JP4178672B2 - ガラス溶融炉運転支援装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス溶融炉運転支援装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
原子力施設から発生する放射性廃液は、廃液処理設備によってガラス固化処理された後、廃棄物保管施設に保管される。
【0003】
図4は廃液処理設備を構成するガラス溶融炉の一例であり、このガラス溶融炉は、上下方向中間部分から下方へ向かって水平開口断面が徐々に縮小する形状の溶融空間1を有し且つ耐火材により形成された溶融炉本体2を備えている。
【0004】
溶融炉本体2の上部には、原料供給管3、廃液供給管4、及び排気管5が溶融空間1に連通するように接続されている。
【0005】
溶融炉本体2内には、溶融空間1の上下方向中間部で向き合う一対の主電極6と、溶融空間1の底部近傍で向き合う一対の底部電極7とが、溶融空間1に貯留される溶融ガラスGに浸漬するように設けられている。
【0006】
溶融炉本体2の下部には、溶融空間1に連通する流下ノズル8と、該流下ノズル8を取り囲む誘導加熱コイル9と、流下ノズル8に対して冷却用空気を吹き付け得る空気噴射管10とが設けられている。
【0007】
また、溶融炉本体2の下方には、金属製の固化体容器11が載置される荷重検出器12を有し且つ流下ノズル8の直下へ移動可能な搬送台車13が設けられている。
【0008】
更に、ガラス溶融炉には、荷重検出器12から出力される荷重検出信号12sに基づき瞬時重力を時間で微分して流下ノズル8より流出する溶融ガラスGの流下速度を求める演算器14と、該演算器14から出力される流速信号15sに基づき溶融ガラスGの流下速度を表示する流速計15と、主電極6、底部電極7、及び誘導加熱コイル9に対して電力6e,7e,9eを送給する制御盤16とが付帯している。
【0009】
図4に示すガラス溶融炉では、原料供給管3から溶融空間1へ送給した原料ガラスを、溶融炉本体2に付帯するヒータ(図示せず)によって溶融させ、また、主電極6及び底部電極7へ電力6e,7eを送給し、溶融空間1の溶融ガラスGをジュール熱によって固化しないように保温する。
【0010】
このとき、流下ノズル8内でガラスが固化するため、溶融空間1から外部への溶融ガラスGの流出が抑止される。
【0011】
この状態で、原料供給管3から溶融空間1へガラス原料を送給すると、当該原料ガラスが溶融ガラスGに溶融し、また、廃液供給管4から溶融空間1へ廃液を送給すると、該廃液が溶融ガラスGに混入される。
【0012】
廃液のガラス固化処理にあたっては、搬送台車13に固化体容器11を搭載し、該固化体容器11が流下ノズル8の直下に位置するように搬送台車13を移動させておく。
【0013】
次いで、誘導加熱コイル9へ電力9eを送給することにより流下ノズル8を加熱し、該流下ノズル8内で固化しているガラスを溶融させて、廃液が混入した溶融ガラスGを、流下ノズル8から固化体容器11へ流出させる。
【0014】
このとき、荷重検出器12からの荷重検出信号12sに基づき、流下ノズル8から流出する溶融ガラスGの流下速度が演算器14により求められ、該演算器14からの流速信号15sに応じた溶融ガラスGの流下速度が流速計15に表示される。
【0015】
誘導加熱コイル9への電力9eの送給を中断すると、流下ノズル8の温度が徐々に低下し、当該流下ノズル8内でガラスが固化し、溶融空間1から外部への溶融ガラスGの流出が抑止され、固化体容器11内に充填された溶融ガラスGは、自然風冷によって固化し、ガラス固化体が形成される。
【0016】
固化体容器11への溶融ガラス充填時には、運転員が流速計15の表示を確認しながら、誘導加熱コイル9に対する投入電力量を増減して、溶融ガラスGの流下速度を制御している。
【0017】
また、誘導加熱コイル9への投入電力量を増大させても溶融ガラスGの流下速度が速くならない場合や、誘導加熱コイル9への投入電力量を減少させても溶融ガラスGの流下速度が遅くならない場合には、主電極6や底部電極7に対する投入電力量を増減して、溶融ガラスGの流下速度を制御している。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、主電極6あるいは底部電極7への投入電力量を増減するか否かは、運転員の判断に委ねられ、また、投入電力量の増減に応じて溶融ガラスGの流下速度が変化するまでの応答時間が長いため、ガラス溶融炉の運転操作には熟練を要する。
【0019】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、ガラス溶融炉の運転操作を容易にすることを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を回避するため、本発明のガラス溶融炉運転支援装置では、溶融炉本体の流下ノズルから固化体容器へ流入した溶融ガラスの重量を検出する荷重検出器と、溶融ガラスを固化体容器へ充填する際の流下速度の目標値に応じた目標値信号を出力する設定器と、前記荷重検出器からの信号に基づき流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として求め且つ該プロセス値と予め設定された溶融ガラスの流下速度の目標値との差、及び現時点での投入電力量に応じて流下ノズル加熱手段へ送給すべき適正投入電力量を求める演算器と、 該演算器からの信号に基づき流下ノズル加熱手段への適正投入電力量、及び溶融炉本体の保温用電極への投入電力量の増減を告知する通告手段とを備え、
前記演算器が、荷重検出器からの荷重検出信号に基づき、流下ノズルの加熱を終了するか否かを判定する機能と、荷重検出器からの荷重検出信号に基づき、流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として算出する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限を上回ったか否か、あるいは許容範囲の下限を下回ったか否かを判定する機能と、設定器からの目標値信号に基づく目標値とプロセス値との差、及び流下ノズル加熱手段へ電力を送給している制御盤から出力される現時点の投入電力量信号に基づき、微分演算によって流下ノズル加熱手段への適正投入電力量を所定間隔ごとに算出する機能と、適正投入電力量が許容投入電力量の上限値を上回ってN回以上続けて算出されたか否か、あるいは許容投入電力量の下限値を下回ってN回以上続けて算出されたか否かを判定する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限あるいは下限をはずれた際、並びに適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値あるいは下限値をはずれてN回以上算出された際に、表示器に対して運転ガイダンス信号を出力する機能とを有している。
【0021】
本発明のガラス溶融炉運転支援装置においては、演算器が溶融炉本体の流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として求め、また、該プロセス値と予め設定された溶融ガラスの流下速度の目標値との差、及び現時点での流下ノズル加熱手段に対する投入電力量に応じて流下ノズル加熱手段への適正投入電力量を算出し、流下ノズル加熱手段への適正投入電力量、及び溶融炉本体の保温用電極への投入電力量の増減を、通告手段を介して運転員に告知する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1乃び図2は本発明のガラス溶融炉運転支援装置の実施の形態の一例であり、図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表している。
【0024】
このガラス溶融炉運転支援装置は、荷重検出器12、制御盤16、設定器17、演算器18、及び表示器19を備えている。
【0025】
設定器17には、溶融ガラスGを固化体容器11へ充填する際の溶融ガラスGの流下速度の目標値(図3参照)が予め設定されており、該目標値に応じた目標値信号17sを出力するように構成されている。
【0026】
演算器18は、荷重検出器12からの荷重検出信号12sに基づき、流下ノズル8の加熱を終了するか否かを判定する機能と、荷重検出器12からの荷重検出信号12sに基づき、流下ノズル8より流出する溶融ガラスGの流下速度をプロセス値として算出する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限X(図3参照)を上回ったか否か、あるいは許容範囲の下限Y(図3参照)を下回ったか否かを判定する機能と、設定器17からの目標値信号17sに基づく目標値とプロセス値との差、及び誘導加熱コイル9へ送給している電力9eに応じて制御盤16から出力される現時点の投入電力量信号16sに基づき、微分演算によって誘導加熱コイル9への適正投入電力量αを所定間隔ごとに算出する機能と、適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値を上回ってN回以上続けて算出されたか否か、あるいは許容投入電力量の下限値を下回ってN回以上続けて算出されたか否かを判定する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限あるいは下限をはずれた際、並びに適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値あるいは下限値をはずれてN回以上算出された際に、表示器19に対して運転ガイダンス信号18sを出力する機能とを有している。
【0027】
図1及び図2に示すガラス溶融炉運転支援装置では、溶融ガラスGを固化体容器11へ充填する際に、演算器18において、荷重検出器12からの荷重検出信号12s、制御盤16からの投入電力量信号16s、及び設定器17からの目標値信号17sに基づき、下記の手順で判定処理が行われる。
【0028】
まず、荷重検出器12からの荷重検出信号12sに基づき、現時点での固化体容器11内の溶融ガラスGの重量が検知され、流下ノズル8の加熱を終了するか否かが判定される。
【0029】
流下ノズル8の加熱を継続することが確認されると、荷重検出器12からの荷重検出信号12sに基づき、流下ノズル8より流出する溶融ガラスGの流下速度がプロセス値として算出され、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限Xを上回ったか否か、あるいは許容範囲の下限Yを下回ったか否かが判定される。
【0030】
また、設定器17からの目標値信号17sに基づく目標値とプロセス値との差、及び誘導加熱コイル9へ送給している電力9eに応じて制御盤16から出力される現時点の投入電力量信号16sに基づき、微分演算によって誘導加熱コイル9への適正投入電力量αが所定間隔ごとに算出される。
【0031】
更に、適正投入電力量αが算出されると、当該適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値を上回ってN回以上続けて算出されたか否か、あるいは許容投入電力量の下限値を下回ってN回以上続けて算出されたか否かが判定される。
【0032】
このとき、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限Xを上回っていると、演算器18から出力される運転ガイダンス信号18sによって、表示器19に「電力をαWまで上げてください。」という運転ガイダンスが表示され、プロセス値が目標値に対する許容範囲の下限Yを下回っていると、演算器18から出力される運転ガイダンス信号18sによって、表示器19に「電力をαWまで下げてください。」という運転ガイダンスが表示される。
【0033】
また、適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値を上回ってN回以上続けて算出されると、演算器18から出力される運転ガイダンス信号18sによって、表示器19に「主−底部電極間通電の目標値を上げてください。」という運転ガイダンスが表示され、適正投入電力量αが許容投入電力量の下限値を下回ってN回以上続けて算出されると、演算器18から出力される運転ガイダンス信号18sによって、表示器19に「主−底部電極間通電の目標値を下げてください。」という運転ガイダンスが表示される。
【0034】
このように、図1及び図2に示すガラス溶融炉運転支援装置においては、流下ノズル8より流出する溶融ガラスGの流下速度をプロセス値として求め、該プロセス値と予め設定された溶融ガラスGの流下速度の目標値との差、及び現時点での誘導加熱コイル9に対する投入電力量に応じて誘導加熱コイル9へ送給すべき適正投入電力量αを算出し、当該適正投入電力量α、及び主電極6、底部電極7への投入電力量の増減を、表示器19を介して運転員に告知するので、ガラス溶融炉の運転操作を容易にすることが可能になり、よって、運転員の負担が軽減される。
【0035】
なお、本発明のガラス溶融炉運転支援装置は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、表示器に替えて通告手段に音声告知方式のものを用いること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加え得ることは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のガラス溶融炉運転支援装置によれば、溶融炉本体の流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として求め、該プロセス値と予め設定された溶融ガラスの流下速度の目標値との差、及び現時点での投入電力量に応じて流下ノズル加熱手段へ送給すべき適正投入電力量を算出し、当該適正投入電力量、及び溶融炉本体の保温用電極への投入電力量の増減を、通告手段を介して運転員に告知するので、ガラス溶融炉の運転操作を容易にすることが可能になり、よって、運転員の負担が軽減される、という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス溶融炉運転支援装置の実施の形態の一例を示す概念図である。
【図2】本発明のガラス溶融炉運転支援装置の実施の形態の一例のフローチャート図である。
【図3】溶融ガラスの流下速度の目標値を示すグラフである。
【図4】ガラス溶融炉の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
2 溶融炉本体
6 主電極
7 底部電極
8 流下ノズル
9 誘導加熱コイル(流下ノズル加熱手段)
11 固化体容器
12 荷重検出器
12s 荷重検出信号
18 演算器
18s 運転ガイダンス信号
19 表示器(通告手段)
Claims (1)
- 溶融炉本体の流下ノズルから固化体容器へ流入した溶融ガラスの重量を検出する荷重検出器と、溶融ガラスを固化体容器へ充填する際の流下速度の目標値に応じた目標値信号を出力する設定器と、前記荷重検出器からの信号に基づき流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として求め且つ該プロセス値と予め設定された溶融ガラスの流下速度の目標値との差、及び現時点での投入電力量に応じて流下ノズル加熱手段へ送給すべき適正投入電力量を求める演算器と、 該演算器からの信号に基づき流下ノズル加熱手段への適正投入電力量、及び溶融炉本体の保温用電極への投入電力量の増減を告知する通告手段とを備え、
前記演算器が、荷重検出器からの荷重検出信号に基づき、流下ノズルの加熱を終了するか否かを判定する機能と、荷重検出器からの荷重検出信号に基づき、流下ノズルより流出する溶融ガラスの流下速度をプロセス値として算出する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限を上回ったか否か、あるいは許容範囲の下限を下回ったか否かを判定する機能と、設定器からの目標値信号に基づく目標値とプロセス値との差、及び流下ノズル加熱手段へ電力を送給している制御盤から出力される現時点の投入電力量信号に基づき、微分演算によって流下ノズル加熱手段への適正投入電力量を所定間隔ごとに算出する機能と、適正投入電力量が許容投入電力量の上限値を上回ってN回以上続けて算出されたか否か、あるいは許容投入電力量の下限値を下回ってN回以上続けて算出されたか否かを判定する機能と、プロセス値が目標値に対する許容範囲の上限あるいは下限をはずれた際、並びに適正投入電力量αが許容投入電力量の上限値あるいは下限値をはずれてN回以上算出された際に、表示器に対して運転ガイダンス信号を出力する機能とを有していることを特徴とするガラス溶融炉運転支援装置。
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JP19757799A Expired - Lifetime JP4178672B2 (ja) | 1999-07-12 | 1999-07-12 | ガラス溶融炉運転支援装置 |
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1999
- 1999-07-12 JP JP19757799A patent/JP4178672B2/ja not_active Expired - Lifetime
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