JP4186710B2 - 難燃性ポリウレタンフォーム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性ポリウレタンフォームに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンフォームを難燃化させるために、有機リン系難燃剤、ハロゲン化合物、水酸化アルミニウムや三酸化アンチモン等の難燃剤を原料中に配合することが広く行われている。
【0003】
上記有機リン系難燃剤としては、例えばTCEP(トリス(クロロエチル)ホスフェート)、TCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)等が用いられている。
【0004】
また、特開平8−217846号公報には、難燃剤としてトリアリールフォスフェートを用いた難燃性ポリウレタンフォームが記載されている。
【0005】
特開2001−316445号公報には、難燃剤としてメラミン樹脂を用いた難燃性ポリウレタンフォームが記載されている。
【0006】
なお、特開昭56−127621号公報には、ポリオールとして、アルカノールアミン及びポリイソシアネートを反応させた変性ポリオールを用いてポリウレタンフォームを製造する方法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−217846号公報
【特許文献2】
特開2001−316445号公報
【特許文献3】
特開昭56−127621号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、難燃剤としてハロゲン化合物を用いるまでもなく、難燃性に優れた難燃性ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃性ポリウレタンフォームは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを少なくとも難燃剤の存在下で反応させて得られる難燃性ポリウレタンフォームにおいて、該ポリオール成分は、ポリオールを、第1、第2及び第3級アミンから選ばれるアルカノールアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)から選ばれるポリイソシアネートとによって変性した変性ポリオールであり、変性されるポリオールが分子量200〜10000のポリエーテルポリオールであり、該難燃剤がテトラエチルエチレンジフォスフェートを含み、テトラエチルエチレンジフォスフェートの含有量が変性ポリオール100重量部に対し1〜10重量部であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の難燃性ポリウレタンフォームは、ポリオールとしてアルカノールアミン及びポリイソシアネートを反応させた変性ポリオールを用い、難燃剤としてテトラエチルエチレンジフォスフェートを用いると難燃性ポリウレタンフォームの難燃性が著しく向上するという新規な知見に基づくものである。
【0011】
なお、本発明の難燃性ポリウレタンフォームは、難燃剤としてさらに他の非ハロゲン系難燃剤例えばメラミン樹脂、クレー、水酸化アルミニウム等の少なくとも1種を含んでもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するポリオールは、特開昭56−127621号公報に記載の変性ポリオールであり、具体的には、ポリオールの存在下においてアルカノールアミンを有機ポリイソシアネートと重合させ、該アルカノールアミンを優勢的に多官能的にイソシアネートと反応、ポリマー変性ポリオールである。
【0013】
この変性反応用アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの第1、第2及び第3アミンのいずれでもよいが、トリエタノールアミンが好適である。
【0014】
変性反応用のポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を用いることができるが、TDIが好適である。
【0015】
アルカノールアミン対ポリイソシアネートのモル比は1.0対0.5乃至1.0対1.6が好ましい。
【0016】
アルカノールアミンとポリイソシアネートとの重合反応を調整するために、単官能性イソシアネート類、単官能性アミン類又はジアルキルアルカノールアミン類が添加されてもよい。
【0017】
変性されるポリオールとしては、分子量が200〜10000のものが好適であり、特にポリエーテルポリオールが好適である。
【0018】
ポリオールの変性反応用に触媒を用いることが好ましく、この触媒としては、錫オクトエート、ジブチル−錫−ジラウレート及び(又は)アミン類例えばトリエチレンジアミンを使用することができる。使用される触媒の量は、ポリウレタン形成反応に通例使用される量と比較して少量であることができ、例えばポリオール総重量の0.02〜0.2%程度とされる。
【0019】
ポリオールの変性に際しては、反応したアルカノールアミンとポリイソシアネートとが両者を合わせてポリオールの1乃至35重量%であるようにポリオールの変性が行われることが好ましい。
【0020】
本発明に使用できるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等が用いられるが、TDIが好ましい。TDI、MDI等は併用されてもよい。TDI、MDI等は変性されていてもよい。
【0021】
本発明では、難燃剤として、少なくともテトラエチルエチレンジフォスフェートを用いる。
【0022】
テトラエチルエチレンジフォスフェートは、C10H24O8P2であり、次の式にて表わされる構造を有する。
【0023】
【化1】
【0024】
テトラエチルエチレンジフォスフェートの配合量は、ポリオール100重量部に対し1〜10重量部好ましくは2〜6重量部である。テトラエチルエチレンジフォスフェートの配合量がポリオール100重量部に対し0.5重量部よりも少ないと、難燃性の向上が十分とはならないことがあり、また10重量部を超えるとポリウレタンフォームの機械的特性(例えば、伸び、引張強さ、引裂き強さなど)を低下させるおそれがある。
【0025】
本発明では、難燃剤として、メラミン樹脂、クレー、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸カルシウムなど、ポリウレタンフォームに用いられる他の非ハロゲン系難燃剤を併用してもよい。テトラエチルエチレンジフォスフェート以外の難燃剤の配合量は合量でポリオール100重量部に対し10重量部以下特に5重量部以下が好ましい。
【0026】
本発明で使用する触媒は特に限定なく、ポリウレタンフォームの製造において通常使用される、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレントリアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、トリス(ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等のアミン系触媒、オクチル酸カリウム、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクテート等の金属系触媒等がいずれも使用できる。触媒の添加量の好ましい範囲はポリオール100重量部に対して0.1〜5、特に0.3〜3重量部である。
【0027】
発泡剤としても種々のものを使用することができる。例えば、発泡剤としては、水および低沸点の化合物を単独または併用して使用することができる。低沸点化合物としてはトリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のフロン化合物、ジクロロメタン等が例示できる。発泡剤の使用量は、フォームの密度、一般物性、反応の際の発熱温度等を考慮して、従来公知の方法におけると同様に決定することができる。
【0028】
整泡剤としては、特に限定されるものではないが、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルのブロック共重合体などを使用することができる。
【0029】
本発明においては、上記各添加剤に加えて、必要であれば顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤および各種充填材(例えば無機粉体)等の他の添加剤を加えることができる。これらの添加剤は原料段階でポリオール成分に添加混合して使用することが好ましい。なお、本発明のポリウレタンフォームのフォーム構造は特に制限されるものではない。
【0030】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明をより具体的、より詳細に説明する。実施例、および比較例においてはポリウレタンフォームの原料成分の配合量は、特に断らない限りポリオール成分100重量部に対する重量部を意味する。
【0031】
[実施例1]
変性ポリオールとして、第2級ヒドロキシ基を含有しOH数56の線状ポリプロピレングリコール(分子量3000)100重量部に対し、TDI15重量部及びトリエタノールアミン15重量部を加えて変性反応させた変性ポリオールを用いた。
【0032】
難燃性ポリウレタンフォームの製造のために、この変性ポリオールを100重量部、イソシアネートとしてTDIを60重量部使用した。また、発泡剤として水5.5重量部を用いた。難燃剤としてテトラエチルエチレンジフォスフェート5重量部を用いた。
【0033】
触媒は、トリエタノールアミン0.5重量部使用した。
【0034】
整泡剤としては、シリコン整泡剤(信越シリコーン社製「F242TB」)を1重量部使用した。イソシアネート以外の上記配合物を撹拌混合したのちイソシアネートを混合して、密度約22Kg/m3のポリウレタンフォームを得た。
【0035】
[実施例2、比較例5,6]
テトラエチルエチレンジフォスフェートの配合量を表1の通りとした以外は実施例1と同様にして、ポリウレタンフォームを得た。
【0036】
[実施例3,4,5]
テトラエチルエチレンジフォスフェートの配合量を表1の通りとし、さらに難燃剤としてメラミン樹脂、クレー又は水酸化アルミニウムを必要に応じ表1の添加量の通り使用した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンフォームを得た。
【0037】
[比較例1,2]
ポリオールとして、ポリプロピレンオキサイド(分子量3000)を用い、難燃剤として、表1の通りテトラエチルエチレンジフォスフェートとメラミン樹脂との一方のみを15重量部使用した以外は実施例1と同様にしてポリウレタンフォームを得た。
【0038】
[比較例3]
ポリオールとして、ポリプロピレンオキサイド(分子量3000)を用い、難燃剤として塩化ビニル12重量部、三酸化アンチモン6重量部、亜鉛華2重量部を使用した以外は比較例1と同様にしてポリウレタンフォームを得た。
【0039】
[比較例4]
ポリオールとして、ポリプロピレンオキサイド(分子量3000)を用い、難燃剤としてTCEP(トリス(クロロエチル)ホスフェート)を15重量部使用した以外は比較例1と同様にしてポリウレタンフォームを得た。
【0040】
上記各実施例および比較例で得られたポリウレタンフォームについて、米国電気用材料燃焼試験UL94の評価方法に準じて燃焼スピード(秒)及び燃焼距離(mm)の評価を行った。結果を表1に示した。なお、この試験では、燃焼スピードは62秒以下で合格、燃焼距離は57.2mm以下で合格である。
【0041】
【表1】
【0042】
表1の通り、ポリオールとして本発明に係る変性ポリオールを用い、難燃材としてテトラエチルエチレンジフォスフェートを適切な範囲で使用した実施例に係る難燃性ポリウレタンフォームは著しく難燃性に優れる。
【0043】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると非ハロゲン系難燃剤を用いた難燃性に優れる難燃性ポリウレタンフォームが提供される。
Claims (6)
- ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを少なくとも難燃剤の存在下で反応させて得られる難燃性ポリウレタンフォームにおいて、
該ポリオール成分は、ポリオールを、第1、第2及び第3級アミンから選ばれるアルカノールアミンと、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)から選ばれるポリイソシアネートとによって変性した変性ポリオールであり、
変性されるポリオールが分子量200〜10000のポリエーテルポリオールであり、
該難燃剤がテトラエチルエチレンジフォスフェートを含み、
テトラエチルエチレンジフォスフェートの含有量が変性ポリオール100重量部に対し1〜10重量部であることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。 - 請求項2において、該テトラエチルエチレンジフォスフェートの配合量が変性ポリオール100重量部に対し2〜6重量部であることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、アルカノールアミンがトリエタノールアミンであることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、ポリオールを変性するためのポリイソシアネートがトリレンジイソシアネートであることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、反応したアルカノールアミンとポリイソシアネートとが両者を合わせてポリオールの1乃至35重量%であるようにポリオールの変性が行われることを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、難燃剤としてさらに、メラミン、クレー及び水酸化アルミニウムの少なくとも1種を含有することを特徴とする難燃性ポリウレタンフォーム。
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