JP4186661B2 - 鋳片の内部酸化防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、連続鋳造法により得られる鋳片に発生する内部欠陥である収縮孔(中心隙間部)を切断前に圧潰することで、該鋳片の内部酸化を防止し、製品品質における内部欠陥を抑制する鋳片の内部酸化防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上下に開口する鋳型(モールド)に溶鋼を鋳込み、該鋳型の下方から凝固しつつある溶鋼を一定の速度で引き出すことで連続して鋳片を得る連続鋳造法は、一般鋼および特殊鋼の両分野において広く用いられている。この連続鋳造法で製造されたスラブ等の鋳片は、圧延工程でそのまま使える材料ができるので、途中の分塊工程を省略できることによる省エネルギー化、途切れることなく固められるので生産性の向上、許容される条件範囲が厳しいので必然的に前工程の製鋼の諸条件が狭い範囲に管理され、品質が安定する等のメリットがある。また、得られる鋳片は急冷されるため偏析が少なく、組織は均一性に優れ、鋳肌が良好で歩留まりに優れる等の特徴を示す。
【0003】
しかし、前記鋳片の大断面化に伴い、該鋳片にはセンターポロシティ等の内部欠陥が生じ易くなることが報告されている。前記センターポロシティは、凝固最終域でのブリッジングの発生と凝固収縮により引き起こされる鋳片中心部において引き抜き方向に沿って生じる収縮孔(中心隙間部)である。この収縮孔は最終凝固域で発生するため、鋳片の略中心部に偏って存在している。また、前記収縮孔の内表面が酸化されなければ後工程の鍛造工程や圧延工程等で、該収縮孔は圧着されてしまうので、製品品質に影響を及ぼさない。しかし、前記鋳片は後工程での取り扱い等の関係で所定寸法にて切断される場合、切断面に露出した前記収縮孔に酸素が浸入して、該収縮孔の内表面が酸化される内部酸化が起きてしまう。すなわち、内部酸化が起きた収縮孔は、圧延工程等を経ても圧着せず、製品欠陥となって歩留まりが低下する原因となる。
【0004】
前記鋳片の内部酸化を防止する方法は、数多く提案され、例えば連続鋳造機内において、鋳片凝固時に圧下をすることや未凝固部分に電磁攪拌を施すことで収縮孔の発生を抑制し、内部酸化を防止する方法がある(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。また、切断後の鋳片の端面をプレスすることで、内部酸化を防止する方法もある(例えば、特許文献3参照)。しかし、前記連続鋳造機内における鋳片の圧下や電磁攪拌装置による攪拌は、設備が重工化して設備コストが過大になると共に、機内への設備の設置は熱負荷が高く故障を招き易い欠点がある。なお、切断された鋳片の端面をプレスする方法は、設備的には安価であるが、鋳片を切断する際に酸素が収縮孔に浸入して内部酸化が進行してしまうので、内部酸化の抜本的な解決にならない。
【0005】
そこで、連続鋳造機から連続して送られる鋳片が完全凝固した以降の時点において、鋳片の切断される部分を所定の圧下率でプレス装置によりプレスして収縮孔を予め圧着した後、当該プレス部分を切断トーチにより切断する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−206903号公報
【特許文献2】
特開平9−206897号公報
【特許文献3】
特公平2−53121号公報
【特許文献4】
特開平5−15958号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように収縮孔は、略中心部に偏在しているにもかかわらず、特許文献4に係る内部酸化防止方法では、鋳片の幅方向の全長に亘って広範囲にプレスを実施しているので、必要とされるプレス圧力が大きくなる。すなわち、前記プレス装置に大きな油圧力が必要となり、設備が重工化して設備コストの増加を招いてしまう問題がある。また、鋳片における幅方向の広範囲に亘る圧力付加は、鋳片の水平方向の変形を引き起こし、後工程での鋳片の処理を煩雑にするため、モールド型プレスを用いる必要があり、更に設備コストを増大させてしまう要因となっている。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来の技術に内在している前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、連続鋳造法で得られる鋳片の内部欠陥である収縮孔が略中心部にしか発生しないことに着目し、この部分のみを押圧変形することで、圧下に必要とされる圧力を低減し、設備コストが安価で、圧下による疵の発生を少なくし得る鋳片の内部酸化防止装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所定の目的を達成するため、本発明に係る鋳片の内部酸化防止装置は、
連続鋳造を経て完全凝固後の鋳片を移送面に載置して移送する移送装置の間に配置され、前記鋳片を幅方向に切断するに先立ち圧下処理を行なって鋳片の内部酸化を防止する装置において、
前記鋳片の通過時には、前記移送装置の移送面より下方に位置すると共に、鋳片の圧下処理時には、所定量だけ上昇して該鋳片の面を前記移送装置の移送面から持ち上げた状態で幅方向の全体に亘り支持するテーブル状のバックアップ部材と、
前記鋳片を挟んで前記バックアップ部材に対向し、該鋳片の幅寸法に対し5〜50%の幅寸法に設定した端面を備える押圧部材と、
前記バックアップ部材で支持した前記鋳片に前記押圧部材を押し当て、前記端面が前記鋳片の厚み方向に対し5〜30%の深さとなるまで圧下する押圧機構とを備え、
前記押圧部材により前記鋳片における切断予定線の略中央部を、前記数値割合の範囲内となるよう圧下することで、該鋳片の切断予定領域に存在する中心隙間部を予め圧潰するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る鋳片の内部酸化防止装置につき、好適な実施例を挙げて以下に説明する。図1は本発明に係る鋳片の内部酸化防止装置としてのプレス設備20を概略的に示すものであって、連続鋳造機(図示せず)から連続して移送されてくる完全凝固後の鋳片10を切断する切断装置14の上流側に配置され、該鋳片10の切断予定線Sの略中央部を所定範囲で圧下するよう構成される。ここで、前記切断予定線Sとは、後工程の切断装置14で鋳片10を幅方向(長手方向と直交する方向)に実際に切断する部分を指す仮想線である。前記プレス設備20は、フレーム22と、該フレーム22の上部に配設された昇降自在な押圧機構24と、該押圧機構24の下部に取付けられた押圧部材30と、該押圧部材30に対向して設けられるバックアップ部材26とから基本的に構成されている。このプレス設備20への鋳片10の供給は、前記連続鋳造機に接続して設けられたローラコンベア等の移送装置12により行なわれ、切断予定線Sの略中央部を所定範囲で圧下された鋳片10は、該プレス設備20の下流側に設置された別の移送装置13により切断装置14へ移送され、切断予定線Sに沿って所定寸法に切断される。前記切断装置14は、ガス溶断や機械切断等の公知のものが用いられ、前記鋳片10を移動下に切断し得るよう構成されている。
【0012】
図2に示すように、前記フレーム22は、押圧機構24やバックアップ部材26等が配設されて、プレス設備20の本体をなすものであり、前記移送装置12により供給される鋳片10を跨ぐように移送ライン上に設置されている。すなわち、前記連続鋳造機から移送装置12で供給された鋳片10は、前記プレス設備20の内側を通り、下流側の別の移送装置13に受け渡される。前記フレーム22は、これに配設される押圧機構24の付勢による前記鋳片10の圧下処理に耐えられる十分な強度を備えると共に、該鋳片10を内側に挿通可能な大きさに設定されている。前記フレーム22の上部には、油圧シリンダ25を備えた前記押圧機構24が昇降自在に配設されている。この押圧機構24の下部には、前記鋳片10の上面と対向して押圧部材30が取付けられ、該押圧機構24に備えた油圧シリンダ25の作用で鋳片10に向けて付勢可能になっている。前記押圧機構24は、鋳片10の移送速度と連動して、該鋳片10における切断予定線Sの略中央部に向けて前記押圧部材30を付勢し、該鋳片10を移動下で圧下するようになっている。また、前記バックアップ部材26は、前記フレーム22の下部に前記押圧部材30と対向して設けられるテーブル状の部材である。このバックアップ部材26は、鋳片10の通過時には移送装置12,13の移送面より下方に位置し、前記押圧機構24の付勢により押圧部材30で鋳片10の上面を圧下処理するに際し、所定量だけ上昇して該鋳片10の下面を前記移送面から僅かに持ち上げた状態で幅方向に亘り支持することで、移送装置12,13に圧下力が加わらないよう構成される。
【0013】
前記押圧部材30は、油圧シリンダ25で駆動する押圧機構24で付勢されることで鋳片10の上面に直接当接し、押圧力を加える部材である。実施例に係る押圧部材30は、鋳片10と対向する円形状の端面30aを備える先端部32と、該先端部32より若干寸法が小さく設定された直胴部34とからなる段付き円柱状に形成されている。そして、前記直胴部34が押圧機構24に取付けられ、先端部32が鋳片10の上面に押付けられる。前記鋳片10の表面温度は500〜800℃と高温であるので、前記押圧部材30は、鋳片10への押し込み、引き抜き時の空冷による熱衝撃を考慮して、例えば熱間工具鋼が好適に採用されるが、その他の耐熱材であってもよい。また前記押圧部材30には、引き抜き性を考慮して黒鉛系の潤滑油を塗布することも有効である。
【0014】
前記押圧部材30の端面30aにおいて、前記鋳片10の幅方向と対応する方向の幅寸法D1は、内部欠陥発生範囲および後工程の圧延または鍛造等から決まる塑性疵切捨範囲の条件から決定される。本発明に係る押圧部材30の端面30aは、幅方向の寸法D1が、鋳片10の幅寸法Wに対し5〜50%の範囲に設定され、鋳片10における切断予定線Sの略中心部を圧下するようになっている。すなわち、前記押圧部材30の端面30aは、内部欠陥が存在する鋳片10の幅方向の範囲より大きく、切断により露出する(切断予定領域に存在する)収縮孔(中心隙間部)11を全て圧潰できる範囲(内部欠陥存在範囲)を圧下する大きさであって、かつ圧下処理により鋳片10にできた圧痕疵10aが後工程の圧延工程等を経た後に残存しない範囲(塑性疵切捨範囲)に設定されている。従って、前記押圧部材30の幅方向の寸法D1が、前記鋳片10の幅寸法Wの5%より小さいと、前記収縮孔11の存在する範囲を全て圧下することができず、内部酸化を防止することができない。一方、前記押圧部材30の幅方向の寸法D1が、前記鋳片10の幅寸法Wの50%より大きいと、圧下処理により発生した圧痕疵10aが後工程の圧延工程等でも回復せず、所謂オレコミ疵が残ってまう。この一定値(切捨範囲外)以上の大きさのオレコミ疵が残留した部分は、製品の歩留まりとなり、コストの上昇を招いてしまう問題となる。
【0015】
また、前記押圧部材30の端面30aにおいて、前記鋳片10のライン方向と対応する方向の幅寸法D2は、少なくとも切断代の幅より大きく設定される。
すなわち、切断により露出する収縮孔11の開口より酸素が浸入しない程度の範囲を圧潰できる寸法以上に設定される。ここで、切断代は、ガス溶断等により切断する際に必要とする切断幅のことである。実施例の押圧部材30では、前記端面30aの形状は円形状であるので、幅方向の寸法D1とライン方向の寸法D2は同一である。なお、前記端面30aの形状は、前述した条件を満たすものであれば、円形状に限らず、四角形状等、その他の形状であってもよい。
【0016】
ここで、具体的には以下の方法で内部欠陥発生範囲および塑性疵切捨範囲は、求めている。前記内部欠陥発生範囲は、実際に採取した試験片に存在する収縮孔11の範囲を調査し、圧延工程等による鋳片寸法の変化率(鍛錬比)の相関関係より決定される。これに対し、塑性疵切捨範囲は、一般的に製品として許容できる圧延工程後のオレコミ疵の大きさが200mm以下とされているので、圧痕疵10aに起因する圧延工程を経た後の鋳片10に残るオレコミ疵が200mmを超えないよう設定される。なおオレコミ疵長さは、前記押圧部材30による圧痕疵10aの大きさ、切断代および鍛錬比の条件から求めることができる。
【0017】
前記押圧部材30の端面寸法D1およびD2が決定した後、圧下に必要な押圧機構24の押圧力を設定する。ここで、実施例の押圧機構24は、油圧シリンダ25が用いられ、必要油圧力は前述した条件に寸法設定された前記押圧部材30を、該鋳片10の高さ(厚み方向)Hに対して5〜30%の深さH1まで陥凹させる圧力を付加し得るように、該鋳片10の材質および温度等と相関して調整される。すなわち、前記押圧部材30の圧下深さH1が、鋳片10の高さHに対して5%より小さいと、前記収縮孔11を圧下により解消できず、内部酸化を防止することができない。一方、前記押圧部材30の圧下深さH1が、鋳片10の高さHに対して30%より大きいと、圧下処理により発生した圧痕疵10aが後工程の圧延工程等でも回復せず、オレコミ疵が残ってまう。このオレコミ疵の部分は、前述した通り製品の歩留まり低下の原因となる。
【0018】
前記押圧部材30における軸方向の長さNは、収縮孔11を確実に圧着し得る圧下深さH1および押圧部材30の端面寸法D1およびD2との関係より決定され、少なくとも前記鋳片10の高さHに対して5〜30%の深さより長く設定される。なお、前記押圧部材30の長さNを必要以上に長くすると座屈を生ずる虞があるから、その長さNを前記端面30aの幅方向の寸法D1で除した値が3以下となるのが好適である。
【0019】
【実施例の作用】
次に、前述した実施例に係るプレス設備20の作用につき説明する。先ず、図3を参照して、圧下処理から切断等までの一連の工程について説明する。図示しない連続鋳造機から移送装置12で送られてきた完全凝固後の鋳片10は、その内部の略中心部に集中して移送ライン方向に沿って収縮孔11が存在している(図3(a)参照)。前記鋳片10の切断予定線Sがプレス設備20に至ると、バックアップ部材26が該鋳片10の下面を支持し、押圧機構24に備えた油圧シリンダ25により押圧部材30が下方に付勢される。そして、前記鋳片10における切断予定線Sの略中央部は、走行状態で所定範囲および深さで圧下される。前記鋳片10は、外面に比べて中心部の温度が高い温度勾配を有している。すなわち、前記鋳片10の強度は、外面より内面が劣っている。この状態で、前記押圧部材30により鋳片10の外面より押圧力を付加すると内面が先に変形する、あたかも力が浸透するような態様を示す。従って、前記鋳片10の外面に加えられた圧力により、略中心部に存在する収縮孔11が圧潰される(図3(b)参照)。
【0020】
次いで、切断予定線Sの略中央部が圧下処理された鋳片10は、前記プレス設備20の下流側に位置する切断装置14に移送装置13で移送され、ガス溶断等の公知の手段で、圧下された切断予定線Sに沿って切断される。この切断作業時には、切断予定領域に存在する収縮孔11は全て圧着された状態であるので、例えば、ガス溶断であっても熱により収縮孔11内が酸化するという問題は発生しない。また、前記鋳片10の切断後に、切断面に露出する収縮孔11は、全て圧着された状態であり、収縮孔11の開口から酸素が浸入することが無く、後工程の加熱等によっても内部酸化の発生が防止される(図3(c),(d)参照)。所定寸法に切断された鋳片10は、圧延工程に移行し、圧延装置16で所定の厚さに圧延される。このとき、圧下処理により生じた鋳片10の圧痕疵10aはある程度解消される。
【0021】
前述した通り、内部欠陥である収縮孔11は、鋳片10の略中心部に偏在している。本実施例に係るプレス設備20は、鋳片10を圧下する範囲を、この収縮孔11が存在する範囲に限定している。また、鋳片10の厚さ方向に対する押圧部材30の押し込み深さH1を、収縮孔11を圧着し得る最小限の圧下深さに適切に設定している。従って、前記押圧部材30を付勢する押圧機構24の必要油圧力を低減することが可能である。そして、鋳片10の圧下範囲を最小限に抑えることで、押圧部材30の圧下後に残る圧痕疵10aの大きさを最小限にすることができる。従って、圧延工程を経た後にオレコミ疵の残留は抑えられ、製品の歩留まりを低減し得る。また、鋳片10の圧下範囲を最小限に抑えることで、圧下による鋳片10の水平方向の変形も最小に抑えられるから、該方向から鋳片10を保持する手段を設ける必要はなく、装置構成を簡略化できる。
【0022】
また、前記押圧部材30の長さNを適切に設定することで、鋳片10の圧下による座屈を防止することができる。更に、前記押圧部材30は、先端部32より直胴部34の径を小さく設定しているから、押圧部材30の引き抜きに際しての抵抗は小さくなり、引き抜きを容易に行ない得る。
【0023】
前記プレス設備20を連続鋳造機の下流側に独立して設けることで、鋳片10からの温度影響に対する設備の重工化を防止し得ると共に、該プレス設備20の熱負荷に起因する故障の発生を低減することができる。また、切断するに先立ち切断面に露出する虞のある収縮孔11を確実に圧着することで、切断時の収縮孔11の内表面の内部酸化を防止することは勿論である。なお、鋳片10を止めることなく圧下処理可能に構成することで、生産性を向上し得る。
【0024】
本実施例では、鋳片10に対して上方から押圧部材30を押付ける場合で説明したが、これに限定されず、該鋳片10に対して横方向から押圧部材30を押付けるようにしてもよい。但し、この場合における鋳片10の幅寸法および厚み方向は、実施例での高さHおよび幅寸法Wに対応することとなる。すなわち、鋳片10の幅寸法Wとは、押圧部材30の押圧方向と直交する方向の寸法であり、また鋳片10の厚み方向Hとは、押圧部材30の押圧方向に沿った方向のことである。
【0025】
【実験例】
炭素鋼(S48C)を材質として、厚み700mm,幅900mmの鋳片10を圧下処理する場合、油圧シリンダ25の必要油圧力を発明例に係る押圧部材30および比較例に係る押圧部材について対比する。本実施例のプレス設備20において、収縮孔11の有効な圧着をするために要する必要油圧力は、拘束係数、変形抵抗および断面積の条件より求めることができる。ここで、拘束係数は、プレス設備20のもつ固有の値であり、プレス設備20の推力等の諸条件より求められ、実施例のプレス設備20では1.4である。また、変形抵抗は材料が温度と相関してもつ値であり、500℃の炭素鋼(S48C)では、61.4kg/cm2の変形抵抗となる。
【0026】
そこで、押圧部材30の端面寸法D1を直径70mm(鋳片10の幅寸法Wに対して約10%)の円形に設定した発明例と、幅寸法650mm(鋳片10の幅寸法Wに対して100%)で、移送ライン方向寸法が70mmの四角形に設定した比較例について検討した。この結果、発明例の必要油圧力は331tに対し、比較例の必要油圧力は3912tとなり、10倍以上の油圧力が必要となる。このように、前記押圧部材30の端面30aの寸法増加に伴い、圧下に必要な油圧力は増大してゆく。すなわち、本実施例のプレス設備20は、前記押圧部材30の端面30aの寸法を適切に設定することで、必要油圧力が低減していることが判明した。従って、本実施例に係る鋳片の内部酸化防止方法を用いれば、設備コストの低減を図ることが可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る鋳片の内部酸化防止装置によれば、内部欠陥の存在範囲に合わせた適切な圧下範囲を設定し、内部酸化を防止するために必要な最小の範囲を圧下している。従って、圧下に必要な油圧力を低減し、設備コストの低廉化を図ることができる。また、低い圧力で圧下処理が可能であるから、所要範囲の圧下能力を有する1台の装置により、硬さの異なる広範囲の鋼種に対応できる。更に、鋳片を最小の範囲で圧下するから圧痕疵を残留させず、製品の歩留まりが減少する。なお、鋳片を圧下する押圧部材の形状を段形状とすることで、圧下処理時の引き抜き性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るプレス設備の概略斜視図である。
【図2】実施例に係るプレス設備の正面図である。
【図3】 実施例に係るプレス設備による鋳片の内部酸化防止方法を示す工程図である。
【符号の説明】
10 鋳片,11 収縮孔(中心隙間部),12 , 13 移送装置,24 押圧機構
26 バックアップ部材,30 押圧部材,30a 端面,32 先端部
34 直胴部,W (鋳片の)幅寸法,D1 (押圧部材の)幅寸法
H 鋳片の高さ(厚さ方向),H1 圧下深さ,S 切断予定線

Claims (2)

  1. 連続鋳造を経て完全凝固後の鋳片(10)を移送面に載置して移送する移送装置 (12,13) の間に配置され、前記鋳片 (10) 幅方向に切断するに先立ち圧下処理を行なって鋳片の内部酸化を防止する装置において、
    前記鋳片 (10) の通過時には、前記移送装置 (12,13) の移送面より下方に位置すると共に、鋳片 (10) の圧下処理時には、所定量だけ上昇して該鋳片(10)の面を前記移送装置 (12,13) の移送面から持ち上げた状態で幅方向の全体に亘り支持するテーブル状のバックアップ部材(26)と、
    前記鋳片(10)を挟んで前記バックアップ部材(26)に対向し、該鋳片(10)の幅寸法(W)に対し5〜50%の幅寸法(D1)に設定した端面(30a)を備える押圧部材(30)と、
    前記バックアップ部材(26)で支持した前記鋳片(10)に前記押圧部材(30)を押し当て、前記端面(30a)が前記鋳片(10)の厚み方向(H)に対し5〜30%の深さ(H1)となるまで圧下する押圧機構(24)とを備え、
    前記押圧部材(30)により前記鋳片(10)における切断予定線(S)の略中央部を、前記数値割合の範囲内となるよう圧下することで、該鋳片(10)の切断予定領域に存在する中心隙間部(11)を予め圧潰するよう構成した
    ことを特徴とする鋳片の内部酸化防止装置。
  2. 前記押圧部材(30)は、前記鋳片(10)に押し当てられるべき端面(30a)を備えた先端部(32)と、該先端部(32)より小寸法に設定されて前記押圧機構(24)に取付けられる直胴部(34)とからなる請求項記載の鋳片の内部酸化防止装置。
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