JP2011237200A - 流量計及び流量測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 広い流量範囲において高い線形性と感度を有し、応答性が高く且つ高精度である上、すべての気体及び液体に適用可能で安価な流量計及び流量測定方法を提供する。
【解決手段】 流体aを通過させる流路1と、該流路1中に熱を放熱するように支持された発熱体2と、該発熱体2外面に設けられた熱流束計3と、情報処理装置4とを備えた流量計であって、前記情報処理装置4は、流体の流量とヌセルト数の関係を示す検量関数4aを予め記憶する記憶装置と、前記熱流束計3による測定値に基づきヌセルト数を求め、このヌセルト数に対応する流量を前記検量関数4aから求める演算処理装置とを具備してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱流束計を用いた流量計及び流量測定方法に関するものである。
従来技術を用いた流量計には主に以下のものがある。
<カルマン渦流量計>
カルマン渦流量計は、工業的に最も広く用いられている流量計であり、管内流中の流れに垂直に設置された円柱・角柱まわりに生ずるカルマン渦の無次元放出周波数であるストローハル数が、管内レイノルズ数に対して一定となる関係を利用している(特許文献1参照)。このカルマン渦流量計は、実流校正が不要であるという利点がある反面、流量範囲が狭く、特に小流量での計測が困難であり、しかも計測機器が高価となるという欠点を有する。そのため、市販のハイブリッド流量計には、小流量域で熱式流量計を用い、大流量域ではカルマン渦流量計を用いるようにしたものがある。
<コリオリ流量計>
チューブを一定振動数で振動させそのチューブに流体を流すと流入側と流出側でそれぞれ反対方向のねじれがコリオリ力によって生じ、そのねじれ角は質量流量に比例する。コリオリ流量計は、前記ねじれ角を利用し測定を行うものであり、測定流量範囲が比較的広く、高精度な上、作動流体の種類が多いという利点を有するが、計測機器が高価であるという欠点もある。
<差圧式流量計>
差圧式流量計は、管の途中にオリフィスプレート(中央に穴の開いた板)を設けて、プレートの前後の圧力差を利用し測定を行うものであり、価格が安く、実流校正が不要という利点がある反面、測定流量範囲が狭く、計測機器が高価であるという欠点を有する。
<熱線式流量計>
熱線式流量計は、管路に電熱線を設置し、作動流体によって奪われる熱量が流量に比例することを利用するものであり、測定流量範囲が広く、コンパクト設計であり、温度耐久性が高いという利点を有するが、熱線が細いため機械強度が低く、熱線に浮遊物が付着すると熱伝達が下がるため長時間使用できないという欠点も有する(例えば、特許文献2参照)。
特願平8−24642号公報 特開平4−285818号公報
本発明は、前述した従来技術の欠点を課題の一例とするものである。すなわち、広い流量範囲において高い線形性と感度を有すること、安価であること、応答性が高く且つ高精度であること、すべての気体及び液体に適用可能であること、様々な管内径の管内流に適用可能であること、保守の必要性がないこと等が本発明の目的である。
このような目的を達成するために、本発明に係る流量計は、流体を通過させる流路と、該流路中に熱を放熱するように支持された発熱体と、該発熱体外面におけるよどみ点又はよどみ点の近傍に設けられた熱流束計と、情報処理装置とを備えた流量計であって、前記情報処理装置は、流体の流量とヌセルト数の関係を示す検量関数を予め記憶する記憶装置と、前記熱流束計による測定値に基づきヌセルト数を求め、このヌセルト数に対応する流量を前記検量関数から求める演算処理装置とを具備してなることを特徴とする。
更に好ましくは、前記流量計において、前記発熱体表面の少なくとも上流側の部分を、凸曲面状に形成したことを特徴とする。
更に好ましくは、前記流量計において、前記発熱体を球形状に形成したことを特徴とする。
更に好ましくは、前記流量計において、前記流体の温度と前記発熱体の温度との温度差が略一定となるように、温度制御するようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る流量測定方法は、流路中に熱を放熱するように発熱体を支持するとともに、該発熱体外面におけるよどみ点又はよどみ点の近傍に熱流束計を設け、前記流路中に流体を流通させて、前記熱流束計による測定を行い、その測定値からヌセルト数を求め、該ヌセルト数に対応する流量を、前記流体の流量とヌセルト数の関係を示すように予め設定された検量関数から求めるようにしたことを特徴とする。
更に好ましくは、前記流量測定方法において、前記熱流束計による測定中、前記流体の温度と前記発熱体の温度との温度差を略一定に保持するようにしたことを特徴とする。
このような特徴を有することで本発明は以下の作用効果を奏する。
ヌセルト数と流量との相関関係を利用することで、広い計測範囲において高い線形性を有する流量測定を行うことができる。
しかも、市販の熱流束計を利用しているため、安価且つ応答性が高い上、高精度な流量計を実現することができる。
また、すべての気体・液体、並びに管内径の違う管内流に適用可能である。すなわち、管内径や流体の違いによる熱流束計出力の違いについては、あらかじめ乱れ場モデルを用いた数値計算により換算係数を求めておくことにより対応することができる。
その上、簡素構造なので保守管理が容易である。
本発明に係わる流量計の一例を示す概念図である。 熱流束計の一例を示す概念図である。 熱流束計の出力電圧の立ち上がりの一例を示すグラフである。 熱流束計の出力電圧を増幅するための増幅装置の回路図である。 発熱体の形状例を(a)〜(d)の各々に示す側面図である。 検量関数を求める実験装置の一例を示す概念図である。 検量関数を求める実験装置について要部を拡大して示す概念図である。 球よどみ点ヌセルト数と管内レイノルズ数及び流量との関係を実験的に求めてグラフ化したものである。 発熱体が円板の場合と球の場合について、物体前方よどみ点の速度変化(管内レイノルズ数ReD=10000)を示すグラフである。 発熱体が円板の場合と球の場合について、物体よどみ点前方の乱れ強さ分布(管内レイノルズ数ReD=10000)を示すグラフである。 発熱体が円板の場合と球の場合について、管内レイノルズ数ReD及び球レイノルズ数Redとよどみ点ヌセルト数Nu0の関係を示すグラフである。 乱れ場モデルに関する円筒座標系を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の配置や形状などは下記のものに限定されない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
この流量計は、流体aを通過させる流路1と、該流路1中に熱を放熱するように支持された発熱体2と、該発熱体2の外面におけるよどみ点に設けられた熱流束計3と、情報処理装置4とを備え、熱流束計3による測定値に基づきよどみ点ヌセルト数を求め、このよどみ点ヌセルト数に対応する流量を、前記流体の流量とよどみ点ヌセルト数の関係を示すように予め設定された検量関数4aから求めるようにしている。
流路1は、断面形状が円形の直管であり、その内部に流体a(液体でも気体でもよい)を通過させるように形成してある。
この流路の内径Dは、本実施の形態の一例によれば107mmである。
発熱体2は、内部に発熱源2aを有する金属製の中空球体であり、流路1の略中心線上に配置され、支持棒2bを介して流路1内面に支持される。
この発熱体2の材質は、熱伝導率の比較的高い材料であることが好ましく、本実施の形態の一例によれば銅を用いている。
また、発熱体2の直径dは20mm、厚みは1mmである。
発熱源2aは、流路1外の電源装置5からの電力供給により発熱する発熱素子であればよく、本実施の形態の好ましい一例ではニクロム線を用いている。
支持棒2bは、図示例によれば略L字状の中空棒であり、発熱体2をその下流側から支持している。この支持棒2b内には電線が挿通され、この電線は電源装置5から出力される電力を発熱源2aに供給するように電気配線される。
本実施の形態の好ましい一例によれば、発熱源2aを中空状の発熱体2内に密閉することで流体aから隔離しているため、例えば流体aを可燃性ガスとした場合であっても、安全性(防爆性)を確保することができる。
そして、前記構成の発熱体2は、流体aとの温度差が略一定となるように、温度制御手段6によって温度制御されている。温度制御手段6は、流路1内の流体aの温度を測定する温度センサー6a(例えば、熱電対や測温抵抗体等)と、発熱源2aの温度を測定する温度センサー6bと、これら両温度センサー6a,6bによる測定値から温度差を求め、該温度差が略一定(例えば20K)となるように電源装置5の出力電圧を制御する制御回路6c(例えばプログラマブルコントローラやその他の電子回路等)とからなる。
また、熱流束計3は、熱流束に応じた出力電圧が得られるものであればよく、本実施の形態の好ましい一例によれば、シュミット・ベルトと称される熱流センサーを用いている。この熱流束計3(熱流センサ)は、可撓性のゴム板の表裏両面間の温度差を、多数の熱電対を直列に接続して各測温点が交互にゴム板の表面と裏面とに接するように配設したものによって測定するものである。
この熱流束計3は、より具体的には、図2に示すように、厚さ75μm、受感部寸法1.5mm×4mm、感度0.055μV/(W/m2)のマイクロホイル熱流束計(アール・ディ・エフ社(米国)製、型番:20450−1)を用いている。図3は、本実施の形態に用いた熱流束計3について、出力電圧の立ち上がりを示す。時定数は、約0.02s(50Hz)である。
この熱流束計3は、発熱体2表面の上流側よどみ点となる位置に、強力な接着剤によって接着される。前記よどみ点は、本実施の形態のように発熱体2を球形とした場合、該発熱体2表面において最も上流側に位置する点である。
すなわち、球前方よどみ点近傍の熱伝達率分布は、よどみ点で最大値をとる釣り鐘型の分布となる(正規分布に近い)。このため、よどみ点近傍では比較的平坦な熱伝達率となるため、発熱体2前方に貼り付けた熱流束計3が主流に対し多少傾いても(10度程度)、熱流束計3の出力値にほとんど影響しない。
よって、熱流束計3は、発熱体2表面におけるよどみ点の近傍となる位置に設けるのが好ましくは、更に好ましくは、発熱体2表面におけるよどみ点となる位置に設ける。
熱流束計3の出力電圧は、増幅装置3aにより増幅されて情報処理装置4に入力される。増幅装置3aは、熱流束計3から出力される微弱な電圧を、OP177を用いた二段非反転増幅回路(図4参照)によって1×104(100×100)倍に増幅する。
情報処理装置4は、後述する検量関数4aや、演算処理プログラム等を予め記憶する記憶装置と、熱流束計3による測定値に基づきよどみ点ヌセルト数を求め、このよどみ点ヌセルト数に対応する流量を検量関数4aから求める演算処理装置(CPU等)とを具備した構成であればよい。この情報処理装置4は、例えばパーソナルコンピュータ等とすればよいが、マイクロプロセッサ等を用いた安価な電子回路とすることも可能である。
情報処理装置4によるよどみ点ヌセルト数の計算は、以下の数式を用いて行われる。
Nu0=hd/λ=Vd/αλΔT・・・(a)
Nu0;よどみ点ヌセルト数
h;よどみ点の熱伝達率[W/(m2K)]
λ;作動流体の熱伝導率[W/(mK)]
V;出力電圧
d;発熱体の直径
α;熱流束計の公称感度
ΔT;流体と発熱体表面の温度差
すなわち、情報処理装置4は、熱流束計3の出力電圧V、発熱体2の直径d(20mm)、熱流束計3の公称感度α(0.009[μV/(W/m2)])、流体(空気)の熱伝導率λ(26.14[mW/(m・K)])、流体と発熱体表面の温度差ΔT(20K)を上記式(a)に代入し、よどみ点ヌセルト数Nu0を求める。
そして、情報処理装置4は、前記よどみ点ヌセルト数Nu0に対応する流量を、検量関数4aから求める。
検量関数4aは、よどみ点ヌセルト数Nu0と流量Q[m3/hr]との直線的な相関関係を示す関数であり、予め実験的又は数値計算により求められ、数式等として情報処理装置4の記憶装置に記憶してある。
次に、検量関数4aを求めるようにした実験例について説明する。
本実験では、ブロワにて空気を内径107mm、助走区間長さ2 mの円管内に流し、発達域の管内中心に設置した発熱体2に当てる。流量は、ブロワの回転数により変化させた。流量の測定は面積流量計にて行った(図6参照)。空気と発熱体2との温度差ΔTが20Kとなるように、発熱体2を加熱した。
管内レイノルズ数ReD= 5000〜30000(流量Q = 22.8〜136.9 m3/hr)の範囲において、発熱体2の前方よどみ点に張り付けた熱流束計3による出力電圧を、増幅装置3aで1×104倍に増幅し、情報処理装置4(PC)に取り込んで、上記式(a)に基づきよどみ点ヌセルト数Nu0を算出した。
また、本実験では、発熱体2前方よどみ点の主流速度の乱れ強さを測定した。
図7に示すように、円管上部に発熱体2のよどみ点から主流の上流方向に長さ107mm、幅8mmのスリットを開け、そのスリットに空気が漏れ出さないようアルミ製のカバーを取り付けたI型の熱線プローブ7aを有する熱線流速計7を設置した。
そして、円管中央に設置したI型の熱線プローブ7aにより、主流中における発熱体2よどみ点前方の速度変化と主流速度乱れ強さUttiの測定を行った。この測定において、管内レイノルズ数ReDは10000とし、熱線プローブ7aは発熱体2の前方よどみ点から主流方向に2x/d=0.05〜1の範囲で移動した。なお、xは発熱体2から熱線プローブ7aまでの距離、dは発熱体2の直径である。
発熱体2については、形状によるセンサー感度の違いを確認するために、以下の二種類の形状のものを用いた。
一方は、上記実施の形態に示した銅製の中空球状の発熱体2であり、直径dを20mm、肉厚1mmとし、内部に加熱源であるニクロム線を設け、表面の最上流側の部分に熱流束計3を接着した。発熱体2の断面積と流路1である円管断面積の比であるブロッケージ比BRは0.034となる。
他方は、銅製の円板状の発熱体2であり(図5(d)参照)、直径dを20mm、厚みを1.4mmとし、下流側表面にニクロム線を接触させ、上流側表面の中央部分に熱流束計3を接着した。
(ヌセルト数と流量の関係)
図8は、発熱体2を球とした場合において、本実験の結果を示すグラフであり、横軸は管内レイノルズ数及び流量、縦軸はよどみ点ヌセルト数である。なお、グラフ中の流量Qの単位において、Nは流体(空気)が1気圧20℃の標準状態であることを意味する。
実験結果から、よどみ点ヌセルト数と流量との関係は、乱流域における幅広い流量範囲において、良好な線形性が確認された。また、管内レイノルズ数ReD=30000のよどみ点ヌセルト数Nu0はReD=10000のよどみ点ヌセルト数Nu0よりも2倍大きく高い感度が確認された。
よって、図8の乱流域におけるよどみ点ヌセルト数と流量との関係を検量関数4aとして用いることで、乱流域を計測対象とした実用性の高い高精度な流量計を実現することができる。
なお、層流域のよどみ点ヌセルト数と流量との関係を検量関数4aとして用い、層流域を計測対象とした流量計を構成することも可能である。
(球と円板の違い)
図9のグラフは、管内レイノルズ数ReD=10000において発熱体2よどみ点前方の流体の速度変化を示したものであり、実線は発熱体2を円板とした場合、点線は発熱体2を球とした場合を示している。なお、xは発熱体2から熱線プローブ7aまでの距離、dは発熱体2の直径である。
このグラフより、円板、球共に発熱体2表面に近づくにつれて、速度が減少していることが分かる。また、円板、球の勾配の比は円板が1.1、球が1.6となり、球の速度変化の方が大きい。
また、図10のグラフは、発熱体2よどみ点前方の主流速度の乱れ強さ分布を示す。実線は円板の場合、点線は球の場合を示している。また、破線は文献値(実験)を示している。前記文献値の文献は、「Hijikata, H.Yoshida, Y.Mori,Theoretical and experimental study of turbulence effects on heat transfer around the stagnation point of a cylinder ,Volume 3,(1982),pp165-170」である。
このグラフより、円板と球共に2x/d=0.5付近から乱れが大きくなっており、文献値と同様の傾向であることが分かる。またよどみ点に近づくにつれて円板より球の乱れの方がより大きくなっていることが分かる。
乱れが大きければ、よどみ点におけるNu0が大きくなり、センサー感度が良くなる。よって、発熱体2の形状としては、球の方が円板よりも適している。
また、図11のグラフは、管内レイノルズ数ReD及び物体レイノルズ数Red(詳細には発熱体2近傍の流体のレイノルズ数)とよどみ点ヌセルト数Nu0との関係を示す。実線は球の場合、破線は円板の場合である。
球と円板の双方において、流量Qとよどみ点ヌセルト数Nuoの関係が線形であることが確認できた。
また、ReD=30000では、球の前方よどみ点Nu0は円板のNu0よりも1.2倍大きい値を示しており、乱流域において球形状のセンサー感度が非常に良いことが分かった。
主流の減速効果について円板よりも球の方が大きい理由を述べれば、球の場合は、前方よどみ点より球に沿う下流方向への流れは3次元的であるため、球前方に近づく主流の減速効果が比較的大きくなる。それに対し、円板の場合は、前方よどみ点より円板に沿う流れは2次元的なため、球に比べて主流の減速効果が小さくなる。(球表面に沿う流れは、球後方で球表面より剥離する。円板では、円板の端面で剥離する。いずれも剥離点後方で循環流が生ずる。)
この球と円板の主流流速の減速効果の違いは、ポテンシャル流による理論解析結果とも定性的に一致する。球前方に向かう主流の減速効果は、よどみ点近傍の乱れを増加させる効果をもつため(図10参照)、球前方よどみ点の熱伝達率h0を大きくする。すなわち、球・半球・楕円球のような鈍頭の3次元加熱物体が、熱流束計3を張り付ける発熱体2の形状に適していると言える。
なお、上記実験では、特定の管内形(107mm)及び流体(空気)の場合について検量関数4aを求めるようにした。管内形や流体が異なる場合には、その管内形や流体に対応する検量関数4aを実験的に求めればよいが、その実験コストを削減するためには、数値計算により検量関数4aを求めてもよい。以下、その数値計算について例示する。
管内の流れは乱流域であるため(Re>2000)、乱流モデルを用いた数値計算が必要である。基礎式はレイノルズ方程式、乱れ場モデルにk-ε2方程式モデルを用いる。
管内レイノルズ数 ReD=UmD/ν,Um;管内平均流速,D;管内径,ν;動粘性係数
球レイノルズ数 Red=Ud/ν,U;球前方の一様流速,d;球直径,ν;動粘性係数
(乱れ場モデル)
物体よどみ点近傍の主流の減速効果による乱れの非等方性を代数式で与える。すなわち、小球前方よどみ点ヌセルト数Nu0を正確に予測可能な乱れ場モデルを提案する。下記に記す乱れ場モデルを米国Adaptive Research社製の熱・流体解析ソフトウェアCFD2000 Version5.0(以下、CFDと称する)に組み込む。図12は、円筒座標系を示す。
数1〜8中の記号の説明は以下の通りである。
C1,C2; モデル定数
Cε1; モデル定数
D; gの輸送式中の拡散項
g;乱れの非等性
k;乱流エネルギー
P;gの輸送式中の生成項
r;半径方向座標
Vr;r方向平均速度成分
Vθ;θ方向平均速度成分
z;方位角方向座標
ε;乱流散逸
θ;接線方向座標
νr;r方向変動速度成分
νz;z方向変動速度成分
νθ;θ方向変動速度成分
乱流エネルギーk,乱流散逸εの輸送方程式は(1)式,(2)式であらわされる。
Figure 2011237200
Figure 2011237200
Figure 2011237200
乱れの非等性g(数3参照)は、k,εの輸送方程式の生成項に現れる。散逸を等方的と考えるとgの輸送式は(3)式となる。
Figure 2011237200
(3)式の対流項と拡散項を省略し、緩和項を(4)式でモデル化する。(3)式は(5)式となる。C1,C2はモデル定数。
Figure 2011237200
Figure 2011237200
方程式を閉じるため(6)式を用いると、乱れの非等性g(数3参照)は(7)式の代数式で与えられる。
Figure 2011237200
Figure 2011237200
本モデルをCFDに組み込み、物体適合座標を用いて計算を行う。このモデル計算により、管径や作動流体が異なる流量計測に対応可能となる。
なお、本実施の形態では、特に好ましい一例として発熱体2を球形(図5(a)参照)としたが、実験例にも示したように、発熱体2の形状を円板等、球以外の形状とすることも可能である。図5は、発熱体2の形状例を示しており、(a)は本実施の形態の好ましい一例に適用した球形、(b)は半球状、(c)は前端に平坦面を有する円錐体状、(d)は板状もしくは円板状の場合を、それぞれ図示している。発熱体2の形状は、特にセンサー感度を向上するためには、少なくとも上流側の部分を凸曲面状とすることが好ましい。
また、本実施の形態の好ましい一例によれば、温度制御手段6によって流体aと発熱体2との温度差を一定に保つようにしたが、他例として、作動流体aの温度変化が比較的小さい場合等には、温度制御手段6を省いた構成としてもよい。
また、温度制御手段6の制御回路6cは、図示例によれば情報処理装置4とは別体の構成としたが、情報処理装置4と一体の構成であってもよい。
1:流路
2:発熱体
3:熱流束計
4:情報処理装置
4a:検量関数

Claims (6)

  1. 流体を通過させる流路と、該流路中に熱を放熱するように支持された発熱体と、該発熱体外面におけるよどみ点又はよどみ点の近傍に設けられた熱流束計と、情報処理装置とを備えた流量計であって、
    前記情報処理装置は、流体の流量とヌセルト数の関係を示す検量関数を予め記憶する記憶装置と、前記熱流束計による測定値に基づきヌセルト数を求め、このヌセルト数に対応する流量を前記検量関数から求める演算処理装置とを具備してなることを特徴とする流量計。
  2. 前記発熱体表面の少なくとも上流側の部分を、凸曲面状に形成したことを特徴とする請求項1記載の流量計。
  3. 前記発熱体を球形状に形成したことを特徴とする請求項1記載の流量計。
  4. 前記流体の温度と前記発熱体の温度との温度差が略一定となるように、温度制御するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の流量計。
  5. 流路中に熱を放熱するように発熱体を支持するとともに、該発熱体外面におけるよどみ点又はよどみ点の近傍に熱流束計を設け、前記流路中に流体を流通させて、前記熱流束計による測定を行い、その測定値からヌセルト数を求め、該ヌセルト数に対応する流量を、前記流体の流量とヌセルト数の関係を示すように予め設定された検量関数から求めるようにしたことを特徴とする流量測定方法。
  6. 前記熱流束計による測定中、前記流体の温度と前記発熱体の温度との温度差を略一定に保持するようにしたことを特徴とする請求項5記載の流量測定方法。
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