JP4189699B2 - アディティブ法プリント配線板用接着剤及びそれを用いたプリント配線板 - Google Patents

アディティブ法プリント配線板用接着剤及びそれを用いたプリント配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性及び絶縁信頼性に優れたアディティブ法プリント配線板用接着剤およびそれを用いたアディティブ法プリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】
アディティブ法プリント配線板は、絶縁基板の表面に接着剤を塗布し接着剤表面を化学的に粗化し、無電解めっきで必要な配線パターンを形成するものである。例えば、絶縁基板上にめっき触媒を含有する接着剤層をディプコートまたはカーテンコート等を用いて形成し、次いで、100℃〜150℃の温度で10分〜60分乾燥して接着剤中に含まれる溶剤を蒸発させると同時に接着剤を仮硬化させる。さらに、140℃〜190℃の温度で20分〜90分加熱して硬化させる。次いで、回路形成部以外をめっきレジストでマスクし、無電解めっき銅との接着力を向上するための前処理としてクロム−硫酸などの酸化性エッチング液で回路形成部の接着剤表面を選択的に化学粗化する。その後、中和及び水洗工程を経て無電解めっき液に浸漬し、回路部に銅を析出させて配線パターンを形成する。このようなアディティブ法プリント配線板用接着剤としては、一般にめっき銅との接着性が良いアクリロニトリルブタジエンゴムを主成分とし、かつ耐熱性を確保するためにアルキルフェノール樹脂でアクリロニトリルブタジエンゴムを架橋し、また電気特性を確保するためにエポキシ樹脂を配合する。 さらに、接着剤塗膜の補強や化学粗化時の接着剤凹凸増加のために、無機充填剤などを配合した接着剤が提案されてきた。 このような接着剤に関する技術を開示するものとしては、特公昭48−24250号公報、特公昭45−9843号公報、特公昭55−16391号公報、特公平1−53910号公報等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子機器の小型化、多機能化に伴い、プリント配線板はより配線密度を増す必要が生じており、配線幅の細線化が急激に進行している。このような背景から、回路導体を支える接着剤は、耐熱性及び絶縁性が重要な特性となりつつある。
この接着剤は膜厚が10〜50μmと薄いことから材料として耐熱性や絶縁信頼性を高めた組成設計が必要である。また、接着剤硬化過程で、170℃以上の高温雰囲気下で1時間以上の熱を与えることは基板の寸法変化やそり発生の点から好ましくなく、低温・短時間硬化の必要性が高まっている。 さらに必要であれば、熱硬化性樹脂材料としてビスマレイミド化合物を用いることは高耐熱性を与える熱硬化材料として有用である。その硬化反応としては不飽和基の開裂を利用した二量化反応、活性アミン化合物のマイケル付加による架橋反応が実用化されている。文献としては例えば三田達監修、「最新耐熱性高分子」、42頁、ビスマレイミド樹脂(総合技術センター社;昭和62年5月発行)が挙げられる。特に絶縁基板、積層板分野としてはエポキシ樹脂その他の改質材料とビスマレイミド化合物との組み合わせがイミド系積層材料として各社から製品化がなされている。本材料はその優れた耐熱性を生かしてスーパーコンピュータ、航空機用配線板等高信頼性を要求される分野への適用がなされている。 しかしながらビスマレイミド化合物に含まれる二重結合は反応性が低く、その熱硬化には高温、長時間の加熱が必要であった。このためパーオキシド等のラジカル発生剤を併用するのが通例であるがそれでもなお高温、長時間の硬化処理が必要であるために、基板のそりや寸法収縮の点で好ましくなかった。 一方、従来の熱硬化性材料を用いて光硬化性を付与する試みとしてはエポキシ樹脂と光カチオン発生剤との組み合わせが従来より知られている。しかし本系は光感度が低く、その硬化には多量の光照射が必要であるとともに反応も十分ではない。そのため熱硬化によって得られる物性からは大きく見劣りする物性の硬化物しか得られないというのが実状であった。このため本技術はその発表から時間を経過しているにも関わらず、特に精密な像形成を必要とする分野への本格的適用例はごく限られていた。 ビスマレイミド化合物に関してはその反応性の低さより光開始剤系との組み合わせによって重合、二量化反応を行わすことはほとんどなく、単なる熱硬化性成分として光硬化系に添加するやりかたが取られてきた。このように熱硬化性材料、特にビスマレイミド系材料の硬化反応は熱硬化反応、光硬化反応共に問題があり、積層板、印刷配線板用基材分野ではイミド系積層材料としての利用の他には応用展開があまり図られてこなかったというのが実状である。
本発明の目的は、従来の熱硬化性材料のうち特にビスマレイミド化合物の高耐熱性を生かしつつ、硬化性の改善と同時に光硬化性を付与した耐熱性及び絶縁信頼性に優れたアディティブ法プリント配線板用接着剤及びそれを用いたアディティブ法プリント配線板を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、絶縁基板に接着剤を塗布し、接着剤表面を化学的に粗化し、必要な箇所のみ無電解めっきによって回路形成するアディティブ法プリント配線板において、接着剤に(A)ビスマレイミド化合物、(B)他の樹脂成分、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物を含む熱又は光によって硬化可能なアディティブ法プリント配線板用接着剤である。
【0005】
【化3】
Figure 0004189699
【0006】
【化4】
Figure 0004189699
【0007】
また、本発明は、接着剤が(A)ビスマレイミド化合物5〜90重量%、(B)他の樹脂成分10〜95重量%及び(A)と(B)の合計100重量部に対し、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物0.1〜30重量部を含むアディティブ法プリント配線板用接着剤である。そして、(B)他の樹脂成分が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル樹脂、ゴム、分子内に不飽和結合を有する樹脂の中から選ばれる1種類以上であると好ましいものである。 更に、本発明は、絶縁基板に上記の接着剤を塗布し、接着剤表面を化学的に粗化し、必要な箇所のみ無電解めっきによって回路形成したアディティブ法プリント配線板である。
【0008】
【発明の実施の形態】
発明者らはビスマレイミド系材料を低温で硬化させる検討を行う過程で、従来取られてきた硬化促進手段、即ちパーオキサイドの添加によって硬化反応を促進させる方法とは異なる様式でビスマレイミド化合物の硬化反応を促進し、その結果、硬化開始温度を劇的に下げられることを見いだすと同時に本硬化系がそのまま光硬化系としても作用するということを発見し、本発明に至ったものである。即ち、本発明は絶縁基板に接着剤を塗布し、接着剤表面を化学的に粗化し、必要な箇所のみ無電解めっきによって回路形成するアディティブ法プリント配線板において、接着剤に(A)ビスマレイミド化合物、(B)他の樹脂成分、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物を含む熱又は光によって硬化可能なアディティブ法プリント配線板用接着剤である。
【0009】
ビスマレイミド化合物の硬化反応では通常170℃から220℃まで硬化温度を上げることが必要である。これは、これより低い温度ではビスマレイミドの開環、架橋が不十分であるためである。特にビスマレイミド化合物単独では高い温度が必要であり、硬化時間も長時間を必要とする。これに対し、硬化を促進する目的でパーオキシドを添加することが一般的に広く行われているが、架橋効率の改善が主な目的であり、例えば100℃以下での低温硬化が達成出来るわけではない。このため、用いるパーオキシドは分解温度が高いものが選択され、熱硬化反応そのものは170℃以上で行うのが通例である。それに対し本発明者らはビスマレイミド化合物に対し式(1)、式(2)で示されたような構造を有するアクリジン化合物が従来より低い温度で発熱反応により容易に架橋することを見いだした。 ある種のアクリジン化合物はラジカル重合系の光開始剤としても知られている。例えば特開昭5−224413号にはα−ω−ジ−9−アクリジルアルカンと不飽和化合物が高感度な光重合系となることが開示されている。ここで用いられている不飽和化合物はアクリルモノマーのような室温で容易に重合を行うことが可能な高活性不飽和結合を有したものである。一般にビスマレイミドに含まれる不飽和結合は高温での直開裂による二量化反応のみであり、光重合系としては適さない。光照射によって架橋反応を起こすことは極めて困難であり、多くの光照射を要するため実用的ではない。 しかし本発明のアクリジン化合物とビスマレイミド化合物からなる系では高感度での光硬化が可能である。また、光照射によっても主として光を吸収するアクリジン化合物の大部分はまだそのままの状態で系中に残存している。従って光硬化後もなお熱硬化反応を続行することが可能である。
本材料系のこの性質を利用すれば、ビスマレイミド系化合物の低温硬化という有用な特徴に加え、光硬化反応をも利用した2段硬化反応系への適用という第二の特徴を指摘できる。本発明の新規な硬化系は従来の光硬化系や熱硬化系とは全く異なる組み合わせによって発現されるため、逆に従来用いられてきた反応系をそのまま併用することが可能である。例えば、ビスマレイミド系化合物と他の樹脂成分を用いることが可能である。これには従来熱硬化性ビスマレイミド樹脂の改質で行われてきた手法がそのまま適用可能である。
また、光硬化性に関しては従来光重合系で適用されてきた種々の組み合わせを本発明の樹脂系と併用して用いることが可能である。これは前述したようにビスマレイミド化合物が従来の光重合系の中では反応性が極めて低く実質的に不活性であることから可能である。 このように本発明による硬化性樹脂組成物は基本的な性質として光硬化性、熱硬化性、低温硬化性という特徴を保持したまま更にいろいろの性質を加えることが可能であり、極めて応用が広い。 本材料系でこのような性質が発現する理由は明確ではないが、ビスマレイミド化合物が電子密度が低いアクセプタとしての性質を有していること及びアクリジン化合物が基底状態及び光励起状態で強いドナー性を示すことからこれら両者によって電荷移動錯体を一例とした活性種が比較的低温で形成され、そのことによって低温熱硬化性、光硬化性が発現されるということが考えられる。
【0010】
本発明で使用するビスマレイミド化合物としては、m−ジ−N−マレイミジルベンゼン、ビス(4,4'−N−マレイミジルフェニル)メタン、2,2'−ビス(4,4'−N−マレイミジルフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4,4'−N−マレイミジル−2,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4,4'−N−マレイミジルフェノキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4,4'−N−マレイミジル−2−メチル−5−エチルフェニル)プロパン等の各種ビスマレイミド化合物がそのままもしくは混合物として用いられる。これらのビスマレイミド化合物は単体としても各種樹脂との変性物でもどちらも用いることが可能である。
【0011】
本発明で使用する式(1)で表されるアクリジン化合物としては、9−メチルアクリジン、9−エチルアクリジン、9−ブチルアクリジン、3,6−ジエトキシ−9−メチルアクリジン等のアクリジン化合物、置換アクリジン化合物及びその塩等が挙げられる。
【0012】
また、式(2)で表されるアクリジン化合物としては、1,2−ビス(9,9'−ジアクリジノ)エタン、1,3−ビス(9,9'−ジアクリジノ)プロパン、1,4−ビス(9,9'−ジアクリジノ)ブタン、1,7−ビス(9,9'−ジアクリジノ)ヘプタン、1,8−ビス(9,9'−ジアクリジノ)オクタン等が挙げられる。これらは単独又は混合物の形で用いられる。
【0013】
本発明で用いる(B)他の樹脂成分として用いることが可能な第一の群としてはエポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ゴム分散エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂またはビスフェノールA系エポキシ樹脂及びこれらエポキシ樹脂の変性物が挙げられる。特に光照射を行って光硬化を行う場合にはこれらエポキシ樹脂と不飽基との変性物が好ましい。 不飽和基としては、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物、イタコン酸無水物等が代表的なものとして挙げられる。これらはエポキシ樹脂のエポキシ基に対し当量もしくは当量以下の配合比率で該不飽和基含有化合物を反応させることによって得られる。
【0014】
他の樹脂成分として用いることが可能な第二の群としてはフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、ノボラックフェノール樹脂、酸変性ノボラックフェノール樹脂、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのようなフェノール性水酸基を有する樹脂類である。これらは単独で又は混合物としても変性物としても使用が可能である。 このほかにもメラミン樹脂、シアネートエステル樹脂のような熱硬化性材料、或いはこのものとフェノール樹脂の組み合わせ等も好ましい適用例の一つである。 また、粗化性及び可とう性付与材の使用も好適な組み合わせであり、その例としてはブタジエンアクリロニトリルゴム、天然ゴム、アクリルゴム、SBR、カルボン酸変性ブタジエンアクリロニトリルゴム、カルボン酸変性アクリルゴム、架橋NBR粒子、カルボン酸変性架橋NBR粒子等が挙げられる。 これら併用可能な他の樹脂成分はビスマレイミド化合物及びアクリジン化合物からなる硬化性樹脂組成物にそのままの形で加えてもよいし、予め熱を加えてこれらの樹脂系の部分変性(クッキング)を行ってもよい。このような手法によっていわゆるBステージ状態の樹脂とすることも可能である。
【0015】
このような種々の他の樹脂成分を加えることで光硬化性、熱硬化性という基本性能を保持したまま硬化物に色々な性質を付与することが可能になる。例えばエポキシ樹脂やフェノール樹脂との組み合わせによって硬化物に良好な電気絶縁性を付与することが可能になる。
本発明の接着剤組成物には前述した熱硬化性材料とは別に或いは併用する形で他の光硬化性材料を配合してもよい。これは本発明の接着剤組成物が光硬化性、熱硬化性を同時に有していることから必然的に考えられる組み合わせである。
光硬化性材料としては分子内に不飽和基を有する化合物で従来知られているものがそのまま用いられ、制限はない。その例としては各種のアクリレートモノマ、アクリレートオリゴマ等が挙げられる。 本発明の接着剤組成物に上述のように各種の熱硬化性樹脂成分、光硬化性成分等を加えた場合にはこれらの材料に対して有効な硬化促進剤を配合した方が好ましい。特に加えた材料がビスマレイミド化合物やアクリジン化合物と直接の反応を行わない場合にはこれらの材料の添加はむしろ必要である。 光硬化性材料を用いた場合にはアクリジン化合物がこれらの材料への光重合開始能力を既に有していることから、特に新たな光開始剤の使用は必要ないが、分光感度の調節や系全体の光感度の調節等、さまざまな目的によって別の光開始剤を添加することは当分野では頻繁に行われており、その使用を妨げるものではない。 このように多数の硬化成分を含む系では、用いた材料の組み合わせによっては暗反応性が生ずる場合があり、その場合には暗反応性を引き起こさない組み合わせに配合成分を分割し、使用時に全部を混合して用いるといういわゆる多液性配合物とすることが望ましい。暗反応性を有しない組み合わせの場合には全部を同時に配合することが可能である。
本発明の接着剤組成物においてビスマレイミド化合物とアクリジン化合物の最適な配合比率は、(A)ビスマレイミド化合物と(B)他の樹脂成分の合計100重量部に対し、(C)アクリジン化合物0.1重量部〜30重量部である。より好ましくは、0.5〜10重量部である。0.1重量部未満では、配合の効果が少なく、30重量部を超えるとビスマレイミド化合物と低温での反応が進行し、経時安定性の制御が困難になるため好ましくない。工業的応用に際してはこれら化合物の熱反応性と光反応性とのどちらの性質を多く使うかによって最適配合比が決まる。アクリジン化合物は光吸収性、光重合開始剤としての能力が高いため、光反応性を重視する場合は多量の使用は必要ない。一方熱反応性を重視する場合は光反応のときよりは多量に使用した方が硬化が効果的に進む。
本発明の(A)ビスマレイミド化合物と(B)他の樹脂成分との最適な配合比は全体を100重量%とした場合に(A)ビスマレイミド化合物5〜90重量%に対し、(B)他の樹脂成分10〜95重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。ビスマレイミド化合物は、配合部数が増えれば硬化物のガラス転移温度が上昇するなどの特性が発現するが、硬化収縮、脆化等の悪影響も大きくなるため、目的とする用途によって最適配合部を選択する。 一方、配合部数が少なくなるにつれて本来のビスマレイミド化合物の性能が減るため、5重量%未満では実質発明としての意義がなくなってしまう。しかし、光硬化性を有した熱硬化性樹脂組成物という特徴は大きいため、例えば殆どビスマレイミド化合物としての本来の性質を示さないような低配合領域においても、光硬化性を有した熱硬化材料として本材料系を用いることは極めて有用である。 本発明の接着剤組成物においては通常使用される添加剤、重合安定剤、レベリング剤、顔料、染料等を使用してもよい。またフィラーを配合することもなんら差し支えない。フィラーとしてはシリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水和アルミナ、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エロジール、炭酸カルシウム等の無機微粒子、粉末状エポキシ樹脂、粉末状ポリイミド粒子等の有機微粒子、粉末状テフロン粒子等が挙げられる。これらのフィラーには予めカップリング処理を施してあってもよい。これらの分散はニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等既知の混練方法によって達成される。
【0016】
本発明において、接着剤中に無電解銅めっきの析出核となるめっき触媒を含有することができる。めっき触媒としては、元素周期律表の8、1B及び2B族の金属の塩あるいは酸化物が使用できる。 例えば、白金、パラジウム、錫などの化合物が用いられ、固体粒子あるいは有機溶剤に溶解又は他の樹脂とともに溶解、分散させたよう液状態として接着剤中に混合することができる。 めっき触媒の接着剤中の配合量は、2〜15重量%の範囲であれば無電解めっきによって銅が析出する。 上記接着剤の各成分は、有機溶媒中で混練り混合され溶液、分散状混合物に調整される。用いる有機溶媒としては、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオレート、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の単独又は混合系を用いることができる。
【0017】
本発明のアディティブ法プリント配線板用接着剤を使用する絶縁基板としては、フェノール樹脂系又はエポキシ樹脂系あるいは無機系又は有機複合物からなる基材等を用いることができる。
前記接着剤は、絶縁基板に10μm〜50μm塗布される。 無電解めっきを析出させるに際しては、接着剤表面を化学的に粗化して接着に適した形状にする。
化学的粗化に用いる粗化液は、クロム−硫酸系、クロム−硫酸−フッ化ナトリウム系、アルカリ−過マンガン酸系、ホウフッ化水素酸−重クロム酸系等が使用できる。 また、パターン形成は、めっきレジストをスクリーン印刷、あるいはフォトマスクを紫外線硬化し現像して形成する。これらのめっきレジストは、化学的粗化処理工程の前あるいは処理した後で行われる。
【0018】
本発明のアディティブ法プリント配線板用接着剤を用いることで、耐熱性や絶縁信頼性に優れ、光又は熱により硬化可能なアディティブ法プリント配線板が得られる。以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
以下に示すアディティブ法プリント配線板用接着剤を、ガラス布エポキシ積層板であるLE−168(日立化成工業株式会社製商品名)にディプコート法で塗布し、膜厚25μmの接着剤層を両面に形成した。
Figure 0004189699
次に、接着剤付き絶縁基板に、紫外線を2,000mJ/cm2照射した。
次いで、150℃で60分間加熱して硬化させた。
さらに、めっき用レジストであるSR−3000(日立化成工業株式会社製商品名)をラミネートして、紫外線露光し、現像した。
次に、クロム−硫酸−フッ化ナトリウム(クロム酸40g/l、濃硫酸300ml/l、フッ化ナトリウム10g/l)の粗化液に40℃で5分間浸漬して、接着剤露出部のみ選択的に化学粗化し、その後中和、水洗した。
さらに、無電解銅めっき浴であるCC−41液(日立化成工業株式会社製商品名)に投入して、35μmのめっき銅を析出させた後、150℃で60分間アニーリングして、アディティブ法プリント配線板を作製した。
【0020】
(実施例2)
実施例1において、紫外線を照射しない以外は実施例1と同様にしてアディティブ法プリント配線板を作製した。
【0021】
(実施例3)
実施例1において、2,2´ビス(4,4´−N−マレイミジルフェノキシフェニル)プロパン(BBMI;日立化成工業株式会社製)をビス(4,4´−N−マレイミジルフェニル)メタン(BMI;三井東圧化学株式会社製)に変更し、さらに、1,3−ビス(9,9−ジアクリジノ)ヘプタンを1,7−ビス(9,9−ジアクリジノ)ヘプタンに変更した。その他は、実施例1と同様にしアディティブ法プリント配線板を作製した。
【0022】
(比較例1)
実施例1において、1,3−ビス(9,9−ジアクリジノ)ヘプタンを用いない組成とし、その他は実施例1と同様としアディティブ法プリント配線板を作製した。
【0023】
(比較例2)
実施例1において、2,2´−ビス(4,4´−N−マレイミジルフェノキシフェニル)プロパン(BBMI;日立化成工業株式会社製)を用いない組成とし、その他は、実施例1と同様としアディティブ法プリント配線板を作製した。
【0024】
以上のようにして作製したアディティブ法プリント配線板の特性を測定しその結果を表1に示した。なお、測定は、以下のようにして行った。
接着剤表面硬度:硬度の異なる鉛筆を接着剤付基板の表面に45度の角度で押しつけた時に、接着剤表面への傷が発生する鉛筆の硬度で表した。
めっき銅との接着性: JIS C6481に準じ、めっき銅を90度方向に10mm幅で剥離した際の接着力を求めた。
はんだ耐熱性:JIS C6481に準じ、25×25mm角に切断しためっき銅を形成した接着剤付基板を300℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間で表した。
層間耐電食性:ライン/スペースが0.2/0.2mmとなるようにめっき銅を形成した基板を用いて、85℃,85%RHの条件下で直流100Vの電圧を印加して処理し、絶縁抵抗(室温で測定、100V、1分印加後測定)が108Ω以下になるまでの時間を測定した。
【0025】
【表1】
Figure 0004189699
【0026】
比較例1は、実施例1よりアクリジン化合物を配合しない接着剤を用いたものであるが、表面硬度、めっき銅との接着性、300℃はんだ耐熱性及び層間耐電食性のいずれにおいても実施例1〜3より大幅に劣る。また、比較例2は、実施例1の組成からビスマレイミド化合物を用いない組成であるが、比較例1と同様な傾向を示し実施例に較べ大幅に劣る。これに対して、本発明の(A)ビスマレイミド化合物、(B)他の樹脂成分としてエポキシ樹脂、アクリロニトリルブタジエンゴムを用い、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物を含むアディティブ法プリント配線板用接着剤を用いた、実施例1〜実施例3は、接着剤表面硬度が5H以上と硬く、めっき銅との接着性にも優れる。さらに、300℃でのはんだ耐熱性や層間耐電食性においても優れる。また、実施例2は、実施例1の接着剤組成物を用いて、紫外線を照射することなく150℃で60分間の加熱処理、さらに無電解銅めっき後の150℃で60分間のアニーリングを施したのみであり、上記したように十分な特性を有する。本発明は、このように150℃という低温度で硬化が可能でまた、紫外線硬化を行うこともできる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、従来より低温でマレイミド゛化合物を硬化することができ、また光又は熱、或いは光と熱を併用することによっても硬化することができる耐熱性、絶縁信頼性に優れたアディティブ法プリント配線板用接着剤及びそれを用いたアディティブ法プリント配線板を提供することができる。

Claims (4)

  1. 絶縁基板に接着剤を塗布し、接着剤表面を化学的に粗化し、必要な箇所のみ無電解めっきによって回路形成するアディティブ法プリント配線板において、接着剤に(A)ビスマレイミド化合物、(B)他の樹脂成分、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物を含む熱又は光によって硬化可能なアディティブ法プリント配線板用接着剤。
    Figure 0004189699
    Figure 0004189699
  2. 接着剤が(A)ビスマレイミド化合物5〜90重量%、(B)他の樹脂成分10〜95重量%及び(A)と(B)の合計100重量部に対し、(C)熱硬化促進剤又は光開始剤として式(1)又は式(2)で表されるアクリジン化合物0.1〜30重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のアディティブ法プリント配線板用接着剤。
  3. (B)他の樹脂成分が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、メラミン樹脂、シアネートエステル樹脂、ゴム、分子内に不飽和結合を有する樹脂の中から選ばれる1種類以上である請求項1又は請求項2に記載のアディティブ法プリント配線板用接着剤。
  4. 絶縁基板に請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアディティブ法プリント配線板用接着剤を塗布し、接着剤表面を化学的に粗化し、必要な箇所のみ無電解めっきによって回路形成したアディティブ法プリント配線板。
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