JP4178781B2 - ブレーキ制御装置および車両制御装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はブレーキ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開2001−71878号公報には、ブレーキ操作部材の操作状態を表す1つの物理量の大きさと変化量とに基づいてブレーキ操作状態が緊急操作状態であることを検出する緊急操作状態取得装置を含むブレーキ制御装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明の課題は、ブレーキ制御装置の信頼性を向上させることであり、例えば、ブレーキ操作状態が緊急操作状態であることを高い信頼性で検出することである。
上記課題は、ブレーキ制御装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0004】
以下の各項のうち、(12) 項が請求項1に対応し、(13) 項が請求項2に対応し、(16) 項が請求項3に対応する。また、(18) 項が請求項4に対応し、(19) 項が請求項5に対応し、(22) 項が請求項6に対応する。さらに、 (24) 項、 (25) 項がそれぞれ請求項7,8に対応し、(29) 項が請求項9に対応し、(31) 項が請求項10に対応する。
【0005】
(1)ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の運転者による操作状態に関連する2つの物理量をそれぞれ別個に検出する2つの操作状態関連量検出装置と、
それら2つの操作状態関連量検出装置によって検出される2つの物理量の一方の他方に対する遅れ量に基づいて前記ブレーキ操作部材の操作状態を取得する操作状態取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ装置においては、ブレーキ操作部材の運転者による操作状態に関連する2つの物理量の遅れ量に基づいて、ブレーキ操作部材の操作状態が取得される。そのため、1つの物理量の大きさと変化量とに基づく場合より高い信頼性を以て操作状態を取得することができる。
ブレーキ操作部材の操作状態に関連する物理量には、例えば、運転者によってブレーキ操作部材に加えられる操作力、操作ストローク等が該当する。また、操作力や操作ストロークと等価的な物理量も含まれる。例えば、ハウジングと、そのハウジングにシール部材を介して摺動可能に嵌合され、ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンとを含む流体圧シリンダの、加圧ピストンの前方の加圧室の圧力、その加圧ピストンのストローク等が該当する。
これら2つの物理量の遅れ量は、例えば、一方の物理量に応じて決まる他方の物理量の標準的な大きさと、他方の物理量との差で表すことができる。他方の物理量が一方の物理量に応じて決まる標準的な値より小さい場合に遅れが生じたとすることができ、その標準的な値と実際の値との差を遅れ量として表すことができる。逆に、一方の物理量が、他方の物理量に応じて決まる標準的な値より大きい場合に、他方の物理量が一方の物理量に対して遅れが生じたとすることもできる。一方の物理量と他方の物理量とのいずれを基準にしてもよいのである。
ブレーキ操作部材の操作状態は、例えば、遅れ量が基準遅れ量より小さい場合は標準操作状態であり、基準遅れ量より大きい場合は速操作状態であるとすることができる。操作状態は、また、標準操作状態,標準操作状態(あるいは標準状態の操作速度の下限値)より緩やかな速度で操作される緩操作状態,標準操作状態(あるいは標準状態の操作速度の上限値)より速い速度で操作される速操作状態等に分けることもできる。標準操作状態は、例えば、ブレーキ操作部材が通常の速度または予め定められた速度で操作される状態、その運転者の平均的な速度で操作される状態等とすることができる。標準操作状態は、緩操作状態や速操作状態を判定するための基準操作状態と考えることも可能である。しかし、基準操作状態は必ずしも標準操作状態である必要はなく、例えば、2つの物理量の間に実質的な遅れが生じないほど緩やかな速度でブレーキ操作部材が操作される状態を基準操作状態とし、その基準ブレーキ操作状態における2つの物理量の間の関係を基準として遅れ量を取得することも可能である。
(2)前記操作状態取得装置が、前記操作状態関連量検出装置によって検出される2つの物理量と、基準操作状態における2つの物理量の関係とに基づいて前記遅れ量を取得する遅れ量取得部を含む(1)項に記載のブレーキ制御装置。
本項における基準操作状態として、例えば、前項の説明における標準操作状態を採用することができる。
(3)前記操作状態取得装置が、前記ブレーキ操作部材の操作状態が予め定められた設定状態であることを取得する設定操作状態取得部を含む(1)項または(2)項に記載のブレーキ制御装置。
(4)前記操作状態取得装置が、前記ブレーキ操作部材の操作状態が標準的な操作状態より大きな速度で操作された状態であることを取得する速操作状態取得部を含む(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
(5)前記操作状態取得装置が、前記ブレーキ操作部材の操作状態が緊急操作状態であることを取得する緊急操作状態取得部を含む(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
緊急操作状態は、運転者によるブレーキ操作部材の操作速度が設定速度以上である状態とすることができる。この形態には、例えば、緊急操作状態が速操作状態に相当する場合、速操作状態の一部(操作速度が特に大きい領域)に相当する場合、ブレーキ操作部材が速操作状態より大きい速度で操作される状態である場合等がある。また、操作速度が設定速度以上であり、かつ、操作力が設定値以上に達した場合に、緊急操作状態とすることもできる。
【0006】
(6)前記2つの物理量間の関係を変更する関係変更装置を含む(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
(7)前記操作状態取得装置が、前記関係変更装置による2つの物理量間の関係の変更に伴う前記遅れ量の変化に基づいて前記操作状態が緊急操作状態であることを取得する緊急操作状態取得部を含む(6)項に記載のブレーキ制御装置。
関係変更装置によれば、一方の物理量に応じて決まる標準操作状態における他方の物理量の標準的な値が変更され、それに伴って緊急操作状態における遅れ量も変わる。したがって、関係変更装置による関係の変更に伴う遅れ量の変化に基づけば、緊急操作状態にあることをより精度よく取得することができる。
(8)前記関係変更装置が、前記遅れ量が大きくなるように、2つの物理量間の関係を変更する遅れ助長部を含む(7)項に記載のブレーキ制御装置。
2つの物理量間の関係が操作速度が大きい場合に遅れ量が大きくなるように変更されるようにすれば、緊急操作状態にあることをさらに精度よく取得することができる。
(9)前記2つの物理量の一方の他方に対する相対的な増加状態を変更する相対的増加状態変更装置を含む(1)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
相対的な増加状態が変更されれば、2つの物理量の関係が変更されるため、相対的増加状態変更装置は関係変更装置の一態様であると考えることができる。
(10)前記操作状態関連量検出装置の一方が、前記ブレーキ操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出装置であり、他方が操作ストロークを検出する操作ストローク検出装置であり、前記操作状態取得装置が、操作力に対する操作ストロークの遅れ量に基づいて前記ブレーキ操作部材の操作状態を取得するストローク遅れ量対応取得部を含む(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
操作速度が大きい場合には操作力に対して操作ストロークが遅れる。そのため、操作力に対する操作ストロークの遅れ量に基づけば操作速度に関する情報を取得することができる。
【0007】
(11)ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の運転者による操作状態を表す2つの物理量をそれぞれ別個に検出する2つの操作状態関連量検出装置と、
それら2つの操作状態関連量検出装置によって検出される2つの物理量間の関係に基づいて前記ブレーキ操作部材の操作状態が緊急操作状態であることを取得する操作状態取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ制御装置においては、2つの物理量の関係に基づいて操作状態が緊急操作状態であることを取得することができる。標準操作状態における2つの物理量の関係と緊急操作状態における2つの物理量の関係とは異なるため、これらの関係によれば、緊急操作状態であることを取得することができる。
本項に記載のブレーキ制御装置には、(1)項ないし(10)項のいずれかの技術的特徴を採用することができる。
(12)前記2つの操作状態関連量検出装置の一方が、前記ブレーキ操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出装置であり、他方が、前記ブレーキ操作部材のストロークを検出するストローク検出装置であり、前記操作状態取得装置が、前記ストローク検出装置によって検出されたストロークが、前記操作力検出装置によって検出された操作力に前記ブレーキ操作部材が標準的な操作速度で操作された場合において対応するストロークである基準ストロークより設定値以上小さい場合に、緊急操作状態であるとするストローク遅れ依拠緊急操作状態取得部を含む(11)項に記載のブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ制御装置においては、操作力とストロークとの関係に基づいて緊急操作状態にあることが取得される。例えば、ハウジングと、そのハウジングに液密かつ摺動可能に嵌合され、前記ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンとを含み、加圧ピストンの前方の加圧室にブレーキ操作部材に加えられる操作力に応じた液圧が発生させられる液圧シリンダにおいて、加圧室からの作動液の流出に対して抵抗が作用する場合には、操作力の増加に対して操作ストロークの増加が遅れる。作動液流出抵抗がある状態においては、加圧室から作動液が流出し難い分、加圧室の液圧の増加勾配が大きくなるため、結果として、加圧ピストンの前進速度が大きい場合にはストロークの増加が操作力の増加に対して遅れることになるのである。したがって、実際のストロークが、標準操作状態において同じ操作力に対応するストロークである標準ストロークに対して小さい場合に、緊急操作状態にあるとすることができる。
(13)前記操作状態取得装置が、前記操作力検出装置によって検出された操作力が予め定められた設定値より大きく、かつ、前記ストローク検出装置によって検出されたストロークが、前記操作力の設定値に前記ブレーキ操作部材が標準的な操作速度で操作された場合において対応するストロークである設定ストロークより設定値以上小さい場合に、緊急操作状態であるとするものである (12) 項に記載のブレーキ制御装置。
( 14 ) (a)ハウジングと、(b)そのハウジングの内部を2つの容積室に仕切る仕切部材と、(c) その仕切り部材に弾性力を加える弾性部材とを含み、前記2つの容積室の一方に流体が供給されると、前記弾性部材が弾性変形して、前記仕切り部材の移動を許容し、かつ、前記仕切り部材に弾性力を付与するストロークシミュレータを含む(1)項ないし(13) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
流体は液体としたり、気体としたりすることができる。
( 15 )ハウジングと、そのハウジングに摺動可能に嵌合され、前記ブレーキ操作部材に連携させられた加圧ピストンと、その加圧ピストンの前方の、前記ブレーキ操作部材に加えられる操作力に応じた圧力を発生させる加圧室とを含む流体圧シリンダを含み、前記加圧室と前記ストロークシミュレータの一方の容積室とが接続された(14) 項に記載のブレーキ制御装置。
( 16 )前記一方の容積室へ流入する流体に流入抵抗を付与する流入抵抗付与装置を含む(14) 項または (15)項に記載のブレーキ制御装置。
前記容積室へ流入する流体に流入抵抗が付与されれば、操作力の増加速度が大きい場合において、操作ストロークの増加が操作力の増加に対して遅れることになる。また、ブレーキ制御装置が、前記流体圧シリンダを含む場合には、流入抵抗付与装置は、加圧室から一方の容積室への流体の流出抵抗を付与する流出抵抗付与装置として機能する。流入抵抗付与装置は、抵抗が固定の固定絞りとしたり、抵抗が可変の可変絞りとしたりすることができる。抵抗が変われば、操作力に対する操作ストロークの遅れの程度を変えることができるのであり、抵抗が大きい場合は小さい場合より遅れの程度を大きくすることができる。この意味において抵抗が可変である流入抵抗付与装置を操作力/ストローク関係変更装置または操作力/ストローク相対的増加状態変更装置と考えることができる。
( 17)ブレーキシリンダの流体圧により摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられることにより、車輪の回転を抑制するブレーキと、
前記流体圧シリンダの加圧室とブレーキシリンダとの間に設けられ、前記加圧室からブレーキシリンダへの流体の流出を阻止する流出阻止弁と
を含む(1) 項ないし (16) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
ブレーキシリンダが流出阻止弁によって加圧室から遮断された状態で、ブレーキ制御が行われるのが普通である。流体圧シリンダとブレーキシリンダとが遮断された場合には、加圧室からの流体のブレーキシリンダへの流出が阻止されるため運転者によるブレーキ操作部材の操作フィーリングが悪くなる。それに対して、ストロークシミュレータを設ければ、操作フィーリングの悪化を抑制することができる。ストロークシミュレータによれば、ブレーキ操作部材のストロークが許容されるのであり、ストロークシミュレータにおける仕切部材の移動がブレーキ操作部材の前進に対応する。
また、流出阻止弁は、加圧室からブレーキシリンダへの流体の流出抵抗を付与する流出抵抗付与装置であると考えることができるが、流体圧シリンダの流体がブレーキシリンダに供給される場合においても、その流体通路によって流出抵抗が付与される場合もある。
流体圧シリンダは、マスタシリンダとすることができる。しかし、ブレーキシリンダにマスタシリンダの液圧でなく、加圧装置の液圧が供給可能とされる場合には、ブレーキ装置にマスタシリンダ自体が不可欠ではなくなる。
( 18 )前記流入抵抗付与装置が、前記ストロークシミュレータの一方の容積室への流体の流入状態を制御することによって前記ブレーキ操作部材の操作力とストロークとの変化特性を変更する流入制御弁装置を含む(16) 項に記載のブレーキ制御装置。
流入制御弁装置によれば、操作力と操作ストロークとの変化特性を容易に変更することができる。
( 19 )前記流入制御弁装置が、前記一方の容積室への流体の流入流量を制御可能な流入流量制御弁を含む(18) 項に記載のブレーキ制御装置。
流入流量が制御されれば、ストロークの操作力に対する増加勾配が制御され、それによって、操作力とストロークとの関係が制御される。
流入流量制御弁は、例えば、供給電流量に応じて連続的に流量を制御可能なリニア制御弁としたり、デューティ制御により流量を制御可能な電磁開閉弁としたりすることができる。いずれにしても、流入流量制御弁への供給電流の制御により流入流量を制御することができる。
(20)前記流入制御弁装置が、前記一方の容積室への流体の流入を許容する状態と阻止する状態とに切り換え可能な流入制御弁を含む(18) 項または (19) 項に記載のブレーキ制御装置。
流入制御弁は、前述のように、リニア制御弁であっても開閉弁であってもよい。
( 21 )前記流入制御弁装置が、運転者によるブレーキ操作部材の操作力に応じた大きさの流体圧が一方の容積室の流体圧より設定値以上大きい場合に、前記一方の容積室への流体の流入を許容するリリーフ弁とを含む(18) 項ないし (20) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
リリーフ弁は、操作力に応じた流体圧と一方の容積室の流体圧との差がリリーフ圧以下の間は、ストロークシミュレータへの作動液の流入を阻止するが、それらの圧力差がリリーフ圧に達すれば、流入を許容する。
リリーフ圧が、通常のブレーキ操作力に対応する大きさにされれば、通常のブレーキ操作状態において、運転者の操作フィーリングの低下を抑制することができる。
リリーフ圧が、通常のブレーキ操作力より大きい場合に対応する大きさにされれば、大きな力で操作された場合に、ストロークが得られるため、操作フィーリングが固くなることを回避することができ、運転者は大きな操作力を維持することができる。いわゆる、踏力抜けを回避することができる。また、ストロークシミュレータに流体圧シリンダから流体が供給される場合には、流体圧シリンダの加圧室の流体圧が過大になることを回避し得、安全弁としての機能も果たす。
( 22 )前記リリーフ弁と前記流入制御弁とを並列に設け、前記リリーフ弁が、前記流入制御弁によって前記一方の容積室への流体の流入が阻止された状態にある場合に機能するものである (21) 項に記載のブレーキ制御装置。
流入制御弁の開状態においてはリリーフ弁は無効にされるが、流入制御弁の閉状態においてはリリーフ弁が有効にされる。流入制御弁の開閉によりリリーフ弁の機能を無効化したり有効化したりすることができる。
( 23 )ハウジングと、そのハウジング内を2つの容積室に仕切る状態で設けられた移動部材とを含み、その移動部材の一方の側において前記ブレーキ操作部材に連携させられ、他方の側に設けられた弾性部材によって前記ブレーキ操作部材の前進量に応じた前記移動部材の移動を許容するとともに、前記ブレーキ操作部材に加えられた操作力に応じた反力を前記移動部材に付与するストロークシミュレータと、
前記弾性部材が設けられた容積室に設けられ、その容積室を大気に連通させる連通状態と大気から遮断する遮断状態とに切り換え可能な開放弁とを含む(1) 項ないし (22)項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
開放弁によって容積室が大気から遮断された状態においては、移動部材の移動が阻止され、開放弁によって容積室が大気に連通させられた状態においては、移動部材の移動が許容される。
開放弁の制御によれば、操作力とストロークとの関係を変更することができるのであり、開放弁を関係変更装置の一構成要素と考えることができる。
前述のように、ブレーキ制御装置にマスタシリンダが設けられない場合には、運転者による操作フィーリングの低下を抑制するためにストロークシミュレータを設けることが望ましい。この場合には、ストロークシミュレータはブレーキを作動させるための例えば液圧(流体圧)を発生させる必要がないのであり、ドライストロークシミュレータとすることができる。
なお、ブレーキは、マスタシリンダの液圧により作動させられる液圧ブレーキに限らず、電動モータの作動により摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられる電動ブレーキとしたり、駆動源としての電動モータの制御により車輪の回転を抑制する回生ブレーキ等としたりすることができる。
(24)前記流入制御弁装置が、前記ストロークシミュレータへの流体の流入流量を制御することにより、前記操作力と前記ストロークとの変化特性を変更する手段を含み、前記操作状態取得装置が、前記変化特性が変更される前に前記緊急操作状態を取得した場合に仮に緊急操作状態であるとし、かつ、前記変化特性が変更された後に前記緊急操作状態を取得した場合に、真に緊急操作状態であるとする手段を含む (18) 項ないし (22) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
(25)前記流入制御弁装置が、前記ストロークシミュレータへの流体の流入流量を制御することにより、前記操作力と前記ストロークとの変化特性を、前記ブレーキ操作部材の操作速度が大きい場合は小さい場合より、前記操作力に対する前記ストロークの遅れが大きくなる変化特性に変更する手段を含み、前記操作状態取得装置が、前記変化特性が変更された後に、前記変化特性が変更される前より、前記遅れが大きくなった場合に、前記緊急操作状態であると取得する手段を含む (18) 項ないし (22) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
(26 )ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の運転者による操作状態に関連する2つの物理量をそれぞれ別個に検出する2つの操作状態関連量検出装置と、
それら2つの操作状態関連量検出装置によって検出される2つの物理量の一方の他方に対する相対的な増加状態に基づいて前記ブレーキ操作部材の操作状態を取得する操作状態取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ制御装置には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
( 27 )ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の運転者による操作状態に関連する2つの物理量をそれぞれ別個に検出する2つの操作状態関連量検出装置と、
それら2つの操作状態関連量検出装置によって検出される2つの物理量に基づいて運転者によるブレーキ操作部材の操作速度に関する情報を取得する操作速度関連情報取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ制御装置には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
( 28 )ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材の運転者による操作力を検出する操作力検出装置と、
前記ブレーキ操作部材の運転者による操作ストロークを検出するストローク検出装置と、
それら操作力検出装置によって検出された操作力とストローク検出装置によって検出されたストロークとに基づいてブレーキ操作状態が緊急操作状態であることを取得する緊急操作状態取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。
本項に記載のブレーキ制御装置には、(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
( 29 )車両の走行状態を制御する車両制御装置であって、
(1)項ないし(28) 項のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置と、
そのブレーキ制御装置に含まれる前記操作状態取得装置によって前記ブレーキ操作部材の操作状態が前記緊急操作状態であると取得された場合に、当該車両制御装置の制御特性を変更する制御特性変更部と
を含むことを特徴とする車両制御装置。
制御特性は、操作状態取得装置によって取得されたブレーキ操作状態に基づいて変更される。制御特性は段階的に変更されるようにしても、連続的に変更されるようにしてもよい。例えば、2段階で変更される場合には、緊急操作状態と標準操作状態とで特性を異ならせることもできる。車両制御装置には、(1)項ないし(28) 項のいずれかに記載のブレーキ制御装置、サスペンション制御装置、ステアリング制御装置等が該当する。一般に、緊急操作状態においては、ブレーキ作動力を大きくする一方、姿勢安定性、走行安定性の向上を図り得る制御特性とすることが望ましい。
(30)前記制御特性変更部が、前記操作状態取得装置によって取得されたブレーキ操作部材の操作状態に応じてショックアブソーバの減衰特性を変更する減衰特性変更部を含む(29)項に記載の車両制御装置。
緊急操作状態であるとされた場合に減衰特性がハードにされれば、緩衝効果が小さくなり、車体の車輪に対する相対的な上下移動が起こり難くされる。そのため、制動に伴う荷重移動によって前輪荷重を大きくすることができ、ブレーキ力が大きくされることと合わせて前輪の摩擦力を大きくすることができる。
(31)前記ブレーキ制御装置が、前記車両の車輪の回転を抑制するブレーキのブレーキ作動力を制御する作動力制御部を含み、前記制御特性変更部が、前記操作状態取得装置に よって前記緊急操作状態が取得された場合に、前記作動力制御部に、前記ブレーキ作動力の増加勾配を最大の勾配にさせる部分を含む (29) 項または (30) 項に記載の車両制御装置。
緊急操作状態にあることが取得された場合に増加勾配が設定勾配以上にされれば、ブレーキ作動力を早急に大きくすることができる。また、ブレーキ作動力の増加勾配が当該ブレーキ制御装置における最大勾配となるように制御することができる。
なお、ブレーキ作動力の増加勾配の制御に加えてまたは別個に、ブレーキ作動力が設定値以上となるように制御することができる。
(32)車両の走行状態を制御する車両制御装置であって、
(1)項ないし(31)項のいずれか1つに記載の操作状態取得装置と、
その操作状態取得装置によって取得されたブレーキ操作部材の操作状態に応じて当該車両の走行状態を制御する走行状態制御部と
を含むことを特徴とする車両制御装置。
( 33 )前記走行状態制御部が、前記操作状態取得装置によって取得されたブレーキ操作部材の操作状態に応じて車高を低くする車高調節部を含む(32)項に記載の車両制御装置。
緊急操作状態であるとされた場合に車輪に対する車体の重心を低くすれば、車両の走行安定性の低下を抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態である車両制御装置について図面に基づいて詳細に説明する。本車両制御装置には本発明の一実施形態であるブレーキ制御装置が含まれる。
図1に示すように、車両制御装置はブレーキECU10、サスペンションECU12等を含む。ブレーキECU10によってブレーキ装置14のブレーキ制御アクチュエータ等が制御され、サスペンションECU12によってサスペンション装置16の減衰特性制御アクチュエータ等が制御される。ブレーキECU10、サスペンションECU12は、それぞれ、ブレーキ装置14、サスペンション装置16に含まれる。サスペンションECU12にはブレーキECU10から指令が供給され、それに応じて減衰特性制御アクチュエータ等が制御されることがある。
【0017】
ブレーキ装置14は、本実施形態においては、流体圧としての液圧により摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられることによって車輪の回転を抑制する摩擦ブレーキとしての液圧ブレーキを含むものであり、図2にその回路を示す。ブレーキ装置14は、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル20、動力式液圧源としてのポンプ装置22、マスタシリンダ24、左右前輪26,27に設けられたブレーキシリンダ28,29を含むブレーキ30,31、左右後輪34,35に設けられたブレーキシリンダ36,37を含むブレーキ38,39等を含む。
【0018】
ポンプ装置22は、ポンプ40と、そのポンプ40を駆動するポンプモータ42と、アキュムレータ44とを含む。ポンプ40は、リザーバ46の作動液を加圧して吐出するものであり、ポンプ40から吐出された高圧の作動液がアキュムレータ44に蓄えられる。アキュムレータ44の液圧はアキュムレータ圧センサ48によって検出されるが、ポンプモータ42は、アキュムレータ圧センサ48による検出液圧が予め定められた設定範囲内に保たれるように制御される。ポンプ40の吐出圧側には、ポンプ40への作動液の逆流を防止するための逆止弁49が設けられている。ポンプ40の高圧側と低圧側との間には、リリーフ弁50が設けられ、ポンプ圧が過大になることが回避される。
なお、ポンプ40は、プランジャポンプであっても、ギヤポンプであってもよい。
【0019】
マスタシリンダ24は、2つの加圧ピストン51,52を含むタンデム式のものであり、加圧ピストン51,52の前方がそれぞれ加圧室53,54とされる。加圧ピストン52とハウジングの底部との間、2つの加圧ピストン51,52の間にはそれぞれリターンスプリング55,56が設けられる。
ブレーキペダル20が踏み込まれると、2つの加圧室53,54には同じ高さの液圧が発生させられる。一方の加圧室54に液通路58を介して左後輪34のブレーキシリンダ36に接続され、他方の加圧室53に液通路59を介して左前輪26のブレーキシリンダ28に接続される。
【0020】
液通路58,59の途中には、それぞれマスタ遮断弁60,62が設けられる。また、左右前輪26,27のブレーキシリンダ28,29、左右後輪34,35のブレーキシリンダ36,37は、それぞれ、連通路64,66によって接続されており、連通路64,66には、それぞれ、連通弁68,70が設けられる。
マスタ遮断弁60,62は、コイル72に電流が供給されない場合に開状態にある常開弁であり、連通弁68,70もコイル74に電流が供給されない場合に開状態にある常開弁である。この状態においては、マスタシリンダ24の作動液が左右前後輪26,27,34,35のブレーキシリンダ28,29,36,37に供給され、ブレーキ30,31,38,39が作動させられる。
【0021】
液通路59のマスタ遮断弁62より上流側の部分にはシミュレーション装置76が設けられている。シミュレーション装置76は、ストロークシミュレータ77とシミュレータ制御弁78とを含むものであり、液通路59に、ストロークシミュレータ77がシミュレータ制御弁78を介して接続される。
ストロークシミュレータ77は、ハウジング79aと、そのハウジング79a内を2つの容積室79b、cに仕切る仕切部材79dとを含む。一方の容積室79bには、マスタシリンダ14の加圧室53が接続され、他方の容積室79cには、スプリング79eが設けられる。容積室79bに作動液が供給されると、スプリング79eが収縮されて、それに応じた弾性力が仕切部材79dに加えられる。また、スプリング79eの収縮によって加圧ピストン51の前進が許容されるのであり、加圧ピストン51に操作力に応じた反力が加えられる。
【0022】
シミュレータ制御弁78は、図3に示すように、常閉弁であり、コイル80を含むソレノイド82と、弁子84、弁座86およびスプリング88を含むシーティング弁90とを含む。
シーティング弁90においては、弁子84を弁座86に着座させる方向にスプリング88の付勢力が作用するとともに、弁子84を弁座86から離間させる方向に当該リニアバルブの前後の液圧差に応じた差圧作用力とコイル80への供給電流量に応じた電磁駆動力とが作用する。ここでは、マスタシリンダ14とストロークシミュレータ77との間の差圧に応じた差圧作用力が加えられる。
コイル80に電流が供給されない状態において、差圧作用力がスプリング88の付勢力より小さい場合は、弁子84が弁座86に着座させられた閉状態に保たれるが、差圧作用力が付勢力より大きい場合は、弁子84が弁座86から離間させられる。
コイル80に電流が供給される状態においては、弁子84の弁座86に対する相対位置が、電磁駆動力,スプリング88の付勢力,差圧作用力の関係によって決まるのであり、相対位置が電磁駆動力の制御によって制御されることになる。
【0023】
このように、シミュレータ制御弁78がマスタシリンダ14とストロークシミュレータ77との間に設けられることにより、マスタシリンダ14からストロークシミュレータ77へ流入する作動液に抵抗が付与される。また、その抵抗は、シミュレータ制御弁78における弁子84と弁座86との間の距離が短いほど大きくされる。シミュレータ制御弁78における開度(開口面積)が小さいほど流入抵抗が大きくされるのであり、差圧作用力が同じ場合には、コイル80への供給電流が小さいほど開度が小さくされる。
【0024】
前記ポンプ装置22は、液通路92を介してすべてのブレーキシリンダ28,29,36,37に接続される。また、ブレーキシリンダ28,29,36,37の各々には、それぞれ、個別液圧制御弁装置としてのリニアバルブ装置100〜106が設けられる。リニアバルブ装置100〜106は、それぞれ、増圧用リニアバルブ110と減圧用リニアバルブ112とを含むものであり、増圧用リニアバルブ110が上述の液通路92に設けられ、減圧用リニアバルブ112がブレーキシリンダ28,29,36,37とリザーバ46とを接続する液通路114に設けられる。リニアバルブ装置100〜106の制御により、ブレーキシリンダ28,29,36,37の液圧が、ポンプ装置22の作動液を利用して別個に制御される。本実施形態においては、リニアバルブ装置100〜106およびポンプ装置22等によってブレーキ制御アクチュエータ130が構成されると考えることができる。
【0025】
増圧用リニアバルブ110,減圧用リニアバルブ112は、前記シミュレータ制御弁78と同様の構造を成したものであるが、増圧用リニアバルブ110に加えられる差圧作用力は、ポンプ装置22の液圧(アキュムレータの液圧)とブレーキシリンダ液圧との差圧に応じた力であり、減圧用リニアバルブ112に加えられる差圧作用力は、ブレーキシリンダ液圧とリザーバ46の液圧との差圧に応じた力であり、リザーバ46の液圧はほぼ大気圧であるため、ブレーキシリンダの液圧に応じた力になる。いずれにしても、増圧用リニアバルブ110,減圧用リニアバルブ112それぞれの電磁駆動力を制御すれば(コイル80への供給電流を制御すれば)、ブレーキシリンダの液圧を制御することができる。
【0026】
また、液通路92の増圧用リニアバルブ110とポンプ装置22との間には、液圧センサ140が設けられている。液圧センサ140によって増圧用リニアバルブ110の高圧側の作動液の液圧が検出される。増圧用リニアバルブ110の高圧側の液圧として液圧センサ140による検出値が採用されれば、ポンプ装置22と増圧用リニアバルブ110との間の圧力損失の影響を小さくすることができ、アキュムレータ圧センサ48による検出値を採用する場合に比較して、リニアバルブ装置100〜106の制御精度を向上させることができる。
【0027】
ブレーキECU10は、図1に示すように、CPU152,ROM154,RAM156,入出力部158等を有するコンピュータを主体とするものである。入出力部158には、上述のアキュムレータ圧センサ48,液圧センサ140に加えて、液通路54,56の液圧をそれぞれ検出するマスタ圧センサ160,162、ブレーキシリンダ28,29,36,37の液圧をそれぞれ検出するブレーキ液圧センサ164〜167、各車輪26,27,34,35の車輪速度をそれぞれ検出する車輪速センサ169〜172、ブレーキペダル20に加えられる操作力を検出する操作力センサ174、ブレーキペダル20の操作ストロークを検出するストロークセンサ176等が接続されている。
また、ポンプモータ42、各リニアバルブ装置100〜106、シミュレータ制御弁78,各電磁開閉弁60,62,68,70のコイルがそれぞれ駆動回路182を介して接続される。ブレーキECU10には、さらに、サスペンションECU12が接続される。
【0028】
本液圧ブレーキ装置においては、操作力センサ174による出力信号に基づいて運転者の所望する要求制動力としての要求ブレーキ液圧が求められる。マスタ遮断弁60,62が閉状態にされ、ブレーキシリンダ28,29,36,37がマスタシリンダ24から遮断された状態で、ポンプ装置22の液圧により、実際のブレーキ液圧が要求ブレーキ液圧に近づくようにリニアバルブ装置100〜106が制御される。
【0029】
サスペンション装置16は、図4に示すように、各車輪毎に、車輪側部材と車体側部材との間に設けられたショックアブソーバ付きニューマチックシリンダ200を含む。ショックアブソーバ付きニューマチックシリンダ200は、一端部において図示しない車輪側部材に取り付けられ、他端部においてアッパサポート202を介して車体側部材204に取り付けられる。ショックアブソーバ付きニューマチックシリンダ200は、エアチャンバ210とショックアブソーバ212とを含む。
【0030】
エアチャンバ210の本体211にはダイヤフラム214が取り付けられ、ダイヤフラム214の内部がエア室216とされる。
ダイヤフラム214には、また、ショックアブソーバ212が気密に取り付けられ、ダイヤフラム214の変形に伴ってエアチャンバ210の本体211に対して相対移動可能とされる。これらダイヤフラム214とショックアブソーバ212とによってエアチャンバ210のピストン218が構成されると考えることができる。
【0031】
エア室216には、エア通路220を介してエア源222が接続される。エア源222は、コンプレッサ、モータ等を含むものであり、高圧のエアを供給可能なものである。エア通路220には、流通制限装置224と電磁開閉弁226とが直列に設けられ、エア通路220の流通制限装置224とエア源222との間の部分と大気との間には電磁開閉弁228が設けられる。電磁開閉弁226,228はともに常閉弁である。流通制限装置224は、互いに並列に設けられたオリフィス230およびリリーフ弁232と、エアフィルタ234とを含む。リリーフ弁232はエア源222からエア室216へ向かう作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0032】
電磁開閉弁228が閉状態にあり、電磁開閉弁226が開状態にある場合には、エア室216が大気から遮断されてエア源222に連通させられる。エア室216にはエア源222からエアが供給される。ダイヤフラム214が変形させられ、ショックアブソーバ212が車体側部材204から離間する方向に移動させられ、それによって、車高が高くなる。
電磁開閉弁226が閉状態にある場合には、エア室216におけるエアの流出入が阻止される。
電磁開閉弁226、228の両方が開状態にある場合には、エア室216がオリフィス230を経て大気に連通させられる。エア室216からエアが流出させられる。ダイヤフラム214の変形によって、ショックアブソーバ212が車体側部材204に接近する方向に移動させられる。それによって、車高が低くなる。なお、エア源220の高圧側にはリリーフ弁236が設けられているため、電磁開閉弁228が開状態にあってもエア源222の圧力がリリーフ弁236のリリーフ圧(設定圧)以下に下がることはない。
これら電磁開閉弁226,電磁開閉弁228は、車両の走行状態に基づいて、予め定められた条件に従って制御されるが、ブレーキECU10からの指令に従って制御されることもある。
本実施形態においては、エアチャンバ210,エア源222,電磁開閉弁226,電磁開閉弁228等によって車高調節装置238が構成され、そのうちの、電磁開閉弁226および電磁開閉弁228によって車高調節バルブ240が構成される。
【0033】
ショックアブソーバ212は、シリンダ本体254と、シリンダ本体254に摺動可能に嵌合されたピストン256とを含む。シリンダ本体254が前述のダイヤフラム214に取り付けられ、ピストン256によって、シリンダ内部が、上側の上室260と下側の下室262とに仕切られる。ピストン256の移動限度はリバウンドストッパ263によって規定される。
図5,6に示すように、ピストン256の端面には円環状の凹部264,265,266が形成され、これら凹部264,265,266が開口部とされた状態で、概して軸方向に延びる複数の液通路268〜271が形成される(図示する液通路は一部である)。また、凹部264,265,266にはそれぞれ円盤状の薄板274、275,276が設けられる。これら薄板274,275,276が弁子とされ、凹部264,265,266が弁座とされ、これらによってバルブが構成されるのであるが、薄板274,275,276自体をリーフバルブと称することができるため、以下、本実施形態においては、薄板をリーフバルブ274,275,276と称する。
【0034】
ピストン256には、また、半径方向に延びる連通路278、280が形成されるとともに、中央部を軸方向に貫通する中央貫通穴282が形成される。連通路278によって中央貫通穴282と上室260とが接続され、連通路280によって中央貫通穴282と液通路268,269とが接続される。
中央貫通穴282にはロータリバルブ290がピストン256に対して軸線回りに相対回転可能に設けられ、回転駆動軸292がピストンロッド294を貫通して減衰特性制御アクチュエータ296(図4参照)に連結される。減衰特性制御力アクチュエータ296によってロータリバルブ290がピストン256に対して相対回転させられることによって、連通路278,280が開状態と閉状態とに切り換えられる。
【0035】
ロータリバルブ290によって連通路278,280が閉状態にされた場合には、減衰特性がハードな状態とされる。
車体側部材と車輪側部材との間の距離が短くなると、下室262の液圧が上室260の液圧より高くなる。図5に示すように、下室262の液圧と上室260の液圧との差に応じた力がリーフバルブ275を撓ませるのに要する力より大きくなる(液圧差がリーフバルブ275の開弁圧より大きくなる)と、下室262の作動液が、破線に示すように、液通路270,凹部265,リーフバルブ275を経て上室260に流れる。
車体側部材と車輪側部材との間の距離が長くなると、上室260の液圧が下室262の液圧より高くなる。これらの液圧差がリーフバルブ276の開弁圧より大きくなると、実線に示すように、上室260の作動液が、液通路271、凹部266,リーフバルブ276を経て下室262に流れる。
このように、連通路278,280が閉状態にされた場合には、上室260と下室262との液圧差がリーフバルブ275,276の開弁圧に達するまでの間は、上室260と下室262との間の作動液の流れは阻止される。また、リーフバルブ275,276の開弁圧に達した後も、液通路270または271を経ての流れが許容されるのみである。したがって、車体の車輪に対する自由な相対的な上下移動が許容されないことになり、減衰特性が堅くなる。この意味において、リーフバルブ275,276をハードバルブと称することができる。
【0036】
ロータリバルブ290によって連通路278,280が開状態にされた場合には、減衰特性がソフトな状態とされる。この状態においては、上室260と下室262とが中央貫通穴282,連通路278を経て連通させられる。
図6に示すように、下室262の液圧が上室260の液圧より高い場合には、上述のように、下室262の作動液が中央貫通穴282,連通路278を経て上室260へ流れる。さらに、これらの液圧差がリーフバルブ274の開弁圧以上になると、中央貫通穴282,連通路280、液通路268,269,凹部264,リーフバルブ274を経て上室260に流れる。また、リーフバルブ275の開弁圧以上になると、液通路270,凹部265,リーフバルブ275を経て上室260に流れる。なお、中央貫通穴282,連通路280,液通路268,隙間298を経て上室260に流れる作動液もある。
上室260の液圧が下室262の液圧より高い場合には、上述のように、上室260の作動液が、連通路278,中央貫通穴282を経て下室262に流れる。また、液圧差がリーフバルブ274の開弁圧以上になると、リーフバルブ274,凹部264,液通路268,269,連通路280,中央貫通穴282を経て下室262へ流れる。さらに、リーフバルブ276の開弁圧以上になると、液通路271、リーフバルブ276を経て下室262に流れる。
このように、連通路278が開状態にされるため、連通路278,中央貫通穴282によって、上室260と下室262とが連通させられ、上室260と下室262との間の作動液の流れが許容される。また、複数の液通路において作動液の流れが許容されるのであり、液圧差がリーフバルブ274,275,276の開弁圧以上になれば、大きな流量での作動液の流れが許容される。車体の車輪に対する自由な上下動が許容され、減衰特性が柔らかくなる。この意味において、リーフバルブ274をソフトバルブと称することができる。
【0037】
サスペンションECU12は、ブレーキECU10と同様に、CPU300、ROM302、RAM304、入出力部306等を含むものであり、入出力部306には、ハイトセンサ310等が接続されるとともに、駆動回路314を介して車高調節バルブ240(電磁開閉弁226,228)や減衰力調節アクチュエータ296等が接続される。ハイトセンサ310は、車輪側部材と車体側部材との間の距離の変化を検出する。
【0038】
以下、作動について説明する。
本実施形態において、ブレーキ装置14が正常な場合には、ブレーキシリンダ28,29,36,37がマスタシリンダ24から遮断された状態で、ブレーキシリンダ液圧がポンプ装置22の液圧を利用して、リニアバルブ装置100〜106の制御により制御される。
通常のブレーキ作動時には、操作力センサ174による検出値に基づいて目標ブレーキ液圧が決定され、実際のブレーキ液圧が目標ブレーキ液圧に近づくようにリニアバルブ装置100〜106が制御される。
それに対して、ブレーキ操作状態が緊急操作状態であるとされた場合には、リニアバルブ装置100〜106がブレーキシリンダ28,29,36,37の液圧の増圧勾配が最大となるように制御される。また、サスペンションECU12に、減衰特性をハードに切り換えるとともに車高を低くする内容の指示が出力される。サスペンション装置16においては、車両の重心が低くされ、車体の車輪に対する自由な上下方向の移動が抑制される。それによって、ブレーキの作動に伴って前輪の荷重が大きくなり、ブレーキ力を大きくすることによって、前輪に加わる摩擦力を大きくして、車両の減速度を大きくすることができる。また、車高が低くされるため、車両の走行安定性を向上させることができる。
【0039】
ブレーキ操作状態が緊急操作状態であることは、操作力と操作ストロークとの関係に基づいて取得される。
図9に示すように、ブレーキペダル20に加えられる操作力がマスタシリンダ14のリターンスプリング56等のセット荷重以上になるとブレーキペダル20の前進が開始される。操作ストロークは操作力がある程度大きくなった後に増加するのである。その後、操作力の増加に伴って操作ストロークが増加する。これら操作力と操作ストロークとの関係は、シミュレータ制御弁78の開口面積等によって決まる。図における標準操作状態Bにおいては、標準操作状態Aにおける場合より、シミュレータ制御弁78における開口面積は小さい。作動液に付与される抵抗が大きい状態である。本実施形態においては、通常のブレーキ作動時における操作状態を標準状態とした。
【0040】
また、運転者がブレーキペダル20を大きな速度で操作した場合には、操作力に対して操作ストロークが遅れる。マスタ遮断弁60,62が遮断状態にされていること、マスタシリンダ14とストロークシミュレータ66との間にシミュレータ制御弁78が設けられていることに起因する絞り効果(流出抵抗)により、操作力が急勾配で増加させられることによりマスタシリンダ圧(反力)が急勾配で大きくなるのであるが、流出抵抗により作動液がそれに伴って流出するわけではなく操作ストロークが早急に増加することがない。したがって、実際の操作力と、標準の操作状態における操作力と操作ストロークとの関係とに基づいて決まる設定ストロークより実際の操作ストロークの方が小さい場合には緊急操作状態にあるとすることができる。また、一対の一点鎖線で示すように流出抵抗を大きくするほどこの現象が顕著に現れる。
なお、設定ストロークは、実際の操作力と、標準の操作状態における操作力と操作ストロークとの関係とに基づいて決まる値でるが、操作力に応じて決まる標準操作状態における操作ストロークとしたり、その操作ストロークより設定値だけ小さい値としたりすることができる。
【0041】
そこで、このことを利用して、運転者によるブレーキペダル20の操作速度が大きいこと、すなわち、操作力の増加勾配が大きく、緊急ブレーキ操作が行われたことが検出される。
図8のステップ11(以下、S11と略称する。他のステップについても同様とする)において、ブレーキ操作中であるかどうかが検出される。例えば、操作力センサ174による検出値が設定値以上の場合にブレーキ操作中であるとすることができる。S12において、緊急操作仮フラグがセット状態にあるか否かが判定される。緊急操作仮フラグがリセット状態にある場合には、S13,14において、操作力が設定操作力Fa以上であるかどうか、操作ストロークが設定ストロークSaより小さいかどうかが判定される。いずれの判定もYESである場合には、S15において緊急操作仮フラグがセットされる。設定ストロークSaは、標準操作状態Aを想定した場合の操作力と操作ストロークとの関係と、設定操作力Faとに基づいて決まる。
その後、S16において、シミュレータ制御弁78の制御により、マスタシリンダ14とストロークシミュレータ77との間の液通路が絞られる。マスタシリンダ14からの流出抵抗、換言すれば、ストロークシミュレータ77への流入抵抗が大きくされる。そして、S17,18において、操作力が設定操作力Fb以上であるかどうか、操作ストロークが設定ストロークSbより小さいかどうかが判定される。いずれの判定もYESである場合には、S19において緊急操作フラグがセットされる。設定ストロークSbは、標準操作状態Bを想定した場合の操作力と操作ストロークとの関係と、設定操作力Fbとに基づいて決まる。
ブレーキ操作が解除された場合に、S20において、緊急操作仮フラグ、緊急操作フラグはいずれもリセットされる。
【0042】
このように、本実施形態においては、緊急操作状態にあることが、2つの物理量の関係に基づいて取得されるため、1つの物理量の大きさと変化量とに基づいて取得される場合より、精度よく取得することができる。
また、2つのセンサによる検出値に基づいて操作状態が取得されるのであり、検出値の微分値に基づいて取得されるわけではない。このことによっても取得精度を向上させることができる。
さらに、設定操作力を通常のブレーキ作動時により大きい値にすれば、操作力が設定操作力以上かつ操作速度が設定速度以上の場合に緊急操作状態であると取得されることになり、取得精度をさらに向上させることができる。
【0043】
図7において、S51において、ブレーキ操作中であるかどうかが判定され、S52において、緊急操作フラグがセット状態にあるかどうかが判定される。緊急操作フラグがリセット状態にある場合には、S53において、通常ブレーキ制御が行われ、緊急操作フラグがセット状態にある場合には、S54,55において、ブレーキ液圧の増加勾配が最大になるようにリニアバルブ装置100〜106が制御され、サスペンションECU12に減衰特性をハードにすること、車高を低くすることを表す指令が出力される。
【0044】
それによってサスペンション装置16においては、ロータリバルブ290により連通路278,280が閉状態にされ、電磁開閉弁226,228の制御によってエアチャンバ210のエア室216からエアが流出させられる。減衰特性がハードとされて、車高が低くされる。
ブレーキシリンダ液圧の増加勾配が大きくされるとともに、車両の荷重移動が生じる。前輪の荷重が大きくなって摩擦力が大きくなり、減速度を大きくすることができる。また、車高が低くされるため、走行安定性の低下を抑制することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態においては、ブレーキECU10の緊急操作状態検出プログラムを記憶する部分、実行する部分等により操作状態取得装置が構成される。操作状態取得装置は緊急操作状態取得部でもある。また、シミュレータ制御弁78およびブレーキECU10のS16を記憶する部分、実行する部分等により関係変更装置が構成される。これらは、抵抗付与装置、流入制御弁装置の一態様でもある。シミュレータ制御弁78は流入流量制御弁でもある。
さらに、ブレーキECU10,サスペンションECU12およびブレーキアクチュエータ130,減衰特性制御アクチュエータ296,車高調節装置338等により車両制御装置が構成される。
【0046】
なお、上記実施形態においては、ブレーキ操作中において、操作力が設定操作力より大きく、ストロークが設定ストロークより小さいことが2回検出された場合に、緊急操作状態にある取得されるようにされていたが、1回検出された場合に緊急操作状態にあると取得されるようにすることもできる。
また、操作力が設定操作力以上であり、かつ、操作ストロークが設定ストローク以下である場合に緊急操作状態であるとされたが、その時点の操作力に基づいて設定ストロークが決定されるようにすることもできる。その場合には、操作力が設定操作力以上にならなくても、操作速度が大きいかどうかを取得することができる。この場合には、標準操作状態における操作力と操作ストロークとの関係が予め記憶され、その時点の操作力と上述の関係とに基づいて設定ストロークが決定されるようにする。この場合の標準操作状態は、後述するように(図13)、通常ブレーキ作動時の操作状態としたり、定常状態が保たれつつ操作される状態としたり、その運転者による平均的な操作状態としたりする等標準操作状態は適宜設定することができる。
さらに、操作力Fの操作ストロークSに対する比率(F/S)に基づいて緊急操作状態であることを取得することができる。操作力の操作ストロークに対する比率は遅れが大きくなると大きくなる。操作力の操作ストロークに対する比率は操作力と操作ストロークとの関係の一態様である。また、実際の操作力が、実際の操作ストロークと、標準操作状態における操作力と操作ストロークとの関係とに基づいて決まる設定操作力より大きい場合に緊急操作状態であると取得されるようにすることもできる。
【0047】
さらに、上記実施形態においては、シミュレータ制御弁78への供給電流を変更することによって、マスタシリンダ14からストロークシミュレータ76への作動液の流入抵抗が変更され、操作力と操作ストロークとの関係が変更されるようにされていたが、例えば、助勢装置が設けられた場合には、その助勢装置による助勢力の大きさ等の制御によって操作力と操作ストロークとの関係が変更されるようにすることもできる。また、加圧室の液圧等が別個制御されるようにしても操作力と操作ストロークとの関係を変更することができる。
【0048】
さらに、シミュレーション装置の構造は、上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、図10においては、シミュレーション装置350が、ストロークシミュレータ77と、互いに並列に設けられた電磁開閉弁352とリリーフ弁354とを含む。電磁開閉弁352は常閉弁であり、ブレーキシリンダ28,29,36,37がマスタシリンダ14から遮断された状態において開状態とされる。緊急操作仮フラグがセットされた場合には、図11のフローチャート(他の部分については図8のフローチャートと同じ)のS16′において、予め定められたデューティ比で電磁開閉弁352が開閉制御される。マスタシリンダ14とストロークシミュレータ77との間の抵抗が大きくされるのであり、上記実施形態において、シミュレータ制御弁78の開度を小さくするのと同様の効果が得られる。
【0049】
なお、S16′においては、電磁開閉弁352が閉状態に切り換えられるようにすることもできる。閉状態にされれば、運転者はストロークが得られなくなるため、操作力をさらに大きくするのが普通である。その結果、ストロークが大きくならないのに対して操作力が大きくなるため、これらの関係に基づけば、緊急操作状態であることをより確実に取得することができる。
また、電磁開閉弁352が閉状態にされても、リリーフ弁354が設けられているため、操作力が過大になっても、加圧室の液圧が過大になることを回避することができる。さらに、操作力が大きくなった場合にストロークが得られるため、操作フィーリングが固くなり、操作力を維持することが困難となって、いわゆる踏力抜けが生じることを回避することができる。
【0050】
また、液圧ブレーキ装置14にマスタシリンダは不可欠ではない。この場合には、図12に示すように、ブレーキ装置14にはブレーキ操作装置400が設けられる。ブレーキ操作装置400は、ブレーキペダル20と反力付与装置402とを含むものであり、反力付与装置402は、ハウジング404と、ブレーキペダル20に連携される一方、ハウジング404に摺動可能に嵌合された連結部材406と、伸縮に応じた弾性力を発生させるスプリング408等の弾性部材とを含む。ブレーキペダル20の移動に伴って連結部材406が移動させられ、それに伴ってスプリング408が伸縮させられる。それによって弾性力が発生させられ、反力が加えられる。本実施形態において、反力付与装置402は作動液を有しないものであるため、ドライストロークシミュレータまたはエアシリンダと称することができる。
【0051】
反力付与装置402において、ハウジング404のスプリング408が設けられた室410と大気との間には電磁開閉弁410が設けられる。電磁開閉弁410の開状態においてはスプリング408の自由な伸縮が許容され、閉状態においてはスプリング408の自由な伸縮が阻止される。電磁開閉弁410をデューティ制御すれば、スプリング408の伸縮抵抗を生じさせることができる。
電磁開閉弁410は通常は開状態にあるが、緊急操作仮フラグがセットされた場合にデューティ制御される。なお、閉状態に切り換えることもできる。
本実施形態においては、ブレーキが液圧により作動させられる液圧ブレーキに限らず、電動モータの作動により摩擦係合部材がブレーキ回転体に押し付けられる電動ブレーキとしたり、駆動源の電動モータの制御により車輪の回転が抑制される回生ブレーキとしたりすることができる。
【0052】
さらに、上記実施形態においては、操作力が操作力センサ174によって検出されるようにされたが、マスタ圧センサ160,162によって検出されるマスタ圧を採用することもできる。操作力は反力に応じた大きさになるため、反力としてのマスタ圧を検出しても同じである。
また、緊急操作状態に限らず、広くブレーキ操作状態を取得することができる。
図13に示すように、操作力と操作ストロークとは、ブレーキペダル20が、定常状態を保ちつつ操作された場合には、実線に示す関係となる。それに対して、通常の状態で操作された場合には、破線に示す関係となる。加圧室53,54の液圧の増加が操作ストロークの増加に対して遅れるのであり、ストロークに対して操作力が小さくなる。また、操作速度が速い(大きい)場合には、前述のように、操作力がストロークに対して大きくなるため、一点鎖線で表される関係になる。このことを利用すれば、ブレーキ操作状態を検出することが可能となる。
【0053】
図14のフローチャートで表されるブレーキ操作状態検出プログラムの実行に従って、ブレーキ操作状態が検出される。
S101において、ブレーキ操作中であるかどうかが判定される。ブレーキ操作中である場合には、S102において、ストロークが設定値以上になったか否かが判定される。ストロークが設定値以上の場合には、S103、105において、操作力が設定値Fe1以下であるか、設定値Fe3以上であるかが、それぞれ判定される。
設定値Fe1以下である場合には、S104において通常の操作状態であるとされ、設定値Fe3以上である場合には、S106において操作速度が速い状態であるとされ、それ以外の場合には、S107において操作速度が遅く定常状態を保ちつつ操作されている状態であるとされる。
このように、本実施形態においては、ブレーキ操作状態を検出することができる。
【0054】
さらに、ブレーキ操作状態は、図15に示すように分類することができる。
ブレーキペダル20が、ゆっくりした速度で操作された場合には、操作力と操作ストロークとが実線に示す関係となる(L)。それに対して、普通の速度で操作された場合には、破線に示す関係となり(M)、操作速度が速い(大きい)場合には、一点鎖線で表される関係になる(H)。このことを利用すれば、ブレーキ操作状態を検出することが可能となる。
【0055】
図16のフローチャートで表されるブレーキ操作状態検出プログラムの実行に従って、ブレーキ操作状態が検出される。本実施形態においては、操作力が設定値に達した場合のストロークに基づいてブレーキ操作状態が検出される。
S203、205において、操作ストロークが設定値Sb1より小さいか、設定値Sb2より大きいかが、それぞれ判定される。
設定値Sb1より小さい場合には、S204においてブレーキ操作状態がH状態であるとされ、設定値Sb2より大きい場合には、S206においてブレーキ操作状態がL状態であるとされ、それ以外の場合には、S207においてM状態とされる。
【0056】
また、ブレーキ装置14、サスペンション装置16の構造は、本実施形態におけるそれに限らない。ブレーキ装置14においては、リニアバルブ装置の代わりに複数の電磁開閉弁を含むものとすることができる。ブレーキ装置は、運転者によるブレーキ操作状態とは別にブレーキ作動力を制御可能なものであればどのようなものであってもよい。サスペンション装置16において、減衰特性、車高の少なくとも一方が調節可能なものであればよい。減衰特性は3段階以上に切り換え可能なものとすることもできる。さらに、緊急操作状態が検出された場合に、サスペンション装置が制御されるようにすることは不可欠ではない。緊急操作状態が取得された場合にブレーキ力を大きくしたり、増加勾配を大きくしたりすれば、十分である。
本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両制御装置全体を示す図である。
【図2】上記車両制御装置によって制御されるブレーキ装置の回路図である。
【図3】上記車両制御装置のブレーキ制御装置に含まれるリニアバルブを概念的に示す断面図である。
【図4】上記車両制御装置によって制御されるサスペンション装置の一部を示す図である。
【図5】上記サスペンション装置に含まれるショックアブソーバの一部断面図である。
【図6】上記ショックアブソーバの別の作動状態における一部断面図である。
【図7】上記ブレーキ制御装置のブレーキECUのROMに格納されたブレーキ等制御プログラムを表すフローチャートである。
【図8】上記ブレーキECUのROMに格納された緊急操作状態検出プログラムを表すフローチャートである。
【図9】上記ブレーキ装置におけるストロークと操作力との関係を示す図である。
【図10】上記車両制御装置によって制御される別のブレーキ装置の一部を示す図である。
【図11】上記ブレーキ制御装置のブレーキECUのROMに格納された緊急操作状態検出プログラムを示すフローチャートである。
【図12】上記車両制御装置によって制御される別のブレーキ装置の一部を示す図である。
【図13】本発明の別の一実施形態である車両制御装置によって制御されるブレーキ装置における操作ストロークと操作力との関係を示す図である。
【図14】上記車両制御装置に含まれるブレーキ制御装置のブレーキECUのROMに格納された操作状態検出プログラムを表すフローチャートである。
【図15】本発明のさらに別の一実施形態である車両制御装置によって制御されるブレーキ装置における操作ストロークと操作力との関係を示す図である。
【図16】上記車両制御装置に含まれるブレーキ制御装置のブレーキECUのROMに格納された操作状態検出プログラムを表すフローチャートである。
【符号の説明】
10ブレーキECU 12サスペンションECU
60,62マスタ遮断弁 78シミュレータ制御弁
130ブレーキ制御アクチュエータ 174操作力センサ
176ストロークセンサ 240車高調節バルブ
296減衰特性制御アクチュエータ
Claims (10)
- ブレーキ操作部材と、
そのブレーキ操作部材に運転者によって加えられる操作力およびストロークをそれぞれ検出する操作力検出装置およびストローク検出装置と、
前記ストローク検出装置によって検出されたストロークが、前記操作力検出装置によって検出された操作力に前記ブレーキ操作部材が標準的な操作速度で操作された場合において対応するストロークである基準ストロークより設定値以上小さい場合に、緊急操作状態であるとする操作状態取得装置と
を含むことを特徴とするブレーキ制御装置。 - 前記操作状態取得装置が、前記操作力検出装置によって検出された操作力が予め定められた設定値より大きく、かつ、前記ストローク検出装置によって検出されたストロークが、前記操作力の設定値に前記ブレーキ操作部材が標準的な操作速度で操作された場合において対応するストロークである設定ストロークより設定値以上小さい場合に、緊急操作状態であるとするものである請求項1に記載のブレーキ制御装置。
- (a)ハウジングと、(b)そのハウジングの内部を2つの容積室に仕切る仕切部材と、(c) その仕切り部材に弾性力を加える弾性部材とを含み、前記2つの容積室の一方に流体が供給されると、前記弾性部材が弾性変形して、前記仕切り部材の移動を許容し、かつ、前記仕切り部材に弾性力を付与するストロークシミュレータと、
前記一方の容積室へ流入する流体に流入抵抗を付与する流入抵抗付与装置と
を含む請求項1または2に記載のブレーキ制御装置。 - 前記流入抵抗付与装置が、前記ストロークシミュレータの前記一方の容積室への流体の流入状態を制御することによって前記ブレーキ操作部材の操作力とストロークとの変化特性を変更する流入制御弁装置を含む請求項3に記載のブレーキ制御装置。
- 前記流入制御弁装置が、前記一方の容積室への流体の流入流量を制御可能な流入流量制御弁を含む請求項4に記載のブレーキ制御装置。
- 前記流入制御弁装置が、前記一方の容積室への流体の流入を許容する状態と阻止する状態とに切り換え可能な流入制御弁と、その流入制御弁と並列に設けられ、前記流入制御弁によって前記一方の容積室への流体の流入が阻止された状態にある場合に、運転者によるブレーキ操作部材の操作力に応じた大きさの流体圧が前記一方の容積室の流体圧より設定値以上大きい場合に、前記一方の容積室への流体の流入を許容するリリーフ弁とを含む請求項4に記載のブレーキ制御装置。
- 前記流入制御弁装置が、前記ストロークシミュレータへの流体の流入流量を制御することにより、前記操作力と前記ストロークとの変化特性を変更する手段を含み、前記操作状態取得装置が、前記変化特性が変更される前に前記緊急操作状態を取得した場合に仮に緊急操作状態であるとし、かつ、前記変化特性が変更された後に前記緊急操作状態を取得した場合に、真に緊急操作状態であるとする手段を含む請求項4ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
- 前記流入制御弁装置が、前記ストロークシミュレータへの流体の流入流量を制御することにより、前記操作力と前記ストロークとの変化特性を、前記ブレーキ操作部材の操作速度が大きい場合は小さい場合より、前記操作力に対する前記ストロークの遅れが大きくなる変化特性に変更する手段を含み、前記操作状態取得装置が、前記変化特性が変更された後に、前記変化特性が変更される前より、前記遅れが大きくなった場合に、前記緊急操作 状態であると取得する手段を含む請求項4ないし6のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
- 車両の走行状態を制御する車両制御装置であって、
請求項1ないし8のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置と、
そのブレーキ制御装置に含まれる前記操作状態取得装置によって前記ブレーキ操作部材の操作状態が前記緊急操作状態であると取得された場合に、当該車両制御装置の制御特性を変更する制御特性変更部と
を含むことを特徴とする車両制御装置。 - 前記ブレーキ制御装置が、前記車両の車輪の回転を抑制するブレーキのブレーキ作動力を制御する作動力制御部を含み、前記制御特性変更部が、前記操作状態取得装置によって前記緊急操作状態が取得された場合に、前記作動力制御部に、前記ブレーキ作動力の増加勾配を最大の勾配にさせる部分を含む請求項9に記載の車両制御装置。
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