JP4177888B2 - 差動給電指向性可変スロットアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波帯、およびミリ波帯などのアナログ高周波信号、もしくはデジタル信号を送信、受信する差動給電アンテナに関する。
近年、シリコン系トランジスタの飛躍的な特性向上に伴い、デジタル回路だけでなくアナログ高周波回路部においても、化合物半導体トランジスタからシリコン系トランジスタへの置換、更にはアナログ高周波回路部とデジタルベースバンド部との1チップ化が加速している。この結果、高周波回路の主流であったシングルエンド回路は、正負の符号の信号をバランス動作させる差動信号回路へと置換されつつある。これは、差動信号回路が、不要輻射の劇的な低減、移動体端末内に無限面積の接地導体を配置できない条件化での良好な回路特性の確保、などの利点を有するからである。差動信号回路において個々の回路素子はバランスを維持して動作する必要があるが、シリコン系トランジスタでは特性ばらつきが少なく信号の差動バランスが維持できる。また、シリコン基板自体が有する損失を回避するためにも差動線路を用いることが好ましいという理由もある。結果として、シングルエンド回路において確立されていた高い高周波特性を保ちつつ、差動信号給電に対応することが、アンテナやフィルタなどの高周波デバイスへの強い要望となっている。
図17(a)に上面より臨んだ透視模式図を、図17(b)に図中の直線A1−A2で切断した断面構造図を示したのは、シングルエンド線路103により給電される二分の一波長スロットアンテナ(従来例1)である。誘電体基板101の裏面に形成された接地導体面105に、二分の一実効波長のスロット長Lsを有するスロット共振器601が形成されている。入力整合条件を満足するため、シングルエンド線路103の開放終端点113からスロット601と交差するまでの距離Lmは、動作周波数における四分の一実効波長に設定される。スロット共振器601は、接地導体面105の一部領域における導体を厚さ方向に全て切除することによって得られている。図中に示したように、給電線路の伝送方向に平行な方向をX軸、誘電体基板形成面をXY面とする座標系を定義する。従来例1の典型的な放射指向特性の一例を図18に示す。図18(a)はYZ面、図18(b)はXZ面の放射指向性を示している。図より明らかなように、従来例1は、±Z方向で最大利得を示す放射指向特性が得られる。また、±X方向でヌル特性が、±Y方向でも主ビーム方向に対して10dB程度の利得低減効果が得られる。
また、図19(a)に上面より臨んだ透視模式図を、図19(b)に図中の直線A1−A2で切断した断面構造図を示したのは、シングルエンド線路103により給電される四分の一波長スロットアンテナ(従来例2)である。誘電体基板101の裏面に形成された有限の面積の接地導体105に、四分の一実効波長のスロット長Lsを有するスロット共振器601が形成されている。スロット共振器は接地導体105の縁部において、開放終端されている。図20(a)はYZ面、図20(b)はXZ面、図20(c)はXY面での放射指向性を示している。図より明らかなように、従来例2は、マイナスY方向で最大利得を示すブロードな放射指向特性が実現できる。
特許文献1においては、上記スロット構造を、差動給電線路の直下に伝送方向に直交させて配置させる回路構造が開示されている(従来例3)。すなわち、特許文献1の回路構成は、スロット共振器を給電する回路を、シングルエンド線路から差動給電線路へと置換した構成である。特許文献1の目的は、差動信号に意図せず重畳した不要同相信号のみを選択的に反射させる機能の実現であり、この目的からも明らかなように、特許文献1に開示された回路構造は、差動信号を自由空間に放射する機能を有さない。
図21(a)(b)にシングルエンド線路、差動給電線路によりそれぞれ給電した場合に、二分の一波長スロット共振器内に生じる電界分布の様子を模式的に比較図示した。シングルエンド線路によって給電した場合のスロットでは、両端において最小強度、中央部が最大強度となるよう、スロット幅方向に配向して電界201が分布する。一方、差動給電線路によって給電した場合は、正の符号の電圧によってスロット内に生じる電界201aと、負の符号の電圧によってスロット内に生じる電界201bは等強度且つ逆向きのベクトルを持つので、総合的には両電界は相殺してしまう。このため、二分の一波長スロット共振器を差動給電線路で給電しても、電磁波の効率的な放射は原理的に不可能である。また、ごく近傍の励振点から逆相の電圧が給電されれば、相殺しあってしまい効率的な放射に結びつかないという点は、二分の一波長スロット共振器を四分の一波長スロット共振器へと置換した場合でも同様である。よって、差動給電線路をスロット共振器構造と結合させ実用的なアンテナ特性を実現するのは、シングルエンド線路によって給電する場合と比較して容易でない。
非特許文献2においては、差動線路の裏面の接地導体を分割し、端部が開放されたスロット構造を形成することにより、線路に意図せず重畳した同相モードの除去が可能であることが報告されている。この場合も、差動信号成分の効率的な放射が目的でないことは明らかである。
一般的に、差動伝送回路から効率的に電磁波を放射するためには、スロット共振器を用いず、差動給電線路の二本の信号線路の間隔を広げることによりダイポールアンテナとして動作させる方法が用いられる(従来例4)。図22(a)に差動給電ストリップアンテナの斜視透視模式図を、図22(b)に上面模式図を、図22(c)に下面模式図を示す。図22においても、図17と同様の座標軸を設定する。差動給電ストリップアンテナにおいては、誘電体基板101の上面に形成された差動給電線路103cの線路間隔が、終端側でテーパ状に広がっている。また、誘電体基板101の裏面側については、入力端子側領域115aでは接地導体105が形成されているが、差動給電線路103cの終端箇所の直下領域115bでは接地導体は設定されない。従来例4の典型的な放射指向性特性の一例を図23に示す。図23(a)にはYZ面での、図23(b)にはXZ面での放射指向性特性を示している。図より明らかなように、従来例4において主ビーム方向は+X方向であり、XZ平面に分布する広い半値幅の放射特性を示す。また、原理的に、従来例4では±Y方向への放射利得は得られない。接地導体105により反射されるため、マイナスX方向への放射も抑圧させることはできる。
また、特許文献2には、シングルエンド線路により給電した可変スロットアンテナが開示されている(従来例5)。特許文献2の明細書の図1を、図24として示す。誘電体基板10の表面に配置されたシングルエンド線路6によって、基板裏面に設定した二分の一波長スロット共振器5を給電する点は、従来例1と同様の構成であるが、給電された二分の一波長スロット共振器5の先端に、更に複数の二分の一波長スロット共振器1、2、3、4を選択的に接続していくことによって、自由度の高いスロット共振器配置を実現している。スロット共振器配置を変化させることにより、電磁波の主ビーム方向を変化させる機能が発現した、としている。
米国特許第6765450号明細書 特開2004−274757号公報 Artech House Publishers "Microstrip antenna Design Handbook" pp.441−pp.443 2001年 "Routing differential I/O signals across split ground planes at the connector for EMI control" IEEE International Symposium on Electromagnetic Compatibility, Digest Vol.1 21−25 pp.325−327 2000年8月
従来の差動給電アンテナ、スロットアンテナ、可変アンテナ、には以下に示す原理的な課題があった。
第一に、従来例1においては、主ビームが±Z軸方向にしか配向せず、±Y軸方向、±X軸方向への配向は困難である。また、何よりも差動給電への対応が未達成なので、給電信号変換にバラン回路が必要であり、素子数増加、集積化の妨げになる、などの課題が生じていた。
第二に、従来例2においては、+Y方向へのブロードな主ビームが形成されるが、その他の方向へのビーム形成が困難である。また、何よりも差動給電への対応が未達成なので、給電信号変換にバラン回路が必要であり、素子数増加、集積化の妨げになる、などの課題が生じていた。また、従来例2の放射特性は、半値幅が広いため、通信品質劣化の回避が困難であった。例えば、所望信号がマイナスY方向から到来する場合、+X方向から到来する不要信号の受信強度は抑圧されない。信号反射が多い室内環境で高速通信を行うにあたって生じる深刻なマルチパス問題の回避や、妨害波が多く到達する状況下での通信品質維持が著しく困難であった。
第三に、従来例3に示したように、二分の一波長スロット共振器や四分の一波長スロット共振器は、シングルエンド線路による給電を差動給電線路に置換しただけでは非放射特性しか得られず、効率的なアンテナ動作が困難であった。
第四に、従来例4においては、±Y軸方向への主ビーム配向が困難であった。なお、差動線路を曲げると、曲げ部分における二配線間の位相差より、不要同相信号の反射が生じるため、給電線路を曲げて主ビーム方向を曲げるという解決策は従来例3においては採用できない。よって、室内環境で用いる移動端末に用いるアンテナとしては、主ビーム方向が配向できない方向が生じるのは極めて好ましくない。
第五に、従来例4の放射特性は、半値幅が広いため、通信品質劣化の回避が困難であった。例えば、所望信号がZ軸方向から到来する場合、+X方向から到来する不要信号の受信強度は抑圧されない。信号反射が多い室内環境で高速通信を行うにあたって生じる深刻なマルチパス問題の回避や、妨害波が多く到達する状況下での通信品質維持が著しく困難であった。
第六に、従来例5においても、第四の課題と同様、所望信号が到達する方向とは異なる方向から到来する不要信号が通信品質へ与える悪影響を抑圧することが困難であった。すなわち、主ビーム方向の配向についての制御が可能であっても、妨害波の抑圧が不十分であるという問題があった。勿論、第一の課題と同様に、差動給電への対応も未達成である。
以上の課題をまとめると、従来技術のいずれを用いても、3つの課題を解決することが困難である。すなわち、第一に差動給電回路との親和性があり、第二に広い立体角範囲で主ビーム方向を切り替えることが可能で、第三に主ビーム以外の方向から到来する妨害波の除去効果をも有する可変アンテナの実現が困難であった。
本発明は、上記従来の三課題を解決し、好ましくは、可変制御により得られる複数の放射パターンが互いに全立体角をカバーするにあたり相補しあうような特性を有する可変アンテナの提供を目的とする。
本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナは、
誘電体基板(101)と、
前記誘電体基板(101)の裏面に設けられた有限の面積の接地導体(105)と、
前記誘電体基板(101)の表面に配置された二本の鏡面対称な信号導体(103a、103b)からなる差動給電線路(103c)と
少なくとも一つのスロット構造(601、605)と
を備え、
前記少なくとも一つのスロット構造(601、605)は、前記誘電体基板(101)の裏面に形成されており、
それぞれの前記少なくとも一つのスロット構造(601、605)は、給電部位(601a、605a)と、第一の選択性放射部位群と、第二の選択性放射部位群とからなり、
前記第一の選択性放射部位群は、少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)からなり、
前記第二の選択性放射部位群は、少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)からなり、
前記給電部位(601a、605a)は、前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)は、いずれも前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)は、いずれも前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
前記給電部位(601a、605a)は、前記信号導体(103a、103b)の両者とそれぞれ交差しており、
前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)は、それぞれ、前記給電部位(601a、605a)の一端に接続されており、
前記第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)の先端は、それぞれ、開放されている開放終端点(601bop、601cop、605bop、605cop)からなり、
前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)は、それぞれ、前記給電部位(601a、605a)の他端に接続されており、
前記第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)の先端は、それぞれ、開放されている開放終端点(603bop、603cop、607bop、607cop)からなり、
前記スロット構造(601、605)が、高周波構造可変機能および動作状態切り替え機能の少なくとも一方の可変機能を備えることにより、二つ以上の異なる放射指向性を実現する差動給電指向性可変スロットアンテナであって、
前記給電部位(601a、605a)は、さらに、
前記信号導体(103a、103b)と交差する箇所間に、動作周波数foにおける八分の一実効波長未満の長さのスタブ(601s、605s)を有し、
前記給電部位(601a、605a)の一端と前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)との間には、それぞれ、高周波スイッチ(601d、601e、605d、605e)が前記スロット構造(601、605)を幅方向に跨いで挿入され、
前記給電部位(601a、605a)の他端と前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)との間には、それぞれ、高周波スイッチ(603d、603e、607d、607e)が、前記スロット構造(601、605)を幅方向に跨いで挿入され、
前記高周波スイッチ素子(601d、601e、603d、603e、605d、605e、607d、607e)は、それぞれ、前記高周波スイッチが跨ぐ両側の前記接地導体(105)を短絡するか、しないかを制御し、
前記高周波スイッチによって前記第一の選択性放射部位群の中から選択された前記第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)、前記給電部位、および前記高周波スイッチによって前記第二の選択性放射部位群の中から選択された前記第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)が、両端開放スロット共振器を形成することによって前記高周波構造可変機能が実現され、
ここで、両端開放スロット共振器は、動作周波数foにおける二分の一実効波長に相当するスロット長を有しており、
前記動作状態切り替え機能は、前記高周波スイッチが前記スロット構造を短絡することによって実現される。
好ましい実施形態において、前記差動給電線路の開放終端点から給電回路側への距離が、前記動作周波数foにおける四分の一実効波長に相当する地点で、前記差動給電線路と前記給電部位とが交差する。
好ましい実施形態において、前記差動給電線路の終端点がそれぞれ同じ抵抗値の抵抗により接地終端される。
好ましい実施形態において、前記第一の信号導体の終端点と前記第二の信号導体の終端点が抵抗を介して電気的に接続される。
好ましい実施形態においては、
2つのスロット構造を有し、
前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満の距離に近接して配置され、
第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(605b)が有する開放終端点(605bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(607b)が有する開放終端点(607bop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満の距離に近接して配置され、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(605b)が有する開放終端点(605bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(607b)が有する開放終端点(607bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されることにより、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現され、
前記一つの放射指向性は、前記差動給電線路に直交し、前記誘電体基板面に平行な二方向に放射成分を有する放射指向性である。
好ましい実施形態においては、
2つのスロット構造を有し、
前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満に近接して配置され、
第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満に近接して配置されることにより、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現され、
前記一つの放射指向性は、前記差動給電線路に平行な二方向に放射成分を有する放射指向性である。
好ましい実施形態においては、
2つのスロット構造を有し、
前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
第一のスロット構造(601)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
前記第一の開放終端点と前記第二の開放終端点とを結ぶ第一の方向への放射利得が抑圧され、前記第一の方向に直交する面内のいずれかの方向に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される。
好ましい実施形態においては、
2つのスロット構造を有し、
前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
第二のスロット構造(605)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
前記第一の開放終端点と前記第二の開放終端点とを結ぶ第一の方向への放射利得が抑圧され、前記第一の方向に直交する面内のいずれかの方向に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される。
好ましい実施形態においては、
2つのスロット構造を有し、
前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
第二のスロット構造(605)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
前記第一の方向に直交する面内に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される。
本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナによれば、第一に、従来の差動給電アンテナにおいて実現不可能であった方向への効率的な放射を実現する。第二に主ビーム方向を広い立体角範囲で変化させることが可能になる。第三に主ビーム方向と異なる方向で利得を抑圧できる。従って、本アンテナは、室内環境において高速通信用途で使用される移動体端末用アンテナとして極めて有用である。
以下、本発明による差動給電指向性可変スロットアンテナの実施形態を説明する。本実施形態によれば、従来の差動給電アンテナでは放射不可能であった方向を含む様々な方向へ効率的な放射を実現する動的な放射指向性の可変性を実現することが可能である。また、主ビーム方向と異なる方向での放射利得の抑圧という、産業上有用な効果を実現することも可能である。
(実施形態)
図1は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの実施形態を説明するための構造図であり、誘電体基板裏面の接地導体側から臨む透視模式図となっている。また、図2(a)〜(c)、は、図1中の直線A1−A2、直線B1−B2、直線C1−C2でそれぞれ回路構造を切断した場合の断面構造図になっている。従来例の構成、放射方向を示した図17、図22とは、座標軸や符号の設定を対応させている。
図1に示すように、誘電体基板101の裏面には有限の面積の接地導体105が形成されており、表面には差動給電線路103cが形成されている。差動給電線路103cは、鏡面対称な一対の信号導体103a、103bによって構成されている。接地導体105の一部領域では、導体を厚み方向に完全に除去して、スロット回路を構成する。また、後述するスタブ601s、605sも、同様に、導体を厚み方向に完全に除去することによって形成される。
本発明のアンテナ内においては、外部制御信号に対して、少なくとも一つのスロット構造が可変機能を発現する。ここで可変機能とは、高周波構造可変機能および動作状態切り替え機能の少なくとも一方である。図1に示す実施形態においては、接地導体105内に二つのスロット構造601、605が配置されている。二つのスロット構造601、605は、動作設定時には動作周波数foにおいて効率的な放射を行うが、非動作設定時には放射に寄与しない。例えば、スロット構造601においては、給電部位601aの片端に第一の選択性放射部位601b、601cが、別の一端には第二の選択性放射部位603b、603cが接続される。動作設定時には、スロット構造601内において、第一の選択性放射部位、第二の選択性放射部位がそれぞれ一つずつ選択され、スロット構造体601のスロット長は、動作周波数foにおいて二分の一実効波長となる。すなわち、動作設定時にはスロット構造体601は、両端開放スロット共振器として機能する。スロット構造体605も同様の機能を果たしうる。
図3には、両端開放スロット共振器601内の局所的な構造が拡大して示されている。図中には、スロット構造601における、給電部位601aと第一の選択性放射部位601b、601cとの接続箇所を示している。ここで、第二の選択性放射部位603b、603cは省略している。外部制御信号は、給電部位601aと選択性放射部位601bとの間に配置された高周波スイッチ601d、および、給電部位601aと選択性放射部位との601c間に配置された高周波スイッチ601eの状態を制御し、スロット構造601における可変機能を実現する。
高周波スイッチ601d、601eは選択性放射部位601b、601cの一部を跨いでもよい。選択性放射部位601b、601cは、給電部位601aと接続される側とは逆側の先端終端箇所において接地導体105の縁部に達し、開放終端点601bop、601copにおいてそれぞれ開放終端される。例えば、高周波スイッチ601dを導通状態に制御すれば、スロットにより分断された接地導体105aと105bが導通されるため、選択性放射部位601bと給電部位601aを、高周波的に分離することが出来る。よって、先端開放終端箇所601bopはスロット構造601の終端点として機能しなくなる。逆に、高周波スイッチ601dを開放状態に制御すれば、選択性放射部位601bと給電部位601aとの高周波的な接続状態は復活する。この状態では、先端開放終端箇所601bopがスロット構造の終端点として機能する。このように、高周波スイッチの制御により、接地導体105上に出現するスロット構造601の高周波構造を変化させることが出来る。
高周波構造可変機能を有するスロット構造においては、動作状態を維持しながらも外部信号制御によってスロット構造の高周波構造が変化し、異なる放射特性を提供する。例えば、スロット構造601が放射動作に寄与する場合、給電部位601aの片端に第一の選択性放射部位が一つだけ、別の一端には第二の選択性放射部位が一つだけ選択された状態を常に保ち、且つ第一の選択性放射部位、第二の選択性放射部位はそれぞれ選択性を有している。図4には、図3のスロット構造が放射動作設定時に示す高周波構造の変化例を示した。なお、図中では、高周波スイッチ603dが開放され、第二の選択性放射部位603bが選択され、高周波スイッチ603eが導通され、第二の選択性放射部位603cは非選択となった状態を仮定し、非選択とした選択性放射部位は図示していない。図4(a)では、高周波スイッチ601dが開放され、高周波スイッチ601eが導通されている。その結果、給電部位601aと選択性放射部位601cとの間の接続が切断される。この時、スロット構造601は、給電部位601aの両端に、第一の選択性放射部位601bと第二の選択性放射部位603bとが直列に接続された構造が形成される。スロット構造601の両端は先端開放点601bop、603bopであり、先端開放点間の実効距離は二分の一実効波長となる。すなわち、スロット構造601は、両端開放二分の一実効波長スロット共振器として機能する。逆に、図4(b)に示すように、高周波スイッチ601dを導通し、高周波スイッチ601eを開放すれば、接地導体105上に図4(a)に示した構造とは別の両端開放二分の一実効波長スロット共振器を出現させることが出来る。
一方、図5に示すように、動作状態切り替え機能によって、スロット構造601が放射動作に寄与しないよう非動作状態へと制御することも可能である。動作状態切り替え機能とは、スロット構造を放射動作に寄与させるか、寄与させないかを切り替える機能である。図5(a)に示した例では、高周波スイッチ601d、601e、603d、603eを全て導通することにより、給電部位601aから全ての選択性放射部位を分離している。この結果、スロット構造601は、放射動作に寄与しなくなる。動作状態とする場合は、図4に示したように高周波スイッチ群を制御すればよい。表1に、高周波スイッチの制御例と、スロット構造601の放射動作への寄与の有無、給電部位601aと接続される選択性放射部位と、開放終端点の関係をまとめた。
Figure 0004177888
なお、図5(b)に示すように、スロット構造において給電部位に接続される選択性放射部位を片側だけ選択する状態は、不要な同相信号の反射を生じる可能性があり、好ましくない。スロット構造を非動作状態に設定するためには、図5(a)に示したように、給電部位から全ての選択性放射部位を分離することが好ましい。
給電部位と選択性放射部位の実効電気長の総和は、動作状態にある全てのスロット共振器のスロット長が常に二分の一実効波長となるようあらかじめ設定される。給電部位は、二本の信号導体103a、103b間の鏡面対称面に対して鏡面対称構造に設定されることが好ましい。前記鏡面対称面付近の箇所において、給電部位601a、605aにはそれぞれスタブ601s、605sが接続される。
図11(a)に、開放終端点601cop、603copを有する両端開放スロット二分の一実効波長共振器に逆相等振幅電力が給電された場合の電界ベクトル分布を模式的に示す。スロット長手方向の鏡面対称面311において電界ベクトルが相殺しあう節が生じ、鏡面対称面付近ではスロット共振器を効率的に励振することが不可能である。更に、差動伝送モードの特性インピーダンスの増大を回避するため、第一、第二の信号導体間の間隙幅を大きな値に設定することは不可能である。よって、本発明のスロット構造は、図11(b)に示すように、スタブ601s、605sの導入によって初めて、差動伝送線路との結合度を確保する。但し、スタブ領域においては、信号導体103a、103bにより給電された逆相信号が互いに電界を強めあう。
後述するように、本発明の差動給電指向性可変アンテナでは、両端開放スロット共振器は複数の選択性放射部位の中からどの選択性放射部位を選択するかを制御して、放射特性を変化させる。しかし、上記制御によらず、動作状態時には常にスタブから電磁波が放射されることになる。よって、選択性放射部位からの放射強度が、スタブからの放射強度よりも強くなるよう設定しなければ、動作状態切り替えによる指向性変化が得られなくなってしまう。
以上の観点から、スタブ601s、605sの長さは動作周波数foにおいて八分の一実効波長未満に設定される。また、スタブは、入出力される差動信号の、不要同相モード信号への意図しないモード変換を回避するために、差動給電線路の対称面と同じ対称面に対して鏡面対称な形状に配置されることが好ましい。また、信号導体103a、103bの外側線縁とは交差しない。また、非動作設定時に放射動作に寄与しないようにするために、給電部位601a、605aの電気長は、動作周波数foにおいて四分の一実効波長未満に設定される。
動作時の両端開放スロット共振器は、原理的には逆相等振幅に給電され対動作する片端開放スロット共振器対と等価である。このため、動作時のスロット共振器は、二本の信号導体103a、103bから等強度の電力給電を受けるよう設定される。この条件を満足するには、動作時に対動作する第一の選択性放射部位と第二の選択性放射部位は、差動伝送線路103cの鏡面対称面に対して物理的に鏡面対称に配置される。また、第一の選択性放射部位と第二の選択性放射部位の対の高周波特性を対称に設定することによっても同様の効果は実現できる。すなわち、対動作する各選択性放射部位の実効長を等しく、且つ、特性インピーダンスを等しく設定する。
以下、本発明の実施形態により、実用的に極めて有用な放射指向性を実現するための、スロット構造群の制御法について説明する。
まず、第一の制御状態として、図1に示した構成の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいて、2つのスロット構造の高周波構造可変機能を用いて、図6に示した高周波構造を出現させた。スロット構造601、605において、選択性放射部位601b、603b、605b、607bを選択し、選択性放射部位601c、603c、605c、607cを非選択へと制御した。非選択となった選択性放射部位は図中には表示していない。上記制御により、二つのスロット構造601、605が、それぞれ両端開放二分の一実効波長スロット共振器を形成する。第一の制御状態では、本実施形態の差動給電指向性可変スロットアンテナは、主ビーム方向を±Y方向にほぼ対照的に配向させた効率的な放射を提供する。また、XZ面内への放射を強制的に抑圧される。すなわち、主ビーム方向に直交する面内の任意の方向から到来する妨害波を効率的に抑圧することが出来る。
本発明の差動給電指向性可変アンテナにおいては、差動給電線路から等振幅、且つ逆位相の信号を入力するため、遠方界において電界が打ち消しあう条件が広範囲に成立する。シングルエンド給電で指向性可変を実現した従来例5のアンテナにおいては、給電されるシングルエンド信号を打ち消す等振幅、逆位相の信号が存在しないため、高い利得抑圧が得られる条件が成立しないか、成立したとしても極めて限定的な角度範囲や利得抑圧度が低い特性に留まってしまう。すなわち、本発明の構成によって初めて、主ビーム方向の配向と利得抑圧の効果が同時に得られることになる。
第一の状態においては、第一のスロット構造601の開放終端点601bopと開放終端点603bopとの間の距離は、動作周波数における四分の一実効波長未満に設定される。また、スロット構造603の開放終端点605bopと開放終端点607bopとの間の距離も、動作周波数における四分の一実効波長未満に設定される。開放終端点601bopと開放終端点605bopとの距離、および開放終端点603bopと開放終端点607bop間の距離は、いずれも、動作周波数における二分の一実効波長程度に設定される。距離が四分の一実効波長未満隔てた二つの開放終端点からの遠方界への放射に対する寄与は、配置距離により生じる位相差は少なく同相とみなせる。また、距離が二分の一実効波長程度に設定された二つの開放終端点からの遠方界への放射に対する寄与は、配置距離により生じる位相差が大きく逆相とみなせる。上記関係と、対構成のスロット共振器が逆相に給電されることから、第一の制御状態において放射が強めあう方向と消しあう方向の関係が論理的に説明できる。
また、第二の制御状態として、図1に示した構成の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいて、4つのスロット共振器の高周波構造可変機能を用いて、図7に示した高周波構造を出現させた。スロット構造601、605を動作状態とし、選択性放射部位601b、603b、605b、607bを非選択とし、選択性放射部位601c、603c、605c、607cを選択した。非選択となった選択性放射部位は、図中には表示していない。上記制御により、二つのスロット構造601、605が、それぞれ両端開放二分の一実効波長スロット共振器を形成する。第二の制御状態では、本実施形態の差動給電指向性可変スロットアンテナは、主ビーム方向を±X方向にほぼ対照的に配向させた効率的な放射を提供する。また、YZ面内への放射を強制的に抑圧される。すなわち、第二の制御状態でも、主ビーム方向に直交する面内の任意の方向から到来する妨害波を効率的に抑圧することが出来る。そして、第一の状態と第二の制御状態では、主ビーム方向が完全に直交しており、単一アンテナで広い立体角範囲のカバーが可能となる。
第二の制御状態においては、スロット構造601の開放終端点601copと開放終端点603copとの間の距離と、スロット構造605の開放終端点605copと開放終端点607copとの間の距離は、それぞれ動作周波数foにおいて二分の一実効波長程度に設定される。また、開放終端点601copと開放終端点605cop、開放終端点603copと開放終端点607cop間の距離は、動作周波数における四分の一実効波長未満に設定される。
次に、第三の制御状態として、図1に示した構成の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいて、2つのスロット構造601、605の高周波構造可変機能と動作状態可変機能を用いて、図8に示した高周波構造を出現させた。すなわち、スロット構造601を非動作状態に設定し、スロット構造605において、選択性放射部位605cと選択性放射部位607cを選択した。非選択となった選択性放射部位は図中には表示していない。
第三の制御状態での本発明の差動給電指向性可変アンテナの放射特性は、主ビーム方向がXZ面内に広く分布し、ややマイナスX方向へ傾いたものとなる。そして、±Y方向への放射は強制的に抑圧される。この放射特性は、XZ面内の放射が抑圧され、±Y方向への放射のみが許された第一の制御状態と互いに全立体角を相補しあう放射特性であり、単一ハードウェアで両放射状態を提供しうる本発明の差動給電指向性可変アンテナの高い有用性が主張される。第三の制御状態においては、開放終端点605copと開放終端点607copとの間の距離は、動作周波数foにおいて二分の一実効波長程度に設定される。
次に、第四の制御状態として、図1に示した構成の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいて、2つのスロット構造601、605の高周波構造可変機能と動作状態可変機能を用いて、図9に示した高周波構造を出現させた。すなわち、スロット構造605を非動作状態に選択し、スロット構造601において、選択性放射部位601cと選択性放射部位603cを選択した。非選択となった選択性放射部位は図中には表示していない。第三の制御状態と同様に、第四の制御状態においても、主ビーム方向がXZ面内に広く分布し、また、±Y方向への放射は強制的に抑圧された放射特性が得られる。すなわち、第四の制御状態も、第一の制御状態と互いに全立体角を相補しあう放射特性である。第三の制御状態との高周波構造の差異は、主ビーム方向の傾きに現れる。すなわち、第四の制御状態は第三の制御状態とは異なり、やや+X方向へ主ビーム方向が配向した放射特性を提供する。
以上のように、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいては、従来差動給電では困難であった方向である±Y方向への効率放射を果たすのみでなく、広い立体角での指向性可変機能を有すると共に、各制御状態においては、他の制御状態において主ビーム方向であった方向で原理的に利得抑圧効果を発現することが可能である。
また、第五の制御状態として、図1に示した構成の差動給電指向性可変スロットアンテナにおいて、2つのスロット構造601、605の高周波構造可変機能と動作状態可変機能を用いて、図10に示した高周波構造を出現させた。すなわち、スロット構造605を非動作状態に選択設定し、スロット構造601において、選択性放射部位601bと選択性放射部位603bを選択した。非選択となった選択性放射部位は図中には表示していない。第五の制御状態においても、主ビーム方向はXZ面内に広く分布させることが出来る。また、この制御状態においては、±Y方向からの放射の主ビームに対する利得抑圧度は10dBにも達さず、強い利得抑圧を発現させたくない用途に対して最適な放射特性を提供しうる。すなわち、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナは、第一から第四の制御状態において示した妨害波耐性が強い放射特性だけでなく、広い立体角範囲から到来する可能性がある所望波の待ち受け時などに最適な放射特性をも実現できるということになる。表2に、第一から第五の制御状態におけるスロット構成の変化や実現される放射特性についてまとめた。
Figure 0004177888
なお、差動給電線路103cは終端点113において、開放終端処理されてもよい。スロット共振器への入力整合特性の改善のためには、終端点113から各給電部位601a、605aまでの給電整合長を、動作周波数foにおいて差動線路における差動伝送モード伝搬特性に対して四分の一実効波長となるよう設定する。また、終端点113において、第一の信号導体103a、第二の信号導体103bを等しい値の抵抗素子を介して接地終端してしまってもよい。また、終端点113において、第一の信号導体103aと第二の信号導体103bを、抵抗素子を介して接続してしまってもよい。差動給電線路の終端点への抵抗素子の導入は、導入した抵抗素子において、アンテナ回路への入力電力の一部を消費することになるため、放射効率の低下を招くものの、スロット共振器への入力整合条件が緩和するので、給電整合長が短縮できる。
高周波スイッチ601d、601e、603d、603e、605d、605e、607d、607eの具体例は、ダイオードスイッチ、高周波スイッチ、MEMSスイッチなどである。現在市販されているダイオードスイッチを高周波スイッチとして用いれば、例えば、導通時の直列抵抗値が5Ω、開放時の寄生直列容量値が0.05pF弱程度の良好な切り替え特性を20GHz以下の周波数帯域で容易に得ることが出来る。
以上のように、本発明の構造を採用することにより、従来のスロットアンテナや差動給電アンテナでは実現できない方向への主ビームの配向、及び配向方向の広い立体角範囲での切り替え、及び、主ビーム方向と主に直交する方向での放射利得の抑圧が実現する。したがって、本発明によれば、互いに全立体角を相補的にカバーできる指向性可変アンテナの提供が可能となる。
(実施例)
X軸方向に30mm、Y軸方向に32mm、Z軸方向に1mmのサイズのFR4基板上に、図1に示すような本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナを作製した。基板表面には配線幅1.3mm、配線間間隔1mm、の差動給電線路103cを作製した。基板裏面全面に形成された接地導体105から、一部の領域の導体をウェットエッチングで除去してスロット構造を実現した。導体は厚さ35ミクロンの銅である。2つのスロット構造601、605は、形状は全て等しく、鏡面対称に配置した。
鏡面対称面をX=0と定義する。また、スロット構造601、605はそれぞれ、差動給電線路103cの鏡面対称面(Y=0)に対して鏡面対称な構造とした。差動信号線路103cはX=14.5で開放終端した。スロット幅は、図中細い箇所で0.5mm、太い箇所は1mmとした。給電部位601a、605a間の最近接距離は1.5mmとし、給電部位601a、605aのスタブ601s、605sの電気長はそれぞれ7.5mmに設定した。高周波スイッチとして市販のPINダイオードを使用し、各スイッチ部は導通時には直流抵抗4オームで動作し、開放時には30fFの直流容量として機能した。高周波スイッチの制御により、5つの制御状態で動作させた。各状態において、2.52GHzで、差動信号入力に対してマイナス10dB未満の十分低い値の反射強度特性が得られた。以下、各制御状態において得られた放射特性について説明する。なお、各制御状態において、差動信号入力に対する同相モード信号反射強度はマイナス30dB未満に留まった。
(第一の実施例)
各スロット構造に付属する高周波スイッチの制御を行い、図6に示した第一の制御状態を実現したものが第一の実施例であり、各座標面での放射指向性を図12に示す。図12より明らかなように、第一の制御状態によって、±Y方向へ主ビームが配向した放射特性が実現できることが証明された。また、Z軸方向においては主ビーム方向の利得に対して25dBを超える利得抑圧効果が、X軸方向でも、主ビーム方向の利得に対して20dB近い利得抑圧効果が得られた。
(第二の実施例)
各スロット構造に付属する高周波スイッチの制御を行い、図7に示した第二の制御状態を実現したものが第二の実施例であり、各座標面での放射指向性パターンを図13に示す。図13より明らかなように、第二の制御状態によって、±X方向へ主ビームが配向した放射特性が実現できることが証明された。また、Z軸方向においては主ビーム方向の利得に対して30dBを超える利得抑圧効果が、Y軸方向でも、主ビーム方向の利得に対して15dBを超える強い利得抑圧効果が得られた。
(第三の実施例)
各スロット構造に付属する高周波スイッチの制御を行い、図8に示した第三の制御状態を実現したものが第三の実施例であり、各座標面での放射指向性パターンを図14に示す。図14より明らかなように、第三の制御状態によって、XZ面内に分布した放射が、特にマイナスX方向へ主ビームが配向した放射特性が実現できることが証明された。また、Y軸方向においては主ビーム方向の利得に対して25dBを超える強い利得抑圧効果が得られた。
(第四の実施例)
各スロット構造に付属する高周波スイッチの制御を行い、図9に示した第四の制御状態を実現したものが第四の実施例であり、各座標面での放射指向性パターンを図15に示す。図15より明らかなように、第四の制御状態によって、XZ面内に分布した放射が、特に+X方向へ主ビームが配向した放射特性が実現できることが証明された。また、Y軸方向においては主ビーム方向の利得に対して25dBを超える強い利得抑圧効果が得られた。
(第五の実施例)
各スロット構造に付属する高周波スイッチの制御を行い、図10に示した第五の制御状態を実現したものが第五の実施例であり、各座標面での放射指向性パターンを図16に示す。図16より明らかなように、第五の制御状態によって、XZ面内に分布したブロードな放射特性が実現できることが証明された。また、第四の制御状態とは異なり、Y軸方向においては主ビーム方向の利得に対して7dB程度の利得低下にとどまる放射特性が得られた。
本発明にかかる差動給電指向性可変スロットアンテナは、従来の差動給電アンテナでは放射が困難であった方向を含む様々な方向への効率的な放射を行うことが可能である。また、主ビーム方向の切り替え角が広いため全立体角をカバーする指向性可変アンテナを実現できるだけでなく、主ビーム方向に直交する方向での指向性利得を原理的に抑圧することが可能である。
更に、ある制御状態で実現した放射特性と相補しあう放射特性が別の制御状態で原理的に得られるので、特に、マルチパスが多い室内環境での高速通信を実現する用途に有益である。また通信分野の用途に広く応用できるだけでなく、無線電力伝送やIDタグなどの無線技術を使用する各分野においても使用され得る。
本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの実施形態の裏面から臨んだ透視模式図である。 図1の差動給電指向性可変スロットアンテナの実施形態の断面構造図であって、(a)は図1の直線A1−A2を切断面とする断面構造図、(b)は図1の直線B1−B2を切断面とする断面構造図、(c)は図1の直線C1−C2を切断面とする断面構造図である。 スロット構造601周辺構造の拡大図である。 (a)および(b)は、動作状態でのスロット構造601の構造変化例を示す模式図である。 動作状態でないスロット構造601の構造変化例を示す模式図であって、(a)は非動作状態でのスロット構造の模式図、(b)は好ましくない状態でのスロット構造の模式図である。 (a)および(b)は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの第一の制御状態での構造図である。 (a)および(b)は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの第二の制御状態での構造図である。 (a)および(b)は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの第三の制御状態での構造図である。 (a)および(b)は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの第四の制御状態での構造図である。 (a)および(b)は、本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナの第五の制御状態での構造図である。 (a)は両端開放二分の一実効波長スロット共振器中央で逆相励振された場合にスロット共振器内に生じる電界ベクトルの模式図、(b)は本発明の差動給電指向性可変スロットアンテナ内の両端開放二分の一実効波長スロット共振器と差動給電線路の関係模式図である。 (a)から(c)は、本発明の第一の実施例の放射指向パターン図である。 (a)から(c)は、本発明の第二の実施例の放射指向パターン図である。 (a)から(c)は、本発明の第三の実施例の放射指向パターン図である。 (a)から(c)は、本発明の第四の実施例の放射指向パターン図である。 (a)から(c)は、本発明の第五の実施例の放射指向パターン図である。 従来例1の構造図であって、(a)は上面透視模式図、(b)は断面構造図である。 従来例1の放射指向特性図であって、(a)はYZ面での放射指向特性図、(b)はXZ面での放射指向特性図である。 従来例2の構造図であって、(a)は上面透視模式図、(b)は断面構造図である。 従来例2の放射指向特性図であって、(a)はYZ面での放射指向特性図、(b)はXZ面での放射指向特性図、(c)はXY面での放射指向特性図である。 二分の一波長スロット共振器内の電界ベクトル分布の模式図であって、(a)はシングルエンド給電線路により給電された場合の模式図、(b)は差動給電線路により給電された場合の模式図である。 従来例4の構造図であって、(a)は斜視透視模式図、(b)は上面模式図、(c)は下面模式図である。 従来例4の放射指向特性図であって、(a)はYZ面での放射指向特性図、(b)XZ面での放射指向特性図である。 従来例5の図1であり、シングルエンド給電可変アンテナの模式構造図である。
符号の説明
101 誘電体基板
103 信号導体
103a、103b 差動信号線路の対の信号導体
103c 差動給電線路
105、105a、105b 接地導体
601、605 スロット構造、両端開放スロット共振器
113 給電線路の終端点
115a 誘電体基板裏面の入力端子側領域
115b 誘電体基板裏面の差動給電線路終端箇所の直下領域
311 対称面
601a、605a 給電部位
601b、601c、605b、605c 第一の選択性放射部位
603b、603c、607b、607c 第二の選択性放射部位
601bop、601cop、603bop、603cop、605bop、605cop、607bop、607cop 開放終端点
601d、601e、603d、603e、605d、605e、607d、607e
高周波スイッチ
601s、605s スタブ
Lm 終端点から給電部位までの距離
H 基板厚
W 信号導体の配線幅
G 信号導体間の間隙幅

Claims (9)

  1. 誘電体基板(101)と、
    前記誘電体基板(101)の裏面に設けられた有限の面積の接地導体(105)と、
    前記誘電体基板(101)の表面に配置された二本の鏡面対称な信号導体(103a、103b)からなる差動給電線路(103c)と
    少なくとも一つのスロット構造(601、605)と
    を備え、
    前記少なくとも一つのスロット構造(601、605)は、前記誘電体基板(101)の裏面に形成されており、
    それぞれの前記少なくとも一つのスロット構造(601、605)は、給電部位(601a、605a)と、第一の選択性放射部位群と、第二の選択性放射部位群とからなり、
    前記第一の選択性放射部位群は、少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)からなり、
    前記第二の選択性放射部位群は、少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)からなり、
    前記給電部位(601a、605a)は、前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
    前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)は、いずれも前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
    前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)は、いずれも前記誘電体基板(101)の裏面に設けられたスロットからなり、
    前記給電部位(601a、605a)は、前記信号導体(103a、103b)の両者とそれぞれ交差しており、
    前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)は、それぞれ、前記給電部位(601a、605a)の一端に接続されており、
    前記第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)の先端は、それぞれ、開放されている開放終端点(601bop、601cop、605bop、605cop)からなり、
    前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)は、それぞれ、前記給電部位(601a、605a)の他端に接続されており、
    前記第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)の先端は、それぞれ、開放されている開放終端点(603bop、603cop、607bop、607cop)からなり、
    前記スロット構造(601、605)が、高周波構造可変機能および動作状態切り替え機能の少なくとも一方の可変機能を備えることにより、二つ以上の異なる放射指向性を実現する差動給電指向性可変スロットアンテナであって、
    前記給電部位(601a、605a)は、さらに、
    前記信号導体(103a、103b)と交差する箇所間に、動作周波数foにおける八分の一実効波長未満の長さのスタブ(601s、605s)を有し、
    前記給電部位(601a、605a)の一端と前記少なくとも1つの第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)との間には、それぞれ、高周波スイッチ(601d、601e、605d、605e)が前記スロット構造(601、605)を幅方向に跨いで挿入され、
    前記給電部位(601a、605a)の他端と前記少なくとも1つの第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)との間には、それぞれ、高周波スイッチ(603d、603e、607d、607e)が、前記スロット構造(601、605)を幅方向に跨いで挿入され、
    前記高周波スイッチ素子(601d、601e、603d、603e、605d、605e、607d、607e)は、それぞれ、前記高周波スイッチが跨ぐ両側の前記接地導体(105)を短絡するか、しないかを制御し、
    前記高周波スイッチによって前記第一の選択性放射部位群の中から選択された前記第一の選択性放射部位(601b、601c、605b、605c)、前記給電部位、および前記高周波スイッチによって前記第二の選択性放射部位群の中から選択された前記第二の選択性放射部位(603b、603c、607b、607c)が、両端開放スロット共振器を形成することによって前記高周波構造可変機能が実現され、
    ここで、両端開放スロット共振器は、動作周波数foにおける二分の一実効波長に相当するスロット長を有しており、
    前記動作状態切り替え機能は、前記高周波スイッチが前記スロット構造を短絡することによって実現される、差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  2. 前記差動給電線路の開放終端点から給電回路側への距離が、前記動作周波数foにおける四分の一実効波長に相当する地点で、前記差動給電線路と前記給電部位とが交差する請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  3. 前記差動給電線路の終端点がそれぞれ同じ抵抗値の抵抗により接地終端される請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  4. 前記第一の信号導体の終端点と前記第二の信号導体の終端点が抵抗を介して電気的に接続される請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  5. 2つのスロット構造を有し、
    前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
    前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
    前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満の距離に近接して配置され、
    第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(605b)が有する開放終端点(605bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(607b)が有する開放終端点(607bop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満の距離に近接して配置され、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(605b)が有する開放終端点(605bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
    第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(607b)が有する開放終端点(607bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されることにより、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現され、
    前記一つの放射指向性は、前記差動給電線路に直交し、前記誘電体基板面に平行な二方向に放射成分を有する放射指向性である請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  6. 2つのスロット構造を有し、
    前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
    前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
    前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
    第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置され、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満に近接して配置され、
    第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける四分の一実効波長未満に近接して配置されることにより、
    前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現され、
    前記一つの放射指向性は、前記差動給電線路に平行な二方向に放射成分を有する放射指向性である請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  7. 2つのスロット構造を有し、
    前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
    前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
    前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
    第一のスロット構造(601)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
    第二のスロット構造(605)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(605c)が有する開放終端点(605cop)と、第二のスロット構造(605)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(607c)が有する開放終端点(607cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
    前記第一の開放終端点と前記第二の開放終端点とを結ぶ第一の方向への放射利得が抑圧され、前記第一の方向に直交する面内のいずれかの方向に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  8. 2つのスロット構造を有し、
    前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
    前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
    前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
    第二のスロット構造(605)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(601c)が有する開放終端点(601cop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するY軸に平行な選択性放射部位(603c)が有する開放終端点(603cop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
    前記第一の開放終端点と前記第二の開放終端点とを結ぶ第一の方向への放射利得が抑圧され、前記第一の方向に直交する面内のいずれかの方向に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
  9. 2つのスロット構造を有し、
    前記誘電体基板(101)に平行な面をXY平面とし、
    前記誘電体基板(101)の法線方向をZ軸方向とし、
    前記XY平面においてX軸とY軸とは直交するとし、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第一の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(601b、605b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(601c、605c)とからなり、
    前記各スロット構造(601、605)において、前記第二の選択性放射部位群は、X軸に平行な選択性放射部位(603b、607b)と、Y軸に平行な選択性放射部位(603c、607c)とからなり、
    第二のスロット構造(605)における高周波スイッチがいずれも両側の前記接地導体(105)を短絡しており、
    第一のスロット構造(601)において前記第一の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(601b)が有する開放終端点(601bop)と、第一のスロット構造(601)において前記第二の選択性放射部位群を構成するX軸に平行な選択性放射部位(603b)が有する開放終端点(603bop)とが、周波数foにおける二分の一実効波長程度離して配置されていることにより、
    前記第一の方向に直交する面内に主ビームが向くと共に、前記二つ以上の異なる放射指向性のうち一つの放射指向性が実現される請求項1に記載の差動給電指向性可変スロットアンテナ。
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