JP4185406B2 - 容器詰コーヒー飲料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は非重合体カテキン類を高濃度に含有し、非重合体カテキン類の分解が抑制された安定性の良好な容器詰コーヒー飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
カテキン類の効果としてはコレステロール上昇抑制作用やαアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。このような生理効果を発現させるためには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要であることから、より簡便に大量のカテキン類を摂取するために、飲料にカテキン類を高濃度配合し、味や安定性を向上させた容器詰飲料が報告されている(特許文献3〜6参照)。
【0003】
一方、種々の容器詰飲料の中でコーヒー飲料は、極めて広く飲用されている飲料であるが、カテキン類を高濃度に含有させたコーヒー飲料は知られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−156614号公報
【特許文献2】
特開平3−133928号公報
【特許文献3】
特許第3329799号公報
【特許文献4】
特許第3342698号公報
【特許文献5】
特許第3360073号公報
【特許文献6】
特許第3338705号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、カテキン類を高濃度含有したコーヒー飲料を得るべく、コーヒー抽出液にカテキン類の配合を試みた。しかし、得られた飲料を殺菌加熱処理するとカテキン類が分解してしまうこと、さらに、この飲料を高温保存してもカテキン類が重合してしまうことが判明し、通常の手段ではカテキン類を安定に配合した容器詰コーヒー飲料は得られなかった。
従って本発明の目的は非重合体カテキン類を高濃度に含有し、かつ非重合体カテキン類の重合が抑制された加熱殺菌処理した容器詰コーヒー飲料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、コーヒー飲料中のカテキン類の分解を抑制する手段について検討した結果、一定量の水溶性タンパク質を配合し、非重合体カテキン類中の非エピ体含有率を調整し、かつpHを6.0〜6.4の範囲に調整すれば、カテキン類が加熱処理によって分解せず、カテキン類を高濃度含有した安定な加熱殺菌処理した容器詰コーヒー飲料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は次の成分(A)及び(B)
(A)非重合体カテキン類 10mg〜390mg/100mL
(B)水溶性タンパク質 50mg〜7000mg/100mL
を含有し、非重合体カテキン類中の非エピ体含有率が35〜90重量%であり、pHが6.0〜6.4である加熱殺菌処理した容器詰コーヒー飲料を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類(非エピ体)及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類(エピ体)をあわせての総称である。
【0009】
本発明の容器詰コーヒー飲料中には、非重合体であって水に溶解状態にある非重合体カテキン類(A)を、10mg〜390mg/100mL含有するが、好ましくは11mg〜300mg/100mL、さらに好ましくは12mg〜300mg/100mL含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合カテキン類を容易に取り易く、強烈な苦味、渋味、強い収斂性が生じない。ここでいう非重合体カテキン類の濃度は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートの合計8種の合計量に基づいて定義される。
【0010】
非重合体カテキン類(A)中の非エピ体含有率は、色相に対する安定性の点から35〜90重量%であるが、さらに40〜90重量%、特に50〜90重量%が好ましい。当該非エピ体含有率は、前記非重合体カテキン類中の非エピ体カテキン濃度である。
【0011】
また、本発明の容器詰コーヒー飲料中の非重合体カテキン類においては、カテキンガレートとエピカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合が45重量%以上、特に50〜100重量%が、非重合体カテキン類の生理効果の有効性上好ましい。
【0012】
非重合体カテキン類(A)は、広く茶由来のものが使用できるが、緑茶由来のもの、特に緑茶抽出物を使用するのが、高濃度の非重合体カテキン類を配合できる点及び味の点で好ましい。
【0013】
ここで緑茶抽出物としては、茶葉から熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものをさらに精製したもの、あるいは抽出された濃縮物を直接精製したものが挙げられる。また市販の三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などの緑茶濃縮物を用いることもできる。
【0014】
緑茶濃縮物の精製手段としては、例えば緑茶濃縮物を水と有機溶媒の混合物に懸濁し、これに有機溶媒を添加することにより生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法;緑茶濃縮物を水と有機溶媒の混合物に溶解し、これに有機溶媒を添加することにより生じた沈殿を除去し、次いで溶媒を留去する方法等が挙げられる。
ここでいう緑茶抽出物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。
【0015】
本発明に使用する緑茶としては、Camellia属、例えばC. sinensis、C. assamica及びやぶきた種、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。当該製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜炒り茶などの緑茶類がある。
【0016】
本発明の容器詰コーヒー飲料において水溶性タンパク質(B)は、加熱処理及び保存中の非重合体カテキン類の重合を防止する作用を有する。当該非重合体カテキン類重合防止効果の点とコーヒー風味の観点から、容器詰コーヒー飲料中に、水溶性タンパク質は、50mg〜7000mg/100mL、さらに150mg〜3000mg/100mL、特に240mg〜1500mg/100mL含有するのが好ましい。ここで水溶性タンパク質濃度は、ケルダー法により測定される。
【0017】
水溶性タンパク質(B)としては、乳タンパク質が好ましく、カゼインやカゼインNaなど例えば、αS1−カゼイン、α2S−カゼイン、β−カゼイン、γ−カゼイン、κ−カゼインや、ホエー蛋白質例えば血清アルブミン、α−ラクトアルブミン、β−ラクトアルブミン、免疫グロブリンなどが挙げられ、このうちカゼインまたはカゼインNaが経済的な面で特に好ましい。
また、乳タンパク質を含有する牛乳等の動物性の乳類、豆乳などの植物性の乳類を利用することもできる。
【0018】
本発明の容器詰コーヒー飲料のpHは、非重合体カテキン類の分解防止と風味の観点から6.0〜6.4であるが、さらに6.0〜6.3、特に6.1〜6.3が好ましい。pH6.0未満では風味に酸味が生じ、pH6.4を超えるものは非重合体カテキン類の長期保存時の分解が多くなる。当該pHの調整は、炭酸水素ナトリウムなどのいわゆるアルカリにより行うのが好ましい。
【0019】
また、本発明容器詰コーヒー飲料は、トリグリセリドを含有させると、さらに非重合体カテキン類の重合防止効果が向上する。当該トリグリセリドとしては、大豆油、コーン油、オリーブ油、乳脂、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、カカオ脂、なたね油、ごま油が挙げられ、このうち乳脂、コーン油、大豆油、なたね油が特に好ましい。これらのトリグリセリドの容器詰コーヒー飲料中の含有量は、非重合体カテキン類重合防止効果とコーヒー風味の観点から、50mg〜7000mg/100mL、さらに200〜3500mg/100mL、特に300〜2000mg/100mLが好ましい。
【0020】
本発明の容器詰コーヒー飲料は、コーヒー抽出液に非重合体カテキン類、水溶性タンパク質、その他の成分を配合することにより製造できるが、コーヒー抽出液の原料となるコーヒー豆としてはモカ、ブラジル、コロンビア、マンデリン、キリマンジャロ、ブルーマウンテン、グアテマラ、メキシコ、コスタリカなどのアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種とこれらのブレンドが挙げられる。また焙煎手段は特に制限されないが、直火、熱風などの焙煎方法が実施可能である。抽出手段としては、ドリップ、エスプレッソ、サイフォン、パーコレーターなどが挙げられる。また、抽出物の濃縮物、乾燥物であるコーヒーエキス、インスタントコーヒーなどのコーヒー粉末も含まれる。
【0021】
本発明の容器詰コーヒー飲料には、処方上添加して良い成分として、苦味抑制剤、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
【0022】
苦味抑制剤としては特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有するのがよい。
【0023】
例えば甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパラテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖などが挙げられる。酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。飲料中に0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有するのがよい。
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。飲料中に0.01〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.3重量%含有するのがよい。
【0024】
本発明の容器詰コーヒー飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰コーヒー飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0025】
また本発明の容器詰コーヒー飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【0026】
【実施例】
カテキン類の測定
フィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した容器詰飲料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0027】
実施例1、2及び比較例1、2
表1に記載の組成のコーヒー飲料を製造した。本発明のコーヒー飲料は、長期高温保存後でも非重合体カテキン類の量が低下しないのに対し、pHが6.0〜6.4の範囲外である場合(比較例1)及び水溶性タンパク質含有量が50mg/100mL未満の場合(比較例2)は、非重合体カテキン類が分解してしまうことがわかる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明により、高濃度の非重合体カテキン類を安定に含有した容器詰コーヒー飲料が得られる。
Claims (3)
- 次の成分(A)及び(B)
(A)非重合体カテキン類 10mg〜390mg/100mL
(B)水溶性タンパク質 50mg〜7000mg/100mL
を含有し、非重合体カテキン類中の非エピ体含有率が35〜90重量%であり、pHが6.0〜6.4である加熱殺菌処理した容器詰コーヒー飲料。 - 非重合体カテキン類(A)が、緑茶由来である請求項1記載の容器詰コーヒー飲料。
- さらにトリグリセリド50mg〜6500mg/100mLを含有するものである請求項1又は2記載の容器詰コーヒー飲料。
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