JP4177188B2 - 動的形状及び動的位置の同時測定方法、装置、光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細構造をもち、動きを伴うMEMS(Micro Electro Mechanical System )等の部品の加工精度評価や性能評価を行う動的形状及び動的位置の同時測定方法、装置、光学素子に関し、特にMEMS等の微細構造動的物体の動いている最中での表面ナノメータオーダ形状(動的形状)と、またその面と略垂直な方向における位置(動的位置)とを、同時に測定するための動的形状及び動的位置の同時測定方法、装置、光学素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
MEMSは、ミクロンオーダーのサイズであり、並進変位や傾きといった動きを伴うデバイスで、波長多重光通信における光イコライザー(クロスコネクター)や、プロジェクター、ディスプレイにおける空間光変調素子、あるいは光偏向器や、振動アクチュエータ等、多くの用途で用いられている。前記のような用途においては、MEMSは光学ミラーの役割を果たし、ミラー面の並進変位や傾きにより、反射光の角度や位置を制御するという作用をする。その場合ミラーの表面形状や動いている最中での表面形状には、ナノメータオーダの高い形状精度が要求される。
【0003】
また図6(a)に示したようなベース2に振動ミラー1がとりつけられたようなMEMSの構成の場合は、ミラーの駆動に伴いミラー面のベースに対する絶対位置が所定位置からずれる場合(図6(a)におけるSに相当)があり、それによりミラーによる反射光が所定位置に到達しなくなって、部品性能に影響を与える。そのためベースに対するミラー面の位置(面と略垂直な方向における面の位置)を定量的に知ることも重要となる。
【0004】
さらにMEMSが図7に示したようなミラーが複数個配置(4が各々のミラー面を表す)され、それぞれが独立で動くようなミラーアレイの場合は、面と略垂直な方向における各ミラー面の相対的な位置が、ミラーの駆動に応じて変化する場合があり、各々のミラーで反射した光が各々所定位置に到達しなくなって、部品性能に影響を与えるため、前記各ミラー面の相対的な位置を知ることも重要となる。
【0005】
被測定物の表面形状をナノメータオーダで測定し、かつその位置を測定する方法としては、特許文献1の「縞変調を用いた形状測定方法」がある。特許文献1では、コヒーレンスの低い光源を用い、物体位置に応じた干渉縞のコントラストの低下を検出することにより、物体の面と略光軸方向の位置を求め、また干渉縞の位相を求めることにより物体の表面形状をナノメータオーダで求めている。
【0006】
公知技術のフーリエ変換法(非特許文献1)を用いれば、単一画像の収録から上記ナノメータオーダ形状と物体位置が同時に求められるため、動いている物体に対しても対応可能となる。
【0007】
しかしながら特許文献1では、図8に示したような物体位置と干渉縞のコントラストの関係を表す曲線の一部(図8の5の点線で囲んだ部分)を使用し、検出した干渉縞のコントラストから物体位置を求めるため、物体位置の原点に対する正負(物体面位置の凹凸)が判別できない。すなわち検出したコントラストが図8の5に相当するのか、図8の5‘に相当するのかがわからないため物体面位置の凹凸が判別できずに、部品の性能評価のための正確な情報を取得することができない。
【0008】
また図8のような関係を表すデータは物体の反射率により変化するため、被測定物の反射率が変わるたびに図8のデータを取得しなければならないという不便さがある。
【0009】
さらに位置の測定分解能と測定レンジが光源のコヒーレンス長にて決定され、それが不変であるため、被測定物に応じて位置測定分解能とレンジを調整できないという短所もある。
【0010】
そのような課題を解決するために、特願2002−342682号の出願(「技術1」という)では、合焦法の理論を用いて、面の合焦状態を検知することにより位置測定を行っている。ただし合焦法の理論を用いるには光学的鏡面の合焦状態をいかに検出するかという課題がある。そのために技術1では、再生距離の変化に伴うコントラスト変化のピーク値にスレッシュをかけることによりテクスチャー(合焦を検知するための模様)を認識し、認識したテクスチャーにおける位置測定値を用いて、被測定面の測定値としている。しかし実際にはテクスチャーの形やサイズによって位置測定値が微妙に変化するため、認識した全てのテクスチャーを用いて位置測定を行うと、測定値が不安定となる。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−50727号公報
【非特許文献1】
武田光夫「フーリエ変換と光応用計測」、光技術コンタクト、Vol.36、No.2、(1998)、P72−80
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はそのような課題を解決するためのもので、認識したテクスチャーのうち安定した測定値を与えるテクスチャー、あるいは安定した測定値を与えるように被測定面上に施したマークテクスチャー、を選択してそのテクスチャーにおける測定値を用いることにより測定値の安定化を図り、特許文献1の課題を解決するとともに技術1におけるテクスチャーの形やサイズによって位置測定値が不安定になるという課題を解決する動的形状及び動的位置の同時測定方法、装置を提供することを目的とする。
【0013】
位置測定のために振幅像の合焦状態を検出するためには、テクスチャーが必要である。一方ナノメータオーダの形状測定精度が要求されるターゲットとしては、ミラーやレンズのような光学的鏡面が一般的である。光学的鏡面はテクスチャーを基本的にはもたないため、位置測定のためには光学的鏡面である被測定面の合焦状態をいかにして検出するかが重要な課題である。
そこで本発明はそのような課題を解決するための方法に関し、被測定面上に、被測定面を加工する段階であらかじめマークとなる形状を施しておき、そのマークをテクスチャーとして、被測定面の合焦状態を検出する。それにより明確なテクスチャーをもたない光学的鏡面をもつ被測定面であっても、位置測定を可能にする動的形状及び動的位置の同時測定方法を提供することを目的とする。
【0014】
被測定物における場所(領域)ごとでの位置の差が大きいような場合、光源のコヒーレンスが低いと物体光路長と参照光路長の差が大きくなるため、干渉縞のコントラストが場所(領域)ごとで変化し、それにより再生した振幅像の明るさに場所(領域)ごとでの差が生じる。振幅像の明るさが場所(領域)ごとで異なると、合焦状態の検出感度、位置測定感度が場所(領域)により異なってくるため、場所(領域)ごとで測定精度に差が生じるという不具合が生じる。
そこで本発明では、光源にHe−NeレーザやLD励起YAGレーザといったような高コヒーレンス光源を用いることにより、物体位置に応じた振幅像の明るさの差をなくする。それにより位置測定精度を安定化させる動的形状及び動的位置の同時測定装置を提供することを目的とする。
【0015】
上述の方法において、より正確な物体反射光の振幅を取得しようとすると、参照光のみの画像が必要となるが、参照光の振幅分布が小さいような場合は参照光のみの画像を用いずに再生した振幅像を用いても、位置測定精度への影響は小さくなる。参照光のみの画像を収録しないですめば、測定と像再生演算のための処理が減るため、測定時間が減り、測定の操作性が向上する。
そこで本発明は、少ない測定時間、良い操作性で、精度の高い位置測定を実現する動的形状及び動的位置の同時測定方法、装置を提供することを目的とする。
【0017】
またあらかじめ調べておいたテクスチャー像の周波数から測定に必要な干渉縞のキャリヤ周波数を求め、キャリヤ周波数をもとに物体光と参照光との傾き量を求めることができる。そのような傾き量を設定する手段を構成に付加することにより、上述の方法を実現する動的形状及び動的位置の同時測定装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の方法を実施するためのテクスチャーのマークを表面の所定位置に施すことにより、明確なテクスチャーをもたない光学的鏡面をもつ被測定面であっても、位置測定が可能な光学素子を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を解決するため、請求項1に記載の発明は、物体反射光と参照光との間で発生した干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求め、前記撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo のフレネル回折を計算することにより物体反射光の光軸方向における複数の位置での物体反射光の複素振幅Uz を求め、前記Uz から求めた物体反射光の位相データから物体表面形状を求め、前記Uz から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態を検出することにより物体の面と略垂直な方向における位置を求めることにより、動いている最中の物体の表面形状及び面と略垂直な方向における位置を同時に測定する動的形状及び動的位置の同時測定方法において、前記U z から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態の検出値をもとに物体振幅像におけるテクスチャーを認識し、前記認識したテクスチャーのうち安定した測定値を与えるテクスチャーを前記位置の測定に適したテクスチャーとして選択した後、前記選択したテクスチャーの前記位置を求めることにより、被測定物体の前記位置を求めることを特徴とする。
【0021】
上記のように収録した単一の干渉縞から物体反射光の複素振幅を求め、複素振幅のうちの振幅データを用いて数値演算による合焦法を実施することにより認識、抽出したテクスチャーの中から適切なテクスチャーを選択し、選択したテクスチャーの位置を測定することにより、被測定物の面と略垂直な方向の位置を測定し、複素振幅のうちの位相データを用いて被測定物表面の形状を求め、被測定物の動いている最中での表面ナノメータオーダ形状(動的形状)と、またその面と略垂直な方向における位置(動的位置)とを、同時に測定することができる。
【0022】
従来の特許文献1の「縞変調を用いた形状測定方法」に対して、位置測定における凹凸が判別でき、反射率の影響もうけづらく、また光学系倍率を変えることにより位置測定分解能、レンジの調整ができるという利点がある。従来の技術1に対しては、測定値の安定化が図れるという利点がある。
【0023】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の動的形状及び動的位置の同時測定方法において、前記選択するテクスチャーが被測定面上に人為的に施したマークであることを特徴とする。
【0024】
被測定面上に、被測定面を加工する段階であらかじめマークとなる形状を施しておき、そのマークをテクスチャーとして、被測定面の合焦状態を検出することにより、請求項1に記載の数値演算による合焦法を実施する。それにより明確なテクスチャーをもたない光学的鏡面をもつ被測定面であっても、位置測定が可能となる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の動的形状及び動的位置の同時測定方法において、物体反射光と参照光との間で発生した干渉縞画像のみから前記撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めることを特徴とする。
【0026】
請求項1記載の方法において、参照光の振幅(強度)分布が小さいような場合に、参照光のみの画像を用いずに再生した振幅像を用いることにより、測定時間の低減と測定の操作性の向上が図れる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、ほぼ単一波長の光を発生する光源と、光源からの光を物体に照射するための照射光学系と、物体反射光と参照光を干渉させるための干渉光学系と、前記干渉光学系にて生成される干渉縞を撮像する撮像手段と、前記撮像手段位置で物体像を結像させるための結像光学系と、前記撮像手段による単一の干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めるための第1の演算器と、撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo のフレネル回折を計算することにより物体反射光の光軸方向における複数位置での物体反射光の複素振幅Uz を求める第2の演算器と、前記Uz から物体の表面形状及び物体の面と略垂直な方向における位置を求めるための第3の演算器と、を有して構成された動的形状及び動的位置の同時測定装置において、前記Uz から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態の検出値をもとに物体振幅像におけるテクスチャーを認識するための第4の演算器と、前記認識したテクスチャーのうち安定した測定値を与えるテクスチャーを選択するための選択手段と、を構成に付加したことを特徴とする。
【0030】
上記の構成を採ることで請求項1記載の方法を実現するための装置を提供することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置において、前記光源が高コヒーレンス光源であることを特徴とする。
【0032】
請求項4に記載の装置による位置測定において、光源にHe−NeレーザやLD励起YAGレーザのような高コヒーレンス光源を用いることにより、物体位置に応じた振幅像の明るさの差をなくする。それにより位置測定精度の安定した請求項4に記載の装置を提供することができる。
【0033】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置において、前記撮像手段による単一の干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めるための第1の演算器は、前記撮像手段による単一の干渉縞画像のみから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uoを求めるための第5の演算器であることを特徴とする。
【0034】
請求項6に記載の構成を備えることにより請求項3に記載の方法を実現するための装置を提供することができる。
【0035】
請求項7に記載の発明は、請求項4記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置において、前記認識したテクスチャーにおける所定領域の選択手段が、画像表示器とコンピュータマウスであることを特徴とする。
【0036】
請求項7記載の構成を備えることにより請求項1記載の方法を実現するための装置を提供することができる。
【0037】
請求項8に記載の発明は、請求項4記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置において、前記認識したテクスチャーにおける所定領域の選択手段が、被測定物上に施されたマークの既知の位置情報から振幅像におけるマーク位置を計算する第6の演算器であることを特徴とする。
【0038】
請求項8記載の構成を備えることにより請求項1記載の方法を実現するための装置を提供することができる。
【0039】
請求項9に記載の発明は、請求項4記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置において、あらかじめ調べておいたテクスチャー像の周波数から物体光と参照光との傾き量を求め、物体光と参照光との間に前記傾き量を与えるための角度調整手段を構成に付加したことを特徴とする。
【0040】
あらかじめ調べておいたテクスチャー像の周波数から測定に必要な干渉縞のキャリヤ周波数を求め、キャリヤ周波数をもとに物体光と参照光との傾き量を求めることができる。
【0043】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9の何れか1項に記載の位置測定を行うためのテクスチャーとして作用するマークが表面の所定位置に施された光学素子であることを特徴とする。
【0044】
請求項1から3の何れか1項に記載の方法の実施および請求項4から9の何れか1項に記載の装置を実現するためのテクスチャーのマークを表面の所定位置に施すことにより、明確なテクスチャーをもたない光学的鏡面をもつ被測定面であっても、位置測定が可能な光学素子を提供することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施形態は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0046】
<実施の形態1>
図1に本発明による装置構成の一例を示す。図1の装置を用いて、図6(a)に示した振動ミラー1が動いている最中におけるミラー1のナノメータオーダの表面形状と、ミラー1のベース2に対する相対的位置(図6(a)におけるS)を測定する例を示す。図6(a)の被測定物のベース上には、ベースの面と略垂直な方向における位置を測定するためのテクスチャー(模様)として作用するマーク3が加工されている。
【0047】
図1の6は光源の半導体レーザ、7は半導体レーザを駆動するためのドライバで、コンピュータ8からのデジタル信号をD/A(デジタル/アナログ)変換器9によりアナログ信号に変換し、それを半導体レーザドライバ7に入力させて注入電流を調整することにより半導体レーザを任意タイミング、任意時間幅でパルス発光させる。10は被測定物としての図6(a)のような振動ミラーである。11は被測定物を駆動させるためのドライバである。被測定物ドライバ11はD/A変換器9に接続されており、コンピュータ8からの信号を設定することにより、被測定物をその実使用と略同じ状態で動作させることができる。
【0048】
12は被測定物への照射光強度を調整するためのNDフィルタ、13は半導体レーザからの光を拡大するためのビームエキスパンダである。ビームエキスパンダ13にて拡大され、ビームスプリッター14を透過した平行光は被測定物10に照射される。被測定物10で反射した光は、ビームスプリッター14で反射して、レンズ15を介してCCDカメラ16に到達する。レンズ15に関して被測定物10とCCDカメラ16はほぼ共役な関係(結像関係)になるように、被測定物10を保持するためのホルダー17とレンズ15とCCDカメラ16の相対的な位置が調整されている。
【0049】
一方ビームエキスパンダ13にて拡大され、ビームスプリッター14で反射された光は、NDフィルタ18を通過し、参照ミラー19で反射される。参照ミラー19は、参照ミラーに入射する光の光軸に対するミラー面の傾きを変化させるための機構を有するホルダー20にて保持されており、光学系の光軸に対するミラー面の傾きを調整可能である。参照ミラー19にて反射された光は、NDフィルタ18を行きとは逆向きに通過したのち、ビームスプリッター14を透過して、レンズ15を介してCCDカメラ16に到達する。被測定物10で反射した光は物体光となり、参照ミラー19で反射した光は参照光となって、両者は干渉をおこして干渉縞を発生し、CCDカメラ16によって干渉縞が撮像される。参照ミラー19で反射した参照光の光軸と被測定物10で反射した物体光の光軸が、ビームスプリッター14により結合された後に略平行(干渉縞が発生レベル)になるように参照ミラー、あるいは被測定物ホルダーの傾きが設定されている。
【0050】
撮像された干渉縞画像は、フレームグラバ21を介してコンピュータ8に転送され、コンピュータのメモリに記録されるとともにコンピュータのモニター22に表示される。ビームスプリッター14で分岐された後の参照光路と物体光路の長さは、光源の半導体レーザのコヒーレンス長以下になるように設定されている。また被測定物からの反射光がCCDカメラで撮像するのに適した強度になるように、NDフィルタ12により被測定物への照射光強度を調整してあり、また被測定物からの反射光と参照光との干渉により発生する干渉縞のコントラストが高くなるように、NDフィルタ18により参照光強度が調整されている。半導体レーザの発光時間が被測定物の動作速度に対して長いと、発光中に被測定物の状態が変化するため、観測される干渉縞のコントラストが低下したり、干渉縞が消えてしまったりする。そのため観測される干渉縞のコントラストが十分保証できるように、被測定物の動作速度に対して十分短い時間で発光されるように、D/A変換器、あるいはD/A変換器を駆動するコンピュータプログラムが設定されている。また同一のD/A変換器を用いることで、被測定物の動作(振動)のタイミングに合わせた半導体レーザの発光が可能となっている。
【0051】
被測定物10をホルダー17にセットすると、ほぼ焦点の合った被測定物の像と、被測定物の像の上に重畳した干渉縞の像がCCDで撮像されてモニター22に画像として表示される。CCDで撮像した干渉縞の強度分布は次の(1)式にて表される。(1)式において、x、yはCCDの撮像面上での座標を表し、I(x,y)は干渉縞強度分布、a(x,y)は干渉縞のバックグラウンド強度分布、b(x,y)は干渉縞の明暗変化の振幅の分布、φ(x,y)は被測定物体形状に対応した物体反射光の位相分布を表す。
【0052】
【数1】
【0053】
被測定物の表面形状により物体反射光の位相分布が変調されるため、それにより干渉縞の強度分布が変調される。その場合干渉縞の間隔(暗い領域と暗い領域の間隔)を狭く設定しておけば、より狭い(微小な)領域での被測定面形状が干渉縞強度分布に反映されるため、その強度分布を検出することにより被測定面形状を求めることができる。干渉縞の間隔を狭くするには、被測定物からの反射光の光軸と参照ミラーからの反射光の光軸とがなす角度が大きくなるように調整すればよい。干渉縞の間隔の逆数をとったものを干渉縞の空間キャリヤ周波数と呼び、CCD画像におけるX方向の空間キャリヤ周波数をfX0、Y方向の空間キャリヤ周波数をfY0とすると、空間キャリヤ周波数の重畳した干渉縞の強度分布を数式化すると、次の(2)式のようになる。
【0054】
【数2】
【0055】
(2)の干渉縞強度分布の画像を変数x、yについてフーリエ変換すると、(3)式に示すような二次元空間周波数スペクトルが得られる。ここで*は複素共役、A(fX ,fY )はa(x,y)のフーリエスペクトルを表し、C(fX ,fY )は干渉縞の明暗変化の複素振幅である(4)式のフーリエスペクトルを表す。
【0056】
【数3】
【0057】
【数4】
【0058】
空間キャリヤ周波数fX0とfY0に対してバックグラウンド強度分布a(x,y)や干渉縞の明暗変化の複素振幅分布c(x,y)の変化がゆるやかであれば、各スペクトルがキャリヤ周波数により分離されるため、(3)式における第2項の成分のみを抽出し、フーリエスペクトル座標における原点の位置に移動することにより空間キャリヤ周波数fX0とfY0を取り除き、C(fX ,fY )を得ることができる。そしてスペクトルC(fX ,fY )の逆フーリエ変換により(4)式の複素振幅が得られる。参照光の複素振幅UR (x,y)、物体光の複素振幅Uo をそれぞれ(5)、(6)式のようにし(Aは振幅、φは位相を表す)、参照光の位相分布φR (x,y)が0(理想波面)であるとすると、b(x,y)は(7)式のように、参照光の振幅分布AR (x,y)と物体光の振幅分布Ao (x,y)によって表現できる。
【0059】
【数5】
【0060】
【数6】
【0061】
【数7】
【0062】
被測定物を設置しない状態、あるいは被測定物からの反射光を遮った状態における画像は、参照光のみによる画像となるので、その参照光のみの画像を収録し、CCDの各々の画素で、その平方根をとることにより、参照光の振幅分布AR (x,y)を求めることができる。参照光のみの画像は、測定の際に収録してもよいし、あらかじめ収録したものを媒体に記憶しておいて、測定時にデータを読み込んでもよい。そのように取得したAR (x,y)と、複素振幅c(x,y)の実部Re{c(x,y)}と虚部Im{c(x,y)}を用いて、以下の(8)式、(9)式を計算することにより、CCDの撮像面の位置での物体反射光の位相分布φo0(x,y)と振幅分布Ao0(x,y)を求めることができ、(6)式を用いてCCDの撮像面の位置での物体反射光の複素振幅Uo (x,y)を表現できる。
【0063】
【数8】
【0064】
【数9】
【0065】
(8)式の位相データから被測定物の表面形状を求めることができる。
ただし位相分布による形状は、参照面形状に対する相対値であるため、被測定面の位置(面と略垂直な方向への高さ)を求めることができない。本実施形態では、そのような位置を、(9)式で求めた振幅分布を利用して、以下に説明する合焦法の原理により測定することで、被測定物の面と略垂直な方向における位置と表面形状を同時に求めることができる。
【0066】
従来の合焦法では、被測定物の像をレンズにて撮像素子の撮像面上にほぼ結像させた状態で、レンズを光学系光軸方向に移動させながら複数枚の物体画像を収録する。レンズを光学系光軸方向に移動させると、その移動量に応じて物体像は焦点ずれをおこすため、それにより像のコントラストが変化する。焦点があったとき物体像のコントラストが極大、あるいは極小となるため、コントラストがピークとなったときのレンズ位置を検知することによって、光学系光軸方向における物体の高さを求めることができる。そして画像における微小領域ごとで、コントラストのピークを検出することにより、その領域での物体の高さを求め、その処理を撮像素子にて観測できる全領域にて実施することにより、その全領域での表面の高さ分布を求めることができるというものである。ただし、そのような従来の方法によると、レンズを時系列的に移動させながら複数枚の画像を収録するため、物体が動いていると測定が困難となってきて、本実施形態のように、動的物体の表面形状測定に適用させることはできない。
【0067】
本実施形態では、従来合焦法においてレンズの移動により生じさせた焦点ずれを、数値演算により与える。焦点ずれを生じさせるために、(8)、(9)式で求めた振幅、位相を(6)式に代入して、CCDの撮像面上での物体反射光の複素振幅Uo0(x,y)を求め、それを(10)式に代入して、物体反射光のフレネル回折を計算する。
【0068】
【数10】
【0069】
(10)式において、Zは光学系光軸方向におけるCCD面からの距離を表し、Zの値を入力して(10)式を計算することによりCCD面からZだけ離れた位置での物体反射光の複素振幅Uz を求めることができる。それにより所定のZの位置での複素振幅から(9)式を用いて物体反射光の振幅分布Az (x,y)を得ることができ、また(9)式で求めた物体反射光の振幅分布は、CCDで観測した画像における各画素での強度の平方根をとったものと等価である。したがって、Zの値を変化させることにより、焦点ずれ量の異なる複数の振幅画像を取得することができる。従来の合焦法ではレンズを移動させることによって焦点ずれを与えていたが、ここでは焦点ずれを与えるという作業を数値演算処理により行っている。したがって収録するのは単一の干渉縞であり、その後はすべて演算処理にて行うため、物体が動いていても干渉縞画像の収録が可能となり、合焦法の原理を用いた測定が可能となる。焦点ずれの異なる複数の振幅画像を用い、従来の合焦法による処理と同様、微小領域でのコントラストを求め、コントラストがピークとなるときのZの値がその領域の高さとなる。ここで、焦点ずれに応じたコントラストを検出する場合について、その処理領域内にテクスチャー(模様)がある必要がある。従来の合焦法では、面の粗い粗面物体を被測定物とすることが多いため、面の荒れをテクスチャーとして扱うことができるが、被測定物が鏡面の場合は、面粗さを光学的に検出するのは困難となる。
【0070】
本実施形態では、その問題に対応するために、被測定物上のキズや被測定物のエッジ部分をテクスチャーとみなし、テクスチャーの焦点ずれに伴うコントラストピークを検出することにより被測定物の面と略垂直な方向における位置(高さ)を求める。その場合、テクスチャーの像を構成するすべてのCCD画素にて位置測定値が得られるが、任意のキズはそのサイズや形状がまちまちであり、サイズや形状によって反射光の散乱の仕方が変わってくるため、焦点ずれに伴うコントラストの変化も仕方も異なってきて、それによりテクスチャーの種類によって測定感度が異なるという不具合が生じる。被測定物のエッジをテクスチャーとした場合も、ミクロな視点でみればエッジの形状は場所によって異なったものとなっているため上述と同様の不具合が生じる。また微小構造を観測しようとすると光学系の拡大倍率は高いものが要求されるが、高倍率の光学系では光学系の収差が生じやすく、収差により観測面内の場所により焦点の合い方が異なる(例えば観測面の中心領域では焦点が合っているが、観測面の端のほうでは微妙に焦点が合っていないというような現象)場合も考えられる。その場合もテクスチャーにより位置測定値が異なるという不具合につながる。さらに観測面内に光学的なノイズ(光学系での多重反射光や光学部品に付着したゴミの回折パターン)が観測された場合も、ノイズが発生した領域で観測されるテクスチャーからの測定値は、ノイズが発生しない領域のものに対して異なった測定値となる。本実施形態では、テクスチャーのなかで被測定物のエッジのなかの所定部分や、被測定物の所定位置にあらかじめ施したマークなどの所定のテクスチャーを選択し、選択したテクスチャーにおける位置測定値をもって、被測定物の位置とする。被測定物が鏡面であることを考えれば、テクスチャーのある領域とそれ以外の領域では位相情報の連続性をみれば高さの差は推定できるため、テクスチャーがある領域の位置測定値をもって、被測定物の位置を代表させることができる。
【0071】
上記の処理のためには、まず観測面内における全てのテクスチャーを認識、抽出したうえで、所定のテクスチャーを選択するという処理プロセスが必要となる。
【0072】
図2(a)に焦点ずれを与える数値演算処理のモデルを示し、図2(b)にZを変化させたときの振幅画像のテクスチャーのある領域(●プロット)とテクスチャーのない領域(■プロット)におけるコントラスト変化のモデルを示す。図2(a)では、被測定物23の像が、レンズ24によりCCD撮像面25bの位置で結像している様子が示してある。目視で被測定物23の像がほぼ結像する位置を原点にして、CCDの位置を例えば25aや25cに数値演算により仮想的に変化させることによりZの値を変化させながら(10)式を計算することによって、振幅像に焦点ずれを与えることができる。
【0073】
図2(b)では横軸にZの値をとってあり、縦軸に像のコントラストをとって、Zを変化させたときの像のコントラスト値がプロットしてある。図において●のプロットと■のプロットで示したように、振幅像において、コントラストを検出する領域内にテクスチャーがある場合はコントラスト変化のレベルが大きくなり、テクスチャーがない場合はコントラスト変化のレベルが小さくなる。そのためにコントラスト変化のピーク値にスレッシュをかけることで、コントラストを検出する領域内にテクスチャーがあるかないかを判定できる。すなわちテクスチャーを認識、抽出することができる。認識したテクスチャーは、コントラストがピークとなるときのZの情報(図2(b)におけるD)を伴って、図3のように二次元のパターンとしてコンピューターモニターに表示される。
【0074】
図3において26は画像上で被測定物の像に相当する領域を示しており、27はテクスチャーとして認識したミラーのエッジ、28は被測定面上のキズに相当する領域である。29の領域は観測面内における被測定物におけるベース(図6(a)における部品2)に相当する領域で、ベース上にあらかじめ施した図6(a)におけるマーク3の像がテクスチャーとして認識、抽出した30に相当する。図3のように表示したテクスチャーのなかで、例えば28aと30をコンピュータのマウスを動かしながらそれぞれをカーソルで囲むことにより領域として選択し、その領域の情報がCCD面上での座標データとしてコンピュータにフィードバックされ、28aを構成する各画素のDの平均値D1 、30を構成する各画素のDの平均値D2 を求める。そのようにして求めたD1 、D2 の値を次の(11)式に代入して得られるd1 、d2 が被測定物におけるミラーとベースの位置測定値となる。(11)式におけるkは焦点ずれに対する感度で、Mは光学系倍率である。光学系倍率が大きくなるほど、測定分解能が向上する。
【0075】
【数11】
【0076】
ベースの位置測定値d1とミラーの位置測定値d2との差をとれば、それがベースを基準としたときのミラーの位置となる。被測定物が、図7に示したようなミラーアレイの場合も、ミラーのエッジをテクスチャーとしたり、各ミラー面にあらかじめ施したマークをテクスチャーとしたりすればよい。上述では被測定物でのテクスチャーを、マウスを動かしてモニター画面上でカーソルで囲むことにより選択したが、被測定物のホルダー17への設置位置を正確に決め、CCD撮像面上に投影される被測定物の像の位置を把握しておけば、被測定物における振動ミラーのサイズは既知であるためCCD撮像面上でのミラーのエッジの位置が推測できる。被測定物上での位置とCCD撮像面上での位置との関係は光学系倍率を用いて把握可能である。また被測定物におけるベースに加工したマークと振動ミラーのエッジとの位置関係が把握しておけば、やはりマーク位置のCCD撮像面上での位置も推定できる。そのようにしてコンピュータに被測定物におけるミラーのサイズと、ミラーエッジからのマークの距離を入力することにより、所定のテクスチャの自動選択ができる。
【0077】
図6(b)は振動ミラーの振動の様子を側方から観察し、振動位相とミラーの傾きを説明したものである。振動ミラーは図の矢印の方向に揺動するかたちで振動し、振動ミラーに照射した光の反射光の向きを変えたり、走査したりするという用途で使用される。振動位相が0度のときにミラー面は水平(図では実線で表した面)となる。そして振動位相が90度のときにミラー面は左側に最大角度で傾き(図では点線で表した面)、振動位相が180度のときにミラー面は再び水平(図では実線で表した面)になり、振動位相が270度ときにミラー面は右側に最大角度で傾き(図では一点鎖線で表した面)、振動位相が360度のときにミラー面は再度水平(図では実線で表した面)になる。以上の動きを一周期として振動を繰り返し、ミラーの傾きは連続的に変化する。ミラー面の傾きの最大角度は、振動ミラーの振動振幅の仕様値で決定され、振動の周期(周波数)もまた仕様を設定されている。上述した測定法の説明は、振動位相が0度でミラー面がベースに対してほぼ水平になった状態での測定を示したものである。振動位相が0度以外のときのミラー面の形状と位置を測定したい場合は、被測定ミラーからの反射光の光軸と参照光の光軸との傾きが所定角度になるように、参照ミラーの傾きを変えるか、被測定ミラーホルダーに傾き調整機構を設けて被測定ミラーの傾きを調整すればよい。被測定ミラーの振動位相が0度以外になると、被測定ベース面と被測定ミラー面との傾きにより図6(a)に示したSが直接求められなくなるが、被測定ミラー面の照射光学系光軸方向における位置測定値と、被測定ベース面の照射光学系光軸方向における位置測定値と、被測定ベース面の照射光学系光軸方向における位置を測定した観測面内でのテクスチャー位置と、被測定ミラー面の被測定ベース面に対する傾きとの幾何学的関係が既知であるため、それを被測定物の性能や加工精度に反映すればよい。
【0078】
図4に、被測定面の面と略垂直な方向における位置と被測定面の形状とを同時に測定するための手順例を示す。図4において、iはカウンタ、Z0 は位置測定を行う場合にZを変化させる際の初期値、ΔZはZを変化させるピッチ、NはZを変化させる回数をあらわし、他の英文字は実施例記載の英文字と同じ意味である。
【0079】
<実施の形態2>
実施の形態1の装置において、光源のコヒーレンスが低い(例えば図6(a)におけるSより光源のコヒーレンス長が短い)と被測定面の位置によって物体光路長と参照光路長の差が大きくなるため、干渉縞のコントラストが低下し、それにより再生した振幅像が暗くなる。すなわち(9)式により計算した振幅値の値が小さくなる。そのような場合、図6(a)のような被測定物の場合、ミラー1を構成する画素における平均的な振幅の値と、ベース2を構成する画素における平均的な振幅の値に差が生じる。そうすると図2(b)に示すようなコントラスト変化のピークの高さが画像の領域によって異なってくるために、領域によりピーク検出感度が異なり、位置の測定精度が異なってくる。
【0080】
そのような不具合を解決するために、実施の形態1にて説明した装置において、半導体レーザの変わりにパルス発光するLD励起YAGレーザを用いたり、He−NeレーザやArレーザのような高コヒーレンス光源と開口を回転させることにより光をパルス化するためのチョッパーを併用した構成を用いる。それにより物体位置に応じた振幅像の明るさの変化がなくなるため、位置測定精度を向上させることができる。
【0081】
<実施の形態3>
実施の形態1の方法において、正確な物体反射光の振幅を取得しようとすると、参照光のみの画像が必要となる。しかし参照光の振幅分布が小さい(領域ごとでの参照光の強度の差が小さい)ような場合は、(9)式から判断すると、再生した振幅像における振幅値の絶対値の大小は異なってくるが、振幅像における領域ごとでの振幅値の差は小さくなる。位置測定ではコントラスト変化を求めるため、振幅値の絶対値の変化の影響は小さい。したがって参照光の振幅分布が小さく、振幅像における領域ごとでの値に与える参照光画像の強度分布の影響が小さい場合は、参照光のみの画像を用いずに再生した振幅像を用いても、位置測定精度への影響は小さくなる。実際には(9)式におけるAR を1として振幅データを計算すればよい。参照光のみの画像を収録しないですめば、測定と像再生演算のための処理が減るため、測定時間が減り、測定の操作性が向上する。
【0082】
<実施の形態4>
実施の形態1の方法によると、干渉縞に重畳させるキャリヤ周波数より高い周波数をもつ被測定物形状は再生されない。そうすると、図6(a)のマーク3のサイズが小さい場合、マーク像を再生することができずに、ベース位置の測定ができなくなるため、マークのサイズよりキャリヤ周波数を高く設定しなければならない。例えば正方形のテクスチャーを考え、テクスチャーのサイズ(一辺の長さ)をtとし、干渉縞のキャリヤ周波数をfとすると、次の(12)式を満足する必要がある。
【0083】
【数12】
【0084】
キャリヤ周波数を高くするには被測定物反射光の光軸と参照光の光軸とのなす角度θを大きく設定する必要がある。図5に角度θを説明する図を示すが、図5における部品番号は、図1におけるものと等価である。被測定面上での干渉縞の間隔はキャリヤ周波数の逆数で表される。干渉縞1本あたりの参照光と物体光の位相差はλ/2であるため、θとfとの間には次の(13)式の関係が成り立つ。
【0085】
【数13】
【0086】
したがって(12)式を満足するfを決定し、決定したfを用いて(13)式よりθを求め、所定のθになるように、参照光ミラー、あるいは被測定物の傾きを調整すればよい。
【0087】
キャリヤ周波数の重畳した干渉縞画像を収録し、画像をフーリエ変換すると、キャリヤ周波数に相当する周波数で周波数のピークを検知できる。検知したピーク周波数が所定の周波数になるように参照ミラー、あるいは被測定物の傾きを調整する。すなわち参照ミラー、あるいは被測定物の傾き調整→干渉縞画像収録→画像のフーリエ変換→干渉縞周波数ピーク検知→ピーク周波数とキャリヤ周波数の比較、という処理を、ピーク周波数とキャリヤ周波数との差が所定値に収束するまで繰り返せばよい。
【0088】
【発明の効果】
以上の説明から本発明によれば、収録した単一の干渉縞から物体反射光の複素振幅を求め、複素振幅のうちの振幅データを用いて数値演算による合焦法を実施することにより認識、抽出したテクスチャーの中から適切なテクスチャーを選択し、選択したテクスチャーの位置を測定することにより、被測定物の面と略垂直な方向の位置を測定し、複素振幅のうちの位相データを用いて被測定物表面の形状を求め、被測定物の動いている最中での表面ナノメータオーダ形状(動的形状)と、またその面と略垂直な方向における位置(動的位置)とを、同時に測定することができる。
【0089】
また、上記の同時測定の方法を実現するための装置を提供することができる。
【0090】
また、被測定面上に被測定面を加工する段階であらかじめマークとなる形状を施しておき、そのマークをテクスチャーとして、被測定面の合焦状態を検出し、上述の数値演算による合焦法を実施し、その実施のためのテクスチャーのマークを表面の所定位置に施すことにより、明確なテクスチャーをもたない光学的鏡面をもつ被測定面であっても、位置測定が可能な光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態による測定装置の概略を説明する図である。
【図2】焦点ずれを与える数値演算モデルと、検出されるコントラストと位置測定値との関係を説明するための図である。
【図3】認識、抽出したテクスチャーの二次元パターンを表す図である。
【図4】本実施形態による測定方法の測定手順を説明するフローである。
【図5】被測定物反射光の光軸と参照ミラー反射光光軸とのなす角度を説明する図である。
【図6】ベース面2に振動ミラー1がとり付けられたような構成の素子の概略を説明する図である。
【図7】ミラー4が複数個配置され、各々独立して駆動する素子の概略を説明する図である。
【図8】低コヒーレンス光源を用いた位置測定において、被測定面の位置と干渉縞コントラストとの関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 振動ミラー
2 ベース
3 マーク
4 ミラー
6 光源
7 半導体レーザドライバ
8 コンピュータ
9 D/A(デジタル/アナログ)変換器
10 振動ミラー
11 被測定物ドライバ
12 NDフィルタ
13 ビームエキスパンダ
14 ビームスプリッター
15 レンズ
16 CCDカメラ
17 ホルダー
18 NDフィルタ
19 参照ミラー
20 ホルダー
21 フレームグラバ
22 モニター
Claims (10)
- 物体反射光と参照光との間で発生した干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求め、
前記撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo のフレネル回折を計算することにより物体反射光の光軸方向における複数の位置での物体反射光の複素振幅Uz を求め、
前記Uz から求めた物体反射光の位相データから物体表面形状を求め、
前記Uz から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態を検出することにより物体の面と略垂直な方向における位置を求めることにより、
動いている最中の物体の表面形状及び面と略垂直な方向における位置を同時に測定する動的形状及び動的位置の同時測定方法において、
前記U z から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態の検出値をもとに物体振幅像におけるテクスチャーを認識し、前記認識したテクスチャーのうち安定した測定値を与えるテクスチャーを選択した後、前記選択したテクスチャーの前記位置を求めることにより、被測定物体の前記位置を求めることを特徴とする動的形状及び動的位置の同時測定方法。 - 前記選択するテクスチャーが被測定面上に人為的に施したマークであることを特徴とする請求項1に記載の動的形状及び動的位置の同時測定方法。
- 物体反射光と参照光との間で発生した干渉縞画像のみから前記撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めることを特徴とする請求項1に記載の動的形状及び動的位置の同時測定方法。
- ほぼ単一波長の光を発生する光源と、
光源からの光を物体に照射するための照射光学系と、
物体反射光と参照光を干渉させるための干渉光学系と、
前記干渉光学系にて生成される干渉縞を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段位置で物体像を結像させるための結像光学系と、
前記撮像手段による単一の干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めるための第1の演算器と、
撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo のフレネル回折を計算することにより物体反射光の光軸方向における複数位置での物体反射光の複素振幅Uz を求める第2の演算器と、
前記Uz から物体の表面形状及び物体の面と略垂直な方向における位置を求めるための第3の演算器と、
を有して構成された動的形状及び動的位置の同時測定装置において、
前記Uz から求めた物体反射光の振幅データにおける像の合焦状態の検出値をもとに物体振幅像におけるテクスチャーを認識するための第4の演算器と、
前記認識したテクスチャーのうち安定した測定値を与えるテクスチャーを選択するための選択手段と、
を構成に付加したことを特徴とする動的形状及び動的位置の同時測定装置。 - 前記光源が高コヒーレンス光源であることを特徴とする請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置。
- 前記撮像手段による単一の干渉縞画像と参照光のみによる画像とから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めるための第1の演算器は、
前記撮像手段による単一の干渉縞画像のみから撮像手段位置での物体反射光の複素振幅Uo を求めるための第5の演算器であることを特徴とする請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置。 - 前記認識したテクスチャーにおける所定領域の選択手段が、
画像表示器とコンピュータマウスであることを特徴とする請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置。 - 前記認識したテクスチャーにおける所定領域の選択手段が、
被測定物上に施されたマークの既知の位置情報から振幅像におけるマーク位置を計算する第6の演算器であることを特徴とする請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置。 - あらかじめ調べておいたテクスチャー像の周波数から物体光と参照光との傾き量を求め、物体光と参照光との間に前記傾き量を与えるための角度調整手段を構成に付加したことを特徴とする請求項4に記載の動的形状及び動的位置の同時測定装置。
- 請求項1から9の何れか1項に記載の位置測定を行うためのテクスチャーとして作用するマークが表面の所定位置に施された光学素子。
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