JP4179408B2 - ヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、第一部材と第二部材とを枢着するヒンジ装置並びに、例えば、本体と蓋部とをこのヒンジ装置で枢着した携帯電話やノート型パソコンなどの電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
カム係合(重合する部材が凹凸係合)することで所定の回動角度位置が係合保持されるヒンジ装置は、一般に金属若しくは樹脂製の収納筒にバネを収納すると共に、このバネに抗してスライド自在にして金属製のカム部材(係合部材)を回り止め状態に収納し、この収納筒に貫通架設する回動軸をこの係合部材に貫通すると共に、この係合部材と重合し所定回動角度位置で凹凸係合する金属製の重合カム部材(相対回動係合部材)を貫通し、この回動軸を支軸としてこの相対回動部材を係合部材に対して相対回動させると、互いの重合面に形成した凹凸部により所定回動位置でバネによる係合付勢によって係合保持され、再び相対回動させると、バネに抗して係合部材がスライド移動して凹凸係合は係脱し、相対回動できるように構成している。
【0003】
この収納部は回り止め外形状に構成され、第一部材若しくはこの第一部材に取り付ける第一取付部に設けた取付孔に挿入係合することで回り止め連結されて第一部材と共に回動するように構成し、他方の相対回動係合部材も回り止め外形状に構成され、これを第一部材若しくはこの第二部材に取り付ける第二取付部に設けた取付孔に挿入係合することで回り止め連結されて第二部材と共に回動するように構成している。
【0004】
従って、従来のこのようなヒンジ装置は、ヒンジ装置の相対回動する各側を、第一部材,第二部材の夫々の側に設けた取付孔に挿入することで回り止め状態に係合される構成であるため、例えば取付孔と収納筒との寸法誤差によりガタ付きが生じ、またこのガタによる捩れ,歪みが生じ易く、また、部品点数も多い。
【0005】
本発明は、このような現状に鑑み、収納筒にヒンジ部品を組み入れ、これを取付孔に挿入して回り止め連結するという従来の固定観念を打破し、更なるコストダウンを図ると共に、ガタ付きや、捩れ,歪みが生じることが少なく、安価にして剛性が良く、所定回動位置で精度良く係合保持できる画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
第一部材1と第二部材2とを枢着するヒンジ装置であって、第一部材1若しくは第二部材2に一体的に又はこの第一部材1若しくは第二部材2に取り付ける第一取付部3若しくは第二取付部4に、回動軸5を設ける収納部6を設け、この収納部6に付勢部材7を収納すると共に、この付勢部材7に抗して前記収納部6内の前記回動軸5方向にスライド移動自在となる係合部材8を回り止め状態に設け、この係合部材8と前記回動軸5方向に対向し、且つこの回動軸5を支軸として前記係合部材8に対して相対回動し得る相対回動係合部材9を、前記第二部材2若しくは第一部材1、又はこの第二部材2若しくは第一部材1に取り付ける第二取付部4若しくは第一取付部3に一体突出形成して、前記付勢部材7の付勢によって前記係合部材8とこの係合部材8に対向配設した前記相対回動係合部9とが重合するように構成し、この係合部材8の重合面に形成した凹凸部13と凹凸係合する凹凸部13を前記相対回動係合部材9の重合面に形成し、所定回動位置で互いの重合面に形成した凹凸部13による凹凸係合によってこの所定回動位置が付勢係合保持されるように構成し、更に、第一部材1若しくは第二部材2に一体的に又はこの第一部材1若しくは第二部材2に取り付ける第一取付部3若しくは第二取付部4に、前記収納部6と略同形状の軸受部10を該収納部6の対向位置に設け、且つ、前記相対回動係合部材9と対向する回動支持部材11を該相対回動係合部材9と一体に設け、前記回動軸5を前記回動支持部材11に挿通して、該回動軸5の端部を前記軸受部10に軸支したことを特徴とするヒンジ装置に係るものである。
【0008】
また、前記収納部6は、貫通若しくは凹設した孔部若しくは凹部を有する樹脂部材で構成し、この収納部6の開口奥行方向に前記回動軸5を架設したことを特徴とする請求項1記載のヒンジ装置に係るものである。
【0009】
また、前記収納部6に対して回り止め状態に収納配設される前記係合部材8と、前記回動軸5を支軸としてこの係合部材8に対して相対回動する前記相対回動係合部材9とは、前記収納部6に収納配設した前記付勢部材7により前記係合部材8が前記相対回動係合部材9に押圧付勢されて互いに重合し、所定回動位置で互いの重合面に形成した凹凸部13による凹凸係合によってこの所定回動位置が付勢係合保持されるように構成し、前記係合部材8に対して前記相対回動係合部材9を相対回動する際は、前記係合部材8は前記付勢部材7に抗して前記収納部6内方へスライド移動しつつ凹凸係合が係脱して相対回動し得るように構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0010】
また、前記回動軸5,前記係合部材8及び前記相対回動係合部材9は金属製としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0011】
また、前記収納部6の対向位置に軸受部10を設け、一端を前記収納部6の底部側に軸支し他端を前記軸受部10に軸支して、前記回動軸5を前記収納部6の開口奥行方向に架設状態に設け、前記第二取付部4若しくは第一取付部3にこれに設ける前記相対回動係止部材9と対向する位置に回動支持部材11を設け、前記回動軸5が貫通する貫通孔12を前記係合部材8,前記相対回動係止部材9及び前記回動支持部材11に設け、この回動軸5を支軸として前記第二部材2若しくは前記第一部材1の回動に伴って前記相対回動係合部材9及び前記回動支持部材11が回動し、前記相対回動係合部材9は前記係合部材8に対して相対回動し得るように構成したことを特徴とする請求項1〜4記載のヒンジ装置に係るものである。
【0012】
また、前記第一部材1若しくは前記第二部材2に取り付ける樹脂製の前記第一取付部3若しくは前記第二取付部4に前記収納部6を一体形成し、金属製の前記第二取付部4若しくは第一取付部3に前記相対回動係止部材9を一体形成し、前記収納部6に金属製の前記回動軸5を架設し、この収納部6内に前記付勢部材7を収納すると共に、この回動軸5に貫通孔12を貫通させて金属製の前記係合部材8を前記収納部6に回り止め状態にして回動軸5方向にスライド移動自在に設け、この金属製の係合部材8及び相対回動係合部材9の重合表面に所定相対回動位置で凹凸係合保持される凹凸部13を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒンジ装置に係るものである。
【0013】
また、前記請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒンジ装置を枢着部に用いたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器に係るものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0015】
従来構造のように、第一部材1,第二部材2の一方側に設ける取付孔に収納筒を挿入して回り止め係合するのではなく、この第一部材1,第二部材2の一方側、即ち、第一部材1若しくは第二部材2に一体的に又はこの第一部材1若しくは第二部材2に取り付ける第一取付部3若しくは第二取付部4に直接収納部6を設け、この収納部6に回動軸5を架設すると共に付勢部材7を収納し係合部材8を回り止め状態にしてスライド移動自在に設ける構成とする。
【0016】
また、従来構造のように第一部材1と第二部材2の他方側に設ける取付孔に相対回動部材を挿入して回り止め係合するのではなく、この第一部材1,第二部材2の他方側、即ち、前記第二部材2若しくは第一部材1に一体的に又はこの第二部材2若しくは第一部材1に取り付ける第二取付部4若しくは第一取付部3に、直接相対回動係合部材9を設け、この係合部材8を回動軸5を支軸として係合部材8に対して相対回動するように構成する。
【0017】
即ち、収納部6に対して回り止め状態に収納配設される係合部材8と、回動軸5を支軸としてこの係合部材8に対して相対回動する相対回動係合部材9とは、収納部6に収納配設した付勢部材7により係合部材8が相対回動係合部材9に押圧付勢されて互いに重合し、所定回動位置で互いの重合面に形成した凹凸部13による凹凸係合によってこの所定回動位置が付勢係合保持されるように構成し、係合部材8に対して相対回動係合部材9を相対回動する際は、係合部材8は付勢部材7に抗して前記収納部6内方へスライド移動しつつ凹凸係合が係脱して相対回動するように構成する。
【0018】
従って、第一部材1若しくは第二部材2の一方側に直接設けた収納部6内で付勢部材7に抗してスライド移動する係合部材8に対して、他方側に直接設けた相対回動係合部材9を相対回動させて所定の回動位置で凹凸係合するように構成するため、部品点数が削減でき、それだけコストダウンを実現できるだけでなく、取付孔に収納筒を挿入して回り止め係合する従来の構成に比して、寸法誤差によるガタ付きやこのガタによる横方向の捩れや歪みは生じにくく、剛性のある構成となり、精度良く所定の回動位置で係合保持できる画期的なヒンジ装置となる。
【0019】
【実施例】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、操作部を設けた本体部を第一部材1とし、これと重合するディスプレイ部を設けた蓋部を第二部材2とし、これが互いに重合した閉塞状態から蓋部を立ち起こし回動させて開放状態とする携帯電話のヒンジ装置に本発明を適用したもので、開放状態を係合保持するため所定の開放角度位置で凹凸係合して係合保持され、また閉塞状態では凹凸係合途中にあってこのカム係合付勢と付勢部材7による係合付勢によって閉塞付勢された状態となるように凹凸部13を形成した構成としている。以下、本実施例のこのヒンジ装置について説明する。
【0021】
本実施例では、第二部材2(蓋部)に取り付ける樹脂製の第二取付部4に、回動軸5を貫通架設する樹脂製の筒状の収納部6を一体突出成形し、この収納部6に付勢部材7(バネ)を収納すると共に、この付勢部材7に抗して収納部6内に架設した前記回動軸5方向にスライドガイド部14に沿ってスライド移動自在となる金属製の係合部材8をこのスライドガイド部14との係合によって収納部6に対して回り止め状態に設け、前記付勢部材7による付勢によってこの係合部材8と重合して凹凸係合しこの凹凸係合した所定回動位置が係合保持され、前記回動軸5を支軸として前記係合部材8に対して相対回動し得る金属製の相対回動係合部材9を、第一部材1(本体部)に取り付ける金属製の第一取付部3に一体突出形成した構成としている。
【0022】
即ち、内側に挿入開口部を有し、外側には回動軸5の軸取付孔15を有する筒状の収納部6を樹脂製の第二取付部4に一体樹脂形成し、この収納部6内に架設配設した回動軸5に貫通孔12を貫通させて収納部6の挿入開口部から付勢部材7と共に係合部材8を挿入し、この係合部材8を収納部6に設けたスライドガイド部14に係合して、付勢部材7に抗して係合部材8を回動軸5並びにスライドガイド部14に沿って収納部6内でスライド移動し得るように構成し、また一方この回動軸5を支軸としてこの係合部材8に対して相対回動する相対回動係合部材9をこの係合部材8に対向配設し、収納部6に収納配設した前記付勢部材7によりこの係合部材8と相対回動係合部材9とが前記相対回動係合部材9に押圧付勢されて互いに重合し、所定回動位置で互いの重合面に形成した凹凸部13による凹凸係合によってこの所定回動位置が付勢係合保持されるように構成し、前記係合部材8に対して前記相対回動係合部材9を相対回動する際は、前記係合部材8は前記付勢部材7に抗して前記収納部6内方へスライド移動しつつ凹凸係合が係脱して相対回動し得るように構成している。
【0023】
更に具体的に説明すれば、内側に挿入開口部を有し外側に回動軸5の端部を係止する軸取付孔15を有する樹脂製の収納部6の対向位置にこの収納部6と略同形状の軸受部10(収納凹部は形成しておかず、単に回動軸5を挿通する軸取付孔15が形成されている)を設け、回動軸5の一端を前記収納部6の外側(底部側の)軸取付孔15に軸支し他端を軸受部10の軸取付孔15に軸支して、前記回動軸5を前記収納部6の開口奥行方向に架設状態に設ける構成としている。
【0024】
また、第一部材1(本体部)に取り付ける金属製の第一取付部3に、前記収納部6内の挿入開口部から露出配設される係合部材8と対向する位置に配設する相対回動係合部材9と前記軸受部10に近接する位置に配設する回動支持部材11とを対向状態に一体突出形成し、この金属製の相対回動係合部材9と回動支持部材11とに貫通孔12を設け、この貫通孔12に回動軸5を貫通し、この回動軸5を支軸として前記第二部材2を前記第一部材1に対して回動するに伴って前記相対回動係合部材9及び前記回動支持部材11が相対回動し、前記相対回動係合部材9は回動軸5に設ける止具16によりスライド固定された状態で前記係合部材8に対して相対回動し得るように構成している。
【0025】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【0026】
例えば、本実施例では、片側に収納部6,反対側に軸受部10を設けてこの間に回動軸5を架設し、片側の収納部6に付勢部材7,係合部材8を組み入れ、この係合部材8に相対回動係合部材9を重合したが、軸受部10をも収納部6として使用できるように筒状に形成し、左右双方の収納部6に夫々付勢部材7,係合部材8を組み入れ、回動支持部材11をも相対回動係合部材9とし、左右双方の相対回動係合部材9で左右の係合部材8と重合させ、左右双方において凹凸係合保持するように構成しても良い。
【0027】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したから、収納筒にヒンジ部品を組み入れ、これを取付孔に挿入して回り止め連結するという従来の固定観念を打破し、更なるコストダウンを図ると共に、ガタ付きや、捩れ,歪みが生じることが少なく、安価にして剛性が良く、所定回動位置で精度良く係合保持できる画期的なヒンジ装置並びにヒンジ装置を用いた電子機器となる。
【0028】
また、請求項2,3,4,5,6記載の発明においては、本発明を簡易な構成で容易に実現でき、一層実用性に秀れた画期的なヒンジ装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の概略構成斜視図である。
【図2】本実施例のヒンジ装置の組み付け状態の説明斜視図である。
【図3】本実施例のヒンジ装置の分解説明斜視図である。
【図4】本実施例のヒンジ装置の別角度から見た分解説明斜視図である。
【図5】本実施例の回動途中のヒンジ装置の作動説明断面図である。
【図6】本実施例の係合保持時のヒンジ装置の作動説明断面図である。
【符号の説明】
1 第一部材
2 第二部材
3 第一取付部
4 第二取付部
5 回動軸
6 収納部
7 付勢部材
8 係合部材
9 相対回動係止部材
10 軸受部
11 回動支持部材
12 貫通孔
13 凹凸部
Claims (1)
- 第一部材と第二部材とを枢着するヒンジ装置であって、第一部材若しくは第二部材に一体的に又はこの第一部材若しくは第二部材に取り付ける第一取付部若しくは第二取付部に、回動軸を設ける収納部を設け、この収納部に付勢部材を収納すると共に、この付勢部材に抗して前記収納部内の前記回動軸方向にスライド移動自在となる係合部材を回り止め状態に設け、この係合部材と前記回動軸方向に対向し、且つこの回動軸を支軸として前記係合部材に対して相対回動し得る相対回動係合部材を、前記第二部材若しくは第一部材、又はこの第二部材若しくは第一部材に取り付ける第二取付部若しくは第一取付部に一体突出形成して、前記付勢部材の付勢によって前記係合部材とこの係合部材に対向配設した前記相対回動係合部とが重合するように構成し、この係合部材の重合面に形成した凹凸部と凹凸係合する凹凸部を前記相対回動係合部材の重合面に形成し、所定回動位置で互いの重合面に形成した凹凸部による凹凸係合によってこの所定回動位置が付勢係合保持されるように構成し、更に、第一部材若しくは第二部材に一体的に又はこの第一部材若しくは第二部材に取り付ける第一取付部若しくは第二取付部に、前記収納部と略同形状の軸受部を該収納部の対向位置に設け、且つ、前記相対回動係合部材と対向する回動支持部材を該相対回動係合部材と一体に設け、前記回動軸を前記回動支持部材に挿通して、該回動軸の端部を前記軸受部に軸支したことを特徴とするヒンジ装置。
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