JP4189224B2 - バチルス属に属する微生物及びそれを用いる防除剤 - Google Patents

バチルス属に属する微生物及びそれを用いる防除剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有害生物、特に、植物病原菌の生育の抑制能を有する微生物、該微生物を用いた防除剤等に関する。さらに詳しくは、本発明は、有害生物、特に、植物病原菌の生育を抑制する物質を産生する微生物、植物病原菌の生育を抑制すること及び/又は害虫を忌避することができる防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近代農業、特に、大規模な生産を目的とする農業においては、虫食いや病変部等がない見栄えのよい作物を得、かつ高収量を達成するために、化学合成農薬が使用されている場合があり、作物への該化学合成農薬の残留、該化学合成農薬による土壌、水等の環境の汚染等が懸念されている。そのため、いわゆる無農薬野菜、減農薬野菜等に注目が集まっている。
【0003】
しかしながら、無農薬栽培には、手間がかかること、病害虫による被害を被りやすく、そのため、収量も減ること等の欠点があり、無農薬栽培を行なっている農家は、全体の数%にとどまっている。したがって、実質的に必要となる手間を減らす観点から、ほとんど化学合成農薬に頼っているのが現状である。
【0004】
一方、化学合成農薬の代わりに、微生物を用いて、タバコ立枯病の病原菌、ナス科植物青枯病の病原菌、芝草病原菌、病原性糸状菌等の生育の抑制が試みられている。
【0005】
具体的には、エンテロバクター属に属する微生物、例えば、タバコ根部から分離されたエンテロバクター クロアカエ H184株(Enterobacter cloacae H184)(FERM BP−5057)の培養物は、タバコ植物の根部やナス科植物の根部に灌注することにより、タバコ立枯病の病原菌、ナス科植物青枯病の病原菌等の防除に用いられうることが知られている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、前記特許文献1及び特許文献2に記載のエンテロバクター属に属する微生物は、青枯病菌に対する拮抗作用を示すにすぎず、他の病原菌に対する拮抗作用を有するかどうかは不明である。
【0006】
また、ストレプトミセス アルブラスは、スクレロティニア属、リゾクトニア属、ピシウム属、カーブラリア属、ゴイマイノマイセス属、コレットリカム属等に拮抗性を有しており、植物病原菌防除材等に利用されうることが知られている(特許文献3)。しかしながら、前記特許文献3に記載の植物病原菌防除材等は、芝草における病害に適用するためのものであり、他の植物に対する病原菌に適用できるかどうかは不明である。
【0007】
さらに、バチルス属に属し、かつアフラトキシン分解性を有する微生物、具体的には、アフラトキシン分解性を有するバチルス サブチルスDB9011株、及びバチルス プルミルスに属し、かつアフラトキシン分解性を有する微生物は、アフラトキシン生成能を有する真菌、特に、病原性糸状菌に対する発育抑制剤として使用されることが知られている(特許文献4、特許文献5)。特許文献4及び特許文献5に記載の発育抑制剤は、真菌、なかでも、アフラトキシン生成能を有する真菌、特に、病原性糸状菌の発育を抑制するものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−37775号公報 段落番号0010、表3及び表4
【特許文献2】
特開平10−139610号公報 表5
【特許文献3】
特開平8−242846号公報 段落番号0042、0049
【特許文献4】
特開平5−146289号公報 段落番号0046〜0052
【特許文献5】
特開平5−268945号公報 段落番号0048〜0050
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有害生物、特に、植物病原菌、真菌の酵母の生育を抑制する性質、広範囲の植物病原菌、例えば、複数又はそれ以上の植物病原菌に対する抗菌活性を発揮する性質、作物等の植物の生育環境に近い環境に生育する性質の少なくともいずれかの性質を有する微生物を提供することを目的とする。さらに、本発明は、広範囲、例えば、複数又はそれ以上の有害生物、具体的には、植物病原菌、真菌の酵母、害虫等により引き起こされる植物の病害を防ぐことが可能な防除剤を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
〔1〕 植物病原菌の生育の抑制能を有する、バチルス(Bacillus)属に属する微生物、
〔2〕 植物病原菌が、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ エフ グレーバー(Aspergillus flavus Link Fries f glaber)、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ バー.オリゼ(Aspergillus flavus Link Fries var. oryzae)、アスペルギルス ナイジャー ファン ティーゲム(Aspergillus niger van Tieghem)、ムコル ヘマリス ヴェーマー エフ.ヘマリス(Mucor hiemalis Wehmer f.hiemalis)、ペニシリウム クリソゲナム ゾーム(Penicillium chrysogenum Thom)、リゾプス オリゼ ウェント アンド プリンセン ギーリングズ(Rhizopus oryzaeWent & Prinsen Geerings)、カンジダ アルビカンス (ロビン) バークホント〔Candida albicans (Robin) Berkhont〕、クリプトコッカス ネオフォーマンス (サンフェリス) ブィレミン〔Cryptococcus neoformans (Sanfelice) Vuillemin〕、ピキア メンブラニ ファシエンス (イー.シー.ハンセン) イー.シー.ハンセン〔Pichia membrani faciens (E.C.Hansen) E.C.Hansen〕、サッカロマイセス セルビジエ マイヤー イーエクッス イー.シー.ハンセン〔Saccharomyces cerevisiae Meyerex E.C.Hansen〕、リゾクトニア ソラニ ケーン O−28株(Rhizoctonia solani kuehn O−28)、ロセリニア ネカトリクス(Rosellinia necatrix)、フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ スプナシエ O−27株(Fusarium oxysprum f.sp.spnaciae O−27)、及びフザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ ラディシス−ライコペルシチ O−34株(Fusarium oxysprum f.sp.Radicis−lycopersici O−34)からなる群より選ばれた少なくとも1種の微生物である、前記〔1〕記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
〔3〕 FERM P−19178、FERM P−19179及びFERM P−19180からなる群より選ばれた微生物である、前記〔1〕又は〔2〕記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
〔4〕 下記a)〜c):
a)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
b)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の馴化培地、及び
c)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の抽出物
からなる群より選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有してなる、植物に対する有害生物の防除剤、
〔5〕 キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分をさらに含有してなる、前記〔4〕記載の防除剤、
〔6〕 害虫忌避成分が、キク科植物の抽出物又はショウガ植物の抽出物である、前記〔5〕記載の防除剤、
〔7〕 下記a)〜c):
a)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
b)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の培養物、及び
c)前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の抽出物
からなる群より選ばれた少なくとも1種を、植物又は該植物を生育させるための土壌に供給することを特徴とする、有害生物の防除方法、
〔8〕 キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分を植物又は該植物を生育させるための土壌にさらに供給する、前記〔7〕記載の有害生物の防除方法、
〔9〕 有害生物が、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ エフ グレーバー(Aspergillus flavus Link Fries fglaber)、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ バー.オリゼ(Aspergillus flavus Link Fries var.oryzae)、アスペルギルス ナイジャー ファン ティーゲム(Aspergillus niger van Tieghem)、ムコル ヘマリスヴェーマー エフ.ヘマリス(Mucor hiemalis Wehmerf.hiemalis)、ペニシリウム クリソゲナム ゾーム(Penicillium chrysogenum Thom)、リゾプス オリゼ ウェント アンド プリンセン ギーリングズ(Rhizopus oryzae Went & Prinsen Geerings)、カンジダ アルビカンス(ロビン) バークホント〔Candida albicans (Robin) Berkhont〕、クリプトコッカス ネオフォーマンス (サンフェリス) ブィレミン〔Cryptococcus neoformans (Sanfelice) Vuillemin〕、ピキア メンブラニ ファシエンス (イー.シー.ハンセン) イー.シー.ハンセン〔Pichia membrani faciens (E.C.Hansen) E.C.Hansen〕、サッカロマイセス セルビジエ マイヤー イーエクッス イー.シー.ハンセン〔Saccharomyces cerevisiae Meyer ex E.C.Hansen〕、リゾクトニア ソラニ ケーン O−28株(Rhizoctonia solani kuehn O−28)、ロセリニアネカトリクス(Rosellinia necatrix)、フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ スプナシエ O−27株(Fusarium oxysprum f.sp.spnaciae O−27)、フザリウムオキシスプラム エフ.スピーシーズ ラディシス−ライコペルシチ O−34株(Fusarium oxysprum f.sp.Radicis−lycopersici O−34)、エンドウヒゲナガアブラムシ及びコナガからなる群より選ばれた少なくとも1種である、前記〔7〕又は〔8〕記載の有害生物の防除方法、並びに
〔10〕 配列番号:1 〜3いずれかに示される塩基配列を有する核酸、
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の微生物は、肥料から、本発明者らにより単離された微生物であり、植物病原菌の生育の抑制能を有するバチルス(Bacillus)属に属する微生物である。
【0012】
本発明の微生物は、植物病原菌の生育の抑制能を有するという優れた性質を有する。したがって、本発明の微生物によれば、植物病原菌を防除することができるという優れた効果を発揮する。また、本発明の微生物によれば、植物病原菌の生育を抑制し、土壌病害を生じにくい土壌に改良することができるという優れた効果を発揮する。さらに、本発明の微生物は、広範囲の植物病原菌、例えば、複数又はそれ以上の植物病原菌に対する抗菌活性を発揮するという優れた性質を有する。したがって、本発明の微生物によれば、種々の土壌病害を防除することができるという優れた効果を発揮する。また、本発明の微生物は、植物の栽培時に通常用いられる肥料中から単離された微生物であり、作物等の植物の生育環境に近い環境に生育する性質を有する。したがって、本発明の微生物によれば、植物の生育等に及ぼす負の影響(例えば、生育阻害等)が実質的にないという優れた効果を発揮する。
【0013】
本発明の微生物は、下記微生物学的性質:
(1)桿菌
(2)細胞の大きさ:0.7〜1.0μm×0.8〜2.0μm
(3)多形性:無
(4)運動性:有 (周毛)
(5)胞子の有無:有 (中央)
(6)グラム染色:陽性
(7)MRテスト:陽性
(8)インドール産生:無
(9)クエン酸の利用:koser陰性、Christensen陽性
(10)無機窒素源資化性:硝酸塩を資化するが、アンモニウム塩は資化しない
(11)ウレアーゼ活性:無
(12)オキシダーゼ活性:無
(13)カタラーゼ活性:有
(14)生育の範囲pH:4.0〜8.5
(15)生育の範囲温度:30〜50℃
(16)好気性
(17)O−Fテスト:陰性
を有する。本発明の微生物としては、具体的には、バチルス スピーシーズ(Bacillus sp.) A−3、バチルス スピーシーズ A−7及びバチルス スピーシーズ A−19にさらに分類される。なお、本発明の微生物のさらに詳細な微生物学的性質を、後述の実施例の表1〜表4に示す。
【0014】
本発明の微生物であるバチルス スピーシーズ A−3は、16S rDNAが、配列番号:1に示される塩基配列を含むものであり、バチルス スピーシーズ A−7は、16S rDNAが、配列番号:2に示される塩基配列を含むものであり、バチルス スピーシーズ A−19は、16S rDNAが、配列番号:3に示される塩基配列を含むものである。
【0015】
なお、本発明の微生物は、Bacillus sp. A−3、Bacillus sp. A−7及びBacillus sp. A−19と命名・表示され、それぞれ、FERM P−19178、FERM P−19179及びFERM P−19180として、寄託日:2002年12月26日、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター〔日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)〕に寄託されている。
【0016】
本発明の微生物により生育を抑制する対象となる植物病原菌は、植物に感染し、病害を引き起こす細菌であり、具体的には、例えば、ほうれん草株腐病の病原菌として知られているリゾクトニア ソラニ ケーン〔Rhizoctoniasolani kuehn (例えば、O−28株等)〕、ほうれん草萎凋病の病原菌として知られているフザリウム オキシスポラム エフ.スピーシーズスピナシエ O−27株(Fusarium oxysprum f.sp.spnaciae O−27)、果樹紋羽病の病原菌として知られているロセリニア ネカトリクス(Rosellinia necatrix)、トマト根腐萎凋病の病原菌として知られているフザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ ラディシス−ライコペルシチ O−34株(Fusarium oxysprum f.sp.Radicis−lycopersici O−34)、さらには、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ エフ グレーバー(Aspergillus flavus Link Fries f glaber)、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ バー.オリゼ(Aspergillus flavus Link Fries var. oryzae)、アスペルギルス ナイジャー ファン ティーゲム(Aspergillus niger van Tieghem)、ムコル ヘマリス ヴェーマー エフ.ヘマリス(Mucor hiemalis Wehmer f.hiemalis)、ペニシリウム クリソゲナム ゾーム(Penicillium chrysogenum Thom)、リゾプス オリゼ ウェント アンド プリンセン ギーリングズ(Rhizopus oryzae Went& Prinsen Geerings)、カンジダ アルビカンス (ロビン) バークホント〔Candida albicans (Robin) Berkhont〕、クリプトコッカス ネオフォーマンス (サンフェリス) ブィレミン〔Cryptococcus neoformans (Sanfelice) Vuillemin〕、ピキア メンブラニ ファシエンス (イー.シー.ハンセン) イー.シー.ハンセン〔Pichia membrani faciens (E.C.Hansen) E.C.Hansen〕、サッカロマイセス セルビジエ マイヤー イーエクッス イー.シー.ハンセン〔Saccharomyces cerevisiae Meyer ex E.C.Hansen〕等が挙げられる。
【0017】
本発明の微生物の生育範囲温度は、具体的には、バチルス スピーシーズ A−3については、25〜45℃であり、好ましくは、37〜40℃であり、バチルス スピーシーズ A−7については、25〜45℃であり、好ましくは、37〜40℃であり、バチルス スピーシーズ A−19については、25〜50℃である。
【0018】
また、本発明の微生物の生育範囲pHは、具体的には、バチルス スピーシーズ A−3については、pH4〜10であり、好ましくは、4〜7であり、バチルス スピーシーズ A−7については、pH4〜10であり、好ましくは、pH4〜8であり、バチルス スピーシーズ A−19については、4〜8、好ましくは、4〜7である。
【0019】
本発明の微生物の培養に用いられる培地としては、前記生育範囲pHであり、かつ前記窒素源、炭素源、補助成分等を含有する培地であればよい。前記培地としては、具体的には、例えば、ポテトデキストロース培地〔ニッスイ社製、カタログ番号05709、培地1リットルあたりの組成:ポテト抽出液末 4.0g、ブドウ糖 20g、寒天 15g(pH6.0)〕、Nutrient Broth〔オキソイド(Oxoid)社製、カタログ番号250427、培地1リットルあたりの組成:Lab−Lemco powder(商品名) 1g、ペプトン 5g、酵母エキス 2g、塩化ナトリウム 5g、寒天 15g(pH6.0)〕等が挙げられる。なお、前記培地、例えば、前記ポテトデキストロース培地及びNutrient Brothを液体培地として用いる場合、寒天を含まない組成とすればよい。
【0020】
本発明の微生物による植物病原菌の生育の抑制能は、例えば、植物病原菌を播種した固体培地上に、本発明の微生物の培養物を供し、阻止円の形成の有無、阻止円の大きさを観察する評価方法により、評価されうる。前記固体培地としては、例えば、前記ポテトデキストロース培地等が挙げられ、好ましくは、植物病原菌の生育及び本発明の微生物の生育が良好であり、かつ阻止円の形成が確認可能な培地であることが望ましい。
【0021】
なお、本発明の微生物による前記植物病原菌の生育の抑制能の発現は、培養条件、具体的には、培養温度、培養pH、培養時間、培養時における振盪度等について至適化することにより、最適化されうる。かかる培養条件の至適化は、種々の培養条件下に培養して得られた各種培養物について、前記評価方法により、阻止円の大きさを評価することにより容易に行なわれうる。
【0022】
本発明の微生物は、肥料、コンポスト化過程にある堆積物を滅菌水等に懸濁し、ついで、得られた懸濁液を前記培地に塗布して、培養し、得られたコロニーについて、前記植物病原菌の生育を抑制すること、後述の実施例の表1〜表4に示される微生物学的性質等を指標として単離して、得ることができる。
【0023】
本発明の微生物によれば、前記したように、植物病原菌の生育を抑制することができるため、本発明の微生物、その馴化培地又はその抽出物を有害生物等に対する防除剤として用いることができる。したがって、本発明により、防除剤が提供されうる。
【0024】
本発明の防除剤は、下記a)〜c):
a)前記バチルス(Bacillus)属に属する微生物、
b)前記バチルス(Bacillus)属に属する微生物の馴化培地、及び
c)前記バチルス(Bacillus)属に属する微生物の抽出物
からなる群より選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有する。したがって、本発明の防除剤によれば、土壌等への供給、肥料等への供給、植物の根部への供給、種子への供給等の簡便な手法により、有害生物により引き起こされる植物の病害等を防ぐことができるという優れた効果を発揮する。また、本発明の防除剤によれば、土壌に供給することにより、植物病原菌の生育を抑制し、それにより、土壌病害を生じにくい土壌に改良することができるという優れた効果を発揮する。
【0025】
本発明の防除剤は、キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分をさらに含有してもよい。
【0026】
本発明の防除剤によれば、広範囲の植物病原菌、例えば、複数又はそれ以上の植物病原菌に対して抗菌活性を発揮し、かつ害虫を忌避することができる。したがって、本発明の防除剤は、種々の土壌病害を防除することができるという優れた効果を発揮する。
【0027】
本発明の防除剤により防除されうる有害生物としては、前記植物病原菌等の微生物;コナガ〔Plutella xylostella(Linnaus)〕、エンドウヒゲナガアブラムシ〔Acyrthosiphon pisum(Harris)〕等が挙げられる。
【0028】
前記「供給」としては、散布、混合、塗布、浸漬等が挙げられる。
【0029】
本明細書においては、前記a)の「微生物」とは、培養後に得られた培養液又は微生物細胞自体をいう。前記a)の微生物は、本発明の微生物を、前述の適切な培地で、適切な培養条件下に培養することにより得られうる。
【0030】
本明細書においては、前記b)の「馴化培地」とは、培養後の培養液から、微生物細胞を除去して得られた培養産物をいう。前記b)の馴化培地は、例えば、濾過、遠心分離等により、培養液から、微生物細胞を除去することにより得られうる。
【0031】
本明細書においては、前記c)の「抽出物」とは、前記a)の微生物又は前記b)の馴化培地から抽出された産物をいう。前記c)の抽出物は、例えば、
(I)前記微生物細胞を、リゾチーム等の溶菌性酵素、超音波、圧力、凍結等の手段により破砕し、得られた破砕物を慣用の精製法(例えば、塩析、カラムクロマトグラフィー、有機溶媒抽出等)により精製すること、
(II)前記馴化培地を慣用の精製法(例えば、塩析、カラムクロマトグラフィー、有機溶媒抽出等)により精製すること、
等により得られうる。
【0032】
前記キク科植物としては、アーティチョーク、防虫菊等が挙げられる。また、ショウガ科植物としては、月桃等が挙げられる。
【0033】
前記キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分としては、例えば、前記キク科植物又はショウガ科植物からアルコール抽出、熱水抽出、水蒸気蒸留方法等により抽出された抽出液(すなわち、エタノール抽出物、熱水抽出物、水蒸気蒸留抽出物等)等が挙げられる。具体的には、アーティチョークのエタノール抽出物、アーティチョークの熱水抽出物、月桃のエタノール抽出物、月桃の熱水抽出物、月桃の水蒸気蒸留抽出物等が挙げられる。
【0034】
本発明の防除剤中の前記a)〜c)の有効成分の含有量は、植物病原菌の生育を抑制するに十分な量であればよい。特に限定されないが、例えば、本発明の防除剤中の前記a)〜c)の有効成分の量としては、微生物の量として、1×102 〜1×1030 cfu、好ましくは、1×103 〜1×1015 cfu、より好ましくは、1×105 〜1×1012 cfuに相当する量等が挙げられる。また、使用時に、水、培地成分等で希釈して用いるためには、さらに、濃縮されたものであってもよい。
【0035】
前記害虫忌避成分をさらに含有した本発明の防除剤中における該害虫忌避成分の含有量は、害虫忌避効果を発揮させるに十分な量であればよい。
【0036】
本発明の防除剤の供給方法としては、例えば、用途に適した濃度で前記a)〜c)の有効成分を含有した防除剤、又は用途に適した濃度で前記a)〜c)の有効成分と前記害虫忌避成分とを含有した防除剤を、じょうろや噴霧器等を用いて、作物の苗、種子等を植える前の土壌に供給すること、作物の苗、種子等に直接供給すること等が挙げられる。本発明の防除剤を供給した土壌は、土壌病害菌の生育が抑制され、有用微生物の多く存在する環境となり土壌病害の起こりにくい土壌となる。
【0037】
また、本発明の防除剤は、作物の種類及びその生育時期、植物病原菌の種類及びその活動時期、害虫の種類及びその発生時期等に合わせて施用されうる。
【0038】
なお、本発明の防除剤の防除効果の評価は、例えば、
(i)防除剤の供給による植物病原菌に対する阻止円の形成の有無又は該阻止円の大きさの測定を行なう評価方法、
(ii)防除剤を塗布した葉等に集まる害虫の有無又は害虫の死虫率の測定を行なう評価方法、
等により行なわれうる。ここで、前記(i)の評価方法においては、阻止円を形成することが、該防除剤が、防除効果を有することの指標となり、阻止円の大きさが、防除効果の大きさに比例する。また、前記(ii)の評価方法においては、防除剤を塗布した葉等に害虫が集まらないこと及び害虫が死に至ることが、該防除剤が、防除効果を有することの指標となる。
【0039】
本発明の微生物によれば、有害生物の防除方法が提供されうる。本発明の防除方法は、前記a)〜c)からなる群より選ばれた少なくとも1種を、植物又は該植物を生育させるための土壌に供給することを特徴とする方法である。本発明の防除方法においては、キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分を植物又は該植物を生育させるための土壌にさらに供給してもよい。
【0040】
本発明の防除方法において、前記a)〜c)の供給量及び前記害虫忌避成分の供給量は、植物の種類、植物への供給箇所の大きさ、植物を生育させるための土壌の面積、防除対象の微生物の種類、防除対象の害虫の種類等により適宜設定することができる。前記a)〜c)の供給量は、例えば、ほうれん草株腐れ病病原菌に対しては、土壌1m3 あたり、微生物の量として、1×103 〜1×1015cfu、好ましくは、1×105 〜1×1012 cfuとなる量であればよく、他の病原菌に対しても同様の量であればよい。また、前記害虫忌避成分の供給量は、前記害虫忌避成分を防除剤1L中2.5g(乾燥重量)含有する場合、水により、500〜10,000倍の濃度とし、防除効果を発揮しうる量となるように、土壌又は植物に撒布すればよい。
【0041】
本発明の防除方法において、前記a)〜c)と前記害虫忌避成分とは、前記防除剤として、植物又は該植物を生育させるための土壌に供給してもよい。
【0042】
植物又は該植物を生育させるための土壌への前記a)〜c)と前記害虫忌避成分との供給は、散布、混合、塗布、浸漬等により行なわれうる。具体的には、特に限定されないが、例えば、
− 本発明の微生物の培養液を、作物を栽培する前の土壌に混和、又は噴霧器により土壌に撒布すること、
− 本発明の微生物の馴化培地を、噴霧器により、作物が植えられた土壌又は作物に撒布すること、
− 本発明の微生物の馴化培地を結晶化又は粉末化させて得られた産物を、作物を栽培する前の土壌に混和又は作物が植えられた土壌に撒布すること、
−本発明の微生物の培養液を、ふすま、もみがら、土壌改良剤に添加し、固定させて得られた産物を、作物を栽培する前の土壌に混和又は該土壌に撒布すること、
− 本発明の微生物の馴化培地と、キク科植物又はショウガ科植物から、エタノール抽出液又は熱水抽出液とを混合して得られた防除剤又は、該馴化培地とエタノール抽出液又は熱水抽出液とのそれぞれを別々に、噴霧器を用いて、害虫の発生しやすい箇所に撒布するか、あるいは、作物又は土壌に撒布すること
等が挙げられる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例等により詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等により限定されるものではない。
【0044】
実施例1
(1)供試試料の調製
株式会社カンサイ倉橋工場内のコンポスト化過程にある堆積物から1ヵ所あたり約100gの堆積物を採取した。採取した堆積物のうち約1gと、滅菌生理食塩水10mlとを、26ml容の試験管に入れた。得られた混合物を、ボルテックスミキサーで約5分間混合し、その後、20分間室温(約25℃)で放置し、10% 試料含有懸濁(供試試料)を得た。得られた供試試料を、植物病原菌に対する阻止円形成試験に供した。
【0045】
(2)対峙試験
植物病原菌として、
a)ほうれん草株腐病の病原菌〔リゾクトニア ソラニ ケーン(Rhizoctonia solani kuehn)〕
b)ほうれん草萎凋病の病原菌〔フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ スピナシエ O−27株(Fusarium oxysprum f.sp.spinaciae O−27)〕
c)果樹紋羽病の病原菌〔ロセリニア ネカトリクス(Rosellinia necatrix)〕、及び
d)トマト根腐萎凋病の病原菌〔フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ ラディシス−リオペルシチ O−34株(Fusarium oxysprum f.sp.Radicis−lyopersici O−34)〕
を用いた。
【0046】
ポテトデキストロース培地〔ニッスイ社製、カタログ番号:05709(1リットルあたりの組成:ポテト抽出液粉末 4g、ブドウ糖 20g、寒天粉末 15g)〕 3.9gを、イオン交換水 100mlに溶解し、得られた溶液を121℃で15分間滅菌した。ついで、得られた滅菌培地 20mlを、滅菌シャーレに入れ、固化させ、試験用培地を得た。
【0047】
各植物病原菌を、前記試験用培地の中心部分に接種した。ついで、播種箇所から等間隔になるように、試験用培地に円形濾紙(直径8mm、厚手、アドバンテック社製)を四方に配置した。なお、前記円形濾紙は、使用前に、121℃で15分間処理することにより滅菌された濾紙である。
【0048】
前記(1)で得られた供試試料 100μlを、試験用培地の円形濾紙上に滴下した。
【0049】
ついで、各試験用培地を、30℃の恒温室内で、約1〜2週間インキュベートした。その後、各試験用培地上の阻止円を観察した。阻止円を形成した供試試料について、画線塗抹培養を繰返し行なうことにより、菌を純粋化した。
【0050】
ついで、純粋化された菌を用いて、対峙試験を行なった。明確な阻止円の形成を、植物病原菌の生育抑制能を有する菌であることの指標とした。その結果、A−3、A−7及びA−19が得られた。
【0051】
(3)微生物学的性質の検討
得られたA−3、A−7及びA−19のそれぞれについて、微生物学的性質を調べた。各微生物学的性質は、慣用の方法により評価された。その結果を表1〜4に示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004189224
【0053】
【表2】
Figure 0004189224
【0054】
【表3】
Figure 0004189224
【0055】
【表4】
Figure 0004189224
【0056】
前記表1〜4に示される微生物学的性質及び16s rDNAの塩基配列の解析結果から、前記A−3、A−7及びA−19は、バチルス(Bacillus)属に属する細菌であることが示唆された。
【0057】
なお、前記A−3、A−7及びA−19は、それぞれ、Bacillus sp. A−3、Bacillus sp. A−7及びBacillus sp. A−19と命名・表示され、寄託日:2002年12月26日、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター〔日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6(郵便番号305−8566)〕に、FERM P−19178、FERM P−19179及びFERM P−19180として寄託されている。
【0058】
実施例2
実施例1で得られたA−3、A−7及びA−19を、それぞれ、前記ポテトデキストロース培地に、1白金耳播種し、30℃で24時間、240rpmで振盪培養した。
【0059】
試験例1 円形濾紙法
前記防除剤による各種微生物の生育に対する抑制効果を、前記実施例2で得られた各馴化培地による該微生物の生育に対する阻止円の形成及び該阻止円の大きさを測定することにより評価した。
【0060】
微生物としては、前記a)〜d)の植物病原菌、酵母等を用いた。各微生物を、それぞれの培養に適した培地を用い、十分に生育するまで培養し、各微生物の培養物を得た。
【0061】
ポテトデキストロース培地〔ニッスイ社製、カタログ番号:05709(1リットルあたりの組成:ポテト抽出液粉末 4g、ブドウ糖 20g、寒天粉末 15g)〕 3.9gを、イオン交換水 100mlに溶解し、得られた溶液を121℃で15分間滅菌した。ついで、得られた滅菌培地 20mlを、滅菌シャーレに入れ、固化させ、試験用培地を得た。
【0062】
ついで、得られた試験用培地上の中心部分に、5mm×5mm角で各種微生物を播種した。また、播種箇所から等間隔(2cm)になるように、試験用培地に121℃で15分間滅菌した円形濾紙(直径8mm、アドバンテック社製、商品名:定性濾紙、厚手)を四方に配置し、該円形濾紙上に、実施例2で得られた培養液 100μlを滴下した。
【0063】
ついで、各試験用培地を、30℃の恒温室内で、前記a)及びc)については、約1週間インキュベートし、前記b)及びd)については、約2週間インキュベートした。その後、各試験用培地上の阻止円の形成を観察した。その結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 0004189224
【0065】
その結果、表5に示すように、各種微生物に対して、明確な阻止円を形成することがわかった。すなわち、実施例1で得られた各細菌は、防除剤として有用であることが示された。また、実施例1で得られた各細菌は、複数の植物病原菌、植物病原菌等の生育を抑制し、さらには、酵母の生育の抑制能を有することが示され、特に、A−3は、黄色色素を産生したため、新規菌株であることが示唆された。
【0066】
実施例3
月桃(葉2kg/エタノール18L、茎3.78kg/エタノール10L)又はアーティチョーク(葉4.3g/エタノール200ml)を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、エタノール抽出液〔月桃 約20mg(月桃抽出物乾燥重量)/ml、アーティチョーク 約100mg(アーティチョーク抽出物乾燥重量)/ml〕を得た。ついで、前記エタノール抽出液と、実施例2で得られた馴化培地とを混合し、エタノール抽出液の最終濃度が、1体積%、10体積%又は50体積%である被検試料を得た。
【0067】
ここで、なお、月桃のエタノール抽出液から得られた1体積%−被検試料、10体積%−被検試料及び50体積%−被検試料のそれぞれに含まれる抽出物は、乾燥重量として、それぞれ、約0.93μg、約9.3μg及び約46.5μgである。また、アーティチョークのエタノール抽出液から得られた1体積%−被検試料、10体積%−被検試料及び50体積%−被検試料のそれぞれに含まれる抽出物は、乾燥重量として、それぞれ、約4.65μg、約46.5μg、約232.5μgである。
【0068】
また、月桃(葉 1kg/イオン交換水 4L、茎 1kg/イオン交換水 1L)又はアーティチョーク(葉 100g/イオン交換水 300ml)を沸騰水中で1時間煮沸し、ロータリーエバポレーター等により、熱水抽出液〔100mg(抽出物乾燥重量)/ml〕を得た。ついで、前記熱水抽出液と、実施例2で得られた馴化培地とを混合し、熱水抽出液の最終濃度が、1体積%、10体積%又は50体積%である被検試料を得た1体積%−被検試料、10体積%−被検試料及び50体積%−被検試料のそれぞれに含まれる抽出物は、乾燥重量として、それぞれ、約4.65μg、約46.5μg、約232.5μgである。
【0069】
試験例2
(1)供試昆虫の調製
供試昆虫として、コナガと、エンドウヒゲナガアブラムシとを用いた。
【0070】
コナガ及びエンドウヒゲナガアブラムシともに、25±3℃、明条件16時間−暗条件8時間の条件下、インキュベーター内で飼育した。
【0071】
エンドウヒゲナガアブラムシについては、以下のようにして得られた虫体を用いた。ソラマメの芽出し(発芽から約4日〜1週間)の茎部分(豆の直上部分)に、産業用ワイパー〔商品名:キムワイプ(登録商標)(十条キンバリー株式会社製)〕 約1cm×15cmを巻きつけた。ついで、ワイパーを巻き付けた茎を、試験管(外径25mm、長さ150mm)に入れた。かかる試験管に、成虫数匹を入れ、産子させ、1〜2齢の幼虫を得た。また、同様に、成虫に産子させ、該成虫を除去した後、幼虫を生育して、成虫を得た。得られた1〜2齢の幼虫と成虫とを、以下の試験に用いた。
【0072】
また、コナガについては、カイワレ大根と人工飼料(ニッチク薬品工業(株)社製、商品名:インセクタコナガ−0128)とを併用して累代飼育した個体群の脱皮直後の4齢幼虫を用いた。
【0073】
(2)エンドウヒゲナガアブラムシに対する忌避効果の評価
有害生物の代表例として、エンドウヒゲナガアブラムシを用い、実施例3で得られた被検試料による該エンドウヒゲナガアブラムシに対する忌避効果を評価した。
【0074】
ソラマメの芽出しの上部を、前記被検試料に1分間浸漬させ、その後、風乾した。ついで、ソラマメの芽出しと幼虫をカップに入れた。その後、カップに幼虫を入れた時点から開始して、24時間毎に、観察し、1〜2齢の幼虫及び6〜7齢の成虫が、芽出しに寄りつくかどうかを指標として、忌避効果を評価した。なお、対照として、前記被検試料のかわりに、エタノール又は水に浸漬させたソラマメの芽出しを用いた。
【0075】
その結果、対照であるエタノール又は水に浸漬させたソラマメの芽出しには、エンドウヒゲナガアブラムシが寄ってきたが、A−3、A−7及びA−19のそれぞれから得られた各被検試料に浸漬させたソラマメのいずれにも寄りつかなかった。したがって、A−3、A−7及びA−19は、エンドウヒゲナガアブラムシを忌避する性質を有することがわかった。
【0076】
(3)コナガに対する忌避効果の評価
有害生物の一例として、コナガを用い、実施例3で得られた被検試料による該コナガに対する忌避効果を評価した。
【0077】
忌避効果の評価には、キャベツの苗片(直径2cm)の両面に、前記被検試料20μlを塗布し、風乾させ、得られた処理苗片を用いた。前記処理苗片を、直径6cm、高さ28cmのカップ内に入れ、コナガ4齢幼虫を1カップあたり1匹を該カップにさらに入れた。24時間毎にコナガが蛹になるまでの期間観察し、接触後の死虫率を調べた。なお、対照として、前記被検試料のかわりに、エタノール又は水で処理した対照苗片を用いた。また、処理苗片及び対照苗片を、24時間毎に交換した。結果を表6〜9に示す。
【0078】
【表6】
Figure 0004189224
【0079】
【表7】
Figure 0004189224
【0080】
【表8】
Figure 0004189224
【0081】
【表9】
Figure 0004189224
【0082】
その結果、対照であるエタノール又は水で処理した対照苗片には、コナガが寄ってきたが、月桃及びアーティチョークのそれぞれから得られた各被検試料で処理した処理苗片のいずれにも寄りつかなかった。したがって、月桃及びアーティチョークは、コナガを忌避する性質を有することがわかった。
【0083】
試験例3
有害生物の代表例として、エンドウヒゲナガアブラムシ1〜2齢幼虫を用い、前記実施例3で得られた被検試料に対する該エンドウヒゲナガアブラムシの薬剤感受性を評価した。
【0084】
ガラス管(直径8mm×高さ40mm)の一端を、LABORATORY FILM(商品名:パラフィルム)で覆った。被検試料と人工飼料(組成を表10に示す)との混合物 20μlを、前記ガラス管上のパラフィルム部分に滴下し、その上を薄く伸張したパラフィルムで覆った。得られたものを、被検試料の有効量の評価のための餌として用いた。
【0085】
【表10】
Figure 0004189224
【0086】
前記餌に、円筒状に加工したゼラチンカプセル(和光純薬工業株式会社製、商品名:ゼラチンカプセルNo.00を加工し使用した)をかぶせた。前記カプセル内に、エンドウヒゲナガアブラムシを入れ、ゴース(3cm×3cm角)とプラスチックチューブ(内径8mm、外径11mm、高さ8mm)とで蓋をし、飼育瓶を得た。対照として、エタノール又は水と前記人工飼料との混合物 20μlを用いた。
【0087】
エンドウヒゲナガアブラムシを入れた後、1つの飼育瓶の中に1 〜2齢幼虫を3匹ずつ入れ、23±3℃の条件下、24時間毎に、脱皮数及び死虫数を観察し、評価を行なった。結果を表11〜表14に示す。
【0088】
【表11】
Figure 0004189224
【0089】
【表12】
Figure 0004189224
【0090】
【表13】
Figure 0004189224
【0091】
【表14】
Figure 0004189224
【0092】
その結果、表11及び表12に示されるように、エンドウヒゲナガアブラムシは、月桃の茎のエタノール抽出液の含有量が10体積%である被検試料に対し、1日目で、33%の死虫率という高い感受性を示した。また、表13及び表14に示されるように、エンドウヒゲナガアブラムシは、アーティチョーク−株のエタノール抽出液又は熱水抽出液の含有量が50体積%である被検試料に対し、1日目で、33%の死虫率という高い感受性を示した。
【0093】
実施例4
実施例2と同様に、A−3、A−7又はA−19を培養し、得られた培養液を含有した防除剤(1×102 〜1×10 30 cfu相当量)を調製する。
【0094】
得られた防除剤を、作物を栽培する前の土壌に混和、又は噴霧器により土壌に撒布する。その結果、土壌の環境を、植物病害に強い土壌に改良できる。
【0095】
実施例5
実施例2と同様に、A−3、A−7又はA−19を培養し、得られた培養液から菌体を除去し、得られた馴化培地(1×102 〜1×10 30 cfu相当量)を含有した防除剤を調製する。
【0096】
得られた防除剤を、噴霧器により、作物が植えられた土壌又は作物に撒布する。その結果、作物の病害を防ぐことができる。
【0097】
実施例6
実施例2と同様に、A−3、A−7又はA−19を培養し、得られた培養液から菌体を除去し、得られた馴化培地(1×102 〜1×10 30 cfu相当量)を結晶化又は粉末化させ、防除剤を調製する。
【0098】
得られた防除剤を、作物を栽培する前の土壌に混和又は作物が植えられた土壌に撒布する。その結果、作物の病害を防ぐことができる。
【0099】
実施例7
実施例2と同様に、A−3、A−7又はA−19を培養し、得られた培養液(1×102 〜1×10 30 cfu相当量)を、ふすまやもみがら、土壌改良剤に添加し、固定させる。得られた産物を、作物を栽培する前の土壌に混和又は該土壌に撒布する。その結果、植物病害を防ぐことができる。
【0100】
実施例8
実施例2と同様に、A−3、A−7又はA−19を培養し、得られた培養液から菌体を除去し、馴化培地を得る。また、実施例3と同様に、キク科植物又はショウガ科植物から、エタノール抽出液又は熱水抽出液を調製する。ついで、馴化培地と、エタノール抽出液又は熱水抽出液とを含有した防除剤を調製する。
【0101】
得られた防除剤を、噴霧器を用いて、害虫の発生しやすい箇所に撒布するか、あるいは、作物又は土壌に撒布する。その結果、害虫忌避効果が得られ、かつ植物病害を防ぐことができる。
【0102】
【発明の効果】
本発明の微生物によれば、種々の植物病原菌を防除することができ、植物病原菌の生育を抑制し、土壌病害を生じにくい土壌に改良することができ、種々の土壌病害を防除することができるという優れた効果を奏する。また、本発明の防除剤によれば、土壌等への供給、肥料等への供給、植物の根部への供給等の簡便な手法により種々の病害等を防ぐことができ、広範囲の植物病原菌に対して抗菌活性を発揮し、かつ害虫を忌避することができ、土壌病害を生じにくい土壌に改良することができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の防除方法によれば、土壌等への供給、肥料等への供給、植物の根部への供給等の簡便な手法により種々の病害等を防ぐことができ、広範囲の植物病原菌に対して抗菌活性を発揮し、かつ害虫を忌避することができ、土壌病害を生じにくい土壌に改良することができるという優れた効果を奏する。
【0103】
【配列表】
Figure 0004189224
Figure 0004189224
Figure 0004189224
Figure 0004189224

Claims (8)

  1. ムコル ヘマリス ヴェーマー エフ.ヘマリス(Mucor hiemalis Wehmer f.hiemalis)、リゾプス オリゼ ウェント アンド プリンセン ギーリングズ(Rhizopus oryzae Went & Prinsen Geerings)、カンジダ アルビカンス (ロビン) バークホント〔Candida albicans(Robin) Berkhont〕、クリプトコッカス ネオフォーマンス(サンフェリス) ブィレミン〔Cryptococcus neoformans (Sanfelice) Vuillemin〕、ピキア メンブラニ ファシエンス (イー.シー.ハンセン) イー.シー.ハンセン〔Pichia membrani faciens (E.C.Hansen) E.C.Hansen〕及びサッカロマイセス セルビジエ マイヤー イーエックス イー.シー.ハンセン〔Saccharomyces cerevisiae Meyer ex E.C.Hansen〕からなる群である植物病原菌の生育の抑制能を有する、FERM P−19178、FERM P−19179及びFERM P−19180からなる群より選ばれたバチルス(Bacillus)属に属する微生物。
  2. 下記a)〜c):
    a)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
    b)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の馴化培地、及び
    c)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の抽出物
    からなる群より選ばれた少なくとも1種を有効成分として含有してなる、植物に対する有害生物の防除剤。
  3. キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分をさらに含有してなる、請求項記載の防除剤。
  4. 害虫忌避成分が、キク科植物の抽出物又はショウガ植物の抽出物である、請求項記載の防除剤。
  5. 下記a)〜c):
    a)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物、
    b)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の培養物、及び
    c)請求項1記載のバチルス(Bacillus)属に属する微生物の抽出物
    からなる群より選ばれた少なくとも1種を、植物又は該植物を生育させるための土壌に供給することを特徴とする、有害生物の防除方法。
  6. キク科植物又はショウガ科植物由来の害虫忌避成分を植物又は該植物を生育させるための土壌にさらに供給する、請求項記載の有害生物の防除方法。
  7. 有害生物が、アスペルギルス フラバス リンク フリーズエフ グレーバー(Aspergillus flavus Link Fries f glaber)、アスペルギルス フラバス リンク フリーズ バー.オリゼ(Aspergillus flavus Link Friesvar. oryzae)、アスペルギルス ナイジャー ファン ティーゲム(Aspergillus niger van Tieghem)、ムコルヘマリス ヴェーマー エフ.ヘマリス(Mucor hiemalis Wehmer f.hiemalis)、ペニシリウム クリソゲナム ゾーム(Penicillium chrysogenum Thom)、リゾプス オリゼ ウェント アンド プリンセン ギーリングズ(Rhizopus oryzae Went & Prinsen Geerings)、カンジダ アルビカンス (ロビン) バークホント〔Candida albicans (Robin) Berkhont〕、クリプトコッカス ネオフォーマンス (サンフェリス) ブィレミン〔Cryptococcus neoformans (Sanfelice) Vuillemin〕、ピキア メンブラニ ファシエンス (イー.シー.ハンセン) イー.シー.ハンセン〔Pichia membrani faciens (E.C.Hansen) E.C.Hansen〕、サッカロマイセス セルビジエ マイヤー イーエックス イー.シー.ハンセン〔Saccharomyces cerevisiae Meyer ex E.C.Hansen〕、リゾクトニア ソラニ ケーン O−28株(Rhizoctonia solani kuehn O−28)、ロセリニア ネカトリクス(Rosellinia necatrix)、フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ スプナシエ O−27株(Fusarium oxysprum f.sp.spnaciae O−27)、フザリウム オキシスプラム エフ.スピーシーズ ラディシス−ライコペルシチ O−34株(Fusarium oxysprum f.sp.Radicis−lycopersici O−34)、エンドウヒゲナガアブラムシ及びコナガからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項5又は6記載の有害生物の防除方法。
  8. 配列番号:1 〜3いずれかに示される塩基配列を有する核酸。
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