JP4187167B2 - 異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス - Google Patents

異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス Download PDF

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Description

本発明は、異形断面中空糸膜に細胞を充填した細胞集合体、その用途および製造方法に関するものである。本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスは、埋め込み型や循環型のハイブリッド人工臓器のほかに、物質生産装置(バイオリアクター)や細胞培養器(幹細胞増幅器など)等に至る各種用途に好適に使用されるものである。
近年、機能不全あるいは欠損に陥った臓器や組織の治療方法として、培養細胞と生体適合性材料を組み合わせるハイブリッド型人工臓器(バイオ人工臓器ともいう)や再生医療技術の開発が注目されている。
例えば、現在わが国における肝臓病患者は60万人以上といわれており、年間約5万人の患者が肝臓病のために死亡している。このうち約千人が急性肝不全、残りが肝がんを含めた慢性肝不全による死亡である。肝不全などの肝臓病の根本的な治療法は肝移植であるが、臓器提供者(ドナー)不足が大きな問題であり、人工肝臓の開発が求められている。
しかし、500種類以上もの複雑多岐な肝機能を人工的手段のみで代替することは困難であり、人工肝臓として、最近では肝細胞そのものを利用するバイオ人工肝臓が注目されている。
ハイブリッド人工臓器の代表例であるバイオ人工肝臓としては、体外設置型の治療システムが主流である。このバイオ人工肝臓は、肝不全患者から血液を引き出し循環させる生体側回路と、人工肝臓モジュール側で血漿を循環させ、代謝・解毒を行う人工肝臓モジュール側回路を、血漿分離器を介して物質交換させることにより治療を行うものである。
このような人工臓器モジュールには、分散した細胞を用いるのでは不充分である。すなわち、従来から細胞培養に用いられてきた単層培養法では、細胞の機能の消失や低下が避けられず、生体組織に類似する組織体を構築して用いることが重要である。
このような観点から、最近、細胞の球状集合体(スフェロイド)や、円柱状集合体(シリンドロイド)のような器官様集合体(オルガノイド)培養法が新しく確立され、培養下での細胞の高機能発現とその長期機能維持が実現できるようになりつつある。
例えば、本発明者らは、球状集合体(スフェロイド)の培養方法として、ポリウレタンフォーム(PUF)のようなポリマー基材内にスフェロイドを形成する方法を開発した(特開平10−29951号公報、H.Ijima等″Tissue Engineering″第4巻、第2号、213〜226頁(1998))。PUFは主骨格と薄い膜梁構造を有する多孔質であり、PUF孔間がある程度連通していることから、良好な物質交換環境下で高密度培養が達成できる。PUF孔内で肝細胞を培養すると約200個程度の肝細胞が次第に集合し、粒径100μm程度の球状集合体(スフェロイド)を自発的に多数形成する。既に本発明者らは、この培養法を利用した球状集合体(スフェロイド)によるヒト臨床スケールの短期適用型(10日程度)バイオ人工肝臓の開発に成功した。
さらに本発明者らは、よりコンパクトで長期適用型の人工肝臓を追求していたところ、遠心力によって肝細胞を中空糸に高密度に充填できることを見出し、モジュール当たり2.4×10cells/cmの細胞密度を有する人工モジュールを得た(「平成12年度(第31回)繊維学会夏期セミナー講演要旨集」115〜118頁参照)。
また、人工肝臓のベッドサイドでの操作性の向上、慢性的なドナー不足の解消を考えると、さらにコンパクトで長期機能維持が可能な人工肝臓が必要であり、そのために、本発明者らは、より高密度の肝細胞集合体(肝細胞オルガノイド)を開発した。(特開2002−247978号)。
しかしながら、これらの従来の細胞集合体(オルガノイド)は、球状(スフェロイド)や真円状の中空糸膜を用いた円柱状(シリンドロイド)に限られるものであった。なかでも、中空糸膜型のものは取り扱い性やデバイスとしての機能性が極めて優れている反面、用いる中空糸膜の内径が大き過ぎると、中心の細胞に酸素や栄養素が十分に行き渡らずに壊死が生じ、その結果、充填した細胞を無駄なく効率的に利用できない等の問題があった。この細胞の利用効率については、細胞集合体(オルガノイド)を作るための細胞源が脳死ドナー由来のように極めて入手が困難である場合、特に大きな問題となる。反対に、中空糸膜の内径が小さすぎると、均一な中空糸膜の製造およびモジュール化に困難が伴うことがあり、さらにエアロック等を生じやすいので、細胞の均一な充填操作に影響を及ぼすこともあった。
一方、物質生産装置としての構造的な面に着目すると、中空糸膜型の細胞培養装置は知られており、中空糸膜の内側で細胞を培養し外側に培養液を供給するタイプと、その逆のタイプに大別される。これらにおいては、真円状の中空糸膜を用いることが一般的ではあるが、真円状でない中空糸膜が用いられることもあった。例えば、特開昭62−171678号公報には、外周部において長手方向に延長されたフィンを有する異形中空糸膜の内部または外部で細胞を培養することが開示されている。また、特開昭63−233777号公報には、中空部に凹凸を有する中空糸膜の外部で細胞を培養することが開示されている。
前者には、中空糸膜が真円状でなく楕円であっても良いことが記載されてはいるが、膜外部にフィン(ひれ状の凸部)を必要とする中空糸膜であり、フィンによって膜同士の密着を防止し、培養液や細胞の分散性を改善することを主目的とするものであった。また、後者は、膜内部が長手方向に凹凸となるもので、それによって膜内部を流れる培養液に乱流を生じさせ、膜の目詰まりを防止しようとするものであった。
さらに、米国特許第5015585号明細書には、これらを複合したものとして、中空糸膜の内側に別の中空糸膜を組み込んだ、いわゆる二重構造の中空糸膜が開示されている。この例においては、二つの中空糸膜の隙間を一定距離にすることで、その隙間に充填された細胞の生存率を維持することを目的としている。しかしながら、このような二重構造の中空糸膜を得ようとすると、膜素材、膜物性、モジュールのサイズ等を限定しないと構造の均一化は著しく困難であり、ひいては、細胞の均一充填も期待できない。その点において、とても実際的ではなかった。
このように、細胞集合体の形状や中空糸膜型細胞培養装置については、それぞれ種々の検討がなされていたものの、中空糸膜内部に形成させた細胞集合体において、膜の断面形状やその径に工夫を凝らして個々の細胞の利用効率を高めようとした技術は知られていなかった。
本発明は、中空糸内部に細胞が充填されて細胞集合体を形成している中空糸膜型細胞含有デバイスにおいて、充填した細胞を無駄なく効率的に利用でき、細胞の利用効率が向上できる異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを提供することを課題とする。また、本発明は、このような異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを用いる人工臓器を提供することを課題とする。さらに、本発明は、前記デバイスや人工臓器の製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を鋭意検討した結果、異形断面中空糸膜に目的細胞を充填し、特定のサイズに形成させた細胞集合体(オルガノイド)が、充填細胞に壊死層を生じることなく効率よく細胞機能を発揮できることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明者らは上記問題点を解決すべく、さらに研究開発を進めた結果、1)従来一般的であった真円状の中空糸膜ではなく、細胞と中空糸膜内壁までの距離を細胞が壊死しない距離に保ちながら、変形した異形断面中空糸膜を用いれば、中空糸膜の内径が何ら限定されないこと、2)そのような異形断面を真円の中空糸膜を変形させて製造すれば、種々多様な材質や透過性能が知られている市販の中空糸膜を利用することが可能となることに思い至った。そして、このような異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスは、細胞と膜との親和性や物質透過性を自在に設計でき、その結果、埋め込み型から循環型のハイブリッド人工臓器に至るまで適用範囲が格段に広がることを思い至った。このような異形断面中空糸膜を用いた細胞集合体(オルガノイド)の報告は、従来なされていない。
本発明は、以下の(1)〜(29)に関する。
(1)中空糸膜の中空部に細胞を充填した細胞含有デバイスにおいて、該中空糸膜は異形断面を有しており、中空部に形成されている細胞集合体は任意の方向に細胞が2層以上積層し、且つ該細胞集合体の任意の点から直近の中空糸膜内壁までの距離が75μm未満であることを特徴とする異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(2)該直近の中空糸膜内壁までの距離が50μm以下である上記(1)記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(3)異形断面中空糸膜の断面が扁平状であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(4)中空糸膜のポアサイズが0.001〜5μmであることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(5)該ポアサイズが0.05〜1μmである上記(4)記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(6)中空糸膜が、接触角70度以下の合成ポリマーからなることを特徴とする上記(1)〜(5)の何れかに記載の中空糸膜型細胞含有デバイス。
(7)該合成ポリマーが熱可塑性樹脂である上記(6)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(8)該熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である上記(7)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(9)中空糸膜の少なくとも内表面が、親水性ポリマーを含むことを特徴とする上記(1)〜(8)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(10)細胞が動物組織由来細胞であることを特徴とする上記(1)〜(9)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(11)動物組織由来細胞が、肝臓由来細胞、膵臓由来細胞、及びそれらの幹細胞、前駆細胞、あるいは遺伝子組み換え細胞からなる群から選ばれる少なくとも一つの細胞であることを特徴とする上記(10)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(12)動物組織由来細胞が肝細胞であることを特徴とする上記(11)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(13)動物組織由来細胞がヒト臓器由来細胞であることを特徴とする上記(10)〜(12)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(14)中空糸膜と細胞とからなる細胞含有デバイスであって、中空部に細胞集合体を含み、中空糸膜の両端部が封止されてなる上記(1)〜(13)の何れかに記載される埋め込み用の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(15)上記(1)〜(13)の何れかに記載されるハイブリッド人工臓器用の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
(16)上記(1)〜(13)の何れかに記載される異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを少なくとも一つ含んでなるハイブリッド人工臓器。
(17)被処理液の入口と出口を有する容器の内部に、上記(1)〜(13)の何れかに記載される異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスが少なくとも1本収容され、該中空糸膜型細胞含有デバイスの中空内部が被処理液の流通路を成す中空外部とは隔絶されてなることを特徴とするハイブリッド人工臓器。
(18)少なくとも以下の工程を含む異形断面中空糸膜細胞含有デバイスの製造方法。
a)異形断面中空糸膜を得る工程
b)中空糸膜の中空内部に細胞浮遊液を注入する工程
(19)異形断面を有する環状二重紡口を用いて中空糸膜を製膜する工程を含む上記(18)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(20)目的形状を有さない中空糸膜に、その繊維軸の略垂直方向から変形外力を加えて異形断面中空糸膜を得る工程を含む上記(18)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(21)目的形状を有さない中空糸膜を、その繊維軸方向に中空糸膜を引っ張ると同時に断面形状を変型させて異形断面中空糸膜を製膜する工程を含む上記(18)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(22)異形断面中空糸膜の断面が扁平状であることを特徴とする上記(18)〜(21)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(23)中空糸膜の材質が熱可塑性樹脂であることを特徴とする上記(18)〜(22)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(24)注入される細胞が動物組織由来細胞であることを特徴とする上記(18)〜(23)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(25)動物組織由来細胞が、肝臓由来細胞、膵臓由来細胞、及びそれらの幹細胞、前駆細胞、あるいは遺伝子組み換え細胞からなる群から選ばれる少なくとも一つの細胞であることを特徴とする上記(24)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(26)動物組織由来細胞が肝細胞であることを特徴とする上記(25)に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(27)動物組織由来細胞がヒト臓器由来細胞であることを特徴とする上記(24)〜(26)の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
(28)上記(18)〜(27)の何れかに記載される細胞含有デバイスの製造方法を含むハイブリッド人工臓器の製造方法。
(29)被処理液の入口と出口、および細胞の注入口を有する容器の内部に、上記(18)〜(27)の何れかに記載の細胞含有デバイスの製造方法において用いられる異形断面中空糸膜を少なくとも1本収容し、中空内部を細胞の注入口と連通し、且つ被処理液の流通路をなす中空外部とは隔絶されるようにポッティングされたのち、中空部に細胞が注入され、細胞集合体が形成されることを特徴とするハイブリッド人工臓器の製造方法。
本発明によれば、異形断面中空糸膜に充填した細胞が壊死層を生じることなく無駄なく効率的に機能するため、ハイブリッド人工臓器として効率よく機能するものである。
図1は、本発明の異形断面中空糸膜の断面を示す模式図である。
図2は、本発明の異形断面中空糸膜の作製方法を示す模式図である。
図3は、本発明の異形断面中空糸膜の断面を示す顕微鏡写真である。
図4は、本発明のPE/EVAL異形断面中空糸膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。
図5は、本発明のPP異形断面中空糸膜の表面を示す電子顕微鏡写真である。
図6は、本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの断面を示す顕微鏡写真である(培養3日目、HE染色)。
図7は、本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスによる細胞維持率の経時変化を示すグラフである。
図8は、本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスによるアンモニア除去速度を示すグラフである。
図9は、本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスによるアルブミン分泌速度を示すグラフである。
図10は、本発明の異形断面中空糸膜において、表面親水化による細胞集合体(オルガノイド)形成への影響を示す顕微鏡写真である(培養1時間目)。
図11は、本発明の異形断面中空糸膜において、表面親水化による細胞付着への影響を示す顕微鏡写真である(培養1日目)。
図12は、本発明のハイブリッド人工臓器を示す模式図である。
図13は、本発明のハイブリッド人工臓器において、内蔵された異形断面中空糸膜に細胞が充填、固定された状態を示す模式図である。
〔発明の実施における最良の形態〕
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の異形断面中空糸膜とは、血液浄化膜や限外濾過膜などに通常用いられている内外周ともに真円かつ双方が同心円状の断面構造を意図したものではなく、少なくとも中空糸膜内側の断面構造を意図的に変形させたもの、特に、中空部に形成される細胞集合体(オルガノイド)の任意の点から直近の中空糸膜内壁までの距離が特定範囲になるように変形させたものである。具体的な形状を例示すれば、図1に示すように、扁平状、楕円状をはじめ、三角形、四角形、五角形などの多角形、勾玉状や星型を含む不定形などが挙げられるが、細胞の充填し易さや膜の取り扱い性を考慮すれば扁平状または楕円状が好ましく、扁平状が特に好ましい。
異形断面中空糸膜は、物質透過性や強度の均一性の点から、内周と外周の形状がほぼ等しく同心円状(換言すれば膜厚がほぼ均一)であることが好ましいが、目的によっては、内周と外周の形状が異なっても構わない。
本発明でいう異形断面とは、中空糸膜を繊維軸方向に略垂直に切断したときの断面形状を示すものであり、例えば、前記した先行技術(特開昭63−233777号公報)に記載された繊維軸方向に異形となる形状も範疇外である。そのような形状は、本発明の細胞と中空糸膜内壁までの距離を細胞が壊死しない距離に保つという目的を達成するものでもないし、また、均一に製造することも、細胞充填も困難だからである。
異形断面中空糸膜は、膜厚部の構造として、スポンジ構造、均一構造、マクロボイド構造等、公知の中空糸膜構造のいずれであっても良く、また、繊維軸方向にはストレートであっても、波状にクリンプが掛かっていてもよい。
本発明で用いる異形断面中空糸膜の材質は、後述する変形加工の観点から熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリアクリロニトリル系、ポリメチルメタクリレート系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系樹脂などを挙げることができる。これらの材質を「・・・系」とするのは、表記のポリマーを主要成分とすれば、目的に応じて副次的な成分をブレンドしたり、グラフト重合によって導入したものであっても良く、あるいはランダム、ブロック等の共重合体のいずれであっても良いからである。
本発明で用いる異形断面中空糸膜は、前記の熱可塑性樹脂からなるが、接触角が70度以下の合成ポリマーからなることがより好ましい。ここで、合成ポリマーの接触角とは、合成ポリマーから作成した均一なフィルム、あるいはガラス板等の水平な担体に合成ポリマーを均一に塗布して乾燥したものを準備し、その上に純水を滴下して液滴を形成させた時、液滴・合成ポリマー面・気相の3相の接触点で液体に引いた接線と平面のなす角のうち液体を含む側の角度である。
中空糸膜がこのような合成ポリマーからなると、特に内表面への細胞の付着をある程度抑制することができ、細胞付着による膜の物質透過性の低下が軽減されるので好ましい。また、血液や血漿、生理的溶液などの被処理液への濡れ性もよくなり、膜を介する物質交換の点でも好ましい。
このような接触角70度以下を満たす合成ポリマーとしては、前述の熱可塑性樹脂の中から適宜選択することができるほか、任意の素材からなる膜に前述の熱可塑性樹脂を塗布して得られたものでも利用できる。
本発明においては、これらの異形断面中空糸膜の少なくとも内表面、すなわち、少なくとも細胞との接触面に、細胞との親和性を制御する目的で親水性ポリマーを含むこともできる。親水性ポリマーの一例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等の親水性合成ポリマー、セルロース、キトサン、アガロース、デキストラン、デキストラン硫酸等の親水性多糖類を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、細胞の生着性を制御し得るものであれば何れも用いることができる。
この中でとりわけ好ましいのは、エチレンビニルアルコール共重合体であり、本発明者らの知見によれば、エチレンビニルアルコール共重合体は、例えば、肝細胞のオルガノイド形成速度が初期において早く、一方、細胞付着性が低く膜の物質透過性を損なうことがない。
これらの親水性ポリマーは、コーティングのほか、前記のブレンド、グラフト重合、共重合等いずれかの方法によって、異形断面中空糸膜の少なくとも内表面に導入されていればよい。もちろん、膜全体に導入されていても構わない。
異形断面中空糸膜の物質透過性については、物質移動の点からはポアサイズは大きいほうがよいが、細胞の漏出を考えるとポアサイズは小さいほうがよい。その両者を満たすポアサイズの範囲は0.001〜5μmであり、解毒や除去を目的とする物質の分子量及び細胞のサイズに応じて適宜選択することができる。種々の栄養分を含んだ培養液の供給、すなわち水分や栄養素の透過性を考慮すると、0.05〜1μmであることがより好ましい。
本発明の中空糸膜型細胞含有デバイスは、前記の異形断面中空糸膜の中空内部に細胞を充填し、凝集させて細胞集合体(オルガノイド)としたものである。なお、中空内部に目的細胞を充填し保持させるには、細胞の注入手段を供える必要があるが、これらの形状や機構については、製造方法に後述するとおり何ら限定する必要はなく、適宜選択して利用すれば良い。
本発明でいう細胞集合体(オルガノイド)とは、細胞が集積した細胞組織体であって、細胞組織が本来有する機能を有する臓器(オルガン)に近似するものをいう。例えば、本発明で得られた肝細胞が集積した組織体は、肝臓組織が本来有するアンモニア除去効果やアルブミン分泌効果などの肝機能を有するので細胞集合体(オルガノイド)といえるものである。本発明で言う細胞集合体(オルガノイド)は、特開2002−182677号に定義されているような、遠心力や圧力などの力学的手法を利用して細胞を充填・高密度化することによって形成される細胞集合体に限定されない。例えば、特開平10−33671号で開示されているように、中空糸内腔に肝細胞を充填し灌流液によって培養することにより、中空糸内腔で肝細胞を増殖、細胞間マトリクスを産生させ、さらに細胞間の接着、または細胞と細胞間マトリクスの接着を進行させることによって形成される細胞集合体なども含まれる。
本発明において用いられる細胞は動物の組織由来細胞であり、採取部位に応じて、肝臓由来細胞(少なくとも肝細胞、内皮細胞、クッパー細胞、線維芽細胞の一つを含む)、膵臓由来細胞、心筋細胞、腎臓由来細胞等の臓器由来細胞の他に、皮膚細胞、表皮角化細胞、繊維芽細胞、血管内皮細胞、血管壁細胞、神経細胞、軟骨細胞等の組織細胞も挙げられる。これらを組み合わせて用いてもよい。また、分化ステージに応じて、これらの成熟細胞の他に幹細胞や前駆細胞を用いてもよい。さらに、これらの通常細胞に対して遺伝子組み替え細胞を用いることもできる。遺伝子組み替え細胞の例としては、遺伝子操作によりTert,Bmi1,SV40のLargeT,Bcl2等の不死化遺伝子を導入し、不死化した細胞が挙げられる。
本発明の異形中空糸膜型細胞含有デバイスに用いる細胞としては、これらの中でも肝細胞が最も好ましい。肝臓は、臓器のうちでも最大のものであり、蛋白質や糖質をはじめとする生体に必要な物質の合成、貯蔵、あるいはアンモニアや薬物などの代謝解毒、外分泌器官として胆汁酸などを放出し脂肪の消化やビタミンの吸収に関与するなど複雑多岐にわたる機能を有している。従って、肝細胞を用いたデバイスは、小型ながら機能面で非常に有用となるからである。
本発明の細胞源は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒヒ、ヒト等に由来する正常肝細胞であるが、これらに限られるものではない。また、樹立された株化肝細胞も対象となる。
正常肝細胞の場合、肝臓をコラゲナーゼ溶液などの酵素液で処理する一般的な酵素消化法を用いることによって単離肝細胞を得ることができる。
異形断面中空糸膜に充填された細胞の密度は、1×10cells/cm以上であることが好ましい。細胞密度がこれ以上であると、埋め込み型や循環型のハイブリッド人工臓器として用いる際に、コンパクトにできるからである。
なお、特に細胞が肝細胞である場合は、5×10cells/cmを超える細胞密度を有することが好ましい。ヒトの生体肝における細胞密度は1〜2×10cells/cmであり、肝細胞集合体(オルガノイド)の細胞密度も生体肝の細胞密度に近いのが望ましい。また、遠心力や静水圧を作用させて高密度に充填するときに、その負荷が高いほど高密度には充填できるが、負荷が高すぎると肝細胞自体が損傷を受けるかあるいは死滅してくるので肝細胞の機能を維持できなくなる。したがって、肝細胞集合体(オルガノイド)の場合は、細胞密度は、5×10cells/cmを超え、2×10cells/cm以下であり、8×10cells/cm以上が好ましく、9×10cells/cm以上がより好ましい。
本発明の細胞集合体(オルガノイド)は、任意の方向に細胞が2層分以上積層している必要があり、2層分以上の厚みを有していれば細胞集合体(オルガノイド)としての機能を発揮できる。本発明で、「任意の方向に細胞が2層分以上積層」とは、細胞集合体(オルガノイド)を径方向のいかなる断面で切断したとしても細胞が2層以上積層していることをいう。「細胞集合体の任意の点から直近の中空糸膜内壁までの距離が75μm未満である」とは、中空部に形成された細胞集合体(オルガノイド)のどの点からみても中空糸内壁までの距離が75μm以上にはならないということである。75μm以上になると、その中心の細胞に酸素供給ができずに壊死が生じる。従って、本発明における細胞集合体(オルガノイド)の厚みは2層以上積層し、且つ中空部に形成された細胞集合体(オルガノイド)の任意の点から直近の中空糸内壁までの距離が75μm未満であることが必要である。ここで、厚みとは、細胞集合体(オルガノイド)の表層から表層までの厚みをいうが、異形中空糸膜中に形成される細胞集合体(オルガノイド)の繊維軸方向の厚み(長さ)は、任意に設定できる。また、異形中空糸膜が例えば扁平状の場合は、短径方向の厚みが上記を満足していれば長径方向の厚みは任意に設定できる。
細胞集合体(オルガノイド)の細胞密度が高いと空隙が少なくなるので、酸素の供給のために厚みをあまり大きくすることができず、一方細胞密度が本発明の範囲であっても比較的小さいときには厚みが大きい方が良い。したがって、本発明の細胞集合体(オルガノイド)において、細胞密度と厚みとは逆の相関関係を有するのがより好ましい。
本発明の細胞集合体(オルガノイド)では、その表面を除いて、各細胞が相互に三次元的に接触していることが重要である。生体肝中で肝細胞は、隣接する細胞同士がさまざまな細胞間結合を介して情報交換をし、機能発現をしていることが分かっている。本発明では、肝細胞に遠心力や静水圧のような物理的力を作用させることで高密度に充填し、細胞同士の接触頻度を飛躍的に向上させることにより細胞密度の高い組織体を形成させることができた。
中空糸内腔に細胞を充填し、増殖させることで細胞同士を密着状態とすることにより、細胞集合体を形成させることも可能であった。
また、本発明の細胞集合体(オルガノイド)は、その集積体の表面にスキン層を有していることが好ましい。肝細胞に遠心力や静水圧のような物理的な力を負荷して3〜5日培養を続けていると、細胞集合体(オルガノイド)表層の細胞が扁平化し、且つ細胞集合体(オルガノイド)表層が平滑化してきて、スキン層が出現してくる。このスキン層は、細胞集合体(オルガノイド)表層の細胞状態と細胞分泌物によるものと思われる。
次に、この異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを利用したハイブリッド人工臓器について説明する。
本発明の異形断面中空糸膜を、培養液または被処理液の入口と出口、および細胞の注入口とを有する容器に少なくとも一本以上収容し、さらに中空内部が細胞の注入口と連通し、且つ被処理液の流通路を成す中空外部とは隔絶されるようにポッティングして得られたモジュールにおいて、中空糸膜の中空部に目的細胞を充填して細胞集合体(オルガノイド)を形成させたものはハイブリッド人工臓器として用いることができる。図12および図13に、本発明による異形断面中空糸膜を組み込んだハイブリッド人工臓器の模式図を示す。
図12に示すように、培養液または被処理液の入口と出口(5と6)とを有する容器2には少なくとも一本以上の異形断面中空糸膜1が充填されている。異形断面中空糸の両端は、封止部3において中空内部が細胞の注入口と連通し、且つ被処理液の流通路を成す中空外部とは隔絶されるようにポッティング加工され、固定されている。
容器およびポッティング構造は、中空糸膜型血液浄化器などで一般的に使用される容器材質および形状であれば何れでも利用できる。例えば、容器材質としては、ポリカーボーネート系樹脂やポリスチレン系樹脂に代表される高強度で透明度が高く、安全性に優れた材質が好適である。それ以外に、安価なポリオレフィン系樹脂や各種共重合樹脂であってもよく、特に限定はされない。また、容器形状としては、胴部が筒状でその両端近傍に被処理液の流通口が設けられていればよく、この内部に本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスが少なくとも一本以上収容される。
さらに、ポッティング構造としては、中空糸膜型血液浄化器のように、容器内の中空糸膜が両端でポッティングされ、膜の内外が隔絶されているもの、また、エンドトキシンカットフィルターの一例のように、両端がポッティングされるが、その一端は盲端となっているもの、さらにまた、家庭用の中空糸膜型浄水器の一例のように、中空糸膜が容器内にU字型に装填されその一端がポッティングされたもの等、いずれの形態もとることができ、特に限定はない。
前記モジュールには、培養液または被処理液の入口および出口(5および6)に加え、細胞導入のための細胞注入口4が少なくとも一つ設けられており、細胞注入口4から細胞懸濁液を導入し、封止部3の中空糸膜開口端を経てそれぞれの中空糸膜の中空部に導入するのに用いられる。もう一端の封止部3はあらかじめ中空糸開孔端が封入されているか、細胞導入後に封入されている。このようにして中空糸膜の中空部に細胞を導入後、細胞注入口4を封止する等の処理により細胞注入側の封止部3も封入することで、細胞は中空部に固定化されている。このものが、本発明でいうハイブリッド人工臓器である。中空部に固定された細胞の様子を図13に模式的に示す。
このモジュールにおいて、中空糸膜の外側と封止部によって形成される容器2内の空間には、異形断面中空糸内部に充填され、細胞集合体(オルガノイド)を形成した細胞に対して酸素・栄養素の供給、代謝老廃物の除去を行う培養液が培養液流入口5および培養液流出口6を通って灌流される。また、この空間には、被処理液として血液や血漿およびそれらの希釈液、血液製剤が灌流されることもある。
このような容器構造を有するハイブリッド人工臓器は、内蔵されている中空糸膜が異形断面中空糸膜であるので、膜同士の隙間を被処理液が均一に流れやすく、解毒・除去等の物質交換効率に優れ、しかも長期間の機能維持が可能なハイブリッド人工臓器として好適に使用できる。加えて、市場で入手可能な中空糸膜を適宜変形加工しても得ることができるので、あらゆる材質、物質透過性の膜に充填した細胞集合体(オルガノイド)が利用できる利点がある。
次に、本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法について説明する。
本発明の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを製造するには、先ず、異形断面中空糸膜を得る工程が必要である。
本発明の異形断面中空糸膜は、公知の湿式法、乾湿式法、溶融法等のいずれの紡糸方法を用いても製膜できるが、用いる膜材質に適した製膜方法を適宜選択すればよい。
異形断面中空糸膜を得る方法としては、製膜と同時に異形断面を形成する方法と、製膜後の中空糸膜に機械的な処理を与えて変形させる方法とがある。前者においては、異形断面を有する環状二重紡口から製膜原液を吐出して凝固させればよく、目的とする断面形状の紡口を用いることにより、あらゆる形状の異形断面中空糸膜が得られるため好ましい。また、後者においては、製膜された中空糸膜に対して、その繊維軸の略垂直方向から変形外力を与えればよい。例えば、図2に示すように、中空糸膜を適当な長さに切断して特定形状のプレス機で変形させることができる。あるいは、中空糸膜を挟み込むような一定幅・特定形状のスリットローラーを用いれば、紡糸工程の途中や紡糸後であっても連続的に変形させることができるので好ましい。このような製膜後の変形加工は、市場で入手可能なあらゆる中空糸膜も含めて利用できるため、その内径が本来オルガノイドに適しないほど大きなものであっても、扁平化等によって所望のサイズに変形させることが可能であり、膜材質や物質透過性の利点を生かせる点で非常に好ましいものである。いずれの場合でも、変形外力を与える際に、膜材質が変性しない程度の温度を与え、熱セットをかけるとより好ましい。
なお、特にポリオレフィン系樹脂やポリエチレン系樹脂を用いた溶融紡糸においては、通常行なわれる延伸処理で表面が硬質の延伸ローラーを用いると、繊維軸方向に中空糸膜を引っ張ると同時に断面形状を変型(扁平化)させることも可能である。これは、溶融紡糸においては、湿式紡糸に比べて原液の凝固速度が遅いので製膜途中の膜を変型させやすいからである。このような方法は、特殊な紡口や後加工を必要としないので特に好ましい。
次に、異形断面中空糸膜の中空内部に細胞浮遊液を注入する工程が必要である。この工程では、中空糸膜の中空部に目的細胞を注入する手段をあらかじめ設けておくことが必要であり、例えば、中空糸膜の少なくとも一端を樹脂ポッティングし、硬化後に中空糸膜の開口端が形成されるように樹脂を切断する。もう一方の端部を封止した後、開口端に細胞浮遊液注入用の冶具またはノズル等を取り付ければよいが、封止手段や注入冶具については特に限定はない。
本発明において、異形断面中空糸膜を容器に収容したのち、細胞を充填、固定して得られるハイブリッド人工臓器を得る場合は、得られた異形断面中空糸膜を、培養液または被処理液の入口と出口を有する筒状容器に装填し、少なくともその一端をポッティングする。前に例示したとおり、ポッティング形態は特に限定はなく、両端ポッティングであってもよいし、中空糸膜をU字状に装填した一端ポッティングであってもよく、中空糸膜の内外でショートパスが生じないように隔絶できていればよい。続いて、ポッティング樹脂が硬化した後、樹脂端部を切断して異形断面中空糸膜の開口端を作成し、これに細胞の注入口を有するヘッダーキャップを取り付ければよい。ここまでの一連の成型方法は、公知の中空糸膜型血液浄化器や浄水器等の成型方法に準じればよく、特に限定はない。この場合にも、細胞を注入するに先立って、注入細胞が流失しないように細胞注入口とは反対方向の開口端部もしくはヘッダーノズルを封止しておく。
続いて、中空糸膜の中空内部に細胞浮遊液を注入する際、分散している細胞に遠心力、静水圧のような外力を加え、液体成分をろ過により除去しつつ細胞を高密度に充填し培養することが必要である。具体的には、中空糸の内部に細胞を注入し、遠心力あるいは静水圧のような物理的力を作用させることによって高密度化する工程を含む方法である。遠心力負荷法の場合、細胞を高密度化し、所定時間培養を行うことによって細胞集合体(オルガノイド)を得ることができる。静水圧負荷法においても同様に所定時間静水圧を負荷し、培養することによって細胞集合体(オルガノイド)を得ることができる。あるいは、中空糸内腔に肝細胞を充填し灌流液によって培養することにより、中空糸内腔で肝細胞を増殖、細胞間マトリクスを産生させ、さらに細胞間の接着、または細胞と細胞間マトリクスの接着を進行させることによって細胞集合体を得ることもできる。
細胞は、細胞懸濁液にして中空糸に注入するのが細胞に損傷を与えないために好ましい。細胞懸濁液の濃度は細胞に損傷を与えず高密度化するために2×10cells/ml以下が好ましく、0.1〜1×10cells/mlがより好ましい。高密度に充填するためには、中空糸膜孔から培養液のみを除去しながら注入を行うことが好ましい。
中空糸膜の中空部に細胞を注入後、中空糸膜の略長軸方向に5〜1500Gの遠心力を30〜600秒程度作用させて細胞の高密度化をはかる。1500Gを超えると細胞は損傷を受けるかあるいは死滅してしまう。細胞をできるだけ死滅させないために遠心力は、60G×90秒程度の負荷が適当である。
静水圧を負荷する場合には、細胞を注入した中空糸を立てて、その内部に5〜25kPaの静水圧を4〜120時間負荷する。10kPaの一定静水圧を24時間負荷する程度が最も好ましい。
このようにして細胞を充填後、細胞を培養して細胞集合体(オルガノイド)を形成させれば、本発明の細胞含有デバイスが得られる。
培養液としては、ウイリアムE培地(WE)やダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)などの基礎培地にホルモンや無機塩を添加した無血清培地、あるいはWEやDMEMなどの基礎培地に血清を添加した血清添加培地が使用される。
これまで述べたように、本発明においては、異形断面中空糸膜に細胞を充填し固定した細胞含有デバイスは、容器にセットされモジュール化されたハイブリッド人工臓器として効果的に使用できる。
さらには、例えば、細胞集合体(オルガノイド)を形成後の異形断面中空糸膜またはハイブリッド人工臓器から中空糸膜部分を採取し、細胞が漏れないようにその両端部を任意の方法で封止したものでも好適に利用することができる。
中空糸膜の封止形状は、充填された細胞が膜の開口部から漏れ出ない形状であればよく、特に限定するものではない。例えば、中空糸膜の両端部の数mm〜数cmにおいて、プレスされたもの、折り曲げられたもの、熱溶着されたもの、ポッティング材で包埋されたもの等が例示できる。特に、中空糸膜が公知の生分解性ポリマーからなれば、埋め込みタイプとしても使用できるのでより好ましい。
このような封止構造を有し、中空糸膜と細胞とからなる異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスもまた、長期間の機能維持が可能な人工臓器用デバイスとして好適に使用できる。加えて、市場で入手可能な中空糸膜を適宜変形加工しても得ることができるので、あらゆる材質、物質透過性の膜に充填した細胞集合体(オルガノイド)が利用できる利点がある。
以下に実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明で細胞集合体(オルガノイド)形成に用いる肝細胞の調整、および得られた肝細胞細胞集合体(オルガノイド)の機能活性測定は以下のように行った。
(肝細胞の調製)
初代ラット肝細胞を調製するために0.5mg/mlのコラゲナーゼ(和光純薬製)溶液150mlを用意した。7週齢の雄ウイスター系ラット(体重250g)の門脈(肝臓に入る血管)にカニューレを導入し、脱血液を30ml/minで5分間流した後、37℃に加温したコラゲナーゼ溶液を15ml/minで10分間流した。コラゲナーゼによって処理された肝臓を培養液に入れ、メスとピペットを使って肝細胞を分散させた。得られた肝細胞懸濁液を3回洗浄し、肝細胞以外の細胞を取り除いた(95%以上の純度)。肝細胞懸濁液の最終密度は2.0×10cells/mlのものを作製し、培養実験に使用した。
(アンモニア除去速度)
培養培地に1mMの濃度になるようにアンモニアを添加し、アンモニア濃度の経時的な減少量を測定し、アンモニア除去速度(μmol/10immobilized cells/day)を計算した。
(アルブミン分泌速度)
培養培地中に分泌されたアルブミンを酵素標識免疫測定法により定量し、初期固定化単位細胞数あたりのアルブミン分泌速度(μg/10immobilized cells/day)に換算した。
エチレンビニルアルコール共重合体をコートしたポリエチレン中空糸膜(以下、PE/EVAL中空糸という。内径330μm、膜厚50μm。)、およびポリプロピレン中空糸膜(以下、PP中空糸という。内径330μm、膜厚50μm。)を用いて、図2(1)に示す平板プレス式により異形断面中空糸膜を作成した。すなわち、上記の中空糸膜と厚さ100μmのステンレススペーサーを2枚のガラス板で挟み、ガラス板の中央部分をクリップで固定したまま120℃で6時間静置することにより、熱セットを施して異形断面中空糸膜を作成した。作成した異形断面中空糸膜は、それぞれPE/EVAL中空糸−press100、PP中空糸−press100と表記した。
得られた異形断面中空糸膜は、液状シリコンに包埋後、薄切片を作成することにより断面形状を観察した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、得られた異形断面中空糸膜の表面構造を観察した。観察結果は、図3〜5に示した。
次に、肝細胞集合体(オルガノイド)の機能評価のために、長さ5cmのPE/EVAL−press100中空糸9本から構成されるバンドル、および長さ5cmのPP−press100中空糸6本から構成されるバンドルの異形断面中空糸膜バンドルを作成し、それぞれのバンドルの一端には細胞注入用のポートを取り付け、他端は完全に封止した。
この異形断面中空糸膜バンドルに、まず、2.0×10cells/mlの細胞懸濁液0.6mlを細胞注入口からシリンジを使って注入すると同時に、中空糸膜孔から培養液をろ過により除去しながら細胞を異形断面中空糸膜内に充填した。次に、細胞間の空間を減少させるために、60×Gで90秒間の遠心処理を施して高密度充填を行い、肝細胞集合体(オルガノイド)の形成を誘導した。
遠心終了後、細胞が高密度に充填されたバンドル下端から3cmの位置で中空糸膜を切断し、直径35mmの培養ディッシュ(ファルコン製)に収め、Dulbecco’s modified eagle medium(ギブコ製)13.5g/Lに、60mg/L プロリン、50ng/ml EGF(フナコシ製)、10mg/L インシュリン(シグマ製)、7.5mg/L ヒドロコルチゾン(和光純薬製)、0.1μM 硫酸銅・5水和物(和光純薬製)、3μg/L セレン酸(和光純薬製)、50pM 硫酸亜鉛・7 水和物(和光純薬製)、50μg/L リノール酸(シグマ製)、58.8mg/L ペニシリン(明治製菓製)、100mg/L ストレプトマイシン(明治製菓製)1.05g/L 炭酸水素ナトリウム(和光純薬製)、1.19g/L HEPES(同人堂製)を加えた無血清培地を2ml加え、5%炭酸ガス、95%大気の雰囲気下、震盪器上で45rpmで旋回培養を行った。
肝細胞の培養状態を観察するために、培養の各期間において、中空糸バンドル内に充填された肝細胞を10%中性緩衝ホルマリン溶液にて固定化した。その後、パラフィン包埋し、薄切片を作成した後、ヘマトキシリン・エオジン染色によって生細胞および死細胞の分布を観察した。また、培養の各期間において、ポリトロンホモジナイザーにて肝細胞を中空糸バンドルごと破砕し、漏出した核をクリスタルバイオレッドにて染色し、核数計数をすることによって細胞数の変化を測定した。培養状態は図6に、細胞数の変化は図7に示した。
さらに、肝細胞の機能評価として、培養培地に1mMの濃度になるようにアンモニアを添加し、アンモニア濃度の経時的な減少量を測定することでその活性を評価した。また、培養培地中に分泌されたアルブミンを定量することでその活性を評価した。結果は図8、9に示した。
〔比較例1〕
エチレンビニルアルコールをコートしたポリエチレン中空糸膜(以下、PE/EVAL中空糸Controlという。内径330μm、膜厚50μm。)、およびポリプロピレン中空糸膜(以下、PP中空糸Controlという。内径330μm、膜厚50μm。)を用いて、異形加工を行わない以外は実施例1と同様の方法で肝細胞集合体(オルガノイド)を形成させ、肝細胞の機能評価を行った。
〔比較例2〕
厚さ200μmのステンレススペーサーを用いた異形断面中空糸膜を作成し(それぞれPE/EVAL中空糸−press200、PP中空糸−press200と表記した)、これを長さ5cmのPE/EVAL−press200中空糸6本から構成されるバンドルとした以外は実施例1と同様の方法で肝細胞集合体(オルガノイド)を形成させ、肝細胞の機能評価を行った。この比較例では、膜内周部の短径が150μm、すなわち、断面の任意の点から内壁までの距離が75μmを超える異形断面が得られた。
以上の実施例1、比較例1および2の結果から次のことが分かった。中空糸膜の異形加工については、図3および表1に示すとおり、厚み200μmのステンレススペーサーを用いることにより、膜内周部の短径が150〜200μm程度の異形中空糸膜が、また、厚み100μmのステンレススペーサーを用いることにより、膜内周部の短径が50〜75μm程度の異形中空糸膜が得られた。
また、図4および5に示すとおり、プレス式の異形加工の際、最も変形が激しい部位においても中空糸表面の孔が潰れたり、完全に裂けたりする現象は見られず、異形加工が上手くなされたことがわかる。
一方、細胞集合体(オルガノイド)形成については、図6に示すとおり、PE/EVAL中空糸−Controlバンドル、PE/EVAL中空糸−press200バンドル、PE/EVAL中空糸−press100バンドルの何れにおいても肝細胞同士が密に接触した細胞集合体(オルガノイド)が形成されていた。ところが、真円状で中空糸短径が大きいPE/EVAL中空糸−Controlバンドル(比較例1)、およびPE/EVAL中空糸−press200バンドル(比較例2)では、細胞集合体(オルガノイド)内部の中心部分に酸素枯渇が原因と考えられる死細胞層(壊死層)が認められ、充填した細胞が全て有効活用できないことがわかる。これに対して、PE/EVAL中空糸−press100バンドルでは細胞集合体(オルガノイド)内部の中心部分に壊死層は観察されなかった。このように、元々内径の大きい中空糸膜であっても、異形加工により扁平として中空糸の短径を小さくし、その内部に形成される細胞集合体(オルガノイド)の断面形状において、断面の任意の点から直近の中空糸内壁までの距離が75μm未満にすると、細胞集合体(オルガノイド)内部の酸素拡散距離が減少することによってすべての細胞が生存できる細胞集合体(オルガノイド)が得られる。
細胞数の変化については、播種直後の細胞数を100%とした時の肝細胞集合体(オルガノイド)の細胞数変化を細胞維持率とし図7に示した。この結果から、中心部に壊死層が発生するPE/EVAL中空糸−Controlバンドルに比べ、壊死層が発生しないPE/EVAL中空糸−press100バンドルおよびPP中空糸−press100バンドルでは細胞数が1ヶ月以上良好に維持できることが示された。
また、細胞集合体(オルガノイド)の機能活性についても、初期固定化細胞数当りのアンモニア除去速度およびアルブミン分泌速度の変化を図8と9に示すとおり、本発明の異形断面中空糸膜バンドルでは肝細胞集合体(オルガノイド)内部に壊死層が発生しないため、良好な機能発現を維持していた。
以上の結果から、本発明の異形断面中空糸膜を用いた細胞集合体(オルガノイド)では、充填した細胞を無駄なく有効利用ができることが明らかである。
〔参考例1〕
中空糸膜として、中空糸膜表面にエチレンビニルアルコール共重合体をコートし、親水化したポリエチレン中空糸膜(以下、PE/EVAL中空糸という。内径330μm、膜厚50μm、膜孔径0.3μm。)を準備した。一方、対照の中空糸膜として、PE/EVAL中空糸よりも疎水性表面を持つセルローストリアセテート製中空糸膜(以下、CTA中空糸という。内径285μm、膜厚50μm、膜孔径0.2μm。)を準備した。それぞれの中空糸を用い、長さ5cm、6本から構成される中空糸バンドルを作製した。バンドル一端には細胞導入用のポートを接続し、他端は完全に封止した。中空糸膜内部への細胞の充填と培養は、4.0×10cells/mlの細胞懸濁液0.5mlを注入した以外は実施例1と同様に行った。
培養の各期間において中空糸バンドルを10%中性緩衝ホルマリン溶液に24時間静置することにより中空糸内部に充填された肝細胞の固定化を行った。固定化処理後、中空糸を透明化して肝細胞の細胞形態を観察した。また、肝細胞の充填された中空糸をメスを用いて長軸方向に割断し、中空糸内壁面を露出させ、低真空走査型電子顕微鏡を用いて観察した。
培養1時間目におけるPE/EVAL中空糸、CTA中空糸内での肝細胞の形態を図10に示す。この結果、CTA中空糸内部では肝細胞が高密度に充填された状態であったが、未だ細胞集合体(オルガノイド)は形成されていない。一方、親水化処理を行ったPE/EVAL中空糸内部では既に細胞集合体(オルガノイド)が形成されており、細胞集合体(オルガノイド)形成速度に違いが認められた。
同様に、培養1日目におけるPE/EVAL中空糸、CTA中空糸それぞれの内壁面の状態を図11に示す。CTA中空糸では中空糸内部に円柱状の細胞集合体(オルガノイド)が形成されたが、中空糸内壁に多数の肝細胞の付着が観察された。一方、PE/EVAL中空糸では中空糸内壁への細胞の付着は見られず、すべての肝細胞が円柱状の細胞集合体(オルガノイド)を形成した。
これらの結果より、中空糸膜表面の親水化処理は、細胞の中空糸膜への付着を抑制し、細胞集合体(オルガノイド)の早期形成に有効であると同時に、細胞付着による膜透過性の低下を回避できる点で有効である。
以上の結果を表1にまとめた。
Figure 0004187167
容積1.79cmのポリカーボネート製ハウジング容器内部に、実施例1で得られた楕円型の異形断面中空糸膜(前記PP中空糸−press100)167本を充填したモジュールを作製した。作製したモジュールの模式図を図12に示す。異形断面中空糸膜1は、ウレタン系ポッティング剤を用いて容器2内に固定化するとともに、容器2内の細胞導入側と培地灌流側のそれぞれの空間が完全に遮断できるような封止部3を形成させた。さらに、容器2に細胞注入口4を設置したヘッダーキャップを取り付けた。なお、細胞播種を行うために、あらかじめモジュール一端の封止部3および細胞注入口4を完全に封入した。
次に、酵素処理により単離した初代ラット肝細胞を4×10cells/mlの懸濁液に調整後、13mlの細胞懸濁液を細胞注入口4より異形断面中空糸膜の中空部に注入後、60×g、90秒の遠心条件を用いて細胞を中空部に完全に充填した。細胞充填後、注入を行った細胞注入口4を封入し、培養液流入口5および培養液流出口6より培養液を灌流して培養を行った。
培養終了後、実施例1と同様異形断面中空糸膜の断面を観察した結果、中空糸膜の中空部において、充填されたラット肝細胞のほぼすべての細胞が生存していることが確認できた。
このように、本発明では、異形断面中空糸膜細胞含有デバイスを内蔵したハイブリッド人工臓器としても、壊死層が発生しない細胞集合体(オルガノイド)が得られることが示された。また、このようなモジュールは、ハイブリッド人工臓器のほかに、物質生産装置や細胞培養器としての利用の有効性が示唆された。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、中空糸膜型細胞含有デバイスとすることで、中空糸膜に充填した細胞が無駄なく効率的に機能することが明らかであり、これらを収納した埋め込み型や循環型のハイブリッド人工臓器として好適に利用できることが示唆された。
また、本発明の中空糸膜型細胞含有デバイスは、埋め込み型やハイブリッド型人工臓器のほかに、細胞による物質生産装置(バイオリアクター)や希少細胞を増殖させる細胞培養器(幹細胞増幅器など)等に至る各種用途に好適に使用できる。

Claims (29)

  1. 中空糸膜の中空部に細胞を充填した細胞含有デバイスにおいて、該中空糸膜は異形断面を有しており、中空部に形成されている細胞集合体は任意の方向に細胞が2層以上積層し、且つ該細胞集合体の任意の点から直近の中空糸膜内壁までの距離が75μm未満であることを特徴とする異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  2. 該直近の中空糸膜内壁までの距離が50μm以下である請求項1記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  3. 異形断面中空糸膜の断面が扁平状であることを特徴とする請求項1または2に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  4. 中空糸膜のポアサイズが0.001〜5μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  5. 該ポアサイズが0.05〜1μmである請求項4記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  6. 中空糸膜が、接触角70度以下の合成ポリマーからなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の中空糸膜型細胞含有デバイス。
  7. 該合成ポリマーが熱可塑性樹脂である請求項6に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  8. 該熱可塑性樹脂がポリエチレン系樹脂である請求項7に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  9. 中空糸膜の少なくとも内表面が、親水性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  10. 細胞が動物組織由来細胞であることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  11. 動物組織由来細胞が、肝臓由来細胞、膵臓由来細胞、及びそれらの幹細胞、前駆細胞、あるいは遺伝子組み換え細胞からなる群から選ばれる少なくとも一つの細胞であることを特徴とする請求項10に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  12. 動物組織由来細胞が肝細胞であることを特徴とする請求項11に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  13. 動物組織由来細胞がヒト臓器由来細胞であることを特徴とする請求項10〜12の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  14. 中空糸膜と細胞とからなる細胞含有デバイスであって、中空部に細胞集合体を含み、中空糸膜の両端部が封止されてなる請求項1〜13の何れかに記載される埋め込み用の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  15. 請求項1〜13の何れかに記載されるハイブリッド人工臓器用の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイス。
  16. 請求項1〜13の何れかに記載される異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスを少なくとも一つ含んでなるハイブリッド人工臓器。
  17. 被処理液の入口と出口を有する容器の内部に、請求項1〜13の何れかに記載される異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスが少なくとも1本収容され、該中空糸膜型細胞含有デバイスの中空内部が被処理液の流通路を成す中空外部とは隔絶されてなることを特徴とするハイブリッド人工臓器。
  18. 少なくとも以下の工程を含む異形断面中空糸膜細胞含有デバイスの製造方法。
    a)異形断面中空糸膜を得る工程
    b)中空糸膜の中空内部に細胞浮遊液を注入する工程
  19. 異形断面を有する環状二重紡口を用いて中空糸膜を製膜する工程を含む請求項18に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  20. 目的形状を有さない中空糸膜に、その繊維軸の略垂直方向から変形外力を加えて異形断面中空糸膜を得る工程を含む請求項18に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  21. 目的形状を有さない中空糸膜を、その繊維軸方向に中空糸膜を引っ張ると同時に断面形状を変型させて異形断面中空糸膜を製膜する工程を含む請求項18に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  22. 異形断面中空糸膜の断面が扁平状であることを特徴とする請求項18〜21の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  23. 中空糸膜の材質が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項18〜22の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  24. 注入される細胞が動物組織由来細胞であることを特徴とする請求項18〜23の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  25. 動物組織由来細胞が、肝臓由来細胞、膵臓由来細胞、及びそれらの幹細胞、前駆細胞、あるいは遺伝子組み換え細胞からなる群から選ばれる少なくとも一つの細胞であることを特徴とする請求項24に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  26. 動物組織由来細胞が肝細胞であることを特徴とする請求項25に記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  27. 動物組織由来細胞がヒト臓器由来細胞であることを特徴とする請求項24〜26の何れかに記載の異形断面中空糸膜型細胞含有デバイスの製造方法。
  28. 請求項18〜27の何れかに記載される細胞含有デバイスの製造方法を含むハイブリッド人工臓器の製造方法。
  29. 被処理液の入口と出口、および細胞の注入口を有する容器の内部に、請求項18〜27の何れかに記載の細胞含有デバイスの製造方法において用いられる異形断面中空糸膜を少なくとも1本収容し、中空内部を細胞の注入口と連通し、且つ被処理液の流通路をなす中空外部とは隔絶されるようにポッティングされたのち、中空部に細胞が注入され、細胞集合体が形成されることを特徴とするハイブリッド人工臓器の製造方法。
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