JP4181356B2 - カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池又は空気電池を使用したカメラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、電源がオフの時には撮影レンズをカメラ本体内に沈胴状態にしておき、電源をオンにすると撮影レンズが組み込まれた移動筒が伸長して撮影レンズを所定の位置まで突出させた後、撮影が可能となるカメラが一般に広く普及している。このようなカメラでは、電源のオン、オフに応じて移動筒を伸縮させることにより収納時にはコンパクトになり撮影レンズも保護できる。また、デジタルカメラでは、撮影素子の駆動、液晶ディスプレイによる画像表示、画像データの読み書きなどの機能だけでなく音声録音、MP3オーディオ機能など多機能化しており、カメラの消費電力は増加している。
【0003】
しかし、カメラ本体は携帯性や操作性をよくするために、カメラの小型化、薄型化が要求されている。そこで特開2000−330163号公報では、ストロボ発光ユニットに備えられるコンデンサを円筒形からシート形状にし、コンデンサとストロボ基板間のリード線が短くなるようにカメラ内に配置することで、発光効率の向上と小型化、薄型化を図ることのできるカメラが提案されている。更に、特開2001−298646号公報では、薄型形状の電池とメモリーカード等の記録媒体を、撮影レンズが設けられている前面部とほぼ並行になるように着脱可能に装着することで、電子カメラとして要求される性能を満たすとともにカメラ本体を薄型化できる電子カメラ装置が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したようにカメラの薄型化、小型化に伴い電池を薄型にすると、多機能化したカメラの消費電力の増加によってカメラの使用時間が短くなってしまう。また、現在使用されている一次電池のアルカリ乾電池や2次電池のニッケル水素電池などでは、更なる小型化、薄型化が困難である。また、使い捨てされるアルカリ乾電池などは環境への問題も懸念されている。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、空気中に含まれる酸素を使用する燃料電池や空気電池をカメラの電池として使用し、レンズ鏡筒を構成している固定筒の周りに配置ことで、使用時間が長く、よりコンパクトで環境にもやさしいカメラを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるカメラは、撮影レンズが組込まれ、撮影に先立って収納位置から前方に突出されるとともに、撮影後は前記収納位置に戻される移動筒と、前記移動筒の前方への突出によって内部に空気を吸入させる逆止弁を有する吸入口と、前記移動筒の前記収納位置への移動によって前記内部の空気を排出させる逆止弁を有する排出口とが設けられた固定筒と、前記固定筒の前記排出口が設けられた外側に形成された電池室と、前記電池室に収容された燃料電池又は空気電池と、を備える。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明を実施したデジタルカメラの外観斜視図である。デジタルカメラ2の前面には、撮影レンズ4が組み込まれた移動筒5、ファインダ6を構成する対物側ファインダ窓7、被写体に向けてストロボ光を照射するストロボ発光部8、シャッタレリーズ操作に用いられるシャッタボタン9、ストロボ調光センサ10等が設けられている。移動筒5は、デジタルカメラ2が電源オフ状態にある時に、デジタルカメラ2の前面に設けられた固定筒12内に収納され、電源オンとともにデジタルカメラ2の前面から突出する。
【0009】
デジタルカメラ2の一方の側面には、メモリカード16がセットされるメモリカードスロット17が設けられている。このメモリカードスロット17の奥には、メモリカード16へのデータの読み書きを行なうメモリカードリーダが内蔵されている。メモリカードスロット17は、塵芥の侵入等を防止するために、開閉式の保護カバー18によって保護されている。他方の側面には、カメラの電源電池が収められている電池室の開口部を覆う電池室カバー28が開閉自在に備えてある。電池室カバー28には、カメラ本体内に備えられた電池室内に通じている換気穴29が形成されている。
【0010】
図2に示すようにデジタルカメラ2の背面には、ファインダ6を構成する接眼側ファインダ窓20、操作部21、ビューファインダとして機能する画像表示用LCD22等が設けられている。操作部21内には、電源ボタン24を含む複数の操作ボタン25〜27と、各種設定等の情報を表示する設定用LCD28とが設けられている。
【0011】
デジタルカメラ2は、オート撮影モード、マニュアル撮影モード、再生モード、動画撮影モード、音声録音モード等の複数の動作モードを備えており、これらの動作モードの切り換えは操作部21で行われる。
【0012】
図3はデジタルカメラ2の電源オンの状態を示す。電源ボタン24が押され電源がオンになると、カメラ本体内に沈胴し収納されていた移動筒5と中間筒11が前面側に突出し、撮影可能な状態になる。撮影者によってズーミング操作が行われると、移動筒5が前後に伸縮動作を行う。撮影が終了して電源がオフになると、突出していた移動筒5と中間筒11は再びカメラ本体の固定筒12内に収納される。(図1参照)
【0013】
図4に示すように、レンズ鏡筒は移動筒5、中間筒11、固定筒13から構成されている。固定筒13は筒部13とベース部14 と電池室15とから形成されている。移動筒5は撮影レンズ4を支持しており、この移動筒5の外周面には光軸Lに沿って移動するための駆動ピン36が光軸Lに対して180度回転対象に備えてある。中間筒11の外周面にはギア部37が形成されており、内周面には駆動ピン36が挿入される略円弧形状のカム溝38が駆動ピン36同様に光軸Lに対して180度回転対象に形成されている。固定筒12の筒部13の外周面には、移動筒5及び中間筒11を光軸L方向に沿って移動させるためのモータ41と、モータ41からの駆動力を中間筒11に伝達させるための駆動ギア42が備えられており、モーター41の駆動力を駆動ギア42を介して中間筒11に伝えると、中間筒11は回転しながら光軸L方向に移動する。さらに、駆動ピン36がカム溝38に押圧されて移動筒5が光軸L方向に移動する。
【0014】
また、図5にも示すように、固定筒12の筒部13の外周面には空気の吸入口43aと排出口43bが光軸Lに対して180度、回転対象の位置に備えてある。また、電池室15内には、カメラの電源である燃料電池45が排出口43bの近傍に備えてある。また、固定筒12がデジタルカメラ本体に組み込まれ、カメラの外装カバーが組み付けられると、電池室15に設けられた開口部15aが塞がれ密閉状態となるが、電池室カバー28に設けられた換気穴29によって電池室15内の空気が換気される。(図1参照)
【0015】
燃料電池45は、電解質を挟み付ける一方の電極に燃料(水素)を供給し、他方の電極に酸化剤(酸素)を供給することにより、この燃料と酸化剤とを電気化学的に反応させ、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。レンズ鏡筒をよりコンパクトにするために、電池室15に収納される燃料電池45はシート形状のものが好ましい。
【0016】
図5に示すように、移動筒5と中間筒11が固定筒12の筒部13内に収納されている。筒部13の内部にはフォーカスレンズ枠50がベース部14 に一体に形成されており、このフォーカスレンズ枠50にはフォーカスレンズ52を支持している支持枠53とフォーカス用モータのステッピングモータ55と送りねじ56が備えられている。ステッピングモーター55の駆動力は送りねじ56を介して支持枠53に伝達され、フォーカスレンズ52が光軸L方向に沿って移動され焦点調整が行われる。
【0017】
レンズ鏡筒5の背後にはCCDイメージサンサ60が基板61に実装されて備えられている。筒部13に設けられた吸入口43a,排出口43bの近傍には、それぞれ逆止弁63,64が備えられている。この逆止弁63,64は板状で弾性を有しており、一方の逆止弁63は筒部13の内周面側にビス止めされ吸入口43aを塞いで取り付けられており、他方の逆止弁64は筒部13の外周面側に同じくビス止めされ排出口43bを塞いで取り付けられている。逆止弁63、64は空気の吸気及び排気の逆流防止と、燃料電池45から排出される水をレンズ鏡筒内に吸い込むことによる結露防止の役割を果たしている。
【0018】
筒部13の下側には電池室15が備えてある。この電池室15は、筒部13とベース部14に一体に形成されており、電池室15の内部には燃料電池45を保持する保持部46が形成されている。燃料電池45はこの保持部46で保持され筒部13に備えられた排出口43bの近傍に備えられている。
【0019】
以上、上記の構成による作用について説明する。図6に示すように、デジタルカメラ2の電源が入れられ移動筒5と中間筒11がモータ41の駆動によってカメラ前面に突出されると、固定筒12の筒部13の内部と外部で圧力差が生じる。そのため、固定筒12の外側の空気が吸入口43aから筒部13内に逆止弁63を弾性変形させて入り込んでくる。もう一方の逆止弁64は筒部13の外周面側に備えてあるため、逆止弁64は固定筒の内部側に引っ張られ、開口部43bを塞いだままの状態になる。
【0020】
図7に示すように、デジタルカメラ2の電源が切られると突出していた移動筒5と中間筒11はモータ41を逆回転させ固定筒12の筒部13に収納される。その時に、吸入口43aからレンズ鏡筒の内部に吸い込まれた空気が、排出口43bより逆止弁64を弾性変形させながら排出される。その為、燃料電池45には新しい空気中の酸素が供給され電気エネルギーを得ることができる。また、撮影中のズーミング操作によって移動筒5が光軸Lに沿って動いたときにも、その都度、逆止弁63、64の開閉が行われ、常に空気の吸気と排気が行われることで燃料電池45に新しい空気が供給される。
【0021】
燃料電池45は、電池室15内に備えられているため、燃料電池45から排出される水がカメラ本体内に入り込むことはなく、この排出された水は電池室カバー28に設けられた換気穴29から外部に放出される。また、逆止弁64が排出口43bを塞いで備えられているため、レンズ鏡筒内に電池室15内の空気と水が入り込むことはない。
【0022】
電源として使用する電池は燃料電池に限らず、空気中の酸素を使用して電気エネルギーを得る空気電池を使用してもよい。この空気電池は電池内に備える正極活物質が空気中の酸素を使用するため、電池内に正極活物質を備える必要がなく、そのぶん負極活物質(亜鉛)を多く備えることができる。その為に同じサイズの電池と比べて電池容量、寿命が約2倍になるという利点がある。
【0023】
本実施例では、デジタルカメラに使用したが、ビデオカメラや写真カメラなどズーム操作などでレンズ鏡筒が伸縮する機能を持った各種カメラに使用してもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明のカメラによれば、燃料電池をデジタルカメラの電源用の電池として使用することで、空気中の酸素を使用するため環境にもやさしく、従来の電池に比べて電気容量が大きく使用時間も長くなる。さらに、固定筒に電池室15を設けて燃料電池を備えることで、移動筒と中間筒の光軸方向への移動によって新しい空気を燃料電池周辺に供給することができるので確実に電気エネルギーを得ることができ、よりコンパクトなカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの正面の外観斜視図である。
【図2】デジタルカメラの背面の外観斜視図である。
【図3】移動筒が撮影位置にあるときの外観斜視図である。
【図4】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図5】移動筒の沈胴時の断面図である。
【図6】移動筒の伸長時の断面図である。
【図7】移動筒の縮小時の断面図である。
【符号の説明】
2 デジタルカメラ
5 移動筒
11 中間筒
12 固定筒
13 筒部
14 ベース部
15 電池室
36 駆動ピン
43a 吸入口
43b 排出口
45 燃料電池
63、64 逆止弁
Claims (1)
- 撮影レンズが組込まれ、撮影に先立って収納位置から前方に突出されるとともに、撮影後は前記収納位置に戻される移動筒と、
前記移動筒の前方への突出によって内部に空気を吸入させる逆止弁を有する吸入口と、前記移動筒の前記収納位置への移動によって前記内部の空気を排出させる逆止弁を有する排出口とが設けられた固定筒と、
前記固定筒の前記排出口が設けられた外側に形成された電池室と、
前記電池室に収容された燃料電池又は空気電池と、
を備えたことを特徴とするカメラ。
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