JP4184366B2 - ポリエーテル - Google Patents

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Description

本発明は化粧品分野及び化学品分野において有用な新規高重合度ポリエーテルに関する。
従来、置換エポキシドを開環重合させる場合、置換基からの原子引き抜きに由来する連鎖移動で生成物の分子量は一般に大きく低下する。プロピレンオキシド及びエピハロヒドリンは例外的に重合性の低下が顕著でなく、触媒系の選択によっては分子量が数百万に達することもあり得るが、その他の置換エポキシドでは収率良く高重合度ポリエーテルを得ることはできなかった。長鎖アルキル基やシリコーン鎖等の嵩高い置換基を有するエポキシドや、電子吸引性の高いフッ素アルキル鎖を置換基に有するエポキシドの場合、これは特に顕著である。即ち、エポキシドの重合触媒としては一般的に高活性であるとされる、有機アルミニウム−水−アセチルアセトン系触媒や有機亜鉛−水系触媒等の配位アニオン系触媒をもってしても、これらを収率良く重合することはできなかった。また、グリシドールのような反応性の高い水酸基を有するエポキシドは配位アニオン系触媒を失活させるため、水酸基を保護することなく高重合度化することはできなかった。
近年、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンの重合触媒として、希土類金属化合物を含有する組成物を使用した例、例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3がある。これらは何れも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はエピクロロヒドリンの重合を試みたもので、非特許文献1では数平均分子量285 万のポリエチレンオキシドが、非特許文献2では粘度平均分子量(重量平均分子量に近い値が得られるとされる)79万〜165 万のポリエピクロロヒドリンが、非特許文献3では数平均分子量7万〜98万(重量平均分子量12万〜377万) のポリプロピレンオキシドが得られたとされているが、その重合度は、従来の配位アニオン系触媒と比べて同程度であって、これら従来触媒を使用してプロピレンオキシド及びエピハロヒドリン以外の置換エポキシド(以下、置換エポキシドと言う)を重合した場合、高重合度のポリエーテルが得られなかったことを考慮すれば、従来触媒と同程度の性能しか示さなかった希土類金属化合物が置換エポキシドから高重合度ポリエーテルを得る場合の有用な触媒になるとは予想されていなかった。
Inorg. Chim. Acta, Vol.155, 263(1989) Polymer J., Vol.22, 326(1990) Macromol. Chem. Phys., Vol.196, 2417(1995)
本発明の課題は、これまで高重合度化が極めて困難又は不可能であった、プロピレンオキシド及びエピハロヒドリン以外の置換エポキシドを重合させた、高重合度のポリエーテルを提供することにある。
本発明は、一般式(VIII)で表わされるポリエーテルを提供する。
Figure 0004184366
Figure 0004184366
ここで、R5は置換基を有していてもよい炭素数8〜50のアルキル基又はアルケニル基を示す。R6は炭素数2〜30のフルオロアルキル基を示す。Jは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。R4は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示すか、又は珪素原子数1〜200のシロキシ基を示す。Gは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を示すか、又はアリーレン基を示す。bは複数の数の平均値として1〜500の数を示すか、又は単一の数として1〜20の整数を示す。pは0又は1の数を示す。
Figure 0004184366
を示すか、Xで表わされる基を示す(但しXとYが同一の場合を除く)か、又は置換エポキシド以外のアニオン重合性モノマー由来の基を示す。この場合においてYは複数の種類であってもよい。
ここで、R7は炭素数1〜7の炭化水素基を示すか、又はトリアルキル(アルキル基は炭素数1〜4)シリル基を示す。R8は水素原子を示すか、又は炭素数1〜22の炭化水素基もしくはハロゲン置換炭化水素基を示す。
f:Xが
Figure 0004184366
の場合、150以上の数を示し、Xがそれ以外の基の場合5以上の数を示す。
g:5以上の数を示す。〕
本発明によれば、化粧品分野及び化学品分野において有用な高重合度ポリエーテルを容易に効率よく提供することができる。
本発明に係わる新規エーテル化合物は一般式(I)で表される希土類金属化合物及び還元性化合物の存在下、少なくとも2種の置換エポキシド(但しプロピレンオキシド及びエピハロヒドリンを除く)を開環重合することにより得られる。
Figure 0004184366
〔式中、
M :Sc、Y 又はランタニドから選ばれる希土類元素を示す。
1,L2,L3:同一又は異なって、酸素結合性の配位子を示す。〕
(1)置換エポキシド
本発明の置換エポキシドは置換基を有するエチレンオキシドを意味し、次のものが例示される。
(1−1)一般式(II)で表される化合物。
Figure 0004184366
〔式中、
1:置換基を有していてもよい炭素数1〜500の炭化水素基を示すか、炭素数1〜30のアシル基を示すか、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基もしくは炭素数6〜30のアリールスルホニル基を示すか、又は−(AO)n−R2で表わされる基を示す。
ここでR2は置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基もしくは炭素数6〜30のフルオロアリール基を示すか、又は珪素原子数1〜500のシロキシシリル基を示す。Aは炭素数2〜3のアルキレン基を示す。nは1〜1000の数を示す。〕
ここでR1における置換基を有していてもよい炭化水素基の好ましい例として、炭素数1〜42のアルキル基もしくはアルケニル基又は炭素数6〜42のアリール基が例示される。炭化水素基の置換基として、ヒドロキシ基、アルコキシ基(炭素数1〜30)、アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等)、アミド基、トリアルキルアンモニウム基、ジアルキルアンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アンモニウム基、エステル基、カルボキシル基、アシル基(炭素数1〜30)、シリル基、シロキシ基、ニトロ基、アリールスルホニル基、シアノ基、ホスホニル基(以下、「本発明の置換基」という)等が例示される。この場合におけるアルキル基は炭素数1〜30である。
アシル基の好ましい例として総炭素数4〜22のアシル基が例示され、このアシル基における炭化水素基はアルケニル基でもよい。またR1は、炭素数1〜30のスルホニル基でもよい。この具体例としてベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、ニトロベンゼンスルホニル基等が例示される。
(1−2)一般式(III)で表わされる化合物。
Figure 0004184366
〔式中、
3:置換基を有していてもよい炭素数1〜30のフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基又は炭素数6〜30のフルオロアリール基を示す。
a:0〜20の数を示す。〕
aは好ましくは0〜4の数である。R3基として、好ましくはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ノナフルオロブチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチル、パーフルオロドデシル、パーフルオロ−3−メチルブチル、パーフルオロ−5−メチルヘキシル、パーフルオロ−7−メチルオクチル、パーフルオロ−9−メチルデシル、1,1−ジフルオロメチル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル、4H−オクタフルオロブチル、5H−デカフルオロペンチル、6H−ドデカフルオロヘキシル、8H−ヘキサデカフルオロオクチル、10H−イコサフルオロデシル、トリフルオロエテニル、パーフルオロフェニルが例示される。R3における置換基の好ましい例として、前記の「本発明の置換基」が挙げられる。
置換エポキシド(III)においてa=0,R3基が炭素数1〜30のパーフルオロ基の化合物がさらに好ましい。
(1−3)一般式(IV)で表わされる化合物。
Figure 0004184366
〔式中、R4、G、b、p:前記一般式(VIII)で規定した意味を示す。〕
一般式(IV)において、R4基が置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合、その置換基として、エステル基、アミド基、アミノ基、水酸基、ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。
4基として好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基や、直鎖又は分岐鎖の珪素原子数1〜100のシロキシ基が例示され、さらに好ましくはメチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基等が例示される。
4基がシロキシ基である場合、そのシロキシ基における珪素原子に結合する基は、メチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基等である。
好ましい(G)p基として、p=0であるか、又はp=1であって、G基がメチレン基、エチレン基、トリメチレン基等のアルキレン基やフェニレン基等である場合が例示できる。合成の容易さの点からメチレン基、トリメチレン基の場合が特に好ましい。
一般式(IV)において、bはシロキシ基の鎖長を示すが、その鎖長は分布を有していてもよいし、又は単一鎖長であってもよい。特にbが1〜20の場合、単一鎖長のシロキシ鎖を有するポリエーテルを選択的に得ることが可能である。
本発明のポリエーテルの外観性状、弾性率、溶媒に対する溶解性等の物性はb値によって大きく変化するが、この現象はb値が小さいほど顕著である。また、b値が小さいほどポリエーテルの親水性が高くなる。
(1−4)グリシドール。
第(1−1)〜(1−4)項で例示した置換エポキシドはこれらのうち2種以上を共重合できる。また、これらのうち1種以上と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はエピクロロヒドリン等、他のエポキシ化合物とを共重合することができる。さらに、これらのうち1種以上とアニオン重合性モノマーとを共重合することができる。このようなモノマーとして、スチレン、ビニルナフタレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、ビニルピリジン、メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、エピスルフィド、4又は6又は7員環ラクトン類、5又は6員環カーボネート類、ラクタム類、環状シリコーン類等が例示できるが、より好ましくは、スチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、メチルメタクリレート、β−ラクトン、ヘキサメチルシクロトリシロキサンである。
(2)置換エポキシド開環重合
本発明で用いられる一般式(I)で表される希土類金属化合物において、MとしてはSc、Y 、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられるが、この中でも、重合活性及び経済性の点からSc、Y 、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Yb、Luが好ましい。
また、L1、L2、L3は酸素結合性の配位子であって、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基、アリロキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシ基、2−メトキシプロポキシ基、トリフルオロエトキシ基、2,4−ペンタンジオネート基(アセチルアセトネート基)、トリフルオロペンタンジオネート基、ヘキサフルオロペンタンジオネート基、6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオネート基、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート基、チエノイルトリフルオロアセトネート基、フロイルトリフルオロアセトネート基、ベンゾイルアセトネート基、ベンゾイルトリフルオロアセトネート基、アセテート基、トリフルオロアセテート基、メチルアセトアセテート基、エチルアセトアセテート基、メチル(トリメチル)アセチルアセテート基、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート基、メチルスルホネート基、トリフルオロメチルスルホネート基、ジメチルカルバメート基、ジエチルカルバメート基、ニトリト基、ヒドロキサマート基や、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、アゾメテンH等の酸素結合性キレート剤等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
これらの中では、重合活性及び経済性の点から、i−プロポキシ基、2,4−ペンタンジオネート基(アセチルアセトネート基)、トリフルオロペンタンジオネート基、ヘキサフルオロペンタンジオネート基、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート基、アセテート基、トリフルオロアセテート基が好ましい。
希土類金属化合物は、例えば、希土類金属ハロゲン化物、酸化物、水酸化物、あるいは硝酸塩と、前記酸素結合性配位子又はその配位子を与える前駆体化合物との反応で簡便に合成できる。これらは、予め合成、精製の上用いても良いし、重合系中で希土類金属化合物と、前記酸素結合性配位子又はその配位子を与える前駆体化合物とを混合して用いても良い。
また、希土類金属化合物は、必要に応じて適当な担体に担持して用いることができる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、粘土鉱物等の層状珪酸塩、活性炭、金属塩化物、その他無機担体、有機担体の何れを用いても良い。また、担持方法についても特に制限はなく、公知の方法を適宜利用できる。
また、希土類金属化合物は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルホスフィン等の電子供与性配位子を含有していても良い。
希土類金属化合物の使用量は、該化合物の重合能力並びに置換エポキシドの重合能や使用量、また、目的とする重合度や重合系に存在する重合阻害性物質の総量により、適宜決定すればよい。高度に精製された重合系での重合反応の場合、置換エポキシドのモル数に対し、好ましくは0.000001〜10当量、より好ましくは0.0001〜1当量、さらに好ましくは0.0002〜0.5 当量である。0.000001当量以上では高い重合活性が得られ、また、10当量以下では低分子量重合体の生成を抑制することができる。
本発明で用いる還元性化合物は、一般式(I)で表される3価の希土類金属化合物の全て、又はその一部を還元せしめ、重合活性の極めて高い希土類金属種を発生させるための還元能力を有する化合物であれば何でも良く、(1) トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物、又はこれらと水の二元系触媒、又はこれにアルコール又はキレート化合物を添加した三元系触媒、(2)アルミニウムトリアルコキシド、(3)ジアルキルアルミニウムアルコキシド、(4) ジアルキルアルミニウムヒドリド、(5) アルキルアルミニウムジアルコキシド、(6) メチルアルミノキサン、(7)有機アルミニウム硫酸塩、(8)ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物と水の二元系触媒又はこれにアルコール又はキレート化合物を添加した三元系触媒、(9) 亜鉛アルコキシド、(10)メチルリチウム、ブチルリチウム等の有機リチウム化合物及びこれらと水の混合物、(11)ジアルキルマグネシウム、グリニャール試薬等の有機マグネシウム化合物及びこれらと水の混合物や、その他の還元能を有する有機、無機化合物を用いることができる。これらの中では、上記触媒(1) 、(6) 、(8) 又は(11)が適度な還元能を有しており好ましい。
これらの還元性化合物は、希土類金属化合物と予め混合、反応させた上用いても良いし、重合系中で混合して用いても良い。なお、予め混合、反応させた上で用いる際は、適当な温度下に保持、熟成させて用いても良く、この熟成操作によりさらに重合活性を高めることができる。
還元性化合物の使用量は、その還元能力、並びに希土類金属化合物の種類や使用量により適宜決定すればよい。還元性化合物が、アルミニウム、亜鉛、リチウム、マグネシウム等の金属を含有してなる化合物の場合、その金属種の使用モル数は、希土類金属種の使用モル数に対して、好ましくは0.001〜200当量、より好ましくは0.01〜100 当量であり、0.1〜50当量であることが特に好ましい。0.001当量以上では高い重合活性が得られ、200 当量以下では低分子量重合体の生成を抑制することができる。
本発明を実施するに当たっては、置換エポキシドを、一般式(I)で表される希土類金属化合物と還元性化合物を用いて重合させればよい。重合温度は−78〜220 ℃、特に−30〜160 ℃の範囲が望ましい。重合温度域において融解状態にある置換エポキシドの重合は、無溶媒下で行うことも可能だが、通常は不活性な溶媒中で行うことが望ましい。
かかる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の炭化水素、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素や、N,N−ジメチルスルホキシド、また、これらの混合物が挙げられる。これら重合溶媒は通常、十分に脱水、脱気して用いるのが良い。
また、重合温度域において気体状態にある置換エポキシドの重合は、置換エポキシド気流中で行うこともできる。
本発明の重合反応は、酸素を排した条件下で行うのが望ましい。窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、脱気減圧下、脱気溶媒蒸気封入下、又は置換エポキシド気流中で行うのが望ましい。重合圧力には特に制限はなく、常圧、減圧ないし加圧いずれでもよい。
本発明の重合反応は、任意の混合方式で行うことができ、置換エポキシド、希土類金属化合物並びに還元性化合物の三者を一度に混合して用いても良いし、予めこれらのうち一者又は二者を含む系に残りの二者又は一者を加えても良い。
本発明を実施するに当たって、置換エポキシドは、これらのうち1種以上を用いることができる。また、これらと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はエピクロロヒドリン等、他のエポキシ化合物を併用することができる。2種以上の置換エポキシドを用いる際は、これらを同時に混合して用いても良いし、順次重合系に導入してブロックポリマーを得ることもできる。
さらに、本発明を実施するに当たっては、置換エポキシドのうち1種以上と、エポキシド以外のアニオン重合性モノマーの1種以上を併用することができる。これらは同時に混合して用いても良いし、順次重合系に導入しても良い。
(3)ポリエーテル
上記のような方法で得られる本発明の一般式(VIII)で表わされるポリエーテルについて以下詳述する。
一般式(VIII)において、アニオン重合性モノマー由来の基とは、第(1)項記載の、第(1−1)〜(1−4)項の置換エポキシドと共重合し得るアニオン重合性モノマー由来の基のことである。
一般式(VIII)で表わされる共重合体は、二元系以上である。一般式(VIII)においてXとYはランダム型になっていてもよいしブロック型になっていてもよい。
fは好ましくは150〜1,000,000、gは好ましくは10〜1,000,000である。
触媒調整並びに重合操作は、乾燥窒素雰囲気下で行った。各種の溶媒は乾燥後、蒸留、脱気したものを使用した。希土類金属化合物及びその他の無機化合物は、市販高純度品をそのまま使用した。メチルアルモキサン(以下、MAOと略記する)と溶液(ここで用いたのはトルエン溶液で、アルミニウム濃度は10.2重量%)及びジエチル亜鉛は市販品をそのまま使用した。
触媒調整例1
サマリウムトリス(テトラメチルヘプタンジオネート)0.5192gを秤量し、トルエン7.20mLを加え、加温攪拌した。室温まで放冷後、攪拌下にMAO溶液0.22mL(1当量)を滴下し、触媒B(Sm/Al(モル比)=1/1)を調整した。
実施例1 ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/オクチルグリシジルエーテル):一般式(VIII)において、
Figure 0004184366
f=190、g=280。
トルエン210mLに、触媒B50mLとステアリルグリシジルエーテル(SGE)40.0g並びにオクチルグリシジルエーテル(OGE)22.8gを加え、容器を封栓し、攪拌しながら130℃で24時間重合した。反応液を少量の希塩酸を加えた大量のアセトンに添加し、析出した固体を80℃24時間減圧乾燥して、ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/オクチルグリシジルエーテル)共重合体を得た。微黄色固体。収率75%。
NMR(重クロロホルム)分析によれば、ポリエーテルの組成は(SGE)/(OGE)=62.3/37.7であった(図1)。
DSC分析によれば、ポリエーテルの融点は32.2℃であった。
GPC分析(130℃、o−ジクロロベンゼン、ポリスチレン換算)によれば、Mn=10万、Mw=154万であった。測定はウォーターズ社製150C型を使用し、カラムは昭和電工社製Shodex HT-806M×1本、Shodex HT-803×2本を使用した。
実施例2 ポリ(セチルグリシジルエーテル/フェニルグリシジルエーテル):一般式(VIII)において、
Figure 0004184366
f=410、g=240。
実施例1と同様にして、セチルグリシジルエーテル(CGE)111g、フェニルグリシジルエーテル(PGE)14.0gを共重合し、ポリ(セチルグリシジルエーテル/フェニルグリシジルエーテル)共重合体を得た。淡黄色固体。収率86%。
NMR(重クロロホルム)分析によれば、ポリエーテルの組成比は、(CGE)/(PGE)=77.2/22.8であった。
実施例1と同条件のGPC分析(130℃、o−ジクロロベンゼン、ポリスチレン換算)によれば、Mn=16万、Mw=193万であった。
実施例3 ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチロキシ)−1,2−エポキシプロパン):一般式(VIII)、において、
Figure 0004184366
(R6=4H−オクタフルオロブチル、J=メチレン)、f=420、g=210。
実施例1と同様にして、ステアリルグリシジルエーテル(SGE)81.6g、3−(1H,1H,5H−オクタフルオロペンチロキシ)−1,2−エポキシプロパン(OFPP)72.0gを共重合した。淡黄色固体。収率67%。
NMR(重クロロホルム)分析によれば、ポリエーテルの組成比は、(SGE)/(OFPP)=69.1/30.9であった。
実施例1と同条件のGPC分析(130℃、o−ジクロロベンゼン、ポリスチレン換算)によれば、Mn=20万、Mw=360万であった。
実施例4 ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/エチレンオキシド):一般式(VIII)において、
Figure 0004184366
溶媒に溶解せずf、gは測定不可。
溶媒をジオキサンとすること以外は、実施例1と同様にして、ステアリルグリシジルエーテル(SGE)19.4gとエチレンオキシド19.4gを共重合し、無色固体を得た。収率53%。
NMR(重クロロホルム)分析によれば、ポリエーテルの組成比は、(SGE)/(エチレンオキシド)=3.2/96.8であった。
実施例5 ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/メチルメタクリレート):一般式(VIII)において、
Figure 0004184366
Y=−CH2C(CH3)(COOCH3)−、f=350、g=44。
トルエン210mLに、触媒B50mLとステアリルグリシジルエーテル(SGE)32.6gを加え、容器を封栓して100℃で6時間重合した。40℃まで放冷後、開封してメチルメタクリレート25.0gを添加、封栓してさらに120℃で6時間重合した。反応液を少量の希塩酸に加えた単量のアセトンに添加し、析出した固体を80℃で24時間減圧乾燥して、ポリ(ステアリルグリシジルエーテル/メチルメタクリレート)共重合体を得た。無色固体。収率61%。
NMR(重クロロホルム)分析によれば、ポリエーテルの組成比は、(SGE)/(メチルメタクリレート)=96.3/3.7であった。
実施例1と同条件のGPC分析(130℃、o−ジクロロベンゼン、ポリスチレン換算)によれば、Mn=12万、Mw=96万であった。
実施例1で得た(ステアリルグリシジルエーテル/オクチルグリシジルエーテル)共重合体のNMRチャートである。

Claims (1)

  1. 一般式(VIII)で表わされるポリエーテル。
    Figure 0004184366
    Figure 0004184366
    ここで、Rは置換基を有していてもよい炭素数8〜50のアルキル基又はアルケニル基を示す。
    Figure 0004184366
    を示す(但しXとYが同一の場合を除く)か、又は置換エポキシド以外のアニオン重合性モノマー由来の基を示す。この場合においてYは複数の種類であってもよい。
    ここで、Rは炭素数1〜7の炭化水素基を示すか、又はトリアルキル(アルキル基は炭素数1〜4)シリル基を示す。Rは水素原子を示すか、又は炭素数1〜22の炭化水素基もしくはハロゲン置換炭化水素基を示す。 は置換基を有していてもよい炭素数8〜50のアルキル基又はアルケニル基を示す。R は炭素数2〜30のフルオロアルキル基を示す。Jは炭素数1〜20のアルキレン基を示す。R は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基を示すか、又は珪素原子数1〜200のシロキシ基を示す。Gは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキレン基を示すか、又はアリーレン基を示す。bは複数の数の平均値として1〜500の数を示すか、又は単一の数として1〜20の整数を示す。pは0又は1の数を示す。
    f:150以上の数を示す。
    g:5以上の数を示す。〕
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