JP4189985B2 - 瞬時受電電力制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャパシタ蓄電装置を電力受電系統に接続し受電電力の制御を行う瞬時受電電力制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、負荷に電力を供給する電力供給システムとして、自家用発電機を電力系統と連系させて負荷に電力を供給し、自家用発電機で不足する負荷の電力を電力系統から供給するようにした、いわゆる系統連系運転が盛んに行われている。このような電力供給システムにおいて、電気事業法では、系統連系運転において、電力系統へ電力が逆流する、いわゆる逆潮流が認められ、逆潮流電力(自家用発電機の余剰電力)を電力会社に販売する場合がある。
【0003】
逆潮流が認められるケースでは、逆潮流電力を電力会社に販売することもできるが、電力会社の逆潮流電力(自家用発電機の余剰電力)の購入価格が安いので、通常電力会社からの受電電力をゼロにするように発電機を制御し、自家用発電機から負荷の全電力を給電している。しかし、発電機は、電力系統に連系され受電電力をゼロにするように制御されていても、負荷が変動すると、各種の遅れ要素が存在するため、負荷変動に追従することができず、その結果受電点には電力脈動が生じてしまう。
【0004】
ところで、平成6年に「高圧または特別高圧受電する需要家の高調波ガイドライン」が制定され、需要家から電力系統へ流出する高調波電流が規制されているため、これを反映して需要家にアクティブフィルターを設置するケースが増加しつつある。アクティブフィルターとは、負荷電流のうち、負荷から流出する高調波電流を分離検出して、分離検出した高調波電流と全く逆位相の電流を交直変換器から出力し、該高調波電流を相殺するシステムである。
【0005】
近年の情報化社会を反映して、情報機器等には、無停電電源装置がしばしば用いられている。上記のような従来の電力供給システムにおいては、受電電力の電力脈動が大きく、構内配線網電圧変動が大きくなり、著しい場合は負荷が運転できなくなるといった問題点があり改善が望まれていた。また、構内配線網の電圧変動は、電力系統側にも影響し、電力系統の電圧変動が生じ、電力系統が脆弱な場合には、その影響がことに顕著であり、改善が望まれていた。
【0006】
瞬時に起こる負荷変動に対し発電機の受電電力の制御が秒オーダであるために、受電電力が秒オーダで脈動する。また、負荷変動は常時発生しており、その結果、受電電力の脈動も常時発生している。発明者の1人が試算した例によると、1.3億回/15年にも達する。したがって、受電電力の脈動を吸収する電力貯蔵手段としては、秒オーダの充放電を数多く行うことになる。電力貯蔵手段として、従来の二次電池、例えばNAS電池等を採用すると、これらの電力貯蔵手段は、内部抵抗が大きく、充放電を繰り返すと温度が上昇し劣化を加速させる。また、これらの電力貯蔵手段のサイクル寿命は、高々2000回程度であり、短時間で寿命に達してしまう。よって、電力貯蔵手段の交換が頻繁に発生することになり実用的ではなかった。また、電力貯蔵手段の交換は高額な費用が必要であり改善が切望されていた。
【0007】
従来の技術では、受電電力の電力脈動を制限する瞬時受電電力制御システム、高調波電流を相殺するアクティブフィルターと無停電電源装置が別々の装置であったことから、設置する設備全体が大規模になり、広い設置面積と高額な設置費用を要するなど多くの改善すべき課題を擁していた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、受電電力の電力脈動を制限し、アクティブフィルター及び無停電電源装置としても機能する瞬時受電電力制御システムを提供し、もって電力の品質の低下を阻止するとともに設備全体の設置面積及び設置費用を削減するものである。さらに、電力貯蔵手段の交換回数を削減することによって、実用的な瞬時受電電力制御システムを提供し、かつ、電力貯蔵手段の交換費用を削減できるようにするものである。
【0009】
そのために本発明は、キャパシタ蓄電装置を電力受電系統に接続し受電電力の制御を行う瞬時受電電力制御システムであって、複数のキャパシタからなり該キャパシタのそれぞれに並列に接続して充電電圧の検出及びバイパス制御を行う並列モニタを有するキャパシタ蓄電装置と、電力受電系統に接続されて交流と直流との変換を行いキャパシタ蓄電装置の充放電を行う交直変換装置と、前記交直変換装置及び停電を許容しない負荷に対する前記電力受電系統の接続の切り離しを行う開閉器と、前記電力受電系統を監視して前記交直変換装置及び前記開閉器の制御を行う系統監視電力制御装置とを備え、前記並列モニタは、前記キャパシタの充電電流の一部をバイパスするトランジスタと抵抗からなるバイパス回路、前記キャパシタの充電電圧を第1の設定電圧と比較する第1のコンパレータ、初期化モードが選択されたときオンにする初期化スイッチ、及び前記キャパシタの充電電圧を前記第1の設定電圧より高い第2の設定電圧と比較する第2のコンパレータを有し、充電時の前記第2のコンパレータの出力と端子電圧に基づき各キャパシタの充電電圧のバラツキの程度を判定し前記バラツキが大きい場合に初期化充電を行い、前記初期化スイッチをオンにして前記第1のコンパレータの出力により前記キャパシタの充電電圧が前記第1の設定電圧以上になると前記トランジスタを動作させ、前記第2のコンパレータの出力により前記キャパシタの充電電圧が前記第2の設定電圧以上になると初期化終了を判定し、前記系統監視電力制御装置は、前記電力受電系統より給電される前記停電を許容しない負荷を含む複数の負荷の変動に応じ前記交直変換装置を制御して前記キャパシタ蓄電装置の充放電を行うと共に、前記電力受電系統の停電時に前記開閉器を制御して前記交直変換装置及び前記停電を許容しない負荷に対する前記電力受電系統の接続の切り離しを行い前記交直変換装置を制御して前記キャパシタ蓄電装置から前記停電を許容しない負荷に給電することを特徴とするものである。
【0010】
さらに、前記キャパシタ蓄電装置は、蓄電状態に応じてキャパシタの直並列の接続切り換えを行う切り換え回路を有することを特徴とし、前記キャパシタ蓄電装置と前記交直変換装置との間に直列に充放電電流を制御する電流ポンプを接続したことを特徴とし、前記系統監視電力制御装置は、電力の需給関係を監視して過渡電力の変動に応じて前記キャパシタ蓄電装置の充放電を行うように前記交直変換装置の制御を行い、前記電力受電系統が過渡電力の変動のない安定時に前記キャパシタ蓄電装置に対して所定の初期化充電を行うことを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る瞬時受電電力制御システムの実施の形態を示す図であり、1は系統監視電力制御装置、2は交直変換器、3は電流ポンプ又はキャパシタバンク切り換え、5は並列モニタ、6はキャパシタ蓄電装置、7は開閉器、8は負荷、Cはキャパシタを示す。
【0012】
図1において、キャパシタ蓄電装置6は、多数の直並列接続されるキャパシタCとそれら各キャパシタCに並列接続される並列モニタからなり、瞬時的な充放電が可能な蓄電装置である。キャパシタCは、例えば電気二重層キャパシタであり、並列モニタ5は、キャパシタCに並列に接続して充電電圧の検出及びバイパス制御を行うものである。交直変換器2は、電力受電系に接続されて交流と直流との変換を行いキャパシタ蓄電装置6の充放電を行うものであり、例えば電力受電系統とキャパシタ蓄電装置6との間に直列に挿入接続してキャパシタ蓄電装置6を充電する場合には交流から直流への変換モードに切り換え、キャパシタ蓄電装置6から放電する場合には直流から交流への変換モードに切り換える。電流ポンプ3は、キャパシタCの充放電電流を制御する電流型のスイッチングコンバータである。系統監視電力制御装置1は、負荷8に電力を供給する電力受電系統における停電や過渡電力の変動などを監視して、電力受電系統の状態に応じて交直変換器2の充放電切り換え制御を行うものである。なお、開閉器7は、停電時に負荷8に対してのみキャパシタ蓄電装置6を無停電電源として使用する場合に負荷8を電力受電系統から切り離すためのものである。
【0013】
上記構成において、系統監視電力制御装置1では、電力受電系統を監視しながら例えば次のような制御を行う。まず、電力受電系統が停電した場合には、開閉器7を開成し、交直変換器2を直流から交流への変換モードにして、キャパシタ蓄電装置6から電力負荷8に放電させる。電力系統が健全な場合は、電力の需給関係を監視して、過渡電力の変動に応じ、過渡電力の変動がなく電力受電系統が安定している場合には、キャパシタ蓄電装置6の充放電履歴や各キャパシタの充電電圧のバラツキ状態に応じて、交直変換器2を交流から直流への変換モードにして、充電或いは所定の初期化充電を行う。また、電力の需給関係を監視して、過渡電力の変動がある場合には、その変動に応じて交直変換器2の変換モードを制御してキャパシタ蓄電装置6の充放電を行う。
【0014】
上記のようにキャパシタ蓄電装置6の充放電を切り換え制御して過渡受電電力の制御や無停電電源の供給制御を行う場合、キャパシタは、電圧変化が、そのままでは50%つまり1/2電圧、あるいは75%つまり1/4電圧まで使うなどと変動幅が大きくなるので、交直変換器2の許容入出力変動の範囲がそれに見合って要求される。しかし、それほど電圧範囲の広い交直変換器2は、かえってコスト高だったりするので、図1に示すようにキャパシタ蓄電装置6において電流ポンプ(電流型のスイッチングコンバータ)3を直列に接続してキャパシタの電圧を一定にする仲介をさせてもよいが、大電力の場合には、電流ポンプ3を使用せず、後述するキャパシタバンクの切り換えを行って変動範囲を少なくしてもよいし、バンク切り換えでまだ残る変動分を小型の電流ポンプで埋めるなどの併用を行うようにしてもよい。つまり、電流ポンプとバンク切り換えは、交直変換器2の容量等に応じて適宜使い分けすればよいものである。
【0015】
図2は本発明に係る瞬時受電電力制御システムを採用した電力供給システムの例を示す図であり、11は電力系統、12はトランス、13は真空遮断器、14、18は一般負荷、15は発電機、16は瞬時受電電力制御システム、17は停電を許容しない負荷(以下、重要負荷という)、19は進相コンデンサを示す。
【0016】
図2において、一般負荷14、18及び重要負荷17は、電力系統11より給電される。発電機15は電力系統11に連系され受電電力をゼロにするように制御されている。しかし、負荷が変動すると発電機15には各種の遅れ要素が存在するために負荷変動に追従することができず、その結果受電点には、電力脈動が生じてしまう。該電力脈動を上記構成の本発明に係る瞬時受電電力制御システム16により吸収し受電電力をゼロにする。一般負荷18は、半導体変換器負荷等の高調波電流を流出する負荷であり、その高調波電流の一部は、容量性負荷である進相コンデンサ19に吸収されるが、吸収しきれない高調波電流は、電力系統11に流出することになる。平成6年に高圧又は特別高圧を受電する需要家の高調波ガイドラインが制定され、電力系統11に流出される高調波電流が規制されている。瞬時受電電力制御システム16は、アクティブフィルターとしても機能し、電力系統11に流出される高調波電流を規制値以内に制限する。さらに、瞬時受電電力制御システム16は、重要負荷17に対して無停電電源装置としても使用することが可能である。
【0017】
したがって、従来の電力供給システムでは、受電電力の脈動が生じていたが、本発明の瞬時受電電力制御システム16を設置することにより、受電電力の脈動を吸収し受電電力をゼロにすることができる。また、従来の進相コンデンサ19を設置しただけでは、進相コンデンサ19により吸収しきれない高調波電流が電力系統11に流出してしまうが、本発明の瞬時受電電力制御システム16がアクティブフィルターとしても機能することにより、電力系統11に流出する高調波電流を規制値以内に制限することができる。さらに、電力系統11に停電が発生しても重要負荷17には無停電で電力が供給される。
【0018】
上記瞬時受電電力制御システム16として、先に述べたように二次電池を採用する場合には、例えばNaS電池と同等な充放電効率と鉛電池と同等なエネルギー損失、1分間のバックアップ時間、1msの応答速度と、15年間に1.3億回に耐えるサイクル寿命が必要となり、現実的には不可能である。これに対し、キャパシタの場合には、ファラッド当たりの内部抵抗約2ΩFのものを用いると、キャパシタの効率90%を維持する最短充放電時間が1分間程度の短時間定格の性能が得られるので十分に目的を実現できる。なお、キャパシタ単セルを直列に接続して必要な電圧を得る場合に、キャパシタの均等充電を確保するためキャパシタセルに並列モニタは不可欠である。またこの場合に、使用するキャパシタ単セルの容量と必要とする設備容量との関係で、必要数を並列にすることを妨げるものではない。
【0019】
次に、キャパシタバンク切り換えを行う構成例について説明する。図3は本発明に係る瞬時受電電力制御システムに用いるキャパシタ蓄電装置の構成例を示す図であり、CA1〜CA3、CB1〜CB3はキャパシタ、SS、SA1〜SA3、SB1〜SB3はスイッチを示す。
【0020】
図3において、キャパシタCA1〜CA3とCB1〜CB3は、それぞれ同数ずつ直列接続した2組のキャパシタ群A、Bを構成するものである。なお、それぞれのキャパシタCA1〜CA3、CB1〜CB3は、複数個を直列あるいはそれをさらに並列に接続したバンクであってもよい。スイッチSSは、2組のキャパシタ群A、Bを直列接続する直列接続スイッチ手段である。スイッチSA1〜SA3は、一方のキャパシタ群AとスイッチSSとの直列接続点▲1▼を他方のキャパシタ群Bの直列接続他端▲3▼及びそれぞれのキャパシタCB1〜CB3の直列接続点に接続する、一方のスイッチ手段群であり、スイッチSB1〜SB3は、他方のキャパシタ群BとスイッチSSとの直列接続点▲2▼を一方のキャパシタ群Aの直列接続他端▲4▼及びそれぞれのキャパシタの直列接続点に接続する、他方のスイッチ手段群である。
【0021】
次に、切り換え接続を説明すると、図3(A)に示すようにスイッチSSのみをオンにすることにより、図3(D)に示すようにキャパシタCA1〜CA3、CB1〜CB3を直列接続とし、図3(B)に示すようにスイッチSSをオフにして一方のスイッチ手段群のスイッチSA3及びこれに対応する他方のスイッチ手段群のスイッチSB3をオンにすることにより、図3(E)に示すように一方のキャパシタ群Aの中央側接続キャパシタCA3と他方のキャパシタ群Bの中央側接続キャパシタCB3とを並列接続とする。同様に、図3(C)に示すように一方のスイッチ手段群のスイッチSA2及びこれに対応する他方のスイッチ手段群のスイッチSB2をオンにし、他のスイッチは全てオフにすることにより、図3(F)に示すように一方のキャパシタ群Aの中央側接続キャパシタCA3、CA2の直列回路と他方のキャパシタ群Bの中央側接続キャパシタCB3、CB2の直列回路とを並列接続とする。さらに、一方のスイッチ手段群のスイッチSA1及びこれに対応する他方のスイッチ手段群のスイッチSB1をオンにし、他のスイッチは全てオフにすることにより、図3(G)に示すように一方のキャパシタ群AのキャパシタCA1〜CA3の直列回路と他方のキャパシタ群BのキャパシタCB1〜CB3の直列回路とを並列接続とする。
【0022】
上記のように一方のスイッチ手段群のいずれか1つのスイッチSA1〜SA3及びこれと反対側の他方のスイッチ手段群のスイッチSB1〜SB3又はスイッチSSのいずれかを選択的に接続して、図3(D)〜(G)のように複数のキャパシタCA1〜CA3、CB1〜CB3の接続を切り換え制御すると、電圧を調整し充放電に伴う電圧の変動を押さえることができる。
【0023】
例えば図3(D)に示すようにキャパシタCA1〜CA3、CB1〜CB3を全て直列に接続して充電を開始する場合には、充電側の端子電圧が所定値まで上昇すると、図3(E)に示す接続に切り換えることにより、キャパシタCA3、CB3の電圧分低下させる。さらに充電により再び充電側の端子電圧が所定値まで上昇すると、図3(F)、(G)に示す接続に順次切り換えることにより、充電側の端子電圧を所定値より上昇しないように押さえることができる。
【0024】
また、図3(G)に示す接続から放電を開始し負荷に給電を行う場合には、出力電圧が所定値まで低下すると、図3(F)に示す接続に切り換えることにより出力電圧の低下を補い、さらに出力電圧が所定値まで低下すると、図3(E)、(D)に示す接続に切り換えることにより、出力電圧を所定値より低下しないように押さえることができる。
【0025】
しかも、充放電の際の全電流を負担するのは、キャパシタCA1〜CA3、CB1〜CB3を全て直列に接続するスイッチSSのみであり、その他のスイッチSA1〜SA3、SB1〜SB3は、全電流の1/2の電流容量ですむ。さらに、いずれの段階でもキャパシタに直列に接続されるスイッチは1個だけとなるので、スイッチに半導体を用いたときに問題となるスイッチのオン電圧による損失も最小限にできる。
【0026】
図4は直並列切り換え回路を有するキャパシタ蓄電装置の他の実施の形態を示す図であり、CM、CA1〜CAn、CB1〜CBnはキャパシタ、SA、SBは切り換えスイッチ、SS1、SS2、SSA1〜SSA3、SSB1〜SSB3は制御整流素子、SD1、SD2、SDA1〜SDA3、SDB1〜SDB3は整流素子、A1は制御回路、21は充電回路、22は出力制御回路、23は負荷を示す。
【0027】
図4(A)において、キャパシタCMは、負荷の定格電圧の範囲で充放電される出力用の主キャパシタバンクであり、キャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnは、負荷電圧の許容変動幅の範囲で電圧調整用に充放電される調整用キャパシタとして、キャパシタCMに直列接続され、直並列接続の切り換えにより電圧の調整を行うものである。切り換えスイッチSA、SBは、キャパシタCMに直列に接続したキャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnを2組のキャパシタ群に分けて直並列接続の切り換えを行うものである。
【0028】
制御回路A1は、キャパシタCMにおける充放電状態(端子電圧)を検出し、その充放電状態に応じて切り換えスイッチSA、SBを制御してキャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnの直並列接続の切り換えを行う制御手段である。切り換えスイッチSA、SBは、この制御回路A1によりキャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnが全て直列接続となる実線のポジションから一方のキャパシタ群AのキャパシタCA1〜CAnの直列回路と他方のキャパシタ群BのキャパシタCB1〜CBnの直列回路とが並列接続となる点線のポジションまで段階的に切り換え制御される。
【0029】
充電回路21は、電源よりキャパシタCM、CA1〜CAn、CB1〜CBnに定電流充電するものであり、キャパシタCMに直列接続されたキャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnの直並列接続の切り換えが段階的に制御され、最終的に一方のキャパシタ群AのキャパシタCA1〜CAnの直列回路と他方のキャパシタ群BのキャパシタCB1〜CBnの直列回路とが並列接続され定格電圧まで充電されて充電を終了する。出力制御回路22は、例えば既に知られた電流ホンプのようにキャパシタCM、CA1〜CAn、CB1〜CBnから負荷23に供給する電流を制御、調節したり、負荷23から逆に電流源(充電回路)としてキャパシタCM、CA1〜CAn、CB1〜CBnを充電する、つまり負荷23が発電機となる回生制動の場合の切り換えを行ったりするものである。したがって、出力制御回路22としては、電子スイッチや、降圧チョッパ、昇圧チョッパ、その他のDC/DCコンバータが用いられるが、キャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnの接続切り換えの制御により、負荷23から見て調整の必要のない範囲に電圧が安定化される場合には省くこともでき、特に必要不可欠な構成要素というものではない。勿論、キャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnの接続切り換えの制御により、電圧変動範囲が小さくなれば、これとコンバータを組み合わせることにより、コンバータを高効率に設計でき、電圧安定性の高い電源を実現することもできる。
【0030】
切り換え回路を構成するスイッチSA、SBは、図4(B)に示すようにサイリスタなどの半導体からなる単方向の制御整流素子SS1、SS2、SSA1〜SSA3、SSB1〜SSB3とダイオードからなる整流素子SD1、SD2、SDA1〜SDA3、SDB1〜SDB3との逆並列回路を用いることができる。このうち、少なくとも一方のキャパシタ群Aの直列接続1端と他方のキャパシタ群Bの直列接続他端との間を接続する回路は、制御整流素子SSA1と整流素子SDA1により構成し、他方のキャパシタ群Bの直列接続1端と一方のキャパシタ群Aの直列接続他端との間を接続する回路は、制御整流素子SSB1と整流素子SDB1により構成する。そして、放電方向の整流素子SDA1、SDB1には逆方向(充電方向)の制御整流素子SSA1、SSB1を並列接続する。これ以外の回路には、充電方向の制御整流素子SS2、SSA3、SSB3と逆方向の制御整流素子SS1、SSA2、SSB2とを直列接続し、それぞれに逆方向の整流素子SD2、SDA3、SDB3、整流素子SD1、SDA2、SDB2を並列接続する。勿論、これらの回路としては、サイリスタ(制御整流素子)を逆並列接続した回路やトライアック(双方向制御整流素子)を接続した回路でもよい。
【0031】
上記のようにサイリスタやトライアック、ダイオードを組み合わせて切り換え回路を構成することにより、突入電流に強く、長時間でのオンロス、ゲートロスを少なくすることができる。しかも、接続の切り換え時に主極にキャパシタの電圧が逆バイアスとして加わるので、ターンオフの制御が特別に必要でなくなり、ゲート制御回路を簡素化することができる。例えば図4(B)の回路において、充電時には、制御整流素子SS2のみをオンにし他の全てをオフにした状態からスタートする。そして、充電が進むに従ってまず制御整流素子SSA3、SSB3をオンにすることにより、制御整流素子SS2が逆バイアスでオフになる。次に制御整流素子SSA1、SSB1をオンにすることにより、制御整流素子SSA3、SSB3が逆バイアスでオフになる。放電時には、制御整流素子を全てオフにした状態から整流素子SDA1、SDB1が導通して放電をスタートし、制御整流素子SSA2、SSB2をオンにし、次に制御整流素子SS1をオンにすることにより、キャパシタCA1〜CAn、CB1〜CBnを全て直列接続するまで切り換え制御することができる。
【0032】
図5は直並列切り換え回路を有するキャパシタ蓄電装置のさらに他の実施の形態を示す図であり、コンデンサ電池を電圧の低下にしたがって並列接続から直列接続に切り換えるものである。この蓄電装置では、既に本発明者が提案しているものであって(特開平11−215695号公報参照)、例えば図5(A)に示すコンデンサ電池C1、C2の直並列切り換え回路を、図5(B)に示すようにさらに多段に縦続接続し充放電状態に応じ段階的に切り換え制御すると、段数に見合って電圧の変動幅を小さくすることができる。この場合には、並列接続から直列接続に切り換える際、コンデンサ電池C1、C2の電圧が不均一になっていると、コンデンサ電池C1とC2との間で大きなクロスカーレントが流れるので、図5(C)に示すようにこのようなクロスカーレントを防ぐための保護回路A1、A2、それに対応できるスイッチング素子Q1〜Q3が必要になる。
【0033】
多数の電気二重層キャパシタ単セルを直列に接続した場合、個々のキャパシタに着目すると、その分担電圧は、その静電容量と漏れ電流のばらつきによって時間の経過と共に不均一になっていく、そこに充電すると静電容量に反比例して充電が追加され、さらに漏れ電流のばらつきによって放電する。こうしてキャパシタの負担電圧は、最終的に漏れ電流に比例した電圧に落ちつく。漏れ電流を定量的に品質管理し少ないばらつき例えば10%未満に抑えるのは困難であり、通常は2倍以上のばらつきが生じ、負担電圧が高いものから劣化していく。そこで、最悪のばらつきを考慮して各キャパシタが耐えられるほどの低い負担電圧で我慢しないと、キャパシタの劣化を招き本来の高い信頼性が得られなくなる。並列モニタ、さらに並列モニタを使用したキャパシタの初期化は、上記のような負担電圧が無制限にばらつくのを防ぐことができ、きわめて有効である。次に、並列モニタを使用したキャパシタ蓄電装置の初期化について説明する。
【0034】
図6は初期化用と満充電検出用に別々のコンパレータを有する並列モニタの構成例を示す図である。図中、31は充電器、32、33はコンパレータ、34、35はオアゲート、Cはキャパシタ、Dはダイオード、Rsは抵抗、Trはトランジスタ、S1は初期化スイッチ、Vful 、Vini は設定電圧を示す。
【0035】
図6において、並列モニタは、初期化用と満充電検出用に別々のコンパレータ32、33を有する。初期化用のコンパレータ32は、第1の設定電圧Vini で充電電流をバイパスするようにキャパシタCに並列接続したトランジスタTrを動作させるものである。満充電検出用のコンパレータ33は、第1の設定電圧Vini より高い初期化終了を判定する第2の設定電圧Vful を検出する電圧検出手段として用いるものである。トランジスタTrと抵抗Rは、キャパシタCの初期化を行う際に、キャパシタCの端子電圧が設定電圧Vini 以上になると充電電流のバイパス回路を構成し、そのバイパス電流を制限する、つまり充電電流の一部をバイパスするものであり、その電流を設定するのが抵抗Rである。初期化スイッチS1は、キャパシタCの初期化動作のオン/オフを行うものであり、初期化モードが選択されたときオンにする。
【0036】
充電器31は、直列接続された複数のキャパシタCに対する充電を行うものであり、いずれかのキャパシタCから満充電電圧が検出されたことを条件に充電を停止する。また、充電器31は、初期化充電を行う場合、初期化スイッチS1をオンにして充電を開始し、各キャパシタの初期化用のコンパレータ32の出力Bをオア論理処理して取り出すことにより、複数のキャパシタのうちのいずれかで充電電流のバイパス動作が開始したことを判定し、満充電検出用のコンパレータ33の出力Fをオア論理処理して取り出すことにより、複数のキャパシタのうちのいずれかが満充電に達したことを判定して、初期化充電を終了する。オアゲート34は、コンパレータ32のバイパス動作信号Bをオア論理処理するものであり、オアゲート35は、コンパレータ33の満充電検出信号Fのオア論理処理を行って充電器31に定電流充電の停止信号とするものである。
【0037】
したがって、設定電圧Vful がキャパシタの満充電電圧に、設定電圧Vini が設定電圧Vful より低い電圧にそれぞれ設定される。そして、初期化スイッチS1がオンのときの充電では、早く設定電圧Vini まで充電されたキャパシタより順次トランジスタTrと抵抗Rからなるバイパス回路により充電電流の一部がバイパスされて充電速度を落とし、いずれかのキャパシタが満充電になると、充電器31により定電流による充電を停止し、必要に応じて緩和充電を行う。
【0038】
次に、充放電時の動作及び本発明で行う初期化について説明する。図7はキャパシタの使い方に見る充放電のスタイルと初期化のポイントの例を示す図、図8は初期化時の充電カーブと通常の充放電カーブの例を示す図である。
【0039】
初期化を行うことのできる時期を充放電トレースの上で示したのが図7である。キャパシタに並列に設けたダイオードを利用して初期化を行う▲1▼、1つのコンパレータにより満充電で初期化を行う▲2▼、使いながら充電の途中で少しずつ初期化を行う▲3▼、使いながら放電中に初期化を行う▲4▼、使いながら充放電をしていないときに初期化を行う▲5▼など、幾つもの初期化のポイントがある。一般化していえば、いつも満充電状態で停電を待機するパソコン用無停電電源、8分目で電圧変動率改善など少電力出入と停電待機に対応可能とする無停電電源、いつも充放電サイクルにある太陽電池による常夜灯など、用途に応じていずれか、あるいはその幾つかを実行できるように並列モニタを制御すれば、広汎な用途、動作条件に対応できる。
【0040】
本発明では、使用する並列モニタに図6で示したように初期化用と満充電検出用に別々にコンパレータを用い、これらの制御と電圧の設定値を変え、▲5▼のような充放電をしていないときに初期化を行う。この場合、充放電をしていないときとして、例えば大電流の充放電状態にないこと、充電レベルVnが一定の範囲内に入っていること、所定以上のバラツキがあることを初期化条件として初期化信号Sをオンにし、同時に初期化専用の充電を開始する。平常の充電レベル、つまり充放電の制御中心値Vnと初期化の設定電圧Vini ×直列接続されたキャパシタセルの数nとの関係は、コンパレータの誤差やバラツキを見込んでVnの方が少し低くなるように設定する。つまり、Vnの方が低目にしないと、初期化がほとんど完了した状態で無駄に初期化電流が消費され、あまり大幅に低くすると初期化が完了しても電圧が完全に揃わないことになるからである。
【0041】
キャパシタのバラツキは、満充電信号Fが出力されたときの充電レベルで判定する。例えば使いはじめで初期化が済んでいない段階では、蓄電容量は100%ではなく、バラツキが大きいほど蓄電容量が少ない段階で満充電信号Fが出力される。したがって、その時の充電レベルが満充電の設定電圧Vful ×nに比べてどれほど低いかによって、初期化の不完全な程度(バラツキの程度)を判定することができる。この判定は、設定電圧Vini の充電レベルにおいても同様に可能である。つまり、キャパシタのいずれかが所定の充電電圧に達したときの全充電電圧がその所定の充電電圧のn倍と比較すると、その差によりバラツキの程度を判定することができる。この初期化では、バラツキが大きいほど少なくとも1個の並列モニタのバイパスが始まったことをバイパス動作信号Bで検出してから満充電信号Fが検出されるまでの時間が長くなり、バイパストランジスタTrの発熱が大きくなる。このようなバイパストランジスタTrの発熱が好ましくない場合、バイパス動作信号Bで検出してから一定の時間経過すると、一旦初期化をオフにして冷却時間を設け、オンオフ(間欠動作)をさせるようにしてもよいし、初期化専用の充電電流を小さくしてもよい。また、発熱の程度を判断しながら、初期化電流を調整信号ADで調整してもよい。
【0042】
上記のように充放電をしていないときに初期化を行うようにすることにより、特に、ハイブリッド電気自動車に使用する場合、初期化の最中にブレーキやアクセルが踏まれて大電流の充放電が始まると、初期化条件を解除して初期化信号Sをオフにすることができる。この場合、初期化が不完全であると、蓄電容量が100%活用できないが、それなりのレベルで使用できるので、次に初期化条件が整ったときにまた初期化を行えばよい。
【0043】
キャパシタが全放電あるいは電圧ゼロで初期化された状態から一定電流で充電(定電流充電)を開始すると、初期化モードが選択されていない状態、つまり初期化スイッチS1がオフの状態では、充電電流のバイアス回路が動作しないので、図8の左端に示すA、Bのように容量の差に応じた傾斜で電圧が上昇する。そして、直列に接続されているキャパシタの1つ、例えば容量の小さい方のキャパシタCA がt1で設定電圧Vful に達すると、コンパレータ33の満充電検出信号Fが「H」になるので、オアゲート35の出力信号Sが「H」になって、充電器31は、定電流充電を停止させる。この状態では、キャパシタAの端子電圧がキャパシタ内部の自己充電や自己放電などによって設定電圧Vful を割り込むと、信号Fが「L」になり再度充電が開始されるので、t1以降は一定電圧に維持される緩和充電の状態が続く。
【0044】
次に、時間t2で放電してキャパシタに蓄積した電力を利用し、時間t3で放電を停止したとき、初期化の条件を満たしていることにより初期化充電を行う場合には、初期化スイッチS1をオンにして充電を開始する。その後、先に説明したように例えばいずれかのキャパシタの端子電圧が設定電圧Vini に達したt4から一定時間(t5−t4=td)を初期化ペリオドとして初期化充電を実行し、時間t5で初期化終了として初期化スイッチS1をオンにする。その後さらに、いずれかのキャパシタの端子電圧が設定電圧Vful に達する(満充電になる)まで通常の充電を実行すると時間t6で充電が最終的に終了するが、初期化終了の時間t5で充電を終了させてもよいし、初期化充電を中断して電力を利用するために放電した場合には、その放電を停止した後に初期化充電を再実行させるようにしてもよいことは先にも説明したとおりである。
【0045】
初期化ペリオドでは、バイパス回路がオンになると、それらに流れる電流だけキャパシタの端子電圧の上昇が遅くなる。トランジスタTrに直列に挿入接続した抵抗Rがゼロであれば、端子電圧は設定電圧Vini より上昇しないが、ここでは充電電流を、例えば半分バイパスする程度に抵抗Rの値を選定し、電圧の上昇するスピードを半分にしておくことにより、端子電圧はなお上昇を続ける。
【0046】
このようにt4で設定電圧Vini に達したキャパシタCA と、遅れてt5で設定電圧Vini に達するキャパシタCB では、t1とt6における電圧を比較すると明らかなようにそれまで低かったキャパシタCB の満充電時(充電停止時)の端子電圧が増大してキャパシタCA の端子電圧に近づくことになる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態では、直並列切り換え回路を有するキャパシタ蓄電装置の例を示して説明したが、他の形態の直並列切り換え回路を有するものであってもよいし、直並列切り換え回路を有するものでなくても、電流ポンプやキャパシタバンク切り換えは、交直変換器に適宜個別に選択、併用してもよいものであることはいうまでもない。また、瞬時受電電力制御を行うと共に無停電電源として動作させるようにしたが、併せて力率改善を目的として動作させるようにしてもよいし、これらのいずれかの組み合わせを採用して動作させたり、瞬時受電電力制御、無停電電源、力率改善のいずれかの用途に限定して動作させるようにしてもよい。さらに、電力受電系統を監視してして交直変換器をキャパシタ蓄電装置に直列に接続して充放電を切り換えるようにしたが、図1に示した交直変換器2として、電力受電系統に整流器又は交直変換器ー交直変換器を直列に接続し、その直列接続点にキャパシタ蓄電装置を接続して平常時も非常時もインバータを動かして電力を供給し、充放電の切り換えはインバータ可逆動作で行う、いわゆる常時インバータ方式を採用してもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、キャパシタ蓄電装置を電力受電系統に接続し受電電力の制御を行う瞬時受電電力制御システムであって、複数のキャパシタからなり該キャパシタのそれぞれに並列に接続して充電電圧の検出及びバイパス制御を行う並列モニタを有するキャパシタ蓄電装置と、電力受電系統に接続されて交流と直流との変換を行いキャパシタ蓄電装置の充放電を行う交直変換装置と、交直変換装置及び停電を許容しない負荷に対する電力受電系統の接続の切り離しを行う開閉器と、電力受電系統を監視して交直変換装置及び開閉器の制御を行う系統監視電力制御装置とを備え、並列モニタは、キャパシタの充電電流の一部をバイパスするトランジスタと抵抗からなるバイパス回路、キャパシタの充電電圧を第1の設定電圧と比較する第1のコンパレータ、初期化モードが選択されたときオンにする初期化スイッチ、及びキャパシタの充電電圧を第1の設定電圧より高い第2の設定電圧と比較する第2のコンパレータを有し、充電時の第2のコンパレータの出力と端子電圧に基づき各キャパシタの充電電圧のバラツキの程度を判定しバラツキが大きい場合に初期化充電を行い、初期化スイッチをオンにして第1のコンパレータの出力によりキャパシタの充電電圧が第1の設定電圧以上になるとトランジスタを動作させ、第2のコンパレータの出力によりキャパシタの充電電圧が第2の設定電圧以上になると初期化終了を判定し、系統監視電力制御装置は、電力受電系統より給電される停電を許容しない負荷を含む複数の負荷の変動に応じ交直変換装置を制御してキャパシタ蓄電装置の充放電を行うと共に、電力受電系統の停電時に開閉器を制御して交直変換装置及び停電を許容しない負荷に対する電力受電系統の接続の切り離しを行い交直変換装置を制御してキャパシタ蓄電装置から停電を許容しない負荷に給電するので、受電電力の脈動を吸収し電力系統に流出する高調波電流を規制値以内に制限することができ、無停電電源として使用することもできる。
【0049】
さらに、キャパシタ蓄電装置は、蓄電状態に応じてキャパシタの直並列の接続切り換えを行う切り換え回路を有し、キャパシタ蓄電装置と交直変換装置との間に直列に充放電電流を制御する電流ポンプを接続し、系統監視電力制御装置は、電力の需給関係を監視して過渡電力の変動に応じてキャパシタ蓄電装置の充放電を行うように交直変換装置の制御を行い、電力受電系統が過渡電力の変動のない安定時にキャパシタ蓄電装置に対して所定の初期化充電を行うので、短時間に大電流、大電力を授受でき、受電電力をゼロにし高調波を相殺するアクティブフィルタの機能を備えたシステムを提供することができる。
【0050】
本発明によれば、電力貯蔵手段としてキャパシタを用いているので、電力貯蔵手段の交換回数を削減することが可能であり、実用的な瞬時受電電力制御システムを提供することができる。また、電力貯蔵手段の交換回数を削減することによって電力貯蔵手段の交換費用を削減することができる。
【0051】
従来の技術では、受電電力の電力脈動を制限する瞬時受電電力制御システム、高調波電流を相殺するアクティブフィルターと無停電電源装置が別々の装置であったために、設置する設備全体が大規模になって広い設置面積と高額の設置費用を要するなど多くの改善すべき課題を要していた。本発明においては、受電電力の電力脈動を制限する瞬時受電電力制御システムがアクティブフィルター及び無停電電源装置として機能することになり、低コストであり、スペースメリットが確保でき、設置費用が削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る瞬時受電電力制御システムの実施の形態を示す図である。
【図2】 本発明に係る瞬時受電電力制御システムを採用した電力供給システムの例を示す図である。
【図3】 本発明に係る瞬時受電電力制御システムに用いるキャパシタ蓄電装置の構成例を示す図である。
【図4】 直並列切り換え回路を有するキャパシタ蓄電装置の他の実施の形態を示す図である。
【図5】 直並列切り換え回路を有するキャパシタ蓄電装置のさらに他の実施の形態を示す図である。
【図6】 初期化用と満充電検出用に別々のコンパレータを有する並列モニタの構成例を示す図である。
【図7】 キャパシタの使い方に見る充放電のスタイルと初期化のポイントの例を示す図である。
【図8】 初期化時の充電カーブと通常の充放電カーブの例を示す図である。
【図9】 初期化制御の例を説明するための図である。
【図10】 初期化処理の例を説明するための図である。
【図11】 バラツキの判定処理の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…系統監視電力制御装置、2…交直変換器、3…電流ポンプ、5…並列モニタ、6…キャパシタ蓄電装置、7…開閉器、8…負荷、C…キャパシタ
Claims (5)
- キャパシタ蓄電装置を電力受電系統に接続し受電電力の制御を行う瞬時受電電力制御システムであって、
複数のキャパシタからなり該キャパシタのそれぞれに並列に接続して充電電圧の検出及びバイパス制御を行う並列モニタを有するキャパシタ蓄電装置と、
電力受電系統に接続されて交流と直流との変換を行いキャパシタ蓄電装置の充放電を行う交直変換装置と、
前記交直変換装置及び停電を許容しない負荷に対する前記電力受電系統の接続の切り離しを行う開閉器と、
前記電力受電系統を監視して前記交直変換装置及び前記開閉器の制御を行う系統監視電力制御装置と
を備え、
前記並列モニタは、前記キャパシタの充電電流の一部をバイパスするトランジスタと抵抗からなるバイパス回路、前記キャパシタの充電電圧を第1の設定電圧と比較する第1のコンパレータ、初期化モードが選択されたときオンにする初期化スイッチ、及び前記キャパシタの充電電圧を前記第1の設定電圧より高い第2の設定電圧と比較する第2のコンパレータを有し、充電時の前記第2のコンパレータの出力と端子電圧に基づき各キャパシタの充電電圧のバラツキの程度を判定し前記バラツキが大きい場合に初期化充電を行い、前記初期化スイッチをオンにして前記第1のコンパレータの出力により前記キャパシタの充電電圧が前記第1の設定電圧以上になると前記トランジスタを動作させ、前記第2のコンパレータの出力により前記キャパシタの充電電圧が前記第2の設定電圧以上になると初期化終了を判定し、
前記系統監視電力制御装置は、前記電力受電系統より給電される前記停電を許容しない負荷を含む複数の負荷の変動に応じ前記交直変換装置を制御して前記キャパシタ蓄電装置の充放電を行うと共に、前記電力受電系統の停電時に前記開閉器を制御して前記交直変換装置及び前記停電を許容しない負荷に対する前記電力受電系統の接続の切り離しを行い前記交直変換装置を制御して前記キャパシタ蓄電装置から前記停電を許容しない負荷に給電することを特徴とする瞬時受電電力制御システム。 - 前記キャパシタ蓄電装置は、蓄電状態に応じてキャパシタの直並列の接続切り換えを行う切り換え回路を有することを特徴とする請求項1記載の瞬時受電電力制御システム。
- 前記キャパシタ蓄電装置と前記交直変換装置との間に直列に充放電電流を制御する電流ポンプを接続したことを特徴とする請求項1記載の瞬時受電電力制御システム。
- 前記系統監視電力制御装置は、電力の需給関係を監視して過渡電力の変動に応じて前記キャパシタ蓄電装置の充放電を行うように前記交直変換装置の制御を行うことを特徴とする請求項1記載の瞬時受電電力制御システム。
- 前記系統監視電力制御装置は、前記電力受電系統が過渡電力の変動のない安定時に前記キャパシタ蓄電装置に対して所定の初期化充電を行うことを特徴とする請求項1記載の瞬時受電電力制御システム。
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