JP4178607B2 - パターニング用マスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属、絶縁体、半導体材料を基板などに選択的に蒸着、スパッタリング、CVD薄膜形成、イオン注入などを行うための自立した平板のマスクに関する。特により微細なパターンに蒸着、スパッタリングできるような薄くて反りがなく堅牢なマスクに関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸着、スパッタリング、CVD等によって金属や酸化物、半導体等の薄膜を基材上に形成する工程において薄い金属マスクが使われる事がある。薄い金属板に、形成するべき薄膜のパターンの穴を穿ったものをマスクとする。ここでは薄膜形成するべきパターンに対応した穴があり、同じパターンを形成するマスクであるのでパターニング用マスクと呼ぶ。成膜時には、パターニング用マスクを基材表面に密着させてその上から蒸着やスパッタリングを行う。通常このマスクにはステンレス等の金属が使用される。ステンレスは錆びず、適当な剛性があり、取扱い容易であるからである。
【0003】
単に基板にマスクを置いて蒸着などをしてマスクを取れば所望のパターンが形成できているので簡単である。マスクは洗えば何回も繰り返し使用できる。極めて経済的である。
マスクによるパターン形成はもちろん簡易なものである。微細な構造を作るにはフォトリソグラフィによらなければならない。フォトリソグラフィによる場合は基板に薄膜を蒸着、スパッタリングし、その上にレジストを塗布し、ガラス等のマスクをレジスト膜に密着させ水銀ランプ、エキシマレ−ザなどによって露光し、マスクをとって現像すると、所望の窓(開口部)パターンを備えたレジスト膜ができる。この状態で蒸着、スパッタリングをすると、窓の部分のみに材料が付着する。その後レジストを除去すると、窓であった部分に選択的に堆積した薄膜が残る。露光光源やレジストの改良によってフォトリソグラフィによるパターン形成は、1μm以下の微細な形状を自在に形成できるという利点がある。
【0004】
しかしレジストを使う薄膜パターン形成は操作が煩雑である。レジスト塗布、ベーキング、マスク合わせ、露光、現像、レジスト除去など手数がかかる。数100μm〜数1000μmの比較的広く大きいパターンなどは、フォトリソグラフィを使わない。たとえば、CdSフォトセルの蛇行電極などは金属マスクによる蒸着によって電極を作ることができる。基板に金属マスクを密着させその上から材料を蒸着し、その後マスクを取れば良いのである。金属マスクを通して銅、アルミ、金などの金属を蒸着、スパッタリングするとマスク窓と同じパターンの薄膜を極めて容易に形成することができる。金属マスクに材料が付着するが同じ材料を飛ばす場合は気にせず繰り返し使える。アセトンなどを付けた布で拭けば穴についた材料も取れる事が多い。フォトリソグラフィに比べ格段に単純である。素子の製造コストを下げる上でも極めて効果的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
金属マスクを用いる蒸着、スパッタリング等において、金属マスクは、自立性があり、平坦であって反りがないことが必須である。自立性があるというのは取扱いの途中で分解したり折損したりしないということである。平坦性というのは平面であって上下の反りがないということである。平坦性がないと凹凸が生じ、基板とマスクの距離が一定にならないし、水平方向の距離も短くなり寸法誤差を生じる。常温の時に平坦であっても加熱した時に反るというようではいけない。蒸着、スパッタリングは基板を加熱して行う事も多いからである。
【0006】
適当な剛性があり自立でき反りにくく、繰り返し使用に耐え、錆びにくいということからステンレスマスクが専ら使われる。銅その他の金属であってもメッキすればマスクとする事ができるはずであるがあまり使われない。ステンレスの場合であっても厚さは100μm以上必要である。それ以上薄いと弱すぎて破損しやすいし反りやすい。それで金属マスクの場合最小の厚みは現在でも100μmである。
【0007】
金属マスクに穴(パターン)を穿つには機械的な手段や、レ−ザなど光学的な手段があるが、一般に厚みより細かい寸法の穴を垂直に開けることは難しい。深さ方向にサイドエッチングが起こり穴の広さが厚み方向に変わってくる。ステンレスマスクは最小でも厚さが100μmもあるので、パターンの最小線幅も100μm程度になる。だから100μmより微小な線幅のパターンなどは金属マスク法によっては形成できない。つまり従来の金属マスク法は、100μm以下の微小パターンを含むものは作製できなかった、ということである。
【0008】
▲1▼特公昭61−30025号「蒸着方法」は、金属マスク法の限界である100μm以下のパターンを形成する方法を提案している。1枚の金属マスクであると、どうしても100μm以下の蒸着パターンを作ることはできない。そこで2枚の同等の金属マスクを重ね、一方のマスクをずらせて開口部面積を減らして100μm以下の部分に蒸着膜を形成する、という。
【0009】
この方法は2枚のマスクを厳密に相対変位させることが難しい。マイクロメータで動かすと言っているが、広いマスクを厳密に平行移動させることは難しい。マスク上下でパターン幅が相違してしまう、という可能性がある。それにマイクロメータに2枚のマスクを付けるとマスクが嵩高くなり蒸着装置内にセットするのが難しい。もともと取扱い簡易だというところに金属マスク法の利点があったのであるがその長所が打ち消されてしまう。それにマスクを重ねると窓辺から基板までの距離が離れるからパターンの境界線がぼける、という欠点も無視できないだろう。
【0010】
このような欠点を克服し100μmより小さいパターンの蒸着、スパッタリングなどを行う事のできるパターニング用マスクを提供する事が本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は10μm〜100μmの厚みを持つダイヤモンド板に所望パターンを与える穴を設けたものをパターニング用マスクとして提供する。つまり100μm以上の厚みを持った金属マスクでなくて、10μm〜100μmの厚みのダイヤモンドマスクとしたところに新規な特徴がある。
【0012】
ダイヤモンドは、加熱した適当な基材の上に炭化水素ガス、水素ガスを送り込み、気相合成法によって薄膜として形成できる。研磨代を考え研磨後の厚みが10μm〜100μmにある厚みの薄膜とする。基材の上に付いたままの状態で研磨し、さらにフォトリソグラフィによってパターンを形成する。つまりレジストを塗布し、所望パターンを描いたマスクを載せて水銀ランプなどで露光し、レジストを現像して、RIEエッチングによってレジストで覆われないダイヤモンド部分を除去する。その後レジストも除去する。所望の形状寸法の穴が開いたダイヤモンド板が得られるので、基材をエッチング除去する。自立した10μm〜100μmのダイヤモンドのマスクを得る事ができる。
【0013】
炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、アセチレンなど様々なものが使われる。ダイヤモンドはマイクロ波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、プラズマジェット法などによって基材上に薄膜形成できる。通常、薄膜とは1μm以下のものをいうが、10μm〜100μmのものを作る必要があり、ここでは時間を掛けて厚い膜を形成する。
【0014】
基材としては、Si、Mo、Ni、GaAs、AlN…などを用いる事ができる。Siウエハが基材として使われることも多い。基材としてダイヤモンドを使ってダイヤモンド膜形成できるが基材と同一であると基材だけ取り除くことが難しいからダイヤモンド基材は避ける。ダイヤモンド膜が薄いのでダイヤモンド自立膜にしてから研磨するのは難しい。それで基板に付けたまま研磨する。表面が平滑平坦になる。同様に基板に付けたままでフォトリソグラフィ、エッチングを行う。フォトリソグラフィによってパターンをダイヤモンド上に描くのは通常の方法によって実行できる。湿式エッチングによると基材の方が溶解してしまうからドライエッチングを行う。こうして窓が開いたマスクができるので、基材をエッチング除去し、ダイヤモンドの自立膜とする。
【0015】
自立膜として成立するため、厚みは10μm以上なければならない。これ以下だとダイヤモンドといえども自らの形状を保持できず割れてしまう。厚み10μmのマスクであれば、大体10μmの線幅のパターンを設けることができる。10μm〜30μmでは自立できるが、やはり弱いので、好ましくは30μm以上とするのがよい。30μm〜50μmのダイヤモンド膜厚とすると、その厚みにほぼ等しい幅の開口部、桟部などを作る事ができる。ただし、ダイヤモンド厚みは100μm以下とする。100μm以上であればステンレスマスクを使う事ができるから意味はない。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は10μm〜100μm厚みのダイヤモンド製のパターニング用マスクを与える。一旦ダイヤモンド膜を作って一部を除去する方法と、基材の一部のみにダイヤモンドを選択成長させる方法がある。
【0017】
[マスク製造方法1:エッチングによってパターンを作る]
図1(1)〜(7)によってその製造方法を説明する。
(1)基材2を準備する。先述のようにSiなどの平板である。平坦な板であるが、時に僅かな凹面のもの或いは僅かな凸面の平板を使う事もできる。
(2)基材2の上にダイヤモンド膜3を気相合成法によって形成する。熱フィラメントCVD法、マイクロ波CVD法、プラズマジェット法などである。最終厚みが10μm〜100μmとなるべきであるから、研磨代を加味した厚みまで成長させる。表面は凹凸がある。
(3)研磨によってダイヤモンド膜3の表面を平滑にする。研磨の際は凸型に歪んでいる方が研磨しやすい。
(4)ダイヤモンド膜3の上にレジスト4を塗布しベーキングし、ガラスマスク5を載せて水銀ランプの光8によって露光する。ガラスマスク5には遮光部6と透明部7がある。水銀ランプの光8は遮光部6を通らない、透明部7を通過した光によってレジスト4が感光する。
(5)レジスト4を現像すると感光した部分4が残る。非感光部は除去される。これはネガ型の場合であり、ポジ型の場合は反対になる。レジストパターンを通してダイヤモンドをエッチングする。例えばRIE(反応性イオンエッチング)を用いる。
(6)レジストによって保護されていないダイヤモンド部分1が除去される。レジストで覆われているダイヤモンド部分はそのまま残る。残った部分は桟10となる。除去された部分は開口部12となる。
(7)基板2をエッチングまたは研磨によって除去する。基板はダイヤモンドでないので強酸によって基板だけを溶解除去することもできる。基板厚さは決まっているから裏面研磨で基板だけを除く事もできる。こうして桟10と開口部12を有するダイヤモンド製のパターニング用マスク1が製造できる。
【0018】
[マスク製造方法2:選択成長法]
さらにダイヤモンド自体を基板上に選択成長させてマスクを作製するようにすることもできる。図5(1)〜(5)によってそのような製造方法を説明する。
(1)基材の表面2をダイヤモンドパウダーによって傷つけ処理する。
(2)基材にレジスト4を塗布し乾燥硬化させパターン6、7を描いたマスク5をレジストに密着させ、水銀ランプによってレジストを照射する。これは露光した部分が除去されるようなもので、マスクの遮光部6と同じパターンがレジスト4のパターンに転写される。ポジ型である。
(3)アルゴンプラズマによって基材2の表面処理を行う。レジストで覆われた部分はアルゴンプラズマ処理を受けない。
(4)レジストを全部除去し、基材2表面を露呈した状態で、気相合成法によってダイヤモンド膜3を成長させる。アルゴンプラズマ処理した部分にはダイヤモンドが成長しない。レジストで覆われたところだけにダイヤモンドが選択成長する。レジストによって覆われていた部分が桟10になり、アルゴンプラズマ処理を受けた部分が開口部12となる。
(5)基材2をエッチングあるいは研磨により除去する。桟10と開口部12を有する自立膜であるダイヤモンドパターニング用マスクが得られる。
【0019】
以上がダイヤモンドマスクの製造工程である。図2はダイヤモンドマスクの形状の一例を示す平面図である。桟10と開口部12を有する繰り返しパターンである。これは格子状の単純なパターンを示している。しかし目的によって、パターンは様々である。用途に応じたパターンを自在につくることができる。
【0020】
図3はマスクを使って基板23の上に、蒸着或いはスパッタリングにより薄膜22を被覆する状態を示す。基板23の上に本発明のダイヤモンドマスク1を密着させる。マスク1と基板23の間には隙間がある。上方から蒸着粒子或いはスパッタリング粒子20が飛来するが、桟10によって遮られるので、開口部12に対応する部分だけに薄膜22が成長してゆく。桟10の上にも蒸着材料スパッタリング材料が堆積する。桟上の堆積物24は余計なものである。
【0021】
蒸着等が終了すると、サンプルを取りだし、基板23からマスク1を取り除く。すると図4のような格子部分は露呈し、正方形部分に被膜22が堆積したパターンが得られる。
【0022】
マスク1はそのまま繰り返し使用しても良い。堆積物24が気になるときはアセトンで拭くと取れることもある。それで取れない場合は強酸で洗浄する。ダイヤモンドマスクだから強酸、強アルカリで洗浄しても毫も損なわれない。以上が本発明のダイヤモンドマスクの製造方法、使用方法である。
【0023】
ダイヤモンドは堅牢であって弾性率(剛性の高い)の大きい材料であるので10μmの薄いものでも自立できる。つまりマスクとして取扱いできる。ダイヤモンドマスクは、剛性高く、堅牢で、強度が高いから平坦な形状を保持し撓まない。一様なダイヤモンドであるから加熱しても反りが現れない。撓みがなく基板に密着させることができる。100μmより薄いから、100μm以下の小さいパターン(開口部、桟部)を正確に描く事ができる。このマスクを基板に重ねた上から蒸着、スパッタリングを行う事によって100μm以下の幅の電極、被膜などを容易に形成できる。
【0024】
これまでは100μm以下の微細なパターンを形成するという面からダイヤモンドマスクを提案した。しかしダイヤモンドのパターニング用マスクにはそれ以外にも利点がある。ステンレスマスクの場合、表面に被膜が付くがそのままで繰り返し使用するのが普通である。しかし何度も蒸着、スパッタリングしているとステンレスマスクの被膜が厚くなり内部応力を発生し反りが生ずることもある。その場合は表面にこびりついた被膜材料を除去する必要がある。さらに蒸着、スパッタリング材料を変更する場合は、汚染を避けるためマスクについた被膜を取らなければならない。アルミなどなら簡単であるが、金、チタン、SiN、SiO2、などが付着していると被膜除去が難しい。金、チタン、SiO2などを取ろうとするとマスクを王水、フッ酸、フッ硝酸などで洗浄しなければならない。しかしそうすると金属マスク自体が溶けてしまう。だから金属マスクは必ずしも洗浄できない。汚れたまま繰り返し使うということになってしまう。
【0025】
その点でもダイヤモンドマスクは利点がある。ダイヤモンドは酸やアルカリに対して極めて安定である。既に何度か使用したダイヤモンドマスクには、表面に、蒸着やスパッタリングによる金属膜、酸化物膜などが付着している。王水、フッ酸、フッ硝酸によってダイヤモンドマスクを洗浄して付着膜を除去する事が可能である。これらの強酸にもダイヤモンドは全く侵されないから付着膜だけを除去できる。付着膜を除去する事によって、付着膜の堆積による応力の増大を防ぐ事ができる。また蒸着材料を変更するときも被膜を洗浄除去しなければいけないがそれも容易である。常に洗浄可能であるから繰り返し半永久的に使用が可能である。
【0026】
金属マスクだと不透明でありマスク下の基材は見えない。しかしダイヤモンドは透明であるから、マスクを通して基材表面を目視確認できる。これも意外なようであるが優れた利点である。マスク合わせの際にマスクによって押さえられる部分が見えるとより正確なマスク合わせが可能である。
【0027】
チャージアップが時に問題になることがある。絶縁体の上にプラズマCVD法で薄膜形成したり、イオンビ−ム注入する場合は、正イオンが蓄積されるという問題である。金属マスクはもともと導電性があり問題ない。ダイヤモンドマスクは絶縁体でありチャージアップの可能性がある。しかしダイヤモンドにボロンBをドープして導電性にしておけばよい。ボロンドープp型ダイヤモンドにしておくのである。するとプラズマプロセス中での使用でもチャージアップの問題が起こらない。
【0028】
セラミックやガラスも同等の効果が期待されるが、堅牢さ、高弾性(剛性が高いこと)、および加工性の点でダイヤモンドの方が勝っている。セラミック、ガラスではなお金属マスクを凌駕することはできない。
【0029】
【実施例】
[実施例1]
1.シリコン基材上にCVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を形成した。基材を付けたままダイヤモンド膜の表面を研磨した。ダイヤモンド膜の厚みは50μmであった。
2.フォトリソグラフィとRIEエッチングによってダイヤモンド膜をパターニングした。
(パターン形状:線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターン)
3.Si基材を除去した。
4.このようにして作製したダイヤモンドマスクを用いて、ガラス上に金(Au)を蒸着した。線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターンをガラス上に形成できた。
5.使用後のダイヤモンドマスクを王水で洗浄した。表面の金が除去され新品同様のきれいなダイヤモンドマスクになった。
6.4と5の工程を10回繰り返し格子状パターンを10回ガラス基板上に形成した。ガラス上の金のパターニング形成の状況はいずれも良好であった。
【0030】
[実施例2]
1.シリコン基材上にCVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を形成し、表面を研磨した。ダイヤモンド膜の厚みは30μmであった。
2.フォトリソグラフィとRIEエッチングによってダイヤモンド膜をパターニングした。
(パターン形状:線幅=25μm、長さ=100μmの格子状パターン)
3.周辺部幅1mm分だけを補強用支持枠として残しそれ以外のSi基材を除去した。
4.このようにして作製したダイヤモンドマスクを用いて、ガラス上にアルミ(Al)を蒸着した。線幅=25μm、長さ=100μmの格子状パターンをガラス上に形成できた。
5.使用後のダイヤモンドマスクをアルカリで洗浄した。表面のAlが除去され新品同様のきれいなダイヤモンドマスクになった。
6.4と5の工程を10回繰り返し、格子状パターンを10回ガラス基板上に形成した。ガラス上のAlのパターニング形成の状況はいずれも良好であった。
【0031】
[実施例3]
1.シリコン基材上にCVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を形成し、表面を研磨した。ダイヤモンド膜の厚みは50μmであった。
2.エキシマレ−ザ加工によってダイヤモンド膜をパターニングした。
(パターン形状:線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターン)
3.Si基材を除去した。
4.このようにして作製したダイヤモンドマスクを用いて、ガラス上に金(Au)を蒸着した。線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターンをガラス上に形成できた。
5.使用後のダイヤモンドマスクを王水で洗浄した。表面のAuが除去され新品同様のきれいなダイヤモンドマスクになった。
6.4と5の工程を10回繰り返し格子状パターンを10回ガラス基板上に形成した。ガラス上の金のパターニング形成の状況はいずれも良好であった。
【0032】
[実施例4(ダイヤモンド選択成長:図5)]
0.シリコン基材表面をダイヤモンド砥粒で傷つけ処理した。レジストをSi基材に塗布し適当なマスクパターンを露光し現像してレジストのパターンを作った。(レジストパターン形状:線幅=50μm、長さ=200μmの格子状のパターン)
レジストパターンの上からアルゴン(Ar)プラズマをSi基材に照射した。レジストで覆われた部分にはアルゴンプラズマは接触しない。レジストの存在しない部分(露出した部分)はアルゴンプラズマによる処理を受けた。
1.シリコン基材上にCVD法によって多結晶ダイヤモンド膜を形成した。前工程でレジストで覆われずアルゴン処理を受けた部分にはダイヤモンド膜が形成されない。レジストによって覆われアルゴンプラズマに非接触であった部分にのみダイヤモンド膜が成長する。選択成長という。アルゴン処理によって成長しない部分を設けたのである。このダイヤモンド膜の表面を研磨した。ダイヤモンド膜の厚みは50μmであった。
2.フォトリソグラフィとRIEエッチングによってダイヤモンド膜をパターニングした。
(パターン形状:線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターン)
3.Si基材を除去した。
4.このようにして作製したダイヤモンドマスクを用いて、ガラス上に金(Au)を蒸着した。線幅=50μm、長さ=200μmの格子状パターンをガラス上に形成できた。
5.使用後のダイヤモンドマスクを王水で洗浄した。表面のAuが除去され新品同様のきれいなダイヤモンドマスクになった。
6.4と5の工程を10回繰り返し格子状パターンを10回ガラス基板上に形成した。ガラス上の金のパターニング形成の状況はいずれも良好であった。
【0033】
【発明の効果】
機械的強度に優れ、剛性の高いダイヤモンドをマスク材料としているので、100μm以下の膜厚のマスクとする事ができる。100μm以下の厚みであるから100μmより細かいパターンを設けることができる。つまり100μmより細い線幅の配線や電極、薄膜構造を形成することができる。従来の金属マスクであると、被膜材料で汚れたものを、強酸で洗うという訳にいかなかったが、本発明はダイヤモンドであるから、強酸によってマスクを洗い、汚れを落とし、反りの発生を防止することができる。また透明なマスクであるからマスク合わせがより容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターニング用マスクの製造工程を示す断面図。(1)はマスク膜をその上に形成するべき基材の断面図。(2)は基材の上にダイヤモンド膜を生成した状態の平面図。(3)はダイヤモンド膜を研磨した状態の平面図。(4)はレジストを塗布しパターンを描いたガラスマスクをレジストの上に置いて水銀ランプによって露光する状態を示す平面図。(5)はレジストを通してダイヤモンド膜をエッチングしている状態を示す断面図。(6)はエッチングによってガラスマスクパターン通りのダイヤモンド膜パターンが得られた状態を示す断面図。(7)基材を除去したダイヤモンドマスクの断面図。
【図2】格子状のダイヤモンドパターニング用マスクの平面図。
【図3】パターニング用マスクを基材の上において蒸着、スパッタリングして、マスク開口部の上に当たる部分のみに薄膜形成している状態を示す断面図。
【図4】基材の上に薄膜形成された後の状態を示す基材の平面図。
【図5】本発明のパターニング用マスクの第2の製造工程を示す断面図。(1)は表面傷つけ処理した基材の断面図。(2)は基材の上にレジストを塗り、マスクを載せて水銀ランプで露光しレジストの一部を硬化させる工程の断面図。(3)はレジストを現像し一部で基材を露呈させアルゴンプラズマ処理している状態の断面図。(4)その上にダイヤモンドを気相成長させるとアルゴン処理した部分にはダイヤモンドが堆積せず、レジストで覆われていた部分だけにダイヤモンドが堆積することを示す選択成長ダイヤモンドの断面図。(5)は基材を除去してダイヤモンドマスクのみを分離した状態の断面図。
【符号の説明】
1 ダイヤモンドパターニング用マスク
2 基材
3 ダイヤモンド膜
4 レジスト
5 ガラスマスク
6 遮光部
7 透明部
8 水銀ランプの光
9 露出部
10 桟
12 開口部
20 蒸着、スパッタリング分子
22 薄膜
23 基板
24 桟の上の堆積物
Claims (7)
- 開口部と桟の部分よりなるパターンを含み基板の上に置かれ蒸着、スパッタリング、CVDなどの薄膜形成をこれを通じて行うようにした平板状のマスクであって、厚みが10μm〜100μmの板状ダイヤモンドからなるパターニング用マスク。
- ダイヤモンドの厚みが30〜50μmであることを特徴とする請求項1に記載のパターニング用マスク。
- マスク内に施されたパターニング用の最小パターン寸法が100μm未満であることを特徴とする請求項1に記載のパターニング用マスク。
- マスク内に施されたパターニング用の最小パターン寸法が50μm未満であることを特徴とする請求項2に記載のパターニング用マスク。
- ダイヤモンドがBドープの半導電性ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターニング用マスク。
- 基材上にダイヤモンド膜を気相成長法によって形成し、パターニング用パターンの穴あけ加工をダイヤモンド膜に施し、その後基材を除去して完成することを特徴とするパターニング用マスクの製造方法。
- 基材上にダイヤモンド膜を形成する際に、パターニング用パターンの部分にのみダイヤモンド膜を成長させず、他の部分に選択的にダイヤモンド膜を成長させた後、基材を除去して完成するパターニング用マスクの製造方法。
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