JP4181891B2 - 速度検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車等の車両における速度を検出する速度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような分野の技術として、車軸に取り付けられた歯車と対向して配設される磁極に巻かれた検出コイルと、検出コイルによって生成される出力信号が供給される信号処理装置とによるループ回路を有する速度検出装置が知られている。かかる装置では、検出コイルによって車軸の回転速度に応じた周波数の出力信号が生成され、信号処理装置に供給される。信号処理装置は、供給される出力信号の周波数に基づいて車軸の回転速度を検出している。また、かかる装置では、検出回路と信号処理装置とによってループ回路が形成されており、このループ回路に断線検知信号が送出されることによって、検出コイル等の切断が検出される断線検知機能が備えられている。かかる断線検知機能によって断線が検知された場合に列車を停止させることによって、その安全が確保されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−210601号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の速度検出装置は列車等に搭載されるものであり、その振動等によって歯車と磁極との距離が変動するので、検出コイルからの出力信号の信号レベルが大きく変動するという問題点がある。
【0005】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、断線検知機能を損なうことなく、歯車と磁極との距離変動があっても所定レベル以上の出力信号を信号処理装置に供給できる速度検出装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の速度検出装置は、車軸の回転に応じて回転する歯車と対向して配設される磁極に巻かれる検出コイルであって、車軸の回転速度に比例する周波数の出力信号を生成する検出コイルと、検出コイルとループ回路を形成し、検出コイルから供給される出力信号の周波数によって車軸の回転速度を検出すると共に、上記ループ回路に送出する断線検知信号に基づいて当該ループ回路における断線を検知する信号処理装置と、上記ループ回路と並列接続され、検出コイルからの出力信号を増幅してなる第1の増幅信号を生成する第1の増幅回路と、第1の増幅回路によって生成される第1の増幅信号を、上記ループ回路に接続された絶縁トランスによって検出コイルから供給される出力信号に重畳するように上記ループ回路に直列供給する増幅信号供給手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
かかる発明によれば、上記のループ回路に並列接続された第1の増幅回路によって検出コイルからの出力信号が所定レベル以上に増幅されてループ回路に直列供給されるので、ループ回路における断線検知機能を損なわず、検出コイルからの出力信号の信号レベルを所定レベル以上に高めて信号処理装置に供給することができる速度検出装置が提供される。
【0008】
また、本発明の速度検出装置においては、上記ループ回路と並列接続され、検出コイルからの出力信号を増幅してなる第2の増幅信号を生成する第2の増幅回路と、ループ回路に設けられたリレー接点、リレー接点の接続・切断を切り替えるリレー、及び第1の増幅回路及び第2の増幅回路に接続され、リレーを動作させる比較回路を有し、第1の増幅信号と第2の増幅信号を比較回路によって比較し、第2の増幅信号に比して第1の増幅信号の信号レベルが低い場合に、リレーを動作させてリレー接点を切断することにより信号処理装置への信号の供給を遮断する信号遮断手段とを更に備えることが好ましい。
【0009】
かかる構成によれば、第2の増幅信号と第1の増幅信号との比較に基づいて信号遮断手段が信号処理装置への信号の供給を遮断するので、ループ回路における断線検知機能によって第1の増幅回路の故障を検知することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態にかかる速度検出装置1について添付の図面を参照して説明する。図1は速度検出装置1の回路構成を概略的に示す回路図である。速度検出装置1は、検出コイル2と、検出コイル2とループ回路を形成するATS(Automatic Train Stop)装置4と、増幅部6と、故障検出部8とを備えて構成されている。
【0011】
検出コイル2は、速度発電機10に取り付けられるものである。ここで、速度発電機10について説明する。図2は速度発電機10の構成を概略的に示す図である。速度発電機10では、永久磁石12の両端に取り付けられた磁極14に検出コイル2が巻きつけられており、かかる磁極14は、列車等の車軸に取り付けられた歯車16と対向して配設されている。速度発電機10では、歯車16の回転速度に応じた周波数の電圧が検出コイル2に電磁誘導によって発生する。
【0012】
図1に戻り、検出コイル2は、かかる電圧による信号を出力信号としてATS装置4に供給する。速度検出装置1においては、検出コイル2とATS装置4によってループ回路が形成されており、ATS装置4は断線検知信号をこのループ回路に送出することによって、フィードバックの有無によって検出コイル2の断線等の異常を検出する。ATS装置4は、上記の断線検知信号のフィードバックがない場合に、列車を停止させることによって、列車の安全を確保する。
【0013】
増幅部6は、電力増幅回路18と、絶縁トランス20とを備える。電力増幅回路18は、上記のループ回路に並列接続され、検出コイル2による出力信号を入力とし、かかる出力信号を増幅してなる第1の増幅信号を生成する。電力増幅回路18による増幅率は、ATS装置4に供給すべき信号の電圧レベルに応じて定められるものであり、かかる増幅率は速度検出装置1が搭載される列車の仕様によって任意に設定することができる。絶縁トランス20は、電力増幅回路18によって生成される第1の増幅信号を上記のループ回路に直列供給する。したがって、ATS装置4には、検出コイル2から供給される出力信号と第1の増幅信号が重畳された信号が供給される。ATS装置4は、供給される信号の周波数によって車軸の回転速度を検出することができる。
【0014】
故障検出部8は、増幅回路22と、全波整流回路24と、全波整流回路26と、比較回路28と、リレー30とを備えて構成される。増幅回路22は、上記のループ回路に並列接続されている。増幅回路22は、検出コイル2によって出力される出力信号を増幅してなる第2の増幅信号を生成する。増幅回路22は、電力増幅回路18によって生成される第1の増幅信号と同程度の電圧に、検出コイル2からの出力信号を増幅する。
【0015】
全波整流回路24は、増幅回路22からの第2の増幅信号を全波整流し、全波整流回路26は、電力増幅回路18からの第1の増幅信号を全波整流する。比較回路28は、全波整流回路24によって全波整流された信号と全波整流回路26によって全波整流された信号とを比較する。すなわち、比較回路28は、第1の増幅信号と第2の増幅信号の電圧を比較し、第1の増幅信号の電圧が第2の増幅信号の電圧より低い場合には、リレー30を動作させて上記のループ回路に設けたリレー接点32を切断する。電力増幅回路18に異常が生じた場合には、第1の増幅信号の電圧が第2の増幅信号の電圧より低くなり、リレー接点32が切断される結果、ATS装置4の断線検知機能によって、第1の増幅信号の異常が検出される。
【0016】
次に、速度検出装置1の動作を、速度検出装置1の各要素によって出力される信号の一例を示す図3(a)〜(g)を参照しつつ説明する。ここで、図3(a)〜(b)は、時刻t1〜t2の間において電力増幅回路18に異常が生じる場合の信号の例を示している。
【0017】
まず、速度検出装置1においては、図3(a)に示すように、車軸の回転速度に応じた周波数の出力信号を検出コイル2がATS装置4に供給する。また、検出コイル2とATS装置4によるループ回路に並列接続された電力増幅回路18が、検出コイル2による出力信号を増幅してなる第1の増幅信号を図3(b)に示すように生成する。ここで、かかる例においては、時刻t1〜t2において電力増幅回路18に異常が生じている為、その間において第1の増幅信号は出力されていない。かかる第1の増幅信号は絶縁トランス20によって、上記のループ回路に直列供給され、検出コイル2による出力信号と重畳されてATS装置4に供給される。したがって、速度検出装置1では、検出コイル2及びATS装置4とによるループ回路における断線検知機能が損なわれることなく、ATS装置4には電力増幅回路18によって所定レベル以上に電圧が高められた信号が供給される。
【0018】
一方、電力増幅回路18による第1の増幅信号は、全波整流回路26によって図3(c)に示すように全波整流され、比較回路28へ出力される。また、検出コイル2による出力信号は、図3(d)に示すように、増幅回路22によって第1の増幅信号と同レベルの電圧に高められた第2の増幅信号として全波整流回路24に出力される。図3(e)に示すように第2の増幅信号は、全波整流回路24によって全波整流され、比較回路28に出力される。比較回路28は、全波整流回路24の出力と全波整流回路26の出力を比較し、全波整流回路26によって出力される信号の電圧が全波整流回路24によって出力される信号の電圧より低い場合に、図3(f)に示すようにリレー30をONにしてリレー接点32を切断する。かかる例においては、時刻t1〜t2の間においてリレー30がONにされ、その間においてリレー接点32が切断される。したがって、ATS装置4に供給される信号は、図3(g)に示すように、時刻t1〜t2の間において、遮断される。このように、速度検出装置1では、電力増幅回路18に異常が生じた場合にATS装置4への信号の供給が遮断されるので、ATS装置4によって電力増幅回路18の異常が検出される。
【0019】
以下、速度検出装置1の作用について説明する。速度検出装置1では、検出コイル2とATS装置4とによるループ回路に並列接続された電力増幅回路18が、検出コイル2からの出力信号を増幅してなる第1の増幅信号を生成し、絶縁トランス20が第1の増幅信号を上記のループ回路に直列供給する。したがって、かかる速度検出装置1では、検出コイル2とATS装置4とによるループ回路に備えられている断線検知機能は損なわれていない。そして、速度検出装置1では、検出コイル2からの出力信号を車軸の回転速度の検出に十分な電圧レベルに高めてATS装置4に供給することができる。
【0020】
また、電力増幅回路18に異常が発生した場合に、ループ回路に設けたリレー接点32が切断されるので、ATS装置4による断線検知機能がこの異常を検出することができる。その結果、電力増幅回路18に異常があり、車軸の回転速度を安定して計測できない事態に陥っても、ATS装置4がこれを検知して列車を停止させることができ、列車は安全に保たれる。
【0021】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。上記実施形態では列車を例にとって説明したが、本発明の思想は車軸に歯車を取り付けて速度を検出する車両一般に広く適用可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、断線検知機能を損なうことなく、歯車と磁極との距離変動があっても所定レベル以上の出力信号を信号処理装置に供給することができる速度検出装置が提供される。よって、この速度検出装置が搭載される車両の安全性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、速度検出装置の回路構成を概略的に示す回路図である。
【図2】図2は、速度発電機の構成を概略的に示す図である。
【図3】図3(a)は、検出コイルの出力信号の一例を示す図である。
図3(b)は、電力増幅回路が出力する信号の一例を示す図である。
図3(c)は、電力増幅回路に接続された全波整流回路が出力する信号の一例を示す図である。
図3(d)は、増幅回路が出力する信号の一例である。
図3(e)は、増幅回路に接続された全波整流回路が出力する信号の一例を示す図である。
図3(f)は、リレーが出力する信号の一例を示す図である。
図3(g)は、ATS装置に供給される信号の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…速度検出装置、2…検出コイル、6…増幅部、8…故障検出部、10…速度発電機、12…永久磁石、14…磁極、16…歯車、18…電力増幅回路、20…絶縁トランス、22…増幅回路、24…全波整流回路、26…全波整流回路、28…比較回路、30…リレー、32…リレー接点。
Claims (2)
- 車軸の回転に応じて回転する歯車と対向して配設される磁極に巻かれる検出コイルであって、車軸の回転速度に比例する周波数の出力信号を生成する検出コイルと、
前記検出コイルとループ回路を形成し、前記検出コイルから供給される前記出力信号の前記周波数によって前記車軸の回転速度を検出すると共に、前記ループ回路に送出する断線検知信号に基づいて当該ループ回路における断線を検知する信号処理装置と、
前記ループ回路と並列接続され、前記検出コイルからの前記出力信号を増幅してなる第1の増幅信号を生成する第1の増幅回路と、
前記第1の増幅回路によって生成される前記第1の増幅信号を、前記ループ回路に接続された絶縁トランスによって前記検出コイルから供給される前記出力信号に重畳するように前記ループ回路に直列供給する増幅信号供給手段と
を備える速度検出装置。 - 前記ループ回路と並列接続され、前記検出コイルからの前記出力信号を増幅してなる第2の増幅信号を生成する第2の増幅回路と、
前記ループ回路に設けられたリレー接点、当該リレー接点の接続・切断を切り替えるリレー、及び前記第1の増幅回路及び前記第2の増幅回路に接続され、前記リレーを動作させる比較回路を有し、前記第1の増幅信号と前記第2の増幅信号を前記比較回路によって比較し、前記第2の増幅信号に比して前記第1の増幅信号の信号レベルが低い場合に、前記リレーを動作させて前記リレー接点を切断することにより前記信号処理装置への信号の供給を遮断する信号遮断手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の速度検出装置。
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