JP4184096B2 - 先行車両推定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両に搭載されるレーダ装置を用いて、車両間隔制御の対象とするべき先行車両を推定する先行車両推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの移動する車両には、自車両の前方を先行して走行する先行車両に追従することができるように車両間隔や速度を自動制御するアダプティブクルーズコントロールや先行車両との衝突の危険を事前予知して知らせる警報装置などの設けられているものがある。このようなアダプティブクルーズコントロールや警報装置を動作させる信号を得るための1つの手段としてレーダ装置が車両に搭載されて用いられている。
【0003】
レーダ装置は、電磁波や光波などを発振し、先行車両によって反射された反射波を受信し、受信信号に基づいて自車両と先行車両との距離や相対速度などを計測する。先行車両をレーダ装置で計測した場合の走行軌跡は、ランダムノイズの影響や路面状態によるマルチパスの影響などによって、本来の走行軌跡に対してノイズ成分が重畳されることが知られている。ノイズ成分の重畳されたままの状態の走行軌跡情報に基づいて自車両の運転操作を実行すると、実際の先行車両の位置と走行軌跡情報から得られる位置とが一致せず、安全上問題の生じる場合もある。したがって、走行軌跡情報からノイズ成分を除去し、実際の走行軌跡に近い情報を抽出するためにフィルタ処理の行われることが多い。またフィルタ処理は、ステアリングセンサやヨーレートセンサで得られる先行車両の予想軌跡が、実際の軌跡と異なることによる先行車両判定の過誤を防止するためにも行われる。
【0004】
以下フィルタ処理について説明する。アダプティブクルーズコントロールや警報装置の動作において最も重要視しなければならない車両は、自車両の走行する車線と同一車線上を走行する先行車両である。したがって、アダプティブクルーズコントロールや警報装置の動作においては、先行車両が自車両の走行する車線(以後、自車線と呼ぶ)と同一車線上に存在する確度である先行車確率を求め、先行車確率が最大である先行車両を運転動作制御の対象車両とするのが一般的である。
【0005】
自車両の前方を走行する各先行車両についてそれぞれ先行車確率を算出し、各先行車両の先行車確率の時間的推移を求めることによって、自車線に対する各先行車両の相対位置の時間推移、すなわち走行軌跡と同様の情報を得ることができる。この先行車確率は、α、βをそれぞれフィルタ定数とするとき、次式(1)によって与えられる。
先行車確率=(α×前回の先行車確率+β×今回確率)/(α+β)…(1)
【0006】
ここで今回確率とは、前述のレーダ装置によって計測される先行車両の相対位置に応じて予め定められる確率であり、前記相対位置から導出される。今回確率の導出方法について例示すると以下のようである。図14は、先行車両との相対距離TLおよび相対横位置SLの関数として今回確率を求める方法を例示する図である。図14(a)は、自車両1に対する先行車両2の相対距離TLと相対横位置SLとを示す。先行車両2の相対横位置は、自車両1の進行方向の車線4(自車線4)の中央線4aに対する垂直方向への離反距離SLを指す。この相対横位置SLは、たとえば自車両1に搭載されるステアリング・ヨーレートセンサの検出出力から得られる前記自車線4の中央線4aを表す曲線と、自車両1の直進方向への延長線3に対して自車両1と先行車両2とを結ぶ線分の成す角度θとによって求めることができる。先行車両2の相対距離は、自車両1の前端部と先行車両2の後端部との離反距離TLを指す。
【0007】
ここでは、相対横位置SLは、前記中央線4aを基準にして先行車両2が右方に存在する場合をプラス(+)、左方に存在する場合をマイナス(−)で表す。図14(b)では、先行車両2の相対距離TLおよび相対横位置SLがともに零(0)mであるときを100%とし、先行車両2の相対距離TLが100mかつ相対横位置SLがたとえば隣接方向に2車線分、すなわち7.2m以上であるときを0%とする一次関数で今回確率が与えられる。なお、先行車両2の相対横位置SLは、自車線の進行方向の形状が直線である場合、図14(a)に示す自車両1の直進方向への延長線3に対する垂直方向への離反距離に一致する。
【0008】
図15は、マップによって今回確率を求める方法を例示する図である。図15に示すように、自車両1の直進方向への延長線3をY軸とし、前記延長線3に直交する軸をX軸とする2次元XY座標系において、自車両1に対する相対位置に対応して予め定められる確率の領域に区分(図15では、0%,60%,80%,100%の4領域に区分)したマップを作成しておく。レーダ装置によって計測される先行車両のXY座標値を求め、当該座標値が属するマップ上の領域から今回確率を導出する。今回確率の導出方法は、前述の図14および図15に示す方法に限定されることなく、その他の公知の方法が用いられてもよい。
【0009】
図16は、レーダ装置においてビームをスキャンしている状態の概略を示す図である。レーダ装置のたとえばレーダ波は、ビーム状に絞られて間欠発振される。1本のビームでは、自車両1の前方を線状にしか計測できないけれども、たとえばレーダ波を発振するアンテナは、道路面に垂直な軸線まわりに角変位可能に設けられるので、レーダ波のビームを水平方向にスキャンさせることができる。すなわち図16に示すビームbm1〜bm5まで、また逆にビームbm5〜bm1までを1スキャン(=1サイクル)とし、スキャンを繰返しながらビームを発振することによって、自車両1の前方を面状に検出することができる。前述の今回確率は、スキャンを1回行なう毎に、前述のマップまたは一次関数などに基づいて求められる。
【0010】
今回確率は、先行車両が自車線上を走行している確度を表す。レーダ装置による計測ままの位置情報に応じて導出される今回確率と前回算出された先行車確率とを用いて、式(1)に従って今回の先行車確率を算出するに際し、フィルタ定数α,βを用いて平滑化することをフィルタ処理と言う。
【0011】
図17は、従来技術のフィルタ処理によって求めた先行車確率を示す図である。図17では、レーダ装置の始動によって先行車両の先行車確率の検出を開始し、自車線上に存在する先行車両と判別されるまでの時間推移、または自車線に隣接する車線である隣接車線から自車線へ車線変更(以後、割込みと呼ぶ)してきた先行車両の先行車確率の検出を開始し、自車線上に存在する先行車両と判別されるまでの時間推移を示す。閾値は、先行車両が自車線上に存在するか否かを判別するための境界値であり、先行車確率が、閾値以上であるとき自車線上に存在するものと判別し、閾値未満であるとき自車線上に存在しないものと判別する。
【0012】
図17中のライン5が、従来技術のフィルタ処理によって算出される先行車確率を表す。フィルタ処理による先行車確率の算出値は、0%から開始され、漸増して検出開始から時間t1経過した時点において閾値以上となり、自車線上に存在するものと判別される。このように従来技術では、たとえば先行車両が急な運転動作で割込みした場合においても、先行車確率の算出が0%から開始されて自車線上に存在すると判別されるまでに長い時間t1を要するので、自車両の運転動作の対応に遅れを生じて円滑な運転ができなくなるという問題がある。
【0013】
また図18は、従来技術のフィルタ処理によって、先行車両が自車線から離脱する時の先行車確立を求めた図である。図18中のライン6が、先行車両が自車線から隣接車線へ車線変更(以後、離脱と呼ぶ)するとき、従来技術のフィルタ処理によって算出される先行車確率を表す。フィルタ処理による先行車確率の算出値は、先行車両が自車線上に存在することを表す閾値超えの値から開始され、漸減して検出時間t2経過した時点において閾値未満となり、自車線上に存在しないものと判別される。しかしながら、単なるフィルタ処理による算出では、先行車両が急な離脱動作を行った場合でも、フィルタ処理を繰返して先行車確率の値を平滑化するので、実際は、自車線上の直近に先行車両が存在しなくなったにも関らず、存在するものと判別して不要な運転動作制御が実行されるという問題がある。
【0014】
このようなフィルタ処理を行なうことによる応答性の低下を解消するために先行技術では、たとえばレーダの受信信号レベルが急激に変化するときには、先行車両の割込みがあるものとみなし、フィルタ処理を行なうためのサンプル(データ)数を少なくして応答性を向上している(たとえば、特許文献1参照)。またもう一つの先行技術では、先行車両の割込みなどの急激な運動状態を検出し、運動状態に応じて異なるフィルタ定数設定して応答性を向上している(たとえば、特許文献2参照)。
【0015】
しかしながら、先行技術のようなフィルタ処理におけるサンプル数の削減やフィルタ定数の変更だけでは、急激な運転動作を行なう先行車両に充分な応答性をもって対応することができないという問題がある。
【0016】
【特許文献1】
特開平8−279099号公報
【特許文献2】
特開2001−141812号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、運転動作制御対象とするべき先行車両を推定するための先行車確率をフィルタ処理によって算出するとき、先行車両の急激な運転動作に対しても充分な応答性をもって先行車確率を得ることのできる先行車両推定方法を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、自車両から電磁波または光波を発振し、先行車両による反射波を受信して得られる受信信号に基づいて自車両に対する先行車両の相対位置を求め、前記相対位置に応じて予め定められる確率であって前記相対位置から導出される今回確率を用いて自車両の走行する車線と同一車線上に存在する確度である先行車確率を算出し、算出される先行車確率が最大である先行車両を、車間制御するべき対象の先行車両であると推定する先行車両推定方法において、
自車両に対する先行車両の相対位置のうち、自車両の進行方向の車線の中央線に対して垂直方向に先行車両が離反している距離である相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行なうとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を前記先行車確率に応じて異なるように設定し、
自車両に対する先行車両の相対位置のうち、相対距離を求め、前記相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、先行車両の相対距離が短いときには、先行車両の相対距離が長いときよりもフィルタ処理に用いるフィルタ定数が大きくなるように設定することを特徴とする先行車両推定方法である。
【0029】
本発明に従えば、自車線上における先行車両存在の有無を推定する場合に、先行車確率と同様に重要な要素として用いられる相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行なうとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を先行車確率に応じて異なるように設定する。このことによって、先行車両の相対横位置の移動軌跡が平滑化されるので、先行車両の相対横位置情報に対する過度の応答が抑制されて自車両の円滑な運転動作が実現される。
【0031】
また自車両に対する先行車両の相対位置のうち、相対距離を求め、相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を相対距離に応じて異なるように設定する。たとえば、相対距離が長いときには、応答性を低くするようにフィルタ定数を設定し、相対距離が短いときには、応答性を高くするようにフィルタ定数を設定する。このことによって、相対距離が長く運転動作制御対象の先行車両として取扱う必要性の低いものについては、適度な応答性をもって運転動作を行ない、相対距離が短く運転動作制御対象の先行車両として取扱う必要性の高いものについては、高い応答性をもって運転動作を行うことができるので、自車両の安全かつ円滑な運転が実現される。
【0032】
また本発明は、自車両に対する先行車両の相対位置のうち前記相対横位置に関する情報に基づいて、先行車両の移動方向であって自車両の走行する車線に近接する方向または離反する方向のいずれかの移動方向を求め、前記相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を前記移動方向に応じて異なるように設定することを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、先行車両の移動方向であって自車両の走行する車線に近接する方向または離反する方向のいずれかの移動方向を求め、先行車両の相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を移動方向に応じて異なるように設定する。たとえば、先行車両が割込み動作をする際には、応答性を高くするようにフィルタ定数を設定し、先行車両が離脱動作をする際には、応答性を低くするようにフィルタ定数を設定することによって、割込み動作を行う先行車両を早く自車線上に存在するものとして推定し、離脱動作を行う先行車両を長く自車線上に存在するものとして推定することができる。このことによって、運転動作制御対象とするべき先行車両を自車線上に存在するものとして必要充分な時間捕捉することができるので、一層安全な運転動作を実現することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の態様である先行車両推定方法に用いられるレーダ装置10の構成を簡略化して示すブロック図である。レーダ装置10は、車両に搭載され、たとえばFMCW(Frequency Modulation Continuous Wave)ミリ波などの電磁波を発振放射し、自車両の前方に存在する先行車両や障害物などの物標による反射波を受信して得られる受信信号に基づいて自車両に対する物標の相対位置および相対距離などを求めるものである。ここでは、車両として自動車について例示し、物標として自車両の前方を先行して走行する自動車について例示する。
【0035】
レーダ装置10は、送信アンテナ11と、受信アンテナ12と、発振手段13と、受信手段14と、混合手段15と、アナログ/デジタル(略称A/D)変換手段16と、信号処理手段17と、信号処理手段17の出力に応答して先行車両との相対距離、相対速度および相対横位置を演算する演算手段18と、演算手段18の出力に応答して今回確率を導出する今回確率導出手段19と、フィルタ処理手段20および判断手段21を備える制御回路であるマイクロプロセッシングユニット22(略称MPU)と、フィルタ処理によって算出または強制的に補正された先行車確率や予め定められるオフセット値を先行車確率としてストアするとともに、自車両に設けられる車間制御電子制御ユニット30(略称車間制御ECU)へ出力する先行車確率出力手段23とを含む構成である。
【0036】
このレーダ装置10は、レーダ装置10が搭載される自車両に設けられる車間制御ECU30に接続され、車間制御ECU30には、車速センサ31、ステアリング・ヨーレートセンサ32などのセンサ類、およびスロットル制御装置33、制動装置34などのアプリケーション手段が接続される。
【0037】
発振アンテナ11は、発振手段13からの発振信号に応答し、周波数が経時的に偏移する電磁波である送信波をビーム状にして放射する。発振信号は、たとえば周波数が経時偏移するような交流電力信号である。送信波は、間欠的に発振アンテナ11からビーム状に放射され、発振アンテナ11は水平方向に角変位駆動すなわちスキャンされるので、レーダ装置10の搭載される自車両の進行方向に向って左右にビーム状の送信波を走査することが可能である。前方に先行車両が存在するとき、送信波が先行車両によって反射され、反射波が受信アンテナ12に受信される。
【0038】
受信手段14は、受信アンテナ12からの出力に応答し、受信された反射波の受信電界強度を表し、受信電界強度が増加すると信号レベルが増加するような時系列信号を生成して混合手段15に出力する。混合手段15には、時系列信号とともに発振手段13から発振信号が与えられる。混合手段15は、発振信号と時系列信号とを混合し、両信号のビート周波数を有する混合信号を生成する。この混合信号は、A/D変換手段16によってデジタル信号に変換されて信号処理手段17に与えられる。
【0039】
信号処理手段17では、以下の各処理を実行し、実行結果を演算手段18へ出力する。まずビート周波数が増加する上昇(up)部のピーク周波数と、ビート周波数が減少する下降(down)部のピーク周波数とを抽出する。抽出したピーク周波数の中から、複数存在する先行車両をそれぞれ代表する代表周波数と、各先行車両によって反射される送信波のビームに基づいて角度とを算出する。代表周波数によってグルーピングされたup部のピーク周波数データとdown部のピーク周波数データとについてペアリング(マッチング)を行なう。ペアリングされた結果として得られる相対距離、角度、相対速度の情報から、前回のスキャンにおいてペアリングされた結果と同一軌跡であるかの判断を行う。さらに検出できなかった先行車両のグループ数を削減し、検出できたグループから不要なデータを除去して演算手段18へ出力する。
【0040】
演算手段18では、信号処理手段17からの出力信号に応答し、自車両と先行車両との相対距離TL、自車両の進行方向の車線の中央線に対する垂直方向への離反距離である相対横位置SL、先行車両との相対速度などを演算し、演算結果を、MPU22および今回確率導出手段19に対して出力する。
【0041】
今回確率導出手段19には、前述の図15に示したような自車両に対する相対位置に対応して予め定められる確率の領域に区分されたマップがストアされている。今回確率導出手段19では、演算手段18から与えられる先行車両の位置情報に応じて、前述のマップから各先行車両について今回確率を導出する。
【0042】
処理回路であるMPU22は、前述のようにフィルタ処理手段20と判断手段21とを備える。判断手段21では、(a)レーダ装置10による検出初回、すなわちレーダ装置10が作動して1回目または先行車両を検出対象として捕えてから1回目のスキャンによって得たデータであるか否か、(b)先行車両が自車線上に存在するか否かを判別するための値である閾値Cr以上であるか否か、すなわち先行車両が自車線上に存在するか否か、(c)自車線の進行方向前方の形状が直線であるか曲線であるか、(d)各先行車両間の相対距離TLの大きさを比較し、最短距離の先行車両を判別し、(e)自車両の進行方向の車線の中央線に対して、先行車両が近接または離反のいずれの方向に移動しているか、について判断する。これらの判断結果は、フィルタ処理手段20および先行車確率出力手段23に対して与えられる。
【0043】
なお自車両に設けられる前述の車速センサ31およびステアリング・ヨーレートセンサ32による検出出力が、車間制御ECU30を介して自車線の進行方向前方形状の曲率として信号処理手段17から先行車確率出力手段23までを含む認識処理部24に与えられるので、判断手段21は、自車線の進行方向前方の形状が直線であるか曲線であるかを判断することができる。
【0044】
フィルタ処理手段20には、自車両と先行車両との相対位置、自車両と先行車両との相対的な移動方向、自車線進行方向前方の形状などに応じて、それぞれ用いるべく予め定めるフィルタ定数が複数種類ストアされている。フィルタ処理手段20は、前述の判断手段21からの出力に応答し、出力信号に対応するフィルタ定数を選択し、前述の式(1)に従って先行車確率を算出する。
またフィルタ処理手段20は、先行車両の相対横位置に関するデータに対してもフィルタ処理することができる。先行車両の相対横位置に対するフィルタ処理は、次式(2)によって実行される。
相対横位置XA=(α×XB+β×XR) …(2)
【0045】
ここで、α,βはフィルタ定数であり、XBは、前回のスキャン時においてフィルタ処理によって算出された相対横位置であり、XRは、今回のスキャン時において演算手段18によって演算されてMPU22に与えられた相対横位置である。
【0046】
先行車確率出力手段23は、判断手段21の出力に応答し、レーダ装置10の作動後1回目のスキャンによって得たデータであると判断された場合、予め定めるオフセット値を先行車確率として出力する。また判断手段21によってフィルタ処理を行なうことなく強制的に補正するべく判断された場合、先行車確率出力手段23は、予め定められる補正値または予め定められる条件に従って補正した値を先行車確率として車間制御ECU30に対して出力する。判断手段21によってフィルタ処理するべく判断され、フィルタ処理手段20によってフィルタ処理された場合、フィルタ処理手段20によるフィルタ処理算出結果が先行車確率出力手段23に与えられ、そのフィルタ処理算出結果が、先行車確率として車間制御ECU30に対して出力される。
【0047】
なお先行車両の相対横位置については、判断手段21の判断結果に応答し、フィルタ処理を行なわない場合、演算手段による演算結果がそのまま車間制御ECU30に対して出力され、フィルタ処理を行なう場合、判断手段21の出力信号に応じて選択されるフィルタ定数が用いられて式(2)に従ってフィルタ処理が実行され、フィルタ処理算出結果が車間制御ECU30に対して出力される。
【0048】
車間制御ECU30は、先行車確率出力手段23からの出力に応答し、最大の先行車確率を有する先行車両を運転動作の制御対象とするべき先行車両と推定し、当該先行車両の相対位置および相対速度情報、自車線進行方向の形状などの道路状況に基づき、スロットル制御装置33、制動装置34などのアプリケーション手段に対して制御信号を出力して、先行車両との車間制御動作を実行する。
【0049】
図2は、レーダ装置10の動作の概略を説明するフローチャートである。ステップs1のスタートでは、自車両に搭載されるレーダ装置10から送信波が発振され、その送信波が先行車両に反射されて反射波が受信アンテナ14で受信されて、信号処理手段17まで取込まれている状態である。ステップs2〜ステップs6までは、信号処理手段17において実行される。ステップs2のピークデータ抽出では、ビート周波数におけるup部のピーク周波数と、down部のピーク周波数とを抽出する。ステップs3のグルーピング処理では、抽出したピーク周波数の中から、先行車両を代表する代表周波数と、先行車両によって反射される送信波のビームに基づいて角度とを算出する。
【0050】
ステップs4のペアリング処理では、代表周波数によってグルーピングされたup部のピーク周波数データとdown部のピーク周波数データとについてペアリングを行ない、相対距離、相対速度、角度を算出する。ステップs5の連続性判定では、ペアリングされた結果について、前回のスキャンにおいてペアリングされた結果と同一軌跡であるかの判断を行う。ステップs6の未検出物標処理、物標確定処理では、検出できなかった先行車両のグループ数を削減し、検出できたグループから不要なデータを除去して演算手段18へ出力する。
【0051】
ステップs7の出力物標生成処理では、同一と判断される物標のデータを統合させる。ステップs8の制御関連データ生成、出力データ選択が、本発明の態様である先行車両推定方法であり、フィルタ処理または強制的な補正によって先行車確率を算出し、車間制御ECU30に対して出力する。
【0052】
以下本発明の実施の態様である先行車両推定方法のステップs8について詳細に説明する。図3は、先行車両推定方法の一例を説明するフローチャートである。図3に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートのステップs8部分に対応する。ステップsa1では、今回確率導出手段19からMPU22に与えられる出力信号に応答し、判断手段21は、導出された今回確率が、レーダ装置10が作動開始後または先行車両を検出対象として捕えてから1回目のスキャン時におけるデータ、すなわち初回検出データであるか否かを判断する。判断結果が肯定で、初回検出データであるとき、ステップsa2に進む。ステップsa2では、判断手段21の出力に応答し、先行車確率出力手段23が、先行車確率の初期値として、たとえば検出された今回確率を用いて式(今回確率×k=f1)で与えられるオフセット値f1を出力する。ここでkは予め定められる定数であり、たとえばk=1/4などが用いられる。
【0053】
図4は、先行車確率の初期値にオフセット値f1を用いた場合における先行車確率の時間推移を示す図である。図4中に示すライン41が、先行車確率の初期値としてオフセット値f1を用いた場合の先行車確率の時間推移を表し、図4中に示すライン42は、先行車確率の初期値が0%の場合における先行車確率の時間推移を表す。なお先行車確率が図4中に破線で示す閾値Cr以上であるとき、先行車両が自車線上に存在するものと判別する。
【0054】
初期値としてオフセット値f1を用いる場合のライン41と、初期値が0%である場合のライン42とを比較すると、当該先行車両の検出を開始した時点から自車線上に存在することを判別するまでに要する時間は、ライン41の時間t3の方が、ライン42の時間t4よりも短い。このように先行車確率の初期値としてオフセット値f1を用いることによって、先行車両が自車線上に存在することを判別するまでの時間が短縮されるので、たとえば先行車両が突然割込み動作を開始して検出対象車両となった場合でも、短時間で自車線上に存在することを検知し、自車両の迅速な対応をとることが可能になる。
【0055】
図3に戻って、ステップsa1の判断が否定で、今回確率導出手段19から与えられるデータが初回検出でないとき、ステップsa3へ進む。ステップsa3では、判断手段21の出力がフィルタ処理手段20に与えられ、フィルタ処理手段20は、予め定められるフィルタ定数α,βと、前回のスキャン時において得られた先行車確率と、今回確率導出手段19から与えられる今回確率とを用いて式(1)から先行車確率を算出し、先行車確率出力手段23に与える。
【0056】
図5は、先行車両推定方法の他の例を説明するフローチャートである。本実施の態様では、MPU22に対して与えられるデータは、初回検出ではない場合についての先行車両推定方法である。ステップsb1では、判断手段21は、先行車確率出力手段23にストアされている最新の先行車確率、すなわち直前のスキャン時において算出された前回の先行車確率を読出し、前回の先行車確率が閾値Cr以上すなわち自車線上であるか否かを判断する。判断結果が肯定で自車線上であるとき、ステップsb2へ進む。ステップsb2では、判断手段21は、今回のスキャンにおいて今回確率導出手段19から与えられる今回確率を用いて、今回確率が閾値Cr未満すなわち非自車線上であるか否かを判断する。判断結果が肯定で非自車線上であるとき、すなわち前回の先行車確率では自車線上と判別され、今回確率では非自車線上と判別されるようになったとき、ステップsb3へ進む。
【0057】
ステップsb3では、判断手段21の判断結果が先行車確率出力手段23に与えられ、先行車確率出力手段23は、強制的に先行車確率の値を閾値Crから予め定める値α2だけ加算した閾値Crより少し高い補正値(Cr+α2)へと補正し、補正値(Cr+α2)を先行車確率の算出結果として車間制御ECU30へ出力する。ステップsb2の判断結果が否定で自車線であるとき、すなわち前回の先行車確率でも今回確率でも自車線上と判別されるときステップsb4へ進む。ステップsb4では、判断手段21の判断結果がフィルタ処理手段20に与えられ、フィルタ処理手段20は、予め定められるフィルタ定数α,βと、前回のスキャン時において得られた先行車確率と、今回確率導出手段19から与えられる今回確率とを用いて式(1)からフィルタ処理を行なって先行車確率を算出し、先行車確率出力手段23に与える。
【0058】
前述のステップsb1における判断結果が否定で、前回の先行車確率が非自車線上であるとき、ステップsb5へ進む。ステップsb5では、判断手段21は、今回のスキャンにおいて今回確率導出手段19から与えられる今回確率を用いて、今回確率が閾値Cr以上すなわち自車線上であるか否かを判断する。判断結果が肯定で自車線上であるとき、すなわち前回の先行車確率では非自車線上と判別され、今回確率では自車線上と判別されるようになったときステップsb6へ進む。ステップsb6では、判断手段21の判断結果が先行車確率出力手段23に与えられ、先行車確率出力手段23は、強制的に先行車確率の値を閾値Crから予め定める値α1だけ減算した閾値Crよりも少し低い補正値(Cr−α1)へと補正し、補正値(Cr−α1)を先行車確率の算出結果として車間制御ECU30へ出力する。ステップsb5の判断結果が否定で非自車線上であるとき、ステップsb7へ進む。ステップsb7では、先のステップsb4と同様にフィルタ処理を行なって先行車確率を算出し、先行車確率出力手段23に与える。
【0059】
図6は先行車確率を閾値Crより少し低い補正値(Cr−α1)に強制的に補正した場合の先行車確率の時間推移を示す図であり、図7は先行車確率を閾値Crより高い補正値(Cr+α2)に強制的に補正した場合の先行車確率の時間推移を示す図である。
【0060】
図6には、前述のステップsb5およびステップsb6を実行した場合の先行車確率の時間推移を表すライン43と、強制的な補正をすることなくフィルタ処理を繰返し実行した場合の先行車確率の時間推移を表すライン44とを示す。前回の先行車確率では非自車線上と判別されるけれども、今回確率では自車線上と判別されるようになった時点において、先行車確率を強制的に閾値Crよりも少し低い補正値(Cr−α1)とすることによって、当該先行車両の検出開始から自車線上であると判別するまでに要する時間t5が、補正をすることなくフィルタ処理を繰返す場合の時間t6よりも短縮される。
【0061】
また図7には、前述のステップsb2およびステップsb3を実行した場合の先行車確率の時間推移を表すライン45と、強制的な補正をすることなくフィルタ処理を繰返し実行した場合の先行車確率の時間推移を表すライン46とを示す。前回の先行車確率では自車線上と判別されるけれども、今回確率では非自車線上と判別されるようになった時点において、先行車確率を強制的に閾値Crよりも少し高い補正値(Cr+α2)とすることによって、当該先行車両が自車線上に存在するものと検出している状態から非自車線上であると判別するまでに要する時間t7が、補正をすることなくフィルタ処理を繰返す場合の時間t8よりも短縮される。
【0062】
このように今回確率の値と前回の先行車確率の値とが、閾値Crを境界として逆になったとき、先行車確率を閾値Crに近い値となるように強制的に補正することによって、先行車両が自車線上に割込んだかまたは自車線上から離脱したかを判別するまでに要する時間を短縮することができ、先行車両の動作に対して自車両の運転動作を迅速に対応させることが可能になる。
【0063】
図8は、先行車両推定方法のさらに他の例を説明するフローチャートである。実施の第3態様では、自車線の進行方向の形状が曲線(以後、カーブと呼ぶこともある)であるか、直線であるかによって、相異なるフィルタ定数α,βを用いてフィルタ処理を行なう。ステップsc1では、車間制御ECU30を介して車速センサ31およびステアリング・ヨーレートセンサ32の検出出力から得られる曲率に基づいて、判断手段21は、自車線進行方向の形状がカーブであるか否かを判断する。判断結果が肯定で、自車線進行方向の形状がカーブであるとき、ステップsc2へ進む。ステップsc2では、フィルタ処理手段20が、判断手段21による判断結果に応答し、カーブ用として予め定めるフィルタ定数、たとえばα=4/100、β=96/100を用いて前述の式(1)に従い先行車確率を算出する。
【0064】
ステップsc1の判断結果が否定で、自車線進行方向の形状が直線であるとき、ステップsc3へ進む。ステップsc3では、フィルタ処理手段20が、判断手段21による判断結果に応答し、直線用として予め定めるフィルタ定数、たとえばα=8/100、β=92/100を用いて前述の式(1)に従い先行車確率を算出する。
【0065】
図9は、先行車両推定方法のさらに他の例を説明する図である。図9では、レーダ装置10の検出している先行車両が2台、すなわち先行車両A1と先行車両A2とが存在し、スキャン毎に算出される先行車確率である黒丸を連ねるライン47は、先行車両A1の先行車確率の時間推移を表し、またスキャン毎に算出される先行車確率である白丸を連ねるライン48は、先行車両A2の先行車確率の時間推移を表す。
【0066】
先行車両A1の先行車確率は、閾値Cr以上で時間推移し自車線上における走行が継続されている状態である。一方先行車両A2の先行車確率の時間推移は増加傾向にあり、自車線に対して近づく方向に移動している状態である。
【0067】
時刻Tm1において先行車両A2が閾値Cr以上になったとき、すなわち先行車両A2が自車線上に移動してきたとき、判断手段21は、先行車両A2が自車線上に存在するという判断結果とともに、演算手段18による先行車両A1の相対距離と先行車両A2の相対距離とを比較し、先行車両A2の相対距離の方が先行車両A1の相対距離よりも短いとき、その判断結果を先行車確率出力手段23へ出力する。ちなみに先行車両A2の相対距離の方が先行車両A1の相対距離よりも長いとき、その判断結果は、フィルタ処理手段20へ出力され、先行車確率のフィルタ処理による算出が継続される。
【0068】
先行車両A1および先行車両A2がともに自車線上に存在するようになり、かつ先行車両A2の相対距離の方が、先行車両A1の相対距離よりも短いとき、先行車確率出力手段23は、時刻Tm1における先行車両A2の参照符号49にて示す先行車確率を、強制的に、先行車両A1の先行車確率よりも大きい参照符号50にて示す先行車確率にする補正を行なう。
【0069】
自車線上の自車両と先行車両A1との間に先行車両A2が割込みをしたにも関らず、先行車確率の大きい先行車両A1を運転動作制御対象としたのでは、相対距離が短く自車両の直近に存在する先行車両A2を無視することになり、安全上問題がある。したがって、前述のように、ともに自車線上に存在するようになった複数の先行車両のうち、自車両に最も近い距離に存在する先行車両を運転動作制御対象の先行車両とするべく、その先行車両の先行車確率を、残余の先行車両の先行車確率よりも大きくなるように強制的に補正することによって、先行車両推定を的確に行なうことが可能になる。
【0070】
図10は、本発明の実施の第1の態様である先行車両推定方法を説明するフローチャートである。図10に示す本態様では、先行車両の相対横位置をフィルタ処理によって算出する。ステップsd1では、判断手段21は、直前(前回)の先行車確率を先行車確率出力手段23から読出し、先行車確率が閾値Cr未満であるか否かを判断する。判断結果が肯定で、閾値Cr未満であるとき、ステップsd2へ進む。ステップsd2では、判断手段21の出力に応答し、フィルタ処理手段20が、非自車線用として予め定められるフィルタ定数、たとえばα=1、β=1のいわゆる2分の1(1/2)フィルタを用いて、先行車両の相対横位置XAを算出する。判断結果が否定で、閾値Cr以上であるとき、ステップsd3へ進む。ステップsd3では、判断手段21の出力に応答し、フィルタ処理手段20が、自車線用として予め定められるフィルタ定数、たとえばα=3、β=1のいわゆる4分の1(1/4)フィルタを用いて、先行車両の相対横位置を算出する。
【0071】
図11は、先行車確率に応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出した例を示す図である。図11中参照符号51にて示す算出例は、先行車確率が閾値Cr未満である場合を表し、参照符号52にて示す算出例は、先行車確率が閾値Cr以上である場合を表す。
【0072】
先行車確率が閾値Cr未満であるとき、たとえば前述の1/2フィルタを用いて相対横位置を算出すると、今回のスキャン時に演算される相対横位置XRと、前回のフィルタ処理による算出相対横位置XBとに同等の重み付けをしたことになるので、フィルタ処理の算出結果から得られる相対横位置の移動量(|XA−XB|)は大きく、応答性の高い検出結果が得られる。
【0073】
一方先行車確率が閾値Cr以上であるとき、たとえば前述の1/4フィルタを用いて相対横位置を算出すると、今回のスキャン時に演算される相対横位置XRよりも、前回のフィルタ処理による算出相対横位置XBに重み付けをしたことになるので、フィルタ処理の算出結果から得られる相対横位置の移動量(|XA−XB|)は小さく、応答性を抑えた検出結果が得られる。
【0074】
このように前回の先行車確率で自車線上に存在するか否かを判断し、未だ自車線上に存在しない先行車両に対しては、高い応答性で相対横位置を算出し、自車線上に存在する先行車両に対しては、応答性を抑えて相対横位置を算出することによって、緊急度に応じて先行車両の相対横位置の移動軌跡が平滑化されるので、先行車両の相対横位置情報に対する過度の応答が抑制されて自車両の円滑な運転動作が実現される。
【0075】
図12は、相対距離に応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出した例を示す図である。フィルタ処理手段20は、自車両と先行車両との相対距離TLに応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出することもできる。図12中参照符号53にて示す算出例は、自車両と先行車両との相対距離TLが短い場合(TLSと表記)を表し、参照符号54にて示す算出例は、自車両と先行車両との相対距離TLが長い場合(TLLと表記)を表す。
【0076】
先行車両の相対距離TLSが短いとき、たとえば前述の1/2フィルタを用いて相対横位置を算出すると、前回のフィルタ処理による算出相対横位置XBと、今回のスキャン時に演算される相対横位置XRとに同等の重み付けをしたことになるので、フィルタ処理の算出結果から得られる相対横位置の移動量(|XA−XB|)は大きく、応答性の高い検出結果が得られる。
【0077】
一方先行車両の相対距離TLLが長いとき、たとえば前述の1/4フィルタを用いて相対横位置を算出すると、今回のスキャン時に演算される相対横位置XRよりも、前回のフィルタ処理による算出相対横位置XBに重み付けをしたことになるので、フィルタ処理の算出結果から得られる相対横位置の移動量(|XA−XB|)は小さく、応答性を抑えた検出結果が得られる。
【0078】
このように自車両と先行車両との相対距離TLを求め、相対距離TLに応じて好適に選択されるフィルタ定数を用いて相対横位置を算出することによって、相対距離TLLが長く制御対象の先行車両として取扱う必要性の低いものについては、適度な応答性をもって運転動作を行ない、相対距離TLSが短く制御対象の先行車両として取扱う必要性の高いものについては、高い応答性をもって運転動作を実行することができるので、自車両の安全かつ円滑な運転が実現される。
【0079】
図13は、先行車両の自車線に対する移動方向を示す図である。フィルタ処理手段20は、自車線55に対する先行車両の移動方向に応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出することもできる。
【0080】
自車線55上を走行する先行車両56と自車両57との間に割込み動作を行う先行車両58(割込車両58と呼ぶ)に対しては、たとえば前述の1/2フィルタを用いて相対横位置XAを算出し、先行車両56と自車両57との間に位置し、自車線55上から離脱動作を行う先行車両59(離脱車両59と呼ぶ)に対しては、たとえば前述の1/4フィルタを用いて相対横位置XAを算出する。なお先行車両の移動方向は、先行車確率または相対横位置の時間推移から求めることができる。
【0081】
このように、割込車両58に対しては応答性高く相対横位置を算出し、離脱車両59に対しては応答性を抑えて相対横位置を算出することによって、割込車両58を早く自車線55上に存在するものとして推定し、離脱車両59を長く自車線55上に存在するものとして推定することができる。したがって、運転動作制御対象とするべき先行車両を自車線上に存在するものとして必要充分な時間捕捉することができるので、一層安全な運転動作を実現することができる。
【0087】
【発明の効果】
また本発明によれば、自車線上における先行車両存在の有無を推定する場合に、先行車確率と同様に重要な要素として用いられる相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行なうとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を先行車確率に応じて異なるように設定する。このことによって、先行車両の相対横位置の移動軌跡が平滑化されるので、先行車両の相対横位置情報に対する過度の応答が抑制されて自車両の円滑な運転動作が実現される。
【0088】
また自車両に対する先行車両の相対位置のうち、さらに相対距離を求め、相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を相対距離に応じて異なるように設定する。たとえば、相対距離が長いときには、応答性を低くするようにフィルタ定数を設定し、相対距離が短いときには、応答性を高くするようにフィルタ定数を設定する。このことによって、相対距離が長く運転動作制御対象の先行車両として取扱う必要性の低いものについては、適度な応答性をもって運転動作を行ない、相対距離が短く運転動作制御対象の先行車両として取扱う必要性の高いものについては、高い応答性をもって運転動作を行うことができるので、自車両の安全かつ円滑な運転が実現される。
【0089】
また本発明によれば、先行車両の移動方向であって自車両の走行する車線に近接する方向または離反する方向のいずれかの移動方向を求め、先行車両の相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を移動方向に応じて異なるように設定する。たとえば、先行車両が割込み動作をする際には、応答性を高くするようにフィルタ定数を設定し、先行車両が離脱動作をする際には、応答性を低くするようにフィルタ定数を設定することによって、割込み動作を行う先行車両を早く自車線上に存在するものとして推定し、離脱動作を行う先行車両を長く自車線上に存在するものとして推定することができる。このことによって、運転動作制御対象とするべき先行車両を自車線上に存在するものとして必要充分な時間捕捉することができるので、一層安全な運転動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の態様である先行車両推定方法に用いられるレーダ装置10の構成を簡略化して示すブロック図である。
【図2】レーダ装置10の動作の概略を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の第1の形態である先行車両推定方法を説明するフローチャートである。
【図4】先行車確率の初期値にオフセット値f1を用いた場合における先行車確率の時間推移を示す図である。
【図5】本発明の実施の第2の態様である先行車両推定方法を説明するフローチャートである。
【図6】先行車確率を閾値Crより少し低い補正値(Cr−α1)に強制的に補正した場合の先行車確率の時間推移を示す図である。
【図7】先行車確率を閾値Crより高い補正値(Cr+α2)に強制的に補正した場合の先行車確率の時間推移を示す図である。
【図8】本発明の実施の第3の態様である先行車両推定方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の第4の態様である先行車両推定方法を説明する図である。
【図10】本発明の実施の第5の態様である先行車両推定方法を説明するフローチャートである。
【図11】先行車確率に応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出した例を示す図である。
【図12】相対距離に応じて相異なるフィルタ定数を用いて先行車両の相対横位置を算出した例を示す図である。
【図13】先行車両の自車線に対する移動方向を示す図である。
【図14】先行車両との相対距離TLおよび相対横位置SLの関数として今回確率を求める方法を例示する図である。
【図15】マップによって今回確率を求める方法を例示する図である。
【図16】レーダ装置においてビームをスキャンしている状態の概略を示す図である。
【図17】従来技術のフィルタ処理によって求めた先行車確率を示す図である。
【図18】従来技術のフィルタ処理によって、先行車両が自車線から離脱する時の先行車確率を求めた図である。
【符号の説明】
10 レーダ装置
11 送信アンテナ
12 受信アンテナ
13 発振手段
14 受信手段
15 混合手段
16 A/D変換手段
17 信号処理手段
18 演算手段
19 今回確率導出手段
20 フィルタ処理手段
21 判断手段
22 MPU
23 先行車確率出力手段
30 車間制御ECU
31 車速センサ
32 ステアリング・ヨーレートセンサ
33 スロットル制御装置
34 制動装置
Claims (2)
- 自車両から電磁波または光波を発振し、先行車両による反射波を受信して得られる受信信号に基づいて自車両に対する先行車両の相対位置を求め、前記相対位置に応じて予め定められる確率であって前記相対位置から導出される今回確率を用いて自車両の走行する車線と同一車線上に存在する確度である先行車確率を算出し、算出される先行車確率が最大である先行車両を、車間制御するべき対象の先行車両であると推定する先行車両推定方法において、
自車両に対する先行車両の相対位置のうち、自車両の進行方向の車線の中央線に対して垂直方向に先行車両が離反している距離である相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行なうとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を前記先行車確率に応じて異なるように設定し、
自車両に対する先行車両の相対位置のうち、相対距離を求め、前記相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、先行車両の相対距離が短いときには、先行車両の相対距離が長いときよりも応答性が高くなるように、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を設定することを特徴とする先行車両推定方法。 - 自車両に対する先行車両の相対位置のうち前記相対横位置に関する情報に基づいて、先行車両の移動方向であって自車両の走行する車線に近接する方向または離反する方向のいずれかの移動方向を求め、
前記相対横位置を算出するに際してフィルタ処理を行うとき、フィルタ処理に用いるフィルタ定数を前記移動方向に応じて異なるように設定することを特徴とする請求項1記載の先行車両推定方法。
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