JP4184543B2 - 光学像検出方法および外観検査装置 - Google Patents

光学像検出方法および外観検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体やフラットパネルデイスプレイの製造工程に代表される薄膜製品の微細パターン欠陥や異物等の検出に用いて好適な光学像検出方法、およびこれを用いた外観検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術として、特開平6−167640号公報に記載された、レーザー光を用いて物体の光学像を観察する技術が挙げられる。この先願公報に開示された技術の特徴は、レーザー光のスペックル干渉による画質の劣化を低減させるため、レーザー光をインコヒーレント化させるものである。インコヒーレント化させる手法として、光ファイバーの長さの差が光源のコヒーレンス長よりも大きい多数の光ファイバーから構成されるファイバー束にレーザー光を伝搬させ、空間的コヒーレンスを低減させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記先願公報に記載の技術では、半導体製造プロセスで適用されているCMP(Chemical Mechanical Polishing )処理を施されたウェハの画像検出において、SiO2 などの透明膜(絶縁膜)で光が薄膜干渉を起こすため、SiO2 の膜厚むらが、明暗差や色むらとして検出される。この膜厚むらは欠陥ではないため、外観検査上はこの明るさむらが雑音となる。半導体などの製造ラインでは、外観検査は主に自動で行っており、光学像をイメージセンサで検出して、画像処理を行って欠陥判定をしている。かような自動外観検査装置では、透明膜の膜厚むらに伴う明るさむらを欠陥として判定することがあり、このように明るさむらを欠陥として判定した場合には、虚報となる。従って、製造ラインでは虚報が検出されない感度に検査条件を設定し、自動検査をすることになる。しかしながら、虚報が検出されないように検査感度を低く設定して検査すると、欠陥信号レベルの低い致命的な欠陥を見逃すことになり、新製品の早期量産立ち上げや安定生産に障害が生じる可能性がある。
【0004】
本発明の目的は、透明膜の薄膜干渉に起因した明るさむら(色むら)を低減し、様々な構造の製品においても高感度・安定検査を実現可能とする光学像検出方法と、それを用いた外観検査装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明では、被検査物体を落射照明して反射・回折した光のうち被検査物体に対してP偏光成分の反射・回折光を透過する偏光素子と、ブリュースター角付近の光成分のみを透過する空間フィルタとを備え、前記偏光素子と前記空間フィルタを透過した光で光学像を形成し、この光学像をイメージセンサで検出することにより、透明膜での薄膜干渉を低減する。
【0006】
また、高感度検査を実現するためには、光学像の高解像度化が必要であり、このためには照明光の短波長化が有効である。これまでに、紫外光を用いた顕微鏡などが開発されているが、さらに波長の短いDUV(Deep Ultra Violet )光による画像検出をするには、光源として照度の高いレーザーが実用的である。このレーザー光はコヒーレンスが高いため、スペックル干渉による画質の劣化が問題である。これを低減するため、レーザー光を光ファイバー束に異なる角度で入射し、光ファイバー内を伝搬させることにより空間的コヒーレンスを低減する。
【0007】
また、被検査物体をP偏光ブリュースター角で暗視野落射照明して回折・散乱した光で光学像を形成し、この光学像をイメージセンサで検出することにより、透明膜での薄膜干渉を低減する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る外観検査装置の要部構成を示す説明図である。
【0009】
図1に示す構成において、半導体ウェハなどの被検査物体(以下、単に物体と称す)1は、チャック2に真空吸着されており、このチャック2は、θステージ3、Zステージ4、Yステージ5、Xステージ6上に搭載されている。各ステージ3〜6は、図示せぬモータによって駆動されるようになっており、検査時には、図示せぬコントローラの制御の下に、Yステージ5、Xステージ6がステップ送りされて、物体1の被検査領域が後記光学系によって順次走査されるようになっている。また、検査に先立ち、θステージ3やZステージ4が必要に応じて駆動されて高さや傾き調整などが行われる。
【0010】
物体1の上方に配置されている光学系111は、物体1に形成されているパターンの外観検査を行うために、物体1の光学像を検出するものであり、主に照明光学系11と物体1の像を撮像する検出光学系45で構成されている。照明光学系11に配置された光源10はコヒーレント光源である。光源10から出射したレーザー光9は、これをインコヒーレント化するユニット12に入射する。インコヒーレント化された光は、レンズ13を介してハーフミラー14で反射され、対物レンズ16の射出瞳位置15に2次光源の像を形成する。これにより、物体1をケーラー照明する。
【0011】
物体1を照明した光は、物体1上で反射、散乱、回折し、対物レンズ16のNA(Numerical Aperture)以内の光は、再び対物レンズ16に入射して、ハーフミラー14を透過した光が、検出光学系45に導かれて検出光17となる。検出光17は、レンズ18、19により、射出瞳(フーリエ変換面)15の像を空間フィルタ21が配置されている面に形成する。この射出瞳15の像は、物体1上で反射・回折した角度と方向に応じて光が集まっている。このため、射出瞳15の像が形成されている面において、ブリュースター角で反射・回折した光のみを透過させることにより、薄膜干渉を低減することが可能となる。ここで、ブリュースター角は物体1をP偏光で反射・回折した光のみに生じる現象であるため、図1に示すように、検出光路45にP偏光のみを透過する偏光素子20と、ブリュースター角付近の光成分のみを透過させる空間フィルタ21とを配置してある。そして、偏光素子20と空間フィルタ21を透過した光は、レンズ22によりイメージセンサ30上に物体1の像を結像させる。
【0012】
このイメージセンサ30で検出した画像を、ケーブル50で画像処理部60に伝送し、画像処理部60において適宜の手法により欠陥(異物による欠陥を含む)を検出する。なお、物体1は、チャック2をX、Y方向に適宜ステップ送りすることによって、その被検査領域が順次変えられ、各被検査領域の検出画像が画像処理部60に転送されることになる。
【0013】
次に、図2の(a)を用いて、透明膜の薄膜干渉に伴う明るさ(色むら)の発生原理を説明する。照明光がSiO2 などの透明膜に入射した場合、SiO2 の上層で反射した光と、透明膜を透過して膜を1〜数回往復して透明膜を抜け出た光の干渉により、反射率が決まる。この反射率は干渉する光の位相差によって、強め合ったり弱め合ったりする。そして、この位相差はSiO2 の膜厚dの関数であるため、膜厚が変わると反射率も変化する。
【0014】
図2の(b)に膜厚と反射率の関係を示す。膜厚の変化に伴い、反射率はコサインカーブを描いて振動する。半導体ウェハなどの外観検査では、隣接チップの画像をそれぞれ検出して差画像を求め、この差画像の不一致が一定値を超えている場所を欠陥と判断する。このため、比較検査する隣接チップでSiO2 の膜厚むらによる明るさむらが大きい場合は、膜厚むらを欠陥として検出してしまう。しかし、この膜厚むらは製品の品質上致命性がないため、欠陥として検出すると虚報になる。このため従来は、前述したように、製造ラインでは虚報が検出されない感度に検査条件を設定して、自動検査を行っていたが、このようにすると、欠陥信号レベルの低い致命的な欠陥を見逃すことになるという問題を生じる。そこで、本発明では、薄膜干渉による明るさむらを低減して、高感度の外観検査を実現できるようにしたものである。
【0015】
図3に、本発明による、薄膜干渉による明るさむらの低減原理を示す。図3の(a)に示すように、空気中からSiO2 にP偏光の照明光Iを入射させた場合に、空気とSiO2 との境界で反射する光をRp とし、SiO2 に入射する光をTp とすると、照明光Iの入射角と反射率Rp との関係は、図3の(b)に示したようなものとなる。図3の(b)に示すように、入射角0〜25°付近では反射率が数%程度で推移しているが、さらに入射角が大きくなると反射率が低減し、56°付近で反射率が0となる。この角度をブリュースター角と称す。このブリュースター角では、光が全てSiO2 に入射し、空気とSiO2 との境界で反射する光がなく、SiO2 を一往復した光は全て空気中に透過するため、薄膜干渉が起こらない。これにより、膜厚むらに伴う明るさむらを低減することが可能となり、高感度検査を実現することが可能となる。
【0016】
図4は偏光素子20の機能について示す図である。フーリエ変換面近くに配置された偏光素子20は、光学系の光軸25を中心として半径方向に振動する光27を透過する特性を有した偏光素子である。この偏光素子20を実現する1例として、偏光フィルムを貼り合わせる手法が挙げられる。
【0017】
次に、図5を用いて、レーザー光のスペックル干渉を低減する手法について説明する。図1では詳細を示していないが、図5に示すように、光源10からのレーザー光9は、レンズ70とレンズ71で光束径を広げられた平行光となる。この平行光をレンズ72で収束光にして、光ファイバー束(レーザー光をインコヒーレント化するユニット)12に入射させる。光ファイバー束12の光軸付近の光ファイバー76では、入射角(出射角)θ2は小さいが、周辺部の光ファイバー75では入射角(出射角)θ1が大きくなる。ここで、入射角と出射角はほぼ等しいとしている。従って、光ファイバー束12を伝搬する光の光路は、光軸付近では短く、周辺は長くなる。この光路差を少なくともレーザー光の可干渉距離よりも大きくすることにより、それぞれの光ファイバーを出射した光が、互いに干渉しないようにインコヒーレント化することが可能となる。これにより、光学系に付着した異物などの散乱光が干渉して生じるスペックル干渉が低減し、物体の像を忠実に再現することが可能となり、以って、スペックル干渉による画像の明暗差を低減して、虚報を低減することができる。
【0018】
図6は、本発明の第2実施形態に係る外観検査装置の要部構成を示す説明図であり、本実施形態は、物体をブリュースター角で暗視野照明する構成となっている。なお、図6において、前記第1実施形態と均等なものには同一符号を付してある。
【0019】
図6に示した構成において、光源10から出射したレーザー光9は、光ファイバー束(レーザー光をインコヒーレント化するユニット)12に入射し、対物レンズ16の周辺部に配置された光ファイバーの出射端から射出される。すなわち、光ファイバー束12を出射した光は、対物レンズ16の外側から物体1を照明する。この照明光は、偏光ミラー85でP偏光のみを物体1上に照明するものであり、その入射角はブリュースター角付近に設定してある。
【0020】
物体1上で回折・散乱した光のうち、対物レンズ16のNA内の光は対物レンズ16に捕捉され、検出光17となる。この検出光17は、結像レンズ22でイメージセンサ30上に物体1の暗視野像を形成する。そして、この暗視野像の電気信号を画像処理部60に伝送し、比較検査法などにより欠陥部を判別する。
【0021】
上記の暗視野像は、薄膜干渉による明るさむらの大きい平坦部からの光がないため、薄膜干渉による明るさむらを低減できる利点がある。本実施形態の構成は、対物レンズ16のNAがブリュースター角よりも小さい場合などに実施できる。
【0022】
図7は、偏光ミラー85の作用について示す図である。偏光ミラー85に入射する光80の偏光方向が不規則であったり、円偏光である場合には、P偏光照明を行うためには、偏光ミラー85で反射する光をP偏光成分のみにする必要がある。例えば、光線80の偏光がS1、P1の振動方向を有する場合、偏光ミラー85で反射する光の成分はP1のみである特性を有する。このP偏光とは、物体1を入射面と考えたときの振動方向を指す。従って、光線81のP偏光成分はP2となる。
【0023】
図8は、本発明の第3実施形態に係り、本実施形態は、図6の光ファイバー束の射出端とミラーとの間の光路中に、図4に示す特性を有した偏光素子20を挿入した構成となっている。
【0024】
本実施形態では、偏光素子20を透過した光はP偏光成分のみであるため、本実施形態のミラー(暗視野ミラー)85’は、前記第2実施形態のように、P偏光のみを反射させるような特性は不要であり、物体1への入射角をブリュースター角付近に設定できるものであればよい。なお、アルムニウムなどの金属膜で偏光した光が反射した場合、位相差を受けて偏光状態が変わるが、本実施形態ではこれを無視した。
【0025】
なお、これまでに記述したブリュースター角付近とは、図3の(b)の反射率Rp が1.5%以下程度となる角度を指している。何となれば、反射率Rp が1.5%程度以下では、薄膜干渉による明るさのむらが外観検査上の雑音として問題にならない程度に低減されることによる。
【0026】
【発明の効果】
以上に説明したごとく本発明の構成によれば、透明膜での薄膜干渉に起因した明るさむらを低減でき、これにより、外観検査上の雑音を低減することが可能となって、CMP(Chemical Mechanical Polishing )処理を施された被検査物体の外観検査においても、高感度で信頼性の高い外観検査が実現できる。
【0027】
さらに、高感度検査を実現するため、DUVレーザー光による画像検出をする場合においても、空間的コヒーレンスの低下によってスペックル干渉による画質の劣化を低減できるため、これによっても、高感度で信頼性の高い外観検査が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る外観検査装置の要部構成を示す説明図である。
【図2】透明膜における薄膜干渉の発生原理を示す説明図である。
【図3】ブリュースター角を説明するための図である。
【図4】図1中の偏光素子の機能を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態における、空間的コヒーレンス低減のための構成の1例を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る外観検査装置の要部構成を示す説明図である。
【図7】図6中の偏光ミラーの機能を説明するための図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る外観検査装置において、物体の近傍に配置されるミラーの機能を説明するための図である。
【符号の説明】
1 物体(被検査物体)
2 チャック
3 θステージ
4 Zステージ
5 Yステージ
6 Xステージ
9 レーザー光
10 光源
11 照明光学系
12 インコヒーレント化するユニット(光ファイバー束)
14 ハーフミラー
15 射出瞳
16 対物レンズ
17 検出光
20 偏光素子
21 空間フィルタ
25 光軸
27 透過振動方向
30 イメージセンサ
45 検出光学系
50 ケーブル
60 画像処理部
85 偏光ミラー

Claims (6)

  1. 表面に透明膜を有する被検査物体を対物レンズを介してケーラー照明による落射照明し、
    該ケーラー照明による落射照明により前記被検査物体で反射し、回折して再び前記対物レンズを透過した反射・回折光のうち被検査物体に対してP偏光成分の反射・回折光を偏光素子を透過させ、
    前記対物レンズのフーリエ変換面の像が形成される位置に配置した空間フィルタを用いて前記偏光素子を透過した光のうち前記被検査物体で反射し、回折する角度がブリュースター角付近の光成分のみを透過させ、
    前記偏光素子と前記空間フィルタを透過した光で光学像を形成し、この光学像をイメージセンサで検出する
    ことを特徴とする光学像検出方法。
  2. 請求項1に記載の光学像検出方法において、
    前記落射照明に用いる光がDUV(Deep Ultra Violet )レーザー光であることを特徴とする光学像検出方法。
  3. 請求項2に記載の光学像検出方法において、
    前記DUVレーザー光は、異なる角度で光ファイバー束に入射して空間的コヒーレンスを低減させることを特徴とする光学像検出方法。
  4. 表面に透明膜を有する被検査物体を搭載するステージと、
    該ステージを駆動するモータと、
    前記被検査物体を対物レンズを介してケーラー照明による落射照明する照明光学系と、
    前記被検査物体をケーラー照明による落射照明して反射し、回折した反射・回折光のうち前記被検査物体に対してP偏光成分の反射・回折光を透過する偏光素子と、
    前記対物レンズのフーリエ変換面の像が形成される位置に配置されて前記偏光素子を透過した光のうち前記被検査物体で反射し、回折する角度がブリュースター角付近の光成分のみを透過する空間フィルタと、
    前記偏光素子と前記空間フィルタを透過した光で光学像を形成する結像光学系と、
    この光学像をイメージセンサで検出する画像検出部と、
    この検出した画像を用いて前記被検査物体の外観を検査する画像処理部と
    を具備したことを特徴とする外観検査装置。
  5. 請求項4に記載の外観検査装置において、
    前記落射照明に用いる光はDUVレーザー光であることを特徴とする外観検査装置。
  6. 請求項5に記載の外観検査装置において、
    前記DUVレーザー光は異なる角度で光ファイバー束を伝搬し、該光ファイバー束を出射した光を前記被検査物体に落射照明することを特徴とする外観検査装置。
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