次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る移植機の全体的な構成を示した側面図、図2は植付爪部の側面図、図3は苗植付ユニットの駆動説明図、図4は植付爪の駆動説明図、図5はロータリケースの断面図、図6はロータリケース内部の説明図、図7は揺動カム部の説明図、図8は植付爪部の側面説明図、図9は植付爪部の平面説明図、図10は苗押出部材の説明図、図11は植付爪の0°、180°位置の説明図、図12は植付爪の45°、225°位置の説明図、図13は植付爪の60°、240°位置の説明図、図14は植付爪の75°、255°位置の説明図、図15は植付爪の90°、270°位置の説明図、図16は植付爪の135°、315°位置の説明図、図17は第二ロータリケースに均平用部材を取り付けた状態を示す側面図である。
図1に示すように、移植機においては、走行部1の前下部に操向輪となる前車輪2が支承され、後下部に後車輪3が支承されている。走行部1の前部上にエンジン4が搭載され、該エンジン4の後方にミッションケース5が配設されて、エンジン4の出力軸からミッションケース5を介して前車輪2及び後車輪3に動力が伝達され、前車輪2及び後車輪3が駆動するように構成されている。
走行部1の中央上には運転操作部6が設けられ、該運転操作部6に操向ハンドル7と座席8とが配設されている。また、走行部1の前部に配置されたボンネット9の両側には予備苗台10が配設され、走行部1の後方に植付部11が配設されている。植付部11はその前部にローリング支点軸12を介して設けた支持フレーム13で走行部1の後端部とトップリンク14及びロアリンク15を介して連結され、走行部に対しローリング可能とされるとともに、座席8の下方に配設された昇降シリンダ16の伸縮動作により昇降可能とされている。
植付部11には、図2に示すように、多数の苗(セル成形苗)120を有するトレイ20を戴置する苗載台21と、植付爪22を有する複数の苗植付ユニット24とが備えられ、走行部1の走行時に該苗植付ユニット24の植付爪22によりトレイ20から苗120が取り出されて圃場の畝上面に一定間隔ごとに植付が行われるように構成されている。トレイ20は碁盤の目状に多数の凹部(ポット)を有し、用土が充填された各ポットで苗120を育てるものである。
苗載台21は進行方向に対して前記苗植付ユニット24の前方に配置され、該苗載台21上に複数、本実施例では二つのトレイ20が左右に並設されている。図3に示すように、苗載台21の下方にはエンジン4からの動力を植付部11に伝達するための伝動ケース25が配設され、該伝動ケース25から左右方向に突出される軸26の一側が横送り軸26aとされている。そして、横送り軸26aと苗載台21とが連結され、該横送り軸26aの回転駆動により苗載台21、つまりトレイ20がガイドローラにガイドされながら左右方向に往復移動するように構成されている。
前記伝動ケース25から突出される軸26の他側にはカム26b・26cが設けられ、該カム26b又はカム26cと軸26と軸27に設けられたカム27aとが当接可能とされている。該軸27は苗載台21の下部に軸26と平行に軸架されており、その左右両側に備えられたワンウェイクラッチ28を介して左右のトレイ20に対し備えられた縦送り軸29と連動連結されている。
前記縦送り軸29の左右両側にはスプロケット30が設けられ、該スプロケット30に巻回されたチェーンに前記トレイ20が係止されて、縦送り軸29の回転駆動によりトレイ20が苗載台21上を下方に移動するように構成されている。そして、縦送り軸29が間欠駆動とされて、トレイ20が右端または左端に至ると縦送り軸29がトレイ20の1ポット分下方へ移動され、トレイ20を左右方向へ往復移動させるための駆動系と下方へ移動させるための駆動系の一本化が図られている。
そして、左右の各トレイ20に対して二つの苗植付ユニット24が左右平行に並設され、これらの苗植付ユニット24により一つのトレイ20からそれぞれ苗120が取り出されて、同時に二株の苗120の植付が行われるように構成されている。よって、本実施例では二つのトレイ20から四つの苗植付ユニット24によりそれぞれ苗120が取り出され、一度に四株の苗120が圃場の畝上面に植え付けられる。
図2に示すように、前記苗植付ユニット24には二つの植付爪22・22が備えられ、これらの植付爪22により一つのトレイ20で苗120の取出及び植付が連続して行われるように構成されている。すなわち、苗植付ユニット24において、二組の植付爪22・22が同一植付軌跡A上に180度位相を異ならせて位置するように設けられ、これらの植付爪22により一つの植付軌跡A中で二回の苗120の取出及び植付が行われて、二株の苗120が圃場に移植されるように構成されて、植付作業の高速化が図られている。
さらに、前記苗植付ユニット24には、二つの植付爪22に加えて、第一ロータリケース31、該第一ロータリケース31の両側に配置される第二ロータリケース32、各第二ロータリケース32の側方に配置される爪ケース33、該爪ケース33に支持される植付爪22・22を首振り動作させるための首振り用溝カム34(図6参照)、植付爪22・22の左右の爪体73・74(図9参照)を開閉する開閉カム35、左右の爪体73・74で挟持される苗120を押出すための苗押出部材80を動作させるための苗押出カム36が備えられている。
各苗植付ユニット24は前記伝動ケース25から左右方向に突出される植付フレーム17から後方に延出されるチェーンケース37の後部に鉛直方向に対し左右内側に傾斜するよう支持されて、左右一対の苗植付ユニット24が一つのトレイ20に対し後面視で「ハ」字状に配置されている。これらの苗植付ユニット24を支持するチェーンケース37はその前部で植付フレーム17の左右両側と左右中央にステーを介して固定され、所定間隔で左右平行に配置されている。すなわち、内側で左右に隣接する二つの苗植付ユニット24は一つのチェーンケース37の左右両側にそれぞれ支持されるように構成されている。
また、各チェーンケース37前部を貫通するように前記伝動ケース25から伝動軸40が軸26と平行に左右方向に突出され、伝動軸40に各チェーンケース37内でスプロケット41が固設されている。そして、該スプロケット41とチェーケース37後部内に支持された入力軸42に固設されたスプロケット43とにチェーン44が巻回されて、伝動ケース25からの動力がチェーン44を介して入力軸42より苗植付ユニット24に伝達されるように構成されている。
図4から図7に示すように、前記チェーンケース37の後部においては、その内側側面に受軸45が所定角度で固定されるとともに、前記入力軸42が内側側方に突出され、該入力軸42の先端に外筒軸46がスプライン嵌合されている。外筒軸46はその中央で受軸45に回転自在に支持され、その先端で第一ロータリケース31の中央に固定されている。
そして、第一ロータリケース31内において、前記外筒軸46上にサンギヤ47が遊嵌され、該サンギヤ47の一端が受軸45に噛合されている。また、第一ロータリケース31の入力軸42の両側に中間軸48が支持され、該中間軸48上に遊嵌されたアイドルギヤ49が前記サンギヤ47に噛合されている。
さらに、第一ロータリケース31の両端に出力軸51が回転自在に支持され、該出力軸51に固設されたプラネタリギヤ52が前記アイドルギヤ49に噛合されている。こうして、プラネタリギヤ52がサンギヤ47とアイドルギヤ49を介して連動され、サンギヤ47とアイドルギヤ49とが同一歯数に、プラネタリギヤ52とサンギヤ47(アイドルギヤ49)とのギヤ比が1:3とされて、第一ロータリケース31が一方向に一回転するときに、出力軸51が逆方向に二回転するように構成されている。
また、第一ロータリケース31の左右一側の長手方向両端に第二ロータリケース32が配置され、該第二ロータリケース32の一端に前記出力軸51が固定されている。出力軸51には爪出力軸53が第一ロータリケース31から第二ロータリケース32にわたって回転自在に内挿され、該爪出力軸53の第一ロータリケース31側にギヤ53aが形成されている。そして、図7に示すように、該ギヤ53aに揺動アーム54の一端側に形成された扇形状の部分ギヤ55が噛合されている。
一方、揺動アーム54の他端側にローラ56が回転自在に支持され、該揺動アーム54がその中間部で第一ロータリケース31に支点軸57により揺動自在に支持されている。そして、ローラ56が前記受軸45に入力軸42を略中心として形成されたエンドレス状の溝カム34内に嵌合されて、該ローラ56により揺動アーム54が案内されながら揺動するように構成されている。
また、前記爪出力軸53の第二ロータリケース32側にはサンギヤ59が固設され、該サンギヤ59に第二ロータリケース32の略中央に支持された中間軸60に遊嵌された第一アイドルギヤ61が噛合されている。そして更に、第二ロータリケース32の爪出力軸53と反対側に出力軸62が回動自在に支持され、該出力軸62の一端に形成されたプラネタリギヤである出力ギヤ63に前記第一アイドルギヤ61が噛合されている。
さらに、第二ロータリケース32の左右一側に爪ケース33が配置され、該爪ケース33の一端に前記出力軸62が固定されている。出力軸62にはカム軸64が第二ロータリケース32から爪ケース33にわたって回転自在に内挿され、該カム軸64の第二ロータリケース32側にプラネタリギヤである出力ギヤ65が設けられている。
そして、出力ギヤ65に前記第一アイドルギヤ61と一体的に構成された第二アイドルギヤ66が噛合されて、出力軸62の出力ギヤ63及びカム軸64の出力ギヤ65が爪出力軸53のサンギヤ59とそれぞれ第一及び第二アイドルギヤ61・66を介して連動され、爪出力軸53の回転駆動により出力軸62とカム軸64とが同時に回転駆動されるように構成されている。
前記サンギヤ59と第一及び第二アイドルギヤ61・66とカム軸64の出力ギヤ65とが同一歯数に、第一アイドルギヤ61と出力軸62の出力ギヤ63とのギヤ比が2:3とされて、出力軸62の出力ギヤ63とカム軸64の出力ギヤ65の回転差が一回転となるように設定されている。そして、出力軸62に連結される植付爪22の揺動時にカム軸64が植付爪22に対し常に一定回転され、無理のない溝カム34形状でカム軸64上の開閉カム35及び苗押出カム36がスムーズに回転されるように構成されている。
こうして、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として図2における反時計回り方向に一回転されるときに、その両端に支持された第二ロータリケース32が図2における時計回り方向に二回転され、植付爪22の支点部となるカム軸64によって図2におけるKに示すような略三角形状の植付基本軌跡Kが描かれる。
図8、図9に示すように、カム軸64の爪ケース33側には板状の開閉カム35と苗押出カム36とが平行に固設されている。爪ケース33の一側には、カム軸64に対し直角方向に左右の開閉軸71・72が回動可能に支持され、爪ケース33より突出されている。そして、これらの開閉軸71・72の突出部に植付爪22の左右の爪体73・74がそれぞれ固定され、爪ケース33内側の基部に左右の開閉板75・76が左右中央側に突出するように固設され、その先端が爪ケース33の中央で当接(係合)するように構成されている。
また、爪ケース33において、左右の開閉板75・76の後方に凹部33aが形成され、該凹部33a内に開用バネ77が収納されている。該凹部33aは開閉板75・76側が開放するように配置されて、開用バネ77の一側が左開閉板75に当接されている。つまり、左開閉板75と爪ケース33との間に開用バネ77が介設され、該開用バネ77の付勢力により開閉板75・76が押されて爪体73・74が開く方向に付勢されている。右開閉板76の左開閉板75と反対側には開閉用操作部76aが第二ロータリケース32側に突出するように形成されている。
そして、前記開閉用操作部76aとカム軸64上の開閉カム35との間に中間部材78が配置されている。中間部材78は爪ケース33に支持された中間軸79に揺動可能に支持され、その一側が開閉用操作部76aに当接され、他側が開閉カム35の外周面に当接されている。開閉カム35には大径部35aと小径部35bとが形成され、該開閉カム35の回動により中間部材78が揺動されて、小径部35bに中間部材78の一側が当接されたときに開用バネ77の付勢力により爪体73・74が開くように構成されている。
そして、カム軸64の回転駆動により開閉カム35が回転されて、該開閉カム35の大径部に中間部材78が当接されると、中間部材78が爪体73・74側へ揺動される。該中間部材78の揺動により右開閉板76の開閉用操作部も爪体73・74側へ押されて、右開閉板76が左開閉板75とともに開用バネ77の付勢力に抗してカム軸64側に回動され、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における反時計回り方向に、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における時計回り方向に回動される。このようにして植付爪22が閉じられた状態とされ、左右の爪体73・74で苗120が挟持可能とされている。
前述のように植付爪22が閉じられた状態から、カム軸64の回転に伴って開閉カム35が更に回転され、該開閉カム35の小径部35bに中間部材78が当接されると、左開閉板75が開用バネ77の付勢力により常時開方向に付勢されていることから、左開閉板75が右開閉板76とともに開用バネ77に押されて爪体73・74側へ回動され、左開閉軸71に固設された左爪体73が図9における反時計回り方向に、右開閉軸72に固設された右爪体74が図9における時計回り方向に回動される。このようにして植付爪22が開かれた状態とされ、左右の爪体73・74により挟持された苗120が開放可能とされている。
また、図10に示すように、左右の爪体73・74により挟持した苗120を圃場の畝上面に植え付ける際に押出すための苗押出部材80が爪ケース33から左右の爪体73・74の間にわたって挿入されている。苗押出部材80は二枚のゴム或いは樹脂材などの弾性板81と一枚の取付棒82とから構成されており、左右の弾性板81の先端側が爪体73・74の内側にそれぞれ摺接され、該弾性板81の基端側が爪ケース33内から突出される取付棒82の先端側に固定されて、平面視で「Y」字状に形成されている。そして、爪ケース33内において取付棒82がその中途部でガイド部材83により位置規制され、基端側で押出アーム85の先端側に回動可能に支持された軸86に枢支されている。
押出アーム85は、その基端側で爪ケース33にカム軸64と平行に配置されたアーム軸87に回動可能に枢支され、カム軸64に対し左右の爪体73・74と反対側に配置されている。そして、押出アーム85と爪ケース33との間に弾性部材としてバネ88が介装されてアーム軸87上に外嵌され、該バネ88の付勢力により押出アーム85がアーム軸87を中心として左右の爪体73・74側へ回動するように付勢されている。
また、前記押出アーム85の基端側に凸部85aがカム軸64側に突出するように形成され、前記カム軸64に固設された苗押出カム36の外周面に当接されている。苗押出カム36には大径部36aと小径部36bとが形成され、大径部36aに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88の付勢力に抗して爪体73・74と反対側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し後退した位置に移動される。
そして、カム軸64の回転に伴って苗押出カム36が更に回転され、該苗押出カム36の小径部36bに押出アーム85の凸部85aが当接されると、押出アーム85がバネ88に押されて爪体73・74側に回動されて、苗押出部材80が左右の爪体73・74に対し進出した位置に移動される。このとき、苗押出部材80の弾性板81がその先端側が左右爪体73・74の内面に沿って摺動するように移動されて、爪体73・74の内面に付着した土が落とされる。
こうして、苗押出カム36の回転により押出アーム85を介して苗押出部材80が往復移動可能とされ、苗120が左右の爪体73・74に挟持される際には爪体73・73に対し後退した位置に移動され、左右の爪体73・74に挟持された苗120が圃場の畝上面に植え付ける際には爪体73・74に対し進出した位置に苗120を押出しながら移動されるように構成されている。
さらに、図1に示すように、各苗植付ユニット24の後部下方にはそれぞれ左右一対の覆土輪19が設けられている。覆土輪19は苗植付ユニット24の植付爪22を中心として後面視で略「V」字状に傾斜して配置され、植付直後の苗に覆土を行うように構成されている。
以上のように構成することにより、苗載台21に戴置されたトレイ20が横送り軸26aにより左右方向に、又は縦送り軸29により下方に移動されて、各苗植付ユニット24の植付爪22による苗120の取出位置付近で略垂直姿勢に保持される。そして、トレイ20の開口取出側が機体後方を向くように配置された各ポットに、その後方に配置された植付爪22A・22Bが後方下側から略水平に突入されて、該植付爪22A・22Bにより苗120の取出が行われる。
すなわち、図2、図11から図16に示すように、第一ロータリケース31が入力軸42を中心として反時計回り方向(実線矢印方向)に一回転されるとき、第二ロータリケース32は出力軸51を中心として時計回り方向(破線矢印方向)に二回転される。この回転中において、図7に示すように、第一ロータリケース31の受軸45に設けられた首振り用溝カム34に揺動アーム54の一端に設けられたローラ56が転動自在に嵌合されていることから、揺動アーム54が支点軸57を中心として揺動され、該揺動アーム54の他端に設けた部分ギヤ55と噛合するギア53aが回転される。
そして、前記ギヤ53aの回転により爪出力軸53のサンギヤ59が回転され、該サンギヤ59と噛合する第一アイドルギヤ61を介して出力軸62上の出力ギヤ63が回転されて、爪ケース33が揺動される。これにより、植付爪22が首振り動作され、該植付爪22により苗120の取出が行われる。このときのカム軸64の回転軌跡が図2に示すような略三角形の基本軌跡Kとされ、植付爪22の先端の回動軌跡が植付軌跡Aとされている。
具体的には、各苗植付ユニット24に備えられる二つの植付爪22のうち、一方の植付爪22は、図11に示される植付爪22Aのように、トレイ20のポットに挿入されるときには、略水平方向に左右の爪体73・74が開いた状態で挿入される。このとき、第一ロータリケース31及び第二ロータリケース32は略一直線状に水平方向に位置した状態とされる。そして、植付爪22Aがトレイ20のポットに挿入された状態で、カム軸64上の開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が閉じて、ポット内の苗120が根鉢部分120aで挟持される。
そして、第一ロータリケース31の先端が下方へ回動されるに従って、トレイ20のポットから植付爪22Aが抜き出されて苗120が取り出される。この際、第二ロータリケース32が第一ロータリケース31に対し逆回転していることから、図12に示すように、植付爪22Aが後方に略水平方向で戻るように移動されて、その挟持する苗120のトレイ20などとの接触による落下が防止される。
図15に示すように、第一ロータリケース31が更に下方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32が回動されるに従って、植付爪22Aは徐々に下方を向くように姿勢が変更される。そして、図16に示すように、植付爪22Aが鉛直方向を向いた位置において、開閉カム35の回転により左右の爪体73・74が開くと同時に、苗押出カム36の回転により押出アーム85が回動され、苗押出部材80が爪体73・74側に移動され、該苗押出部材80により爪体73・74間の苗120が押されて圃場の畝に植え付けられる。
植付後には第一ロータリケース31が上方へ回動されるとともに、第二ロータリケース32も回動され、図11の植付爪22Bのように、植付爪22は略下方から若干後下方を向いたまま上昇される。また、前記覆土輪19により畝上面に植え付けられた苗120に覆土が行われる。
そして、植付爪22は垂直方向を向いた姿勢のまま更に上昇され、苗120の植付姿勢の変化と、植付爪22の回動により植え付けられた苗120が倒されることが防止される。このとき、第一ロータリケース31が半回転され、第二ロータリケース32が略一回転されている。なお、苗押出部材80は植付爪22が十分に上昇した位置で、苗押出カム36の回転により元の位置に戻される。
そして更に、第一ロータリケース31が回動され、図12から図16の植付爪22Bのように、植付爪22は垂直方向を向いた状態から徐々に水平方向を向くように姿勢が変更され、元の位置に戻される。こうして、第一ロータリケース31が一回転され、第二ロータリケース32が二回転されて、この回転中に二つの植付爪22により二株の苗120が圃場の畝に植え付けられる。
ところで、前記植付部11においては、前述のように植付爪22により苗120の移植が行われる際に、第一ロータリケース31と第二ロータリケース32が回転する間に爪ケース33に支持される植付爪22が揺動されて、該植付爪22により苗120がトレイ20から取出可能とされるとともに、苗120の植付面となる圃場の畝上面に植付可能とされているが、苗120の植付位置において植付面が凹凸を有し、平坦でない場合、植付爪22が植付部11で一定の高さに保持されていることから、苗120の植付深さが植付位置ごとに異なったり、苗120の植付姿勢が崩れたりして、苗120の植付精度が低下することがある。
そこで、前記問題を解決するために、苗120の植付面を均平する均平用部材95が各第二ロータリケース32に取り付けられる。例えば、図5、図17に示すように、均平用部材95はアーム91の一端に固定される一方、該アーム91の他端が半割の第二ロータリケース32を固定するボルトに共締固定されて、均平用部材95が第二ロータリケース32に取り付けられる。
前記均平用部材95は第二ロータリケース32の回転中心となる第一ロータリケース31の出力軸51に対して、植付爪22の揺動中心となる第二ロータリケース32の出力軸62と反対側、つまり植付爪22と反対側に配置され、前記出力軸51を中心として第二ロータリケース32と一体的に回転可能とされて、第二ロータリケース32が回転して最下点付近に達したときに、後述する均平部95aが苗120の植付面に接するように構成される。
前記均平部95aは均平用部材95の外周に左右水平方向に延出するように形成される。そして、該均平部95aの外周面が外側が凸となる湾曲面とされ、回転時に苗120の植付面に接触可能とされる。つまり、植付面を均平する場合、植付爪22の回転とともに均平部95aで均平する必要があるため、均平部95aを湾曲させて、植付面表面を引っ掛けないように、滑るようにして凹凸ができないようにしている。均平部95aは第二ロータリケース32と第一ロータリケース31の間に配置されたアーム91に対して第一ロータリケース31と反対側、つまり植付爪22側に突出され、植付爪22の回転軌跡上に位置し、第一ロータリケース31と干渉しないように配置されるとともに、もう一方の均平用部材95が取り付けられた第二ロータリケース32とも干渉しないように配置される。
このように構成することにより、第一ロータリケース31と第二ロータリケース32とが回転し、植付爪22が揺動しながら苗120の取出位置から苗120を挟持して植付位置まで移動する際に、図12から図15に示すように、第二ロータリケース32に取り付けられた均平用部材95が植付爪22とは逆に時計回り方向に回転して、植付爪22よりも先に植付位置に移動し、該均平用部材95の均平部95aが苗120の植付面に接して、該植付面が均平される。つまり、均平用部材95が畝等の植付面の表面を押しつけながら前進することにより、植付面が略同じ高さで平坦とされる。
したがって、植付爪22にて苗120を植付位置に植え付ける前に均平用部材95にて植付面を均平して、苗120を平坦な植付面に植え付けることができる。そのため、各植付位置で苗120をその植付姿勢を崩すことなく、また苗120の植付深さも一定として植え付けることができ、苗の植付精度を向上させることができる。
また、苗120の植付及び取出が行われるとき、植付爪22の揺動や第二ロータリケース32の回転に伴って起振力が発生して、植付部11全体が振動し、前述のように均平用部材95で苗120の植付面を平坦にしても、同時に植付爪22も振動し、植付位置における植付爪22の高さが安定せず、苗120の植付深さが一定とならないことがある。
そこで、植付部11の振動を抑制するため、前記第二ロータリケース32の均平用部材95の近傍にバランサウェイト90が設けられる。図17に示すように、該バランサウェイト90は第二ロータリケース32の回転や植付爪22の揺動に伴う起振力を打ち消すものであり、一端が均平用部材95とともにアーム91に固定される一方、他端がアーム91と平行に第二ロータリケース32から延設されるアーム92に固定され、第二ロータリケース32と一体的に回転可能とされる。
これにより、苗120の取出及び植付が行われるとき、第二ロータリケース32の回転や植付爪22の揺動に伴う起振力が第二ロータリケース32とともに回転するバランサウェイト90によって打ち消されて、植付部11の振動が抑制される。したがって、苗120の植付位置において植付爪22が一定の高さで保持されることになり、前述のように均平用部材95にて均平された苗120の植付面に、苗120をその植付深さがに一定となるように植え付けることができ、苗120の植付精度を更に向上させることができる。
また、バランサウェイトは前述のように第二ロータリケースに均平用部材と別に取り付けるのではなく、均平用部材と一体的に構成することもできる。つまり、均平用部材がバランスウェイトを兼ねるように構成することもできる。この場合、第二ロータリケースに均平用部材のみが取り付けられることになり、部品点数が増えることがないので、構造を簡単にして、組立時における労力の軽減を図ることができる。なお、均平用部材とバランスウェイトとを第二ロータリケースと一体的に構成することも可能である。