JP6895674B2 - マイクロチューブ、マイクロチューブの製造方法、及びマイクロチューブの製造装置 - Google Patents

マイクロチューブ、マイクロチューブの製造方法、及びマイクロチューブの製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、マイクロチューブ、マイクロチューブの製造方法、及びマイクロチューブの製造装置に関する。
半透膜は、一定の大きさ以下の分子又はイオンのみを透過させる膜である。医療分野においては、例えば、人工臓器、人工血管等に利用されている。
特許文献1には、細胞保存剤が配合されたポリビニルアルコール中に、細胞を含有する細胞製剤が開示されており、内分泌若しくは代謝疾患、血友病、骨疾患、又は癌等の予防及び治療に適用することが提案されている。
また、特許文献2には、リニア微小透析プローブが開示されており、例えば皮膚、心臓、肝臓、眼、腫瘍等の軟組織及び/又は移動性組織に取り付ける医療用装置に適用することが提案されている。
特開2004−331643号公報 特表2009−513204号公報
特許文献1に記載の細胞製剤では、チューブ状の製剤も開示されているが、製剤中にポリビニルアルコールと細胞とが混在しており、半透膜内に細胞が封入されていない。そのため、製剤の投与後、生体内において患部に送達する前に、細胞が漏れ出る可能性があり、製剤の投与経路が限定される。さらに、特許文献1に記載の細胞製剤の製造方法では、細胞を製造過程において冷凍しており、細胞の生存率が低くなる虞がある。
また、特許文献2に記載の微小透析プローブでは、予め半透膜内に細胞が封入された形態は開示されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、生細胞又は活性を有する水溶性化学物質を内部に含むマイクロチューブ、並びに簡便な前記マイクロチューブの製造方法及び製造装置を提供する。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、同軸系マイクロ流体デバイスを含む装置を用いることで、生細胞又は水溶性化学物質の活性を保持しながら、水系溶媒中でマイクロスケールのチューブ内に細胞又は水溶性化学物質を封入できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]内部に細胞又は水溶性化学物質を含み、最外層に疎水性ポリマーを含む半透膜を備え、前記半透膜の内層がアルギン酸と前記疎水性ポリマーとからなる相互貫入高分子網目構造を有し、且つ、前記半透膜全体に前記疎水性ポリマーが分散して存在しており、内層から最外層にかけて前記アルギン酸の含有量が少なくなるように濃度勾配を形成して存在する構造であって、前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブ。
]前記水溶性化学物質が、タンパク質、多糖、核酸、及び薬剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である[1]記載のマイクロチューブ。
]前記疎水性ポリマーがセルロースアセテートである[1]又は[2]に記載のマイクロチューブ。
]マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液し、前記第1の溶液にアルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を前記アルギン酸で被覆する工程1と、前記工程1の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液との混合溶液に疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を被覆した前記アルギン酸の表面に前記疎水性ポリマーを析出させて、疎水性ポリマーを含む半透膜の最外層を形成させる工程2と、前記工程2の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液と前記第3の溶液との混合溶液に二価の金属塩を含む第4の溶液を送液して合流させ、前記半透膜の内層に含まれる前記アルギン酸を不溶性ゲルに変化させてマイクロチューブを形成させる工程3と、を備え、前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブの製造方法。
]さらに、前記工程3の後に、前記形成されたマイクロチューブにアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤を含む第5の溶液を添加し、前記マイクロチューブに含まれる前記アルギン酸を可溶化させて除去する工程4を備える[]に記載のマイクロチューブの製造方法。
[6][5]に記載のマイクロチューブの製造方法により得られる、マイクロチューブ。
[7]マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液するための主流路と、前記主流路に接続されており、アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液するための第1の副流路と、前記第1の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液するための第2の副流路と、前記第2の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、二価の金属塩を含む第4の溶液を送液するための第3の副流路と、を備えるマイクロ流体デバイスを含み、前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブの製造装置。
[8]前記マイクロ流体デバイスが、さらに、前記第3の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、アルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤を含む第5の溶液を送液するための第4の副流路を備える[7]に記載のマイクロチューブの製造装置。
本発明によれば、生細胞又は活性を有する水溶性化学物質を内部に含むマイクロチューブ、並びに簡便な前記マイクロチューブの製造方法及び製造装置を提供することができる。
(A)本発明のマイクロチューブの製造装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。(B)本発明のマイクロチューブの製造装置の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 (A)実施例1における製造されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(B)実施例1におけるアルギン酸を除去したマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(C)実施例1における製造されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。(D)実施例1におけるアルギン酸を除去したマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。 実施例1におけるクエン酸溶液の添加から0、1、3、及び5分後のマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。 (A)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から0分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(B)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から0分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。(C)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から0分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:352nm)で観察した画像である。(D)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から10分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(E)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から10分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。(F)実施例2におけるクエン酸溶液の添加から10分後の2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:352nm)で観察した画像である。 (A)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の0.5質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(B)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の0.5質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。(C)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の0.5質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:352nm)で観察した画像である。(D)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(E)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。(F)実施例3におけるクエン酸溶液の添加から10分後の1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いて、2種類の蛍光物質が封入されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:352nm)で観察した画像である。 (A)実施例4におけるマイクロチューブ内部に封入されたカタラーゼにより、チューブ内部に透過した過酸化酸素が水及び酸素に分解されて、酸素の気泡が形成される様子を模式的に示す断面図である。(B)実施例4におけるFITC−dex及びカタラーゼが封入され、200μM過酸化水素溶液に浸漬されたマイクロチューブを位相差顕微鏡で観察した画像である。(C)実施例4におけるFITC−dex及びカタラーゼが封入され、200μM過酸化水素溶液に浸漬されたマイクロチューブを蛍光顕微鏡(励起光:494nm)で観察した画像である。 実施例5におけるヒト皮膚線維芽細胞を封入し、クエン酸溶液添加から0分後のマイクロチューブについて、左上は蛍光顕微鏡(励起光:490nm)を用いて観察した画像であり、右上は位相差顕微鏡を用いて観察した画像であり、左下は生細胞の緑色の蛍光のみ抜き出した画像であり、右下は蛍光顕微鏡(励起光:545nm)を用いて死細胞の赤色の蛍光を観察した画像である。 実施例5におけるヒト皮膚線維芽細胞を封入し、クエン酸溶液添加から10分後のマイクロチューブについて、左上は蛍光顕微鏡(励起光:490nm)を用いて観察した画像であり、右上は位相差顕微鏡を用いて観察した画像であり、左下は生細胞の緑色の蛍光のみ抜き出した画像であり、右下は蛍光顕微鏡(励起光:545nm)を用いて死細胞の赤色の蛍光を観察した画像である。 実施例5におけるヒト皮膚線維芽細胞を封入し、クエン酸溶液処理後の培養開始から1日後のマイクロチューブについて、左上は蛍光顕微鏡(励起光:490nm)を用いて観察した画像であり、右上は位相差顕微鏡を用いて観察した画像であり、左下は生細胞の緑色の蛍光のみ抜き出した画像であり、右下は蛍光顕微鏡(励起光:545nm)を用いて死細胞の赤色の蛍光を観察した画像である。
<マイクロチューブ>
一実施形態において、本発明は、内部に細胞又は水溶性化学物質を含み、最外層に疎水性ポリマーを含む半透膜を備えるマイクロチューブを提供する。
本実施形態のマイクロチューブによれば、内部に含まれる生細胞又は水溶性化学物質の活性を保持することができる。
また、本実施形態のマイクロチューブにおいて、内部にグルコース結合タンパク質、又は酵素を含み、生体内に移植した場合、半透膜は前記グルコース結合タンパク質、又は酵素を通さず、グルコース等の基質を通すため、血糖値センサ、又は酵素センサに適用することができる。
また、本実施形態のマイクロチューブにおいて、内部に膵島細胞を含み、糖尿病患者の生体内に移植した場合、半透膜は膵島細胞を通さず、一方、前記膵島細胞から分泌されるインスリンを通すため、血糖値の上昇を抑えることができる。すなわち、糖尿病の治療に適用することができる。
また、本実施形態のマイクロチューブにおいて、各種疾患由来の細胞又は正常細胞を含むことで、例えば、疾患に対する薬剤のスクリーニング、薬剤の代謝物の確認、及び薬剤又はその代謝物の細胞毒性の確認等のインビトロ試験系に適用することができる。
本実施形態のマイクロチューブの形態において、内部径は、1000μm未満であり、200μm以上800μm以下であることが好ましい。また、長さは、用途に応じて適宜調整すればよく、例えば100μm以上1000m以下であればよい。また、厚さは、チューブ全体にわたって均一である。
次に、本実施形態のマイクロチューブの構成成分について、以下に詳細に説明する。
[半透膜]
本実施形態のマイクロチューブは、最外層に疎水性ポリマーを含む半透膜を備える。
本明細書において、「半透膜」とは、一定の大きさ以下の分子又はイオンのみを透過させる膜を意味する。
前記半透膜において、半透膜の構成材料の配合比を適宜調整することで、透過可能な分子又はイオンの大きさを調整することができる。透過可能な分子又はイオンの大きさとしては、例えば1kDa以下であればよい。
また、半透膜は、使用時に破れる虞がなく、実用上大変優れるものである。特に医療用装置に用いる場合、半透膜の強度は、移植操作に耐え得る強度を有する。
(疎水性ポリマー)
半透膜の最外層に含まれる疎水性ポリマーとしては、特別な限定はなく、本実施形態のマイクロチューブを生体内に移植する場合、前記疎水性ポリマーは生体適合性を有するものであることが好ましい。
本明細書において、「生体適合性」とは、生体組織と材料との適合性を示す評価基準を意味し、「生体適合性を有する」とは、材料それ自体が毒性を有さず、内毒素等の微生物由来の成分を有さず、生体組織を物理的に刺激することなく、生体組織を構成するタンパク質や細胞等と相互作用しても拒絶されない状態を意味する。
前記疎水性ポリマーとして具体的には、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート(モノアセチルアセテート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、及びそれらの混合物由来のセルロースアセテートを含む。)、硝酸セルロース、又はそれらの混合物等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、セルロースアセテートであることが好ましい。
疎水性ポリマーは、マイクロチューブの単位長さ1cmあたり0.1μg以上100μg以下含有することが好ましく、1μg以上10μg以下含有することがより好ましい。
半透膜における疎水性ポリマーの含有量が上記範囲であることにより、細胞又は水溶性化学物質を封入し、保持することが可能な強度とすることができる。
なお、「マイクロチューブの単位長さ1cmあたりの重量」とは、マイクロチューブの厚さを任意として、内径が上記範囲であるマイクロチューブ1cmあたりに含有される成分の重量を指す。
上記例示された疎水性ポリマーは、市販のものをそのまま用いてもよく、又はモノマーから公知の方法を用いて化学的に合成したものを用いてもよい。
例えば、セルロースアセテートの場合、以下の方法を用いて合成することができる。
セルロースに酢酸、無水酢酸、及び濃硫酸を添加し、セルロース中の水酸基をアセチル化することで製造できる。
(アルギン酸)
また、半透膜の内層は、アルギン酸からなっていてもよく、又はアルギン酸と前記疎水性ポリマーとからなる相互貫入高分子網目構造を有していてもよい。
すなわち、半透膜は、アルギン酸からなる内層と、疎水性ポリマーを含む最外層とからなる多層構造であってもよく、又は半透膜全体に疎水性ポリマーが分散して存在しており、内層から最外層にかけてアルギン酸の含有量が少なくなるように濃度勾配を形成して存在する構造であってもよい。
一般的に、「相互貫入高分子網目構造」とは、異種の架橋高分子が部分的又は全体的に相互に絡み合って形成された多重網目構造を意味する。
後述の<マイクロチューブの製造方法>において示すとおり、ゲル化したアルギン酸はクエン酸の添加により可溶化し、マイクロチューブに含まれるアルギン酸を除去することができる。
例えば、半透膜の内層がアルギン酸からなる、又はアルギン酸と前記疎水性ポリマーとが相互貫入高分子網目構造を形成しているマイクロチューブであって、薬剤等の水溶性化学物質が含むマイクロチューブを生体内に移植した場合、血液等の生体内に含まれるクエン酸により、半透膜に含まれるアルギン酸が徐々に可溶化する。経時的なアルギン酸の溶解に伴い、半透膜の分画分子量が変化(上昇)し、内部に含まれる水溶性化学物質が徐々に放出される。すなわち、本実施形態のマイクロチューブは、徐放性製剤として使用することができる。
半透膜に用いられるアルギン酸としては、褐藻等から抽出し精製したものを用いればよい。
[細胞]
本実施形態のマイクロチューブの内部に含まれる細胞としては、特別な限定はなく、用途に応じて、適宜選択することができる。
細胞として具体的には、例えば、生殖細胞(精子、卵子等)、生体を構成する体細胞、幹細胞、前駆細胞、生体から分離されたがん細胞、生体から分離され不死化能を獲得して体外で安定して維持される細胞(細胞株)、生体から分離され人為的に遺伝子改変された細胞、生体から分離され人為的に核が交換された細胞等が挙げられ、これらに限定されない。また、これら細胞の細胞塊(スフェロイド)を用いてもよい。
生体を構成する体細胞としては、例えば、皮膚、腎臓、脾臓、副腎、肝臓、肺、卵巣、膵臓、子宮、胃、結腸、小腸、大腸、膀胱、前立腺、精巣、胸腺、筋肉、結合組織、骨、軟骨、血管組織、血液、心臓、眼、脳、神経組織等の任意の組織から採取される細胞等が挙げられ、これらに限定されない。体細胞として、より具体的には、例えば、線維芽細胞、骨髄細胞、免疫細胞(例えば、Bリンパ球、Tリンパ球、好中球、マクロファージ、単球、等)、赤血球、血小板、骨細胞、骨髄細胞、周皮細胞、樹状細胞、表皮角化細胞(ケラチノサイト)、脂肪細胞、間葉細胞、上皮細胞、表皮細胞、内皮細胞、血管内皮細胞、リンパ管内皮細胞、肝細胞、膵島細胞(例えば、α細胞、β細胞、δ細胞、ε細胞、PP細胞等)、軟骨細胞、卵丘細胞、グリア細胞、神経細胞(ニューロン)、オリゴデンドロサイト、マイクログリア、星状膠細胞、心筋細胞、食道細胞、筋肉細胞(例えば、平滑筋細胞、骨格筋細胞等)、メラニン細胞、単核細胞等が挙げられ、これらに限定されない。
幹細胞とは、自己を複製する能力と他の複数系統の細胞に分化する能力を兼ね備えた細胞である。幹細胞としては、例えば、胚性幹細胞(ES細胞)、胚性腫瘍細胞、胚性生殖幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、筋幹細胞、生殖幹細胞、腸幹細胞、がん幹細胞、毛包幹細胞等が挙げられ、これらに限定されない。
前駆細胞とは、前記幹細胞から特定の体細胞又は生殖細胞に分化する途中の段階にある細胞である。
がん細胞とは、体細胞から派生して無限の増殖能を獲得した細胞であり、周囲の組織に浸潤し、または転移を起こす悪性新生物である。がん細胞の由来となる癌としては、例えば、乳癌(例えば、浸潤性乳管癌、非浸潤性乳管癌、炎症性乳癌等)、前立腺癌(例えば、ホルモン依存性前立腺癌、ホルモン非依存性前立腺癌等)、膵癌(例えば、膵管癌等)、胃癌(例えば、乳頭腺癌、粘液性腺癌、腺扁平上皮癌等)、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、悪性中皮腫等)、結腸癌(例えば、消化管間質腫瘍等)、直腸癌(例えば、消化管間質腫瘍等)、大腸癌(例えば、家族性大腸癌、遺伝性非ポリポーシス大腸癌、消化管間質腫瘍等)、小腸癌(例えば、非ホジキンリンパ腫、消化管間質腫瘍等)、食道癌、十二指腸癌、舌癌、咽頭癌(例えば、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌等)、頭頚部癌、唾液腺癌、脳腫瘍(例えば、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫等)、神経鞘腫、肝臓癌(例えば、原発性肝癌、肝外胆管癌等)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌、腎盂と尿管の移行上皮癌等)、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌(例、上皮性卵巣癌、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍等)、膀胱癌、尿道癌、皮膚癌(例えば、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞癌等)、血管腫、悪性リンパ腫(例えば、細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病等)、メラノーマ(悪性黒色腫)、甲状腺癌(例えば、甲状腺髄様癌等)、副甲状腺癌、鼻腔癌、副鼻腔癌、骨腫瘍(例えば、骨肉腫、ユーイング腫瘍、子宮肉腫、軟部組織肉腫等)、転移性髄芽腫、血管線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、網膜肉腫、陰茎癌、精巣腫瘍、小児固形癌(例えば、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍等)、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、慢性骨髄増殖性疾患、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病等)等が挙げられ、これらに限定されない。
また、本明細書において、「癌」とは、診断名を表す際に用いられ、「がん」とは、悪性新生物の総称を表す際に用いられる。
細胞株とは、生体外での人為的な操作により無限の増殖能を獲得した細胞である。細胞株としては、例えば、HCT116、Huh7、HEK293(ヒト胎児腎細胞)、HeLa(ヒト子宮頸がん細胞株)、HepG2(ヒト肝がん細胞株)、UT7/TPO(ヒト白血病細胞株)、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞株)、MDCK、MDBK、BHK、C−33A、HT−29、AE−1、3D9、Ns0/1、Jurkat、NIH3T3、PC12、S2、Sf9、Sf21、High Five、Vero等が挙げられ、これらに限定されない。
細胞の由来となる動物種としては、哺乳動物であることが好ましい。前記哺乳動物としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、マーモセット、サル等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、ヒトであることが好ましい。
[水溶性化学物質]
本実施形態のマイクロチューブの内部に含まれる水溶性化学物質としては、特別な限定はなく、例えば、タンパク質(例えば、抗体、酵素等)、多糖、核酸、薬剤等が挙げられる。
前記抗体としては、例えば、マウス等のげっ歯類の動物にグリオーマ由来のペプチド等を抗原として免疫することによって作製することができる。また、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体は、抗体断片であってもよく、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。
前記酵素としては、市販のものを用いてもよく、当該酵素をコードする核酸を含む発現ベクターを用いて生成してもよい。
前記多糖としては、水溶性のものであれば特別な限定はなく、例えば、グリコーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、ヘパリン等が挙げられる。
前記核酸としては、特別な限定はなく、例えば、siRNA、miRNA、antisense、又はそれらの機能を代償する人工核酸(例えば、BNA(Bridged Nucleic Acid)等)等が挙げられる。
<マイクロチューブの製造方法>
一実施形態において、本発明は、マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液し、前記第1の溶液にアルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を前記アルギン酸で被覆する工程1と、前記工程1の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液との混合溶液に疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を被覆した前記アルギン酸の表面に前記疎水性ポリマーを析出させて、疎水性ポリマーを含む半透膜の最外層を形成させる工程2と、前記工程2の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液と前記第3の溶液との混合溶液に二価の金属塩を含む第4の溶液を送液して合流させ、前記半透膜の内層に含まれる前記アルギン酸を不溶性ゲルに変化させてマイクロチューブを形成させる工程3と、を備えるマイクロチューブの製造方法を提供する。
本実施形態の製造方法によれば、生細胞又は活性を有する水溶性化学物質を内部に含むマイクロチューブを簡便に製造することができる。
本実施形態の製造方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[工程1]
まず、細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液する。次いで、アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液し、第1の溶液に合流させる。
このとき、第1の溶液に含まれる細胞又は水溶性化学物質は、第2の溶液に含まれるアルギン酸で被覆される。
第1の溶液の流速は、1μL/分以上100μL/分以下であることが好ましく、5μL以上50μL以下であることがより好ましく、20μL/分以上30μL/分以下であることがさらに好ましい。
また、第2の溶液の流速は、3μL/分以上300μL/分以下であることが好ましく、15μL以上150μL以下であることがより好ましく、60μL/分以上90μL/分以下であることがさらに好ましい。
第1の溶液の流速に対する第2の溶液の流速が約3倍程度の速さであり、第1の溶液及び第2の溶液の流速が上記範囲であることにより、万遍なく細胞又は水溶性化学物質をアルギン酸で被覆することができる。
以下に、第1の溶液及び第2の溶液の構成成分について詳細に説明する。
(第1の溶液)
第1の溶液に含まれる細胞又は水溶性化学物質としては、上述の<マイクロチューブ>の[細胞]又は[水溶性化学物質]に例示されたものと同様のものが挙げられる。
細胞を含む場合、第1の溶液は、細胞培養用の培地を含むことが好ましい。
前記培地としては、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)等を含む基本培地であればよい。
前記培地としては、例えば、DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI−1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F−12(DMEM/F−12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)等が挙げられ、これらに限定されない。
また、前記培地はさらに血清、又は成長因子を含んでいてもよい。
前記血清としては、例えば、FBS/FCS(Fetal Bovine/Calf Serum)、NCS(Newborn Calf serum)、CS(Calf Serum)、HS(Horse Serum)等が挙げられ、これらに限定されない。
培地に含まれる血清の濃度は、例えば2質量%以上10質量%以下であればよい。
前記成長因子としては、例えば、細胞増殖因子、細胞接着因子等が挙げられ、これらに限定されない。
前記成長因子としてより具体的には、例えば、上皮成長因子(Epidermal growth factor:EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic fibroblast growth factor:aFGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth factor:bFGF)、インスリン様成長因子−1(Insulin―like growth factor−1:IGF−1)、マクロファージ由来成長因子(Macrophage−derived growth factor:MDGF)、血小板由来成長因子(Platelet−derived growth factor:PDGF)、腫瘍血管新生因子(Tumor angiogenesis factor:TAF)等が挙げられる。これらの成長因子を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
培地に含まれる成長因子の濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
培地にはさらに、以下に例示するホルモン、抗生物質等のその他の添加物を含有していてもよい。
培地に含まれるホルモンとしては、例えば、インシュリン、グルカゴン、トリヨードチロニン、副腎皮質ホルモン等が挙げられる。これらのホルモンを単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
培地に含まれるホルモンの濃度は、特別な限定はなく、例えば1ng/mL以上10μg/mL以下であればよい。
培地に含まれる抗生物質としては、例えば、ゲンタマイシン、アンフォテリシン、アンピシリン、ミノマイシン、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタシン、タイロシン、オーレオマイシン等、通常の動物細胞の培養に用いられるものが挙げられる。これらの抗生物質を単独で含んでいてもよく、複数組み合わせて含んでいてもよい。
培地に含まれる抗生物質の濃度は、特別な限定はなく、例えば0.1μg/mL以上100μg/mL以下であればよい。
細胞を含む第1の溶液を用いる場合、所望の細胞数となるように予め培養しておき、その培養液を第1の溶液として用いればよい。
また、水溶性化学物質を含む第1の溶液を用いる場合、当該水溶性化学物質の活性を保持可能な水系溶媒を用いることが好ましい。前記水系溶媒としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液、クエン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液等の当該分野において公知の緩衝液等が挙げられる。
前記緩衝液は、必要に応じて、NaCl、界面活性剤(例えば、Tween 20、Triton X−100等)、又は防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム等)を含んでいてもよい。
緩衝液の具体例としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline;PBS)、PBS−T(PBS−Tween 20)、トリス緩衝生理食塩水(Tris Buffered Saline;TBS)、TBS−T(TBS−Tween 20)等が挙げられ、これらに限定されない。
(第2の溶液)
第1の溶液に含まれるアルギン酸としては、上述の<マイクロチューブ>の[半透膜]の(アルギン酸)に例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、アルギン酸と塩を形成する一価の金属イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、これらに限定されない。
アルギン酸と一価の金属イオンとの塩は、水に良く溶解し、粘性の液となる。
アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を溶解する溶媒としては、例えば、水等が挙げられる。
第2の溶液に含まれるアルギン酸と一価の金属イオンとの塩の濃度としては、例えば0.5質量%以上3質量%以下であればよく、例えば1質量%以上2質量%以下であればよい。
[工程2]
次いで、疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液し、第1の溶液及び第2の溶液の混合溶液に合流させる。
このとき、細胞又は水溶性化学物質を被覆したアルギン酸の表面に、第2の溶液に含まれる疎水性ポリマーが析出し、半透膜の最外層が形成される。
第3の溶液の流速は、1μL/分以上100μL/分以下であることが好ましく、5μL以上50μL以下であることがより好ましく、20μL/分以上30μL/分以下であることがさらに好ましい。
第3の溶液の流速が上記範囲であることにより、適当な厚みを有する半透膜の最外層を形成することができる。
(第3の溶液)
第3の溶液に含まれる疎水性ポリマーとしては、上述の<マイクロチューブ>の[半透膜]の(疎水性ポリマー)に例示されたものと同様のものが挙げられる。
疎水性ポリマーを溶解する溶媒としては、細胞の生存又は水溶性化学物質の活性に影響を与えず、アルギン酸と反応しない有機溶媒を用いればよい。前記有機溶媒としては、例えばアセトン、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(N,N−dimethylformamide;DMF)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide;DMSO)等の極性非プロトン性の有機溶媒;酢酸、ギ酸、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等)等の極性プロトン性の有機溶媒等が挙げられ、これらに限定されない。
第3の溶液に含まれる疎水性ポリマーの濃度としては、例えば0.1mg/mL以上30mg/mL以下であればよく、例えば0.5mg/mL以上で20mg/mL以下であればよい。
[工程3]
次いで、二価の金属塩を含む第4の溶液を送液し、第1の溶液、第2の溶液、及び第3の溶液の混合溶液に合流させる。
このとき、半透膜の内層に含まれるアルギン酸と第4の溶液に含まれる二価の金属イオンとが塩を形成して不溶性ゲルに変化することで、マイクロチューブが形成される。
第4の溶液の流速は、1.0mL/分以上10mL/分以下であることが好ましく、1.5mL以上8.5mL以下であることがより好ましく、2.0mL/分以上5.0mL/分以下であることがさらに好ましい。
第4の溶液の流速が上記範囲であることにより、半透膜に含まれるアルギン酸を万遍なく不溶性ゲルに変化させて、本実施形態のマイクロチューブを製造することができる。
また、マイクロチューブの長さは、製造時間を適宜調節することで、所望の長さとすることができる。又は、連続的に製造した後に、適宜必要な長さに切断して用いてもよい。
(第4の溶液)
第4の溶液に含まれる二価の金属塩としては、特別な限定はなく、例えば、塩化バリウム、フッ化バリウム、臭化バリウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム、リン酸バリウム等のバリウム塩;塩化カルシウム、フッ化カルシウム、臭化カルシウム、過酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム等のカルシウム塩;塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム、臭化マグネシウム、過酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩等が挙げられ、これらに限定されない。
二価の金属塩を溶解する溶媒としては、例えば、水等が挙げられる。
第4の溶液に含まれる二価の金属塩の濃度としては、例えば50mM以上200mM以下であればよく、例えば75mM以上150mM以下であればよい。
[工程4]
本実施形態の製造方法において、さらに、工程3の後に、以下に示す工程4を備えていてもよい。
工程3の後に、形成されたマイクロチューブにアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤を含む第5の溶液を添加する。
このとき、前記可溶化剤により、アルギン酸と塩を形成していた二価の金属イオンが取り除かれる、又はアルギン酸自体が分解されることで、形成されたマイクロチューブ内に含まれるアルギン酸不溶性ゲルが可溶化し、除去することができる。
(第5の溶液)
第5の溶液に含まれるアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤としては、アルギン酸と塩を形成していた二価の金属イオンが取り除く、又はアルギン酸自体を分解するものであればよく、例えば、クエン酸、エチレンジアミン(Ethylenediamine)、エチレンジアミン四酢酸(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid;EDTA)、ニトリロ三酢酸(Nitrilo Triacetic Acid;NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid;DTPA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン−N,N’,N’−三酢酸(Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid;HEDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(Glycol Ether Diamine Tetraacetic Acid;GEDTA、EGTA)、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N’ ’,N’ ’ ’,N’ ’ ’−六酢酸(Triethylene Tetramine Hexaacetic Acid;TTHA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(Hydroxyethyl Imino Diacetic Acid;HIDA)、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Dihydroxyethyl Glycine;DHEG)等のキレート剤;アルギン酸リアーゼ等の酵素等が挙げられ、これらに限定されない。
また、前記クエン酸は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸塩の形であってもよい。
また、第5の溶液は、比重を大きくするために、例えば、スクロース、ラクトース、マルトース等の二糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖等のオリゴ糖;ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、カラギナン等の増粘多糖類等を含んでいてもよい。
第5の溶液に含まれるアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤がクエン酸である場合、該クエン酸の濃度としては、例えば0.1mM以上100mM以下であればよい。
また、第5の溶液に含まれるアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤がEDTAである場合、該EDTAの濃度としては、例えば0.5mM以上100mM以下であればよい。
また、第5の溶液に含まれるアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤がアルギン酸リアーゼである場合、該アルギン酸リアーゼの濃度としては、例えば0.04mg/mL以上400mg/mL以下であればよい。
<マイクロチューブの製造装置>
一実施形態において、本発明は、マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液するための主流路と、前記主流路に接続されており、アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液するための第1の副流路と、前記第1の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液するための第2の副流路と、前記第2の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、二価の金属塩を含む第4の溶液を送液するための第3の副流路と、を備えるマイクロ流体デバイスを含むマイクロチューブの製造装置を提供する。
本実施形態の製造装置によれば、生細胞又は活性を有する水溶性化学物質を内部に含むマイクロチューブを簡便に製造することができる。
本実施形態の製造装置の例を、以下、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
[マイクロ流体デバイス]
図1(A)は本実施形態のマイクロチューブの製造装置の一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示すマイクロチューブの製造装置1Aは、内部に封入する水溶性化学物質を含む第1の溶液(1)を送液するための主流路1と、前記主流路1に接続されており、アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液(2)を送液するための第1の副流路2aと、前記第1の副流路2aよりも後方において前記主流路1に接続されており、疎水性ポリマーを含む第3の溶液(3)を送液するための第2の副流路2bと、前記第2の副流路2bよりも後方において前記主流路1に接続されており、二価の金属塩を含む第4の溶液(4)を送液するための第3の副流路2cと、を備えるマイクロ流体デバイス10を含む。
マイクロチューブの製造装置1Aは、換言すると、主流路1に3つの副流路が接続された構成を有する。
主流路1の内部径は、例えば100μm以上1000μm以下であればよく、主流路1の長さは、例えば200μm以上800μm以下であればよい。
また、各副流路の内部径は、例えば100μm以上1000μm以下であればよく、各副流路の長さは、例えば200μm以上800μm以下であればよい。
また、マイクロ流体デバイス10の材質について、特別な限定はなく、例えば、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコール(登録商標)ガラス、石英ガラス等のガラス材料:シリコン:ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(酢酸ビニル−共−無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フルオロカーボンポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミン等の樹状ポリマーを含むプラスチック又はポリマー;ポリ(酢酸ビニル−共−無水マレイン酸)、ポリ(スチレン−共−無水マレイン酸)、ポリ(エチレン−共−アクリル酸)又はこれらの誘導体等のコポリマー等が挙げられる。
図1(A)に示すマイクロチューブの製造装置1Aは、主流路1から前記第1の溶液(1)が送液され、次いで、第1の副流路2aから前記第2の溶液(2)が送液され、次いで、第2の副流路2bから前記第3の溶液(3)が送液され、最後に、第3の副流路2cから前記第4の溶液(4)が送液されて、使用される。
また、図1(B)は本実施形態のマイクロチューブの製造装置の他の実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図1(B)において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示すマイクロチューブの製造装置2Aは、前記第5の溶液(5)を送液するための第4の副流路2dを備えている点以外は図1(A)に示すマイクロチューブの製造装置1Aと同じものである。すなわち、マイクロチューブの製造装置2Aは、換言すると、主流路1に4つの副流路が接続された構成を有する。
図1(B)に示すマイクロチューブの製造装置2Aは、主流路1から前記第1の溶液(1)が送液され、次いで、第1の副流路2aから前記第2の溶液(2)が送液され、次いで、第2の副流路2bから前記第3の溶液(3)が送液され、次いで、第3の副流路2cから前記第4の溶液(4)が送液され、最後に、第4の副流路2dから前記第5の溶液(5)が送液されて、使用される。
本実施形態のマイクロチューブの製造装置は、図1(A)及び図1(B)に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1(A)及び図1(B)に示すものの一部の構成が変更又は削除されたものや、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
例えば、図1(A)及び図1(B)に示すマイクロチューブの製造装置においては、主流路1及び各副流路2a〜2dに各溶液の流速を調節するためのポンプ及び/又は弁を備えていてもよい。
また、例えば、図1(A)及び図1(B)に示すマイクロチューブの製造装置においては、前記ポンプ及び/又は弁を制御し、各溶液の流速が上述の<マイクロチューブの製造方法>において記載の範囲となるように調節する制御装置を備えていてもよい。
また、例えば、図1(A)及び図1(B)に示すマイクロチューブの製造装置においては、主流路の出口に、形成されたマイクロチューブの貯留用容器を備えていてもよい。
また、例えば、図1(A)に示すマイクロチューブの製造装置においては、前記貯留用容器に前記第5の溶液を予め添加しておき、マイクロチューブに含まれるアルギン酸を除去してもよい。
<マイクロチューブの用途>
本実施形態のマイクロチューブは、例えば、各種センサ、細胞製剤、徐放性製剤等に使用できる。
具体的には、マイクロチューブ内部にグルコース結合タンパク質を封入し、生体内に移植することで、生体内のグルコースと結合し、血糖値センサとして使用できる。
また、マイクロチューブ内部に各種酵素を封入し、生体内に移植することで、生体内の基質と反応し、酵素センサとして使用できる。
また、マイクロチューブ内部に膵島細胞を封入し、生体内に投与することで、膵島細胞が生体内にインスリンを分泌し、糖尿病患者の治療に用いる細胞製剤として使用できる。
また、アルギン酸を含むマイクロチューブ内部に薬剤を封入し、生体内に投与することで、生体内のクエン酸によりアルギン酸が経時的に除去されて薬剤が徐々に放出されるため、徐放性製剤として使用できる。
また、マイクロチューブ内部に各種疾患由来の細胞又は正常細胞を封入することで、例えば、疾患に対する薬剤のスクリーニング、薬剤の代謝物の確認、及び薬剤又はその代謝物の細胞毒性の確認等のインビトロ試験系として使用できる。
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例等に限定されるものではない。
[実施例1]蛍光物質封入マイクロチューブの製造
(1)各種溶液の調製
0.1質量%Fluorescein isothiocyanate−dextran(分子量:15万、励起波長:494nm、蛍光波長:520nm)(以下、「FITC−dex」と称する場合がある。)溶液、1.5質量%アルギン酸ナトリウム溶液、0.1質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液、100mM塩化カルシウム溶液、3質量%スクロース溶液、及び55mMクエン酸溶液を調製した。
また、100mM塩化カルシウム溶液と3質量%スクロース溶液とを予め混合しておいた。
(2)マイクロチューブの製造
図1(A)に示すマイクロチューブの製造装置1Aを用いて、マイクロチューブを製造した。
まず、FITC−dex溶液を主流路1に流速25μL/分で送液した。次いで、副流路2aから1.5質量%アルギン酸ナトリウム溶液を流速75μL/分で送液した。次いで、副流路2bから0.1質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を流速25μL/分で送液した。最後に、副流路2cから100mM塩化カルシウム溶液及び3質量%スクロース溶液の混合溶液を流速.6mL/分で送液し、マイクロチューブを製造した。
製造されたマイクロチューブについて位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図2(A)、蛍光顕微鏡(励起光:494nm)を用いて観察した画像を図2(C)に示す。
(3)アルギン酸の除去
次いで、製造されたマイクロチューブのうち一部に55mMクエン酸溶液を添加し、室温で5分間静置した。クエン酸溶液添加から0、1、3、及び5分後のマイクロチューブについて位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図3に示す。
また、クエン酸溶液を添加しアルギン酸を除去したマイクロチューブについて位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図2(B)、蛍光顕微鏡を用いて観察した画像を図2(D)に示す。
図2(A)及び(C)から、セルロース及びアルギン酸からなるマイクロチューブが形成されており、チューブ内部にFITC−dexが封入されていることが確かめられた。
また、図3から、クエン酸溶液を添加後から時間が経過しても、マイクロチューブの全体の構造は変化しないが、チューブの屈折率が変化していることが確かめられた。
また、図2(B)及び(D)から、マイクロチューブの全体の構造は変化せず、保持されており、さらにチューブ内部にFITC−dexが封入されたままの状態で保持されていることが確かめられた。
[実施例2]2種類の蛍光物質封入マイクロチューブの製造
(1)各種溶液の調製
さらに、0.1質量%Hoechst(分子量:533.88、励起波長:352nm、蛍光波長:461nm)溶液を調製した以外は、実施例1の(1)と同様に各種溶液を調製した。また、0.1質量%FITC−dex溶液、及び0.1質量%Hoechst溶液を予め混合した。
(2)マイクロチューブの製造
次いで、0.1質量%FITC−dex溶液と0.1質量%Hoechst溶液との混合溶液を流速25μL/分で主流路に送液した以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、マイクロチューブを製造した。
(3)アルギン酸の除去
次いで、製造されたマイクロチューブに55mMクエン酸溶液を添加し、室温で10分間静置した。クエン酸溶液添加から0及び10分後のマイクロチューブについて位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図4(A)及び(D)に示す。
また、クエン酸溶液添加から0及び10分後のマイクロチューブについて蛍光顕微鏡(励起光:494nm)を用いて観察した画像を図4(B)及び(E)、蛍光顕微鏡(励起光:352nm)を用いて観察した画像を図4(C)及び(F)に示す。
図4(A)〜(F)から、クエン酸溶液添加から0分後においては、いずれの蛍光物質もマイクロチューブ内部に封入されていた。一方、クエン酸溶液添加から10分後においては、FITC−dexはチューブ内部に保持されていたのに対し、Hoechstはチューブを透過して、チューブ外部に拡散していた。
このことから、FITC−dexは透過せず、Hoechstを透過するため、マイクロチューブは半透膜性を有することが示唆された。また、クエン酸の添加により、半透膜性を経時的に変化させることができることが示唆された。
[実施例3]セルロースアセテート濃度の異なる2種類の蛍光物質封入マイクロチューブの製造
(1)各種溶液の調製
さらに、0.5質量%及び1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を調製した以外は実施例2の(1)と同様に各種溶液を調製した。
(2)マイクロチューブの製造
次いで、0.1質量%FITC−dex溶液と0.1質量%Hoechst溶液との混合溶液を流速25μL/分で主流路に送液し、さらに0.1質量%、0.5質量%、及び1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液をそれぞれ25μL/分で送液して3種類のマイクロチューブを製造した以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、マイクロチューブを製造した。
(3)アルギン酸の除去
次いで、製造されたマイクロチューブに55mMクエン酸溶液を添加し、室温で10分間静置した。クエン酸溶液添加から10分後の0.5質量%及び1質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いたマイクロチューブについて、位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図5(A)及び(D)に示す。
また、クエン酸溶液添加から10分後の0.5質量%及び1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いたマイクロチューブについて蛍光顕微鏡(励起光:494nm)を用いて観察した画像を図4(B)及び(E)、蛍光顕微鏡(励起光:352nm)を用いて観察した画像を図4(C)及び(F)に示す。
図5(A)〜(F)から、0.5質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いたマイクロチューブでは、0.1質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いたマイクロチューブと同様に、FITC−dexはチューブ内部に保持され、Hoechstはチューブを透過して、チューブ外部に拡散することが確かめられた。
一方、1.0質量%セルロースアセテート含有アセトン溶液を用いたマイクロチューブでは、FITC−dex及びHoechstいずれもチューブ内部に保持されていた。
このことから、セルロースアセテート濃度を適宜調整することで、チューブの半透膜性を調整できることが示唆された。
[実施例4]酵素封入マイクロチューブの製造
(1)各種溶液の調製
さらに、1.0質量%カタラーゼ溶液を調製した以外は実施例1の(1)と同様に各種溶液を調製した。また、0.1質量%FITC−dex溶液、及び1.0質量%カタラーゼ溶液を予め混合した。
(2)マイクロチューブの製造
次いで、0.1質量%FITC−dex溶液と1.0質量%カタラーゼ溶液との混合溶液を流速25μL/分で主流路に送液した以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、マイクロチューブを製造した。
(3)酵素反応の確認
次いで、製造されたマイクロチューブを200μM過酸化水素溶液に浸漬した。200μM過酸化水素溶液に浸漬したマイクロチューブについて、位相差顕微鏡を用いて観察した画像を図6(B)、蛍光顕微鏡を用いて観察した画像を図6(C)に示す。
図6(B)から、気泡がチューブ表面に、図6(C)から既報がチューブ内部に生成されたことが確かめられた。
このことから、チューブ内部のカタラーゼの活性は保たれており、図6(A)に示すように、過酸化水素がマイクロチューブ内に透過することで、カタラーゼにより過酸化水素が水と酸素とに分解され、酸素の気泡が生成されると推察された。
[実施例5]細胞封入マイクロチューブの製造
(1)各種溶液の調製
さらに、0.1質量%FITC−dex溶液の代わりに、1×10個/mLヒト皮膚線維芽細胞の懸濁液を調製した以外は実施例1の(1)と同様に各種溶液を調製した。
(2)マイクロチューブの製造
次いで、0.1質量%FITC−dex溶液の代わりに、1×10個/mLヒト皮膚線維芽細胞の懸濁液を流速25μL/分で主流路に送液した以外は、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、マイクロチューブを製造した。
(3)アルギン酸の除去
次いで、製造されたマイクロチューブに55mMクエン酸溶液を添加し、室温で10分間静置した。クエン酸溶液添加から0及び10分後のマイクロチューブの一部をLive/Dead Cell Staining Kit II(Thermo Fisher社製)(4mMカルセイン−AM:生細胞が持つ細胞内エステラーゼにより加水分解され緑色を発光、エチジウムホモダイマーIII:死細胞の核内DNAに入り込んで赤色を発光)を用いて、染色した。次いで、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡(励起光:490nm及び545nm)を用いて観察した画像を図7及び図8に示す。
図7及び図8において、左上は蛍光顕微鏡(励起光:490nm)を用いて観察した画像であり、右上は位相差顕微鏡を用いて観察した画像であり、左下は生細胞の緑色の蛍光のみ抜き出した画像であり、右下は蛍光顕微鏡(励起光:545nm)を用いて死細胞の赤色の蛍光を観察した画像である。
(4)細胞封入マイクロチューブの培養
次いで、クエン酸溶液処理後のマイクロチューブについて10%ウシ胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco‘s Modified Eagle’s Medium;DMEM)を用いて1日培養した。培養後のマイクロチューブの一部をLive/Dead Cell Staining Kit II(Thermo Fisher社製)を用いて、染色した。次いで、位相差顕微鏡、蛍光顕微鏡(励起光:490nm及び545nm)を用いて観察した画像を図9に示す。
図9において、左上は蛍光顕微鏡(励起光:490nm)を用いて観察した画像であり、右上は位相差顕微鏡を用いて観察した画像であり、左下は生細胞の緑色の蛍光のみ抜き出した画像であり、右下は蛍光顕微鏡(励起光:545nm)を用いて死細胞の赤色の蛍光を観察した画像である。
図7〜9から、マイクロチューブ内部に細胞が封入されており、さらに封入された細胞はほとんどが生存しており、死細胞の割合はごくわずかであることが確かめられた。
このことから、細胞を生きたままマイクロチューブに封入し、保持できることが示された。
本発明のマイクロチューブによれば、内部に封入された生細胞又は水溶性化学物質の活性を保持することができる。
また、本発明のマイクロチューブにおいて、内部にグルコース結合タンパク質、又は酵素を封入し、生体内に移植した場合、半透膜は前記グルコース結合タンパク質、又は酵素を通さず、グルコース等の基質を通すため、血糖値センサ、又は酵素センサに適用することができる。
また、本発明のマイクロチューブにおいて、内部に膵島細胞を封入し、糖尿病患者の生体内に移植した場合、半透膜は膵島細胞を通さず、一方、前記膵島細胞から分泌されるインスリンを通すため、血糖値の上昇を抑えることができる。すなわち、糖尿病の治療に適用することができる。
また、本発明のマイクロチューブにおいて、各種疾患由来の細胞又は正常細胞を封入することで、例えば、疾患に対する薬剤のスクリーニング、薬剤の代謝物の確認、及び薬剤又はその代謝物の細胞毒性の確認等のインビトロ試験系に適用することができる。
1A,2A…マイクロチューブの製造装置、1…主流路、2a…第1の副流路、2b…第2の副流路、2c…第3の副流路、2d…第4の副流路、10,20…マイクロ流体デバイス。

Claims (8)

  1. 内部に細胞又は水溶性化学物質を含み、最外層に疎水性ポリマーを含む半透膜を備え
    前記半透膜の内層がアルギン酸と前記疎水性ポリマーとからなる相互貫入高分子網目構造を有し、且つ、前記半透膜全体に前記疎水性ポリマーが分散して存在しており、内層から最外層にかけて前記アルギン酸の含有量が少なくなるように濃度勾配を形成して存在する構造であって、
    前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブ。
  2. 前記水溶性化学物質が、タンパク質、多糖、核酸、及び薬剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載のマイクロチューブ。
  3. 前記疎水性ポリマーがセルロースアセテートである請求項1又は2に記載のマイクロチューブ。
  4. マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液し、前記第1の溶液にアルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を前記アルギン酸で被覆する工程1と、
    前記工程1の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液との混合溶液に疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液して合流させ、前記細胞又は前記水溶性化学物質を被覆した前記アルギン酸の表面に前記疎水性ポリマーを析出させて、疎水性ポリマーを含む半透膜の最外層を形成させる工程2と、
    前記工程2の後に、前記第1の溶液と前記第2の溶液と前記第3の溶液との混合溶液に二価の金属塩を含む第4の溶液を送液して合流させ、前記半透膜の内層に含まれる前記アルギン酸を不溶性ゲルに変化させてマイクロチューブを形成させる工程3と、
    を備え
    前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブの製造方法。
  5. さらに、前記工程3の後に、前記形成されたマイクロチューブにアルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤を含む第5の溶液を添加し、前記マイクロチューブに含まれる前記アルギン酸を可溶化させて除去する工程4を備える請求項に記載のマイクロチューブの製造方法。
  6. 請求項5に記載のマイクロチューブの製造方法により得られる、マイクロチューブ。
  7. マイクロチューブの内部に封入する細胞又は水溶性化学物質を含む第1の溶液を送液するための主流路と、
    前記主流路に接続されており、アルギン酸と一価の金属イオンとの塩を含む第2の溶液を送液するための第1の副流路と、
    前記第1の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、疎水性ポリマーを含む第3の溶液を送液するための第2の副流路と、
    前記第2の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、二価の金属塩を含む第4の溶液を送液するための第3の副流路と、
    を備えるマイクロ流体デバイスを含み、
    前記疎水性ポリマーがポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、及び硝酸セルロースからなる群より選ばれる1種以上である、マイクロチューブの製造装置。
  8. 前記マイクロ流体デバイスが、さらに、前記第3の副流路よりも後方において前記主流路に接続されており、アルギン酸不溶性ゲルの可溶化剤を含む第5の溶液を送液するための第4の副流路を備える請求項7に記載のマイクロチューブの製造装置。
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