当接受座に係止させることにより前記スピーカユニットをスピーカユニット取付板に装着するものである。このため、本発明によれば、ビスやグロメット等の固定手段が不要となり、スピーカユニットを容易に装着することができるとともに、部品点数の削減、作業性の改善を図り、優れた生産性を有するスピーカユニット取付装置を提供できる。
【0007】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスピーカユニット取付装置の好ましい実施の形態について添付の図面を参照しつつ説明する。
【0008】
《実施の形態1》
図1は本発明に係る実施の形態1のスピーカユニット取付装置の構成を示す斜視図である。図1の斜視図は、ドアパネル200におけるスピーカユニット取付板16にスピーカユニット100を取り付ける直前の状態を示している。なお、図1はスピーカユニット100及びドアパネル200の背面側を示している。図2は、実施の形態1のスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット取付板16にスピーカユニット100を挿入した状態を示す斜視図である。図3は、図2に示した状態において、スピーカユニット100を回転させてスピーカユニット取付板16に装着した状態を示す斜視図である。
【0009】
図1において、スピーカユニット100は、樹脂製のスピーカフレーム12を有するスピーカ本体11と防滴カバー13とを有している。スピーカ本体11はスピーカフレーム12によりその略中心の所定位置に保持されている。防滴カバー13は、スピーカフレーム12の背面側に配置されており、ドアパネル200内に浸入した水滴がスピーカ本体11にかかるのを防止している。
防滴カバー13の外周壁面には、放射状に突出した複数の係合片14(実施の形態1においては90度の中心角度間隔で上下左右の4個)が形成されている。また、防滴カバー13の外周壁面には1つの当接片15が防滴カバー13の略頂部に形成されている。図1に示すように、当接片15の一端は防滴カバー13に固着されており、他端は屈曲して円周方向に延びて自由端部15aとなっている。当接片15の自由端部15aは、スピーカ本体11の直径方向に屈曲するよう弾性を有している。
【0010】
スピーカフレーム12の背面において、スピーカユニット取付板16と当接する部分にはクッション12aが設けられている。
スピーカユニット取付板16は、車両のドアパネル200を構成する部材であり、プレス加工により形成されている。図1に示すように、スピーカユニット取付板16には、スピーカユニット100を挿入して取り付けるための取付開口部17が形成されている。この取付開口部17は、プレス加工時に一段持ち上がるよう段差を有して形成されている。取付開口部17の内周縁部分には、スピーカユニット100の取付け時において、スピーカユニット100の係合片14が通過する係合片挿入用切欠き部18aと、斜面を有する係合片係止用傾斜部18bとが形成されている。また、取付開口部17の内周縁部分にはスピーカユニット100の当接片15が挿入される当接片挿入用切欠き部19aと、スピーカユニット100を回転させたときに当接片15が係合する当接片係止用切欠き部19bとが形成されている。当接片挿入用切欠き部19aと当接片係止用切欠き部19bとの間には、段部である係止部19cが形成されている。
【0011】
次に、上記のように構成された実施の形態1のスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット100をスピーカユニット取付板16に装着する手順について図1、図2及び図3を用いて説明する。
まず、図1において、スピーカユニット100をスピーカユニット取付板16の正面側から取付開口部17の開口に挿入する。この時、係合片14は係合片挿入用切欠き部18aに、当接片15は当接片挿入用切欠き部19aに夫々挿入される。この状態を図2に示す。
【0012】
図2に示す状態において、スピーカユニット100を矢印Xで示す方向に回転させると、各係合片14はそれぞれ係合片係止用傾斜部18bを乗り上げるように接触し、係合片14は係合片係止用傾斜部18bにより係止される。各係合片14における正面側の係合面(図2において係合片係止用傾斜部18bと接する面)を含む平面と、スピーカフレーム12のクッション12aにおける取付面との間は、僅かな距離(後述する図4において符号tにて示す距離)を有している。この距離tとスピーカユニット取付板16における取付開口部17の持ち上がりの高さと略等しく形成されている。
【0013】
なお、実施の形態1において、係合片14の係合面とスピーカフレーム12の取付面との間は、僅かな距離を有してそれぞれの面が形成されているが、取付開口部17のスピーカユニット取付板16に対する持ち上がりの高さにより、この距離は変更される。したがって、取付開口部17がスピーカユニット取付板16を実質的に構成する面と実質的に同一平面上に形成されている場合には、係合片14の係合面を含む平面と、スピーカフレーム12におけるスピーカユニット取付板16に対する取付面との間は、実質的に同一平面上にあればよい。
実施の形態1において、係合片14の係合面は、係合片係止用傾斜部18bと確実に接触するよう係合片係止用傾斜部18bと同じ傾斜方向に僅かにテーパが付けられている。
上記のように、各係合片14と係合片係止用傾斜部18bとは確実に接触し、スピーカユニット100を矢印X方向(図2)に回動させることにより、スピーカユニット100はスピーカユニット取付板16に確実に、かつ強固に固定される。
【0014】
また、図2に示した状態からスピーカユニット100を矢印X方向に回動させて、図3に示す状態とすることにより、当接片15は当接片挿入用切欠き部19aから段部である係止部19cを経て当接片係止用切欠き部19bと係合する。このため、スピーカユニット100を逆方向(図2の矢印X方向の逆方向)に回転させようとしても、当接片15の自由端部15aは係止部19cに当接してスピーカユニット100の逆方向の回転を禁止している。
【0015】
図4は、実施の形態1のスピーカユニット100がドアパネル200に装着されたときの状態を説明するための断面図である。図4に示すように、各係合片14は係合片係止用傾斜部18bと係合し、当接片15は当接片係止用切欠き部19bと係合している。
この結果、スピーカユニット100の回動は禁止され、スピーカユニット100をスピーカユニット取付板16からの取り外しが禁止される。
【0016】
次に、上記のように装着されたスピーカユニット100をドアパネル200から取り外す場合について説明する。
図4に示すように、スピーカフレーム12における側面には当接片解除操作穴20が形成されている。この当接片解除操作穴20は、当接片15の近傍に配置されている。また、当接片解除操作穴20は、貫通されておらず、必要時にはドライバー等の治具により容易に貫通できるよう薄い樹脂により塞がれている。当接片解除操作穴20が薄肉成形されているのは、ごみや雨水等の侵入を防止するためである。
【0017】
前述のように装着されたスピーカユニット100をドアパネル200から取り外す場合、まず、スピーカフレーム12の当接片解除操作穴20にドライバー等の治具を挿入して貫通する。そして、その治具により当接片15の自由端部15aを押圧する。図5は当接片解除操作穴20にドライバーを挿入して当接片15の自由端部15aを押圧している状態を示す説明図である。このように当接片15の自由端部15aを押圧して、押し下げることにより、当接片15の自由端部15aは係止部19cとの係合状態が解除される。この結果、スピーカユニット100は矢印Y方向(図5)への回動が可能となり、スピーカユニット100をドアパネル200から取り外して、別のスピーカユニットとの交換が可能となる。
【0018】
なお、実施の形態1においては、当接片解除操作穴20をスピーカユニット11の前面側に形成した例で説明したが、スピーカユニット取付板16に必要に応じて当接片解除操作穴を形成して、その穴に治具を挿入することによりスピーカユニットの取り外しを行うよう構成することも可能である。
以上のように構成された実施の形態1のスピーカユニット取付装置は、従来のものと比べてスピーカユニットを取付位置に容易に位置合わせすることができ、また作業者はスピーカユニットだけを保持して装着することができるため、取付け作業性が向上し、ビスやグロメットなどの固着部品が不要となるため部品点数の大幅な削減が可能となる。
【0019】
また、スピーカユニット100を取付けて車両を完成した後、別のスピーカユニットに交換する必要性が生じた場合であっても、当接片解除操作穴20の薄肉成形膜をドライバー等の棒状の治具により破壊して、当接片15を押し下げることにより、当接片15が係止部19cから外れるよう構成されている。このため、装着されたスピーカユニット100の逆回転が可能となり、このスピーカユニット100の取り外しがきわめて容易となる。この結果、実施の形態1のスピーカユニット取付装置を用いることにより、ディラーや工場におけるメインテナンスが容易にかつスピーディに行うことができる。なお、スピーカユニットの交換終了後において、当接片解除操作穴20をテープ等で塞ぐことにより交換されたスピーカユニットの初期状態が維持できる。
【0020】
また、上記実施の形態1においては、スピーカユニット取付板16における取付開口部17の内縁に係合片挿入用切欠き部18aや当接片挿入用切欠き部19a等を形成し、この取付開口部17を覆うようにスピーカユニット100が装着されるよう構成されている。このため、実施の形態1のスピーカユニット取付装置を用いることにより、ドアパネル200におけるスピーカユニット100の外観には開口部分が無く、エアー漏れによる音質劣化や、水漏れによる品質悪化等の問題のない優れた構成となる。
実施の形態1におけるスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット100には抜落ち防止係合片として係合片14が形成されており、回転防止当接片として当接片15が形成されている。また、スピーカユニット取付板16における係合受座としては、係合片挿入用切欠き部18aと係合片係止用傾斜部18bが形成され、当接受座としては当接片挿入用切欠き部19aと当接片係止用切欠き部19bと係止部19cが形成されている。
【0021】
実施の形態1のスピーカユニット取付装置は、取付開口部17にスピーカ本体側に傾斜した係合片係止用傾斜部18bが形成され、装着時においてその係合片係止用傾斜部18bがスピーカユニット100の係合片14と強固に係合するため、スピーカユニット100はスピーカユニット取付板16に対して確実に装着され、保持強度の向上が図られている。
また、実施の形態1のスピーカユニット取付装置は、当接片15がスピーカユニット100のスピーカフレーム12の背面側の外周面に突設され、且つスピーカユニット100の直径方向に弾力性を有している。また、スピーカ取付板16には当接片挿入用切欠き部19aから係止部19cを経て当接片係止用切欠き部19bに至る開口が形成されている。このため、スピーカユニット100がスピーカユニット取付板16に挿入され回転されて、装着された後において、回転戻りは防止され、装着後の緩みが完全に禁止される。
【0022】
実施の形態1のスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット100の前面またはスピーカユニット取付板16における当接片15を臨む位置には、当接片解除操作穴20が形成されている。このため、当接片解除操作穴20に一般的に用いられる工具(例えばドライバー)を挿入して当接片15を押圧することにより、スピーカユニットの取り外しを行うことができる。したがって、実施の形態1によれば、スピーカユニットの脱着行為は容易にかつスピーディに行うことができる。
【0023】
《実施の形態2》
以下、本発明に係るスピーカユニット取付装置の実施の形態2について添付の図面を参照しつつ説明する。
図6は本発明に係る実施の形態2のスピーカユニット取付装置の構成を示す斜視図である。図6の斜視図は、車両のドアパネル201におけるスピーカユニット取付板160にスピーカユニット101を取り付ける直前の状態を示している。図6はスピーカユニット101及びドアパネル201の背面側を示している。以下の実施の形態2の説明において、前述の実施の形態1と同じ機能、構成を有するものには同じ符号を用い、その説明は省略する。
【0024】
図6において、スピーカユニット101は、樹脂製のスピーカフレーム120を有するスピーカ本体11と防滴カバー13とを有している。スピーカ本体11は、円環状のスピーカフレーム120内に放射状に形成されたブリッジ120bによりその略中心の所定位置に保持されている。
図6に示すように、背面側に突出した複数の係合片140(実施の形態2においては90度の中心角度間隔で上下左右の4個)は、ブリッジ120bに形成されている。係合片140の突出端部は先太で広がった形状に形成されている。また、スピーカフレーム120の頂部近傍のブリッジ120bには1つの当接片150が形成されている。当接片150は背面側に突出しており、スピーカフレーム150の半径方向に弾性を有するよう構成されている。
スピーカフレーム120の背面において、スピーカユニット取付板160に当接する部分にはクッション120aが設けられている。
【0025】
上記のように、実施の形態2のスピーカユニット取付装置において、前述の実施の形態1との相違点は係合手段である係合片140が防滴カバー13ではなくスピーカフレーム120のブリッジ120bに形成されている点とその形状である。
図6に示すように、プレス加工により形成されたスピーカユニット取付板160には段差を有する取付開口部170が設けられている。取付開口部170には、係合片140に対応する位置に係合片挿入用切欠き部180aが形成されている。係合片挿入用切欠き部180aの開口部分は、傾斜部180bを介して幅の狭い係合片係合部180cに続いている。
また、取付開口部170には、当接片150と対応する位置に当接片挿入用切欠き部190aが形成されており、その当接片挿入用切欠き部190aに続いて当接片係止用切欠き部190bが形成されている。そして、当接片挿入用切欠き部190aと当接片係止用切欠き部190bとの間には係止部190cが形成されている。
【0026】
次に、上記のように構成された実施の形態2のスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット101をスピーカユニット取付板160に装着する手順について説明する。
まず、図6において、スピーカユニット101をスピーカユニット取付板160の正面側から取付開口部170に挿入する。この時、係合片140は係合片挿入用切欠き部180aに、当接片150は当接片挿入用切欠き部190aに夫々挿入される。
【0027】
上記のように、スピーカユニット101がスピーカユニット取付板160に挿入された状態において、スピーカユニット101を矢印Zで示す方向に回転させる。その結果、各係合片140はそれぞれ傾斜部180bに案内されて係合片係合部180cと係合する。各係合片140における先端部140bは太く形成されており、その下に首部分であるくびれ部140aが形成されている。くびれ部140aの下面(傾斜部180bに案内される面)を含む平面と、スピーカフレーム120におけるクッション120aが取り付けられている面との間は、僅かな距離を有して形成されている。
【0028】
実施の形態2においては、上記のように僅かな距離を有してそれぞれの面が形成されているが、取付開口部170のスピーカユニット取付板160に対する持ち上がり位置により、この距離は変更される。したがって、取付開口部170がスピーカユニット取付板160を実質的に構成する面と実質的に同一平面上に形成されている場合には、くびれ部140aの下面を含む平面と、スピーカフレーム120におけるスピーカユニット取付板160に対する取付面との間は、実質的に同一平面上にあればよい。
上記のように、スピーカユニット101を矢印Z方向に回動させることにより、各係合片140は傾斜部180bと確実に接触しながら係合片係合部180cに案内され、スピーカユニット101はスピーカユニット取付板160に確実に、かつ強固に固定される。
【0029】
また、スピーカユニット101がスピーカユニット取付板160に挿入された状態において、スピーカユニット101を矢印Z方向に回動させることにより、当接片150は当接片挿入用切欠き部190aから段部である係止部19cを経て当接片係止用切欠き部190bと係合する。このため、スピーカユニット101を逆方向(矢印Z方向の逆方向)に回転させようとしても、当接片150は係止部190cに当接してスピーカユニット101の逆方向の回転を禁止している。
【0030】
図6に示すように、取付開口部170の内周面には内周壁21が形成されており、この内周壁21の背面側縁部は背面側に突出している。この内周壁21はスピーカユニット101がスピーカユニット取付板160に取り付けられたとき、スピーカユニット101の防滴カバー13と面接触して、スピーカユニット101の取付強度の向上を図るとともに、装着時のガタツキを防止している。さらに、この内周壁21を設けることにより、スピーカユニット取付板160自体の強度の向上も図ることができ、低域再生能力の向上、ビビリ異常音の防止等の優れた音響設備の実現が可能となる。
【0031】
なお、上記実施の形態2におけるスピーカユニット取付装置において、スピーカユニット101には抜落ち防止係合片として係合片140が形成されており、回転防止当接片として当接片150が形成されている。また、スピーカユニット取付板160における係合受座としては係合片挿入用切欠き部180aと傾斜部180bと係合片係合部180cが形成され、当接受座としては当接片挿入用切欠き部190aと当接片係止用切欠き部190bと係止部190cが形成されている。
【0032】
実施の形態2のスピーカユニット取付装置は、取付開口部170にスピーカ本体側に傾斜した傾斜部180bが形成され、装着時において係合片140が傾斜部180bにより確実に係合片係合部180cに案内されて、係合片140のくびれ部140aは係合片係合部180cと強固に固着する。このため、スピーカユニット101はスピーカユニット取付板160に対して確実に装着され、保持強度の向上が図られている。
【0033】
また、実施の形態2のスピーカユニット取付装置は、スピーカユニット101の直径方向に弾力性を有する当接片150がスピーカユニット101のスピーカフレーム120の背面側に突設されている。また、スピーカユニット取付板160には係合片挿入用切欠き部180aから傾斜180cを経て係合片係合部180cに至る開口と、当接片挿入用切欠き部190aから係止部19cを経て当接片係止用切欠き部19bに至る開口が形成されている。このように構成されたスピーカユニット101をスピーカユニット取付板160へ挿入し回動して装着することにより、スピーカユニット101はスピーカユニット取付板160への装着後において、スピーカユニット101の回転戻りが禁止され、装着後の緩みは完全に防止される。
【0034】
実施の形態2のスピーカユニット取付装置は、スピーカユニット取付板160の取付開口部170の内周縁に内周壁21が形成されているため、スピーカユニット取付板160とスピーカユニット101との接触を前記内周壁21による面接触とすることができる。この結果、実施の形態2によれば、スピーカユニット取付強度の向上および装着時のガタツキを防止するとともにスピーカユニット取付板自体の強度向上を図ることが可能となる。
【0035】
以上のように、本発明に係るスピーカユニット取付装置は、スピーカユニット100,101の背面側に複数の係合片14,140と当接片15,150を設け、スピーカユニット取付板16,160に係合片挿入用切欠き部18a,180aと当接片挿入用切欠き部19a,190aを設けている。また、スピーカユニット取付板16,160には、係合片14,140と当接片15,150をそれぞれ係止する係合片係止用傾斜部18bや係合片係合部180cが形成されている。これにより、本発明に係るスピーカユニット取付装置は、スピーカユニット100,101をスピーカユニット取付板16,160に挿入して、回動させるだけで、スピーカユニット100,101をスピーカユニット取付板16,160に確実に装着固定できる。
また、スピーカユニット100,101をスピーカユニット取付板16,160から取り外す場合には、簡単な工具のみで容易に取り外すことが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上、実施の形態について詳細に説明したところから明らかなように、本発明は次の効果を有する。
本発明のスピーカユニット取付装置は、スピーカユニットに抜落ち防止係合片と回転防止当接片を形成し、スピーカユニット取付板に前記抜落ち防止係合片と前記回転防止当接片との係合手段を形成しているため、グルメットやビス等の固着手段を用いる必要がなくなり、スピーカユニットをドアパネルなどのスピーカユニット取付板に極めて容易に装着固定することが可能となる。
また、本発明によれば、部品点数の削減を図ることができるとともに、スピーカユニットを容易に所定の位置に取り付けできるため、作業工数の低減が実現でき、車両製造コストの大幅な低減が可能となるスピーカユニット取付装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態1のスピーカユニット取付装置の取付方法を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示したスピーカユニットをドアパネルに挿入した状態を示す斜視図である。
【図3】図2のスピーカユニットを回転してドアパネルに装着した状態を示す斜視図である。
【図4】実施の形態1のスピーカユニットをドアパネルに装着した状態を一部破断して示した側面断面図である。
【図5】実施の形態1のスピーカユニットをドアパネルから外す時の方法を示した側面断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態2のスピーカユニット取付装置を示す分解斜視図である。
【図7】従来のスピーカユニットをドアパネルに取り付けるときの方法を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
11 スピーカ本体
12 スピーカフレーム
13 防滴カバー
14 係合片
15 当接片
16 スピーカユニット取付板
17 取付開口部
18a 係合片挿入用切欠き部
18b 係合片係止用傾斜部
19a 当接片挿入用切欠き部
19b 当接片係止用切欠き部
19c 係止部
20 当接片解除操作穴
100 スピーカユニット
200 ドアパネル

Claims (4)

  1. スピーカ本体を有するスピーカユニットを車両パネルのスピーカユニット取付板に装着固定するスピーカユニット取付装置であって、
    前記スピーカユニットは、前記スピーカ本体を所定位置に保持するスピーカフレームと、前記スピーカフレームの背面側に設けられた抜落ち防止係合片と、前記スピーカフレームの背面側に設けられ弾性体で形成された回転防止当接片とを有し、
    前記スピーカユニット取付板は、前記スピーカ本体が実質的に中心に配置される開口を持つ取付開口部と、前記取付開口部の縁に形成され前記抜落ち防止係合片と係合する係合受座と、前記取付開口部の縁に形成され前記回転防止当接片を係止する当接受座とを有することを特徴とするスピーカユニット取付装置。
  2. 前記スピーカユニットをスピーカユニット取付板に装着するとき、前記回転防止当接片が当接受座の当接片挿入用切欠き部に配置される第1の回転角度位置と、
    前記第1の回転角度位置において前記スピーカユニットを回動させて、前記回転防止当接片が前記当接片係止用切欠き部に係合して前記スピーカユニットの回動を禁止する第2の回転角度位置とを有する請求項1に記載のスピーカユニット取付装置。
  3. 前記スピーカユニットの前面側または前記スピーカユニット取付板における前記当接受座の可動部を臨む位置に当接片解除操作穴を設けた請求項1に記載のスピーカユニット取付装置。
  4. 前記スピーカユニット取付板における取付開口部の開口の内周縁に、前記開口に挿入された前記スピーカユニットの一部が面接触する内周壁を有する請求項1に記載のスピーカユニット取付装置。
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