JP4177118B2 - 増幅方法 - Google Patents

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Description

本発明は核酸を増幅する反応を実施するための方法、これらの反応を制御する手段及びその実施に使用するキットと試薬、特に酵素に関する。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の増幅反応は非常によく知られており、バイオテクノロジー研究分野や診断及び検出に広く使用されている。
PCRは大量の特定核酸配列、特にDNA配列を作製する方法であり、塩基の対合及び相補DNA鎖の正確なコピーというDNAの特徴に基づいている。典型的なPCRは以下の3つの基本ステップの繰返し方法からなっている。
変性:(コピーしようとする核酸(DNAでもRNAでもよい)(鋳型)と各ヌクレオチド塩基(A,T,G,C)と適当なプライマーとポリメラーゼ酵素を含む)PCR試薬を含む混合物を所定温度まで加熱し、ターゲットDNAの2本鎖を解離する。
アニーリング:次に混合物を別の所定温度まで冷却すると、プライマーはDNA鎖上の相補的配列を見つけてこれと結合する。
伸長:混合物を別の所定温度まで再加熱する。(触媒として作用する)ポリメラーゼ酵素は各ヌクレオチド塩基をプライマーの末端に結合し、ターゲットDNAの配列に相補的な新しいDNA鎖を形成する。2本のDNA鎖は互いに結合される。
これらの反応においては、一連のステップを非常に厳密な順序で繰返さなければならず、かつ各ステップの操作には厳密な温度を設定する必要がある。例えば反応開始前のように短時間であっても、試薬を異なる温度で混合する場合には問題が生じる。プライマーが核酸鋳型と相互作用し、鋳型のプライマー伸長が生じる可能性がある。この結果、所期産物の総収率が低下すると共に非特異的産物が生産される恐れがある。
この問題を解決する種々の手段が既に提案されている。例えば、この問題に対する初期の試みでは各種PCR試薬を試験管内で分離するためにワックスバリアーを使用している(例えば米国特許第5,565,339号参照)。ワックスは反応混合物を初期変性温度に加熱した時に融解し、試薬の混合をできるだけ遅くできるので、副反応の可能性を最小限にすることができた。このような反応は「ホットスタート」反応として知られる。
副反応を抑制するために他の化学的方法も試みられている。例えば、米国特許第5,677,152号は高温でしか活性化しないようにDNAポリメラーゼを化学的に修飾する方法を記載している。しかし、この方法を実施するためには、活性酵素を生成するために反応混合物を所定時間高温に保温する必要がある。このような遅延は場合によっては重大ではないものの、PCRの結果が迅速に必要な場合には問題となることがある。PCR技術の多くの用途では、サイクルシーケンスをできるだけ短時間で完了することが望ましい。特に、例えば呼気やヒト及び動物が消費する飲食物に汚染の疑いがある場合には、迅速な診断法は健康を改善することはできないとしても費用を著しく節約することができ、生命さえ救うことができる。
他の方法では、Sigmaから市販されている抗Taq DNAポリメラーゼ抗体等のThermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼのモノクローナル抗体が反応混合物に添加されている。抗体は酵素に結合し、これを室温で不活化させる。しかし、抗体は増幅サイクル中に使用する高温で変性し、酵素から解離するので、酵素は活性化する。他方、この方法は場合により非特異的な副生物を避けられないと思われる。
PCR反応中の鋳型のプライマー伸長は下式:
Figure 0004177118
(式中、dNTPはデオキシリボ核酸三リン酸であり、dNMPは対応するデオキシリボ核酸一リン酸であり、PPiは無機ピロリン酸塩である)により表すことができる。この反応は次のように表すこともできる。
(DNA)残基+dNTP⇔(DNA)n+1残基+PPi
例えばDNAシーケンシング反応で高濃度のPPiが存在すると上記反応は逆方向になることが知られている。これはピロリン酸分解として知られており、熱安定性DNAポリメラーゼを使用して70℃でDNAシーケンシングする場合に問題となることが認められている。DNAシーケンシングで使用するDNAポリメラーゼ製剤に熱安定性PPaseを加えることによりこの問題は解決された。
本発明者らはこの反応が非特異的産物の生産を最小限にできる有利な増幅反応の基礎となることを見出した。
本発明によると、核酸増幅反応を実施するための方法が提供され、前記方法はプライマー伸長が生じないようにするために十分なピロリン酸塩の存在下に増幅反応混合物を形成する段階と、前記ピロリン酸塩を酵素消化する段階と、増幅反応が進行するような条件下に前記反応混合物をおく段階を含む。
本発明の方法を使用すると、正確な増幅反応を迅速且つ良好な特異性で実施することができる。従って、本発明の方法は既存の「ホットスタート」増幅法に代わる優れた方法である。
本発明の方法で使用する出発増幅反応混合物は広義にはPCRで使用されているような慣用混合物にピロリン酸塩を加えたものである。従って、出発増幅反応混合物は一般に(i)ターゲット核酸配列を含むか又は含む疑いのある試料と、(ii)前記ターゲット配列の末端領域にハイブリダイズする少なくとも1種のプライマーと、(iii)マグネシウムイオン源と、(iv)ターゲット配列を構成するヌクレオチド又はヌクレオシド塩基(即ちDNA増幅の場合にはA、T、C、G及び/又はUであり、RNA増幅の場合にはA、U、C及びG)と、(v)増幅反応を実施する温度で熱安定性のDNAポリメラーゼを含む。更に、当分野で公知のように反応を実施するために必要に応じて緩衝液を含む。
特に、(iv)はDNA増幅の場合にはヌクレオチドA、T、G及びCを含み、RNA増幅の場合にはヌクレオシドA、U、C及びGを含む。
但し、逆転写PCR(RT−PCR)等の他のプライマー開始増幅反応を実施する場合には他の組合せも使用できる。
更に、試薬は産物を後でゲル上で試験する必要なく増幅をモニターできるような標識プローブ又はプライマー、及び/又は他の標識手段(例えばインターカレーター色素(例えばSybrグリーン、Sybrゴールド)、臭化エチジウム等)又はその組合せを含むことができる。これらの種類は実施するアッセイの種類によって異なる。一般的なインターカレーター法は増幅プロセス中に生じる2本鎖DNAの増加をモニターするためにインターカレーター色素を使用する。これらは準鎖特異的でしかないので、鎖特異的検出が必要な場合には他のラベルが必要である。
鎖特異的方法は増幅反応の進行をモニターするために付加的核酸反応成分を使用する。これらの方法は蛍光エネルギー移動(FET)を検出の指標として使用することが多い。一方がエネルギー供与体として作用し、他方がエネルギー受容分子として作用するように1種以上の核酸プローブを蛍光分子で標識する。これらは夫々レポーター分子及びクエンチャー分子としても知られる。供与分子はその励起スペクトルに含まれる特定波長で励起された後、その蛍光発光波長内で発光する。受容分子も各種距離依存性エネルギー移動メカニズムにより供与分子からエネルギーを受容することによりこの波長で励起される。考えられる蛍光エネルギー移動の特定例は蛍光共振エネルギー移動即ち「FRET」である。一般に、受容分子は供与分子とごく近接している(例えば同一又は隣接分子上にある)ときに供与分子の発光エネルギーを受容する。蛍光エネルギー移動検出の基礎は供与分子と受容分子の発光波長での変化をモニターすることにある。
FET又はFRETプローブとしては、核酸プローブの加水分解を使用して供与分子を受容分子から分離するものと、ハイブリダイゼーションを使用して供与分子と受容分子の空間位置関係を変えるものの2種類が一般に使用されている。
加水分解プローブはTaqMan(商標)プローブとして市販されている。これらは供与分子と受容分子で標識したDNAオリゴヌクレオチドから構成される。このプローブはPCR産物の一方の鎖の特定領域に結合するように設計されている。
PCRプライマーをこの鎖にアニールした後に、Taq酵素は5’→3’ポリメラーゼ活性でDNAを伸長する。Taq酵素は5’→3’エキソヌクレアーゼ活性も示す。TaqMan(商標)プローブはTaq伸長が開始しないように3’末端をリン酸化により保護している。TaqMan(商標)プローブを産物鎖にハイブリダイズするならば、伸長Taq分子はプローブも加水分解し、検出の指標として受容分子から供与分子を遊離する。この場合のシグナルは累積的であり、遊離供与分子と受容分子の濃度は増幅反応のサイクル毎に増加する。
米国特許第5,491,063号は蛍光標識プローブの溶液内消光法として、標識1本鎖オリゴヌクレオチドからのシグナルをDNA結合剤により修飾する方法を記載している。ポリメラーゼ連鎖反応中のプローブ開裂(加水分解)後にプローブの鎖長が短縮する結果として生じるこのシグナルの差はターゲット核酸の存在を検出するための手段となると予想される。
多数の形態のハイブリダイゼーションプローブが入手可能である。分子ビーコンはヘアピンループを形成するように相補的な5’及び3’配列をもつオリゴヌクレオチドである。ヘアピン構造が形成されると末端蛍光ラベルは相互にごく近接しているのでFRETが生じる。分子ビーコンが相補的配列にハイブリダイズすると、蛍光ラベルは分離するのでFRETは生じず、これが検出の指標となる。
標識オリゴヌクレオチド対も使用することができる。これらはPCR産物鎖上でごく近接してハイブリダイズし、供与分子と受容分子を一緒にするのでFRETが生じる。FRETの増加が検出の指標である。この型の変形では標識増幅プライマーと単一の隣接プローブを使用している。
米国特許第4,868,103号は分析物の存在を検出するためのFRETシステムとして、インターカレーター色素を供与分子として使用するシステムを概説している。この方法は増幅段階を含まない。
FET又はFRET検出を利用するアッセイの他の例はインターカレーター色素と単一標識プローブの組合せをシグナルシステムとして利用するWO99/28500、標識プライマーと酵素の組合せを使用して検出可能な蛍光シグナルを発生するWO99/28501、及びインターカレーター色素と蛍光標識ヌクレオチドの組合せをシグナルの基礎として使用するWO99/42611に記載されている。更に、相互に相補的なラベルと化学的ブロッキング剤を含む複合プライマーを利用するアッセイも例えばWO99/66071に記載されている。
本発明の方法で使用する反応混合物は上述のようにアッセイを実施するために必要ないかなる標識試薬をも含むことができる。特に、このような反応混合物はゲノタイピングや、特にSNP評価で有利に使用することができる。これらの場合には、基本配列と突然変異体に夫々特異的な2つのTaqman(商標)プローブと本発明の方法を組合せる。各プローブを異なる蛍光体で標識し、遺伝子の各種形態の存在量に応じて異なるシグナルを発生するようにすることが好ましい。ホモ接合体からは単一シグナルが発生し、ヘテロ接合体からは混合シグナルが発生する。
本発明との関連で使用可能な適当なDNAポリメラーゼの例はThermus aquaticusポリメラーゼ(Taq)、Thermus thermophilusポリメラーゼ(Tth)、Thermus種NHポリメラーゼ(TspNH)、Thermus brockianusポリメラーゼ(Tbr)(いずれも例えばGeneSys Limited,Farnborough,英国から入手可能)、Pyrococcus furiosusポリメラーゼ(Pfu)(Stratageneから入手可能)、9°N7 エキソDNAポリメラーゼ、及びThermococcus litoralis DNAポリメラーゼ(New England BiolabsからVENT(商標)DNAポリメラーゼとして入手可能)等の熱安定性ポリメラーゼである。
本発明の方法で使用するピロリン酸塩は可溶性金属及び非金属(例えばアンモニウム塩)を含む任意の可溶性ピロリン酸塩とすることができる。このような化合物は「無機ピロリン酸塩」又はPPiと総称されることが多く、本明細書でもこの呼称を使用する。特に、ピロリン酸塩はピロリン酸ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属ピロリン酸塩であり、例えばピロリン酸二ナトリウム(Na)、無水ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム10水和物(Na・10HO)及び(無水)ピロリン酸四カリウムが挙げられる。使用可能な他の可溶性ピロリン酸塩としては、ピロリン酸第二鉄(Fe(P)等のピロリン酸鉄や、無水ピロリン酸トリブチルアンモニウム等の可溶性アンモニウム塩が挙げられる。他の可溶性ピロリン酸塩も市販されている。
好適な無機ピロリン酸塩は式Naのピロリン酸四ナトリウムである。
反応混合物中に使用するピロリン酸塩の濃度はプライマー伸長が生じないようにするために十分な濃度とすべきである。これは増幅する配列の特定種類と濃度、使用するプライマー及びポリメラーゼ酵素とそれらの濃度に大きく依存し、任意の特定例において定型的な方法により決定することができる。
形成される反応混合物はまず少なくとも0.5mMの濃度のピロリン酸塩を含むと適当であり、少なくとも1mM、例えば1〜10mMの濃度が適当であり、1〜5mMが好ましい。
無機ピロリン酸塩の酵素消化は増幅反応の第1段階の直前又はその間に実施すると適当である。これは増幅反応の開始直前にピロホスファターゼ酵素(PPase)(無機ピロホスファターゼ酵素−PPiaseとも言う)を加えることにより実施できる。
但し、酵素消化は高温(例えば50℃を超える温度)で活性な熱安定性PPaseを使用して実施することが好ましい。酵素は前記高温度のみで有意に活性であることが好ましい。これは、PPaseは反応混合物の形成時に添加できるが、室温では阻害剤であるピロリン酸塩を全く又は有意には消化しないということである。例えばPCR反応の初期変性段階中に必要に応じて反応混合物を加熱するときのみに適度に活性になるのである。しかし、例えば50〜100℃、好ましくは80〜95℃の高温で短時間のプレインキュベーションを実施することはできる。
熱安定性PPaseの例としてはGeneSys Limited,Farnborough,英国から入手可能なSulfolobus acidocaldariusピロホスファターゼ(Sac PPase−Meyerら,Achives of Biochem.and Biophys.(1995)319,1,149−156)や、New England Biolabs(カタログ番号M0296S及びM0296L)から入手可能なThermococcus litoralisピロホスファターゼが挙げられる。熱安定性PPaseはGenesys Limited,Farnborough,英国から入手可能なAeropyrum pernix無機ピロホスファターゼが好ましい。
最初の厳密な好気性超好熱始原菌であるAeropyrum pernix K1は1993年に日本の小宝島沿岸の熱性硫気孔から単離された(Sakoら,Int.J.Syst.Bacteriol.46(1996):1070−1077)。この菌は微生物系統保存施設(理化学研究所)にJCM9820で寄託されている。
本発明者らはAeropyrum pernixから熱安定性PPaseを最初に単離したが、これは本発明の別の側面を構成する。このピロホスファターゼを含むゲノム配列を配列番号1に示し、対応するアミノ酸配列を配列番号2に示す(下記図11)。特に、本発明の酵素は図11に太字で示す配列番号1の領域(配列番号26参照)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号25参照)をもつ。
従って、本発明は配列番号26を含むポリヌクレオチドとその変異体又はフラグメントを含む。例えば、本発明は配列番号1のポリヌクレオチドを提供する。
本発明は更に配列番号25のアミノ酸配列とその変異体又はフラグメントも含む。例えば、アミノ酸配列は配列番号2を含むことができる。
本明細書でポリヌクレオチド配列に関して使用する「そのフラグメント」なる用語は完全ポリヌクレオチド配列と同一活性をもつ所与ポリヌクレオチド配列の任意部分を意味する。フラグメントは基本配列からの連続塩基を少なくとも300個含むものが適当であり、少なくとも450個含むものが好ましい。
ポリヌクレオチド配列に関して「その変異体」なる用語はポリヌクレオチドによりコードされるタンパク質配列が基本配列によりコードされるタンパク質と同一性質を示すという条件で1個以上の核酸を任意に置換、変異、修飾、欠失置換又は付加したポリヌクレオチド配列を意味する。従って、この用語は対立遺伝子変異体を含むだけでなく、本発明のポリヌクレオチド配列に実質的にハイブリダイズするポリヌクレオチドも含む。このようなハイブリダイゼーションは低〜高ストリンジェンシー条件で行うことが好ましい。一般に、低ストリンジェンシー条件は約室温〜約55℃の温度で3×SSCとして定義することができ、高ストリンジェンシー条件は約65℃で0.1×SSCとして定義することができる。SSCは0.15M NaCl,0.015Mクエン酸三ナトリウムの緩衝液名である。3×SSCは3倍濃度のSSCであり、以下同様である。
典型的には、変異体はヌクレオチドの62%以上が本発明のポリヌクレオチド配列と共通であり、一致度はより典型的には65%であり、70%が好ましく、80%又は85%がより好ましく、90%、95%、98%又は99%以上が特に好ましい。
一致度を決定する目的で核酸配列を比較する場合には、BESTFITやGAP(いずれもWisconsin Genetics Computer Group(GCG)ソフトウェアパッケージ)等のプログラムを使用する。例えばBESTFITは2つの配列を比較し、最類似セグメントの最適アラインメントを得る。GAPは配列を全長で整列させ、適宜どちらかの配列にスペースを挿入することにより最適アラインメントを探す。本発明との関連で核酸配列の一致度について記載する場合には、配列を全長で整列させて比較すると妥当である。
本明細書でアミノ酸配列に関して使用する「そのフラグメント」なる用語は完全アミノ酸配列と同一活性をもつ所与アミノ酸配列の任意部分を意味する。フラグメントは基本配列からの連続アミノ酸を少なくとも100個含むものが適当であり、少なくとも150個含むものが好ましい。
本明細書でアミノ酸配列に関して使用する「その変異体」なる用語はその基本配列に対して配列内の1個以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されているアミノ酸配列を意味する。アミノ酸置換はアミノ酸が広義に類似の性質をもつ別のアミノ酸で置換されている場合には「保存的」とみなすことができる。アミノ酸が異なる型のアミノ酸で置換されている場合には非保存的置換である。概してポリペプチドの生物活性を変えることなしには少数の非保存的置換のみが可能である。変異体は基本配列と少なくとも60%一致していると適当であり、少なくとも75%一致していることが好ましく、少なくとも90%一致しているとより好ましい。
この場合の相同度は例えばLipman−Pearsonのアルゴリズムを使用し、Ktuple:2、ギャップペナルティ:4、ギャップ長ペナルティ:12、標準PAMスコアリングマトリクスで判定することができる(Lipman,D.J.とPearson,W.R.,Rapid and Sensitive Protein Similarity Searches,Science,1985,vol.227,1435−1441)。
本発明のポリヌクレオチドは配列番号26とこの配列に対して62%を上回る一致度をもつ配列を含むことが好ましい。
これらの酵素は天然源からも得られるし、慣用方法を使用して大腸菌細胞等の組換え宿主細胞で発現させてもよい。
次いで例えば熱安定性ピロホスファターゼ酵素(PPase)を作用させることにより>50℃でピロリン酸塩を除去するとプライマー伸長(及び従って増幅)が正常に進行する。このプロセス中にピロリン酸塩1モルが無機リン酸塩(Pi)2モルに変換されるが、これは増幅反応を妨げない。
ピロホスファターゼの添加量は反応混合物中に存在する過剰のピロリン酸塩を消化するに十分でなければならない。一般に、この量はピロリン酸分解を阻止するために等価なサイクル反応で慣用的に使用されているこれらの酵素の量よりも多く、例えば5倍量以上である。厳密な量は使用する特定酵素、ピロリン酸塩の濃度等の各種因子により異なる。典型的には、PPase、特に熱安定性PPase酵素をPCR反応混合物50μL当たり少なくとも0.04単位の濃度で増幅反応混合物に加え、PCR反応混合物50μL当たり少なくとも0.08単位が好ましく、PCR反応混合物50μL当たり0.2〜10単位がより好ましい。この場合、1単位は1mM K,2mM MgCl,50mM Tris−HCl,pH9.0(25℃)の反応条件下に75℃で1分間にピロリン酸塩1μmolがオルトリン酸塩2μmolに変換されるのを触媒する酵素の量として定義される。
本発明の方法で使用する酵素は使用する温度に応じて無機ピロリン酸塩を迅速に除去することができる。一般に、5分未満、より多くの場合には2分未満、必要に応じて15秒といった短時間に完全に除去することができる。
無機ピロリン酸塩が反応混合物から酵素により除去されたら、例えば慣用熱サイクル法を使用して増幅反応を進めることができる。
本発明の方法が所期結果を達成するメカニズムは明らかではない。恐らく過剰のピロリン酸塩の存在がプライマー伸長反応を抑制するのだと思われる。しかし、PCR感度や産物収率に目立った低下はないと思われる。
本発明の方法は増幅反応を実施するための任意の慣用装置で実施することができる。このような装置としては例えばEP−A−0810030に記載され、Perkin−Elmer社から販売されているような慣用ブロック加熱装置や、Idaho Technologies社のRapidCycler(商標)及びLightCycler(商標)等の高速熱風サーマルサイクラーや、WO98/24548に記載されているような他の型のサーマルサイクラーが挙げられる。
別の側面によると、本発明は増幅反応を実施するためのキットを提供し、前記キットは無機ピロリン酸塩と、無機ピロホスファターゼ酵素と、場合により増幅反応で使用するのに必要な1種以上の試薬を含む。無機ピロリン酸塩は上述のように増幅反応を抑制するために十分な量で存在していると適当である。キットに加える無機ピロホスファターゼ酵素の量は前記無機ピロリン酸塩を完全に消化するために十分であることが好ましい。
1種以上の試薬としては上記試薬(ii)〜(v)の任意の1種が挙げられ、緩衝液も含むことができる。無機ピロホスファターゼ酵素の特定例は上記のような熱安定性無機ピロホスファターゼ酵素である。
特に、キットは特定ターゲットDNA配列、例えば特定疾病状態又は試料中の特定病原体の存在を診断する配列の増幅を行うために必要な1種以上のプライマーを場合により付加試薬として含むことができる。本方法は遺伝分析における多形や対立遺伝子変異の検出にも使用することができる。
更に、キットは増幅反応のその場での(in situ)検出又はモニターに有用であり得る1種以上の標識試薬(例えばインターカレーター色素、蛍光標識プローブ、蛍光標識プライマー又は蛍光標識ヌクレオチド)を含むことができる。
別の側面において、本発明は上記のような増幅反応を実施するための方法における上記のような無機ピロリン酸塩の使用を提供する。無機ピロホスファターゼ酵素はAeropyrum pernixに由来するものが好ましい。
最後に、更に別の側面では、本発明は上記のような増幅反応を実施するための方法における上記のような無機ピロホスファターゼ酵素の使用を提供する。
以下、添付図面を参考に本発明を実施例により具体的に説明する。
PCRに及ぼすPPiの影響
Taq DNAポリメラーゼを使用し、無機ピロリン酸塩として各種量のピロリン酸四ナトリウム・10水和物(PPi)の存在下に下記試薬を使用して標準の500bpのラムダ鋳型を用いるPCRを実施した。
Figure 0004177118
ラムダ500bpプライマー配列は以下の通りである。
Figure 0004177118
1倍反応緩衝液:10mM Tris,pH8.0,50mM KCl。
アッセイのPCR反応条件は以下の通りとした。
i)94℃で3.00分間、
ii)94℃で10秒間、50℃で10秒間、72℃で30秒間を20サイクル、
iii)72℃で7分間、
iv)25℃に保温。
PPiは反応混合物中の終濃度が0、1、2、3、4及び5mMとなるように加えた。結果を図1に示す。同図中、各レーンは以下のPPi濃度に対応する。
レーン
1+2 0 PPi
3+4 1mM PPi
5+6 2mM PPi
7+8 3mM PPi
9+10 4mM PPi
11 5mM PPi。
試験した全PPi濃度でPCR産物は生産されなかった。
マグネシウムイオン濃度増加の影響
MgはPPiに結合するので、実施例1の結果はMgが過剰のPPiによりキレート化されたためであるとも考えられる。その結果、プライマー伸長を進行させるにはMgが不足したとも考えられる。この可能性を排除するために、各種濃度のマグネシウムイオンの存在下に3mM PPiを使用して実施例1の手順を繰返した。
結果を図2に示す。同図中、各レーンは以下の反応を表す。
レーン
1+2 1.5mM MgCl
3+4 5mM MgCl
5+6 7.5mM MgCl
7+8 10mM MgCl
9+10 1.5mM MgCl+3mM PPi
11+12 5mM MgCl+3mM PPi
13+14 7.5mM MgCl+3mM PPi
15 10mM MgCl+3mM PPi。
この結果、終濃度10mM(PCRの標準は1.5mM)までMg++を加えてもPCRは起こらず、プライマー伸長を阻止しているのはPPiであることが示唆された。
PPiとPPaseの存在下のPCR反応
ピロリン酸塩(PPi)を加えた反応混合物にSulfolobus acidocaldarius PPase(Sac PPase)0.2uを加えた以外は実施例1の500bpラムダPCRを繰返した。反応混合物をSac PPase 0.2uの存在下で95℃に5分間保温すると、ピロリン酸塩を分解してPCR反応を進行させるに十分であった。
結果を図3に示す。同図中、各レーンは以下の反応を表す。
レーン
上段
1+2 1mM PPi+0.2u PPase
3+4 2mM PPi+0.2u PPase
5+6 3mM PPi+0.2u PPase
7+8 4mM PPi+0.2u PPase
9+10 5mM PPi+0.2u PPase
下段
1+2 1mM PPi
3+4 2mM PPi
5+6 3mM PPi
7+8 4mM PPi
9+10 5mM PPi
11+12 0mM PPi。
PPiとPPaseのどちらも加えない反応に比較して同等レベルのPCR産物が生産された。
1mM未満のPPi濃度を使用してこの実施例を繰返した。その結果(図示せず)、0.4mM PPiではPCRは完全には抑制されなかったが、0.6mMの濃度ではPCRは起こらなかった。
PCRアッセイ
次に、正しい寸法のPCR産物を生産するために「ホットスタート」反応を必要とするアッセイシステムに本発明の方法を適用した。
このアッセイの基本はヒトアンギオテンシン遺伝子の321bpフラグメントの増幅である。このアッセイはベタインの存在下で正しい増幅産物のみを生産することが認められている(EP−A−0962526、特に実施例8参照)。
ベタインの不在下ではホットスタートDNAポリメラーゼはわずかの非特異的増幅産物を生産するか又は産物を全く生産しないが、非ホットスタートDNAポリメラーゼPCRは多量の非特異的増幅産物を生産する。
アンギオテンシンアッセイで使用したPCR条件は以下のように要約できる。
Figure 0004177118
アンギオテンシンプライマー配列は以下の通りである。
Figure 0004177118
1倍反応緩衝液:10mM Tris,pH8.0,50mM KCl。
アッセイのPCR反応条件は以下の通りとした。
i)95℃で2.00分以下、
ii)95℃で15秒間、50℃で30秒間、72℃で30秒間を35サイクル、
iii)72℃で7分間、
iv)25℃に保温。
反応はPE9700装置を使用して実施例3に記載したように3mM PPiと0.2u PPaseの存在下に実施した。
結果を図4に示す。同図中、各レーンは以下の反応を表す。
レーン
1 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン無,ミスプライミング多数;
2 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン有,明バンドが正しい産物,多少ミスプライミング有;
3 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン無,3mM PPiと0.2u Sac PPase添加,ミスプライミング皆無,95℃で5分間変性;
4 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン有,3mM PPiと0.2u Sac PPase添加,正しい産物のみ,95℃で5分間変性;
5+6 95℃で2分間変性以外は3と同じ;
7+8 95℃で2分間変性以外は4と同じ。
本発明の方法を使用すると、有効な「ホットスタート」反応が達成されることが明らかである。ベタインの存在下にPPiとSac PPaseを使用すると明白な単一の産物バンドが得られた。更に、ベタインの不在下でもミスプライミングは認められなかった。
室温保存の影響
0.2u Sac PPaseと3mM PPiを加えたPCR混合物をアンギオテンシンアッセイ実施前に各種時間20℃の室温に放置した場合の影響を調べた。Sac PPaseは熱安定性酵素であるが、室温で低レベルの酵素活性がある可能性があった。その結果、DNAポリメラーゼを抑制/停止させるには反応にPPiが不足し、プライマー伸長が起こり、「ホットスタート」機能が失われる恐れがあった。
アッセイを実施する前に反応混合物を室温で2時間までの各種時間保存した以外は実施例4の方法を繰返した。
結果を図5に示す。同図中、上段は試薬を室温で指定時間保温後の(ベタインの存在下と不在下の)アンギオテンシンの慣用TaqポリメラーゼPCRの結果を示し、下段はいずれの場合もPCR50μl当たり3mM PPiと0.2u PPaseをアッセイ混合物に加えた本発明の方法による同様のアッセイの結果を示す。
Figure 0004177118
2時間後でも本発明に従って実施したアッセイは予想通り機能し、室温ではPPiをSac PPaseにより消化するには不十分であることが示唆された。
図5に示す結果から明らかなように、PPiとSac PPaseを使用すると、PCR前にPCR混合物を室温で2時間保温しても特異性に影響ないことが判明した。
本発明の方法における他の熱安定性PPase酵素の使用
Sac PPaseの代わりに別の市販熱安定性PPase(活性単位の定義は異なる)を使用して同様の反応を行い、実施例4に記載したアッセイを繰返した。結果を図6に示す。同図中、各レーンは以下の反応を表す。
レーン
1+2 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン無;
3+4 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン有;
5+6 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン無,3mM PPiと0.2u Sac PPase添加;
7+8 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン有,3mM PPiと0.2u Sac PPase添加;
9+10 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン無,3mM PPiと10uThermococcus litoralis PPase添加;
11+12 標準TaqポリメラーゼPCR,ベタイン有,3mM PPiと10uThermococcus litoralis PPase添加。
この場合に使用した単位は製造業者の指定により、標準反応条件下(50mMトリシン[pH8.5],1mM MgCl,0.32mM PPi,反応容量0.5ml中75℃で10分間反応)で40nmol/分のリン酸塩を生産する酵素の量として定義される。
Thermococcus litoralis PPase(New England Biolabs市販品)はこのアッセイでSac PPaseと同一効果をもつと思われる。
本発明の方法における各種熱安定性DNAポリメラーゼの使用
本発明の方法と数種の比較アッセイで各種熱安定性DNAポリメラーゼを使用した。使用したポリメラーゼは数種の非プルーフリーディングThermus種DNAポリメラーゼ、プルーフリーディング超好熱始原菌DNAポリメラーゼ、及び非プルーフリーディングDNAポリメラーゼとプルーフリーディングDNAポリメラーゼの混合物である。
実施例1に記載したような500bpラムダPCRを使用して全ポリメラーゼを試験し(図7a及び7b)、また実施例4に記載したようなアンギオテンシンアッセイを使用して数種を試験した(図8a及び8b)。
アッセイ条件の詳細を以下に要約する。
図7a−Thermus DNAポリメラーゼ
レーン
上段
1+2 Taqポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
3+4 Taqポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
5+6 Taqポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase;
7+8 Tbrポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
9+10 Tbrポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
11+12 Tbrポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase;
下段
1+2 Tthポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
3+4 Tthポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
5+6 Tthポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase;
7+8 TspNHポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
9+10 TspNHポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
11+12 TspNHポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase。
図7b−始原菌プルーフリーディングDNAポリメラーゼ
レーン
上段
1+2 Pfuポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
3+4 Pfuポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
5+6 Pfuポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase;
7+8 9°Nエキソポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
9+10 9°Nエキソポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
11+12 9°Nエキソポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase;
下段
1+2 VENTポリメラーゼ,0mM PPi,PPase無;
3+4 VENTポリメラーゼ,3mM PPi,PPase無;
5+6 VENTポリメラーゼ,3mM PPi,0.2u Sac PPase。
図8a PPiとSac PPaseの不在下のアンギオテンシンアッセイ(ベタインの有りと無し)
レーン
1+2 Taqポリメラーゼ,ベタイン無;
3+4 Taqポリメラーゼ,ベタイン有;
5+6 Accuraseポリメラーゼ,ベタイン無;
7+8 Accuraseポリメラーゼ,ベタイン有;
9+10 Tbrポリメラーゼ,ベタイン無;
11+12 Tbrポリメラーゼ,ベタイン有;
13+14 Tthポリメラーゼ,ベタイン無;
15+16 Tthポリメラーゼ,ベタイン有。
図8b PPiとSac PPaseの存在下のアンギオテンシンアッセイ(ベタインの有りと無し)
対照レーン1〜4(上段)及び12〜16(下段)
レーン
上段
1+2 Taqポリメラーゼ,ベタイン無,3mM PPi,Sac PPase無;
3+4 Taqポリメラーゼ,ベタイン有,3mM PPi,Sac PPase無;
以下、全て3mM PPiと0.2u Sac PPase添加
5+6 Taqポリメラーゼ,ベタイン無;
7+8 Taqポリメラーゼ,ベタイン有;
9+10 Accuraseポリメラーゼ,ベタイン無;
11+12 Accuraseポリメラーゼ,ベタイン有;
13+14 Tbrポリメラーゼ,ベタイン無;
15+16 Tbrポリメラーゼ,ベタイン有。
下段
以下、全て3mM PPiと0.2u Sac PPase添加
1+2 TthポリメラーゼPCR,ベタイン無;
3+4 TthポリメラーゼPCR,ベタイン有;
5+6 TspNHポリメラーゼ,ベタイン無;
7+8 TspNHポリメラーゼ,ベタイン有;
9+10 Pfuポリメラーゼ,ベタイン無;
11+12 Pfuポリメラーゼ,ベタイン有;
13+14 Taqポリメラーゼ対照,ベタイン無,PPi又はPPase無;
15+16 Taqポリメラーゼ対照,ベタイン有,PPi又はPPase無。
試験した全DNAポリメラーゼはPPiにより抑制され、その抑制はSac PPaseで解除することができた。
本発明の方法と慣用「ホットスタート」法の比較
当初の結果(図9及び10)によると、化学修飾Taqポリメラーゼ(米国特許第5,677,152号に記載されているように修飾)はベタインの不在下では多少の偽PCR産物を生産するが、ベタインの存在下では正しい産物が得られる。
図9 アンギオテンシンアッセイ
レーン
1+2 Taqポリメラーゼ,ベタイン無;
3+4 Taqポリメラーゼ,ベタイン有;
5+6 化学修飾Taq,ベタイン無;
7+8 化学修飾Taq,ベタイン有;
9+10 本発明の方法(3mM PPiと2u Sac PPase),ベタイン無;
11+12 本発明の方法(3mM PPiと2u Sac PPase),ベタイン有。
これらの状況では、化学修飾酵素は95℃で10分間活性化するまで不活性であると思われる。このプレインキュベーションを実施しないと、僅かではあるがPCR産物が生産された。しかし、化学修飾Taqは室温で不活性であるので、ベタインの不在下の外見上のミスプライミングと偽PCR産物の生産は説明し難い。
図10 Taqと抗Taq抗体の存在下のアンギオテンシンアッセイ
レーン
1+2 抗Taq抗体+Taqポリメラーゼ,ベタイン無;
3+4 抗Taq抗体+Taqポリメラーゼ,ベタイン有。
抗Taq DNAポリメラーゼ抗体を介するホットスタートの場合、ベタインの不在下では(ベタインの不在下の標準TaqポリメラーゼPCRと同様に)実質的数の偽産物が生産され、ベタインの存在下では正しい産物と共に少量の偽産物も生産される。
本発明の方法はこれらの市販ホットスタート法のどちらよりも特異的な迅速なPCR反応を提供すると思われる。
Aeropyrum pernixからの無機ピロホスファターゼの単離
微生物系統保存施設のカルチャーコレクションからAeropyrum pernixを入手した。無機ピロホスファターゼ酵素をクローニングし、発現させ、精製した。
A.pernixからの無機ピロホスファターゼのクローニングと発現
Aeropyrum pernixのピロホスファターゼ遺伝子を含むゲノム配列を図11に示す。使用したプライマーはAeropyrum pernixのゲノム配列から設計した。これらを5’→3’ として以下に示し、制限部位を太字で示す。
Figure 0004177118
ゲノムからの推定配列を他のピロホスファターゼ遺伝子と整列させると、(図11の配列番号1中に斜体で示す)データバンクで示されているものではなく後のATGが開始メチオニンであり、酵素のアミノ酸配列が実際には配列番号25に示す配列であることが示唆された。従って、(図11の配列番号1中に太字で示す)後のメチオニンに対応するプライマーを設計した。
上記プライマー50pMを加えた100μl容量中でAeropyrum pernix DNA100ngを使用してPCRを実施した。20サイクルを実施し、55℃でアニーリングし、伸長時間45秒とした。
94℃で3分間初期保温、
94℃で10秒間、55℃で10秒間、68℃で45秒間を20サイクル、
72℃で7分間最終保温。
PCR条件
50pM上流プライマー(5’..TGCATGCATATGACAGGCTGTCTGAAAATTG..3’−配列番号18)
50pM下流プライマー(5’..TAAGTGTAAGCTTGACTGTGGGGGCGGTGAAAG..3’−配列番号19)
1.5mM MgCl
1.25u Accurase DNAポリメラーゼ(カタログ番号AC001,GeneSys Ltd.)
75mM Tris,pH8.8
20mM硫酸アンモニウム
0.1%(w/v)Tween 20
100ng Aeropyrum pernixゲノムDNA。
PCR産物は図13に示すように686塩基対の長さであった。PCR産物は製造業者に推奨されている条件に従ってPrepanol(商標)(カタログ番号P001,GeneSys Ltd.)沈殿させ、最後に10mM Tris,0.1mM EDTAに再懸濁した。
PCR産物を制限酵素NdeI及びHindIIIで消化し、フェノール抽出し、エタノール沈殿させ、10mM Tris,0.1mM EDTAに再懸濁した。
(図15に示す)pTTQ18NHKベクターもNdeIとHindIIIで消化し、フェノール抽出し、エタノール沈殿させ、10mM Tris,0.1mM EDTAに再懸濁しておいた。
New England Biolabs T4DNAリガーゼ200uを使用して1×NEBライゲーションバッファー中で最終容量10μlとなるように消化PCR配列100ngを消化pTTQ18NHKベクター(図16参照)1μgと16℃で一晩ライゲートした。プラスミドベクターはベクターpTTQ18(Stark MJ,Gene,1987;51(2−3):255−67)のユニークEco0109I制限酵素部位にカナマイシン抗生物質遺伝子を挿入し、IcoRI部位とHindIII部位の間に置換ポリリンカー(図14参照)を挿入した改変形であるpTTQ18NHKとした。
水20μlを加え、反応混合物を70℃まで20分間加熱した。3M酢酸ナトリウム(pH5.2)1/10容量とエタノール2容量を加えた。反応混合物を混合し、−20℃に1時間保存した。10,000gで10分間マイクロ遠心後に上澄みをペレット化DNAから除去し、DNAを水5μlに再懸濁した。
0.5μlを大腸菌TOP10F’細胞にエレクトロポレーションし、37℃で1時間再生後に細胞アリコートをカナマイシンルリアブロス寒天プレートに播種した。プレートを37℃で一晩培養した。
新鮮なカナマイシンルリアブロス寒天プレートと、寒天ゲル1ml当たり20mg/ml XGAL1μlと0.5M IPTG 1μlを加えることにより調製した寒天ルリアブロス寒天プレート(KIXプレート)の両者にコロニーを2回ずつ画線した。
37℃で一晩培養後にM13フォワード及びリバースプライマーを使用するPCRによりKIXプレート上の白色コロニーをスクリーニングし、Aeropyrum pernix PCR産物に対応するインサートの有無を調べた。
100μg/mlカナマイシンを加えたLB20ml中で701bp産物を含むコロニー9個をOD600=1まで増殖させた後、IPTGを終濃度0.5mMまで加えることにより発現を誘導した。細胞を更に4時間増殖させた後に細胞を回収し、−20℃で凍結保存した。
50mM Tris−HCl,pH7.9,50mMデキストロース,1mM EDTA 0.5mlと、10mM Tris−HCl,pH7.9,50mM KCl,1mM EDTA,0.5%(v/v)Tween 20,0.5%(v/v)Nonidet−P40 0.5mlを加えて細胞を溶解させ、80℃で15分間培養した。
10,000gで10分間室温で遠心分離後、12%ゲルを使用するSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により各溶解細胞からのアリコートを分析した。ゲルを泳動後にクーマシーブルーR250で染色した。全試料は推定PPaseの寸法に対応する約23kDaのバンドを示した。
次にJukka K.Heinonen,Reijo J.Lahti.(1981)Analytical Biochemistry,Vol.113,pp313−317の比色アッセイを使用して75℃のPPase活性について同一試料をアッセイした。
全試料は陽性であり、発現されたタンパク質が好熱性無機ピロホスファターゼ活性をもつことが確認された。
その後、初代クローンをより大規模のタンパク質生産に使用した。
ピロホスファターゼの精製
このクローンをLB24リットルに移した。OD600が約1.5に達したら、0.5mM IPTGを加えて培養を誘導し、更に4時間増殖させた。次に細胞を回収し、細胞ペレットを溶解させた。発現酵素をフェニルセファロースCL4B(Amersham Pharmacia Biotech)、ヒドロキシアパタイト(Bio−rad Laboratories)及び高性能Qセファロース(Amersham Pharmacia Biotech)で標準カラムクロマトグラフィ¬により精製し、最後に20mM Tris−HCl,pH8.0,100mM NaCl,0.5%(v/v)Tween 20,0.5%(v/v)Nonidet P40,0.1mM EDTA,1mMジチオスレイトール及び50%グリセロール中で−20℃で保存した。
A.pernix無機ピロホスファターゼ酵素を使用したPCRアッセイ
A.pernix無機ピロホスファターゼ酵素を使用して本発明の方法を実施した。このアッセイの基本はヒトBアクチン遺伝子の増幅である。
このアッセイでは、Eurogentec S.A.,Parc Scientifique du Sart−Tilman, rue Bois Saint−Jean 14,4102 SERAING,ベルギー(カタログ番号RT−QP73−05)から入手したキットを使用した。キットに付属のホットスタートTaqポリメラーゼの代わりに標準Taqポリメラーゼを使用した。
PCR反応混合物
1倍反応緩衝液
dATP、dCTP、dGTP各200μM及びdUTP400μM
0.025u/μl未修飾Taqポリメラーゼ
0.002u/μl Aeropyrum pernix無機ピロホスファターゼ
0.3μM 5’プライマー(5’GAC TCG TCA TAC TCC TGC TTG CT 3’−配列番号22)
0.3μM 3’プライマー(5’CAT TGC CGA CAG GAT GCA GAA 3’−配列番号23)
0.15μM Taqmanプローブ(FAM−ATCCACATCTGCTGGAAGGTGGACAGT−TAMRA−配列番号24)
5mM MgCl
2mM NaPPi
受動的参照
7.5ngから出発したヒトゲノムDNAの4倍希釈液(2500コピー)。
サイクル条件
94℃で3分間初期変性、
94℃で15秒間と60℃で60秒間を40サイクル。
結果を図19に示す。
結論として、本発明の方法を使用すると、ピロリン酸塩を使用してPCRを抑制した後に熱安定性PPaseを使用して例えば80℃〜95℃でこの抑制を解除することによりホットスタートPCRと同様に機能しながら、迅速で特異性の増加という付加的利点もあると確信される。
上記全文献は参考資料として本明細書に組込む。本発明の範囲と精神から逸脱することなく本発明の他の変形も当業者に自明である。特定の好適態様について本発明を説明したが、当然のことながら請求する発明はこのような特定態様に不当に限定されない。実際に、本発明を実施するために記載態様の種々の変形が当業者に自明であり、このような変形も請求の範囲に含まれる。
各種量のPPi(PPiはピロリン酸四ナトリウムである)の存在下で実施したPCRの結果を示す。 3mM PPiの不在下と存在下におけるMgCl増加の影響を示す。 本発明の方法と慣用PCR反応を使用して得られた結果を示す。 従来のPCRアッセイと同等のアッセイで本発明の方法を使用して得られた結果を示す。 本発明の方法で使用するPCR反応混合物の貯蔵安定性を従来の混合物に比較して試験した実験結果を示す。 本発明の方法で別のPPaseを使用した結果を示す。 本発明の方法と各種DNAポリメラーゼを使用したPCR実験の結果を示す。 本発明の方法と各種DNAポリメラーゼを使用したPCR実験の結果を示す。 本発明の方法と各種DNAポリメラーゼを使用したPCR実験の結果を示す。 本発明の方法と各種DNAポリメラーゼを使用したPCR実験の結果を示す。 従来の「ホットスタート」PCRを本発明の方法と比較した実験の結果を示す。 別の慣用PCRを使用した以外は同様のアッセイを実施することにより得られた結果を示す。 配列番号1として示すAeropyrum pernixのゲノム配列(GenBank BA000002登録番号NC000854)、対応するアミノ酸配列(配列番号2)及び酵素の配列(配列番号25)を示す。 配列番号2に示すAeropyrum pernixのタンパク質配列を含む各種PPase配列(配列番号2〜9)のアラインメントを示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離する間に生産された686塩基対PCR産物(配列番号10)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したポリリンカー配列(配列番号11)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したpTTQ18NHKベクターの配列(配列番号12)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したpTTQ18NHKベクターの配列(配列番号12)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したPPase配列を含むpTTQ18NHKベクターの配列(配列番号13)の配列(Z=終止)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したPPase配列を含むpTTQ18NHKベクターの配列(配列番号13)の配列(Z=終止)を示す。 Aeropyrum pernixからピロホスファターゼ酵素を単離するのに使用したPPase配列を含むpTTQ18NHKベクターの配列(配列番号13)の配列(Z=終止)を示す。 Aeropyrum pernixからの無機ピロホスファターゼを使用した本発明の方法の結果を示す。
配列表
Figure 0004177118
Figure 0004177118
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Figure 0004177118
Figure 0004177118

Claims (23)

  1. 核酸増幅反応を実施するための方法であって、該方法は、
    ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅反応を実施するために必要な試薬と、プライマー伸長を妨げる量のピロリン酸塩が混合された、PCR反応混合物を形成する段階、
    該混合物にPCR反応混合物50μLあたり少なくとも0.04単位の熱安定性ピロホスファターゼ酵素(PPase)を加える段階、及び
    該ピロリン酸塩がピロホスファターゼ酵素(PPase)により消化される条件下に該反応混合物をおくことによって増幅反応が実施される段階を含む前記方法。
  2. 核酸増幅反応を実施するための方法であって、該方法は、
    PCR増幅反応を実施するために必要な試薬と、プライマー伸長を妨げる量のピロリン酸塩が混合された、PCR反応混合物を形成する段階、
    該混合物に超好熱始原菌から得られる熱安定性ピロホスファターゼ酵素(PPase)を加える段階、及び
    該ピロリン酸塩がピロホスファターゼ酵素(PPase)により消化される条件下に該反応混合物をおくことにより増幅反応が実施される段階を含む前記方法。
  3. 反応混合物がサーマス アクアティカス(Thermus aquaticus)ポリメラーゼ(Taq)、サーマス サーモフィラス(Thermus thermophilus)ポリメラーゼ(Tth)、サーマス(Thermus)種NHポリメラーゼ(TspNH)、サーマス ブロキアヌス(Thermus brockianus)ポリメラーゼ(Tbr)、ピロコッカス フリオサス(Pyrococcus furiosus)ポリメラーゼ(Pfu)、9°N7 エキソDNAポリメラーゼ、及びサーモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis) DNAポリメラーゼから選択されるDNAポリメラーゼを含む請求項1又は2に記載の方法。
  4. ピロリン酸塩がアルカリ金属ピロリン酸塩である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ピロリン酸塩が式Naのピロリン酸四ナトリウムである請求項4に記載の方法。
  6. ピロリン酸塩が少なくとも0.5mMの濃度で反応混合物中に存在する請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ピロリン酸塩が1〜10mMの濃度で存在する請求項6に記載の方法。
  8. 熱安定性PPaseがスルホロバス アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)無機ピロホスファターゼ(Sac PPase)、サーモコッカス リトラリス(Thermococcus litoralis)無機ピロホスファターゼ又はアエロピラム ペルニクス(Aeropyrum pernix)無機ピロホスファターゼである請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 熱安定性PPaseが配列番号25に示すアミノ酸配列又はその変異体もしくはフラグメントを含む請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 熱安定性PPaseを反応混合物の形成直後に添加する請求項8又は9に記載の方法。
  11. 存在するピロリン酸塩をPPaseで消化するために増幅反応前に50℃以上の温度でインキュベーションする段階を含む請求項10に記載の方法。
  12. PPaseをPCR反応混合物50μL当たり少なくとも0.04uの濃度で反応混合物に加える請求項2に記載の方法。
  13. PPaseをPCR反応混合物50μL当たり0.08uの濃度で反応混合物に加える請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. PPaseをPCR反応混合物50μL当たり0.2〜10uの濃度で反応混合物に加える請求項12又は13に記載の方法。
  15. 増幅反応を実施するためのキットであって、ピロリン酸塩と、PCR反応混合物50μL当たり少なくとも0.04uとなる量の熱安定性PPaseを含む前記キット。
  16. 増幅反応で使用するのに必要な1種以上の試薬を含む請求項15に記載のキット。
  17. 特定ターゲット核酸の増幅を実施するために必要な1種以上のプライマーを更に含む請求項16に記載のキット。
  18. 1種以上の蛍光標識試薬を更に含む請求項15から17のいずれか一項に記載のキット。
  19. 蛍光標識試薬がインターカレーター色素、蛍光標識プローブ、蛍光標識プライマー又は蛍光標識ヌクレオチドの1種以上から選択される請求項18に記載のキット。
  20. 請求項1から14のいずれか一項に記載の増幅反応を実施するための方法における熱安定性ピロホスファターゼ酵素の使用。
  21. ピロホスファターゼ酵素がアエロピラム ペルニクス(Aeropyrum pernix)から単離した酵素である請求項20に記載の使用。
  22. ピロホスファターゼ酵素が配列番号26に示すポリヌクレオチド配列又はその変異体もしくはフラグメントによりコードされる請求項20に記載の使用。
  23. ピロホスファターゼ酵素が配列番号25に示すアミノ酸配列又はその変異体もしくはフラグメントを含む請求項20に記載の使用。
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