JP4185978B2 - 大環状化合物及び分子集合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な大環状化合物及び分子集合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シクロデキストリン、クラウンエ−テル、カリクッスアレン等の大環状化合物が知られている。これらの大環状化合物は、その分子内孔に、金属イオン、無機物、有機物等を取り込むことができる機能分子として作用する点で注目をあびている。機能分子としての具体的な使用方法は、シクロデキストリンを水溶液とし、取り込まれる物質であるゲストとなる無機物や有機物(ゲスト分子)を接触させ、シクロデキストリンによりゲスト分子の包接を行うと、シクロデキストリンは水に不溶性化された状態となり、系から分離してくる。この包接物を分離回収することは容易な操作であり、分離回収後、溶媒などを加えるなどの操作を施すことにより包接物を分解することができるので、取り込まれたゲスト物質、及びシクロデキストリンを回収することができる。しかし、シクロデキストリンにおいて見られるような包接操作に伴い系から分離させることができる大環状化合物は、むしろ例外的であるということができる。例えば、クラウンエ−テルやカリックスアレンなどの大環状化合物は、イオンや有機分子などを包接しても溶液から分離してくるとは限らない。
このようなことから、新規物質を製造することは重要なことである。
【0003】
大環状化合物による取り込み能力を利用した、特定の物質の分離、回収、精製などでは、如何に錯体を分離するか、また錯体からゲスト物質と大環状化合物を再生するかは実用上非常に重要な課題である。クラウンエ−テルやカリックスアレンなどを化学修飾することなく利用するのであれば、水と混和しない有機溶媒に溶解させ溶液とするか、または、この溶液をさらに多孔材料に固定して使用することなどの操作が必要となる。
大環状化合物を使用するときの実用上の問題点は、大環状化合物が水相へ漏れだすことである。漏れだしが起こると、吸着、分離、回収などの操作への利用においては、取り込み容量の低下と大環状化合物の損失を引き起こし、センサの感応剤であった場合にはセンサの応答の再現性と寿命の低下につながることが知られている。
このようなことから大環状化合物を用いる特定物質の分離、回収、精製等では漏れだしを極力避ける物質を作り出すことが必要となる。
大環状化合物のもう一つの利用形態としては、大環状化合物を適当な化学反応により高分子やシリカゲルなどの無機単体に結合し、不溶化させる方法がある。大環状化合物の高分子や無機担体へ固定化するためには予め大環状化合物に適宜官能基を導入することが必要で、また低分子大環状化合物を高分子化する方法では、大環状化合物に高分子化するための重合性の活性基を存在させる必要があるなど、調製に手間が掛かる。大環状化合物を固定化して用いる固定化大環状化合物を利用する際には、大環状化合物の溶液への漏れだしはなく、生成した錯体の分離、錯体からの目的物の回収などが容易である。
しかし、担体へ高密度で大環状化合物を固定化するのは容易ではなく、大環状化合物の化学構造が複雑で、分子量が大きくなるとその傾向が大きい。また、大環状化合物の重合による材料は、大環状化合物の一部分は材料内部に埋め込まれてしまうために、材料中の全ての大環状化合物の構造が有効に機能しないという欠点がある。
このようなことから新規で且つ漏れだしを起こさない大環状化合物を作りだすことが必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新規な大環状化合物及び分子集合体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の事柄を見出して、本発明を完成するに至った。
2,4,6,8の位置が塩素原子により置換されているピリミドピリミジンを、ジアミンとの求置換反応により脱塩化水素化して得られる大環状化合物を、アミン化合物と反応させて、複素環上に残る塩素原子の一つ或いは二つをアミノ置換を行って得られる新規な大環状化合物を得た。
オクチルアミンで置換した大環状化合物では、純水上では安定な気水界面単分子膜を形成しないが、バルビツ−ル酸等の化合物を添加した水と接触させると、単分子膜は大きく膨潤し、非常に安定な単分子膜を与えることを見出した。この現象は単分子中にバルビツ−ル酸が取り込まれることを意味している。そして、この状態では、LB膜の反射スペクトルのN−Hの伸縮振動領域のバンド変化や新たなC=Oバンドが出現することも観察され、大環状化合物とバルビツ−ル酸との間で、多点水素結合が形成され、分子間水素結合により形成される新規な化合物として確認できる。
通常の両親媒性化合物に比べ、疎水部分が小さいにもかかわらず、大環状化合物と、このような事象を観察することができたことから、前記の化合物には単分子膜にバルビツ−ル酸等が取り込まれていると言うことを結論づけることができる。そして、前記大環状化合物とバルビツ−ル酸との間では、多点水素結合が形成されたことにより、通常の両親媒性化合物と比較すると疎水部分が小さいにもかかわらず、安定な単分子膜が形成されたものと考えられる。このようにして得られる環状化合物は純水上で安定な単分子膜を形成し、アゾ色素の取り込みが見られた。
コンプレックスが形成されると、水に不溶のバルビツ−ル酸はジクロロメタンなどによる可溶化されることが,UVスペクトルを観察することにより分かった。
【0006】
この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉下記一般式(1)で示される大環状化合物。
【化1】
(1)
(式中、R1はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R1、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、XとYは同一の基であってもよい。)
〈2〉下記一般式(2)で示される大環状化合物。
【化2】
(2)
(式中、R1、R2はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、アルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、カルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R1、R2、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、R1とR2、及びXとYは、各々同一であってもよい。)
〈3〉下記一般式(3)で表される分子集合体。
【化3】
(3)
(式中、成分Iは一般式(1)或いは(2)のいずれかの大環状化合物である。R 1 は、アルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル基、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。成分IIは式(4)で表される化合物である。)
【化4】
(1)
(式中、R 1 はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R 1 、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、XとYは同一の基であってもよい。)
【化5】
(2)
(式中、R 1 、R 2 はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、アルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、カルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R 1 、R 2 、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、R 1 とR 2 、及びXとYは、各々同一であってもよい。)
【化6】
(4)
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の大環状化合物を製造するための原料化合物は、ピリミドピリミジン誘導体からなる含窒素複素環化合物が連結されている構造をもつ大環状化合物であり、その構造式は、下記一般式(5)で表される。
【化7】
(5)
(式中、X及びYは含窒素複素環化合物を結び付ける連結基の役割を果たすものであり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基である。これらの基は、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。X及びYは、アミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する基を有していないものである。活性基を有していても保護基により保護されていれば差し支えない。又、XとYは同一の基であってもよい。)
【0008】
前記一般式(5)の化合物の置換基について、以下に具体的に説明する。
X及びYは、含窒素複素環化合物を連結する役割を果たす基である。これらの基は、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基の組み合わせからなる基から構成されている。アルキレン基を表す場合は,X,Yは、−(CH2)n−、−(CH2CHR2)n−、−(CH2CR2R3)n−(R2、R3は、炭素数1〜20の直鎖又は分枝状アルキル基である。)で表される。nは正の整数を表す。nの数は、含窒素複素環化合物を連結するためには、少なくとも2以上は必要である。
フェニレン基を表す場合は−(C6H4)n− で表される。nは正の整数を表す。nの数は、含窒素複素環化合物を連結するためには、少なくとも1以上は必要である。
また、アルキレン基とフェニレン基の複合基では、−(CH2)n−(C6H4)m−(CH2)o−、 −(CH2)n−(C6H4)m−(CH2)o−(C6H4)p−(CH2)q−、−(CH2)n−(C6H4)m−、−(C6H4)n−(CH2)m−(C6H4)n−、等を表す。o、n、m、p、qは、正の整数であり、含窒素複素環化合物を連結するためには、これらの総和は3以上は必要である。
これらの基は、水素原子やフェニル基などが前記アルキル基により置換されていても差し支えない。この場合のアルキル基は前記アルキル基と同じである。アルキル基は、CnH2n+1で表される炭化水素基であり、炭素数は構造上形成されないなどの問題がない限り限定されない。直鎖状或いは分枝状である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基、t−ブチル基等である。さらに炭素数が多くなるペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などをあげることができる。炭素数が1から20程度であれば、差しつかえない。また、アルキル基はアリ−ル基により置換されていても差し支えない。アリ−ル基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等であっても差し支えない。
前記のX,Yは、その基の中に酸素原子或いは硫黄原子を有していてもよい。これらの場合にはアルキレン基はアルキレンエ−テル基或いはアルキレンチオエ−テル基からなっている。具体的には、−R2−O−R3−、又は−R2−S−R3−で表される。更に、これらのO又はSは1個に限定されず、更に多い数であって差し支えない。例えば、−R2−O−R3−O−R4−−−−−− 、−R2−S−R3−S−R4−−−−−等であって差し支えない。
また、これらのX,Yには、その基の中に置換基として、エステル結合(R2−CO−O−R3−、R2−O−CO−R3−)、カルボニル基(R2−CO−R3−)を置換基として有していても差し支えない。
なお、前記R2はアルキル基(前記R1と同じである。)又はアルキレン基であり、同じくR3はアルキレン基である。
前記アルキル基等が置換基として、反応性である活性基であるアミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基等を有している場合には、塩化水素などの活性塩素を有する原料物質と反応してしまうので、好ましくない。しかしながら、これらの基を有している場合には、エステル化、酸アミド化などの手段により非反応性の保護基としておくことにより活性塩素と反応しないようにすることができるので、活性基を有していても差し支えない。
【0009】
前記原料化合物の具体的な化合物をあげると次の通りである。
【化8】
X=Y= −CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−
【化9】
X=Y= − CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−
【化10】
X=Y= − CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−
【化11】
X=Y= −CH2−C6H4−CH2−O−CH2−C6H4−CH2−
【化12】
X= Y= −CH2−C6H4−CH2−O−CH2−C6H4−CH2−
【化13】
【化14】
X= Y = − CH2(C=O)OCH2CH2CH2O(C=O)CH2−
【化15】
【化16】
X= −CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−
Y= −CH2−C6H4−CH2−O−CH2−C6H4−CH2−
【化17】
X = −CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−
Y= −CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−
【化18】
X= −CH2−C6H4−CH2−O−CH2−C6H4−CH2−
Y= −CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2−
【化19】
X = −CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−
Y = −CH2−CH2−C6H4−CH2−O−CH2−C6H4−CH2−CH2−
【0010】
前記の一般式(5)で表される原料化合物を製造する場合は、始めに、ピリミドピリミジン誘導体からなる二つの含窒素複素環化合物を結び付ける連結基の役割を果たすジアミン化合物を反応させることにより、ピリミドピリミジン誘導体からなる含窒素複素環化合物2分子が連結基で結合させる。
前記ピリミドピリミジン誘導体には、ハロゲン化ピリミドピリミジン、例えば、2,4,6,8−テトラクロロピリミド[5,4−d]ピリミジンが用いられる。 ジアミン化合物は2分子のピリミドピリミジン誘導体を連結するための連結基となる化合物である。具体的には、NH2−X−NH2及びNH2−Y−NH2で表される。ここで、X及びYは前記一般式(5)で表される原料化合物を説明したときの基と同じ基である。
反応は以下の通りである。
【化20】
この反応では、ピリミドピリミジン誘導体とジアミン化合物は等モルで反応させる。ピリミドピリミジン誘導体のハロゲン原子は、ジアミン化合物のアミノ基の水素原子と反応して、脱ハロゲン化水素化が起こり、2分子のピリミドピリミジン誘導体は連結される。
この反応は不活性な溶媒中で行われる。具体的には、2、4、6、8−テトラクロロピリミド[5,4−d]ピリミジン及びジアミン化合物を、それぞれ不活性な溶媒、クロロホルムやテトラヒドロフランに溶解させ、両溶液を同量づつ徐々に混合する。
その結果、テトラクロロピリミドピリミジンの4位と8位の活性塩素とジアミンとを反応させ、ピリミドピリミジンの4位と8位でジアミンが両末端が結合した、ピリミドピリミジン単位とジアミン単位が1:1、または2:2で構成される大環状化合物が調製される。この際、脱塩化水素を伴うので、溶液中にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンなどの塩基を添加しておくことが望ましく、塩化水素は有効に除去される。発熱反応であるので、反応熱を取り去るために必要に応じて水冷する。
【0011】
本発明の目的化合物の一つは、下記一般式(1)で表される含窒素複素環構造を持つ大環状化合物である(以下、化合物1ともいう)。
この大環状化合物は、ピリミドピリミジンの4位と8位が、連結基X,Yにより結合されており、連結部分はHNR1基により構成されており、2位又は6位の一方はHNR1基を有しており、他の一方が塩素原子を有するものである。
【化21】
(1)
(式中、R1はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基で置換されているアリ−ル基から選ばれる基である。これらの基は、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基を介して結合されていても差し支えない。
X及びYは含窒素複素環化合物を結び付ける連結基の役割を果たすものであり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基により置換されているフェニレン基から選ばれる基である。これらの基は、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基などを介して結合されていても差し支えない。
前記R1、X及びYからなる基は、活性塩素と反応する活性基であるアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる基を有していないものである。又はこれらの基を有している場合であっても保護基により、保護されていれば差し支えない。XとYは同一の基であってもよい。)
【0012】
前記一般式(1)の化合物の置換基について、説明する。
R1がアルキル基を示す場合のアルキル基は、CnH2n+1で表される炭化水素基であり、炭素数は、化合物としての構造が形成されないなどの問題がない限り限定されない。直鎖状或いは分枝状である。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基、t−ブチル基等である。さらに炭素数が多くなるペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などをあげることができる。これらの基の炭素数が1から20程度であれば、差しつかえない。また、アルキル基はアリ−ル基により置換されていても差し支えない。アリ−ル基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等であっても差し支えない。R 1 がアリ−ル基を表す場合のアリ−ル基は、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団であり、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等である。
R 1 がアルキル基で置換されているアリ−ル基は、前記のアリ−ル基が前記のアルキル基で置換されている場合である。例えば、フェニル基が1個のメチル基により置換されているトリル基、2個のメチル基により置換されているキシリル基、3個のメチル基により置換されているメシチル基などの場合が含まれるものである。このアルキル基は、前記のアルキル基と同様に炭素数が増加し、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等であって差し支えない。さらに炭素数が増加しても差し支えない。
R 1 は、前記の基は、その基の中に酸素原子或いは硫黄原子を有していてもよい。これらの場合にはアルキル基はアルキルエ−テル基或いはアルキルチオエ−テル基からなっている。具体的には、R2−O−R3−、又はR2−S−R3−で表される。更に、これらのO又はSは1個に限定されず、更に多い数であって差し支えない。
また、前記アルキル基は、その基の中に置換基として、エステル結合(R2−CO−O−R3−、R2−O−CO−R3−)、カルボニル基(R2−CO−R3−)を置換基として有していても差し支えない。なお、前記R2はアルキル基(前記R1と同じである。)であり、同じくR3はアルキレン基である。
前記アルキル基の置換基として、活性塩素と反応するヒドロキシ基、メルカプト基、アミノ基等の反応性の基を有するものではない。このような基を有する場合には、エステル化、アセタ−ル化、酸アミド化などの手段により保護基により非反応性の基としておくことが必要である。
X及びYは、窒素含有環状化合物を連結する役割を果たす基である。これらの基は、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基の組み合わせからなる基から構成されている。アルキレン基を表す場合は,X,Yは−(CH2)n−、−(CH2CHR2)n−、−(CH2R2CR3)n−(R2、R3は、炭素数1から10のアルキル基である。)で表される。nは2以上の整数を表す。フェニレン基を表す場合は−(C6H4)n− で表される。nは正の整数を表す。また、アルキレン基とフェニレン基の組み合わせでは、−(CH2)n−(C6H4)m−(CH2)o−、 −(CH2)n−(C6H4)m−(CH2)o−(C6H4)p−(CH2)q−、−(CH2)n−(C6H4)m−、−(C6H4)n−(CH2)m−(C6H4)n− 等を表す。これらの基は水素原子などが前記アルキル基により置換されていても差し支えない。この場合のアルキル基は前記アルキル基と同じである。アルキル基は、CnH2n+1で表される炭化水素基であり、炭素数は構造上形成されないなどの問題がない限り限定されない。直鎖状或いは分枝状である。
具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基、t−ブチル基等である。さらに炭素数が多くなるペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができる。炭素数が1から20程度であれば、差し支えない。また、アルキル基はアリ−ル基により置換されていても差し支えない。アリ−ル基はフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等であっても差し支えない。
前記のX,Yは、その基の中に酸素原子或いは硫黄原子を有していてもよい。これらの場合にはアルキル基はアルキルエ−テル基或いはアルキルチオエ−テル基からなっている。具体的には、−R2−O−R3−、又は−R2−S−R3−で表される。更に、これらのO又はSは1個に限定されず、更に多い数であって差し支えない。例えば、−R2−O−R3−O−R4−−−−−− 、−R2−S−R3−S−R4−−−−−等であって差し支えない。
また、これらのX,Yには、その基の中に置換基として、エステル結合(R2−CO−O−R3−、R2−O−CO−R3−)、カルボニル基(R2−CO−R3−)を置換基として有していても差し支えない。なお、前記R2はアルキル基(前記R 1 と同じである。)、又はアルキレン基であり、同じくR 3 はアルキレン基である。
前記アルキル基は、置換基として活性塩素と反応する基であるヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基等を有していない。これらの基を有する場合には、これらの基を保護基による保護しておくことが必要である。
【0013】
前記一般式(1)の化合物を製造するには、前記一般式(5 )で表される原料物質を、H2NR1で表されるアミン化合物と反応させることにより製造される。反応は以下の通りである。
(式中、R1は一般式(1)のR1、同じくX、Yは、一般式(1)のX,Yと同じである。)
【化22】
一般にテトラクロロピリミドピリミジン上の活性塩素をアミンで置換すると、残りの塩素の活性は段階的に低下を起こすことが知られており、前記一般式(1)で表される原料物質とアミンを、比較的低温である、50℃から100℃の温度下に反応させる。
そのため、大環状化合物とアミンとの反応を比較的低温で行えば、ピリミドピリミジン骨核に残る2位又は6位の塩素の1つだけをアミンで置換された大環状化合物(一般式(1)の化合物)を選択的に得ることができる。
この反応では、反応の進行にともなって、副生物として塩化水素が発生する。この塩化水素は反応系中から速やかに除去することが必要である。塩化水素除去剤として、炭酸カリウムなどの塩基を反応系に共存させることが必用である。
使用する反応溶媒は、反応原料物質、及び目的生成物を十分に溶解させることができれば、特に制限はない。具体的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルミリミジノンなどが良好に用いることができる。
【0014】
本発明の目的生成物の一つは、一般式(2)で表される含窒素複素環構造をもつ大環状化合物である(以下、化合物2ともいう)。
【化23】
(2)
(式中、R1、R2は、化合物(1)のR1,同じくX、Yは、化合物1のX,Yと同じである。)
【0015】
前記一般式(2)の化合物は、前記一般式(5)で表される原料物質を、アミン化合物と反応させることにより製造される。前記一般式(2)で表され化合物は、前記一般式( 5)の複素環上の2個の塩素原子のいずれもが、H2NR1 及びH2NR2 で表されるアミノ化合物と反応させることにより,HNR1基及びHNR2基により置換されているものである。R1及びR2はアルキル基であり、同一であってもよい。
アミノ化合物と反応させる点では、前記一般式(1)の化合物を製造する方法と同じであるが、前記の場合はアミノ化合物の1置換体であり、一般式(2)の化合物の場合にはアミノ化合物の2置換体である。このように置換する基を増加させるためには、反応温度をやや前記反応温度と比較して高めにして反応を行う。また、アミン化合物の使用量を多く用いる。一般式(2)の大環状化合物の調製は、反応温度80℃から150℃で行う。反応を完結させるためにピリミドピリミジン骨核に対して2〜3当量のアミンを使用する必要があり、使用するアミンが低分子量で、液体であれば反応溶媒をかねて大過剰のアミンを使用することも可能である。
この反応でも、反応の進行にともなって、副生物として塩化水素が発生し、この塩化水素は反応系中から速やかに除去することが必要である。塩化水素除去剤として、炭酸カリウムなどの塩基を反応系に共存させることが必用である。
使用する反応溶媒は、反応原料物質、及び目的生成物を十分に溶解させることができれば、特に制限はない。具体的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1.3−ジメチル−2−イミダゾリジンなどを用いることが良好な結果をもたらす。
【0016】
本発明の目的化合物の一つは、下記一般式(3)で表される分子集合体である(以下、化合物3ともいう)。
【化24】
(3)
(式中、成分Iは一般式(1)或いは(2)のいずれかの大環状化合物である。R 1 は、アルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル基、エステル結合、カルボニル基が導入されていても差し支えない。成分IIは、式(4)で表される化合物である。成分 I 及び成分 II を 結ぶ点線は、両成分が分子間水素結合であることを表す。
【化25】
(1)
【化26】
(2)
【化27】
(4)
)
【0017】
前記一般式(3)で表される分子集合体は、一般式(1)又は(2)で示される大環状化合物(成分I)と、式(4)のイミド化合物(成分II)より得られる。そして、この化合物では、前記大環状化合物と前記イミド化合物は分子間水素結合により結合されて、一つの分子化合物を構成している。分子間水素化結合は、成分Iの窒素原子、アミノ基の水素原子は、成分IIのNH水素原子、CO基の酸素原子に各々が対応している。
【0018】
前記一般式(3)で表される分子集合体を製造するには、前記一般式(1)又は前記一般式(2)で示される大環状化合物を、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンなどから選ばれる溶剤中に溶解させた後、前記一般式(4)で示されるイミド化合物を、水、メタノ−ル、ジメチルホルムアミドなどから選ばれる溶剤に溶解させた後に、両溶液を混合した後、放置するか、又は攪拌処理又は超音波処理等の手段を施すことにより、前記一般式で示される化合物の間に分子間水素結合の形成を行うことができ、その結果、前記一般式(3)で示される分子集合体を得ることができる。
両者の間に分子間結合が形成されると、得られる生成物(一般式(3)で示される分子集合体)を析出する場合には濾過により、これを回収できる。析出しない場合には、溶媒を揮発、除去することにより、残った物質として回収をすることにより、取り出すことができる。又、前記一般式(3)の分子集合体が、水に極めて難溶性であれば、水溶性の前記一般式(4)で示される化合物を溶解させた水溶液上に、一般式(1)、又は(2)の化合物の溶液を静かに滴下させ、溶媒を揮発させると、水界面で両者の間で水素結合を形成させることにより、一般式(3)で示される分子集合体の超薄膜を調製することができる。この超薄膜は、ラングミュア−・プルジット法によりガラス、石英基板などに移行し、累積することが可能である。
分子間水素結合により成分Iと成分IIが結合された状態にある分子集合体3は、アルコ−ル、酢酸、ジメチルホルムアミドなど、大環状化合物またはイミド化合物との間で水素結合により強く相互作用する溶媒と接触することにより、元の構成成分である成分I及び成分IIに分解し、回収することができる。
【0019】
前記成分Iと前記成分IIから、前記一般式(3)の分子集合体を得ること、及び一般式(3)で示される分子集合体から成分I及び成分IIを得ることができることを利用して、成分I又は成分IIの分離・回収を行うことができる。 例えば、成分IIが含まれている系から成分IIを分離・回収を計ろうとする場合には、成分IIが含まれている系に成分Iを添加して、前記一般式(3)の分子集合体として分離回収を行うことができる。この場合分離回収を計ろうとする成分I又はII対して、添加される成分II又はIは適当な媒体或いは担体に固定した状態で用いることができる。
【0020】
前記一般式(1)または(2)の大環状化合物に関し、バルビツ−ル酸等の有機化合物と接触させると、前記化合物と有機化合物は複合体を形成する。本発明の大環状化合物は、純水上では安定な気水界面単分子膜を形成しないが、バルビツ−ル酸等の化合物を添加した水と接触させると、単分子膜は大きく膨潤し、非常に安定な単分子膜を得ることができる。この現象は単分子中にバルビツ−ル酸が取り込まれることを意味している。大環状化合物とバルビツ−ル酸との間で、多点水素結合が形成され、分子間水素結合により形成される新規な化合物である。大環状化合物と、このような事象を観察することができたことから、前記の大環状化合物又は分子集合体は単分子膜にバルビツ−ル酸等が取り込まれていると言うことを結論づけることができる。そして、純水上で安定な単分子膜を形成し、アゾ色素を取り込むことができることを確認した。このような有機化合物としては、この他に、医薬品、芳香剤、各種染料等をあげることができる。
有機化合物は前記大環状化合物又は分子集合体を接触しやすい状態のものであり、通常、液体状であり、水や有機溶剤などの液体に溶解した状態のものが用いられる。
前記大環状化合物又は分子集合体と有機化合物の割合は、通常1対1(重量比)であり、適宜変更することができる。接触温度は、0〜80℃の温度条件下に行う。
【0021】
前記有機化合物の分離操作に際して、エ−テル結合の酸素と金属イオンとの配位結合を利用する分離が可能である。この金属としては、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属等を挙げることができる。
【0022】
本発明で得られる前記一般式(3)の分子集合体は、それらを形成する成分I及び成分IIを含有するものである。前記分子集合体を金属イオンを含有した水溶液と接触させることにより前記化合物は金属イオン物質と結合させることができる。このことを利用して、選択的に前記金属イオンを分離することができる。
具体的には、これらの溶液を含む溶液、例えば水溶液中に前記目的生成物を浸して接触させることにより、前記金属イオンを選択的に除去することができる。
【0023】
【実施例】
本発明の物質について更に実施例により詳しく述べる。しかしながら、これらの実施例により限定されるものではない。
物質の確認にはNMRにより確認した。
【0024】
実施例1
[化合物2(一般式(2)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 , R 1 =R 2 =C 8 H 17 である化合物)の製造]
原料である大環状化合物(一般式(5)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 である化合物)200mg、n−オクチルアミン6ml、無水炭酸カリウム207mgを、窒素雰囲気下に100℃で1日間加熱攪拌した。
過剰のオクチルアミンを真空加熱により除去した後、残査をクロロホルムに溶解し、液を純水で洗浄した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、黄色の油状物を得た。シリカゲルカラム(アセトン:クロロホルム1:2)で精製して、
目的の大環状化合物を得た(210mg)。
目的物質の性状は以下の通りであった。
黄色固体。薄層クロマトグラフ Rf:0.2(アセトン1:クロロホルム9)、1H−NMR(CHCl3,TMS)、6.57(bs、4H、NH)、4.41(bs、4H、NH)、3.78(bs、8H、CH2N)、3.71(bs、16H、CH2O)、3.59(bs、8H、CH2N)、3.31−3.27(m、8H、CH2N)、1.76(m、8H、CH2)、1.58(m、8H、CH2)、1.33−1.29(m、40H、CH2)、0.89(t、12H、CH3)、FAB−MAS(ニトロベンジルアルコ−ル):C56H100N16O4,M/Z1061。
【0025】
実施例2
[化合物1(一般式(1)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 、R 1 =C 4 H 9 である化合物)の製法]
原料の大環状化合物 2.76g(一般式(5)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 である化合物)、n−ブチルアミン 20ml、無水炭酸カリウム4.22gを、窒素雰囲気下に80℃で1日加熱攪拌した。n−ブチルアミンを真空加熱により除去した後、残査をクロロホルムに溶解し、液を純水で洗浄した。溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を揮発させ、目的化合物を得た。
目的物質の性状は以下の通りであった。
薄層クロマトグラフ(シリカゲル、メタノ−ル1:クロロホルム2) Rf:0.2。
1H−NMR(CHCl3,TMS)、6.78−6.67(m、4H、NH)、4.75(bs、2H、NH)、3.88−3.33(m、28H、CH2NとCH2O)、1.54(m、4H、CH2)、1.36(m、4H、CH2)、0.91(t、6H、CH3)。
【0026】
実施例3
[化合物1(一般式(1)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 、R=CH 2 CH 2 CH 2 COOHである化合物)の製法]
原料の大環状化合物 2.07g(一般式(5)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 である化合物)、4−アミノブチル酸 0.93g、無水炭酸カリウム2.14gに、溶媒である1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン 20mlを加え、窒素雰囲気下に100℃で1日加熱攪拌を行った。溶媒を真空加熱により除去した後、残査をクロロホルムに溶解し、溶液を希塩酸及び純水で洗浄した。溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、溶媒を揮発させ、目的物質を得た。
目的物質の性状は以下の通りであった。
薄層クロマトグラフ(シリカゲル、メタノ−ル1:クロロホルム9):Rf値0.2
FAB−MAS(ニトロベンジルアルコ−ル):C32H44C12N14O8,M/Z823.赤外吸収スペクトル(KBr法):3214,1888,1615,1568,1520cm−1。
【0027】
実施例4
[化合物3(一般式(3)で表される分子集合体であって、成分 I が、一般式(2)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 、R 1 =C 8 H 17 である化合物であり、成分 II がバルビツ−ル酸(4)である化合物)の製法]
一般式(2)で表される大環状化合物(一般式(2)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 、R 1 =C 8 H 17 である化合物)をクロロホルム溶液(濃度 約0.5mg/ml)に溶解させ、バルビツ−ル酸の10mM水溶液(25℃)のクロロホルム溶液を少量滴下すると、溶液は直ちに水面上に大きく拡がり、溶媒が揮発消失した。その後に、成分Iの単分子層からなる超薄膜が形成された。成分Iは、水相のバルビツ−ル酸と、強く相互作用して、水に不溶なIの薄膜中に取り込まれ、分子間水素結合を介して、成分IIが結合している標記の分子集合体(3)を得た。
目的物質の性状は以下の通りであった。
単分子膜の分子占有面積:1.46nm2 /molecule(純水上)、1.66nm2 /molecule( 10mMバルビツ−ル酸水溶液上)。水界面の単分子膜の反射スペクトルのピ−ク極大:290、220(肩)nm(純水上)、264nm(10mMバルビツ−ル酸水溶液上)。
【0028】
参考例5(化合物3で表される分子集合体の薄膜の生成)
実施例4において、バルビツ−ル酸水溶液上に調製された大環状化合物の単分子膜を、表面圧12mM/mに圧縮し、ラングミュア−・プロジェット法により金基板上に単分子膜を移行させると、4分子層からなる分子集合体9の超薄膜を得た。
性状は以下の通りであった。
反射法による赤外スペクトル:組み込まれたバルビツ−ル酸由来のカルボニル基の伸縮振動 1695cm−1。
【0029】
参考例6(化合物3で表される分子集合体の薄膜の形成)
実施例1で調製された化合物2の大環状化合物42mgを、ジクロロメタン100mlに溶解させ、これにバルビツ−ル酸粉体28mgを加えて容器外から3分間にわたり超音波を照射した。
その後、過剰のバルビツ−ル酸を孔径0.2ミクロンのテフロンフイルタ−で濾過して除き、分子集合体3を得た。
性状は以下の通りであった。
化合物2の大環状化合物の紫外部の吸収極大:255,283,373nm、分子集合体3の紫外部の吸収極大:266,379nm。
【0030】
実施例7
[分子集合体(3)(成分 I が、化合物(2)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 , R 1 =R 2 =C 4 H 9 である化合物、成分 II が、バルビツ−ル酸(4)である化合物)の製造]
化合物2の大環状化合物(一般式(2)において、X、Y=CH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 、 R 1 =R 2 =C 4 H 9 である化合物)とバルビツ−ル酸とを、1モル対2モルの割合で、クロロホルム中で混合し、一度溶媒の沸点まで加熱し、その後冷却し、自然乾燥し、標記の分子集合体3を得た。
性状は以下の通りであった。
化合物2の赤外吸収スペクトル(KBr法):3294(NH伸縮振動)、2957,2928,2860,1571,1509cm−1 。
分子集合体3(R=C4H9)の赤外吸収スペクトル(KBr法):3188(NH伸縮振動),2879,1745,1719,1603cm−1。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な大環状化合物が得られる。さらに、この大環状化合物に特定のイミド化合物、及び大環状化合物に特定のアミド化合物を組み合わせた大環状化合物を
得ることができる。
これらの化合物は単分子膜を形成することができる。又、これらの化合物は、有機化合物の分離剤及びアルカリ金属やアルカリ土類金属の分離剤として用いることができる。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で示される大環状化合物。
【化1】
(1)
(式中、R1はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R1、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、XとYは同一の基であってもよい。) - 下記一般式(2)で示される大環状化合物。
【化2】
(2)
(式中、R1、R2はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、アルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、カルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R1、R2、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、R1とR2、及びXとYは、各々同一であってもよい。) - 下記一般式(3)で表される分子集合体。
【化3】
(3)
(式中、成分Iは一般式(1)或いは(2)のいずれかの大環状化合物である。R 1 は、アルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル基、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。成分IIは式(4)で表される化合物である。)
【化4】
(1)
(式中、R 1 はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、又はアルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R 1 、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、XとYは同一の基であってもよい。)
【化5】
(2)
(式中、R 1 、R 2 はアルキル基、アリ−ル基、又はアルキル基とアリ−ル基が組み合わされた複合基である。ただし、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、又はカルボニル基が導入されていても差し支えない。
X及びYは連結基であり、アルキレン基、フェニレン基、アルキレン基とフェニレン基が組み合わされた複合基であり、これらの基には、エ−テル結合、エステル結合、カルボ ニル基が導入されていても差し支えない。ただし、R 1 、R 2 、X、Yはアミノ基、メルカプト基、又はヒドロキシル基から選ばれる活性塩素と反応する活性基を有していないものである。なお、活性基を有している場合には保護基により保護されていれば差し支えない。又、R 1 とR 2 、及びXとYは、各々同一であってもよい。)
【化6】
(4)
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