JP4179933B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、泡対策を施したドラム式洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗濯機において使用される洗剤としては、泡立ちの多い非低発泡洗剤や泡立ちの少ない低発泡洗剤などがある。前者の非低発泡洗剤は、入手が容易で安価で種類も多いものであり、いわゆる縦型の洗濯機で使用されることが多い。一方、後者の低発泡洗剤は、ドラム式の洗濯機に好適する。つまり、ドラム式の洗濯機は、ドラムの回転によって洗濯物を持ち上げて落下させるたたき洗い方式(泡がたちやすい)なので、泡立ちの低い低発泡洗剤が好適する。
【0003】
ところで、非低発泡洗剤は従前より使用されていて、価格も安く、入手しやすいことから、この非低発泡洗剤を使用することも多い。この場合、ドラム式洗濯機において、洗い行程やすすぎ行程において泡が異常に発生することがある。
【0004】
泡の発生が多すぎると、水槽とドラムとの間の泡が、ドラムの回転抵抗となる不具合があり、さらには、すすぎに要する時間や水の量が多くなってしまうという問題もある。
【0005】
この対策として、泡発生検出手段を備え、泡の発生が異常であるときには、乾燥用給水弁を開いて、冷却ダクトから給水するようにして、泡の消去を図るようにしたものがある(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−33878号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記構成の場合、ドラムと水槽との間、あるいはドラム内の泡の消去が困難で、しかも、泡消去用の水が新たに供給されるため、洗い水位が設定水位より増加するといった問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、泡消去効果を向上でき、しかも水量が増加させることもないドラム式洗濯機を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、水槽と、
この水槽内に設けられ周壁に多数の孔部を形成したドラムと、
前記水槽内の泡の発生を検出する泡発生検出手段と、
水入口が前記水槽の下部に連通され水出口が前記水槽の上部から該水槽内に連通され、途中部に循環ポンプを備えた循環路と、
前記ドラムを正逆回転させる洗い行程において前記泡発生検出手段により泡の発生が検出されたときに、前記循環ポンプを駆動すると共に、洗濯水の一部を排出する制御手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
この請求項1の発明によれば、泡発生検出手段により泡の発生が検出されると、循環ポンプにより水槽内の水が該水槽上部から内部に供給される。この水はドラム外面にかかると共に、ドラム内部にも孔部から入り込む。この結果、水槽とドラムとの間の泡を良好に消去できると共に、ドラム内の泡も良好に消去でき、しかも水槽内の水を利用して泡を消去するから、水槽内の水量の増加を来たすことがない。
【0011】
さらにこの請求項1の発明によれば、循環ポンプの駆動と共に洗濯水の一部を排出するから、泡発生の防止に有効となる。
【0012】
また、請求項2の発明のように、洗い行程終了後の排水行程において循環ポンプを駆動するようにしても良い。このようにすると、排水行程においても泡消去を図りつつ排水を行うことができ、次に脱水行程を行う場合に泡乗り切りが良くなる。
【0013】
また、請求項3の発明のように、循環ポンプを駆動させると共にドラムを洗い行程時より低速又は短時間で正逆回転させるようにしても良い。このようにすると、ドラムの正逆回転により、内部の洗濯物の位置が変更されて水が洗濯物に満遍なくかかるようになり泡消去に一層効果的である。この場合、ドラムが洗い行程時より低速又は短時間で正逆回転されるから、ドラム回転による泡発生自体もない。
【0014】
さらには、請求項4の発明のように、脱水行程終了後のすすぎ行程前の給水行程において循環ポンプを駆動するようにしても良い。このようにすると、洗濯物に含まれる洗剤分を早く希釈できて泡発生を抑えることができる。つまり、水槽内への給水時においては水槽の底部から水が溜まっていく(ドラムの底部から水が溜まっていく)のみであるので、水が洗濯物に浸透するのに時間がかかって洗濯物に含まれる洗剤分を素早く希釈することは困難であるが、請求項4の発明では、水槽上部から内部へも水をかけるから、洗濯物に含まれる洗剤分を早く希釈できるのである。
【0015】
また、請求項5の発明のように、すすぎ行程において循環ポンプを駆動するようにしても良い。このようにすると、洗濯物に上からも水をかけることができて泡の発生を有効に防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施例につき図1ないし図6を参照して説明する。図2及び図3において、外箱1の前部には、洗濯物出入口2が形成されており、これは扉3によって水密に開閉されるようになっている。外箱1の内部には、前部に開口部4aを有する円筒状の水槽4が弾性支持機構4bを介して設けられており、この水槽4の内部には、周壁に多数の孔部5aを有する回転槽たるドラム5が回転可能に設けられている。このドラム5は水槽4後部に設けたDCブラシレスモータからなるモータ6により回転駆動されるようになっている。なお、前記外箱1の背面は上板部1a及び下板部1bに点検板1cを取り付けて構成されている。
【0017】
前記水槽4の開口部4aと洗濯物出入口2とはベロー7により水密且つ気密に連通されている。また、水槽4の底部には水溜め部8が設けられていて、その内部には温水用ヒータ9が配設されている。さらにこの水溜め部8には図示しないが排水口が形成されていて、この排水口に後述する循環路10及び排水路11が接続されている。
【0018】
前記水槽4の後部外部には熱交換器用のダクト12が図3にも示すように上下にわたって取り付けられており、その下部は水槽4の後部下部に形成された通気口13に連通され、上部はダクト14を介して送風機15の吸入側に接続されている。この送風機15の吐出側は内部に乾燥用ヒータ16を備えた加熱器17の一端に接続され、この加熱器17の他端はダクト18を介して水槽4の開口部4a上部に連通されている。なお、前記熱交換器用のダクト12の内部には除湿用の注水管19が配設されて熱交換器20が構成されている。乾燥行程においては、送風機15が駆動され、且つ加熱器17のヒータ16が通電されると、図示矢印Aで示すように、温風が、ダクト18、水槽4、ドラム5、通気口13、ダクト12、ダクト14、送風機15、加熱器17、そしてダクト18というように循環する。この循環時に、注水管19から水が散水されて温風中の湿気が除湿される。
【0019】
外箱1の内部上部には、給水弁21、風呂水ポンプ22、注水器23などが配設されており、給水弁21は、それぞれ独立して開閉される第1の給水口21aと第2の給水口21bを備えている。この給水弁21はその水入口21cが水道に接続されるようになっていて、第1の給水口21aが開放されると、水道水が前記注水器23、給水管23aを経て、水槽4の開口部4a上部から、水槽4内(ドラム5内)に供給されるようになっている。また、第2の給水口21bが開放されると、前記注水管19から熱交換器20内へ散水されるようになっている。
【0020】
熱交換器20のダクト12の上下ほぼ中間部には、該ダクト12内に連通するエアトラップ24が取り付けられており、このエアトラップ24からエアチューブ25が上方に延びて、外箱1内の上部に設けられた圧力センサ26に接続されている。これらエアトラップ24、エアチューブ25及び圧力センサ26により泡発生検出手段たる泡発生検出装置27が構成されている。
【0021】
この泡発生検出装置27は、水槽4内(ドラム5内)に発生した泡がダクト12内に入り込んで、前記エアトラップ24の下面開口を閉鎖してその内圧を高めるように作用すると、圧力センサ26が圧力上昇を検出して、泡発生(泡の異常発生)を検出するようになっている。
【0022】
さて、前記循環路10について説明する。水溜め部8の図示しない排水口には通水路28の一端部(循環路10の水入口)が接続されていて、これの他端部は分岐管29に接続されている。この分岐管29の一方の水出口は循環ポンプ30を経て水供給路31の一端部に接続され、この水供給路31の他端部は水槽4の上部(ドラム5の回転中心を通る垂直軸上)に形成された接続管部32(循環路10の水出口)に接続されている。なお上記水供給路31の途中部は蛇腹状に構成されている。
【0023】
一方、排水路11は、前記分岐管29の他方の水出口に、排水弁33と排水管34を接続すると共に、排水管34に溢水管35を接続して構成されている。この溢水管35の上端は前記ダクト12の上部に接続されている。前記通水管28は循環路10の一部及び排水路11の一部を構成するものである。
なお、水槽4の後部下部には水位センサ36(図3参照)が設けられている。
【0024】
次に電気的構成を示す図3において、操作入力部37は、図示しない操作パネルに設けられたスタートスイッチや、コース選択スイッチなどを有して構成されており、操作されたスイッチ信号を制御装置38に入力するようになっている。
【0025】
この制御装置38は制御手段たるものであり、マイクロコンピュータやA/Dコンバータなどを含んで構成されている。前記水位センサ36の出力や、泡発生検出装置27の圧力センサ26の出力がこの制御装置38に入力される。さらに、この制御装置38はインバータ回路39を介して前記モータ6を駆動制御すると共に、駆動回路40を介して、図示しない操作パネルに設けられた表示ユニット41、温水用ヒータ9、排水弁33、送風機15のファンモータ15a、乾燥用ヒータ16、循環ポンプ30のポンプモータ30a、風呂水ポンプ22及び給水弁21を駆動制御するようになっている。
【0026】
さて、上記制御装置38は、例えば、全自動コースが設定されてスタートスイッチがオン操作されると、図5及び図6に示すように洗い行程及びすすぎ行程を制御する。すなわち、まず、給水を設定水位まで行う(ステップS1〜ステップS3)。これにて、水が、水槽4及びドラム5内にその底部に回りこんで順次水位上昇して設定水位となる。そして、モータ6を所定時間正回転方向にオンし(ステップS4)、所定時間オフ(ステップS5)、所定時間逆回転方向にオンし(ステップS6)、所定時間オフして(ステップS7)、洗い行程を実行する。そして、泡発生検出装置27の圧力センサ26からの信号に基づいて、泡が発生しているか否かを判断し(ステップS8)、泡が発生していれば、所定時間例えば10秒間循環ポンプ30をオン(駆動)すると同時に、排水弁33を開放する(ステップS9〜ステップS12)。
【0027】
この場合循環ポンプ30のオンにより、水槽4内の水(洗濯水)が水供給路31を通して、水槽4上部から該水槽4内に供給される。これにて水がドラム5外面にかかることで水槽4及びドラム5間の泡が消去されると共に、一部の水がドラム5内に孔部5aから入ることによりドラム5内部の泡が消去される。同時に水槽4内の水が一部排水されることで泡発生が抑えられる。
【0028】
上記ステップS13の後あるいはステップS8の「NO」においては、洗い行程終了か(ステップS14、洗い時間が所定時間に達したか)否かを判断して洗い行程終了し、排水行程(ステップS15〜ステップS19)を実行する。この排水行程において、循環ポンプ30をオンするものであり、これにより、泡の消去を図りつつ排水ができる。この結果、次の脱水行程を行う場合に泡乗り切りが良くなる。
【0029】
次に脱水行程を行う(ステップS20〜ステップS22)。この脱水行程終了後のすすぎ行程前の給水行程(ステップS23〜ステップS26)において、循環ポンプ30をオンする(ステップS24)。これにより、給水時において、水槽4上部からドラム5内部へも水をかけるから、洗濯物に含まれる洗剤分を早く希釈できるのである。この後すすぎ行程を行う(ステップS27〜ステップS31)。このすすぎ行程においては、ステップS24で循環ポンプがオンされており、この結果、水が洗濯物に上からかかり、泡の発生を有効に防止できる。
【0030】
このように本実施例によれば、泡発生検出装置27により泡の発生が検出されると、循環ポンプ30により水槽4内の水が該水槽4上部から内部に供給される。この水はドラム5外面にかかると共に、ドラム5内部にも孔部5aから入り込む。この結果、水槽4とドラム5との間の泡を良好に消去できると共に、ドラム5内の泡も良好に消去でき、しかも水槽4内の水を利用して泡を消去するから、水槽4内の水量の増加を来たすことがない。
【0031】
また、洗い行程において、循環ポンプ30の駆動と共に洗濯水の一部を排出するようにしたから、泡発生の防止にさらに有効となる。
【0032】
さらに、洗い行程終了後の排水行程において循環ポンプ30を駆動するようにしたから、排水行程においても泡消去を図りつつ排水を行うことができ、次に脱水行程を行う場合に泡乗り切りが良くなる。
【0033】
さらには、脱水行程終了後のすすぎ行程前の給水行程において循環ポンプ30を駆動するようにしたから、洗濯物に含まれる洗剤分を早く希釈できて泡発生を抑えることができる。つまり、水槽4内への給水は水槽4の底部から水が溜まっていく(ドラム5の底部から水が溜まっていく)のみであるので、水が洗濯物に浸透するのに時間がかかって洗濯物に含まれる洗剤分を素早く希釈することは困難であるが、本実施例では、水槽4上部からドラム5内部へも水をかけるから、洗濯物に含まれる洗剤分を早く希釈できるのである。
また、すすぎ行程において循環ポンプを駆動するようにしたから、洗濯物に上からも水をかけることができて泡の発生を有効に防止できる。
【0034】
なお、上記第1の実施例においては、洗い行程終了後の排水行程において循環ポンプ30を駆動するようにしたが(ステップS15〜ステップS19)、本発明の第2の実施例として示す図7のように、循環ポンプ30を駆動させると共に、ドラム5を洗い行程時より短時間で正逆回転させる(ステップS01´〜ステップS04´)ようにしても良い。このようにすると、ドラム5の泡を発生しない程度の短時間回転による正逆回転により、内部の洗濯物の位置が変更されて水が洗濯物に満遍なくかかるようになり泡消去に一層効果的である。この場合、ドラム5を低速回転させるようにしても良い。また、泡発生検出手段としては、光センサで泡を検出する方式など、別の方式でも良い。さらに、上記ステップS11の「10秒」は適宜変更しても良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、泡消去効果が向上すると共に、水量の増加を来たすこともないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す循環路部分の斜視図
【図2】 全体の縦断側面図
【図3】 外箱の下板及び点検蓋を取外した全体の背面図
【図4】 電気的構成を示すブロック図
【図5】 制御内容を示すフローチャート
【図6】 制御内容を示すフローチャート
【図7】 本発明の第2の実施例に係り、制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
4は水槽、5はドラム、12はダクト、20は熱交換器、24はエアトラップ、26は圧力センサ、27は泡発生検出装置(泡発生検出手段)、30は循環ポンプ、38は制御装置(制御手段)を示す。
Claims (5)
- 水槽と、
この水槽内に設けられ周壁に多数の孔部を形成したドラムと、
前記水槽内の泡の発生を検出する泡発生検出手段と、
水入口が前記水槽の下部に連通され水出口が前記水槽の上部から該水槽内に連通され、途中部に循環ポンプを備えた循環路と、
前記ドラムを正逆回転させる洗い行程において前記泡発生検出手段により泡の発生が検出されたときに、前記循環ポンプを駆動すると共に、洗濯水の一部を排出する制御手段と
を備えたことを特徴とするドラム式洗濯機。 - 洗い行程終了後の排水行程において循環ポンプを駆動するようにしたことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
- 循環ポンプを駆動させると共にドラムを洗い行程時より低速又は短時間で正逆回転させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のドラム式洗濯機。
- 脱水行程終了後のすすぎ行程前の給水行程において循環ポンプを駆動するようにしたことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
- すすぎ行程において循環ポンプを駆動するようにしたことを特徴とする請求項1記載のドラム式洗濯機。
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