JP4177946B2 - 電話機およびそれに用いられるエコーキャンセル回路ならびにハンドセット用信号線 - Google Patents

電話機およびそれに用いられるエコーキャンセル回路ならびにハンドセット用信号線 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電話機およびそれに用いられるエコーキャンセル回路ならびにハンドセット用信号線に関する。
【0002】
【従来の技術】
電話回線等の通信回線を介して外部との通信を行う電話機では、電話機本体で一旦授受した入力信号や出力信号を、一般に4本の信号線を並列して束ねたいわゆるカールコードあるいは接続配線コードを介して、マイクロホンおよびスピーカを備えたハンドセットに伝送している。また電話機の他にも、ファクシミリやパソコンのインターネット用モデム装置のような通信機器においても、電話機本体との間で通信すべき情報を担持してなる電気信号の授受を上記同様のカールコードあるいは接続配線コードを用いて行うように設定されている場合もある。
【0003】
このような電話機等におけるカールコードを中心とした電気的な回路構成は図4に一例を模式的に示すようなものが一般的である。すなわち、カールコード110は、ハンドセット100に設けられているマイクロホン120の2つの出力端子121a,121bのそれぞれに1本ずつが各々接続された合計2本の出力信号線130a,130bと、スピーカ140の2つの入力端子141a,141bのそれぞれに1本ずつが各々接続された合計2本の入力信号線150a,150bとが、互いに電気的に独立するように被覆材160等で絶縁されて所定の間隔を隔てて並行に配線されている。
【0004】
なお、一般にカールコード110は、その名の示すごとく螺旋状に巻かれたような形状となっていることが多いが、ほぼ偏平な帯状絶縁基材に4本の信号線130a,130b,150a,150bを互いに平行に配線したものもある。しかしいずれにしても、2本の出力信号線130a,130bと2本の入力信号線150a,150bとの合計4本の信号線が所定の間隔を隔てて並行に束ねられた状態に設けられているという基本的な構造は同じである。また、そのような合計4本の信号線の間隔や外形寸法、およびその各信号線の配列順序(位置関係)は一般に規格化されており、殆どのカールコード110はその規格に準拠したパターンで形成されている。
【0005】
スピーカ140に接続された2本の入力信号線150a,150bのうちの1本の入力信号線150bは、そのスピーカ140の入力端子141bに接続された一端とは反対側の他端が接地されており、残りの1本の入力信号線150aにおけるスピーカ140の入力端子141aに接続された一端とは反対側の他端には増幅器170が接続されていて、外部から電話回線(図示省略)を通って伝送されて来た音声情報等を担持してなる電気信号を増幅してスピーカ140に向けて送出するように設定されている。これら2本の入力信号線150a,150bは一般に、前記の規格に基づいて互いに隣り合うように配列されている。
【0006】
また、マイクロホン120に接続された2本の出力信号線130a,130bのうちの1本である出力信号線130bは、そのマイクロホン120の出力端子121bに接続された一端とは反対側の他端が接地されており、残りの1本の出力信号線130aにおけるマイクロホン120の出力端子121aに接続された一端とは反対側の他端には増幅器180が接続されていて、マイクロホン120で変換された音声情報等を担持してなる電気信号を増幅してこのハンドセット100およびカールコード110の外部へと送出するように設定されている。この2本の出力信号線130a,130bは、隣り合うように配列された2本の入力信号線150a,150bの外側からそれらを挟むように配列されている。すなわち図中上から順に、出力信号線130a,入力信号線150a,入力信号線150b,出力信号線130bの順に隣り合うように配列されている。
【0007】
このようなカールコード110(あるいは接続配線コード)をハンドセット100に接続して用いることにより、そのコードの長さの許す範囲内でハンドセット110を自由に移動して通話や通信機器等の接続ができるという利点が得られることは周知の通りである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
カールコード110内の4本の信号線すなわち2本の出力信号線130a,130bおよび2本の入力信号線150a,150bは一般に、互いに電気的に絶縁されていても、ほぼ平行に近接して配列されているので、特に電気信号のパルス波形の振幅が大きい出力信号線130aと入力信号線150aとの間で、図4中に模式的に示したように容量結合190が生じ、これに起因していわゆるクロストークあるいは電磁気的漏洩が発生する。
【0009】
カールコード110の被覆材の材質によっては、ある程度の電磁気的遮蔽が可能となる場合もあるが、距離が極めて近い出力信号線130aと入力信号線150aとの間での電磁気的なクロストークを完全に防ぐことは困難であることは言うまでもない。特に磁気的な漏洩を完全に遮蔽することは理論的に不可能であり、磁気的シールド高価の極めて高い特殊な材質の被覆材を用いることも考えられるが、コスト高となるので実用的ではない。しかも通信信号の高周波数化がますます進む傾向にあるので、そのような高周波数の電気信号による電磁気的なクロストークを被覆材のみで遮蔽することはますます困難となる傾向にある。
【0010】
上記のようなクロストークが出力信号線130aと入力信号線150aとの間で発生しても、マイクロホン120から出力信号線130aを介して送出される電気信号のクロストークに起因した雑音が自分のハンドセット100のスピーカ140から自分の耳に聞こえてきても本人がそのとき発している音声との間での遅延は殆ど無いので、実用上無視することができる。
【0011】
また一般に、市内通話のような近距離間の通信などでは、通話伝送経路における伝達遅延が殆どないので、ハンドセット100で通話相手側から送信されて来た音声信号が出力信号線130aから入力信号線150aにクロストークしても気にならない。つまり、通話相手のハンドセットのスピーカへエコーとして出力されたとしても、市内通話のような近距離間の通信などではそのエコーのタイミングと通話相手の肉声のタイミングとの伝達遅延が僅かであるため、出力信号線130aと入力信号線150aとの間でのクロストークに起因したエコーは殆ど問題ない場合が多い。
【0012】
しかしながら、例えば国際電話や、音声パケットによりイーサネット回線あるいはインターネット回線等のネットワークを経由した通話、通信の場合には、長距離であることや、パケットの伝送遅延によって、人間が伝送遅延と関知できる程度以上の遅延時間である500msec若しくはそれ以上の伝送遅延が通話伝送経路中で生じる場合が生じる。従って、自分の音声が、通話相手側のハンドセットで生じるクロストークによって、感知できる程度の遅れで戻り、顕著なエコーとなるという問題が生じた。
【0013】
このような問題を解決することを企図して、例えば特開平5−83753号公報には、ネットワークと接続する交換システム内(例えばホスト交換器など)に、通話回路での伝送遅延を予測してエコーをキャンセルするように動作するエコーキャンセル回路を設けるという技術などが提案されているが、このようなエコーキャンセル回路では、エコーの発生を常に監視しつつ実際に発生した際にそれをキャンセルするという煩雑な動作を行うものであるため、その回路構成自体が煩雑で高価なものとなっていた。しかも交換システム内の通話回路ごとにそのようなエコーキャンセル回路を設けなくてはならないので、実際には交換システムの回路構成をほぼ全面的に改造しなければならなくなるなど、大掛りな改造が必要となって、それに要するコストも極めて高くなるという問題がある。
【0014】
また、単に国際通話と言っても、実際にはその通話距離や回線経路に使用されている増幅器等種々の条件によって伝達遅延時間が大きく異なるので、その通話条件の如何によっては、エコーキャンセル回路に好適なものとしてあらかじめ設定されているゲインや遅延補償などの各種設定が、実際に発生している伝送遅延やエコーに対してずれたものとなってしまい、エコーキャンセル効果が十分には得られないという問題もある。しかもそのような設定の最適化を行うためには、エコーキャンセル回路がさらに繁雑化するので、装置の簡易化からは益々外れてしまうことになる。
【0015】
本発明はかかる問題点に鑑みて成されたもので、その目的は、上記のような繁雑な手法に依ることなく、極めて簡易かつ低コストな手法によって、カールコード内でのクロストークおよび通話回線経路中での伝達遅延に起因したエコーの発生を解消することを可能とする電話機およびそれに用いられるエコーキャンセル回路ならびにハンドセット用信号線を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明による電話機は、音波を電気信号に変換して出力するマイクロホンと、入力された電気信号を音波に変換して出力するスピーカと、前記マイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、前記入力された電気信号を前記スピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有する電話機であって、前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されている電話機において、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器とを備えている。
【0017】
また、本発明によるエコーキャンセル回路は、音波を電気信号に変換して出力するマイクロホンと、入力された電気信号を音波に変換して出力するスピーカと、前記マイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、前記入力された電気信号を前記スピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有して前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されている電話機に用いられるエコーキャンセル回路であって、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を、前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器とを備えている。
【0018】
また、本発明によるハンドセット用信号線は、電話機または通信機器のハンドセットのマイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、外部から入力された電気信号を前記ハンドセットのスピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有するハンドセット用信号線であって、前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されているハンドセット用信号線において、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器とを備えている。
【0019】
なお、前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値と、前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値とが略同じ振幅となるように、前記第1の増幅器による増幅率と前記第2の増幅器による増幅率とを設定することは好ましい態様である。
【0020】
本発明による電話機およびそれに用いられるエコーキャンセル回路ならびにハンドセット用信号線では、第2の増幅器が、入力信号を第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅する。これにより、2本の入力信号線のうち出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線に入力される電気信号の振幅(絶対値)を、それよりも近い位置に設けられている方の入力信号線に入力される電気信号の振幅(絶対値)よりも大きくすると共に、その両者の電気信号波形の極性を逆極性にしているので、それら2本の入力信号線のそれぞれから出力信号線の信号波形に対して与えられる電磁気的クロストークが互いに打ち消し合うこととなる。このように2本の入力信号線から出力信号線に対して及ぼされるクロストーク波形を互いに逆極性にして重畳することによって、入力信号線と出力信号線との間での電磁気的クロストークを解消する。
【0021】
しかも、1つのスピーカの入力端子に接続された2本の入力信号線のそれぞれに入力される電気信号波形は振幅が異なっているが互いに逆極性であるので、その1つのスピーカに入力される入力波形の増幅率を実質的に増加させたのと同じ状態となり、通話音声等がさらに聞き取りやすいものとなる。
【0022】
また、入力信号線から出力信号線に対するクロストークの発生原因そのものである入力信号線に印加される信号波形を用いて、クロストーク自体をその発生現場である信号線にて実質的に解消するように回路構成が設定されているので、電話機が接続される通話回線系の伝送遅延特性等の諸条件がどのようなものであっても、そのような通話回線系の諸条件に関わらず常に有効なエコーキャンセルを達成することが可能である。
【0023】
しかも、上記のような機能は、スピーカに接続された2本の入力信号線に増幅器を接続するという、極めて簡易な回路構成によって達成可能である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電話機の概要構成を示すもので、特にそのハンドセットおよびカールコードの部分を中心として模式的に示している。なお、図1では、図示および説明の繁雑化を避けるためにハンドセットおよびカールコードの部分を特に抽出して示しているが、この電話機はダイヤル装置等を有する電話機本体等をさらに備えたものであることはいうまでもない。
【0026】
この電話機は、ハンドセット10内に設けられたマイクロホン1およびスピーカ2と、マイクロホン1に一端が接続された2本の出力信号線3a,3bおよびスピーカ2に一端が接続された2本の入力信号線4a,4bが統一規格に基づいて所定の間隔を隔ててほぼ平行に配列されたカールコード5と、入力信号線4aに所定の増幅率で電気信号を増幅して出力するように接続された第1の増幅器6と、第1の増幅器6による増幅率よりも高い増幅率である3倍の増幅率で電気信号を増幅しその波形の極性を逆極性にして入力信号線4bに出力する第2の増幅器7と、出力信号線3aに接続された出力増幅器9とを備えている。
【0027】
マイクロホン1は、このハンドセット10を用いて通話を行うユーザの音声等の音を電気信号に変換して出力するものであり、スピーカ2は外部の通話相手から電話回線等を介して入力された、音声情報を担持した電気信号を音声等の音に変換して出力するものである。
【0028】
カールコード5には、2本の入力信号線4a,4bと、2本の出力信号線3a,3bとが、規格に準拠した所定の間隔を隔てて互いにほぼ平行に配列されている。それらの配置の組み合わせとしては、出力信号線3aの隣に入力信号線4aが配置され、その入力信号線4aの隣には入力信号線4bが配置され、さらにその入力信号線4bの隣には出力信号線3bが配置されている。このように配列された入力信号線4a,4bおよび出力信号線3a,3bは、電気的に外部と絶縁するためにその周囲を軟質の絶縁体からなる被覆材8で被覆されている。出力信号線3aは、一端がマイクロホン1に接続され、他端が出力増幅器9に接続されている。入力信号線4aは、一端がスピーカ2に接続され、他端が第1の増幅器6に接続されている。入力信号線4bは、一端がスピーカ2に接続され、他端が第2の増幅器7に接続されている。出力信号線3bは、一端がマイクロホン1に接続され、他端が接地されている。
【0029】
出力増幅器9は、マイクロホン1から出力される音声情報を担持した電気信号を一般的な通話用に定められた信号強度に増幅するもので、出力信号線3aに接続されている。
【0030】
第1の増幅器6は、2本の入力信号線4a,4bのうち、通話音声の情報を担持する電気信号が伝送される出力信号線3aから近い位置に設けられている方の入力信号線4aに対して、外部から伝送されて来た電気信号を反転入力端子へ入力し、所定の増幅率で増幅するとともに位相を反転させて出力するように接続されたものである。
【0031】
また第2の増幅器7は、出力信号線3bから遠い位置に設けられている方の入力信号線4bに接続されて、外部から伝送されて来た電気信号を非反転入力端子へ入力し、第1の増幅器6による増幅率よりも高い増幅率である3倍の増幅率で増幅するとともに、入力と同位相、すなわち、第1の増幅器6の出力とその波形の極性を逆極性にして出力するものである。
【0032】
第1の増幅器6および第2の増幅器7のいずれも極めて簡易な回路構成として付設される。より具体的には、これらの増幅器は、電子部品として1チップのオペアンプ(演算増幅器)で形成され、これらの第1の増幅器6および第2の増幅器7によってエコーキャンセル回路11の主要部を構成することができる。
【0033】
次に、この電話機における動作のうち、特にエコーキャンセル回路11に関する動作について説明する。図2は、自局側のハンドセット10、カールコード5、エコーキャンセル回路11、および通話相手側のスピーカ22、マイクロホン21を備えたハンドセット20、ならびに通話回線30を、簡易なシステムとしてブロック線図的に示した図である。なお、説明の簡潔化を図るために、図1と同様の各部位については図2においても同一の符号を付して示してある。また図3は、通話音声信号s1,s2、音声信号S2a,S2b、クロストーク波形SXa,SXbのそれぞれを模式的に示す波形図(簡易タイミングチャート)である。ここでは、従来の電話機において自局側の電話機のハンドセット10に生じる電磁気的クロストークに起因して通話相手側に発生していたエコーを、本実施の形態に係るエコーキャンセル回路11によって解消する場合を一例として説明する。
【0034】
いま、通話相手側から図2に示すような通話音声信号s2が送出される一方、自局側から通話音声信号s1が送出されたとする。通話相手側から送出された通話音声信号s2は、通話回線30を伝送されるうちにその回路に固有の伝送遅延を生じつつ自局側に到達する。
【0035】
自局側では、この通話音声信号s2を第1の増幅器6が所定の増幅率G1で反転増幅して音声信号S2aとし、これを入力信号線4aに送出する。またこのとき、同じ通話音声信号s2を、第2の増幅器7が増幅率G1の3倍の増幅率G2で同位相で増幅し音声信号S2bとし、これを入力信号線4bに送出する。
【0036】
このようにして、入力信号線4aには音声信号S2aが、入力信号線4bにはその逆相の音声信号S2bが、それぞれ印加される。するとこのとき、出力信号線3aに対して最も近接した入力信号線4aの音声信号S2aに起因して、出力信号線3a中を伝送される通話音声信号s1の信号波形にクロストーク波形SXaが不可避的に発生する。
【0037】
しかしまたその一方で、出力信号線3aに対して入力信号線4aよりも遠い位置の入力信号線4bから、音声信号S2aの3倍の増幅率で大きな振幅に増幅された音声信号S2bによって、出力信号線3a中を伝送される通話音声信号s1の信号波形に、前記のクロストーク波形SXaとは逆極性でかつその振幅がほぼ等しいクロストーク波形SXbが生じる。
【0038】
このような互いに逆極性で振幅の等しい2つのクロストーク波形SXaとクロストーク波形SXbとが、一つの出力信号線3a内で重畳して互いに打ち消し合う。これにより、出力信号線3aに対する入力信号線4aおよび入力信号線4bからの電磁気的クロストークを解消することができ、その結果、通話相手側のエコーの発生を解消することができる。
【0039】
しかもこのとき、スピーカ2に入力される信号波形の振幅は、音声信号S2aと音声信号S2bとが重畳して、元の入力信号であるS2の合計4倍に増幅されたことになるので、音声出力のゲインをさらに高めるという利点も達成することができる。
【0040】
ここで、クロストーク波形SXbの振幅がクロストーク波形SXaとほぼ等しくなるようにするために、出力信号線3aから遠い方の入力信号線4bに印加する音声信号S2bの増幅率を、出力信号線3aから近い方の入力信号線4aに印加する音声信号S2aの増幅率よりも高い3倍という増幅率としたのである。すなわち、電磁気的遠隔作用は一般にその距離の2乗で低減する。従って、出力信号線3aに対して遠い入力信号線4bからのクロストークの強さを、出力信号線3aに対して近い入力信号線4aからのクロストークの強さと等しくするためには、入力信号線4bに印加する信号波形の振幅を入力信号線4aに印加される信号波形よりも大きな振幅に増幅することが少なくとも必要であり、さらに詳細なそれらの増幅率の比率は、その出力信号線3aに対する入力信号線4aと入力信号線4bとの位置関係(距離の比率)やそれらの間に介挿されている被覆材の誘電率等に依存して定まる。そこで本発明者は、規格に準拠した一般的なカールコードや接続配線における最適な増幅率の比率を種々の実験等によって調べた結果、第1の増幅器6の増幅率と第2の増幅器7の増幅率との比を1:3ないし1:4にすることが望ましいものであることを確認した。ただしこの比率のみに限定されないことはいうまでもなく、要するに出力信号線3aに対して遠い入力信号線4bからのクロストークの強さを、出力信号線3aに対して近い入力信号線4aからのクロストークの強さと等しくすることができるような増幅率に設定することが望ましい。
【0041】
なお、エコーキャンセル回路11は上記のように極めて簡易な素子で形成することができるので、一般にカールコード5の端部に設けられている接続ターミナル(図示省略)内にこのエコーキャンセル回路11を付設することも可能である(これが本実施の形態では請求項5,6のハンドセット用信号線に該当するものである)。このようにエコーキャンセル回路11をカールコード5に付設することにより、一般的な電話機のカールコードの部分のみを、本実施の形態に係るエコーキャンセル回路11が付設されたカールコード5に取り替えるという極めて簡易な改造手法のみによって、煩雑な通信回路系の改造等を全く要することなく、エコーの発生を解消することが可能となる。
【0042】
あるいは、上記のようなエコーキャンセル回路11を、カールコード11の接続ターミナルに外付け可能なアダプタとして形成してもよい。
【0043】
また、通話相手側の電話機にも本実施の形態に係るエコーキャンセル回路11を設けることにより、自局側に聞こえるエコーを解消するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、極めて簡易かつ低コストな手法によって、カールコード内でのクロストークおよび通話回線経路中での伝達遅延に起因したエコーの発生を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電話機の概要構成を、特にそのハンドセットおよびカールコードの部分を中心として模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る電話機および通話相手側のハンドセット20ならびに通話回線30を簡易なシステムとしてブロック線図的に示す図である。
【図3】通話音声信号s1,s2、音声信号S2a,S2b、クロストーク波形SXa,SXbのそれぞれを模式的に示す波形図である。
【図4】電話機等におけるカールコードを中心とした電気的な回路構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 マイクロホン
2 スピーカ
5 カールコード
11 エコーキャンセル回路

Claims (6)

  1. 音波を電気信号に変換して出力するマイクロホンと、入力された電気信号を音波に変換して出力するスピーカと、前記マイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、前記入力された電気信号を前記スピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有する電話機であって、前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されている電話機において、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器と
    を備えたことを特徴とする電話機。
  2. 前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値と、前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値とが略同じ振幅となるように、前記第1の増幅器による増幅率と前記第2の増幅器による増幅率とを設定してなることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
  3. 音波を電気信号に変換して出力するマイクロホンと、入力された電気信号を音波に変換して出力するスピーカと、前記マイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、前記入力された電気信号を前記スピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有して前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されている電話機に用いられるエコーキャンセル回路であって、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器と
    を備えたことを特徴とするエコーキャンセル回路。
  4. 前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値と、前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値とが略同じ振幅となるように、前記第1の増幅器による増幅率と前記第2の増幅器による増幅率とを設定してなることを特徴とする請求項3に記載のエコーキャンセル回路。
  5. 電話機または通信機器のハンドセットのマイクロホンで変換された電気信号を外部に出力するように該マイクロホンに一端が接続された出力信号線と、外部から入力された電気信号を前記ハンドセットのスピーカに入力するように該スピーカに一端が接続された2本の電気的に独立した入力信号線とを有するハンドセット用信号線であって、前記出力信号線および前記入力信号線が所定間隔を隔てて並設されているハンドセット用信号線において、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を増幅して前記他端に出力する第1の増幅器と、
    前記2本の入力信号線のうち前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線における前記一端とは反対側の他端に接続されて、前記入力された電気信号を前記第1の増幅器による増幅率よりも高い増幅率で逆極性に増幅して前記他端に出力する第2の増幅器と
    を備えたことを特徴とするハンドセット用信号線。
  6. 前記出力信号線から遠い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値と、前記出力信号線から近い位置に設けられている方の入力信号線による前記出力信号線に対する電磁気的クロストーク波形の振幅の絶対値とが略同じ振幅となるように、前記第1の増幅器による増幅率と前記第2の増幅器による増幅率とを設定してなることを特徴とする請求項5に記載のハンドセット用信号線。
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