JP4183921B2 - 巻芯および巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体 - Google Patents

巻芯および巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体に使用される巻芯、および該巻芯が嵌挿されることにより、巻芯がなくても巻き姿が崩れない熱可塑性樹脂紐の巻体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体に使用される巻芯として、特開平10−101268号公報に長方形状板体の一端にくびれ部を有する引掛部が形成され、長方形状板体の他端内方に広幅部と狭幅部とからなる切欠きが形成され、該長方形状板体が湾曲されて引掛部が切欠きに嵌合係止されてなる巻芯が開示されている。
【0003】
しかしながら上記従来の巻芯では、長方形状板体一端の引掛部の最大幅が長方形状板体他端内方の切欠きの広幅部の幅に一致し、引掛部のくびれ部の幅が長方形状板体他端内方の切欠きの狭幅部に一致してなるので、該長方形状板体が湾曲されて引掛部が切欠きに嵌合係止して巻芯とし、該巻芯を熱可塑性樹脂紐巻体の中心の内腔部より縮めて嵌挿した後、巻芯の反発弾性により内腔部に沿うごとく拡げて使用される場合には、引掛部を切欠きに嵌合係止した後においても巻体の中心の内腔部に嵌挿しようとして巻芯を縮め過ぎた場合や、あるいはこの巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体の使用中において残りが少なくなった巻体に樹脂紐による強い引っ張り力がかかった際等に何らかの作用で巻芯が縮径されて引掛部が切欠きの広幅部から脱落して巻芯が長方形状板体に戻り、熱可塑性樹脂紐巻体の中心内腔部より脱落してしまう場合があるという欠点がある。さらには、前記巻芯をその中心内腔部に装着した状態の熱可塑性樹脂紐巻体ユニット(バンドリール)を梱包装置の取付け用リール側板(バンド支持片付)にセットする際に、巻芯が樹脂紐巻体と互いの幅方向にズレてしまって端部の樹脂紐が外れてしまうようなトラブルや、あるいは樹脂紐を送り込んだり停止したりという梱包装置の駆動にともなって前記巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体が梱包装置の巻紐の送り停止時に梱包装置の取付け用リール側板のバンド支持片付との間でスリップして梱包装置の回転よりも余分に慣性で回転して余計な樹脂紐を繰り出してしまってトラブル等の原因となる等不安定な動きをしてしまうといった問題点をはらんでいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如き巻芯の欠点に鑑み、本出願人は長方形状板体一端のくびれ部を有する引掛部の最大幅を長方形状板体の他端内方に形成された方形状切欠き孔の幅より広くすることで引掛部が切欠きから外れることなく上記欠点の解消に成功し、また前記巻芯を熱可塑性樹脂紐巻体の中心内腔部に装着した状態の熱可塑性樹脂紐巻体ユニット(バンドリール)を梱包装置にセットする際に確実に取付けでき、さらに梱包装置の駆動にともなって巻紐の送り停止時にも取付け用リール側板(バンド支持片付)の回転と完全に同調させて運転できるように巻芯を工夫して不安定な動きを防止することに成功し本発明を完成するに到ったのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明巻芯は、巻芯のない熱可塑性樹脂紐をコイル状に多数回巻いた巻体をセットして前記熱可塑性樹脂紐により被梱包物を梱包する自動梱包装置において前記巻体の内腔部に装着して使用する巻芯であって、長方形状板体の一端にくびれ部を有する引掛部が形成され、長方形状板体の他端内方に方形状切欠き孔が形成され、該方形状切欠き孔の幅が上記引掛部の最大幅より狭く、くびれ部の幅より僅かに広くなされ、方形状切欠き孔の対角線の長さが引掛部の最大幅より僅かに長くなされており、前記引掛部は、その向きを前記方形状切欠き孔の対角線と同じ向きにしたときに方形状切欠き孔内を通過可能であり、かつ前記引掛部を前記方形状切欠き孔に潜らせたのち引掛部の向きを前記長方形状板体と平行の向きにしたときには、前記引掛部が前記切欠き孔内を通過できずに係止状態が維持されるようにし、これによって前記長方形状板体が筒状に保持されるようにしたものである。
【0006】
また本発明巻芯は、長方形状板体一端のくびれ部を有する引掛部および長方形状板体他端内方の方形状切欠き孔が、複数ずつ対をなして形成されてなるものである。
【0007】
さらに本発明巻芯は、筒状に湾曲された長方形状板体の外壁に滑り止め部が形成されてなるものである。
【0008】
さらにまた本発明巻芯は、長方形状板体がステンレスチール板により形成されたものである。
【0009】
次に本発明巻芯は、長方形状板体の一方の長辺に沿って該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体の芯方向と逆方向の外周放射方向に向かって、該長方形状板体の板面と垂直な方向に突出して立上片が形成されたものである。
【0010】
そしてまた本発明巻芯は、長方形状板体の板面にその板体の長手方向と直交する方向に配設されて、該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出した突出片が形成されたものである。
【0011】
なおまた本発明巻芯は、長方形状板体の板面にその板体の長手方向と直交する方向で、該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出した折曲部が形成されたものである。
【0012】
そこでまた本発明巻芯は、折曲部が、この巻芯を装着させた熱可塑性樹脂紐巻体を梱包装置にセットする際に、その梱包装置の巻体装填用リールに備わった支持片に係止可能な形状・寸法となされたものである。
【0013】
あるいはまた本発明巻芯は、突出片または/および折曲部が、この巻芯を装着させた熱可塑性樹脂紐巻体を梱包装置にセットする際に、その梱包装置の巻体装填用リールに備わった支持片を挟み込むような配置で当接され、あるいは梱包装置の巻体装填用リールの支持片突出片または折曲部を挟み込んで当接されるようになされたものである。
【0014】
そして、本発明巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体は、巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体の中心の内腔部に巻芯が嵌挿されてなるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明巻芯および巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体について詳述する。
【0016】
図面において、Aは本発明巻芯、Bは熱可塑性樹脂紐巻体であって、巻芯AはABS樹脂、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の剛性を有する合成樹脂板、鋼、ステンレスチール等の金属板等、反発弾性を有する材料が用いられ作製された長方形状板体1からなる。
【0017】
また熱可塑性樹脂紐巻体Bはポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性合成樹脂を溶融してテープ状に押し出し成形により延伸加工して包装用紐とし、この紐を数千メートル単位で内腔部を有するドーナツ状に巻き取ったものである。
【0018】
巻芯Aを構成する長方形状板体1の一端にはくびれ部12を有する引掛部11が形成され、長方形状板体1の他端内方には方形状切欠き孔13が形成されている。
【0019】
引掛部11は長方形状板体1の一端から突出して一体に作製されたものであって、該引掛部11の幅は長方形状板体1の幅より狭く、該引掛部11の厚みは長方形状板体1の厚みと等しくなされている。また引掛部11と長方形状板体1の一端との間には引掛部11より細幅のくびれ部12が設けられている。
【0020】
方形状切欠き孔13は長方形状板体1の他端より内方に形成されたものであって、該方形状切欠き孔13の幅は上記引掛部11の最大幅より狭く、またくびれ部12の幅より僅かに広くなされている。そして、方形状切欠き孔13の対角線の長さは、引掛部11の最大幅より僅かに長くなされている。
【0021】
なお、引掛部11および方形状切欠き孔13は、例えば図3の実施形態の例のようにそれぞれが複数ずつ対をなして形成されてもよく、その場合もそれぞれの方形状切欠き孔13の幅は対をなす引掛部11の最大幅より狭く、くびれ部12の幅より僅かに広くなされている。
【0022】
図1において14は長方形状板体1が筒状に湾曲された場合にその外壁に形成された滑り止め部であって、長方形状板体1自身に凹凸や粗面加工が施されたり、摩擦係数の大きい塗料等の塗布層が形成されたり、あるいは摩擦係数の大きいゴムや樹脂等のシートが貼着される等の手段で設けられていればよい。
【0023】
しかして該長方形状板体1が筒状に湾曲され、長方形状板体一端の引掛部11が長方形状板体他端の方形状切欠き孔13に係止されて本発明巻芯Aとなされるが、引掛部11を方形状切欠き孔13に係止の際、引掛部11の向きを方形状切欠き孔13の対角線向きにして方形状切欠き孔13を潜らせ、引掛部11の向きを長方形状板体1と平行の向きにすれば、引掛部11が方形状切欠き孔13の縁に係止され、長方形状板体1が筒状に保持されて巻芯Aとなされるのである。
【0024】
このようにして形成された巻芯Aを熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部に嵌挿するためには、該巻芯Aの周方向の寸法を引掛部11と方形状切欠き孔13のクリアランス範囲内で縮めて熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部の円周寸法より小さくし、その状態で巻芯Aを熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部に嵌挿した後、巻芯Aを拡げて熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部周壁に密接させることによって、本発明巻芯を中心内腔部に装着させた熱可塑性樹脂紐巻体ユニットとなされるのである。
【0025】
ここで、《実施例》として本発明に係る巻芯の具体的な実施形態について詳述する。
長方形状板体1として厚さ0.5mmのステンレススチール板を用い、該長方形状板体1の寸法は図2のLの長さ760mm、幅(W)190mmとなされ、その一端から長さ150mm、最大幅110mmの引掛部11が突出されるとともに、該引掛部11と長方形状板体1の一端との間に長さ70mm、幅88mmのくびれ部12が設けられた。また、長方形状板体1の他端より80mm内方に長さ70mm、幅90mmの方形状切欠き孔13が形成された。なお、この方形状切欠き孔13の対角線の長さは114mmであった。
【0026】
該長方形状板体1の引掛部11を方形状切欠き孔13にあてがい、引掛部11の幅を方形状切欠き孔13の対角線向きに合わせて引掛部11を方形状切欠き孔13に潜らせた後、引掛部11を長方形状板体1の長さ方向と平行にして、引掛部11を方形状切欠き孔13の縁に引掛け、直径が210mmの巻芯Aとした。なお、巻芯Aの外壁にゴムシート状の滑り止め部14が2ケ所貼付けられた。
【0027】
一方、幅15mm、厚さ0.6mmのポリプロピレン製紐を2500m巻き取って、外径450mm、内腔部直径200mm、幅190mmの熱可塑性樹脂紐巻体Bが作製された。そしてこの熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部に、上記巻芯Aを図1のように押さえつつその直径をわずかに縮めて嵌挿した際、巻芯Aは再び拡径して熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部に密接されることにより、巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体が構成され、上述した特徴をもった巻芯に支持されることにより紙管のような廃棄物を発生しない熱可塑性樹脂紐巻体Bを問題なく使用出来た。
【0028】
次に、本発明に係る巻芯をその中心内腔部に装着させた状態の熱可塑性樹脂紐巻体ユニット(バンドリール)と梱包装置との関連で、巻芯をその中心内腔部に装着した状態の熱可塑性樹脂紐巻体ユニット(バンドリール)を梱包装置の取付け用リール側板(バンド支持片付)にセットする際にも巻芯が樹脂紐巻体と互いの幅方向にズレる心配のない巻芯の実施形態の例を図6により、また梱包装置の駆動に伴なって巻紐の送り・停止時に取付け用リール側板(バンド支持片付)の回転と完全に同調させて運転できるように工夫がなされた巻芯の実施形態の例を図7〜10により説明する。
【0029】
図4は、その側面にセットされた熱可塑性樹脂紐巻体から樹脂紐材料を繰り出しつつ梱包装置Cの内部に送り込み〔例えば図中破線で示す←x〕、梱包装置CのテーブルC−1上に載置された被梱包物Dを囲むように、梱包装置CのアーチC−2の全周から樹脂紐材料が巻き付けられて融着部C−3において樹脂紐端部どおしが融着固定されるような形態として梱包がなされる梱包装置Cにおいて、リール側板(本体側)C−4とリール側板(固定側)C−7とによって巻芯Aをその中心内腔部に装着させた状態の熱可塑性樹脂紐巻体Bの梱包バンドユニット(バンドリール)が固定される様子を表している。
【0030】
図5は、上記梱包装置Cの本体側面にセットされる本発明に係る巻芯の取付け状態を詳細に図示したものである。すなわち、あらかじめ縮径可能な筒状となされた巻芯Aをわずかに縮径させながら中心内腔部に装着させた熱可塑性樹脂紐巻体Bの梱包バンドユニットをバンド支持片C−5外周から押し込んでリール側板(本体側)C−4に押し付け、リール側板(固定側)C−7で熱可塑性樹脂紐巻体ユニットのもう一方の側面を押さえつけるようにしてシャフトC−6の先端にパーツC−8を螺入させて締め付け固定される様子を示している。
【0031】
ここにおいて、本実施形態の例ではリール側板(本体側)C−4から突設されたバンド支持片C−5は図5の(b)右の側面図の中に表す巻芯Aの円筒周囲に均等に配置された3本のバンド支持片C−5として示しているが、同様に巻芯Aの円筒周囲に均等に配置された4箇所が当接するような形態、その他巻芯Aより僅か小径の円筒状の支持筒状態のもの等があるが、以下図7〜10については本実施形態の例の如き3本のバンド支持片C−5形式のものを例に説明を行う。
【0032】
図6は、本発明に係る巻芯Aを構成する長方形状板体の長辺のうち一方の長辺に沿って、この長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体の芯方向と逆方向の外周放射方向に向かって長方形状板体板面と垂直な方向に突出した立上片15が形成された長方形状板体1を同図(a)に表し、それを筒状に湾曲させ筒状体の巻芯Aとしてこれをわずかに縮径させながら熱可塑性樹脂紐巻体Bの中心内腔部に装着させたうえ、図5で説明したように図4に示した梱包装置Cの本体側面にセットされるものであるが、巻芯Aを中心内腔部に装着させた熱可塑性樹脂紐巻体Bの梱包バンドユニットをバンド支持片C−5外周から押し込んでリール側板(本体側)C−4に押し付けようとする際、熱可塑性樹脂紐巻体Bの梱包装置C本体側の側面が本発明の立上片15に押し当てられるような方向にセッティングされる場合には、巻芯Aと熱可塑性樹脂紐巻体Bとがそれぞれの軸方向に互いにズレてセットされる心配がなく、熱可塑性樹脂紐巻体Bの内腔部の端部において樹脂紐巻体の端部が巻芯Aから飛び出して脱落する結果巻き状態が崩れるようなトラブルが発生する心配がまったくなくなるので好ましい。
【0033】
ここで、巻芯Aの筒状体の幅寸法Waが熱可塑性樹脂紐巻体Bの幅寸法Wbと同じ寸法かごく僅かに小さい場合には、中心内腔部に巻芯Aを装着させた熱可塑性樹脂紐巻体Bの梱包バンドユニットをリール側板(本体側)C−4とリール側板(固定用)C−7とで挟んで固定させた場合、C−4,7の両リール側板と熱可塑性樹脂紐巻体Bとの間に隙間を生じることなくこの梱包材料を確実にセットできるので、梱包操作中に梱包材料である梱包バンドユニットが蛇行や空回り等したりという不安定な動きによる梱包装置の運転トラブルがなくて好ましい。
【0034】
次に、図4に示したような自動梱包装置を運転する場合、梱包材料の樹脂紐を被梱包物に巻き付け→融着(同時に端部切断)という1回毎の梱包動作のたびに熱可塑性樹脂紐巻体Bを取り付けたリール側板(本体側,固定用)はその都度毎回転→停止という挙動を繰り返すわけで、巻芯Aとリール側板(本体側)に固定されたバンド支持片C−5との間で空回りが発生すると梱包材料の樹脂紐がまだ多量に有る場合は特に停止時にその慣性力による空回りのために余分な樹脂紐が繰り出されて次の回転時にもつれたりするようなトラブルの原因となるため、以下巻芯Aをリール側板(本体側,固定用)にセットした際にそれぞれが同調して回転・停止という挙動での運転ができるような工夫を巻芯Aに持たせた各実施の形態例について説明する。
【0035】
すなわち、図7〜10においてそれぞれ(a):長方形状板体1と、(b):それを筒状に湾曲させて筒状体の巻芯Aとして熱可塑性樹脂紐巻体の中心内腔部に装着させた状態のユニット(バンドリール)を梱包装置の取付け用リール側板(バンド支持片付)にセットして運転した場合の挙動を説明する図である。
【0036】
まず、図7(c)は、本発明の以下に述べる工夫をしなかった場合のトラブルについて表したものである。つまり、自動梱包装置の運転において回転→停止の挙動の繰り返しのなかで停止時にその慣性力による巻芯Aの空回りが起こって、巻芯Aを組立構成している長方形状板体1の一端に形成されたくびれ部12の先の引掛部11が梱包装置Cの支持片C−5に当たっている様子を表しているが、このような挙動を何度も繰り返していると最終的には長方形状板体1がくびれ部12の部分から折れるというトラブルが発生して巻芯Aの空回りを阻止できなくなるばかりか、破損によって巻芯Aが筒状体として機能しなくなって樹脂紐巻体が梱包装置の動作のなかで残りの材料が少なくなった段階には分解してしまって梱包装置に正常な材料供給が出来なくなるという恐れがあるわけである。
【0037】
そこで、図7(a)においては長方形状板体1の板面にその板体の長手方向と直交する方向に配設された突出片16が形成されたものであり、この突出片16は長方形状板体1が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出して形成されたものである。そして、同図(b)において、この長方形状板体1を筒状に湾曲させて筒状体の巻芯Aとして熱可塑性樹脂紐巻体の中心内腔部に装着させた状態で梱包装置の取付け用リール側板(バンド支持片付)にセットし運転した場合の巻芯Aと梱包装置の取付け用リール側板に固定された支持片C−5を簡略化して示したが、ここにおいて白矢印で示した梱包装置のリール側板の回転が停止した場合、熱可塑性樹脂紐巻体Bを伴った巻芯Aに形成された前記突出片16が梱包装置のリール側板に固定された支持片C−5に〔図中矢印←の如く〕当接することによって巻芯Aとリール側板(本体側,固定用)とが同調して回転・停止する動きの運転ができるわけである。
【0038】
なお、図7の実施の形態の例では突出片16は長方形状板体1の板体の一部が切り起こされて2つの突出片16として形成されているが、長方形状板体1の板体の長手方向と直交する方向に長辺の突出片16〔図5(a)中に描いたもの〕であってもよく、形成方法も板体の一部の切り起こしという方法に限定されず、例えば溶接などの手段で形成されていてもよい。
【0039】
そしてまた、図8においては長方形状板体1の板面にその板体の長手方向と直交する方向に突出した折曲部17が形成されたものであり、この折曲部1は長方形状板体1が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出して形成されたものである。そして、巻芯Aと梱包装置の取付け用リール側板に固定された支持片C−5を表した同図(b)において、白矢印で示した梱包装置のリール側板の回転が停止した場合、熱可塑性樹脂紐巻体Bを伴った巻芯Aに形成された前記折曲部17が梱包装置のリール側板に固定された支持片C−5に〔図中矢印←の如く〕当接することによって巻芯Aとリール側板(本体側,固定用)とが同調して回転・停止する動きの運転ができるわけである。
【0040】
なお、図8の実施の形態の例では折曲部17は長方形状板体1の板体の端部が角状に折り曲げられて形成されているが、長方形状板体1の板体の中程において同様に角状に折り曲げられたものや、あるいは単に重ね折りされただけのようなものであってもよい。
【0041】
さらにまた、突出片16や折曲部17等は梱包装置のリール側板に固定された支持片C−5と互いに相関性をもって形成されていてもよく、例えば図9の場合折曲部17が支持片C−5に係止可能な形状・寸法となされたもので、本実施の形態の例では折曲部17が成す角状の中に支持片C−5を差し込むような形態となされており、また例えば図10の場合には長方形状板体1の板面にその板体の長手方向と直交する方向に突出した2条の突出片16、16が形成されてそれらの間に支持片C−5を差し込むようにして巻芯Aが梱包装置のリール側板に取り付けられるものである。これらの方法においては、巻芯Aの折曲部17または突出片16、16が、支持片C−5を挟み込むようにして支持片C−5に当接する。これにより梱包装置のリール側板に固定された支持片C−5と巻芯Aとが一体的に構成され、熱可塑性樹脂紐巻体Bは梱包装置のリール側板によりしっかりとセットされた状態となり、なおいっそう巻き状態が崩れるようなトラブルが発生する心配がまったくなくて好ましい。
【0042】
上記実施の形態例では、梱包装置の巻体装填用リールに備わった支持片として3本のバンド支持片C−5形式のものを例に説明を行ってきたが、その他例えば巻芯Aより僅か小径の円筒状の支持筒状態のものからなる場合には梱包装置の支持筒の部分が切り欠かれるなどして巻芯Aに形成された突出片または折曲部等を挟み込んで(あるいは差し込んで)当接されるようになされているような場合にも上記詳述と同様の効果が発揮される。
【0043】
以上詳述してきた本発明巻芯を活用した場合、長方形状板体一端のくびれ部を有する引掛部の最大幅を長方形状板体の他端内方に形成された方形状切欠き孔の幅より広くすることで引掛部が切欠きから外れることなく使用でき、その巻芯を巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体の中心の内腔部に装着した状態の熱可塑性樹脂紐巻体ユニットを梱包装置にセットする際に確実に取付けでき、さらに巻紐の送り停止時にも取付け用リール側板の回転と完全に同調させて運転できるので熱可塑性樹脂紐巻体の個々には巻き芯を用いていないにもかかわらず巻き状態が崩れることなく、従来の巻き芯を用いる場合の梱包機械を改造することなく使用出来、巻芯のない熱可塑性樹脂紐の巻体を従来の巻き芯付き熱可塑性樹脂紐巻体ユニットと同様に使用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明巻芯は、長方形状板体の一端にくびれ部を有する引掛部が形成され、長方形状板体の他端内方に方形状切欠き孔が形成され、該方形状切欠き孔の幅が上記引掛部の最大幅より狭く、くびれ部の幅より僅かに広くなされ、方形状切欠き孔の対角線の長さが引掛部の最大幅より僅かに長くなされ、該長方形状板体が筒状に湾曲され、長方形状板体一端の引掛部が長方形状板体他端内方の方形状切欠き孔に係止されてなるので、該巻芯は周方向にはくびれ部の長さと方形状切欠き孔の長さの範囲内で伸縮が可能であるものの、引掛部と方形状切欠き孔との係止は周方向には解除されることがなく、巻芯が不用意に分解することがない。
【0045】
また本発明巻芯は、長方形状板体一端のくびれ部を有する引掛部および長方形状板体他端内方の方形状切欠き孔が複数ずつ対をなして形成されてなる場合は、引掛部と方形状切欠き孔との係止部分がバランス良く係止されるので、この長方形状板体が水平方向に曲折されても一層解除されがたい巻芯となされる。
【0046】
さらに本発明巻芯は、筒状に湾曲された長方形状板体の外壁に滑り止め部が形成されてなる場合は、この巻芯を熱可塑性樹脂紐巻体の内腔部に嵌挿した状態で梱包機の受け軸にセットし梱包作業を行う場合、梱包機が作動中に必要なだけの樹脂紐が繰り出される毎に梱包機の受け軸にブレーキがかかった際においても、熱可塑性樹脂紐巻体が巻芯上で空転して熱可塑性樹脂紐巻体の外層から余分な熱可塑性樹脂紐が繰り出されてしまってもつれるというようなトラブルが発生することがない。
【0047】
さらにまた本発明巻芯は、長方形状板体がステンレスチール板により形成されてなる場合は、該巻芯に汚れ等が付着しがたく熱可塑性樹脂紐を汚すようなことがなく、かつ巻体を梱包機にセットした際にも巻芯の耐磨耗性に優れているために好ましい。
【0048】
なおさらに本発明巻芯は、長方形状板体の一方の長辺に沿って該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体の芯方向と逆方向の外周放射方向に向かって、該長方形状板体の板面と垂直な方向に突出して立上片が形成された場合には、梱包装置に本発明巻芯を伴って熱可塑性樹脂紐巻体がそれぞれの軸方向に互いにズレることなくセットされるため、熱可塑性樹脂紐巻体の内腔部の端部において樹脂紐巻体の端部が巻芯から飛び出して脱落して巻き状態が崩れるようなトラブルを防ぐことができる。
【0049】
なおまた本発明巻芯においては、長方形状板体に形成された突出片や折曲部によって巻芯を梱包装置のリール側板(本体側,固定用)にセットした際それぞれが同調して回転・停止するという運転ができるような工夫がなされているため、梱包操作中に梱包材料である梱包バンドが空回りによって余分に繰り出されたりするような不安定な動きによる梱包装置の運転トラブルがなくて好ましい。
【0050】
そして、本発明巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体は、巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体の中心の内腔部に巻芯が後から嵌挿されてなるので、巻体の最内層の紐が巻芯で保護され、ばらけたり、もつれたり等することがなく、また本発明巻芯を用いることによって梱包機械を改造することもなく巻芯のない熱可塑性樹脂紐の巻体を従来の巻き芯付き熱可塑性樹脂紐巻体ユニットと同様に円滑に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明巻芯を熱可塑性樹脂紐巻体に嵌挿する状態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明巻芯の実施形態の例の組立を示す図であって、(a)は長方形状板体、(b)は引掛部を方形状切欠き孔に嵌挿する状態、(c)は完成した巻芯を示す、各斜視図である。
【図3】本発明巻芯の他の実施形態の例を示す斜視図である。
【図4】本発明巻芯が梱包装置にセットされる様子を表す斜視図である。
【図5】図4の細部を示す部分の(a):分解図、(b):セットされた状態の断面図,側面図である。
【図6】本発明巻芯のさらに他の実施形態の例を示す(a):平面図、(b):斜視図である。
【図7】本発明巻芯の別の実施形態の例を示す(a):長方形状板体、(b):それを装着させた状態での梱包装置の挙動を説明する図、(c):問題点を説明する図である。
【図8】本発明巻芯のさらに別の実施形態の例を示す(a):長方形状板体、(b):それを装着させた状態での梱包装置の挙動を説明する図である。
【図9】本発明巻芯のなおまた別の実施形態の例を示す(a):長方形状板体、(b):それを装着させた状態での梱包装置の挙動を説明する図である。
【図10】本発明巻芯のなおまたさらに別の実施形態の例を示す(a):長方形状板体、(b):それを装着させた状態での梱包装置の挙動を説明する図である。
【符号の説明】
A 巻芯
B 熱可塑性樹脂紐巻体
1 長方形状板体
11 引掛部
12 くびれ部
13 方形状切欠き孔
14 滑り止め部
15 立上片
16 突出片
17 折曲部
C 梱包装置
C−1 テーブル
C−2 アーチ
C−3 融着部
C−4 リール側板(本体側)
C−5 バンド支持片(ホルダー)
C−6 シャフト
C−7 リール側板(固定用)
C−8 締めつけパーツ
D 被梱包物

Claims (10)

  1. 巻芯のない熱可塑性樹脂紐をコイル状に多数回巻いた巻体をセットして前記熱可塑性樹脂紐により被梱包物を梱包する自動梱包装置において前記巻体の内腔部に装着して使用する巻芯であって、長方形状板体の一端にくびれ部を有する引掛部が形成され、長方形状板体の他端内方に方形状切欠き孔が形成され、該方形状切欠き孔の幅が上記引掛部の最大幅より狭く、くびれ部の幅より僅かに広くなされ、方形状切欠き孔の対角線の長さが引掛部の最大幅より僅かに長くなされており、前記引掛部は、その向きを前記方形状切欠き孔の対角線と同じ向きにしたときに方形状切欠き孔内を通過可能であり、かつ前記引掛部を前記方形状切欠き孔に潜らせたのち引掛部の向きを前記長方形状板体と平行の向きにしたときには、前記引掛部が前記切欠き孔内を通過できずに係止状態が維持されるようにし、これによって前記長方形状板体が筒状に保持されるようにした巻芯。
  2. 長方形状板体一端のくびれ部を有する引掛部および長方形状板体他端内方の方形状切欠き孔が、複数ずつ対をなして形成されてなる請求項1記載の巻芯。
  3. 筒状に湾曲された長方形状板体の外壁に滑り止め部が形成されてなる請求項1または2記載の巻芯。
  4. 長方形状板体がステンレスチール板により形成された請求項1、2または3記載の巻芯。
  5. 長方形状板体の一方の長辺に沿って該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体の芯方向と逆方向の外周放射方向に向かって、該長方形状板体の板面と垂直な方向に突出して立上片が形成された請求項1、2、3または4記載の巻芯。
  6. 長方形状板体の板面にその板体の長手方向と直交する方向に配設されて、該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出した突出片が形成された請求項1、2、3、4または5記載の巻芯。
  7. 長方形状板体の板面にその板体の長手方向と直交する方向で、該長方形状板体が筒状に湾曲された際の筒状体内側の芯方向に向かって突出した折曲部が形成された請求項1、2、3、4、5または6記載の巻芯。
  8. 折曲部が、この巻芯を装着させた熱可塑性樹脂紐巻体を梱包装置にセットする際に、その梱包装置の巻体装填用リールに備わった支持片に係止可能な形状・寸法となされた請求項7記載の巻芯。
  9. 突出片または/および折曲部が、この巻芯を装着させた熱可塑性樹脂紐巻体を梱包装置にセットする際に、その梱包装置の巻体装填用リールに備わった支持片を挟み込むような配置で当接され、あるいは梱包装置の巻体装填用リールの支持片突出片または折曲部を挟み込んで当接される請求項6または7記載の巻芯。
  10. 巻芯のない状態で熱可塑性樹脂紐がコイル状に多数回巻かれてなる巻体の中心の内腔部に、請求項1〜9いずれか1項に記載の巻芯が嵌挿されてなる巻芯付き熱可塑性樹脂紐巻体。
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