JP4190321B2 - 流量計測方法および流量計測装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば推量方式のガスメータなどにおける流量計測方法および流量計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばガスメータのような流量計測装置では、より正確でばらつきの少ない流量計測を行うために、計測対象の流体の流れをできるだけ層流に近い状態にして条件を均一化したうえで流量計測を行っている。
【0003】
特に、いわゆる推量方式のガスメータなどでは、超音波伝播時間(超音波伝播方式の場合)やエンタルピー変化(熱線式などの場合)のような、計測対象の流体の流速または流量に関する物理量を直接的に計測する測定器の精度を極めて高いものとすることで、高精度な流量計測が可能となるが、その反面、測定器の精度が極めて高いことに起因して、流れの様相の変化に対して測定結果が敏感に影響を受けて、折角の高精度な測定性能が裏目に出でしまい、計測対象の流体の流量計測値の精度が低下するという虞がある。このため、推量方式のガスメータなどでは、導通路を上流側から下流側へと流れるガスの流れの様相を、従来図1に模式的に示したような層流状態にできるだけ近付けるようにして、測定器による測定を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば推量方式のガスメータの場合、実際の使用条件下では、上記のようにして流れを層流化して流量計測を行っているにも関わらず、計測結果に有意な誤差やばらつきが発生するという問題があった。
【0005】
そしてそのような誤差やばらつきは、実験的および統計的に、計測対象であるガスの流れに脈動が生じている際に多発する傾向にあるということを、本発明者らは種々の実験等により確認した。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、計測対象であるガスのような流体の流れに脈動が生じている状態でも、誤差やばらつきの少ない流量計測を行うことができる流量計測方法および流量計測装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による流量計測方法は、導通路を流れる計測対象の流体の流量を計測する流量計測方法において、脈動がない状態での前記流体の流速分布が、前記脈動が生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似するように、前記流体に脈動がない状態での流れの様相を予め乱流状態にして前記流体の流量を計測する、というものである。
【0008】
また、本発明による流量計測装置は、計測対象の流体を導通させる導通路と、前記導通路を流れる計測対象の流体の前記導通路内における管路断面全体または部分における、流量または流速を測定する測定器と、前記測定器による測定結果に基づいて、前記流体の前記導通路内での流量値または流速値を計測する推量方式の流量計測装置において、脈動がない状態での前記流体の流速分布が、前記脈動が生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似するように、前記流体に脈動がない状態での流れの様相を乱流状態にして、前記流体の流量を計測するように、前記導通路内または前記測定器が設定されている。
【0009】
本発明による流量計測方法または流量計測装置では、計測対象の流体に脈動がない状態での流れの様相を敢えて予め乱流状態にすることで、流体の流速分布を脈動の生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似させておくことにより、実際に脈動が生じた状態のときにも、所定の許容範囲内での誤差やばらつきで流体の流量が計測される。
【0010】
なお、上記のような「計測対象の流体に脈動がない状態での流れの様相を敢えて予め乱流状態にする」ための、さらに具体的な態様としては、前記導通路における前記流体のレイノルズ数が、前記流れの様相を前記乱流状態にするように設定されているようにすることができる。
【0011】
あるいは、前記導通路における前記流体の流れに対する直交方向の断面形状が、略長方形であり、前記長方形の長辺または短辺のうち少なくとも長辺の長さが、前記レイノルズ数に対応した長さに設定されているようにしてもよい。
【0012】
ここで、上記の「略長方形」とは、例えば平行四辺形であったり、4辺が若干の曲率を持つものであったりすることなど、種々のバリエーションも含むことも意味しているものであることは言うまでもない。
【0013】
あるいは、前記導通路に、前記流体の流れの様相を前記乱流状態にするための、例えば金網(メッシュ)のような流れの乱流化を促進させる格子状の構造物を配置するようにしてもよい。
【0014】
または、前記導通路の壁面を、前記流体の流れの様相が前記乱流状態になるような粗さに設定して、その表面摩擦効果によって流れの乱流化を促進させるようにしてもよい。
【0015】
または、例えばいわゆるボルテックスジェネレータのような渦発生装置を前記導通路の壁表面上などに配置して、積極的に前記流体の流れの様相を前記乱流状態にするようにしてもよい。
【0016】
また、脈動がない状態と脈動が生じた状態とでは、例えば管路の中心から特定の距離の範囲内のような一部分のみで流速分布が所定の許容範囲内で近似しているが、その外側では所定の許容範囲を逸脱した大幅な差異が生じている場合もある。そこで、このような場合には、前記脈動がない状態と前記脈動が生じた状態とでの、前記流体の流管断面内における流速分布が所定の許容範囲内で近似している部分のみについての前記流体の流速または流量を測定し、前記流速または流量の測定結果に基づいて、前記流体の流量を計測することが望ましい。
【0017】
ここで、流量計測の方式の、より具体的な態様としては、流体に音波を伝播させて、前記音波の伝播時間または伝播速度もしくは伝播周期に基づいて前記流体の流量を計測するものなどが可能である。
【0018】
あるいは、前記流体の流れに起因した前記導通路中でのエンタルピー変化を測定し、前記エンタルピー変化に基づいて前記流体の流量を計測するというものなどが可能である。
【0019】
なお、上記のような流量計測方法またはそれを具現化する流量計測装置としては、前記流体がガスであり、前記ガスの流量を計測するという、いわゆるガスメータなどが好適である。また、そのようなガスメータのうちでも、いわゆる推量方式のガスメータが、特に好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態に係る流量計測方法を実験的に具現化するための導通路を表したものである。また図2は、比較のために、従来の一般的なガスメータ等に用いられる、断面(流れの管路断面)がほぼ正方形の導通路を表したものである。なお、一般にガスメータのような流量計測装置では、本来ならば流体の流速を測定するための超音波送受振器のような測定器が導通路内に配置されるが、図示の繁雑化を避けるために、そのような測定器等の図示および詳細に説明は省略する。
【0022】
導通路1は、図1(A)に示したように、流体の流れ方向に対して直交方向の断面がX方向に長くY方向に短い、偏平な長方形となっており(X方向が長辺でありY方向が短辺である)、その各辺の長さを代表長さとすると、X方向とY方向とでは、レイノルズ数が大幅に異なったものとなっている。X軸と平行な方向に流体の管路をスライスして考えたときの(Y断面での)、脈動が生じた状態での長辺の端から端にかけての流速分布は、レイノルズ数が大きいので、脈動がない状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似するように設定されている。他方、Y軸と平行な方向に流体の管路をスライスして考えたときの(X断面での)、脈動が生じた状態での短辺の端から端にかけての流速分布は、レイノルズ数が小さいので、脈動がない状態での流速分布とそれほど違わない(流量計測に有意な差を生じさせない)ようになっている。
【0023】
次に、上記のような導通路1を用いて本実施の形態に係る流量計測方法を具現化してその作用効果を確認するための流体実験を行った。その流体実験について、詳細に説明する。
【0024】
図3に示したように、導通路1は、壁面から内部が観察およびLVD法による計測ができるように、透明アクリル樹脂板材料を用いて作製されたものである。なお、この流体実験では、本実施の形態に係る導通路1の断面の外形寸法は50[mm]×6[mm]で、主流方向速度の計測点メッシュ101は図1(B)に示したように設定した。また、比較のために従来の一般的な形態に係る導通路10も透明アクリル樹脂板材料を用いて作製したが、その外形寸法は17[mm]×17[mm]で、主流方向速度の計測点メッシュ110は図2(B)に示したように設定した。
【0025】
加振器2は、空気が供給されると、その気流を加振して、下流側での空気の流れに強制的に脈動を発生させるものである。この流体実験では、脈動周波数をf=50[Hz]とした。なおシーディングはシーディングフィーダ4によって(MSF−30M)1[μm]とした。圧力(Pa)は、圧力計で計測したところ、Pa=210±20[管路2 O]となった。またこのときの空気の供給流量は990[L/h(リットル毎時)]とした。
【0026】
LDV装置3は、いわゆるLDV法によって主流方向速度の一次元測定を行うものである。図4は、このLDV装置による超音波走査断面での平均見積もりの方法を模式的に表したものである。
【0027】
図4(A)に示したように空気が流れておりかつXY座標が設定されているものとすると、X軸と平行方向の断面(Y軸に直交する平面)であるY断面での流速分布U(x)は、図4(B)に一例を示したようなものとなる。また、図4(C)に示したように、Y断面毎の流速分布U(x)の平均値(U(x)mean1,U(x)mean2,U(x)mean3…)を算出し、それらをY軸に沿って順に並べることで、図4(C)に一例を示したようなX断面ごとの流速分布の平均値が得られる。
【0028】
導通路1は、実験配管系では図5に示したような圧力変動の腹の位置に配置され(A)、またそれとは別の実験として圧力変動の節の位置に配置される(B)。この流体実験では、腹と節との両方の場合について、それぞれ独立して別に実験(試行)を行った。
【0029】
上記のような実験系による実験を行った。その結果について説明する。図6(A)は、流体に脈動がない状態(圧力変動がない定常流状態)の場合での、本実施の形態に係る導通路1におけるY断面での流速分布(のY軸上のY点毎にX軸に沿った分布を計測した結果)を表したものであり、図6(B)は、本実施の形態に係る導通路1におけるX断面での流速分布(のX軸上のX点毎にY軸に沿った分布を計測した結果)を表したものである。また図6(C)は、流れの圧力変動を表したものである。
【0030】
脈動がない状態での圧力値は常に約210[mmH2O]で、ほぼ一定となっていることが、まず図6(C)から確認できる。
【0031】
このような脈動がない状態の場合には、導通路1の断面形状はY軸と平行方向の辺(短辺)が17[mm]と短いものとなっているので、X断面における流速分布(U(y))の様相は、流れの代表長さが小さいから、図6(B)に示したように、層流的な、いわゆる釣鐘状になる。
【0032】
他方、X軸と平行方向の辺(長辺)は50[mm]であり、短辺と比較して約3倍と長いものとなっているので、Y断面における流速分布(U(x))の様相は、流れの代表長さが大きいから、乱流化しやすい流体的傾向が積極的に助長されて、図6(A)に示したように、乱流的な、いわゆるフラットトップ状になることが分かった。
【0033】
他方、脈動が生じている状態の場合には、図7および図8に示したような流速分布となることが確認された。
【0034】
すなわち、脈動の腹の位置に導通路1が配置されている場合には、図7(C)に示したような波形の圧力波が観測されている。この場合、X断面での流速分布U(y)は、レイノルズ数が小さいことに起因して、図7(B)に示したような緩やかな凸の釣鐘状となり、図6(B)に示したような流速分布ほどには顕著なばらつきはない。しかし、そのX断面での流速分布U(y)の値およびそのばらつきの幅については、定常流時の流速分布である図6(B)の場合とは有意に異なったものとなる。
【0035】
他方、Y断面での流速分布U(x)は、レイノルズ数が単純計算でX断面と比較して約3倍と大きいことによって、図7(A)に示したような微妙に2頂点を有するフラットトップ型となり、図6(A)に示したような流速分布よりも明らかにばらつきが少なくなっている。しかも、Y断面での流速分布U(x)は、定常流時の流速分布である図6(A)の場合と重ね合わせて比較してみると、Yの位置がY=0(中心部)〜±2.5[mm]に関しての流速分布は、X=±25[mm]の全幅に亘って、多少の凹凸の差異はあるものの、ほぼ近似したフラットトップ状を示すことが分かった。
【0036】
また、脈動の節の位置に導通路1が配置されている場合には、図8(C)に示したような波形の圧力波が観測されている。
【0037】
この場合、X断面での流速分布U(y)は、レイノルズ数が小さいことに起因して、図8(B)に示したような緩やかな凸の釣鐘状となり、図6(B)に示したような流速分布ほどには顕著なばらつきはない。また、図7(B)に示したような脈動の腹の位置の場合よりも釣鐘状の凸形状はさらに緩やかな(フラットトップに、より近い)ものとなることが分かった。
【0038】
他方、Y断面での流速分布U(x)は、レイノルズ数が単純計算でX断面と比較して約3倍と大きく、かつ圧力波の節に位置していることによって、図8(A)に示したようにX=±15[mm]の範囲内の部分では、ほぼ完全にフラットトップ型となっている。また、図6(A)に示したような流速分布よりも明らかにばらつきが少なくなっている。しかも、X断面での流速分布U(y)は、定常流時の流速分布である図6(A)の場合と重ね合わせて比較してみると、Yの位置がY=0(中心部)〜2.5[mm]に関しては、X=±25[mm]のほぼ全幅に亘って(但し中心部で図6(A)の場合に多少突出があるという差異はあるものの)、ほぼ近似したフラットトップ状の流速分布を示すことが分かった。
【0039】
本実施の形態との比較のために、図2に示したような一般的な導通路1を用いて上記と同様の脈動がある場合とない場合とでの実験を行った。その結果について説明する。
【0040】
図9(C)に示したように圧力変動がなく、従って脈動がない場合には、図9(A),(B)から明らかなように、流速分布は典型的な層流の様相である釣鐘状となっている。
【0041】
他方、図10(C)に示したような圧力波として観察される脈動がある場合には、その脈動の腹の位置においては、X断面での流速分布U(y)およびY断面での流速分布U(x)は、それぞれ図10(B)および図10(A)に示したようなものとなる。これらは図9(A),(B)に示した脈動がない場合と比較すると流速分布の概形がほぼ釣鐘状であるという点では近似しているが、その釣鐘状の突出が緩やかなものとなっており、これに起因して、脈動の有無で流速値が有意に異なったものとなってしまっている。またその差異は、図11(C)に示したような圧力変動が観察される脈動の節の位置においては、図11(A),(B)に示したように、さらに顕著なものとなってしまっている。特に壁面に近い領域での差異が大きくなっている。
【0042】
このような実験結果から、導通路1を流れる計測対象の流体の流量を計測する流量計測方法またはそれを具現化する流量計測装置においては、計測対象の流体に脈動がない状態での流れの様相を敢えて予め乱流状態にして、流体の流速分布を脈動の生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似させておくことによって、実際に脈動が生じた状態のときにも、所定の許容範囲内での誤差やばらつきで流体の流量を計測することが可能となることが確認された。
【0043】
上記のような、計測対象の流体に脈動がない状態での流れの様相を敢えて予め乱流状態にするためには、上記のように導通路1の流れに対して直交方向の断面形状を偏平な長方形にすることで、その長辺の長さによって流体のレイノルズ数が高くなって、流れの様相を乱流状態にすることができる、という具体的な手法の他にも、種々の手法のバリエーションが可能である。
【0044】
例えば、導通路1に、流体の流れの様相を乱流状態にするための、例えば金網や整流格子(図示省略)のような、その後流側での流れの乱流化を促進させる構造物等を、流れの中に配置するようにしてもよい。
【0045】
または、導通路1の壁面を、流体の流れの様相が乱流状態になるような粗さに設定して(図示省略)、その表面摩擦効果によって、流れの乱流化を促進させるようにしてもよい。この手法は、特に、導通路1の壁面に近い領域での乱流化の促進が必要な場合に有効である。
【0046】
または、いわゆるボルテックスジェネレータのような渦発生装置(図示省略)を、導通路1の壁面上に配置したり、導通路1中に上述したような整流格子(図示省略)を設けた場合にその格子の表面に配置したりすることなども可能である。
【0047】
また、脈動がない状態と脈動が生じた状態とでは、例えば管路の中心から特定の距離の範囲内のような一部分のみで流速分布が所定の許容範囲内で近似しているが、その外側では所定の許容範囲を逸脱した大幅な差異が生じている場合もある。このような場合には、脈動がない状態と脈動が生じた状態とでの、流体の流管断面内における流速分布が所定の許容範囲内で近似している部分のみについて、流体の流速または流量を測定することが望ましい。
【0048】
なお、流量計測方式としては、より具体的には、流体中に超音波のような音波を伝播させて、その音波の伝播時間または伝播速度もしくは伝播周期に基づいて流体の流量を計測するという、いわゆる超音波伝播方式などが可能である。
【0049】
あるいは、流体の流れに起因した導通路1中でのエンタルピー変化を測定し、そのエンタルピー変化に基づいて流体の流量を計測するという、いわゆる熱式流量計測方式なども可能である。
【0050】
さらに具体的には、導通路における流体の流れの加熱または冷却に起因して生じる放熱量変化または伝熱量変化または受熱量変化を検出し、その変化の値の情報を担持してなる第1の信号を出力するという手法がある。これは、例えば電流を流して熱した電熱線(電熱ヒータ)を流体の流れの中(導通路中)に配置しておき、流れに起因して生じる電熱線の電気抵抗値の変化に基づいて放熱量変化を検出するという手法がある。
【0051】
あるいは、流体の流れの中に配置された電熱線のような熱源によって流体を加熱するように設定しておき、その電熱線の近傍の上流側または下流側に温度計測手段を設けて、この温度計測手段で流体の温度を計測し、その温度に基づいて流体の伝熱量変化を計測するという手法などもある。なお、伝熱量変化を計測する手法には、さらに、熱源と温度計測手段との間の主に導通路壁等を伝導する熱を計測するものと、熱源と温度計測手段との間の主に流体中を伝導する熱を計測するものとがあるが、特に後者は受熱量変化(受熱量変化を計測する)方式と呼ばれている。
【0052】
なお、上記のような流量計測方法またはそれを具現化する流量計測装置としては、計測対象の流体が例えば都市ガスのような可燃性の(燃料用または発電用等の)ガスであり、そのガスの流量を計測してその積算値を表示するという、いわゆるガスメータなどが好適である。また、そのようなガスメータのうちでも、上記の超音波伝播方式や熱式流量計測方式などのような、いわゆる推量方式のガスメータへの適用が特に好適である。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし10のいずれかに記載の流量計測方法または請求項11ないし20のいずれかに記載の流量計測装置によれば、計測対象の流体に脈動がない状態での流れの様相を敢えて予め乱流状態にすることで、流体の流速分布を脈動の生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似させておくことにより、実際に脈動が生じた状態のときにも、所定の許容範囲内での誤差やばらつきで流体の流量が計測されるようにしたので、計測対象の流体に脈動が生じている状態でも、脈動が生じていない状態の場合と同様に(所定の許容範囲内で)、誤差やばらつきの少ない流量計測を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る流量計測方法を実験的に具現化するための導通路を表した図である。
【図2】比較例として従来の一般的なガスメータ等に用いられる断面(流れの管路断面)がほぼ正方形の導通路を表した図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る流量計測方法を実験的に具現化するための導通路を含んだ実験配管系における導通路を中心とした主要部を表した図である。
【図4】このLDV装置による超音波走査断面での平均見積もりの方法を模式的に表した図である。
【図5】実験配管系の概要を表した図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る導通路の場合の、流体に脈動がない状態での流速分布および圧力変動を表した図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る導通路の場合の、流体に脈動が生じている状態での、脈動の腹の位置における流速分布および圧力変動を表した図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る導通路の場合の、流体に脈動が生じている状態での、脈動の節の位置における流速分布および圧力変動を表した図である。
【図9】従来の一般的な導通路の場合の、流体に脈動がない状態での流速分布および圧力変動を表した図である。
【図10】従来の一般的な導通路の場合の、流体に脈動が生じている状態での、脈動の腹の位置における流速分布および圧力変動を表した図である。
【図11】従来の一般的な導通路の場合の、流体に脈動が生じている状態での、脈動の節の位置における流速分布および圧力変動を表した図である。
【符号の説明】
1…導通路、2…加振器、3…LVD装置、4…シーディングフィーダ
Claims (20)
- 導通路を流れる計測対象の流体の流量を計測する流量計測方法において、
脈動がない状態での前記流体の流速分布が、前記脈動が生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似するように、前記流体に脈動がない状態での流れの様相を乱流状態にして、前記流体の流量を計測する
ことを特徴とする流量計測方法。 - 前記導通路における前記流体のレイノルズ数が、前記流れの様相を前記乱流状態にするように設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の流量計測方法。 - 前記導通路における前記流体の流れに対する直交方向の断面形状が、略長方形であり、前記長方形の長辺または短辺のうち少なくとも長辺の長さが、前記レイノルズ数に対応した長さに設定されている
ことを特徴とする請求項2記載の流量計測方法。 - 前記導通路に、前記流体の流れの様相を前記乱流状態にするための格子を配置する
ことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記導通路の壁面を、前記流体の流れの様相が前記乱流状態になるような粗さに設定する
ことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記導通路に渦発生装置を配置して、前記流体の流れの様相を前記乱流状態にする
ことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記脈動がない状態と前記脈動が生じた状態とでの、前記流体の流管断面内における流速分布が所定の許容範囲内で近似している部分のみについての前記流体の流速または流量を測定し、前記流速または流量の測定結果に基づいて、前記流体の流量を計測する
ことを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記流体に音波を伝播させて、前記音波の伝播時間または伝播速度もしくは伝播周期に基づいて前記流体の流量を計測する
ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記流体の流れに起因した前記導通路中でのエンタルピー変化を測定し、前記エンタルピー変化に基づいて前記流体の流量を計測する
ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 前記流体がガスであり、ガスメータにおける前記ガスの流量を計測する
ことを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1つの項に記載の流量計測方法。 - 計測対象の流体を導通させる導通路と、前記導通路を流れる計測対象の流体の前記導通路内における管路断面全体または部分における、流量または流速を測定する測定器と、前記測定器による測定結果に基づいて、前記流体の前記導通路内での流量値または流速値を計測する推量方式の流量計測装置において、
脈動がない状態での前記流体の流速分布が、前記脈動が生じた状態での流速分布に所定の許容範囲内で近似するように、前記流体に脈動がない状態での流れの様相を乱流状態にして、前記流体の流量を計測するように、前記導通路内または前記測定器が設定されている
ことを特徴とする流量計測装置。 - 前記導通路における前記流体のレイノルズ数が、前記流れの様相を前記乱流状態にするように設定されている
ことを特徴とする請求項11記載の流量計測装置。 - 前記導通路における前記流体の流れに対する直交方向の断面形状が、略長方形であり、前記長方形の長辺または短辺のうち少なくとも長辺の長さが、前記レイノルズ数に対応した長さに設定されている
ことを特徴とする請求項12記載の流量計測装置。 - 前記導通路に、前記流体の流れの様相を前記乱流状態にするための格子が配置されている
ことを特徴とする請求項11ないし13のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記導通路の壁面が、前記流体の流れの様相を前記乱流状態にするような粗さに設定されている
ことを特徴とする請求項11ないし14のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記流体の流れの様相を前記乱流状態にする渦発生装置が、前記導通路内に配置されている
ことを特徴とする請求項11ないし15のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記測定器が、前記脈動がない状態と前記脈動が生じた状態とでの、前記流体の流管断面内における流速分布が所定の許容範囲内で近似している部分のみについての前記流体の流速または流量を測定するものである
ことを特徴とする請求項11ないし16のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記測定器が、前記流体に音波を伝播させて、前記音波の伝播時間または伝播速度もしくは伝播周期に基づいて前記流体の流量を計測するものである
ことを特徴とする請求項11ないし17のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記流体の流れに起因した前記導通路中でのエンタルピー変化を測定し、前記エンタルピー変化に基づいて前記流体の流量を計測する
ことを特徴とする請求項11ないし17のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。 - 前記流体がガスであり、ガスメータにおける前記ガスの流量を計測するように前記導通路および前記測定器が設定されている
ことを特徴とする請求項11ないし17のうちいずれか1つの項に記載の流量計測装置。
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