JP4189636B2 - アミノ酸含量の増大した植物、窒素含量が増大した植物、窒素制限下での成育抑制が解除された植物、およびそれらの作製法 - Google Patents
アミノ酸含量の増大した植物、窒素含量が増大した植物、窒素制限下での成育抑制が解除された植物、およびそれらの作製法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊離アミノ酸含量の増大した形質転換植物およびその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物は独立栄養生物として、その生存に必須のすべての化合物を合成する能力を有する。アミノ酸もその例外ではなく、植物は天然に存在する20種類すべてのアミノ酸を光のエネルギーを利用して、水と二酸化炭素、および、環境中で利用可能な無機窒素源より合成する。ヒトを含む動物は、すべてのアミノ酸を合成することができるわけではなく、合成できないアミノ酸は必須アミノ酸として、その摂取は栄養学的に重要である。動物はかかる必須アミノ酸を基本的に植物が合成するアミノ酸に依存している。したがって、植物に含まれるアミノ酸の質、及び量の改変は、植物の栄養学的な価値を高める上で重要な課題とされてきた。
また、植物のアミノ酸合成能の強化は植物自身の成長の側面からも意義が大きい。上述したように、植物は環境中の無機窒素よりアミノ酸を合成するが、この過程は、植物側から見るならば、窒素をアミノ酸として固定・吸収する過程と見なすことができる。すなわち、植物は窒素を最終的にアンモニアの形態として、グルタミン酸に固定し、このグルタミン酸が他のアミノ酸、核酸など様々な生体成分の窒素源として、分配、利用される。したがって、アミノ酸合成能の強化は、植物による窒素の利用効率の向上と言い換えることもできる。窒素は植物の生長の大きな制限因子の1つであり、アミノ酸合成能の強化により、結果として、窒素固定能の増強が達成されるならば、それは植物の生長促進を伴うことが期待され、収量増加なども期待されている。また、効率的な窒素利用が実現するならば、無機窒素の施肥を最小にとどめることが可能になり、環境負荷を減少させる効果も期待されている。
【0003】
植物のアミノ酸含量を増加させる手段としては、上述の窒素固定に関わる酵素反応の強化が考えられている。一般に植物においては、窒素はアンモニアに還元されたのち、グルタミン酸合成酵素(GOGAT)、およびグルタミン合成酵素(GS)の作用でグルタミン酸に固定される。したがって、アンモニアの生成・輸送の過程、あるいはGOGAT、GS活性の調節、あるいは固定されたアミノ酸の輸送・転流に関わる酵素系の強化等により植物のアミノ酸含量や窒素含量を増加させる試みがなされてきた。このような試みには、Lotus corniculatusにダイズGSを導入した例(Planta 1997;201(4):424-33、Vincent R et al.)や、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)にArabidopsis thaliana由来のアスパラギン合成酵素を導入した例(特表平9-503389、Coruzzi G et al.)が挙げられる。しかし、このような例においては、相対的なアミノ酸含量の変化は見られても、絶対的なアミノ酸含量、あるいは窒素含量の増加が有意に見られることはなかった。
【0004】
一方、このような研究とは別に、炭酸同化作用に関与するC4型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子のプロモーター領域に特異的に結合するDNA結合タンパク質の研究が行われており、そのようなDNA結合タンパク質としてトウモロコシからDof1タンパク質およびその遺伝子が見いだされている(Yanagisawa, S. (1993) Trends in Plant Sci., 1 (7), 213)。Dof1はジンク(Zn)フィンガー様ドメインを唯一つ有する植物特有のDNA結合タンパク質である。Dof1は、トウモロコシの葉肉プロトプラストの一過性発現系を用いた研究により、C4型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子の転写を促進することが明らかになった。また、同時にC3型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ(PPDK)遺伝子の転写も促進することが明らかにされた。更に、Dof1の活性は光照射下の葉において強いことも示された。ここで、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの機能は、ホスホエノールピルビン酸に重炭酸を固定し、TCA回路へオキザロ酢酸を供給することであり、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼの機能は、ピルビン酸よりホスホエノールピルビン酸を生成し、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの基質を供給することである。
【0005】
ジンクフィンガー様ドメインを唯一つ有するDNA結合タンパク質は植物特有のものであり、ジンクフィンガー様ドメインを唯一つ有する植物由来DNA結合タンパク質は「Dofファミリー」と呼ばれている。Arabidopsis thalianaのゲノムに対する検索の結果、Dofファミリーに属する37種のタンパク質が明らかにされている。このうちOBP3と呼ばれるDofファミリー結合タンパク質について、これを発現する形質転換植物が作製されている。しかしながら、これらのDofファミリータンパク質の間にはZincフィンガー部分を除いて相同性がほとんど認められず、その機能もDof1を除いて報告されていない。実際、前述のOBP3遺伝子を導入した形質転換植物においてもOBP3と関連性のある表現型は報告されていない。また、その機能がある程度分かっているDof1についても、この遺伝子を導入した形質転換植物が作製されたという報告は無く、Dof1の植物体内における生理作用も必ずしも明らかではない。更に、Dof1遺伝子を導入した形質転換植物におけるアミノ酸含量については全く不明であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アミノ酸含量が増大した形質転換植物、および/または、窒素含量が増大した植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された植物、その子孫植物、それらの種子、およびその作製方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、窒素固定反応に関与する酵素等の増強で、アミノ酸含量の増加がおこらない理由を、窒素固定に利用される炭素供給が十分におこらないことにあると考えた。そこで、炭素供給の主要な経路である三炭糖(ジヒドロキシアセトンリン酸)から2-オキソグルタル酸に至る代謝経路に関与する一群の酵素系を制御することに着目したが、多数の酵素系を遺伝子組換え等によって一つ一つ制御することの困難性を考慮し、それらの遺伝子群を単独で制御する調節因子、いわゆるマスターコントロール遺伝子の模索を行った。その結果、Dofファミリーに属するタンパク質およびその遺伝子が本発明の目的に合致することを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質をコードする遺伝子が導入され、かつ、同一条件で栽培された天然の同種の植物と比較して遊離アミノ酸の含量が増大した形質転換植物およびその種子である。さらに、かかる代謝的な改変の結果、窒素含量が増大した植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された植物およびその種子である。
また、本発明は、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質をコードする遺伝子を植物に導入し、その遺伝子を植物体内で発現させることを特徴とする、同一条件で栽培された天然の同種の植物と比較して遊離アミノ酸の含量が増大した形質転換植物を作製する方法である。さらに、かかる代謝的な改変を加えることにより、窒素含量が増大した植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された形質転換植物を作製する方法である。
特に、本発明は、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質が、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の転写量を上昇させるものである上記形質転換植物およびその種子である。
更に、本発明は、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質が、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の転写量を上昇させるタンパク質である、上記形質転換植物の作製方法である。
特に、本発明において使用されるDofファミリーに属するDNA結合タンパク質の具体例はトウモロコシのDof1タンパク質である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明においては、上述した性質を有するDofファミリーDNA結合タンパク質遺伝子を含む核酸構築物を植物に導入し、得られた形質転換植物においてDofファミリーDNA結合タンパク質遺伝子を発現させることにより、アミノ酸含量が増大した植物、および/または、窒素含量が増大した植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された植物が得られる。特に好ましい実施態様においては、トウモロコシDof1タンパク質およびその遺伝子が使用される。トウモロコシDof1因子は前述したように、トウモロコシのC4型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子のプロモーター領域に結合するDNA結合タンパク質として見出され、Dofファミリーの中で最初に見つけられたタンパク質である。Dof1因子はさらにC4型およびC3型ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子の転写を上昇させる性質を有すること、および、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ(PPDK)遺伝子の転写を促進することも明らかとなっている。このことは、Dof1が単一の遺伝子の発現を制御するのではなく、複数の遺伝子の発現を同調的に制御し、その生理学的な役割を果たしていることを示している。一方、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼおよび細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼは、前述したような酵素活性に基づいて協調的に作用し、TCA回路への炭素骨格の潤沢な供給をもたらすと考えられる。その結果、窒素(アンモニア)の受け皿となる2-オキソグルタル酸の生成が促進されることになる。すなわち、TCA回路への炭素骨格の潤沢な供給をもたらすタンパク質/遺伝子、特に2-オキソグルタル酸への潤沢な炭素骨格を供給するタンパク質/遺伝子が炭素供給経路のマスターコントロールタンパク質/遺伝子として機能し、このタンパク質/遺伝子によって窒素(アンモニア)固定系への炭素供給が正に調節されると考えられる。このようなタンパク質/遺伝子の機能により炭素供給が正に調節された結果、植物体における遊離アミノ酸の含量が上昇することが期待される。さらに、かかる代謝的な改変の結果、植物体の窒素含量が上昇することが期待される。あるいは、植物の窒素制限下の成育抑制が解除されることが期待される。なお、本明細書において「炭素供給経路のマスターコントロールタンパク質」とは、2-オキソグルタル酸に至る代謝経路を制御するタンパク質、特に解糖系およびそれに続くTCA回路において三炭糖から2-オキソグルタル酸に至る代謝経路を制御する一群のタンパク質を言う。
【0010】
従って、本発明で用いられるDofファミリーに属するDNA結合タンパク質はトウモロコシ由来のDof1である必要はなく、上述したような炭素供給経路のマスターコントロールタンパク質として機能する他の植物種由来のDofファミリーDNA結合タンパク質であってもよい。更に、上述した機能を有する限り、それらのDofファミリーに属するDNA結合タンパク質において1以上のアミノ酸の欠失、置換、付加を有するDNA結合タンパク質も本発明において利用することができる。マスターコントロール遺伝子/タンパク質としての役割を考慮し、また実際にトウモロコシのDof1がシロイヌナズナで機能することが本研究において示されることを考慮すれば、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質およびその遺伝子が他の植物種由来であっても目的の植物において同等の機能を示すと考えられる。ここで、本明細書において、「トウモロコシDof1と同等の機能を有する」とは、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の転写を促進する機能を有することをいう。
【0011】
このような、Dofファミリーに属する遺伝子、またはそのcDNAは公開された配列情報に基づき、以下のように比較的容易に調製することができる。例えば、トウモロコシDof1遺伝子については、そのcDNAの塩基配列がGenbankのアクセッション番号X66076にその配列が公開されている。その配列に基づきタンパク質をコードする部分を含むようにDNA断片が増幅するようなPCRプライマーを合成し、トウモロコシの葉より抽出したRNAを鋳型にRT-PCRをおこなえば、比較的容易にDof1 cDNAを得ることができる。また、シロイヌナズナDofファミリー遺伝子についても、シロイヌナズナの全ゲノム配列のデータ(例えば、かずさDNA研究所 KAOS(http://qqq.kazusa.or.jp/kaos/)、米国National Center for Biotechnology Information (http://ncbi.nlm.nih.gov/)より公開されている)をもとに、Dofファミリーに属するDNA結合タンパク質がアノーテーションされており、その情報をもとに、同様な方法でcDNA断片を得ることができる。さらに、ダイズ、バレイショ、トマト、カボチャなどについては、Dofモチーフを有するESTがデータベースに公開されており(例えば、米国、National Center for Biotechnology Information (http://ncbi.nlm.nih.gov/))、これらの配列情報をもとに全長cDNAを得ることは、当業者によく知られた実験手順に従えば容易である。また、これらのcDNAからクロスハイブリダイゼーションの手法により、近縁の植物種(イネ科、アブラナ科、マメ科、ナス科、ウリ科)のDofファミリーDNA結合タンパク質遺伝子を入手することも可能である。このようにして得られたDofファミリー遺伝子が実際に本発明の目的に利用し得るか否かは、例えば、植物に導入した後、後述するように、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子のmRNAレベルおよび/またはタンパク質レベルの発現量の変化、植物体の大きさ等を指標にして比較的容易に調べることが出来る。
【0012】
本発明において使用する核酸構築物は当業者によく知られた方法を使用して作成することができる。核酸構築物を単離し、その配列を決定する方法を含む分子生物学的手段については、例えば、Sambrookら、Molecular cloning-Laboratory manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Pressのような文献を参照することができる。あるいは、本発明に使用しうる核酸構築物を作成するためにPCR法をはじめとする遺伝子増幅が必要になることもあるが、そのような手法については、F.M.Ausubel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)などを参照することができる。本発明に使用する核酸構築物は一般に、植物細胞で機能する適切なプロモーター、例えば、ノパリン合成酵素遺伝子、カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター(CaMV35S)、ノパリン合成酵素遺伝子のターミネーターなどの適切なターミネーター、その他の発現に必要な、あるいは有利な配列、及び、形質転換体を選抜するためのマーカー遺伝子、例えば、カナマイシン耐性、G418耐性、ハイグロマイシン耐性のような薬剤耐性遺伝子を含んでよい。
【0013】
そのような構築物に使用しうるプロモーターは構成的プロモーターであっても器官特異的または生育ステージ特異的であってもよく、使用する宿主、必要とする発現量、発現を特に意図する器官、または、生育ステージによって選択することができる。本発明の好ましい実施態様においては、器官、及び生育ステージに非特異的に発現する強力なプロモーターが使用され、例えば、CaMV35Sプロモーターがそのようなプロモーターの例として使用される。器官特異的プロモーターとしては、ファゼオリン遺伝子プロモーターやパタチン遺伝子プロモーターなどが使用される。本発明の最も好ましい実施態様においては、CaMV35Sプロモーターのような強力な構成的プロモーターで当該PEPC遺伝子を駆動する構築物が使用される。
【0014】
本発明において使用しうる遺伝子導入法は特に限定されず、植物細胞、あるいは植物体への遺伝子導入法として当業者に知られた方法を宿主に応じて選択することができる。例えば、本発明の実施態様の一つにおいては、アグロバクテリウムを用いた遺伝子導入法が利用される。このような形質転換系には、バイナリーベクターを使用することが望ましい。アグロバクテリウムを利用する場合は、形質転換に用いる核酸構築物は植物細胞に導入すべきDNA配列に隣接するT-DNA領域をさらに含む。好ましい実施態様においては移入された配列は左右のT-DNAボーダー配列の間に挿入される。このようなT-DNAをベースとする形質転換ベクターの適切な設計及び構築は当業者によく知られたものである。また、そのような核酸構築物を有するアグロバクテリウムを植物に感染させるための条件も当業者によく知られたものである。そのような技術、及び条件については、例えば、秀潤社、細胞工学別冊「モデル植物の実験プロトコル イネ・シロイヌナズナ編」(1996)を参照することができる。
【0015】
本発明においては、他の遺伝子導入法を利用することもできる。使用しうる遺伝子導入方法の例としては、ポリエチレングリコールやカルシウムを用いたDNAのプロトプラストへの導入法、エレクトロポーレーションによるプロトプラストの形質転換法、パーティクルガンによる導入法等を挙げることができる。
上述したような遺伝的操作をおこなう植物種は特に限定されないが、植物体そのものを利用して形質転換を行う場合以外は、形質転換が容易で植物体への再生系が確立している植物種が好ましい。本発明に適した植物は前述の特性を有するもののほか、産生されるアミノ酸の利用という観点から、大量栽培技術の確立した植物種がより好ましい。本発明を実施するため適した植物としては、例えば、アブラナ科植物全般のほか、トマト、バレイショ、トウモロコシ、コムギ、イネ、サトウキビ、ダイズ、ソルガムなどが挙げられる。また、上述したような遺伝的操作をおこなう器官、細胞は特に限定されず、使用する宿主、遺伝子導入法等に応じて選択することができる。例として、器官外植片、花粉、培養細胞、胚、植物体等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0016】
次に上述したように操作された植物細胞等は、形質転換について選抜される。この選抜は、例えば、形質転換に使用した核酸構築物上に存在したマーカー遺伝子の発現に基づいておこなうことができる。例えば、マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子である場合は、適当な濃度の抗生物質、または除草剤等を含む培地上で操作された植物細胞等を培養、または生育させることにより選択することができる。あるいは、マーカー遺伝子が、β-グルクロニダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などの場合はその活性についてスクリーニングすることにより形質転換体を選抜することができる。また、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の転写量、または、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼのタンパク質量の増加を指標に形質転換体を選抜することもできる。特に、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および/または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の転写量/タンパク質量の増大は、導入したDofファミリー遺伝子またはその改変体が本発明の目的に利用できることを確認するための指標とすることもできる。
このようにして同定された形質転換体が植物体以外、例えば、プロトプラスト、カルス、外植片等である場合は植物体への再生がおこなわれる。この再生には使用する宿主植物について当業者に知られた方法を利用することができる。
【0017】
このようにして得られた植物体は通常の方法、すなわち、非形質転換体と同様の条件で栽培してよく、本発明の核酸構築物を含む形質転換植物を同定するために、前述のマーカー遺伝子に基づく選抜に加えて、種々の分子生物学的手法を利用することができる。例えば、組換えDNA挿入断片の有無及びその構造を検出するためにはサザンハイブリダイゼーションやPCRを利用することができる。導入した核酸構築物に由来するRNA転写産物を検出・測定するためには、ノーザンハイブリダイゼーションやRT-PCRなどを利用することができる。
【0018】
一方、Dof1を導入した形質転換植物では非形質転換植物に比較して幼植物体の葉の緑色が濃くなり、植物体が小型化する傾向があり、しかもその小型化の程度は導入したDof1の発現量と正の相関関係が認められる。従って、このような表現型を指標として、また、上述した薬剤耐性、酵素活性分析と組み合わせて、Dofファミリー遺伝子が導入され、かつ、導入したDofファミリー遺伝子が発現している形質転換植物を生育初期に選抜することもできる。また、このような表現型を指標として、導入した遺伝子が本発明の目的に合致したものであることを確認することもできる。
【0019】
次に得られた形質転換体のDofファミリーDNA結合タンパク質遺伝子の発現については、当該DofファミリーDNA結合タンパク質のタンパク質量、mRNA量、あるいは導入遺伝子の標的遺伝子(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子)の発現量を測定することによって評価することができる。例えば、DofファミリーDNA結合タンパク質の量はウェスタンブロット等の方法により、mRNA量はノーザンブロット、定量的RT-PCR法によって評価することができる。また、DofファミリーDNA結合タンパク質の転写制御活性は、標的遺伝子(ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、または、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子)のmRNA量を上述した方法と同様の方法で測定し、評価することができる。これらの方法はいずれも当業者にはよく知られたものであり、それらの方法を簡便におこなうためのキット等の商業的な入手も可能である。 このようして、DofファミリーDNA結合タンパク質遺伝子の発現が確認された形質転換植物について、さらに「アミノ酸含量の増大」、「植物窒素含量が増大」および「窒素制限下での成育抑制が解除」のいずれかを備えた植物であるかが評価される。
「アミノ酸含量の増大」については、植物体中の遊離アミノ酸含量によって評価される。遊離アミノ酸含量は、例えば、形質転換植物体全体またはその一部を破砕し、その抽出液をアミノ酸分析装置にかけることにより調べることができる。野生株に比較して、遊離アミノ酸含量が増大した形質転換植物が、本発明の「アミノ酸含量の増大した植物」である。
「植物窒素含量が増大」については、植物体中の総窒素含量によって評価される。総窒素含量は、例えば、形質転換植物体全体またはその一部を採取し、NC分析計により定量される。野生株に比較して、総窒素含量が増大した形質転換植物が、本発明の「植物窒素含量が増大した植物」である。
「窒素制限下での成育抑制が解除」については、窒素含量を減らした培地で栽培し、その成育を観察することにより評価される。窒素制限下での成育抑制の解除の有無は、例えば、標準の窒素を含む培地とそれより窒素の含量を1/25以下に減じた培地のそれぞれで生育させた植物体、あるいは、培土とそれより窒素の含量を1/25以下に減じた培土のそれぞれで成育させた植物体の生重量、または、乾燥重量を調べることによって検定される。窒素含量を減じた培地、あるいは、窒素含量を減じた培土で成育させた植物体の生重量、または、乾燥重量の減少の程度が、野生株のそれに比べて小さい時に、窒素制限下での成育抑制が解除されたと判定される。野生株に比較して、窒素制限下での成育が良好な形質転換植物が、本発明の「窒素制限下での成育抑制が解除された植物」である。
このようにして、遊離アミノ酸含量が増大した形質転換植物および/または、窒素含量が増大した形質転換植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された形質転換植物が同定されたならば、その形質が遺伝的に安定に保持されるか否かが調べられる。このためには、通常の条件に従い植物体を育成・栽培・採種し、後代における形質、その分離を解析すればよい。後代における導入核酸構築物の有無、その位置、その発現等は初代(T1世代)形質転換体と同様に解析することができる。
【0020】
遊離アミノ酸含量の増大した形質転換植物、および/または、窒素含量が増大した形質転換植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された形質転換植物は導入したゲノムに組み込まれた核酸構築物由来の配列に関してヘミ接合の場合もホモ接合の場合もあり得るが、必要に応じて交配すること等により、後代においてヘミ接合体もホモ接合体も導くことができる。ゲノムに組み込まれた核酸構築物由来の配列は後代においてメンデリズムに従い分離する。従って、形質の安定性の観点から子孫植物及び種子を取得するためには、ホモ接合植物を使用することが望ましい。
また、形質転換体は多くの場合、遺伝子座としては、1ヶ所に外来遺伝子が挿入されるが、複数の遺伝子座に挿入された多コピー形質転換体であることも珍しくはない。導入遺伝子の安定性等の理由で、本発明においては単一コピー形質転換体がより好ましい。例えば、T2(第2世代)でのカナマイシン抵抗性の分離比を調べることにより、導入遺伝子が1遺伝子座であるもの、すなわち単一コピー形質転換体を選択することができる。T1がヘミ接合体であって、導入遺伝子が1遺伝子座である場合は、メンデルの法則にしたがい、T2では、カナマイシン抵抗性と感受性が3:1に分離する。また、導入遺伝子が多コピー存在する場合は、抵抗性形質転換体の出現頻度が高くなる。従って、得られたT2種子を再びカナマイシンを含む培地に播種し、3:1の分離比を示す系統を選択し、導入遺伝子が1遺伝子座に存在すると考えられる形質転換体を選抜することによって、単一コピー形質転換体を得ることができる。
そのようにして得られた形質転換植物は天然に存在する同種の植物と同様の栽培条件に従って栽培することができ、アミノ酸含量が増大した収穫物を提供することができる。あるいは、窒素含量が増大した収穫物を提供することができる。あるいは、より少ない窒素施肥でも通常と変わらない量の収穫物を得ることができる。また、このようにして作製された形質転換植物からその種子を得ることもできる。種子は同種の非形質転換植物と同様な方法によって容易に得ることができる。必要であれば、得られた種子の保存、殺菌、害虫駆除等も当業者によく知られた通常の方法によって行うことが出来る。
【0021】
【実施例】
実施例1. トウモロコシDof1遺伝子の植物形質転換ベクターへの組込み
35SC4PPDK-Dof1-HAプラスミド(The Plant Cell 1998, 10(Jan), 75-89)からDof1遺伝子の植物形質転換ベクターpBI121(Clontech社)への組込は以下のようにおこなった。
35SC4PPDK-Dof1-HA プラスミドはCaliflower Mosaic Virus 35S エンハンサーの下流にトウモロコシC4型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子のTATAボックスから翻訳開始部位までの領域、およびDof1cDNAが接続されており、さらに、その下流にエピトークタグとして、ファイトヘマグルチニンcDNAがタンデムに2分子接続され、最後にノパリン合成酵素のターミネーション部位が接続されたDNA断片を有する。このDNA断片は、制限酵素XhoIおよびEcoRIの二重切断より単離することができる。そこで、このXhoI-EcoRI断片をpBI121のT-DNA領域に組み込むことにした。まず、pBI121をHindIIIで切断し、Stratagene社のCloned Pfu DNA polymeraseを用いて、その断端を平滑化した。そののち、T4 DNA リガーゼ(宝酒造社)によりリン酸化XhoIリンカー(宝酒造社)を接続、つづいて、XhoIで切断し、リンカー断片をAmersham-Pharmacia社のMicroSpin Column S-300によるゲルろ過にて除去したのち、T4 DNA リガーゼで自己環化させて、HindIII部位をXhoI部位に変更したプラスミドを得た。このプラスミドはXhoI、およびEcoRIをユニークサイトとして有することになる。得られたプラスミドをXhoIとEcoRIで切断し、別に調製した35SC4PPDK-Dof1-HA由来のXhoI-EcoRI断片を組込み、pBI121Dof1を得た(図1A)。
【0022】
実施例2. シロイヌナズナへのトウモロコシDof1遺伝子の導入
pBI121Dof1を有するE.coliおよびヘルパーE.coli HB101/pRK203を用いたトリパレンタルメーティングによって、アグロバクテリウムC58C1RifへプラスミドpBI121Dof1を導入した。得られたpBI121Dof1を保持するアグロバクテリウムC58C1Rifは減圧浸潤法によりシロイヌナズナColumbiaに感染させた。減圧浸潤法は秀潤社、細胞工学別冊「モデル植物の実験プロトコル イネ・シロイヌナズナ編」(1996)に記載の方法に従った。感染植物より得られた種子(T1)は、カナマイシン100mg/mlを含むGM寒天培地(1×MS、1×B5ビタミン、10g/lシュークロース、0.5g/l MES-KOH(pH7.5)、0.8%寒天)上に1%有効塩素濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液で殺菌したのち播種し、形質転換体をスクリーニングした。
得られた形質転換体(T1世代)からT2種子を得て、再びカナマイシンを含む培地に播種し、3:1の分離比を示す系統を選択し、導入遺伝子が1遺伝子座に存在すると考えられる形質転換体を選抜した。この結果、121Dof1に由来するカナマイシン抵抗性系統を3系統得た。
【0023】
実施例3. トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナのゲノムDNAの分析
得られた3系統のカナマイシン抵抗性系統について、そのゲノムDNAを分析し、Dof1遺伝子の存在を確認した。形質転換体については、カナマイシン100mg/lを含むムラシゲ・スクーグの培地にT2、または、T3世代の種子を播種し幼植物を育成し、ゲノムDNA調製の材料とした。シロイヌナズナからのゲノムDNAはQIAGEN社のDNeasy Plant Kitにより単離した。得られたDNAを基質に、35Sプロモーター5'上流にアニールするプライマー
35S-5Pro5'(5'-TTCCATTGCCCAGCTATCTGTCACTT-3')(配列番号1)
および、ノパリン合成酵素ターミネーター3'下流にアニールするプライマー
NOS-Ter3'(5'-TCATCGCAAGACCGGCAACAGGATTC-3')(配列番号2)
によるPCRをおこなった。その結果を図1Bに示す。図において、Wは野生型植物(Columbia)、Vはベクター(pBI121)のみで形質転換した対照植物、#1から#3は121Dof1を導入して得られた3系統の形質転換植物であることを示す。
Vにおいては、β-グルクロニダーゼ遺伝子を含む約2.2kb程度の増幅断片が得られるはずである。Dof1形質転換体においては、Dof1遺伝子が約750bpであるので、増幅断片は1.3kb程度になることが予想される。実際、予想される大きさの断片が得られており、形質転換体にDof1遺伝子が組み込まれていることが確認された。
【0024】
実施例4. Dof1形質転換体のRNAの分析
さらに、得られた形質転換体について、Dof1遺伝子の発現を確認するため、RNAの分析をおこなった。同様に調製したシロイヌナズナ幼植物体より、GibcoBRL社のトリゾル試薬により総RNAを単離した。得られたRNAを基質にGibcoBRL社のsuperscriptIIと宝酒造社のTaKaRa Ex tagを用いてRT-PCRをおこないDof1 mRNAの検出をおこなった。このとき、用いたプライマーはDof1については、
ZMDof1-A(5'- CCCAGCGCCGTCGCGCATGCAGG-3')(配列番号3)
とDof1の翻訳領域のすぐ下流に存在するNOSターミネーターの配列に相同的なNOS-Ter-3'(配列番号2)であった。また、RT-PCRのポジティブコントロールとして、β-チューブリンmRNAの増幅もおこなった。そのプライマーは、
b-At-tubulin-5'(5'-CTCGTGGATCACAGCAATACAGAGCC-3')(配列番号5)
b-At-tubulin-3'(5'-TCCTCCTGCACTTCCACTTCGTCTTC-3')(配列番号6)
であった。分析の結果を図1Cに示す。
図に示されたとおり、Dof1プライマーを用いた場合、RT-PCR産物の増幅は形質転換体にのみ見られた。これらの結果から、Dof1遺伝子の発現は形質転換体に特異的であることが確認された。
【0025】
実施例5. Dof1形質転換シロイヌナズナにおけるホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の発現の分析
発現したDof1が機能しているか否かを、シロイヌナズナに存在する内在性のホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ遺伝子、および、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ遺伝子の発現を分析することにより確認した。上記の総RNAを基質に、ゲノム上に複数個存在するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)遺伝子の中から2種類のPEPC遺伝子に対応するプライマー、
AtPEPC1-5' (5'-GGTTTCGGAGCAGCATTTAGGTATGC-3') (配列番号7)
AtPEPC1-3' (5'-TTAACCGGTGTTTTGCAATCCTGCAG-3') (配列番号8)
または、
AtPEPC2-5' (5'-AACCAATGGCCATTCAACCGTGTCAC-3') (配列番号9)
AtPEPC2-3 '(5'-TTAACCGGTGTTTTGCATACCAGCAG-3') (配列番号10)
また、細胞質型ピルビン酸オルトリン酸ジキナーゼ(cyPPDK)遺伝子に対応するプライマー、
At-cyPPDK-5' (5'-ATGATGCAGCGAGTATTCACCTTTGG-3') (配列番号11)
At-cyPPDK-3' (5'-AGCGAGGGAAGCTCCAATGTCACGTT-3') (配列番号12)
また、フェレドキシン型グルタミン酸合成酵素遺伝子(GLU1)に対応するプライマー
AtGLU1-5' (5'-ATGACTGGTGGCTGTGTAGTCGTGCT-3') (配列番号13)
AtGLU1-3' (5'-CAACTGCCACAACCTGCTCTTGAATG-3') (配列番号14)
また、葉緑体局在型グルタミン合成酵素遺伝子(GS2)に対応するプライマー、
AtGS2-5' (5'-ATGGCTCAGATCTTAGCAGCTTCTCC-3') (配列番号15)
AtGS2-3' (5'-ATCACTTCACTATCTTCACCAGGTGC-3') (配列番号16)
のそれぞれの組を用いてRT-PCRをおこない、各遺伝子の発現量を評価した。
その結果、PEPC、および、cyPPDKについて発現量の増加が認められ、GLU1、およびGS2の発現については影響が見られなかった(図2)。これらの結果は、導入したDof1遺伝子がシロイヌナズナの細胞内で発現し、その産物がトウモロコシ細胞内におけると同様に機能することを示している。
【0026】
実施例6. トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナのアミノ酸分析
得られた形質転換シロイヌナズナのアミノ酸分析を実施した。
シロイヌナズナを5mM KNO3, 2.5mM KH2PO4, 2.0mM MgSO4, 2.0mM Ca(NO3)2, 0.05mM Fe-EDTA, 0.07mM H3BO3, 0.014mM MnCl2, 0.0005mM CuSO4, 0.001mM ZnSO4, 0.0002mM Na2MoO4, 0.01mM NaCl, 0.00001mM CoCl2 (pHをKOHで5.5に調整)、0.8%寒天を含むPNS培地、または、ムラシゲ・スクーグ(MS)培地(秀潤社、細胞工学別冊「モデル植物の実験プロトコル イネ・シロイヌナズナ編」(1996)参照)の1/2量の塩類を含む1/2MS培地をベースに、10g/lのシュークロースを含む、あるいは含まない培地に播種し、16時間明期、8時間暗期の長日条件下、22℃で2週間程度培養し、本葉が5〜6枚程度展開した幼苗を得た。形質転換体を栽培する場合は、100mg/lのカナマイシンを培地に加えた。
得られた幼苗は液体窒素中で乳鉢と乳棒で破砕し、80%エタノール中70℃で抽出後、エーテル抽出をおこない、脂溶性成分を除去した。水層を凍結乾燥したのち、10mMHClに溶解し、これをアミノ酸分析のサンプルとした。このサンプルを用いて、日立製作所アミノ酸アナライザーLC8800により遊離アミノ酸量を定量した。
その代表的な結果を表1から表4、および図3、図4に示す。
【0027】
【表1】
表1.1/2MS培地で生育させた形質転換体のアミノ酸含量(nmole/gFW)
【0028】
【表2】
表2.10g/lのシュークロースを含む1/2MS培地で生育させた形質転換体のアミノ酸含量(nmole/gFW)
【0029】
【表3】
表3.PNS培地で生育させた形質転換体のアミノ酸含量(nmole/gFW)
【0030】
【表4】
表4.10g/lのシュークロースを含むPNS培地で生育させた形質転換体のアミノ酸含量(nmole/gFW)
【0031】
これらの結果は、トウモロコシDof1遺伝子の導入により、植物体内の総アミノ酸量が顕著に増大することを示している。増加はアミノ酸の種類を問わず全体的に見られるが、特に、培地中に窒素源としてアンモニアが供給される場合(1/2MS培地に相当)はグルタミン、アルギニン、プロリンの増加が顕著であった。また、培地中の窒素源が硝酸体のみの場合(PNS培地の場合)は、アミノ酸含量の増大は1/2MS培地の場合より低減される傾向が見られたが、グルタミン酸、グルタミンを中心に相当量の増加が見られた。
【0032】
実施例7. トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナのNC分析
トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナ、および、対照植物を前出のムラシゲ・スクーグ(MS)培地の塩類を含む1/2MS培地をベースに、10g/lのシュークロースを含む、あるいは含まない培地に播種し、16時間明期、8時間暗期の長日条件下、22℃で2週間程度培養し、本葉が5〜6枚程度展開した幼苗を得た。形質転換体を栽培する場合は、100mg/lのカナマイシンを培地に加えた。
これらの植物について、住化分析センター製のNC分析計スミグラフNC-1000にて窒素、および炭素元素の定量をおこなった。
その結果を表5に示す。
【0033】
【表5】
表5 1/2MS培地、および1/2MS培地に10g/lのシュークロースを含む培地で成育させた形質転換植物のNC分析の結果。
数値は、生重量100gあたりに含まれる各元素のモル量で示されている。
【0034】
これらの結果は、トウモロコシDof1遺伝子の導入により、植物体内の総窒素含量が顕著に増大することを示している。
【0035】
実施例8. トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナの窒素制限培地での成育調査
トウモロコシDof1遺伝子を導入したシロイヌナズナ、および、対照植物を前出のムラシゲ・スクーグ(MS)培地の塩類を含む1/2MS培地をベースに、その窒素量(30mM)を1/5(6mM)、および、1/25(1.2mM)に減じた培地に播種し、16時間明期、8時間暗期の長日条件下、22℃で3週間程度培養し、その生重量を測定した。
その結果を表6に示す。
【0036】
【表6】
表6 1/2MS培地(窒素濃度30mM)、および1/2MS培地の窒素量を1/5(窒素濃度6mM)、1/25(窒素濃度1.2mM)に減じた培地で成育させた形質転換植物の生重量。
数値は、1/2MS培地での平均生重量を1としたときの、それぞれの培地での生重量を相対値で示した。
【0037】
対照植物は、窒素濃度が1.2mMになると、その生育が半分程度に抑制されるが、Dof1形質転換植物は抑制の程度がおよそ20%で、窒素制限下でのダメージが低減していることがわかる。これらの結果は、トウモロコシDof1遺伝子の導入により、植物が窒素制限下でも成育抑制が解除されることを示している。
【0038】
<配列表フリーテキスト>
配列番号1、2:トウモロコシDof1に対するPCRプライマー
配列番号3、4:トウモロコシDof1に対するRT-PCRプライマー
配列番号5、6:β-チューブリンに対するRT-PCRプライマー
配列番号7〜10:PEPCに対するRT-CPRプライマー
配列番号11〜14:GLU1に対するRT-PCRプライマー
配列番号15、16:GS2に対するRT-PCRプライマー
【0039】
【発明の効果】
本発明により遊離アミノ酸含量が増加した形質転換植物、および/または、窒素含量が増大した形質転換植物、および/または、窒素制限下での成育抑制が解除された形質転換植物およびそれらの種子が得られる。より具体的には、本発明により遊離アミノ酸総量が少なくとも1.5倍以上に上昇した形質転換植物、およびその種子が得られる。特に、本発明により、遊離グルタミン、グルタミン酸、アルギニン、プロリンの含量が増加した形質転換植物、およびその種子が得られる。あるいは、総窒素量が1.2倍以上に上昇した形質転換植物、およびその種子が得られる。あるいは、供給される窒素が1/25に低下しても、成育抑制の程度が20%以下になった形質転換植物、およびその種子が得られる。
【0040】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】(A) プラスミドpBI121Dof1のDof1挿入部分の模式図。
(B) Dof1遺伝子を導入したシロイヌナズナのゲノムDNA分析の結果。W:野生型、V:ベクターのみで形質転換した対照植物、#1〜#3:121Dof1導入形質転換植物。
(C) Dof1導入形質転換植物のRNA分析の結果。V、#1〜#3の意味は(B)と同じ。
【図2】 Dof1導入形質転換植物におけるPEPCおよびcyPPDK遺伝子の発現を解析した結果。V、#1〜#3の意味は図1(A)および(B)と同じ。
【図3】 Dof1導入形質転換植物におけるアミノ酸分析の結果。
(A) 1/2MS培地で生育させたDof1導入形質転換植物のアミノ酸含量。
(B) 10g/lのシュークロースを含む1/2MS培地で生育させたDof1導入形質転換植物のアミノ酸含量。
【図4】(A) PNS培地で生育させたDof1導入形質転換植物のアミノ酸含量。
(B) 10g/lのシュークロースを含むPNS培地で生育させたDof1導入形質転換植物のアミノ酸含量。
Claims (7)
- 同一条件で栽培された天然の同種の植物と比較して遊離アミノ酸の含量が増大し、および、窒素制限下での成育抑制が解除された植物であって、ドウモロコシ Dof1遺伝子が導入されている形質転換植物。
- 遊離アミノ酸がアスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニンおよびプロリンからなる群より選ばれる、請求項1記載の形質転換植物。
- 請求項1または2に記載の植物の種子。
- 形質転換植物において、同一条件で栽培された天然の同種の植物と比較して遊離アミノ酸の含量が増大し、かつ、窒素制限下での成育抑制が解除された植物を作製する方法であって、トモロコシ Dof1遺伝子を植物に導入し、前記遺伝子を前記植物において発現させることを特徴とする前記方法。
- 遊離アミノ酸がアスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、アルギニンからなる群より選ばれる、請求項4記載の方法。
- トウモロコシ Dof1遺伝子を植物に導入し、得られる形質転換植物を窒素源としてアンモニア形態の窒素を供給して栽培することを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
- トウモロコシ Dof1遺伝子を植物に導入し、得られる形質転換植物を窒素源として硝酸形態の窒素のみを供給して栽培することを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
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