JP3181979B2 - オロチン酸誘導体含有組成物並びに機能薄膜 - Google Patents

オロチン酸誘導体含有組成物並びに機能薄膜

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基質選択性の高いセン
サー,基質の輸送抽出等に使用される担体,徐放剤,反
応場等としての好適なオロチン酸誘導体及びこのオロチ
ン酸誘導体から製膜された機能薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】化学物質に応答するセンサーは、化学セ
ンサーと呼ばれており、(1)pHセンサーに代表され
るイオンセンサー,(2)ガスセンサー,(3)バイオ
センサー等がある。イオンセンサーは、被測定液に含ま
れている化学物質の濃度をイオン感応膜の膜電位変化と
して検出する。ガスセンサーとしては多種多様なものが
あるが、たとえば半導体ガスセンサーは、ガス分子吸着
時の電気抵抗変化を測定し、定電位電解式及びガルバニ
電池式のガスセンサーは、電気化学的酸化還元を利用す
るものである。これらイオンセンサー及びガスセンサー
では、被検出物によって感応部の物性が変化し、その変
化量を検出シグナルとして取り出している。また、測定
される対象としては、無機分子が多い。
【0003】他方、有機分子の検出は、医療検査,発
酵,食品工業,バイオエンジニアリング等の多くの分野
で必要とされる。この検出手段としては、酵素センサー
等のバイオセンサーが使用されている。このバイオセン
サーでは、特定の物質を選択的に認識できる生体物質を
利用し、被測定物質との化学反応に含まれる物質変化を
検出シグナルとして取り出している。
【0004】すなわち、従来のバイオセンサーでは、被
検出物質と特異な反応を行う生体物質を選択し、イオン
センサーやガスセンサー等で検出可能な酸素,過酸化水
素等の生成物を与えている。そして、イオンセンサー又
はガスセンサーとの組合わせによって、多種類の有機分
子の検出が可能となり、また微量測定も可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら使用されているバイオセンサーでは、その機能上から
感応部とシグナル発生部が別個に構成されているため、
複雑な構造を持つものとなっている。しかも、固定化酵
素等を使用するセンサーでは、酵素の活性が経時的に変
化したり、使用温度が酵素の種類によって定まる生理温
度付近に制限される欠点がある。
【0006】この点、無機化合物を対象とするイオンセ
ンサーやガスセンサーと同様な感知応答機構を持った有
機物センサーの開発が要求されており、一部では試験的
な研究が行われている。たとえば、岡畑等は、Poly
mer Preprints.Japan Vol.3
7,No.10第3309〜3311頁(1988)
で、二分子膜で被覆した水晶発振子及び多孔ポリマー膜
を使用し、二分子膜に各種の水性アルコールを吸着させ
るとき、それぞれ重量,膜電位,膜抵抗等が変化するこ
とを見い出し、センサーとして使用可能なことを報告し
ている。ここでの分子識別は、疎水分子が膜の疎水層に
分配されることによって行われる。
【0007】また、小田嶋等は、脂溶性大環状ポリアミ
ンを含む液膜を分子認識素子とするカテコール類感応セ
ンサーを報告している[第3回生体機能関連化学シンポ
ジウム予講集第165〜167頁 (1988)]。この報
告では、中性分子であるカテコール類に対して電位応答
性を示すことが見い出されており、ホストーゲスト間の
水素結合相互作用によるプロトンエジェクションを電位
応答のメカニズムと推察している。
【0008】ところが、岡畑等が報告したセンサーは、
対象とする化合物が脂溶性のものに限られるという欠点
がある。他方、小田嶋等のセンサーは、応答の原因が明
らかにされていないと共に、液膜型であることから、測
定できる物性量が電位変化に限られる。また、利用して
いるホスト−ゲスト相互作用が均一溶液系のものである
ため、被検出物を均一溶液系で結合する分子の合成が必
要とされる。そのため、選択性,感度,操作性が低くな
る欠点がある。
【0009】そこで、本発明は、前述したイオンセンサ
ーやガスセンサー等のタイプに相当する新規な有機物セ
ンサーとして有用な物質を提供することを目的とする。
また、センサーに限らず、基質の輸送や抽出等に使用さ
れる担体,徐放剤,反応触媒を提供する反応場として使
用される新規なオロチン酸誘導体及び該誘導体を使用し
て製膜された機能薄膜を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のオロチン酸誘導
体含有組成物は、その目的を達成するため、ヌクレオシ
ド,核酸塩基,水溶性ペプチド又は水溶性ポリマーと結
合した状態或いは包接結晶状態で、オロチン酸のカルボ
キシル基或いはイミノ基を、少なくとも一つの炭素数1
0〜22の長鎖アルキル基,長鎖フルオロアルキル基又
はそれらの誘導体で置換したオロチン酸誘導体が含有さ
れることを特徴とする。
【0011】このオロチン酸誘導体は、LB法,キャス
ト法,分散法等によって機能薄膜に作製することができ
る。製膜された薄膜は、分子の組織化によってイミド基
が表面に配向している。また、物理的吸着或いはシラン
カップリング材等を使用した化学的吸着によって、薄膜
を固体表面に固定化することもできる。
【0012】
【作用】本発明に従ったオロチン酸誘導体は、次式の構
造をもつオロチン酸のカルボキシル基又はイミノ基に少
なくとも一つの炭素数10〜22のアルキル,フルオロ
アルキル又はそれらの誘導体を導入したものである。こ
のオロチン酸誘導体を製膜するとき、親水基であるイミ
ド基の方向を制御した興味ある薄膜が得られる。
【0013】
【化1】
【0014】すなわち、オロチン酸にアルキル基を導入
することによって、作製された薄膜におけるイミド基の
配向を制御し、その部位を利用して特異的な基質の結合
を行わせている。このオロチン酸誘導体は、水を含めて
種々の溶媒中で使用することができ、高密度及び高感度
の選択性を有する機能薄膜に作製される。
【0015】オロチン酸誘導体は、前記構造式をもつオ
ロチン酸のカルボキシル基にアミド化,イミド化,エス
テル化等の処理を施し、少なくとも一つの炭素数10〜
22の長鎖アルキル基を導入することによって得られ
る。或いは、イミノ基をアルキル化することにより、炭
素数10〜22の長鎖アルキル基を導入し、オロチン酸
誘導体を合成する。次式は、合成過程の一例を示す。
【0016】
【化2】
【0017】合成されたオロチン酸誘導体は、自己組織
性をもっている。たとえば、オロチン酸誘導体を水性の
界面に展開すると、親水基であるイミド基が界面に配向
し、疎水基Rが逆方向に配向した配列形態をとる。更
に、界面に展開された薄膜を基板に累積させると、この
配列を維持したLB膜が得られる。このとき、レシチ
ン,長鎖ジアルキルアンモニウム等の他の膜形成化合物
と混合した場合にあっても、オロチン酸誘導体の特性を
維持したLB膜が得られる。
【0018】展開法によらず、アセトン,クロロホルム
等の有機溶剤にオロチン酸誘導体を溶解したものをガラ
ス板等の基板上にキャストし、自然乾燥させるキャスト
法で製膜するときにも、更に適宜の方法によって水に分
散させリポソームを形成しても、同様な分子の自己組織
化が行われる。作製された薄膜は、物理的吸着又は化学
的吸着によって固体基板の表面に固定すると安定化す
る。
【0019】配向したイミド基は、水素結合の形成によ
って選択的に基質を結合する。たとえば、種々のヌクレ
オシド,核酸塩基誘導体,水溶性ペプチド,水溶性ポリ
マー等を添加した水性液体を使用して単分子膜を作製す
るとき、基質に応じてそれぞれ膜形成挙動が異なる基質
選択性を示す。
【0020】イミド基は、水素結合性を備えた二つの=
COと一つの=NHをもっており、この三つの水素結合
性官能基とヌクレオシド等の基質の複数個の官能基によ
って多数の水素結合の組合せをもたせることができる。
この組合せにより、二つの化合物間に起きる相互作用の
強さが変化し、その強度及び基質となる化合物の分子サ
イズに応じて膜形成時の挙動が変化する。本発明の機能
薄膜は、この性質を利用し広範囲な分野におけるセンサ
ーとして使用される。
【0021】また、本発明のオロチン酸誘導体は、基質
を含む適当な溶媒から結晶化させるとき、基質と選択的
に包接化合物を形成する。オロチン酸誘導体に取り込ま
れた基質は、溶媒抽出,pH調整,熱処理等によって薄
膜或いは包接結晶から解離させて取り出すことができ
る。そのため、基質の輸送や抽出等に使用される担体,
医薬品分野における薬剤等の徐放剤を始めとして基質を
徐々に放出させる担体,反応触媒を提供する反応場とし
ても使用することができる。また、各種ヌクレオシド等
の基質に対する結合強度等が異なるため、基質との間の
リリース速度をコントロールすることができる。
【0022】
【実施例】実施例1 :オクタデシルアルコール(I)200gと水
素化ナトリウム2.0gを容量500mlの三つ口フラ
スコに入れ、70℃に保持した。これにエピクロロヒド
リン7gを撹拌下に30分で徐々に滴下した。反応後、
過剰のオクタデシルアルコールを減圧下で溜去し、クロ
ロホルムより再結晶させることによってジオクタデシル
グリセリルジエーテル(II)30.0gを得た。このと
きの反応を、次式に示す。
【0023】
【化3】
【0024】オロチン酸(III) 2.0gを乾燥ベンゼン
中に懸濁させ、これに塩化チオニル5.0gを室温で徐
々に添加し、更に無水DMFを0.5ml添加した。撹
拌下に6時間還流を行い、反応液を室温まで冷却した
後、反応物を濾過した。得られた反応物を無水ベンゼン
で洗浄し、オロチン酸(IV)2.1gを得た。このとき
の反応を、次式に示す。
【0025】
【化4】
【0026】得られたジオクタデシルグリセリルジエー
テル(II)0.7gと水素化ナトリウム0.05gを、1
00mlの三つ口フラスコに入れられている無水THF
30mlに加え、更に撹拌下に塩化オロチン酸(IV)0.
2gを徐々に添加した。撹拌下で一昼夜還流し、反応液
を濾別した。溶媒を溜去して得られた反応物を、エタノ
ール及びベンゼンより再結晶させ、目的化合物(V)を
0.36g得た。このときの反応を、次式に示す。ま
た、収率は42.7%であった。
【0027】
【化5】
【0028】化合物(V)は、融点が102.4〜10
3.4℃であり、元素分析の結果C:71.98%,
H:11.26%及びN:3.67%であった。この分
析値は、化学構造式から求めた計算値C:71.89
%,H:11.24%及びN:3.81%と実質的に一
致していた。また、化合物(V)のIR値は、次の通り
であった。 3200,3080cm-1(NH) 2914,2
846cm-1 (CH2)1673,1492,1465,
1261,1125cm-1
【0029】また、 1H NMRは、δ8.56(br
s,1H,3−NH),8.43(br s,1H,
1−NH),6.41(s,1H,CH),5.33
(tt,J=3.7Hz,1H,OCHCH2),3.62
(d,J=4,4H,CHCH2 O),3.43(m,
4H,OCH2),1.59,1.53及び1.24
(m,64H,alkyl tail),0.87
(t,J=5,6H,CH3)であった。
【0030】実施例2:単分子膜の製造 実施例1で製造されたオロチン酸誘導体(V)6.4m
gをクロロホルム9部−エタノール1部の混合溶媒10
mlに溶解したものを、20℃に保持したLB膜製造装
置を使用し水面に70μl展開した。そして、0.2m
m/秒の速度で圧縮することによって、単分子膜を形成
した。圧縮時の表面圧を20mN/mの一定値に保ち、
基板を20mm/分の一定速度で上下に移動させ、水面
上に形成された単分子膜を基板に累積させることによ
り、LB膜を作製した。
【0031】基板としては、ガラス板,石英,ポリマー
フィルム,グラファイト,銀,金等の種々の材質を使用
した。得られたLB膜は、何れの基板を使用した場合で
も累積挙動の結果としてY形構造をもっていた。
【0032】実施例3:センサーとしての特性(1) 単分子膜構成分子の基質となる物質が含まれている水相
を使用して実施例2のように単分子膜を作製するとき、
表面圧及び分子占有面積をモニタリングすることによ
り、単分子膜に及ぼす基質の影響を調査することができ
る。
【0033】たとえば、実施例1で得られたオロチン酸
誘導体(V)を20℃の種々の濃度のアデニン水溶液の
液面に展開し、圧縮速度0.2mm/秒で単分子膜を作
製し、その測定結果を、濃度1mM,2mM及び3mM
のアデニン水溶液を使用したときの表面圧−分子占有面
積曲線として図1に示す。
【0034】図1から明らかなように、オロチン酸誘導
体単分子膜の崩壊圧は、アデニン水溶液の濃度によって
異なっている。そこで、表面圧−分子占有面積曲線から
求められる崩壊圧を測定することにより、アデニンの濃
度を知ることができる。
【0035】同様に、チミン水溶液を使用して表面圧−
分子占有面積曲線を測定した。このときの表面圧−分子
占有面積曲線は、チミン水溶液の濃度に依存せず、純水
から得られた表面圧−分子占有面積曲線に一致してい
た。このことから、アデニン及びチミンの両者を含有す
る水溶液系において、オロチン酸誘導体薄膜は、アデニ
ンを選択的に認識する機能をもっていることが判る。ま
た、これらの結果を利用して、表面圧−分子占有面積曲
線から基質の種類を判定することができる。このような
基質特異性は、基質とオロチン酸誘導体間の水素結合相
互作用の容易性如何に由来しているものと推察され、オ
ロチン酸に導入する長鎖アルキル基又は長鎖フルオロア
ルキル基の種類を変更することにより種々の基質を選択
的に認識するセンサーとして使用される。
【0036】実施例4:センサーとしての特性(2) 実施例1で製造されたオロチン酸誘導体(V)6.4m
gをクロロホルム9部−エタノール1部の混合溶媒10
mlに溶解することにより展開液を調製した。この展開
液100μlを、LB膜製造装置を使用し、実施例3と
同様に単分子膜構成分子の基質となる物質が含まれてい
る水相の水面に展開した。そして、0.2mm/秒の速
度で単分子膜を形成し、圧縮時の表面圧を20mN/m
の一定値に維持しながら、予め水相に浸漬させておいた
石英板を引き上げた。これにより、水面に形成されてい
た単分子膜が石英板に移し取られ、石英板の表面に単分
子膜1層からなるLB膜が形成された。
【0037】得られたLB膜のUVスペクトルを測定し
たところ、図2に示すように、水相に添加したアデニン
の濃度上昇に伴って268nmの吸光度が大きくなっ
た。なお、図2における吸光度変化は、純水上から同様
にして得られるLB膜の268nmにおける吸光度との
差で表した。このアデニン濃度と吸光度変化との関係を
利用し、作製されたLB膜の268nmにおける吸光度
を測定することにより、逆に水相のアデニン濃度を知る
ことができる。
【0038】実施例5:基質の固定化 実施例1で得られたオロチン酸誘導体(V)6.4mg
をクロロホルム9部−エタノール1部の混合溶媒10m
lに溶解したものを、LB膜製造装置を使用して20℃
に保持したアデニン及びチミン水溶液(3mM)上に1
00μl展開した。圧縮時の表面圧を20mN/mの一
定値に保ち、金蒸着板を20mm/分の一定速度で上下
に移動させ、浸漬・引き上げを3回繰り返した。これに
より、水面上に形成された単分子膜が6層累積されたL
B膜を得た。
【0039】得られたLB膜のFT−IR(RAS法)
スペクトルを測定したところ、図3に示すように純水上
から得られるLB膜のスペクトルに対し、アデニン水溶
液上から得られたLB膜のスペクトルでは、3445c
-1及び3336cm-1にイミド基と結合したアデニン
のNHの吸収がみられ、更に1677cm-1及び164
7cm-1にアデニンの水素結合性NHの変角振動に帰属
する新たな吸収がみられた。このスペクトル解析から、
得られたLB膜上にアデニンが固定されていることが判
る。
【0040】一方、チミン水溶液上から得られるLB膜
のスペクトルは、純水上から得られたLB膜のスペクト
ルとほとんど変わりがなかった。これは、オロチン酸誘
導体のLB膜にチミンが固定化されていないことを示す
ものである。このことからも、オロチン酸誘導体は、高
い基質選択性を呈することが判る。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のオロチ
ン酸誘導体を使用するとき、ヌクレオシド,核酸塩基誘
導体,水溶性ペプチド,ATP等を膜構造内の層間に分
子レベルで規則的に取り込んだリポソーム,LB膜,単
分子膜,キャスト膜等の薄膜を製造することが可能にな
る。また、自己組織性をもつ化合物単独或いは分子の組
織化によって薄膜上に規則的に配列されたイミド基によ
り、各種の物質に対するセンサーとして使用することが
できる。
【0042】更に、膜内に取り込まれた基質は、溶媒抽
出,pH調整,熱処理等によって薄膜又は包接結晶から
解離させ取り出すことができる。そこで、基質の輸送,
抽出,貯蔵等の担体としてオロチン酸誘導体薄膜を使用
することもできる。しかも、生理活性物質を長期間にわ
たって有効且つ効果的に放出させるため、徐放剤を始め
として薬剤の調製手段としても有望なものである。この
ように、本発明のオロチン酸誘導体及びこの誘導体から
作製された機能薄膜は、広範な分野において使用するこ
とが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例3で得られた単分子膜の表面
圧−分子占有面積曲線を示したグラフ
【図2】 同じく実施例4で作製されたLB膜の268
nmにおける吸光度変化を水相中のアデニン濃度との関
係で表したグラフ
【図3】 同じく実施例5で得られたLB膜のFT−I
Rスペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−226876(JP,A) 西独国特許出願公開3206197(DE, A1) Chemistry Lettre s;(1992)No.9 p1839−1842 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 239/557 B01D 69/00 G01N 27/327 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヌクレオシド,核酸塩基,水溶性ペプチ
    ド又は水溶性ポリマーと結合した状態或いは包接結晶状
    態で、オロチン酸のカルボキシル基或いはイミノ基を、
    少なくとも一つの炭素数10〜22の長鎖アルキル基,
    長鎖フルオロアルキル基又はそれらの誘導体で置換した
    オロチン酸誘導体が含有されることを特徴とするオロチ
    ン酸誘導体含有組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のオロチン酸誘導体含有組
    成物をLB法,キャスト法又は分散法で製膜し、分子の
    自己組織化によりイミド基を膜表面に向けて配列させた
    ことを特徴とする機能薄膜。
  3. 【請求項3】 物理的或いは化学的吸着によって請求項
    2記載の機能薄膜が固体表面に固定化されていることを
    特徴とする機能薄膜。
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