JP4178918B2 - フランジカップリング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフランジカップリングに係り、特に原子力用ポンプ等の大型の回転軸の締結に好適なフランジカップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフランジカップリングの例が、特許文献1に記載されている。この公報に記載のカップリングは原子炉再循環ポンプに用いられており、縦軸型のモータの下側に配置された縦軸型のポンプの軸とモータ軸とを接続している。モータ軸とフランジ部材との嵌め合いは隙間嵌めであり、モータ軸とフランジ部材が相対的に軸方向に移動可能になっている。駆動トルクは滑りキーを用いて伝達される。ポンプ軸とフランジ部材は、ボルトにより剛に結合されている。
【0003】
組立時には、ポンプ軸及びフランジ部材は自重により降下しており、フランジ部材に固定したスペーサプラグとモータ軸との間には上下方向に2〜3mmの隙間が形成されている。運転時にはポンプ軸に上向きの軸方向荷重が作用してポンプ軸が上昇し、モータ軸の下端とスペーサプラグが接触する。これにより、ポンプ軸の軸方向荷重がモータ軸に伝達される。モータ軸に伝達された軸方向荷重は、モータ軸の軸受で支持される。
【特許文献1】
特開平5−18468号公報(図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載のカップリングでは、モータ軸とカップリングの外筒カバーとの間に半径方向隙間があるので、モータ軸に対して外筒カバー位置が同心にならないまたは傾いてしまうおそれがある。また、モータ軸に対して外筒カバーが傾くと、軸方向荷重を受ける接触面が片当たりして過大な局所応力になりへたり(塑性変形)が発生するおそれがある。このへたりは、心ずれや角度ずれの増加を引き起こす。さらに、ポンプ軸の軸方向荷重がカップリングに曲げモーメントとして作用し、スライド接触部の端部のへたりや軸方向に移動時のかじりとして現われ、心ずれや角度ずれを増大させるおそれがある。心ずれや角度ずれは軸振動の増加につながるので、これを回避するために多大な労力を費やす必要がある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の不具合に鑑みなされたものであり、その目的は原子力ポンプ等で用いられるフランジカップリングの信頼性を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、フランジカップリングが第1の軸に嵌合される第1のカップリング部材と、第2の軸に結合して前記第1のカップリング部材と締結される第2のカップリング部材とを有する。そして、この構成において第1の特徴は、第1の軸における第2のカップリング部材側の端部が球面形状を有し、第2のカップリング部材に保持され第1の軸の端部と接触する面が凹んだ球面を有する受圧部材を備えることにある。
【0007】
また第2の特徴は、第1の軸に保持されこの第1の軸の取付け部外径よりも大径の外径を有するリングと、前記第2のカップリング部材に保持されこのリングに当接する受圧部材とを備えることにある
【0008】
上記特徴において、第1のフランジ部材と第1の軸とを第1の滑りキーを用いて軸方向に相対的に移動可能にするのがよく、第1の滑りキーが嵌合するキー溝を第1のフランジ部材に、第1の滑りキー部におけるキーとキー溝間の隙間よりも小さくするのが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明のいくつかの実施例を、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るフランジカップリングの一実施例の縦断面図である。フランジカップリングは、上側軸2に嵌合する第1のカップリング部材1aと、下側軸に嵌合する第2のカップリング部材1bとを有し、それぞれのカップリング部材1a,1bのフランジ部30a,30bにおいて、ボルト21およびナット22で締結されている。
【0011】
上側軸2はカップリング部材1aに、半径方向の隙間3を形成して嵌合しており、上側軸2とカップリング部材1aは相対的に軸方向に移動可能になっている。また、上側軸2の外周部には、第1のカップリング部材1aがこの上側軸2に対して周方向に移動するのを防止する滑りキー4用のキー溝13が形成されている。同様に、第1のカップリング部材1aの内周側にもこの滑りキー4位置に対応してキー溝5が形成されている。キー4は溝13に固定される。
【0012】
第2のカップリング部材1bの内側には、一方の面が上側軸2に接触し、他方の面がだい2のカップリング部材1bに接触するスペーサプラグ(受圧部材)6が保持されている。スペーサプラグ6は中央部に凹み41を有し、この凹みの周縁部7は傾斜したテーパー構造となっている。この周縁部7のテーパー形状は、上側軸2の端部に形成した面取り部2aの形状に合致するように形成されている。上側軸2の面取り部2aからスペーサプラグ6の周縁部7に、上側軸2の荷重が負荷されるので、周縁部7は受圧面となる。
【0013】
このように構成した本実施例のフランジカップリングの作用および機能について、以下に説明する。図示しない駆動源で発生した駆動トルクは、上側軸2に固定した滑りキー4を介して、カップリング部材1aに伝達される。それとともに、上側軸2に関係する軸方向荷重はカップリング部材1bに保持されたスペーサプラグ6の受圧面7に伝達される。本実施例では、受圧面7をテーパ形状にしたので、軸方向荷重が発生すると上側軸2の中心がスペーサプラグ6の中心に移動する調心力が発生して、上側軸2とカップリング部材1aとの心ずれを減少させる。
【0014】
テーパ面7の軸直角方向からの傾き角度をθとすると、この傾き角度θが90°に近くなれば受圧面7の面圧が非常に大きくなる。その場合、受圧面7にへたりが発生しやすくなる。保守性を向上させるために、縦型軸では軸方向荷重が無いと自重により下側軸とカップリング部材1bを下降するようにしている。すなわち、軸方向荷重をF、受圧面7の摩擦係数をμ、下側軸20の自重をmとすると、(式1)の関係が成立するように各値を設定する。
【0015】
θ≦arctan(m/μF) (式1)
ところで、カップリング部材1aと上側軸2との軸心が角度ずれを発生すると、軸方向荷重の受圧面7と、上側軸2がカップリング部材1aの端部に対向する面であるスライド接触部の上端部9に片当たりが発生する。それにより、局所的に大きな接触応力が発生する。そこで、上側軸2の軸端部8とスライド接触部の上端部9を局所的に硬化させる。この硬化処理には、浸炭焼き入れや窒化処理などを用いる。この硬化処理により、軸方向荷重の受圧面7やスライド接触部の上端部9に片当たりが発生しても、へたりが発生しにくく、心ずれや角度ずれを低減できる。
【0016】
また、カップリング部材1aのカップリング部材1bとの締結部とは反対端部の内径側を、円弧形状とした。この円弧形状により、カップリング部材1aでは、軸方向に距離d1だけ、半径方向に距離d2だけ上側軸2との接触を回避する部分30cが形成される。距離d1、d2の大きさは、上側軸2の直径Dの3%以上(d1,d2≧0.03D)とした。上側軸2がカップリング部材1aに対して相対的に移動するときに、スライド接触部の上端部30c、9ではかじりが発生しにくくなり、心ずれや角度ずれを低減できる。この回避部30cの形状は、面取りのようなテーパー形状でも直線でもよい。
【0017】
滑りキー4とキー溝5間の半径方向隙間12を、カップリング部材1aと上側軸2との間の半径方向隙間3より小さくした。滑りキー4とカップリング部材1aのキー溝5間の半径方向隙間12は、上側軸2とカップリング部材1が軸方向に滑らかに移動可能である範囲において、なるべく小さくする。本実施例では、この半径方向隙間12を、25μm以下としている。半径方向隙間12が小さいので、上側軸2のカップリング部材1aに対する心ずれや角度ずれを抑制できる。上側軸2とカップリング部材1aとの接触面積に比べ、滑りキー4とキー溝5と接触面積は小さい。そのため、半径方向隙間12を小さくしても、上側軸2の軸方向の滑らかな動きを妨げるおそれがほとんどない。
【0018】
なお、上記実施例では、滑りキー4を軸に固定したが、滑りキー4をカップリング部材1aに固定し、滑りキー4と軸のキー溝13間に半径方向隙間が形成されるようにしてもよい。また、本実施例では上側軸2とスペーサプラグ6の両方の受圧面7をテーパ形状としたが、上側軸2とスペーサプラグ6の受圧面のいずれか一方だけテーパ形状としてもよい。さらに、スペーサプラグ6をカップリング部材1aと別部材としたが、スペーサプラグ6を使用せずにカップリング部材1bと上側軸2を直接接触させてもよい。また、上側軸2を局所的に硬化させたが、この他にスペーサプラグ6の受圧面7やカップリング部材1aのカップリング部材1bとの締結部とは反対端側の内周面を硬化させてもよい。
【0019】
図2に、本発明に係るフランジカップリングの他の実施例を示す。本実施例が上記実施例と相違するのは、上側軸2の下端に高硬度の球面形状を有する受圧部材10を接着または固定し、この高硬度の受圧部材10を凹んだ球面7aが形成された受圧部材6aで支持するようにしたことにある。これにより、軸方向荷重による上側軸2のへたりと、上側軸2に対するカップリング部材1aの心ずれを減少させる。接触面に片当たりが発生しにくいので、局所応力によるへたりも防止できる。本実施例では、上側軸2の下端に別部材の受圧部材10を設けたが、上側軸2の下端面を球面にしても同じ効果が得られる。
【0020】
図3に、本発明に係るフランジカップリングのさらに他の実施例を示す。本実施例では、第2のカップリング部材に保持されるスペーサプラグ6の、上側軸2を支持する受圧面7bを、環状の突起とした点が上記各実施例と相違する。本実施例によっても、へたりや心ずれを防止できる。
【0021】
図4に、本発明のさらに他の実施例を示す。上側軸2の端部近傍につば11を取り付けている。つば11は、上側軸2に形成した溝2cに嵌合される。上側軸2が嵌合するカップリング部材1cの内径は、つば11に対応する部分24が他の部分よりも大径になっている。一方、カップリング部材1bに保持されるスペーサプラグ6cには、上側軸2の軸端部を収容できるように凹み23が形成されている。つば11がスペーサプラグ6の凹み23の縁部7cに接触することにより軸方向荷重が支持される。
【0022】
図3と図4に示した実施例の構造では、受圧面7b、7cにおける軸方向荷重の作用半径が大きい。したがって、受圧面7b、7cにおける角度ずれを抑制するモーメントも大きくなり、上側軸2のカップリング部材1aに対する角度ずれを抑制きる。なお、図3の実施例において環状の突起を上側軸2に設けてもよく、環状の突起の接触面を球面やテーパ形状としてもよい。
【0023】
図5に、本発明のさらに他の実施例を示す。本実施例では、スペーサプラグ6の厚さを上記実施例のものよりも薄くしている。スペーサプラグ6は段付きの円板で、このスペーサプラグ6の大径部を保持するために第2のカップリング部材1dの内径側は、第1のカップリング部材1aとの連結部側が他の部分よりも大径になっている。スペーサプラグ6とカップリング部材1bとの接触部半径は、スペーサプラグ6と上側軸2との接触部半径より大きい。
【0024】
このため軸方向荷重が作用すると、図5に誇張して示すようにスペーサプラグ6が弾性変形して、上側軸2側の受圧面7dは外周側のみが接触する。これにより、図3及び図4の実施例に示したのと同様の理由で、上側軸2のカップリング部材1aに対する角度ずれを抑制できる。また、スペーサプラグ6が弾性変形するので、受圧面7に過度の面圧が発生するのが防止され、受圧面7がへたって上側軸2がカップリング部材1aに対して角度ずれするのを抑制できる。
【0025】
なお、上記各実施例は単独でも、組み合わせても使用できる。また、上記各実施例では縦軸の場合を例にとり説明したが、横軸の場合でも適用できる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、フランジカップリングの内部に収容される受圧部材が軸を調心するようにしたので、軸方向荷重の発生時には軸とカップリング部材の中心を一致させる方向に力が作用し、軸に対するフランジの心ずれを減少できる。これにより、フランジカップリングの信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るカップリングの一実施例の縦断面図である。
【図2】 本発明に係るカップリングの他の実施例の縦断面図である。
【図3】 本発明の係るカップリングのさらに他の実施例の縦断面図である。
【図4】 本発明に係るカップリングのさらに他の実施例の縦断面図である。
【図5】 本発明に係るカップリングのさらに他の実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1a,1b…カップリング部材、2…上側軸、3…半径方向隙間、4…滑りキー、5…キー溝、6…スペーサプラグ(受圧部材)、7…受圧面、8…局所硬化部、9…局所硬化部、10…受圧部材、11…つば、12…半径方向隙間、13…キー溝。

Claims (7)

  1. 第1の軸に嵌合される第1のカップリング部材と、第2の軸に結合して前記第1のカップリング部材と締結される第2のカップリング部材とを有するフランジカップリングにおいて、前記第1の軸における前記第2のカップリング部材側の端部が球面形状を有し、前記第2のカップリング部材に保持され前記第1の軸の端部と接触する面が凹んだ球面を有する受圧部材を備えたことを特徴とするフランジカップリング。
  2. 第1の軸に結合される第1のカップリング部材と、第2の軸に結合される第2のカップリング部材とを有するフランジカップリングにおいて、第1の軸に保持されこの第1の軸の取付け部外径よりも大径の外径を有するリングと、前記第2のカップリング部材に保持されこのリングに当接する受圧部材とを備えたことを特徴とするフランジカップリング。
  3. 前記第1のフランジ部材と第1の軸とを第1の滑りキーを用いて軸方向に相対的に移動可能にしたことを特徴とする請求項1または2記載のフランジカップリング。
  4. 前記第1の滑りキーが嵌合するキー溝を前記第1のフランジ部材に形成し、第1の滑りキー部におけるキーとキー溝間の隙間を、第1のフランジ部材の内径と第1の軸の外径との隙間よりも小さくしたことを特徴とする請求項に記載のフランジカップリング。
  5. 前記受圧部材が第1の軸に当接する面と第1の軸が受圧部材に当接する面の少なくともいずれかを、局所的に硬化させたことを特徴とする請求項1記載のフランジカップリング。
  6. 記第1の軸の端部の硬度を前記受圧部材の硬度よりも高硬度としたことを特徴とする請求項1記載のフランジカップリング。
  7. 前記受圧部材を軸方向に移動可能にしたことを特徴とする請求項1または2記載のフランジカップリング。
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