JP4187096B2 - 3次元フォトニック結晶製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造において、熱膨張率が異なる部材同士を熱接着する方法に関する。特に、光IC素子等に適用することができる3次元フォトニック結晶の製造において好適に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、新しい光デバイスとして、フォトニック結晶が注目されている。フォトニック結晶とは周期屈折率分布をもった機能材料であり、光や電磁波のエネルギーに対してバンド構造を形成する。特に、光や電磁波の伝播が不可能となるエネルギー領域(フォトニックバンドギャップ)が形成されることが特徴である。
【0003】
フォトニック結晶中の屈折率分布に適切な欠陥を導入することにより、フォトニックバンドギャップ中にこの欠陥によるエネルギー準位(欠陥準位)が形成される。これによって、フォトニックバンドギャップ中のエネルギーに対応する波長範囲のうち、欠陥準位のエネルギーに対応する波長の光のみが、この欠陥位置において存在可能になる。これにより、フォトニック結晶内に、線状の欠陥から成る光導波路や点状の欠陥から成る光共振器等の光回路素子を設けることができる。1個のフォトニック結晶内にこれらの光回路素子を多数設けて光集積回路を構成することにより、このフォトニック結晶は光IC素子となる。これまでの光通信等の分野においてはディスクリートな光回路素子を個々に接続して用いているが、光IC素子によりこれらを超小型化することができる。
【0004】
フォトニック結晶には、2次元結晶あるいは3次元結晶がある。このうち3次元フォトニック結晶は、2次元フォトニック結晶と比較して、欠陥位置に存在する光が外部に漏出し難いという特長を有する。本願発明者らは非特許文献1において、複数のロッドを平行且つ所定の面内周期で周期的に配置したストライプ層を積層し、各ストライプ層に属する各ロッドが最隣接のストライプ層に属する各ロッドと直交し、各ストライプ層に属する各ロッドが2層離れたストライプ層に属する各ロッドと平行且つ面内周期の1/2だけずれる構成の3次元フォトニック結晶を提案している。
【0005】
【非特許文献1】
野田進他、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、(日本)、社団法人応用物理学会、1996年、第35巻、L909〜L912ページ(S. Noda et al., Japanese Journal of Applied Physics, vol. 35, p. L909〜L912 (1996))
【0006】
3次元フォトニック結晶において、点状欠陥により光共振器を形成する場合、その位置、形状、大きさ等を調整することにより共振周波数を制御することができる。この点状欠陥による光共振器を発光させるためには、その点状欠陥の共振周波数の光で発光する材料をフォトニック結晶中に導入する必要がある。非特許文献2では、前記のストライプ層のうちの1層を、他のストライプ層の材料と同程度の屈折率を有し、且つその波長の光で発光する材料から成るロッドで構成する発光層とすることが提案されている。この場合、結晶全体としては発光層を導入しない場合と同様にフォトニックバンドギャップが形成され、その発光層内に点状欠陥を設けることにより、所定の波長で発光する光共振器となる。その点状欠陥の近傍に導波路を設けることにより、光共振器の発光を外部に取り出すことができる。非特許文献2には、発光層にInGaAsPを用い、その他の層にGaAsを用いる例が記載されている。
【0007】
【非特許文献2】
小川新平他、「3次元フォトニック結晶による自然放出光制御−無欠陥発光体の導入とPL特性」、第49回応用物理学関係連合講演会講演予稿集、(日本)、社団法人応用物理学会、2002年、第3巻、p. 1031
【0008】
非特許文献1には、発光層を含まない3次元フォトニック結晶の製造方法が記載されている。それによれば、図1に示すように、以下の(a)〜(c)の工程を行う。(a)基板11上に薄膜を形成し、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチングによりストライプ構造を形成し、1層分のストライプ層12を作製する。(b)2組のストライプ層121及び122を、両ストライプ層が接するように重ね合わせ、それを加熱することにより熱接着する。(c)エッチング等により一方の基板112を除去する。更に(b)-(c)の工程を繰り返すことにより、ストライプ層の積層数を増加させることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前記の製造方法では、熱接着の際にロッドの位置がずれないように、ストライプ層が基板上に固定されていなければならない。しかし、前記の方法では、基板111と基板112の材料が異なる場合に、図1(b)の工程においてストライプ層121とストライプ層122とが剥離してしまう。この剥離は、基板111と基板112との熱膨張の差が生じることにより、両ストライプ層の接着部に力が働いたことによると考えられる。
【0010】
このような問題が生じる一例として、前記のGaAs層とInGaAsPとを接着する場合について述べる。InGaAsP層にはInP製の基板を、GaAs層にはGaAs製の基板を用いる。GaAsとInGaAsPとを強固に熱接着するためには少なくとも400℃以上、望ましくは500℃以上に加熱する必要がある。しかし、この温度ではGaAs層とInGaAsP層とが剥離してしまう。図2にGaAs層とInGaAsP層との接着界面の、(a)加熱前及び(b)525℃で加熱した後の走査超音波顕微鏡(SAM)像を示す。ここで(a)中の白い部分13が1組のストライプ層である。加熱によりGaAs層とInGaAsP層とが熱接着すると、SAM像のその部分(図中の13)が濃く見えるはずである。しかし、(b)に示すように、加熱後のSAM像はストライプ層の周囲を含めて白くなっている。これは熱接着すべき界面で剥離が生じていることを示している。
【0011】
一方、基板の熱膨張係数差の影響を避けるために、2つの基板の熱膨張の差が小さい比較的低い温度のみで熱接着する方法が考えられる。しかし、この場合には加熱温度が低いため、十分な接着強度を得ることが難しい。また、別の方法として、室温において基板を薄膜化して熱膨張の差の影響を少なくしたうえで、十分な融着強度が得やすい高い温度で熱接着する方法も考えられる。しかし、この場合には薄膜化した基板は強度が低く、プロセス時のみ一時的にワックスなどの化学薬品でガラス基板などに別途固定した場合でも、洗浄・化学処理などのプロセス時に破壊する可能性が高いという問題がある。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、異なる材料から成る部材同士を剥離が生じることなく、且つ所定のパターンを乱すことなく熱接着することができる方法を提供することにある。特に、発光層等の異種材料から成る部材を含む3次元フォトニック結晶を高収率で製造する方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために成された本発明に係る異種部材の熱接着方法の第1の態様のものは、
a)第1基板上に第1のパターンで固定された第1部材の上に、第2基板上に第2のパターンで固定された第2部材を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
b)前記第2基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
c)仮接着されている第1部材と第2部材とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る異種部材の熱接着方法の第2の態様のものは、
a)基板上に所定のパターンで固定された第1部材の上に第2部材を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
b)前記基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
c)仮接着されている第1部材と第2部材とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る異種部材の熱接着方法の第3の態様のものは、
a)基板上に固定された第1部材の上に第2部材を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
b)前記基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
c)仮接着されている第1部材と第2部材とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
を含むことを特徴とする。
【0016】
これらの異種部材の熱接着方法は、3次元フォトニック結晶を製造する際に好適に用いることができる。本発明に係る3次元フォトニック結晶製造方法の第1の態様のものは、
a)第1基板上に所定の周期で配列されたロッドから成る第1層の上に、前記第1基板とは熱膨張係数が異なる第2基板上に所定の周期で配列されたロッドから成る第2層を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
b)前記第2基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
c)仮接着されている前記第1層と前記第2層とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
d) 前記第2基板を除去する基板除去工程と、
を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る3次元フォトニック結晶製造方法の第2の態様のものは、
a)第1基板上に所定の周期で固定されたロッドから成る第1層の上に、前記第1基板とは熱膨張係数が異なる第2基板を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
b)前記第1基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
c)仮接着されている前記第1層と前記第2基板とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
d)前記第1基板を除去する基板除去工程と、
を含むことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の異種部材の熱接着方法の第1の態様のものについて説明する。第1部材は第1のパターンを有し、第2部材は第2のパターンを有する。これら第1部材と第2部材、及び第1パターンと第2パターンは同じものであっても異なるものであってもよい。第1部材は第1基板上に固定され、第2部材は第2基板上に固定されている。第1基板と第2基板は熱膨張率が異なる。ここで、「部材を基板上に固定する」ことには、基板表面に堆積させた層にエッチング処理等により所定のパターンを形成することや、基板自体の表面にエッチング処理等により所定のパターンを形成することを含む(後述の第2態様の異種部材の熱接着方法においても同様)。後者の場合には、基板と部材とが同じ材料のものとなる。
【0019】
第1部材の上に第2部材を載置して、両部材を所定の仮接着温度に加熱する。この仮接着温度は、両部材が不十分ながら接着することができる温度であり、且つ第1基板と第2基板との熱膨張の差による剥離が生じない温度とする。この工程により、両部材が仮接着される。
【0020】
両部材が仮接着された状態で、機械研磨やエッチング等により第2基板を所定の厚さまで薄くする。この工程を基板減厚工程と呼ぶ。
【0021】
次に、両部材を所定の本接着温度に加熱する。この本接着温度は仮接着温度よりも高温で、両部材を完全に接着することができる温度とする。この際、両部材はそれぞれの基板により確実に保持されているため、両部材はそれぞれのパターンを正確に保持した状態で強固に接着される。なおかつ、一方の基板(第2基板)は先の工程で薄くされているため、両基板の熱膨張の差によって両部材間に働く力が減少し、部材間或いは部材と基板との間での剥離が防止される。
【0022】
従って、第2基板を薄くする工程における前記所定の厚さは、そのような目的に適した範囲とする。すなわち、その厚さの上限は、本接着工程の際に両基板の熱膨張の差により過度の力が両部材間に働かないような値とし、下限は、本接着工程の際に第2基板自体が破壊せず、両部材のパターンが保持されるような値とする。
【0023】
第1態様の方法では両部材ともパターンを有し、このパターンを保持するために、双方の部材は基板上に固定している。それに対して本発明の第2態様の異種部材の熱接着方法では、第1部材のみが基板上に所定のパターンを固定したものであり、第2部材がパターンを有しないものである場合を扱う。従って、第2部材は基板上になくてもよい。第1態様の方法の場合では、第1部材の基板と第2部材の基板との熱膨張の差による剥離が問題となるのに対して、この第2態様の方法の場合では、第1部材の基板と第2部材自体との熱膨張の差による剥離及びそれによるパターンの乱れが問題となる。ただし、第2部材が更に基板を持つ場合には、その基板と第1部材の基板との関係が問題となる場合も生じる。
熱接着工程は上記第1態様の方法とほぼ同じである。
【0024】
第1及び第2部材が共にパターンを有しない場合であっても、いずれか一方の部材が基板に固定されている場合には、その基板と他方の部材、又はその他方の部材が固定されている基板との間の熱膨張率の差により剥離が生じる恐れがある。この場合も、上記第1及び第2の態様と同様の方法を用いることにより、そのような剥離を防止することができる。これが本発明の第3態様の異種部材の接着方法である。
【0025】
次に、この異種部材の熱接着方法を3次元フォトニック結晶の製造に適用する。第1態様の方法では、第1基板と、第1基板とは異なる熱膨張率を有する第2基板を用いる。両基板上にそれぞれロッドを平行且つ所定の面内周期で固定した第1層及び第2層を形成する。例えば一方の層にGaAs、他方の層にInGaAsPを用いる場合には、GaAs層の基板にはGaAsを、InGaAsP層の基板にはInPを用いる。なお、第1層及び第2層は、複数のストライプ層を積層したものでもよい。
【0026】
第1層の上に第2層を、3次元フォトニック結晶を構成するために必要な所定の位置関係で載置する。この状態で、全体を所定の仮接着温度に加熱する。仮接着温度は、第1層と第2層とが不十分ながら接着することができる温度であり、且つ第1基板と第2基板との熱膨張の差による剥離が生じない温度とする。仮接着温度は第1層、第2層及びそれらの基板の材料に応じて適切に定めるが、前記のGaAs層とInGaAsP層とを用いる例では、100℃〜300℃の温度範囲とする。
【0027】
機械研磨やエッチング等により、第2基板を所定の厚さまで薄くする。厚さの上限値及び下限値は前述の通りとする。
【0028】
次に、両部材を所定の本接着温度に加熱する。この本接着温度は、仮接着温度よりも高温であり、第1層と第2層とを完全に接着することができる温度とする。これにより、剥離やロッドの周期の乱れが生じることなく、第1層と第2層とが完全に接着する。本接着温度も第1層及び第2層の材料に応じて適切に定めるが、前記のGaAs層とInGaAsP層とを用いる例では、400℃〜700℃の温度範囲とする。その後、エッチング等を用いて第2基板を完全に除去することによりフォトニック結晶の積層が完成する。
【0029】
本発明の第2態様の3次元フォトニック結晶の製造方法では、基板上にロッドを平行且つ所定の面内周期で固定した第1層と、フォトニック結晶以外のものから成る第2層とを熱接着する。この第2態様の方法は、例えば基板上に固定したフォトニック結晶を他の基板に載せ替える場合等に用いることができる。
本第2態様における3次元フォトニック結晶製造方法は、上記とほぼ同じである。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、基板上に所定のパターンで固定された部材と他の部材とを、基板と他の部材又は基板との熱膨張の差による剥離が生じることなく、且つそのパターンを乱すことなく熱接着することが可能になる。特に、3次元フォトニック結晶の2種の層を、剥離が生じることなく、且つロッドの周期の乱れが生じることなく熱接着することが可能になる。これにより、発光層等を含む3次元フォトニック結晶を製造することが可能になる。
【0031】
【実施例】
(1)3次元フォトニック結晶の製造方法
本発明の一実施例として、3次元フォトニック結晶の製造方法を説明する。図3に、GaAsから成る主構成層とInGaAsPから成る発光層とを熱接着する工程を示す。上記従来の方法(図1参照)により、厚さ600μmのGaAs基板21上に主構成層22を形成する。主構成層22は、断面0.2μm×0.2μmのGaAsから成るロッドを周期的に配置したストライプ層が1層又は複数層積層したものである。同様に、厚さ350μmのInP基板23上に、断面0.2μm×0.2μmのInGaAsPから成るロッドを周期的に配置して、発光層24を形成する(a)。両者を、主構成層22と発光層24とが接するように重ねる。この際、発光層24のロッドが、それに接する主構成層22のロッドに直交し、且つそれに隣接するロッドと1/2周期ずれるようにする。
【0032】
全体を220℃に加熱する(b)。これにより、主構成層22と発光層24とは弱く接着する(仮接着)。これによるGaAsロッドとInGaAsPロッドとの接着強度は実用上十分なものではない。次に、InP基板23を、その厚さが10μm程度以下になるまで機械的・化学的方法により薄膜化する(c)。このとき、InP基板23の存在により、InGaAsPロッドはバラバラになることはなく、所定の配置(パターン)が保持される。
【0033】
その後、全体を525℃に加熱する(d)。これにより、主構成層22と発光層24とが実用上十分な強度で熱接着する(本接着)。その後、塩酸を用いたエッチングによりInP基板23を完全に除去(e)すると、表面に発光層が存在する3次元フォトニック結晶が完成する(f)。この発光層においては、InGaAsPロッドが所定のパターンを保持して配置されている。
【0034】
上記仮接着温度について説明する。室温では、OH基がGaAsやInGaAsPの表面付近にある構成原子を終端して存在する。100℃〜300℃の温度領域において、主構成層22中のOH基と発光層24中のOH基とが脱水縮合し、主構成層22と発光層24とが弱く接着する。但し、本実施例の厚さ350μmのInP基板を用いた場合には、仮接着時に300℃で加熱すると、基板の熱膨張に起因した、接着部に生じる力により主構成層22と発光層24とが剥離する。そのため、脱水縮合が生じる温度範囲のうち、基板の熱膨張による剥離が生じない220℃を仮接着温度とした。
【0035】
(2)接着部に生じる熱膨張による力の解析
本発明においては、基板の熱膨張により接着部に生じる力の影響が問題となる。そこで、主構成層の基板がGaAsから成り発光層の基板がInPから成る前記実施例の場合について、両層及び基板に生じる力を2次元有限要素法を用いて解析した。以下の計算では、GaAs及びInPに関しては図4に示すパラメータを用いた。
【0036】
まず、GaAs基板の厚さが600μm、InP基板内の厚さが350μm、温度が300℃の時の歪みエネルギーの分布を計算した結果を図5に示す。ここでx座標は接着面に平行な方向であり、x=0(mm)は両基板の中心、x=3(mm)は両基板の端部である。また、y座標は接着面に垂直な方向であり、y=0(mm)は接着面である。(a)は試料の右半分全体を表し、(b)は両基板の接着面近傍で且つ端部近傍((a)に示した枠内)を拡大したものを表す。この図から、接着面近傍で且つ端部近傍の位置に歪みエネルギーが集中していることがわかる。
【0037】
両基板の端部近傍における歪みエネルギーとInP基板の厚さとの関係を計算した結果を図6に示す。その際、300℃及び525℃の2種類の加熱温度条件で計算した。図中の斜線部は、剥離が生じない220℃の時の歪みエネルギーであり、計算で求めた接着面の歪みエネルギーがこの範囲以下であれば剥離が生じないと考えられる。加熱温度が300℃の場合には、前記製造方法の実施例で用いた厚さ350μmのInP基板では、接着面の歪みエネルギーが図中の斜線部の範囲を上回るため、剥離が生じると考えられる。一方、InP基板の厚さを約150μm以下とすれば剥離が生じないと考えられる。また、加熱温度が525℃(前記製造方法の本接着時の温度)の場合には、InP基板の厚さが約25μm以下の時には剥離が生じないと考えられる。
【0038】
図6の結果を確認するため、加熱温度を300℃として、(a)InP基板の厚さを350μmとした場合、(b)InP基板を研磨して厚さを170μmとした場合、について加熱後の接着面のSAM像を観察した。その結果を図7に示す。併せて、加熱温度を220℃、InP基板の厚さを350μmとした場合について(c)に示す。(a)〜(c)のいずれにおいても、GaAs基板の厚さを600μmとした。(c)では白く見える箇所はわずかであり、ほとんどの領域で接着している。(c)と比較すると、(a)では白く見える箇所が多く、剥離が生じている。それに対して(b)では白く見える箇所は(c)と同等に少なく、良好に接着していることがわかる。これらは図6の計算結果に合致する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の3次元フォトニック結晶の製造方法を示す斜視図。
【図2】 3次元フォトニック結晶における異種材料から成るストライプ層同士の熱接着界面の、従来の方法による加熱前及び加熱後の走査超音波顕微鏡像。
【図3】 本発明の3次元フォトニック結晶の製造方法を示す断面図。
【図4】 本実施例の熱膨張による力の解析に用いたパラメータの表。
【図5】 2次元有限要素法を用いて求めた、歪みエネルギーの分布を示す図。
【図6】 計算により求めた、基板の端部における歪みエネルギーとInP基板の厚さとの関係を示すグラフ。
【図7】 InP基板の厚さが異なる場合について観測した、加熱後の走査超音波顕微鏡像。
【符号の説明】
11、111、112…基板
12、121、122…ストライプ層
21…GaAs基板
22…主構成層
23…InP基板
24…発光層

Claims (5)

  1. a)第1基板上に所定の周期で配列されたロッドから成る第1層の上に、前記第1基板とは熱膨張係数が異なる第2基板上に所定の周期で配列されたロッドから成る第2層を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
    b)前記第2基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
    c)仮接着されている前記第1層と前記第2層とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
    d) 前記第2基板を除去する基板除去工程と、
    を含むことを特徴とする3次元フォトニック結晶製造方法。
  2. a)第1基板上に所定の周期で固定されたロッドから成る第1層の上に、前記第1基板とは熱膨張係数が異なる第2基板を載置し、仮接着温度に加熱する仮接着工程と、
    b)前記第1基板を所定の厚さまで薄くする基板減厚工程と、
    c)仮接着されている前記第1層と前記第2基板とを、前記仮接着温度よりも高い本接着温度に加熱する本接着工程と、
    d)前記第1基板を除去する基板除去工程と、
    を含むことを特徴とする3次元フォトニック結晶製造方法。
  3. 前記第1層及び前記第1基板がGaAsから、前記第2層がInGaAsPから、前記第2基板がInPからそれぞれ成ることを特徴とする請求項1に記載の3次元フォトニック結晶製造方法。
  4. 前記仮接着温度を100〜300℃とすることを特徴とする請求項3に記載の3次元フォトニック結晶製造方法。
  5. 前記本接着温度を400〜700℃とすることを特徴とする請求項3又は4に記載の3次元フォトニック結晶製造方法。
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