JP4188540B2 - 電線端子接続方法 - Google Patents
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Description
この発明は、電線と端子とをかしめによって接続する電線端子接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電線の末端部と端子とをかしめによって接続する電線端子接続構造として、図6に示すものが知られている。端子1は、端子板2と円筒状のスリーブ3とを一体に形成してなり、電線4の導体5をスリーブ3の内部に挿入した状態でスリーブ3の外周が例えば六角形にかしめられることにより、電線4の導体5と結合されるようになっている。図7は、かしめ工程を示す図である。端子1のスリーブ3を同図(a)に示すようなかしめ装置6,7で同図(b)のように上下から挟み込んで圧縮することにより、スリーブ3の断面形状は、同図(c)のように、かしめ装置6,7によって規定される六角形状にかしめられる。この電線端子接続方法によれば、かしめによって電気的接続と接続部の機械的強度が得られると共に、電線4の導体5を均一に圧縮することで、安定した接続を得ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、かしめ前のスリーブ3の外径Dがかしめ後のスリーブ3の六角形断面の長径Lとなるため、スリーブ3の肉厚tと電線4の導体5の断面積とにより圧縮率が決定される。容易に圧縮率を高くする方法としては、スリーブ3の内径と導体5の外径との差(隙間)をできるだけ無くすようにすることが考えられるが、極端に隙間がない場合、電線4の挿入力が大きくなり、撚り線の場合には、素線がはみ出してしまい実用上問題となる。そこで、上下のかしめ装置に突起を設けて圧縮率を高くする方法も考案されているが、六角形の全ての面に突起を設けることは、上下で挟み込む構造の場合、アンダーカットとなるため不可能である。このため、六方向にバランスのとれたかしめ形状とすることはできない。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、作業性を損なったり特殊な設備を使用することなく、容易に高い圧縮率が得られ、これにより電気的、機械的な性能を向上させることができる電線端子接続方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電線端子接続方法は、電線を筒状の端子に挿入して前記端子の両端部を除いた外周を内側に圧縮することにより前記電線と前記端子とをかしめて接続する電線端子接続方法において、上下に配置されて前記端子を上下から圧縮面で圧縮するかしめ装置であって、閉じた状態における前記圧縮面の断面形状が正六角形の頂点に対応する6つの頂点を有すると共に各頂点間を前記正六角形の内側に湾曲状に突出させた曲線で接続した星形をなし、前記断面形状の一対の対向する頂点が水平線に位置し、前記圧縮面がアンダーカットが生じないように開放側に開く角度に設定されたかしめ装置で、前記端子を圧縮してかしめるようにしたことを特徴とする。
また、本発明に係る電線端子接続方法は、電線を筒状の端子に挿入して前記端子の両端部を除いた外周を内側に圧縮することにより前記電線と前記端子とをかしめて接続する電線端子接続方法において、上下に配置されて前記端子を上下から圧縮面で圧縮するかしめ装置であって、閉じた状態における前記圧縮面の断面形状が正六角形の頂点に対応する6つの頂点を有すると共に各頂点間を前記正六角形の内側に突出させた折線で接続した星形をなし、前記断面形状の一対の対向する頂点が水平線に位置し、前記圧縮面がアンダーカットが生じないように開放側に開く角度に設定されたかしめ装置で、前記端子を圧縮してかしめるようにしたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、端子の断面形状が例えば星形のように、正六角形の各頂点間を内側に押没させた形状となるように端子をかしめるようにしているので、従来のかしめ工程と同じ工程を維持しつつ、従来の六角形状のかしめよりも高い圧縮率が得られ、電気的性能及び機械的強度を高めることができる。
【0011】
なお、端子の断面形状は、頂点間を内側に湾曲させた曲線で接続された星形でも、頂点間を内側に突出させた折線で接続された星形でも良いが、前者の場合には、装置へのダメージが小さく、装置の耐久性を高めることができるという利点があり、後者の場合には、より高い圧縮率が得られるという利点がある。なお、前記端子を、相対向する頂点間を結ぶ線と直交する2方向から圧縮してかしめるようにすると、アンダーカットのない2方向からのかしめが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施例に係る電線端子接続構造を示す図で、同図(a)は外観斜視図、同図(b)はスリーブの断面図である。
端子11は、端子板12と円筒状のスリーブ13とを一体に形成してなり、電線14の導体15をスリーブ13の内部に挿入した状態でスリーブ13の外周が星形断面となるようにかしめられることにより、電線14の導体15と結合されている。この実施例では、スリーブ13の断面形状が、頂点間を内側に湾曲させた曲線で接続した6つの頂点を有する星形形状となっている。
【0013】
図2は、本発明の第2の実施例に係る電線端子接続構造のスリーブの断面形状を示す断面図である。この実施例では、スリーブ21の断面形状が、頂点間を内側に突出させた折線で接続した6つの頂点を有する星形形状となっている。
【0014】
図3は、上記第1の実施例と第2の実施例にそれぞれ対応した電線端子接続方法及び装置を説明するための図である。
同図(a)は第1の実施例に対応する。かしめ装置31,32は、上下に配置されてスリーブ13を上下から圧縮する。かしめ装置31,32のスリーブ13を圧縮する圧縮面33,34の断面形状は、アンダーカットが生じないように、対向する頂点を水平線に一致させた形状となっている。このかしめ装置31,32は、圧縮面33,34の断面形状が、頂点間を外側に湾曲した曲線でつないだ星形形状となっているので、スリーブ13をかしめたときのダメージが少なく、耐久性が高いという利点がある。
【0015】
同図(b)もこれと同様に、かしめ装置35,36によりスリーブ21を上下から圧縮する。圧縮面37,38の断面形状も、アンダーカットが生じないように、頂点間をつなぐ折線の対向する辺が平行よりも開放側に開く角度で且つ対向する頂点を水平線に一致させた形状となっている。
【0016】
かしめによる圧縮率は、接続する電線14の導体15の径やスリーブ13,21の肉厚によるが、仮にスリーブと導体とを合わせた直径Dの同一材料による均一に圧縮される丸棒を想定し、かしめ前の断面積をS1、長径Dの正六角形(従来例)にかしめた場合の断面積をS2、長径Dの曲線星形(第1実施例)にかしめた場合の断面積をS3、長径Dの折線星形(第2実施例)にかしめた場合の断面積をS4とすると、S1,S2,S3,S4は、それぞれ次のようになる。
【0017】
【数1】
S1=π×D2/4
S2=3√3×D2/8
S3=(3√3−π)×D2/4
S4=√3×D2/4
【0018】
したがって、従来例のかしめ方法によれば圧縮率がS2/S1=0.827、第1実施例では圧縮率がS3/S1=0.654、第2実施例では圧縮率がS4/S1=0.551となり、従来方式の82.7%に対し、第1実施例では65.4%、第2実施例では55.1%まで圧縮率を高めることができる。
【0019】
上述した実施例によれば、従来と作業工程は何ら変わらないので、作業性を些かも低下させることなく、電気的性能及び機械的強度を高めることができる。また、装置の圧縮面の曲率、突出量等の形状を変えることで、圧縮率を任意に変えることができるので、同一端子で異なるサイズの電線をかしめることができる。このため、端子の共通化によって、端子の大量生産によるコスト低減を図ることができる。
【0020】
なお、上述した実施例では、電線の末端部の端子に本発明の電線端子接続構造を適用したが、本発明は、筒状の端子一般と電線との接続に適用することができる。例えは図4は、2本の電線41,42を接続する突き合わせジョイント43に本発明を適用した例であり、この場合にも、一対のスリーブ44,45と電線41,42との接続に、星形断面となるようなかしめを行っている。
【0021】
また、上述した実施例では、端子の断面形状が6つの頂点を持つ星形形状であったが、頂点の数は特にこれに限定されるものではない。例えば図5(a)のように、4つの頂点を有する星形形状や、同図(b)のように8つの頂点を持つ星形形状であっても良い。また、本発明は、同図(c)に示すように、星形断面形状の頂点部分が完全な頂点ではなく、円筒形の外周部分が僅かに残っているような星形形状でも良い。
【0022】
以上述べたように本発明によれば、端子の断面形状が星形のように正六角形の各頂点間を内側に押没させた形状となるように端子をかしめるようにしているので、従来のかしめ工程と同じ工程を維持しつつ、従来の六角形状のかしめよりも高い圧縮率が得られ、電気的性能及び機械的強度を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る電線端子接続構造を示す斜視図及び断面図である。
【図2】 本発明の第2の実施例に係る電線端子接続構造を示す断面図である。
【図3】 本発明の第1及び第2の実施例のかしめ工程と装置を説明するための図である。
【図4】 本発明の第3の実施例に係る電線端子接続構造を示す斜視図である。
【図5】 本発明の更に他の実施例に係る電線端子接続構造を示す断面図である。
【図6】 従来の電線端子接続構造を示す斜視図である。
【図7】 従来の電線端子接続方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1,11…端子、2,12…端子板、3,13,21,45,46…スリーブ、4,14,41,42…電線、5,15…導体、6,7,31,32,35,36…かしめ装置、43…突き合わせジョイント。
Claims (2)
- 電線を筒状の端子に挿入して前記端子の両端部を除いた外周を内側に圧縮することにより前記電線と前記端子とをかしめて接続する電線端子接続方法において、
上下に配置されて前記端子を上下から圧縮面で圧縮するかしめ装置であって、閉じた状態における前記圧縮面の断面形状が正六角形の頂点に対応する6つの頂点を有すると共に各頂点間を前記正六角形の内側に湾曲状に突出させた曲線で接続した星形をなし、前記断面形状の一対の対向する頂点が水平線に位置し、前記圧縮面がアンダーカットが生じないように開放側に開く角度に設定されたかしめ装置で、前記端子を圧縮してかしめるようにしたことを特徴とする電線端子接続方法。 - 電線を筒状の端子に挿入して前記端子の両端部を除いた外周を内側に圧縮することにより前記電線と前記端子とをかしめて接続する電線端子接続方法において、
上下に配置されて前記端子を上下から圧縮面で圧縮するかしめ装置であって、閉じた状態における前記圧縮面の断面形状が正六角形の頂点に対応する6つの頂点を有すると共に各頂点間を前記正六角形の内側に突出させた折線で接続した星形をなし、前記断面形状の一対の対向する頂点が水平線に位置し、前記圧縮面がアンダーカットが生じないように開放側に開く角度に設定されたかしめ装置で、前記端子を圧縮してかしめるようにしたことを特徴とする電線端子接続方法。
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