JP4175598B2 - 表示・調光素子、その制御方法およびその製造方法 - Google Patents

表示・調光素子、その制御方法およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超分子構造体を用いた表示素子または前記表示素子を備える表示装置であり、特に屋外や室内共に用いられたり、照明環境の変化の激しい環境内で使用される携帯電話、PDA、ノートパソコン等の情報端末機器や各種映像機器、ゲーム機器、携帯型VTR、デジタルカメラなどに用いられる表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フラットパネルディスプレイとしてさまざまな素子が提案、開発され実用化されている。特に液晶ディスプレイにおいては、液晶と偏光版を組み合わせ、液晶に電界を印加することによって前記液晶を平面シャッターとして用いることで光源光を変調させる表示素子が、パソコンや、携帯電話、モバイル機器、TVモニターなど幅広い分野で平面ディスプレイとして広く用いられている。また、最近では自発光型の有機ELの開発が進み、携帯電話や携帯ゲーム機器などへの実用化に向けた開発が盛んになってきている。有機EL素子は有機化合物に電界を印加し前記有機化合物中で電子と正孔の再結合が起こり、発光物質が励起され発光するものである。さらに、実用化されるには至っていないがエレクトロクロミックディスプレイ(ECD)の開発も行われている。ECDは一般的にエレクトロクロミック材料及び電解質材料からなり、エレクトロクロミック材料に電界をかけることによって、酸化還元反応による発色を起こさせるものである。一方、化学、特に高分子関連の研究において超分子化学が盛んになってきている。超分子化学は、分子(原子)のペアや集団が非共有結合によって結びつくことによって新規な構造を持ち、さらには単分子では実現できなかったような機能性を発揮することができる錯体や会合体である。ゲスト−ホスト錯体による分子認識から端を発したといわれるこのような研究は、現在ではさまざまな超分子構造体が発表され有機化合物の新たな機能性の可能性が研究されている。なかでも、包接化合物はさまざまな新規の構造体が発表されている。特開平3−273003及び同11−80207によれば、シクロデキストリンと包接化合物によって包接時と解放時での発色の違いが生じる現象について報告されている。また、特開平6−25307によれば、シクロデキストリンの穴に高分子鎖を通すいわゆる分子ネックレス構造が発表されている。さらに、両端をかさ高い修飾基で覆うことによって両端を閉じられた高分子鎖中をシクロデキストリンが移動するような分子シャトル構造体も発表されている。さらに特開平7−48451によれば、シクロデキストリンをいくつも修飾基で結合させることで複数個のシクロデキストリンが連なってできる分子チューブ構造体が開示され、このチューブ内を高分子鎖が包接されたり解離されたりできるユニークな構造体が発表されている。また、このような分子シャトル構造体はシクロデキストリンにとどまらず、シクロファンによる分子シャトル構造体や、カテナン構造を持った超分子構造体が提案されている。超分子構造体の一つとして、非共有結合的に一体化した回転子と軸との二種の実在物からなり且つ前記回転子が前記軸から離脱できないように前記軸がエンドキャップされたロタキサン構造が知られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これまでのディスプレイには、以下のような問題があった。つまり、液晶表示素子は偏光板を基本的に用いるため、光利用効率が50%以下に落ちてしまうし、カラーディスプレイを考えると一般にRGBカラーフィルターが用いられるのでさらに利用効率は1/3になってしまい、最終的な基板透過率を考えると10%以下の光利用効率に低下してしまう。明るさを確保するためには、バックライトやフロントライトを用いることが必要になるが、パネル自身の透過率が低いために輝度の高いライトを用いる必要があり、ディスプレイ全体の消費電力を大幅に上げてしまう。また、上記バックライトシステムを用いた液晶ディスプレイは透過型液晶ディスプレイと言われ一種の発光型ディスプレイであるが、昼間は太陽光の明るさのために視認性の悪いディスプレイとなってしまう。
【0004】
一方、反射型ディスプレイは太陽光など外部光の反射を用いて表示する方式で、明るい光源下ではある程度の明るさ、見易さを実現できている。この場合、補助光源光を用いないので消費電力は非常に低くできる。しかしながら、上述したように原理的に素子の透過率は低く、たとえば印刷物の表示に比べると明るさや色再現性の点で難点がある。また、自発光ではないため、夜間はフロントライトをつけなければならないが、ディスプレイ自身の光効率は悪くフロントライトの消費電力を大きくし明るくしなければならない。これらの課題を解決するため、特開平10−282489や特開平11−316382で開示されるような半透過型液晶ディスプレイなどが提案されている。明所暗所どちらでも使うことができるディスプレイも実用化されているが、透過型、反射型それぞれのディスプレイの弱点を補完している反面、それぞれの長所も抑えられた構造になっており、明るい場所での反射型ディスプレイ、暗い場所での透過型ディスプレイの視認性が達成できていない。
【0005】
また、有機ELディスプレイは自発光型であるため、昼間は太陽光の明るさのために暗くて見にくいディスプレイとなってしまう。また、消費電力が原理的に発光させるために必要な電荷量は他の有機電子材料を用いた場合に比べて大きく、液晶素子に比べても大きくなる。
【0006】
ところで、エレクトロクロミック・ディスプレイは、発色型のディスプレイであり、材料自身が発色し、偏向板や光学的フィルターを用いる必要もない。このため、印刷物と同じような明るいディスプレイを作ることができる。発光型ではないので、暗い場所では補助ライトが必要であるが、パネル自身の光利用効率が高いので、液晶ディスプレイに比べて理想的には1/6程度の輝度の補助光源で充分な明るさを出すことができる。このために消費電力も低くすることができる。しかしながら、エレクトロクロミック・ディスプレイは、酸化還元反応を用いたディスプレイであり基本的に電解質を使用するため、マトリックス駆動が非常に難しく表示素子として実用化にはいたっていない。
【0007】
本発明者らは、超分子科学の研究が隆盛な点に関心をもち、これまでデバイス構造、特に表示素子として全く用いられていないこれらの新規な構造体が、デバイス、特に表示素子や調光素子として応用するべく鋭意研究を重ね本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明者らはこれまでの研究開発経験に基づいて、屋外や室内共に用いることができ、照明環境の変化の激しい環境内で使用される、携帯電話、PDA、ノートパソコン等の情報端末機器や各種映像機器、ゲーム機器、携帯型VTR、デジタルカメラなどに用いられるディスプレイとして、
(1)光利用効率が高く明るいディスプレイ+補助光源
(2)使用するシーンに応じて発光素子と反射素子を切り替えることができるマルチシーンディスプレイ
といった特徴を有することが従来のディスプレイの問題点を解決できる新規ディスプレイであると目標を設定した。
【0009】
このような目標のもと鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、超分子構造体をデバイス素子に応用して、新規な原理に基づく表示素子または調光素子とすることにより、この目標を達成できることを見出した。また、これまでの表示素子に比べて、低消費電力、動画に対応する高速応答速度、長寿命が可能な表示素子または調光素子を提供しうることも見出した。
【0010】
【問題を解決するための手段】
第1の態様
本発明の第1の態様の表示素子または調光素子は、環状化合物と前記環状化合物に包接された鎖状化合物からなる超分子構造体を少なくとも1枚の支持基板と封止材料に狭持された素子である。この表示素子において、超分子構造体の1状態として上記鎖状化合物が環状化合物を貫通できるロタキサン構造体をもち、鎖状化合物上を環状化合物が移動することができ、外部刺激によって環状化合物の移動を制御することで、上記超分子体の相互作用変化を起こし光学特性を変化させることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、超分子構造体を1枚の支持基板と周辺部の封止材料によって狭持させた素子構造にする。この素子は、必要に応じ画素に区画化されそれぞれに画素に必要な外部刺激を与えることにより、超分子構造体に光学的変化をもたらしめ、任意の画像や情報を表示または調光することができる。
【0012】
本発明において、超分子構造体は包接化合物であり、環状化合物および鎖状化合物からなる。環状化合物は、分子や分子団が環状に結合した化合物である。環状形状をした化合物で、鎖状化合物と相互作用を起こすものであればよい。たとえば、シクロデキストリンやシクロファン、カリックス系化合物、クラウンエーテル、DNA等の鎖状化合物の螺旋構造体などが挙げられる。鎖状化合物は上記環状化合物の環内に包接させられるような化合物であればよく、その形状や化合物を限定されない。
【0013】
本発明において超分子構造体は、たとえば図1に示すような形態をとる。図1(a)は、環状化合物に鎖状化合物が包接されている状態と解離されている状態である。これら2状態は外部刺激によって可逆的に変化させることができる。ここでは、環状化合物と鎖状化合物は共有結合によって結合しているのではなく、非共有結合による相互作用によって包接錯体をつくっている。図1(a)においては環状化合物が1つ包接されているが、図1(a)’のように複数包接されてもよい。環状化合物と鎖状化合物は、包接−解離を起こす。この挙動を「環状化合物が鎖状化合物上を移動した結果、鎖状化合物上から解離した」と定義する。
【0014】
図1(b)は、図1(a)の超分子構造体の形態において鎖状化合物と環状化合物が修飾基で一体化されている構造体を示す。この形態では一体化されていても図1(a) 同様に包接−解離の可逆挙動を示す。包接体が一体化している場合には、包接−解離の挙動が1分子内で行われることにより効率のよい挙動を示す。また図1(b)’のように鎖状化合物に複数の環状化合物が包接されてもよい。
【0015】
図1(c)は、鎖状化合物が複数個存在し外部刺激によって包接される化合物が変わる超分子構造体を示す。ここでは2種類の鎖状化合物を示したが、これに限らず複数個の鎖状化合物が存在させ外部刺激の程度や形態を複数状態変えることで複数個の包接化合物を形成することもできる。
【0016】
図1(d)は、鎖状化合物が十分に長く環状化合物が鎖状化合物上にあり、外部刺激によって鎖状化合物上を移動する超分子構造体を示す。また、図1(d)’に示すように鎖状化合物は基質分子鎖1に、異なる分子鎖、組成物4、5などの混合体であってもよい。もちろん、混合体の場合、組成物の種類やその数に限定はない。このようないくつかの組成単位の複合鎖である場合には外部刺激によってある特定の部位に止まることもできる。さらに刺激を与えることによって、また異なる部位に固定されることもできる。すなわち、いくつかの異なる組成を持つ分子鎖にすることで外部刺激に応じて任意の部位に環状化合物を配置することができる。ここで、鎖状化合物に包接される環状化合物は1つでも複数個でもよい。
【0017】
以上のような構造をもつ錯体化合物も、超分子構造体に含まれる。本発明においては、鎖状化合物上を環状化合物が移動することができ、広義には解離まですることができる構造体をロタキサン構造と定義する。その挙動は外部刺激によって制御することができる。
これらの超分子構造体は、単独の構造体として用いるばかりではなく、何らかの媒質中(溶媒など)に存在する場合、高分子の架橋構造体(ゲルなど)中に存在する場合、高分子の主鎖中や側鎖として存在する場合、支持バインダー樹脂混合体である場合があり、刺激による分子移動が適宜に行われるような材料系として用いることができる。もちろん上記以外の系も可能であり、その形態を限定するものではない。
【0018】
このような超分子構造体材料系は、図2に示すように支持基板と封止材料によって狭持され素子の形態をとる。超分子材料系が高分子フィルムや固体膜の形態を持つ場合には図2(a)に示すように1枚の支持基板6上に超分子構造体を含む系7による膜を形成し、これが外気に直接触れないように封止材料8で封止して素子とすることができる。また、固体でない場合(固体でも可)は図2(b)のように2枚の基板6、9に狭持させて周囲を封止材料10で封止する構成としてもよい。また図2(c)のように、素子内を区画化材料11によって区画化して超分子構造体を含む系7を封入してもよい。このように1枚以上に基板と封止材料によって素子を形成することができる。支持基板は、柔軟性のあるプラスティックフィルムや剛直なガラス材料など超分子構造体を含む系7を支持できるものであればよい。
【0019】
また、素子中は適当な大きさで画素を形成し画素毎に外部刺激を与えられ、光学特性を変化させることによって表示素子となる。画素の大きさは上記の超分子構造体が分子レベルのスイッチング素子であることから、数ナノから数ミリ数センチなど必要な大きさで区切ることができる。
【0020】
また、本素子には支持基板、超分子構造体を含む系7及び封止材料だけではなく、それ以外の機能性膜を挿入することができる。たとえば、超分子構造体の機能を補助、補完するために必要であれば挿入される膜であってもよく、電気の絶縁を実現させる絶縁膜、分子の並び方を制御する配向制御膜、電子や正孔の輸送効率を高めるキャリア輸送層、などが挙げられるがこれに限定するものではない。
【0021】
外部刺激には、電界印加、光(放射線)照射、温度変化(過熱、冷却)などが挙げられる。これらは表示画素ごとに任意の刺激を加えることで任意の表示を行うことができる。これらの外部刺激は単独に用いてもよく、いくつか組合せて用いてもよい。また、これらの外部刺激に限らずここに挙げた以外の外部刺激によって任意の画素に刺激を与えてもよい。
【0022】
超分子構造体の相互作用変化としては、環状化合物と鎖状化合物との包接−解離現象、鎖状化合物上の環状化合物の配置変化とそれによる相互作用状態変化、及びその配置変化による分子形状変化などが挙げられる。このような相互作用変化によって生じる光学特性変化としては、次のようなものがある。
【0023】
一つは、相互作用変化による超分子構造体の配向性、屈折率、分子配列変化によって生じる系の2色性変化、散乱−透過状態変化、光学特性の異方性出現、干渉発色現象である。つぎに、相互作用変化による分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、分子内・間水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、分子内・間のキャリア移動などに起因する発色、発光現象などが挙げられる。ここで挙げた相互作用や光学変化は一例であり、その種類を限定するものではない。
【0024】
これらの相互作用は、環状化合物と鎖状化合物の分子特性によって生じる。環状化合物は、その形状から内孔(穴)の大きさの違い、内孔部と外孔部の特性の違い、分子左右での特性の違いなどによって相互作用に違いが生じる。一例をあげるとシクロデキストリンは、D−グルコース単位が6、7、8以上の1,4α結合で結ばれて環構造をとる化合物である。シクロデキストリンは、グルコース単位の数で内孔の大きさが決まる。6つのものがα−シクロデキストリン(内径4.5Å)、7つのものがβ−シクロデキストリン(内径6.0Å)、8つのものがγ−シクロデキストリン(内径8.0Å)である。また、内孔が疎水基である反面外孔部(外側部分)は、親水基であるという特徴をもっている。また分子の片側は第2級水酸基を、もう片側には第1級水酸基を有する。これらの特徴から、疎水性の分子で内孔の大きさに合う化合物を内孔に包接することができる。
【0025】
ここではシクロデキストリンの例を参考に説明したが、これに限定するものではなく、環状構造をとることによって包接条件をもつような化合物であればよい。たとえば、シクロファン化合物やクラウンエーテル系化合物、カリックス化合物、DNA等が考えられるし、これ以外の化合物であってもよい。
【0026】
また、上記の環状化合物は、誘導体を有するものでもよい。主として包接相互作用を環状部分に、機能性を誘導体部分に付加させたような環状化合物誘導体を用いることによって外部刺激による機能性を発揮しやすくできる。
【0027】
これに対して、鎖状化合物は基本的には上記のような環状化合物に対して包接される基質から設計する。このような基質に、包接条件の異なる組成部を導入させ外的刺激によって包接条件を変化させれば環状化合物の移動が始まる。または、鎖状化合物、環状化合物が含まれる系の状態を変えることによっても最適な包接状態になるように環状化合物の移動が誘起される。
【0028】
このように、外的刺激によって環状化合物の鎖状化合物上での移動が起こり、相互作用変化につながるのである。つまり、一般的には外部刺激の印加から光学変化に至るまでの過程は、(1)外部刺激の印加、(2)超分子構造体及びそれを含む系の状態変化、(3)分子内もしくは分子の駆動・移動、(4)包接・包接状態の変化、(5)光学変化となる。もちろん系によっては必ずしもこの過程に沿わない場合もあるが、結果的に外的刺激→光学変化が起こればよく、その過程を限定するものではない。
【0029】
このような原理に伴う光学変化は単一分子自身で生じるので、液晶表示素子などのように偏光板を用いる必要も無く明るい表示素子となり得る。また、視野角などの問題も基本的には生じない。また、同じ発色系デバイスであるエレクトロクロミックのような電解質も必要なくデバイスを構築することが可能である。
【0030】
光学変化のスイッチング形態としては、白−黒スイッチング、透明−発色スイッチング、透明−白色スイッチング、発色色相変化、発光などがある。これらを用いた表示素子の形態としては、白−黒スイッチングをもちいた白黒表示素子、さらにカラーフィルターと組み合わせた並列型加法混色によるカラー表示素子、透明−発色スイッチングを用いた発色素子、さらに背面に白色板を用いCMY発色積層による積層型減法混色カラー素子、透明−白色スイッチングと背面吸収板による白黒表示素子、及びさらにカラーフィルターを組み合わせたカラー表示素子、発色色相変化によるカラー表示素子、発光を使ったカラー表示素子などが考えられる。表示素子の形態はこれらに限定されるものではない。
【0031】
以上のような構成によって、新規原理に基づいた新規ディスプレイを提供することができる。
第2の態様
本発明の第2の態様において、上記超分子構造体は上記鎖状化合物が環状化合物を貫通できるロタキサン構造体であり、かつ鎖状化合物の少なくとも1端に前記環状化合物が鎖状化合物から脱離できないような置換基が導入されている超分子構造体であることを特徴とする。
【0032】
上記構成によれば、超分子構造体は前述の超分子構造体図1(d)の構造において少なくとも一端に環状化合物のストッパーとなる置換基を導入した構造になっていてもよい。たとえば、環状化合物がシクロデキストリンの場合には、2−ナフトールアミン6,8−ジスルホン酸モノカリウム塩や2,4−ジニトロフェニル、ダンシル基、トリチル基などを用いることができる。図3(a)に示すように、両端にストッパー12を導入したもの、(b)に示すように鎖状化合物が高分子鎖の側鎖になっており片側がストッパー12であるものなどであってもよい。さらに、(c)のように鎖状化合物は基質分子鎖1にともに異なる分子鎖、組成物4、5などの混合体であってもよい。もちろん、混合体の場合その数に限定はない。さらには、ここでは3種類の超分子構造体をあげたがこれ以外の構造体でもよく、その構造の種類を限定するものではない。
【0033】
鎖状化合物に包接される環状化合物は、1つでも複数でもよい。このように端部をストッパーで止められることによって、環状化合物は区切られた鎖状化合物間を往復運動することになる。(c)のような複数種類の組成の鎖状化合物では外部刺激によって特定の組成部分に環状化合物が停止・配置することができ、その動きは外部刺激によって制御することができる。この場合、鎖状化合物1、環状化合物2に誘導体を導入してもよい。
【0034】
このような超分子構造体を前述したような素子構造として、電界や光(放射線)、熱変化などの外部刺激を与えることで光学特性を変化させ、表示素子とすることができる。
【0035】
超分子構造体の相互作用変化としては、鎖状化合物上の環状化合物の配置変化とそれによる相互作用状態変化、及びその配置変化による分子形状変化などが考えられる。また、ストッパーとして導入する末端基と環状化合物間に生じる相互作用の有無も考えられる。
【0036】
このような相互作用変化によって生じる光学特性変化としては次のようなものがある。一つは、相互作用変化による超分子構造体の配向性、屈折率、分子配列変化によって生じる系の2色性変化、散乱−透過状態変化、光学特性の異方性の出現である。さらには、相互作用変化、相互作用の有無によって生じる、分子間の分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、分子内・間の水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、分子内・間のキャリア移動などに起因する発色、発光現象などが挙げられる。ここで挙げた相互作用や光学変化は一例であり、その種類を限定するものではない。
【0037】
以上の光学変化を用いて、本発明の第1の態様のようなデバイス構造をとることによって、超分子構造体は表示素子または調光素子とすることができる。
本発明の第2の態様において、超分子構造体は、環状化合物が常に同一の鎖状化合物上をシャトル移動する。上述した本発明の第1の態様における超分子構造体も基本的には同一超分子構造体内の挙動であるが、末端部にストッパーが配置されていないために、基本的には同一超分子構造体内での挙動であるが、環状化合物が外部刺激によって環状化合物は外部刺激によって鎖状化合物から解離することも考えられる。いったん解離してしまうと、再び鎖状化合物に戻らない可能性がある。
【0038】
この現象は、いったん解離した環状化合物や鎖状化合物が系に含まれる他の化合物や不純物と結合したり、鎖状化合物や環状化合物同士で結合あるいは相互作用を起こしてしまうことなどに起因するものと考えられる。このような現象は、超分子構造体の浸食や他の部材の侵食にもつながり、素子の寿命を著しく短くしてしまう。また、いったん解離してしまったものが再度包接する際には、応答速度的も非常に遅くなってしまう可能性もある。また再度包接する際にも、同一鎖状化合物に包接される環状化合物が不均一になることも考えられ、素子の再現性が保たれないおそれがある。
【0039】
本発明の第2の態様において、超分子構造体は、鎖状化合物にストッパーが設けられているので常に同一の鎖状化合物上を、同一の環状化合物が同一個数シャトル移動するために、上記のような問題点を克服した素子とすることができる。
【0040】
以上のような構成によって、特性の再現性、寿命、応答速度に優れた、新規な表示素子または調光素子を提供することができる。
第3の態様
本発明の第3の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1の態様における上記相互作用変化が、環状化合物と鎖状化合物が包接状態と解離状態をとることを特徴とする。
【0041】
上記態様の構成によれば、超分子構造体が外部刺激によって鎖状化合物と環状化合物の包接、解離現象を誘起し、これに伴う光学特性変化の変化を表示素子に用いる。
【0042】
外部刺激による包接−解離現象は、例を挙げると以下のようして起こりうる。図4では、初期状態では環状化合物2と包接相互作用をつくらない環状化合物1が外部刺激を与えられることによって、分子内に変化を起こし環状化合物の包接条件を満たすような状態となり、包接状態をつくり上げる。また、逆の刺激を与えて包接条件からはずすことで再び解離状態をつくる。このように鎖状化合物を外部刺激で変化させることによって包接−解離を起こすことができる。ここで、外部刺激によって変化を起こさせるのは環状化合物であってもよい。ここでは、鎖状化合物と環状化合物は別々の化合物として示しているが、鎖状化合物が環状化合物の誘導体として形成されているような化合物であってもよい。
【0043】
次に図5では、外部刺激によって鎖状化合物1を変化させ、すでに包接されている鎖状化合物13と入れ替わって環状化合物へ包接される。鎖状化合物が複数存在する場合には、環状化合物との包接相互作用の大きいほうが包接されるので、外部刺激によって鎖状化合物1や交換鎖状化合物13に変化をもたらせ、任意の化合物を包接させることができる。ここでは鎖状化合物は独立な化合物として説明したが、少なくともひとつの鎖状化合物は環状化合物の誘導体として導入してもよい。
【0044】
また図6のように、超分子構造体が含まれる系を変えることで包接−解離を行うこともできる。初期状態では環状化合物に包接されているより超分子構造体を含む系(たとえば、バインダー樹脂中)のほうが安定状態であった鎖状化合物が、外部刺激を与えることで超分子構造体を含む系(たとえば、バインダー樹脂)の状態に変化が起こり、環状化合物中に包接されたほうが安定な状態になれば、環状化合物中に包接されるようになる。逆に、外部刺激によって環状化合物外の超分子構造体を含む系(たとえばバインダー樹脂)のほうが鎖状化合物にとって安定な状態であれば包接化合物から解離される。ここでは、鎖状化合物と環状化合物は別々の化合物として示しているが、鎖状化合物が環状化合物の誘導体として形成されているような化合物であってもよい。
【0045】
同様に図7に示すように、外部刺激によって系の状態を変えることで少なくとも2つ以上の鎖状化合物が存在する場合には、環状化合物中に包接されるほうが安定なものと、系のほうが安定なものとで包接される鎖状化合物を入れ替えることができる。ここでは鎖状化合物は独立な化合物として説明したが、少なくともひとつの鎖状化合物は環状化合物の誘導体として導入してもよい。
【0046】
このように、外部刺激によって環状化合物に対して鎖状化合物を包接させたり解離させたりすることができる。ここでは、4つの例を述べたがその包接−解離の原理はこれに限定されるものではない。
【0047】
また、環状化合物もしくは鎖状化合物が外部刺激、特に電界などと相互作用つまりは静電作用や電荷輸送を起こせる場合には、鎖状化合物の相互作用にかかわりなく鎖状化合物上を移動させることも可能である。すなわち、鎖状化合物上での相互作用を振り切る駆動力として直接外部刺激によって環状化合物を駆動させ、任意の相互作用を引き起こすことができるのである。
【0048】
次にこのような包接−解離が外部刺激によって起こる場合に、どのような光学的変化が生じるかを述べる。
図8では、鎖状化合物、環状化合物及び媒質(バインダー樹脂)からなる超分子構造体の系が包接−解離によって屈折率変調を起こす様子を示している。図8(a)の状態では、鎖状化合物、環状化合物及び媒質(バインダー樹脂)が存在する系であり、それぞれのこの系全体で屈折率が決まる。ここで外部刺激をかけて、包接状態を形成することで系の状態は図8(b)のようになる。ここでは鎖状化合物が環状化合物包接されてしまうので、系の成分に変化が生じ屈折率にも変化を与えることができる。ここでは、1組の包接解離超分子体しか系に示されていないが、いくつかの包接−解離超分子体を系の中に入れていくとこによって、包接時と解離時の成分変化が大きくなり、より大きな屈折率変化を起こすことが可能である。屈折変化が十分に得られれば、包接部分とその他の部分の屈折率差を用いた表示素子、たとえば散乱−透過型変調表示素子や導光板型表示素子のような例が考えられる。
【0049】
図9においては、系の異方性変化について示している。ここで示す系では鎖状化合物と環状化合物のみの系として示しているが、補助的な化合物を混入した系でもよい。また、鎖状化合物は屈折率に異方性を有している。図9(1)の系では、初期状態(a)である程度の一軸性配向状態を鎖状化合物につけて光学的な異方性を持たせておく。ここで、外部刺激によって包接状態をつくらせる(b)と、この配向状態が崩れ系の光学的な異方性が弱くなってしまう。系によっては、異方性が消滅してしまうこともある。また図9(2)の系では初期状態(c)で、ある程度の一軸性配向状態を鎖状化合物につけて光学的な異方性をもたせ、環状化合物もしくは鎖状化合物のどちらかを素子内で固定させておく(ここでは環状化合物を固定した例を示す)。そうすることで、包接状態をつくった状態(d)では、環状化合物に包接された鎖状化合物の配向性が大きく変化し、光学的な異方性の方向が大きく変化する。環状化合物に対して分子長の長い鎖状化合物を用いれば、この光学的異方性の差を顕著にさせることができる。このように、包接−解離の相互作用変化によって、光学的な異方性を変化させることができる。この光学変化の効果を向上させるためには、鎖状化合物と環状化合物の屈折率差がなるべく小さいものがよい。ここでは2つの例を示したが、これに限るものではなくこれ以外の方法でも異方性を持たせてもよい。このように光学的異方性の変化を用いることができれば、光学フィルターや偏向板と組み合わせて光変調表示素子を作成することができる。この系では分子の配列や異方性の方向性などを自由に調整することが可能であるので、液晶表示素子のように2枚以上の光学フィルムを用いることなく効率のよい表示素子を作成することができる。
【0050】
次に図10においては、系の配向性変化特に配向性変化による散乱状態の出現について示している。ここで示す例(1)では、環状化合物、鎖状化合物からなる超分子構造体の系である。ここで、鎖状化合物は、屈折率に異方性を有している。また、鎖状化合物と環状化合物との間に屈折率差をもたせてある。初期状態(a)では、配向性をある程度持たせて素子内に固定化した環状化合物と配向性を持たせない鎖状化合物からなる。この状態では、鎖状化合物の無秩序性と屈折率差から散乱状態となり、白色表示となる。この系に外部刺激を与えて鎖状化合物を環状化合物に包接させると、(b)に示すように、環状化合物が配向性を持つため、包接された超分子体は配向性をもった一つの系となり、透明状態になる。包接される鎖状化合物を複数種類混合すると、初期状態の白色状態は向上する。
【0051】
また(2)の系は、屈曲性鎖状化合物15と環状化合物2からなる系である。初期状態(c)では配向性をある程度もたせて素子内に固定化した環状化合物と無秩序に屈曲した鎖状化合物からなるため、この状態では鎖状化合物の無秩序性と屈折率差から散乱状態となり白色表示となる。この系に外部刺激を与えて鎖状化合物を環状化合物に包接させると、(b)に示すように、環状化合物が配向性をもつため包接された超分子体は配向性をもった一つの系となり、また屈曲性鎖状化合物の分子鎖も伸びて屈折率に異方性ができるために透明状態になる。ここでは2つの例を示したが、これに限るものではなく、これ以外の方法でも散乱状態を発現させてもよい。
【0052】
このように散乱−透過状態を制御することによって、散乱型の表示素子を作成することができる。また、ここでは屈折率の変化も期待できるので前述のような屈折率変化を用いた表示素子を作成することも可能である。
【0053】
また図11に示すように、鎖状化合物がキラル化合物であったり、超分子構造体の系にキラル化合物を混入した場合には、系が螺旋ピッチを持った層構造を形成する場合がある。この場合、この層間隔が可視光の波長領域にあれば、干渉発色を起こす(図11(a))。この状態において、外部刺激によって包接状態を制御すれば、各層の分子構成に変化がもたらされるので層間隔が変化し、構造発色の色調を変化させることができる(図11(b))。さらには、包接体を作成することによって層構造を解消し、散乱状態にすることもできる(図11(c))。
【0054】
このように散乱−透過状態を制御することによって、散乱型の表示素子を作成することができる。
次に図12を用いて化合物間の相互作用による発色・発光現象について述べる。鎖状化合物及び環状化合物からなる系では、外部刺激によって解離状態(図12(a))と包接状態(図12(b))を形成するが、解離した状態では互いの化合物は相互作用をもたない化合物単体の状態であり、包接した状態では鎖状化合物の組成基と環状化合物の組成基が相互作用を起こしている状態をつくっている。また、超分子構造体の系に鎖状化合物と相互作用を起こすような顕色化合物16を混入した場合には、包接と解離によって鎖状化合物が環状化合物と相互作用を起こしている状態(図12(b))と、顕色化合物16と相互作用を起こしている状態(図12(c))がある。
【0055】
このように、分子同士が相互作用を起こしている場合には、分子間の分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、分子間水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、分子間のキャリア移動、分子内キャリア移動などに起因する発色、色相変化、発光が起こることがある。発光や発色は相互作用の種類や強さなどによってさまざまな形態をとるし、分子構造の設計によって発色や発光の色調を調整することもできる。有機化合物ではこのような色調の変化を制御しやすい利点がある。このような分子間の相互作用による発色を用いることができれば発色型表示素子が、発光を用いることで自発光素子を作ることができる。これらの素子は基本的に分子の包接解離によって発現する現象であり、ECDのような電解質は必要なく発色させることができるし、有機ELのようには大量の電流量を流さなくても発光させることも可能である。
【0056】
図13を用いて、発光、発色のもう一つの形態について述べる。ここでは、鎖状化合物、環状化合物、バインダー樹脂からなる超分子系において発現する。鎖状化合物の中には同一分子同士で相互作用を起こすものや、複数の鎖状化合物を系に混入した場合には鎖状化合物同士で相互作用を起こすものがある。このような鎖状化合物に対して、解離状態では相互作用を阻害するようなバインダー樹脂を用いることによって、相互作用を阻害する。ここで外部刺激を与え、包接状態になり鎖状化合物が相互作用阻害バインダーから隔離され、環状化合物内を一種の反応場として用いることで鎖状化合物が相互作用を起こし発色・発光を起こすことができるようになる。
【0057】
反応場としての包接状態は、(a)に示すように2つの環状化合物と2つの鎖状化合物が包接されている場合や、一つの環状化合物内に複数の鎖状化合物を包接する場合などが考えられるがこの限りではない。
【0058】
相互作用によって、分子間の分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、分子間水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、分子間のキャリア移動、分子内キャリア移動などが起こることで発色、発光が起こる。このような分子間の相互作用による発色を用いることができれば発色型表示素子が、発光を用いることで自発光素子を作ることができる。発色・発光の形態等は前述のものと同様である。
【0059】
以上のように、包接−解離の相互作用によって、さまざまな光学的変化が生じ新規原理に基づく表示素子を提供することができる。本発明の第4の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第3の態様における相互作用変化が、環状化合物の鎖状化合物上における停止位置変化であることを特徴とする。
【0060】
上記構成によれば、超分子構造体中の環状化合物が外部刺激によって、鎖状化合物上を移動し、これに伴う光学特性変化の変化を表示素子に用いる。
第4の態様
前述の本発明の第3の態様においては、環状化合物と鎖状化合物の相互作用によって包接状態と解離状態の2つの状態変化を説明した。本発明の第4の態様においては、鎖状化合物上に環状化合物と複数の相互作用を起こす組成が鎖状化合物に形成され、外部変化によって相互作用を起こす位置が変化しその変化に伴って光学変化を引き起こすものである。そのため、外部刺激によって環状化合物は鎖状化合物上を移動することができるが、本発明の第2の態様のように解離する必要はない。
【0061】
外部刺激による環状化合物の鎖状化合物上の位置変化は、例を挙げると以下のようにして起こる。基本的な相互作用の起こり方、変化については前述の本発明の第3の態様において挙げた例と同様である。
【0062】
図14によれば、鎖状化合物1には環状化合物2と包接相互作用をとる組成部分4、5が複数含まれていて、外部刺激に相互作用の程度に変化を生じさせ、より相互作用しやすい部位に環状化合物が移動する。また図15によれば、超分子構造体を含む系が外部刺激によって状態変化を起こし、それに伴って環状化合物と鎖状化合物との相互作用の起こしやすさに変化が生じ、環状化合物の位置変化を起こす。図16に示すように、鎖状化合物が超分子構造体外部の化合物と相互作用を起こしている場合、外部刺激によってその相互作用に変化をもたらせて環状化合物の位置変化を起こさせることができる。さらに図17のように、環状化合物2が誘導体基3をもちその誘導体基3と鎖状化合物1上の組成部分4、5の相互作用の相互作用によって決まる環状化合物2の停止位置を外部刺激によって、上記相互作用の状態に変化をもたらせ停止位置を変えさせることができる。
【0063】
このように外部刺激によって相互作用の状態変化を生じさせ、環状化合物の停止位置を変えることができる。ここでは、4つの例を示したが停止位置を変える原理、方法はこれに限るものではなく可逆的に環状化合物の停止位置を変えるのであればよい。
【0064】
ここでは、環状化合物の停止位置として、鎖状化合物上に2つ以上の相互作用を起こしうる組成部位が必要である。これらは異なるものでもよいし、同じものでもよい。同じ組成部位でも環状化合物からの距離や誘導基などによって位置を変える可能性がある。また、複数種類の相互作用を起こす組成部位を導入し、外部刺激によってある組成部では停止、ある部位では通過など停止位置を自由に変えることも可能である。もちろん1本の鎖状化合物内に取り込まれる環状化合物も複数あってもよく、外部刺激によって停止できるものとできないものを制御することも可能である。
【0065】
また、環状化合物が外部刺激、特に電界などと相互作用つまりは静電作用や電荷輸送を起こせる場合には、鎖状化合物の相互作用にかかわりなく鎖状化合物上を移動させることも可能である。前述の本発明の第4の態様における鎖状化合物上での相互作用を振り切る駆動力として直接外部刺激によって環状化合物を駆動させ任意の相互作用を引き起こすことができる。
【0066】
このような、環状化合物の停止位置変化によって生じる光学変化について説明する。前述した本発明の第3の態様のように環状化合物は鎖状化合物上で相互作用を形成している。また、系の内外の他の化合物と相互作用を形成しているものもある。このような場合には、これらの状態が環状化合物の移動及び停止位置の移動によって変化すれば、分子間の分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、分子間水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、分子間キャリア移動、分子内キャリア移動などに起因する発色、発光が起こることがある。発光や発色は相互作用の種類や強さなどによってさまざまな形態をとるし、分子構造の設計によって発色や発光の色調を調整することもできる。
【0067】
このような分子間の相互作用による発色を用いることができれば発色型表示素子が、発光を用いることで自発光素子を作ることができる。これらの素子は基本的に分子の相互作用変化によって発現する現象であり、ECDのような電解質は必要なく発色させることができるし、有機ELのようには大量に電流量を流さなくても発光させることも可能である。
【0068】
また、これらの光学変化は前述の本発明の第3の態様のように、超分子構造体の包接−解離現象によって起こるのではなく、1本の鎖状化合物上での移動によって起こるので、応答速度も速くなる。また、基本的に分子内での相互作用なので、解離した環状化合物や鎖状化合物が系に含まれる他の化合物や不純物と結合したり、鎖状化合物や環状化合物同士で結合あるいは相互作用を起こしてしまうことがなく、素子の再現性や安定性もよい。さらには、鎖状化合物上に複数の環状化合物が包接され、外部刺激による移動を制御し、鎖状化合物上での凝集、分散によっても上記のような相互作用、ひいては光学変化を起こすことができる。
【0069】
また、環状化合物の鎖状化合物上での移動は、分子の特性を変化させることができる。鎖状化合物上の複数個の環状化合物を鎖状化合物に均一に配置した場合と、末端部あるいは中心部に凝集した場合では分子の特性が異なる。たとえば、中心に凝集させた場合には、鎖状化合物は構造的に液晶化合物と類似したものになり、液晶性を有するようになる。液晶性を有することができれば分子配列が起こり、その配列状態によって光学的性質が変わる。ネマティック配列や、スメクティック配列のような分子配向秩序を持てば偏向板との組み合わせによって光の透過率をコントロールすることができる。また、コレステリック配列を取れば各層の層間隔によって干渉色発色を起こすことができる。
【0070】
これ以外にも、分子の末端部に環状化合物を凝集させても超分子構造体の分子配列に大きな影響を与え、上記のような光学変化を起こすことが可能である。分子設計によっては、環状化合物の位置によって他の分子や超分子構造体同士との相互作用に変化を与え、系全体での相互作用つまりは、分子間結合変化、水素結合変化、酸化還元反応、分子内開環・閉環反応、シス−トランス転移、水素移動、2量化、イオンの解離・吸着(ドーピング)、ラジカルの解離・吸着(ドーピング)、酸素付加、キャリア移動などに起因する発色、発光を起こすことも可能である。
【0071】
また、環状化合物の鎖状化合物上の位置変化によって鎖状化合物の立体配置や相互作用変化、環状化合物の均一な配置と特定部分への凝集によって上記のような環状化合物の鎖状化合物の形状変化を起こすこともできる。直線状の鎖状化合物が、外部刺激によって相互作用変化を起こし屈曲系に変化した場合にも上述したような配向秩序の変化等によって光学的変化を引き出すことができる。
【0072】
こうして得られる光学変化を用いて、前述の本発明の第1の態様のようなデバイス構造をとることによって、超分子構造体は表示素子または調光素子とすることができる。
【0073】
以上のような、超分子構造体の環状化合物の位置変化による光学変化を用いることによって新規原理に基づく表示素子を提供することができる。
第5の態様
本発明の第5の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第2の態様の構成において上記相互作用変化が末端部と環状化合物との相互作用による鎖状化合物上移動であることを特徴としている。
【0074】
上記構成によれば、鎖状化合物はストッパーとしての末端基を少なくとも片方に備え、末端部と環状化合物の相互作用によって環状化合物が鎖状化合物上を移動させ、それによって生じる光学特性変化を表示素子として用いる構成である。
【0075】
前述の本発明の第3及び第4の態様においては、鎖状化合物上の特定部位と環状化合物との相互作用によって光学変化を引き起こした。ここでは、鎖状化合物の末端部に相互作用を引き起こさせ、外部刺激によってその相互作用を引き離させることによって相互作用変化とし、これによって生じる光学変化を表示素子として用いる。ところで、環状化合物の移動速度は鎖状化合物上に相互作用を引き出させるような部位がないほうが高速である。前述の相互作用は、環状化合物の移動にとって鎖状化合物との相互作用は、ある場合には障害物となりうる部位間を移動することになる。そうすれば外部刺激に対する応答速度は低くなる可能性がある。これに比べて末端部分での相互作用で鎖状化合物上は移動のみに用いれば分子内での高速応答を十分に発揮することができる。
【0076】
末端部分による環状化合物の移動については以下のような例が挙げられる。
図18では、末端基12に誘導された誘導組成部18と環状化合物の誘導体3が非共有結合によって包接相互作用状態にある。これを外部刺激によって切り離し相互作用状態を変化させる。切り離れた環状化合物は反対側の末端基まで移動してもよいし、途中で止まってもよい。反対側に環状化合物の誘導体部分と相互作用を引き起こす組成を形成すれば反対側の末端部にも固定配置することができる。いったん切り離された環状化合物に再び外部刺激を加えることによってもとの場所に戻すこともできる。環状化合物と末端部では静電気力、分子間力、水素結合、イオンの授受、キャリアの授受等によって相互作用を形成し、これらの相互作用によって前述の本発明の第3及び第4同様の、発色や発光現象を引き起こさせることができる。同様に、図19のように、末端部及び組成部分19と環状化合物そのものが包接相互作用を起こしている状態であり、外部刺激によって包接相互作用状態を切り離す系、図20のように、環状化合物そのものと誘導体がどちらも包接相互作用を有してこれを外部刺激によって切り離す系などが考えられる。これらは、鎖状化合物の末端部のうち、図18から20に示すように、片方のみに導入してもよいし、図21のように、両側に導入してもよい。両側に導入する場合には、両端の包接相互作用は同じものでもよいし、異なるものでもいい。また、鎖状化合物がポリマー状でいくつもの分岐状態を形成している場合には、それぞれの末端基に上記の包接相互作用の系を自由に組み合わせることも可能である。さらに図21に示すように、鎖状化合物上に前述の本発明の第3の態様で示したような環状化合物の停止位置となる組成部を組み込んでもよい。また、鎖状化合物上には1つの環状化合物が導入されている例を述べたが、これに限らず図22に示すように、鎖状化合物の両端に相互作用を引き起こす環状化合物が導入され、外部刺激によって、環状化合物同士が接近、相互作用を引き起こすようにすることもできる。
【0077】
また、環状化合物が外部刺激、特に電界などと相互作用つまりは静電作用や電荷輸送を起こせる場合には、鎖状化合物の相互作用にかかわりなく鎖状化合物上を移動させることも可能である。前述の本発明の第4の態様における鎖状化合物上での相互作用を振り切る駆動力として直接外部刺激によって環状化合物を駆動させ任意の相互作用を引き起こすことができる。
【0078】
このように相互作用を形成している状態と、外部刺激によって切り離された状態との光学特性の変化によって表示素子とすることができる。この系では、鎖状化合物の末端部に片方のみ相互作用を引き起こす組成部を導入することによって、相互作用の有無によるスイッチングを行うことができる。両側の末端部に同じ相互作用を引き起こす組成を導入しても切り離された状態が維持できれば相互作用の有無によるスイッチングを行うことができる。両側の末端部に異なる相互作用を引き起こす組成を導入すれば、多色発色及び発光、発色と発光などを組み合わせた多機能表示が可能なスイッチングを行うこともできる。また、鎖状化合物上に環状化合物の停止位置となる組成部を組み込めば、両側の相互作用状態を制御するストッパーになるばかりか、末端部と鎖状化合物上の相互作用を組み合わせたさらに多機能化が可能になるスイッチング素子を作成することができる。
【0079】
また、図23に示すように、環状化合物に誘導基3に輸送基20を導入し外部刺激によって環状化合物もしくは誘導体との包接相互作用を切り離し、輸送基20に輸送体21を付与させて反対側の末端基部分へ輸送体を運ぶ系によっても相互作用変化を起こさせることができる。輸送体としてはキャリア及びイオン体などが考えられるが、これらに限定されるのもではない。これらの輸送体を末端基から引き離したり、輸送体が付着したりすることで末端基部分の状態変化が起こり光学変化を発現させることができる。
【0080】
以上のような、環状化合物の移動によって起こる光学変化は前述したように、末端部分との環状化合物の相互作用における、静電気力、分子間力、水素結合、イオンの授受、キャリアの授受等による、本発明の第3及び第4の態様と同様の、発色や発光現象が考えられる。さらに、図24に示すように、キャリア輸送による光学変化も起こる。たとえば、外部刺激によって発現させたキャリアを輸送基に付与させ(図24(a)、(b))、反対側には対になるキャリアを発現させ(図24(a))、さらに外部刺激によって反対側の末端基まで環状化合物を移動させ、キャリアと対キャリアを結合させる(図24(c))。これによって、発光もしくは発色現象を引き起こすことができる。同様に、イオン対の移動によってイオンドーピングによって吸収波長が変化するような化合物を末端基部分に導入することでイオンドープ−脱ドープによる発色型スイッチングを行うことができる。
【0081】
図25,26に示すように、擬似発色団の形成による発色を起こすこともできる。発色を示す化合物は基質となる発色団を有することがある。たとえば図26に示すように、インジコなどの色素を形成するH型発色団などがその例である。このH型の発色団を図26(a)に示すように、環状化合物の誘導基と末端部の化合物誘導基に分割するような形で形成し、図26(b)のような環状化合物の移動によって末端基部に環状化合物が配置された際に分割された発色団が擬似的に発色団を形成し、発色現象を起こさせる。これはこのタイプの発色団に限らず、適応できる発色団を形成すればよい。
【0082】
このように、末端基からの環状化合物移動によってさまざまな光学変化を引き起こすことができる。この系では、鎖状化合物の末端部分がストッパーとして働くため環状化合物が鎖状化合物から飛び出すことがない。そのため、再現性のよい素子にすることができる。また、鎖状化合物上は主に環状化合物の移動に使われるので、スイッチングスピードが速く動画表示にも対応できる。また、素子のスイッチングはキャリア移動も含めて単一の超分子構造体で行われるので、他分子と相互作用してしまったり、過剰な反応や不均一な反応が起こらず均一で信頼性の高い素子とすることができる。
【0083】
このように、末端部と環状化合物の相互作用によって環状化合物が鎖状化合物上を移動させ、それによって生じる光学特性変化を用いることによって新規原理に基づく表示素子及び高速応答速度、高い信頼性も有する表示素子を提供することができる。
第6の態様
本発明の第6の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第5の態様の構成において上記支持基板が電極を備え、電気的刺激によって上記超分子構造体の相互作用を制御することを特徴としている。
【0084】
上記構成によれば、電気信号によって超分子構造体の光学変化を制御し表示素子とする。表示領域を電極によって分割することで、任意の画素に電界を印加し任意の表示を行うことができる。また、電界印加によって表示の書き換え、さらには動画表示を任意に行うことができる。
【0085】
また、環状化合物が静電特性などを有している場合には、鎖状化合物との相互作用にかかわりなく電界の極性によって鎖状化合物上を移動させることも可能である。前述の本発明の第3及び第4の態様のように環状化合物と鎖状化合物の相互作用をもたせた系であっても、その相互作用にかかわりなく電界のみで鎖状化合物上を移動させることも可能である。この場合は、電界強度による環状化合物の移動駆動力と、環状化合物と鎖状化合物の相互作用の比較によって環状化合物の移動条件も変わり、またそれを制御することによって光学変化を発現させ制御することも可能である。
【0086】
また、環状化合物と鎖状化合物との相互作用で発生した静電気や電荷などをフレッシュアップすることも可能である。
このように電気信号による制御によって書き換え可能,さらには動画表示も可能な表示素子および、環状化合物を可動させる駆動力となる表示素子を提供することができる。
第7の態様
本発明の第7の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第6の態様の構成において上記電気的刺激を上記支持基板の上下から与えることを特徴としている。
【0087】
上記構成によれば図27に示すように、超分子構造体の上下に電極を設け、電界印加を行うことによって表示を行う。電極を上下方向に形成することによって、表示領域で分割された画素に均一に電界を印加することができる。上記超分子構造体のスイッチングにおいては、化合物やキャリアのやりとりを行う場合も多く、それらのやりとりを同一画素中で行うことが素子の均一性に非常に重要である。そのためには、画素に対して垂直方向つまり超分子体に対して上下から電界を印加させるとよい。上下からの電界駆動としては、それぞれストライプ上に切った電極を上下で垂直に重ねるパッシブ電界駆動、少なくとも片方基板にアクティブ素子を設けたアクティブ駆動などの電界印加法が考えられるが、これらに限らず上下から電界をかけられる方式であればよい。
【0088】
このように超分子体に上下から電界を印加することによって、書き換え可能,さらには動画表示も可能な表示素子を提供することができる。
第8の態様
本発明の第8の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第6の態様の構成において上記電気的刺激を上記支持基板に対して同一平面上から与えることを特徴としている。
【0089】
上記構成によれば、図28に示すように、電極を同一平面上から印加させるインプレイン型電界印加法によって表示素子を形成する。超分子構造体による素子を形成する場合、1枚基板上に電極や超分子材料などの部材を積層して素子を形成する方法、2枚の基板に電極を形成し部材を積層した後両基板を貼り合わせる方法などが考えられる。1枚基板上へ積層する方法で、上下に電極を設ける場合には,超分子構造体あるいは有機材料上に電極パターンを形成する工程が入る。有機材料上の電極材料の工程は紫外線照射、アルカリ、酸による処理など有機材料を侵食する工程が有り、超分子構造体及び有機材料の材料特性に悪影響を与えてしまうおそれがある。
【0090】
一方、2枚基板を重ね合わせる方法では、基板が2枚必要で素子の厚みを2倍にしてしまうし、貼り合わせ面での接合面の界面密着性が積層より弱くなって素子の機能性を低下させるおそれがある。これらの問題点を解決するためには、基板上に横電界をかけられるように電極を形成し、その上に有機樹脂を順次積層して素子を作成すれば、有機樹脂上に電極工程を行う必要なく、各部材の接合界面の密着性も損なうことない素子を作成することができる。平面電極の形状としては図29に示すように、同一基板上に形成される(図29(a))、保護層を介して形成(図29(b))、対抗電極を形成後、保護層のスルーホールを通じて平面状に電極を形成(図29(c))、などの方式が考えられるがこれに限定させるものではない。超分子構造体の上下どちらか片方のみに電極が形成されるような構造であればよい。平面上の電極形成においても、パッシブマトリックス状電極、アクティブ素子によるアクティブマトリックスなど素子の性能に応じた電極を形成することができる。
【0091】
このように、平面上に電極を形成することによって、有機材料に悪影響を及ぼすことなく素子が作成され、書き換え可能,さらには動画表示も可能な表示素子を提供することができる。
第9の態様
本発明の第9の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第6の態様の構成において上記超分子構造体が上記基板に対して垂直もしくは略垂直または平行もしくは略平行に配向していることを特徴している。
【0092】
上記構成によれば、超分子構造体が配向性を有する素子である。機能性材料をデバイスとして機能させるには、分子同士が機能性を打ち消さないようにする必要がある。特に外部刺激を与える方向に対してどのような方向にあるかが重要である。外部刺激の方向に対して分子の向きや、配向方向が各分子同士で異なっている場合には、外部刺激に対して機能性が発現したりしなかったり、逆方向の機能性によって機能性を消失させたりなど、外部刺激を与えた単位領域内で機能性を効果的に発揮することができない。そのため、超分子構造体は一定の配向性さらには、一定の方向性を持つことが必要である。特に外部刺激は超分子構造体に対して垂直方向や横方向に与えられるので、この方向に配向することが機能を効果的に出すために必要である。
【0093】
超分子構造体の配向性については、液晶分子で見られるようなネマティック相配列やスメクティック相配列が考えられる。隣接分子の影響を受けないようにするためには、スメクティック層のような配列の方がより望ましいであろう。
【0094】
配向性を持たせるためには、超分子構造体を含む系に配向性を持つ分子を混合させたり、超分子構造体を高分子化したり、配向性を有する組成を導入したり、超分子構造体自体に配向性の機能を有するものとしてもよい。また、超分子構造体を配向制御層上に配列させてもよい。さらには、超分子自身の包接現象などの機能によって一定の分子配列を行うこともできる。
【0095】
このように、配向性及び分子の配列に秩序を持たせれば、外部刺激に対して、超分子構造体の機能が十分発揮でき表示素子として機能することができる。
このように、超分子構造体を配向させることによって機能性を効果的に発現させることができる。
第10の態様
本発明の第10の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第9の態様の構成において上記超分子構造体が単一分子内で相互作用変化および光学変化を完結することを特徴としている。
【0096】
上記構成によれば、超分子構造体の相互作用が単一分子内で完結する。超分子構造体は外部刺激によって相互作用が変化し光学変化を誘起するが、超分子構造体が近接している場合には同一分子内での相互作用だけでなく、近接超分子構造間での相互作用が起こってしまう可能性がある。一分子内での相互作用では、分子内のやりとりが完結するが、他分子同士のやりとりが行われると、相互作用を起こす箇所、起こさない箇所、過剰に起こす箇所など相互作用が系内で不均一に成る。このため、単分子で起こる光学変化が発現されなかったり、効果が小さくなる。
【0097】
また、素子としては外部刺激によって光学変化が可逆的に発現することが素子として必要であるが、上記のような超分子構造間での相互作用は必ずしも可逆性をもたない相互作用を形成することも考えられ、外部刺激による制御が不可能になる。また、不均一な相互作用は不可逆な残留化合物となり系の不純物や他の樹脂膜を侵食し素子の破壊につながることも考えられる。
【0098】
このような課題を解決するには、単一分子内で相互作用を完結させることが必要である。そのためには、分子間の距離を保つように配列させればよい。超分子構造体の分子内での相互作用の方が分子間の相互作用より強い範囲外に分子を配置すれば単一分子内で相互作用が完結する。さらには、この位置で分子を固定させておけばさらに分子内相互作用の完結性が向上する。
【0099】
このように、分子間の配置を規定する方法は、配列を制御する膜を使用したり、ポリマー鎖によって配列を規定する方法などが考えられ、超分子構造体を含む系に配向性を持つ分子を混合させたり、超分子構造体を高分子化したり、配向性を有する組成を導入したり、超分子構造体自体に配向性の機能を有するものとしてもよい。また、超分子構造体を配向制御層上に配列させてもよい。さらには、超分子自身の包接現象などの機能によって一定の分子配列を行うこともできる。
【0100】
このように分子の配列を単分子内で相互作用が完結する範囲に規定することで、信頼性に優れ、機能性を発揮できる素子を提供することができる。
第11の態様
本発明の第11の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第10の態様の構成において上記素子が支持基板または支持基板に備えた電極と超分子構造体間に、少なくとも一層以上の中間層含むことを特徴としている。
【0101】
上記構成によれば、素子内特に超分子構造体の上下に機能性膜を形成する。これらの機能性膜は、外部刺激の効果を向上させるような機能を持ったものや、配向秩序を制御させる効果のあるもの、キャリア、イオンの注入などが挙げられる。これらの膜を超分子構造体の少なくとも片側に形成することによって、前述の本発明の態様で説明した超分子構造体の相互作用や、分子の配向性、分子間相互作用を防ぐような配列を効率よく行うことができる。また、超分子構造体の機能を向上させることもできる。
【0102】
このような機能性膜は、1層のとどまらず必要に応じて何層も積層させたり、外部刺激の最小単位内で異なる機能性膜を形成したり、超分子構造体の上下で異なる機能性膜を異なる構成で形成してもよい。
【0103】
このように、機能性膜を用いることで光学変化を効率よく行い、また再現性や均一性に優れた表示素子を提供することができる。
第12の態様
本発明の第12の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第11の態様の構成において上記中間層が電極と超分子構造体間に設置され、電界印加時の電極を備えた支持基板と超分子構造体間のインターフェイスとして機能することを特徴としている。
【0104】
上記構成によれば、電極と超分子構造体間に機能性膜を形成し、電界印加の効果を超分子構造体に効果的に伝達させる。
前述したように、外部刺激に対して超分子構造体の相互作用ひいては光学特性変化を効率よく発現させるためには、超分子構造体を一定の秩序を持たせて配向させることが必要である。それに加えて、外部刺激が電気刺激つまり電界印加の場合には、電界の効果を超分子構造体に効果的に伝達する必要がある。特に、電荷の注入放出を伴う相互作用系の場合には電極と直接的に超分子構造体を接合させることが必要である。もちろん、電荷の極性と超分子構造体の電荷伝達の方向が一致していなければ機能性を発現させることはできない。
【0105】
そこで、電極と超分子構造体間にインターフェイス材料を形成することによって電界の効果を高めることができる。この場合、この機能膜は電極及び超分子構造体どちらにも表面の相互作用をもち、お互いを結びつけ、さらに超分子構造体の配向性を制御させることができる。さらに、前記機能膜が電荷輸送能力を持たせることができれば電極−超分子構造体間のインターフェイスとして機能させることができる。
【0106】
このように、電極−超分子構造体間にインターフェイス機能膜を形成することによって電界印加の効果を高め超分子構造体の機能を効率よく発現させることができる。
第13の態様
本発明の第13の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第6の態様の構成において上記超分子構造体又は前記超分子構造体を含む系が固体であることを特徴としている。
【0107】
上記構成によれば、素子が全固体型である。超分子構造体が液体もしくは流動性を有する場合には液漏れや液による基板部材の侵食などの悪影響を引き起こす可能性がある。また、液状の超分子構造体は上下2枚基板間に封入する素子構造になるが、その際充分な脱気を行わなければ温度変化や大気圧変化によって素子中に気泡が生じてしまう。また、脱気する際には超分子構造体の成分が蒸発し成分の組成変化が起こる可能性もある。
【0108】
これに対して、固体の素子にすることで、このような課題を回避することができる。また、固体であれば積層プロセスが可能で1枚基板での素子作成も可能となる。素子の固体化する方法には、超分子構造体自身がフィルム化できるような分子設計にする方法、ポリマー化することによってフィルム化する方法、超分子構造体に包接架橋させることによってゲル化、固体化する方法、および超分子構造体をバインダー樹脂中に混入しフィルム化する方法などの方法が考えられるが、これに限定することなく超分子構造体の系が固体化されればよい。
【0109】
また、超分子構造体では鎖状化合物部分がポリマー化されても外部刺激による分子スイッチは単位分子内での環状化合物の移動によって行われるので、高分子化や固形化によって素子の応答速度に対する影響が小さくて済む。このことは、高分子化によって素子の応答が著しく劣化することに比べて非常に優れた特徴である。
【0110】
このように、全固体型素子にすることで信頼性の高い素子を提供することができる。
第14の態様
本発明の第14の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第13の態様の構成において上記超分子体の環状化合物が複数の環状化合物で形成されたチューブ状化合物であることを特徴としている。
【0111】
上記構成によれば、環状化合物が複数の環状化合物が接合されることからなるチューブ状化合物からなっている。表示素子を外部刺激で制御するためには外部刺激に対して光学変化を起こす閾値を有することが望まれる。特に有機化合物の相互作用変化では微小な状態変化や外部条件の変化(温度、気圧、紫外線)によって相互作用変化が進むことが多い。そのため、外部刺激を与えた後も光学変化が持続したり、不必要なときにも光学変化が起こることがある。これでは、素子を外部刺激によって制御することができなくなり、表示素子として機能しない。
【0112】
この課題に対して、超分子構造体に閾値を持たせることで、一定の刺激以下では変化しないようにさせることが必要である。つまりは、超分子構造体中に相互作用を起こしにくい要因を形成すればよい。ここでは、環状化合物をいくつも接合したチューブ状にすることによって、相互作用効果を強くして外部刺激による相互作用変化を起こしにくくすれば、一定の閾値を持たせることができる。チューブの長さや形成法は必要な閾値や鎖状化合物の長さに合わせればよい。
【0113】
このように、チューブ状環状化合物を用いることによって素子に閾値を与え、信頼性の高い表示素子を提供することができる。
第15の態様
本発明の第15の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第14の態様の構成において上記超分子構造体の環状化合物が鎖状化合物中に複数個包接されていることを特徴としている。
【0114】
上記構成によれば、環状化合物が鎖状化合物状に複数包接されていて、環状化合物同士が鎖状化合物上で相互作用を起こしている。上記本発明の第14の態様で説明したように素子を外部刺激で制御するためには超分子構造体に閾値を持たすことが必要である。ここでは、鎖状化合物上に複数の環状化合物を包接させることによって、環状化合物同士が相互作用を起こし、環状化合物の移動が起こりにくくすることで一定の閾値を持たせることができる。鎖状化合物に包接させる環状化合物は同じ化合物を用いてもよいし、異なる化合物を用いてもよい。包接させる個数も必要な閾値や鎖状化合物の長さによって調整すればよい。
【0115】
さらに本構成の効果として、複数個の環状化合物の鎖状化合物上での凝集・分散によって相互作用の変化をもたらし光学特性や超分子構造体の物性に変化をもたらせることができる。環状化合物の凝集によって液晶性を持つ例が報告されていることなどもあり、このような分子形状の変化によって超分子体の配向性を高めることも可能であり、超分子の機能性を高めることになる。
【0116】
このように、環状化合物を複数個包接することによって素子に閾値を与えたり、超分子構造体に新規な機能性を付加することができ、信頼性の高い表示素子を提供することができる。
第16の態様
本発明の第16の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第6の態様において上記環状化合物がチューブ状であり、鎖状化合物がチューブ内を移動することを特徴としている。
【0117】
上記構成によれば、チューブ状の環状化合物内を鎖状化合物が移動しその相互作用変化によって光学変化を起こし表示素子とする。
図30に示すようにチューブ状の環状化合物内を外部刺激によって、鎖状化合物が移動する。図31に示すように環状化合物内に相互作用を起こすような組成部があれば、本発明の第3、第4の態様のような相互作用による光学変化を引き起こすことができる。また、末端基に鎖状化合物と相互作用を引き起こす誘導体をつけることによって、本発明の第5の態様のような末端基間のスイッチングを引き起こすことも可能である。さらに、鎖状化合物自身もしくは誘導体に輸送基をつけることで、本発明の第5の態様に示すような電荷やイオンなどの輸送型素子を作ることもできる。
【0118】
このようにチューブ状化合物内を鎖状化合物が移動することによっても相互作用変化を生じさせ、光学変化を引き起こした表示素子を作ることができる。
ここで、チューブ状化合物は、環状化合物がポリマー化したものでもよいし、DNAなどの鎖状分子による螺旋構造体でもよい。
【0119】
この系では、鎖状化合物は環状化合物内で移動するため、環状化合物外部の影響を受けずにスイッチングでき、信頼性の高い素子を作成することができる。
このように、チューブ状化合物内で鎖状化合物を動かす系によって新規原理に基づいた表示素子、特に信頼性の高い表示素子を提供することができる。
第17の態様
本発明の第17の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第6の態様において上記超分子構造体は外部刺激を与えられる最小単位内に少なくとも2種類以上の異なる構成単位を持つことを特徴としている。
【0120】
上記構成によれば、1画素内で外部刺激の違いによって超分子構造体の応答が異なり、階調表示を可能にする。表示素子としては、外部刺激に対する閾値が明確であると同時に、同一画素内で異なる刺激に追随して表示状態が変化できる階調表示ができることが望ましい。
【0121】
外部刺激に対する安定状態が2つある場合には、外部刺激の変化を調整することで状態変化ひいては光学変化を任意に調整することができない。そこで、閾値の異なる構造体を複数種類混入することで画素内において閾値変化が生じ外部刺激の変化に応じた表示状態の変化をもたらし、階調表示を可能にすることができる。
【0122】
このように、1画素内に異なる閾値を持つ超分子構造体を配することで階調表示が可能な表示素子を提供することができる。
第18の態様
本発明の第18の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第17の構成において上記構造体を構成する系に、少なくとも2種類以上の鎖長の異なる鎖状化合物が含まれていることを特徴としている。
上記構成によれば、超分子構造体の系の中で、鎖状化合物の長さを変えることで、外部刺激の違いによる超分子構造体の応答を異なるものにすることができ、階調表示を可能にする。表示素子としては、前述した本発明の第17の態様のように、外部刺激に対する閾値が明確であると同時に、同一画素内で異なる刺激に追随して表示状態が変化できる階調表示ができることが望ましい。外部刺激に対する安定状態が2つある場合には、外部刺激の変化を調整することによって状態変化ひいては光学変化を任意に調整することができない。ここでは、鎖状化合物の鎖長の異なる化合物を系の中に混合することによって、鎖長の違いによる応答速度の変化、閾値電圧の違いを有することが可能であり、階調表示を行うことができる。
このように、1画素内に異なる閾値を持つ超分子構造体を配することによって階調表示が可能な表示素子を提供することができる。
第19の態様
本発明の第19の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第5の態様の構成において上記超分子構造体の外部刺激による光学特性変化の形態が同一素子内の外部刺激の与えられる最小単位内で、少なくとも二種類以上起こることを特徴としている。
【0123】
上記構成によれば、1画素内において異なる光学変化を示す超分子構造体を複数入れることによって、1画素での表示機能を多機能化することができる。
例を挙げると、異なる発色を示す複数個の超分子構造体が1画素内に含まれていれば外部刺激に違いによって1画素内で多色発色させることができる。また、複数の発色状態を組み合わせることによって任意の発色状態を表示することも可能である。また、1画素内に発色変化と発光を示す超分子構造体が含まれている場合には、必要に応じて発色表示素子と発光素子を使い分けることもできる。このような使い分けができれば、外光が明るい場合には発色機能による反射型素子として、夜間などの外光が暗い場合には発光素子として周囲の環境に応じた視認性の良い表示素子を作成することができる。1画素内に盛り込む複数機能は上記の例に限定するものではなく、超分子構造体がもつあらゆる機能を適用することができる。
【0124】
またこれらの複数の機能性は、外部刺激の変化によって機能性の出現を制御させる。例えば、外部刺激が電界の場合には、一画素内に複数の機能性を示す超分子構造体が含まれ、その電界強度が異なる場合にはその電界強度を制御することによって機能性を制御することができ、発色の色調変化や、発色と発光の切り替えを行うことができる。同様に、極性反転によって機能性が変化する場合には極性を制御することによって発色の色調変化や、発色と発光の切り替えを行うことができる。他の外部刺激についても、刺激の強弱や、周波数変化、特性変化などによって出現する機能性を制御して複数の機能性を制御させることができる。
【0125】
このように、1画素内に異なる光学変化を示す超分子構造体を複数織り込むことで、素子の多機能化や視認性に優れた素子を提供することができる。
第20の態様
本発明の第20の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第5の態様の構成において上記超分子構造体が、外部刺激による光学特性変化の形態が同一分子内で、少なくとも二種類以上設けられることを特徴としている。
【0126】
上記構成によれば、同一素子が複数の機能を有する。
一つの超分子構造体が、異なる発色を示すことができれば、外部刺激に違いによって1分子内で多色発色させることができる。また、複数の発色状態を組み合わせることによって任意の発色状態を表示することも可能である。また、1分子内に発色変化と発光を示す場合には、必要に応じて発色表示素子と発光素子を使い分けることもできる。このような使い分けができれば、外光が明るい場合には発色機能による反射型素子として、夜間などの外光が暗い場合には発光素子として周囲の環境に応じた視認性のよい表示素子を作成することができる。1分子内に盛り込む複数機能は上記の例に限定するものではなく、超分子構造体が持つあらゆる機能を適用することができる。
【0127】
またこれらの複数の機能性は、外部刺激の変化によって機能性の出現を制御させる。例えば、外部刺激が電界の場合には一分子内での複数の機能性を示す超分子構造体が含まれ複数の機能性を示す電界強度が異なる場合には、その電界強度を制御することによって機能性を制御することができ、発色の色調変化や、発色と発光の切り替えを行うことができる。同様に、極性反転によって機能性が変化する場合には極性を制御することによって発色の色調変化や、発色と発光の切り替えを行うことができる。他の外部刺激についても、刺激の強弱や、周波数変化、特性変化などによって出現する機能性を制御して複数の機能性を制御させることができる。
【0128】
このように、1分子内で異なる光学変化を示す超分子構造体を用いることで、素子の多機能化や視認性に優れた素子を提供することができる。
第21の態様
本発明の第21の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第20の態様の構成において上記超分子構造体と電極から構成される素子において、1層の標準電極と前記標準電極を挟み込む少なくとも2層の超分子構造体、さらに前記超分子構造体の外側に設置された電極が設けられ、上記3つの電極によって同時に2層の超分子構造体を制御することを特徴としている。
【0129】
上記構成によれば、電極3層にはさまれた超分子構造体が2層以上あり、複数の超分子構造体を同時に制御する。
図32に示すように、超分子構造体7A、7Bが標準電極を中心にして電極25C、25Dにはさまれる構造にすると、標準電極を基準に超分子構造体7A、7Bに異なる電界を印加することができる。超分子構造体が同一のものであれば、上下の電界強度を異なるものにすることで表示特性を2層で制御することができる。1層では階調表示が不十分な場合でも、2層を同時に制御することによって階調表示を向上させることができる。
【0130】
また、超分子構造体7A、7Bが異なる色調を発色・発光したり、片方が発光もう片方が発色するなど、特性の異なる光学変化をする場合には、2層の電界を制御することによって色調を変化させたり、異なる特性を使い分けることができる。また、2つの構造体の特性を同時に使用することもできる。
【0131】
同一画素内に異なる複数の特性をもつ超分子構造体を導入したり、1分子内に異なる特性をもつ超分子構造体を導入した場合には、電界強度で特性を制御させることも可能ではあるが、極性反転や電界強度の変化によってある特性が強くなれば、ある特性は低くなるといった特性の強弱が生まれることになる場合が多く、それぞれの特性を最大限に引き出すことが難しい。極性反転によって特性を制御する場合には片方の特性はある極性では、使用することができない。
【0132】
しかしながら、上記のような電極3層による2層の超分子構造体の制御によって、複数の機能性を最大限に発揮することができる。極性反転によって特性を制御する場合にも、基準電極に対して上下で極性の異なる電界を印加することができるので、複数の特性を同時に発揮させることができる。
【0133】
このように、3層電極によって2層の超分子構造体を制御することによって、階調表示素子や多機能な表示素子を提供することができる。
第22の態様
本発明の第22の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第21の態様の構成において上記超分子構造体と電極から構成される素子において、1表示画素が複数に分割されていることを特徴としている。
上記構成によれば、1画素が複数に分割されており分割画素それぞれ独立に電界印加ができる。
超分子構造体が同一のものであれば、分割画素それぞれの電界強度を異なるものにすることで表示特性を1画素内で分割制御することができる。1画素全面の電界印加では階調表示が不十分な場合でも、画素を複数に分割して分割画素ごとに特性制御することで階調表示を向上させることができる。
また、分割画素それぞれに複数の超分子構造体を導入し、それぞれの超分子構造体が異なる色調を発色・発光したり、ある分割画素が発光他の分割画素が発色するなど、特性の異なる光学変化をする場合には、分割画素それぞれの電界を制御することによって色調を変化させたり、異なる特性を使い分けることができる。また、複数の構造体の特性を同時に使用することもできる。
同一画素内に異なる複数の特性をもつ超分子構造体を導入したり、1分子内に異なる特性をもつ超分子構造体を導入し画素全体を、電界強度で特性を制御させることも可能ではあるが、極性反転や電界強度の変化によってある特性が強くなれば、ある特性は低くなるといった特性の強弱が生まれることになる場合が多く、それぞれの特性を最大限に引き出すことが難しい。極性反転によって特性を制御する場合には片方の特性はある極性では、使用することができない。
しかしながら、上記のような分割画素によるの超分子構造体の制御によって、複数の機能性を最大限に発揮することができる。極性反転によって特性を制御する場合にも、分割画素それぞれに極性の異なる電界を印加することができるので、複数の特性を同時に発揮させることができる。
このように、分割画素によって超分子構造体を制御することによって、超分子の特性を十分に引き出す表示素子を提供することができる。
第23の態様
本発明の第23の態様において、表示素子または調光素子は、本発明の第1から第22の態様の構成において上記超分子構造体と電極から構成される素子の少なくとも一部分が、転写法によって製造されることを特徴としている。
上記構成によれば、超分子構造体及び電極の少なくとも1層が転写プロセスによって作成される。
上記超分子構造体構造は図27に示すように超分子構造体及び有機機能層を電極がはさむ構造になっている。
1枚基板上にこのような構造を積層させて作成する場合、超分子構造体及び有機機能層上に電極を形成することがある。また、各画素や1画素内に複数の超分子構造体を形成する場合には超分子構造体自身をパターン形成する必要がある。このような場合、超分子構造体及び有機機能層上に、塗布膜形成、電極蒸着、フォトリソ工程などの工程を行うことになる。
このような工程が超分子構造体や有機機能膜上で行われると、表面や内部が侵食され超分子構造体の特性や耐久性が著しく損なわれる可能性がある。よって、超分子構造体や有機機能材料上にはこのようなプロセスが行われないことが望ましい。
転写法は、支持基板と転写剥離層からなる母材上に有機膜を塗布したり、電極をパターン形成し、これを本基板上に熱や放射線によって剥離層からから剥離し本基板上にパターン電極や有機膜を転写させる方法である。
この方法を用いることによって、超分子構造体や有機機能膜上で上記プロセスを行うことなく、素子を構成する膜を積層することができる。また、転写法によって転写時に有機層を任意のパターンに選択転写することもできるので画素毎、あるいは画素内に任意の有機材料を任意のパターン形成したい場合にも有機材料上にフォトリソ工程などのプロセスを行うことなくパターン形成することができる。
このような転写法は、超分子構造体を含む表示素子作成の全ての構成膜形成に用いても良いし、一部の構成膜に用いても良い。構成する有機膜の種類に応じて転写法を用いることができる。
このように、転写法を用いたプロセスを用いることによって、超分子構造体や有機機能膜を侵すことなく素子構成膜を積層でき、特性を十分発揮できる素子を作成することができる。
【0134】
【発明の実施の形態】
実施形態 1 ・基本構成
以下、本発明の実施の形態の1例を詳細に説明するが、本発明が以下に実施例に限定されるものではない。
【0135】
本発明の実施の形態について図33から38に基づいて説明すれば次の通りである。図33は本実施例の形態にかかる表示素子101の概略図を示す断面図である。本表示素子は基板51に発色素子を備えた構成である。
【0136】
基板51は絶縁性基板からなり、本基板上にお互いに平行に配置された電極52と、電極52を覆うように形成された絶縁性機能性膜53、電界によって光学変化を起こす超分子構造体54、電極52と垂直に交差するように配置された対抗電極55、電極55と超分子構造体54の間に形成された絶縁性機能性膜56、電極55及び素子101を覆うように設置された保護膜57から構成される。
【0137】
基板51は前述の基板上に配置される部材52〜57を支持するための支持体であり、ガラスやプラスティック材料などが用いられる。この基板は部材52〜57が支持できれば良いので硬質なものである必要はない。また、後述する超分子構造体の光学変化や電極材料にもよるが、基板は透明であることが望ましい。
【0138】
電極52、55は後述する超分子構造体の光学変化にもよるが、透明であることが望ましい。この場合,電極材料としてはITOや酸化スズなどが用いられる。これらの電極は一般的にフォトリソ工程で作成されるが、素子101を基板から順次積層することによって素子を作成する場合には、有機材料上に直接電極を形成する必要がある。この場合、電極形成のためのフォトリソ工程によって有機材料を汚染する場合がある。このような場合には、後述するような転写法によっても電極を形成することができる。また、塗布型の有機錯体導電性材料もあり、このような材料の場合にはスクリーン法に代表されるような印刷法によって電極を形成してもよい。
【0139】
また、本実施形態では、電極52、55を超分子構造体54を上下にはさむように配置したが、図34のように同一平面上に設置する方法もある。この方法では有機材料上に電極を作成する必要が無いので電極作成時にすでに形成された有機材料を侵食することなく素子を作成することができる。
【0140】
また、本実施形態では単純マトリックス駆動方式による素子構造を示したが、アクティブマトリックス駆動に対応する素子にすることもできる。
絶縁性機能性材料53、56は電極52、55と超分子構造体54を結びつけるために配置される。ここで機能性膜とは、上下や左右の電極間が導電しないような絶縁性や、超分子構造体の機能性を向上させるため超分子構造体を配列させる配向制御膜、超分子構造体に効率よく電荷を注入する為の電荷注入層などが考えられる。また、電極からかけられる電界の効果を超分子構造体に効率よく伝達できるインターフェイス機能を有する膜でもよい。機能性材料はこれらに限定されるわけでもなく、光学変化を起こす超分子構造体の機能性向上をもたらすものであればよい。特に機能性膜53、56が必要でなければ、これら機能性膜は設置することもないし、逆に必要であれば数層の機能性膜を積層して設置してもよい。
【0141】
機能性膜53、56は、上下基板で同じ機能性膜を持った同じ膜を用いてもいいし、上下で機能性の異なる膜を形成してもよい。これらの機能性膜は通常有機材料が用いられるが、無機材料でもいいし、無機材用と有機材料をハイブリッドさせた材料でもよい。これらの機能性膜は、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、印刷法、LB膜法など公知の方法で膜形成することができる。
【0142】
保護層57は、電極55上に形成される。保護膜は、超分子構造体や機能性膜が外部の酸素や水分に触れることによって機能性を低下することを防いだり、素子を外的な衝撃から防護する機能性を持つ。そのため保護層としては、これらの機能性膜は通常有機材料が用いられるが,無機材料でもいいし、無機材用と有機材料をハイブリッドさせた材料でもよい。これらの機能性膜は、蒸着法、スピンコート法、キャスト法、印刷法、LB膜法など公知の方法で膜形成することができる。
【0143】
また、超分子構造体54が溶液系、あるいはゲル状流動体である場合には、基板51のみでは超分子構造体54を支持できない場合がある。このような場合には保護層57も基板51同様支持体として機能する材料にする必要がある。このようにして、上下を支持基板で支持し、側面部を有機樹脂などで封止することによって素子101を作成することができる。ここで支持材料は基板51と同様の材料を用いることができる。封止材料としては超分子構造体や電極材料機能性膜などへの悪影響が最小限に止められる材料であることが望ましい。材料としては液晶表示素子の封止材として用いられるような有機系接着剤などが挙げられるがこれに限るものではない。
【0144】
超分子構造体54の種類とそれによって作成される素子101の種類については後述する。
次に、素子101のプロセス方法について説明する。ここでは実施の一例として転写法を用いた素子の作成方法を示すが、素子の作成方法がこの方法に限定されるものではない。
(転写法による素子101の作成方法)
ここでは素子101を基板51上に各部材52から57を順次積層して作成する。まずプラスティック基板51上にITOをスパッタリング法で製膜した(図35(a))。ここでプラスチック基板は吸水性が押さえられ、またフォトリソプロセス(露光、現像、エッチングなど)によって侵食されない材料を用いている。また、ITOの厚さは1000Åとした。これをフォトリソ工程で画素部280μm、抜き20μmのピッチでパターンニングした。
【0145】
このようにして形成したITO電極52上に機能性膜53を製膜した(図35(b))。ここで基板102ができる。
一方、転写基板12上に転写剥離層59を形成した(図35(c))。この転写犠牲層は、特定の紫外線を当てると転写基板から剥離する特性をもつ。このような転写犠牲層は、紫外線によって剥離作用が起こるものだけでなく、レーザー加熱によって融解するものもある。この転写犠牲層上に電極52同様にフォトリソ工程でパターンニングし電極55とした。こうして得られた電極55上に、機能性膜56及び超分子構造体54を製膜した。機能製膜53、56、超分子構造体54は用いる材料によって製膜方法が異なるので省略する。このようにして転写基板103が完成した。
【0146】
このようにして得られた転写基板103と基板102を電極2、5が互いに垂直に交差するように向かい合わせ加圧する(図35(d))。そこで転写基板裏側から紫外線を照射し転写犠牲層を剥離させる。こうして転写基板上に形成した層を基板102に転写することができる(図35(e))。こうして得られた基板104に保護層を形成した(図35(f))。保護層は、吸水性の少ない封止性の良いポリカーボネート系樹脂系材料をキャスト法によって形成した。ここで用いた有機層(機能性膜、超分子構造体、保護層)は、全て透明であり透明な素子101が完成した。
【0147】
基板51上に部材52から57を順次積層した場合には、機能性膜や超分子構造体上にITOのスパッタリング(200℃前後)及びフォトリソ工程を行う必要がある。有機機能性樹脂上にこのようなプロセスを行った場合有機樹脂が侵食され機能性を損なう可能性が高い。しかしながら上記の転写プロセスを用いることで、有機樹脂上にフォトリソプロセスを行う必要がなくなり有機樹脂の機能をそこなうことなく素子を作成することができる。またITO製膜時の高温にさらされることなく有機樹脂膜を作成することができるので、低温プロセスも可能である。
【0148】
このようにして得られた素子101は上下電極に適宜な電界を印加することによって超分子構造体の光学変化を起こし表示素子となる。以下に、電界印加によって起こる相互作用変化と光学変化及び表示素子の種類を説明する。
(表示素子の例1)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によって環状化合物が鎖状化合物から解離する特性をもつ超分子構造体A(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Aは、包接時には透明、解離時に発色する特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Aはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0149】
この材料を表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体Aが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。
【0150】
このようにして得られた表示素子101は、電界印加によって透明−発色のSWを行った。発色性は超分子構造体そのものが発色反応するために非常に鮮やかで見やすい素子ができた。また、消費電力も非常に小さい素子ができた。
【0151】
つぎに、CMY3色発色できるカラー表示素子を作成するため図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型減法混色表示素子を作成した。これは各単色発色素子104、105、106を積層したものである。各素子間は保護層57を積層している。また、背面に白色反射板60をつけ反射型素子とした。本素子は転写法によって任意に積層できるため、長分子構造体や機能性膜を侵食することなく、素子を作成することができた。
【0152】
このようにして得られた素子107は、3層透明時に背面が見えるので白表示、3層発色時に黒表示とした。さらに、各層の発色性を制御することで任意の色表示を行うことが可能である。
【0153】
こうして得られたカラー表示素子は発色が鮮やかで非常に視認性の優れた素子となった。また、色表示および白表示が非常に明るい素子となった。他の反射型素子と比べてみると、反射型液晶表示素子に比べて、本表示素子は偏向板を用いていないことやカラーフィルター並列による利用効率の低下などを起こさない積層の減法混色素子であることによって約6倍の明るさを実現することができた。また、本素子と同様の構造であるコレステリック液晶の積層素子に比べても、コレステリック液晶が螺旋ピッチによって半分の光を利用できないので、本素子は2倍の明るさを持つに至った。
【0154】
このように、現行の表示素子に比べて非常に明るく視認性に優れた素子を作成することができた。
ここでは、発色タイプの表示素子を作成したが、超分子構造体の解離−包接現象では、散乱、屈折率変化、発光などさまざまな光学変化を起こすことができるので、これらの光学特性変化に応じた素子を作成することができる。また、セル構成についても、ここで作製した積層タイプでなくても、加法混色を用いた3色並列型のカラー素子など必要に応じた素子構造をもつことができる。
(表示素子の例2)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によって環状化合物が鎖状化合物上を移動し、相互作用を起こす位置を変化させる特性をもつ超分子構造体B(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Bは、相互作用を起こす個所によって透明、発色する特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Bはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0155】
この材料を表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体Aが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。
【0156】
このようにして得られた表示素子101は電界印加によって透明−発色のSWを行った。発色性は超分子構造体そのものが発色反応するために非常に鮮やかで見やすい素子ができた。また、消費電力も非常に小さい素子ができた。
【0157】
ここで得られた素子は、表示素子の例1に比べて、応答速度の速い素子を作製することができた。これは例1で用いられた超分子構造体Aは、スイッチングのたびに環状化合物が鎖状化合物から解離するので、応答に時間がかかるからである。これに対して超分子構造体Bは、鎖状化合物上を環状化合物が移動するのみでスイッチングするので応答速度が速くなった。
【0158】
さらに、長時間駆動させたところ、例1の超分子構造体Aに比べてスイッチングの安定性が良かった。これも、解離−包接によってばらばらになった分子が必ずしも同じ分子同士で包接−解離を起こさないので系でのスイッチングが不均一になったためである。また、さらに素子の安定性を高めるため、超分子構造体Bの鎖状化合物の両末端にストッパー基を導入した超分子構造体Cを作製し素子に用いたところ、長時間駆動に対する安定性が向上した。これはストッパーによって、環状化合物が鎖状化合物から離脱することがなくなったため、スイッチングの安定性がさらに向上したためであると考えられる。
【0159】
また、超分子構造体の発色特性は変えることなく、鎖状化合物上に配置する環状化合物の数を増やすとともに、数種類にした超分子構造体D(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を作製し、素子に用いたところ電界に対する発色の閾値電圧が向上した。また、閾値電圧によって発色の程度を容易に制御することができた。これは、環状化合物の数を増やすことで、発色現象の閾値がはっきり出たためで、外部の環境変化などでスイッチングが進まない安定した素子になった。また、異なる環状化合物の数が入ったため、閾値にばらつきが生じ、階調表示が制御しやすくなったと考えられる。同様に、鎖状化合物の長さを変えた超分子構造体を作成したときも、上記と同様に階調表示の制御しやすい素子を作成することができた。
【0160】
つぎに、CMY3色発色できるカラー表示素子を作成するため、表示素子の例1同様の図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型減法混色表示素子を作成した。
【0161】
こうして得られたカラー表示素子107は発色が鮮やかで非常に視認性の優れた素子となった。また、色表示および白表示が非常に明るい素子となった。他の反射型素子と比べてみると、反射型液晶表示素子に比べて、本表示素子は偏向板を用いていないことやカラーフィルター並列による利用効率の低下などを起こさない積層の減法混色素子であることによって約6倍の明るさを実現することができた。また、本素子と同様の構造であるコレステリック液晶の積層素子に比べても、コレステリック液晶が螺旋ピッチによって半分の光を利用できないので、本素子は2倍の明るさを持つに至った。
【0162】
このように、現行の表示素子に比べて非常に明るく視認性に優れた素子を作成することができた。さらには素子の例1に比べても応答速度、信頼性、寿命、階調表示特性の優れた表示素子を作製することができた。
【0163】
ここでは、発色タイプの表示素子を作成したが、そのほかにも発光などさまざまな光学変化を起こすことができるので、これらの光学特性変化に応じた素子を作成することができる。また、セル構成についても、ここで作製した積層タイプでなくても、加法混色を用いた3色並列型のカラー素子など必要に応じた素子構造をもつことができる。
(表示素子の例3)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によって環状化合物が鎖状化合物上の末端部分から移動し、相互作用変化を起こす特性をもつ超分子構造体E(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Eは末端部で相互作用を起こす際に発色、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Eはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0164】
この材料を表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体Aが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。
【0165】
このようにして得られた表示素子101は電界印加によって透明−発色のSWを行った。発色性は超分子構造体そのものが発色反応するために非常に鮮やかで見やすい素子ができた。また、消費電力も非常に小さい素子ができた。
【0166】
ここで得られた素子は、表示素子の例2に比べて、応答速度の速い素子を作製することができた。超分子構造体Bは、鎖状化合物上を環状化合物が移動するのみでスイッチングするので応答速度を超分子構造体Aに比べて高速化することができたが、鎖状化合物上には複数の環状化合物と相互作用を起こす組成部位があり環状化合物の動きを阻害してしまう。これに比べて超分子構造体Eでは鎖状化合物上の障害がないので移動を阻害する要因がなく非常に早いスイッチング挙動を実現できる。そのため、μsecオーダーでのスイッチングが可能で、動画表示を行うこともできた。
【0167】
さらに、長時間駆動させたところ、超分子構造体Eでは鎖状化合物の両末端にストッパー基が導入されていたために、環状化合物が鎖状化合物から離脱することがなくなったため前述の超分子構造体C同様、非常に安定性のよい素子とすることができた。
【0168】
また、超分子構造体D同様に鎖状化合物上に配置する環状化合物の数を増やすとともに、数種類にした超分子構造体F(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を作製し素子に用いたところ、素子に用いたところ電界に対する発色の閾値電圧が向上した。また、閾値電圧によって発色の程度を容易に制御することができた。これは、環状化合物の数を増やすことで、発色現象の閾値がはっきり出たためで、外部の環境変化などでスイッチングが進まない安定した素子になった。また、異なる環状化合物の数が入ったため、閾値にばらつきが生じ、階調表示が制御しやすくなったと考えられる。同様に、鎖状化合物の長さを変えた超分子構造体を作成したときも、上記と同様に階調表示の制御しやすい素子を作成することができた。
【0169】
つぎに、CMY3色発色できるカラー表示素子を作成するため、表示素子の例1同様の図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型減法混色表示素子を作成した。
【0170】
こうして得られたカラー表示素子107は、発色が鮮やかで非常に視認性の優れた素子となった。また、色表示および白表示が非常に明るい素子となった。他の反射型素子と比べてみると、反射型液晶表示素子に比べて、本表示素子は偏向板を用いていないことやカラーフィルター並列による利用効率の低下などを起こさない積層の減法混色素子であることによって約6倍の明るさを実現することができた。また、本素子と同様の構造であるコレステリック液晶の積層素子に比べても、コレステリック液晶が螺旋ピッチによって半分の光を利用できないので、本素子は2倍の明るさを持つに至った。
【0171】
また、上記液晶表示素子では応答速度が遅いために動画表示、特に動きの速い映像では表示が汚く動画表示に適さないことがあるが、本表示素子では高速スイッチングが可能であり、動画表示も可能であった。
【0172】
このように、現行の表示素子に比べて非常に明るく視認性に優れた素子を作成することができた。さらには応答速度、信頼性、寿命、階調表示特性の優れた、動画表示も可能な表示素子を作製することができた。
【0173】
ここでは、発色タイプの表示素子を作成したが、そのほかにも発光などさまざまな光学変化を起こすことができるので、これらの光学特性変化に応じた素子を作成することができる。また、セル構成についても、ここで作製した積層タイプでなくても、加法混色を用いた3色並列型のカラー素子など必要に応じた素子構造をもつことができる。
(表示素子の例4)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によってチューブ状環状化合物内を鎖状化合物が末端部分から移動し、相互作用変化を起こす特性をもつ超分子構造体G(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。環状化合物はチューブ状であり末端部に鎖状化合物と相互作用を起こす誘導基を有している。超分子構造体Gは末端部で相互作用を起こす際に発色、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Fはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0174】
この材料を表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体Aが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。
【0175】
このようにして得られた表示素子101は電界印加によって透明−発色のSWを行った。発色性は超分子構造体そのものが発色反応するために非常に鮮やかで見やすい素子ができた。また、消費電力も非常に小さい素子ができた。
【0176】
ここで得られた素子は、表示素子の例3同様、応答速度の速い素子を作製することができた。超分子構造体Gは、チューブ状環状化合物内を鎖状化合物が移動するのみでスイッチングし、環状内には鎖状化合物の移動を阻害する障害がないので非常に早いスイッチング挙動を実現できる。そのため、μsecオーダーでのスイッチングが可能で、動画表示を行うこともできた。
【0177】
さらに、長時間駆動させたところ、超分子構造体Gでは環状化合物内を動くために、環状化合物外の変化や他分子の影響を受けることがないので、非常に安定性のよい素子とすることができた。
【0178】
つぎに、CMY3色発色できるカラー表示素子を作成するため、表示素子の例1同様の図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型減法混色表示素子を作成した。
【0179】
こうして得られたカラー表示素子107は、発色が鮮やかで非常に視認性の優れた素子となった。また、色表示および白表示が非常に明るい素子となった。他の反射型素子と比べてみると、反射型液晶表示素子に比べて、本表示素子は、偏向板を用いていないことやカラーフィルター並列による利用効率の低下などを起こさない積層の減法混色素子であることによって、約6倍の明るさを実現することができた。また、本素子と同様の構造であるコレステリック液晶の積層素子に比べても、コレステリック液晶が螺旋ピッチによって半分の光を利用できないので、本素子は2倍の明るさを持つに至った。
【0180】
また、上記液晶表示素子では応答速度が遅いために動画表示、特に動きの速い映像では表示が汚く動画表示に適さないことがあるが、本表示素子では高速スイッチングが可能であり、動画表示も可能であった。
【0181】
このように、現行の表示素子に比べて非常に明るく視認性に優れた素子を作成することができた。さらには応答速度、信頼性、寿命、などの特性の優れた、動画表示も可能な表示素子を作製することができた。
【0182】
ここでは、発色タイプの表示素子を作成したが、そのほかにも発光などさまざまな光学変化を起こすことができるので、これらの光学特性変化に応じた素子を作成することができる。また、セル構成についても、ここで作製した積層タイプでなくても、加法混色を用いた3色並列型のカラー素子など必要に応じた素子構造をもつことができる。
(表示素子の例5)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によって環状化合物が鎖状化合物上の末端部分から移動し、相互作用変化を起こす特性をもつ超分子構造体H(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Hは末端部で相互作用を起こす際に発色、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Hはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0183】
さらに、電界印加によって環状化合物が鎖状化合物上の末端部分から移動し、相互作用変化を起こす特性をもつ超分子構造体I(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Iは、末端部で相互作用を起す際に発光し、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Hはポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0184】
発光色は、分子設計によってRGB3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Iは、ポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0185】
ここで、H、Iは、電界極性に対する特性を逆方向にした。つまり、相互作用を起す末端部分に対して、超分子構造体Hは+極性を印加したときに環状化合物が離脱し消色する。逆に、超分子構造体Iにおいては−極性を印加したときに環状化合物が離脱し発光が消える。
【0186】
このような特性をもつ材料を混合させ、表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体H、Iが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。また、この配向制御膜では図37に示すように超分子構造体H、Iいずれの材料についても鎖状化合物の発色相互作用基61、発光相互作用基62の末端が同じ電極方向に配列するように配向制御させた。
【0187】
このようにして得られた表示素子101は電界印加によって、発光、発色の2種類の表示形態を発現させることができる。電極を反転させることによって、透明−発色のSWと透明−発光のSWを起すことができる。
【0188】
このように、極性反転によって発光と発色を使い分けることができれば、1表示素子において発光ディスプレイと、反射型ディスプレイを同時に作製することができる。このようなディスプレイは、証明環境の違いに応じて最適な視認性を得るディスプレイとなり、マルチシーンで使用可能なディスプレイである。昼間のように外光が明るい時は反射型ディスプレイとして、夜間時は発光型ディスプレイとして用いることができる。また、文字情報や静止画情報などを見る場合には目にやさしい反射型ディスプレイとして、臨場感のある動画映像を見る場合には発光型ディスプレとして用いることができる。
【0189】
本表示素子においても、照明環境や、画像の種類によって電極を入れ替えることで反射型、発光型を任意に切り替えることができるので、マルチシーンディスプレイとして用いることができた。また、電極の構成や、駆動方法によっては表示素子の画面の一部を反射型、一部を発光型にできるので、文字コンテンツの一部が映像情報でそのコンテンツに応じた表示方法を選択することができる。
【0190】
ここで得られた素子は、発色、発光どちらの表示形態においても、応答速度の速い素子を作製することができた。超分子構造体H、Iでは鎖状化合物上の障害がないので移動を阻害する要因がなく非常に早いスイッチング挙動を実現できる。そのため、μsecオーダーでのスイッチングが可能で、動画表示を行うこともできた。
【0191】
さらに、長時間駆動させたところ、超分子構造体H、Iでは鎖状化合物の両末端にストッパー基が導入されているので、環状化合物が鎖状化合物から離脱することがなくなったため前述の超分子構造体C同様、非常に安定性のよい素子とすることができた。
【0192】
また、超分子構造体D、F同様に鎖状化合物上に配置する環状化合物の数を増やすとともに、数種類にしたところ、素子に用いたところ電界に対する閾値電圧が向上した。また、閾値電圧によって階調表示を容易に制御することができた。これは、環状化合物の数を増やすことで、発色現象の閾値がはっきり出たためで、外部の環境変化などでスイッチングが進まない安定した素子になった。また、異なる環状化合物の数が入ったため、閾値にばらつきが生じ、階調表示が制御しやすくなったと考えられる。
つぎに、カラー表示素子を作成するため、表示素子の例1同様の図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型表示素子を作成した。
【0193】
こうして得られたカラー表示素子107は、極性によって発光素子と発色素子を使い分けることができ、さらに電界の強度によって発光強度や発色の程度を制御できるマルチシーンディスプレイとなった。
【0194】
ここでは、極性によって発色、発光を制御する表示素子を作製したが、発色、発光の閾値電圧に差をもたすことでも2つの表示形態を制御することは可能である。
【0195】
また、ここでは2種類の表示形態をもつ超分子構造体の混合でマルチシーンディスプレイという多機能ディスプレイを作製したが、発色色相の異なる超分子構造体、発光色の異なる超分子構造体を混入させたものでも多機能表示素子を作製することができる。
(表示素子の例6)
ここでは、超分子構造体54の材料として電界印加によって環状化合物が鎖状化合物上の末端部分から移動し、相互作用変化を起こす特性をもつ超分子構造体J(環状化合物としてシクロデキストリンを用い、鎖状化合物としてアルキル鎖を用いたもの)を用いた。超分子構造体Jは鎖状化合物の両末端に相互作用を起す誘導基を有している。さらに片方の末端部では相互作用を起こす際に発色、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。さらに、もう片方の末端部で相互作用を起す際に発光し、電界によって離脱したときに透明になる特性を有する。また、各末端で相互作用から環状化合物を離脱させるための電界極性が反対極性である特性を持つ。
【0196】
つまり、電界によって鎖状化合物の両末端まで環状化合物を移動させ、電界の極性によって両末端を選択制御し極性によって発色と発光を制御することができる。
【0197】
発色は、分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、発光色は分子設計によってRGB3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。発色は分子設計によってCMY3色の発色特性をもつ3つの超分子構造体を作成した。また、本超分子構造体Jは、ポリマーフィルム化されキャスト法で塗布可能である。
【0198】
このような特性をもつ材料を混合させ、表示素子101の超分子構造体54の層として用いた。
また、ここでは機能性膜53、56として、超分子構造体Jが基板に対して垂直に配向させることができる配向制御膜を用いた。また、この配向制御膜では超分子構造体Jについて図38に示すように、鎖状化合物の発色相互作用基61と、発光相互作用基62が同方向に配列するように配向制御させた。
【0199】
このようにして得られた表示素子101は電界印加によって、発光、発色の2種類の表示形態を発現させることができる。電極を反転させることによって、透明−発色のSWと透明−発光のSWを起すことができる。
【0200】
このように、極性反転によって発光と発色を使い分けることができれば、1表示素子において発光ディスプレイと、反射型ディスプレイを同時に作製することができる。このようなディスプレイは、証明環境の違いに応じて最適な視認性を得るディスプレイとなり、マルチシーンで使用可能なディスプレイである。昼間のように外光が明るい時は反射型ディスプレイとして、夜間時は発光型ディスプレイとして用いることができる。また、文字情報や静止画情報などを見る場合には目にやさしい反射型ディスプレイとして、臨場感のある動画映像を見る場合には発光型ディスプレイとして用いることができる。
【0201】
本表示素子においても、照明環境や、画像の種類によって電極を入れ替えることで反射型、発光型を任意に切り替えることができるので、マルチシーンディスプレイとして用いることができた。また、電極の構成や、駆動方法によっては表示素子の画面の一部を反射型、一部を発光型にできるので、文字コンテンツの一部が映像情報でそのコンテンツに応じた表示方法を選択することができる。
【0202】
ここで得られた素子は、発色、発光どちらの表示形態においても、応答速度の速い素子を作製することができた。超分子構造体Jでは鎖状化合物上の障害がないので移動を阻害する要因がなく非常に早いスイッチング挙動を実現できる。そのため、μsecオーダーでのスイッチングが可能で、動画表示を行うこともできた。
【0203】
さらに、長時間駆動させたところ、超分子構造体Jでは鎖状化合物の両末端にストッパー基が導入されているので、環状化合物が鎖状化合物から離脱することがなくなったため、前述の超分子構造体C同様、非常に安定性のよい素子とすることができた。
【0204】
また、超分子構造体D、F同様に鎖状化合物上に配置する環状化合物の数を増やすとともに、数種類にしたところ、素子に用いたところ電界に対する閾値電圧が向上した。また、閾値電圧によって階調表示を容易に制御することができた。これは、環状化合物の数を増やすことで、発色現象の閾値がはっきり出たためで、外部の環境変化などでスイッチングが進まない安定した素子になった。また、異なる環状化合物の数が入ったため、閾値にばらつきが生じ、階調表示が制御しやすくなったと考えられる。
【0205】
表示素子の例5では、同一画素に異なる2種類の表示形態を有する超分子構造体H、Iを混合してマルチシーンディスプレイとした。この場合、2種類の超分子構造体はほぼ均一に混合され画素のむら等はなかったが、材料系によっては分離が起こり不均一な表示になってしまう可能性がある。しかしながら、本例では1分子内で発色と発光という2つの機能性があることから材料の混合むらや層分離といった問題のない表示の均一な表示素子を作製することができた。
【0206】
つぎに、カラー表示素子を作成するため、表示素子の例1同様の図36に示すような単色表示素子を3層積層した積層型表示素子を作成した。
こうして得られたカラー表示素子107は、極性によって発光素子と発色素子を使い分けることができ、さらに電界の強度によって発光強度や発色の程度を制御できるマルチシーンディスプレイとなった。
【0207】
ここでは2種類の表示形態をもつ超分子構造体によってマルチシーンディスプレイという多機能ディスプレイを作製したが、発色色相の異なる超分子構造体、発光色の異なる超分子構造体を混入させたものでも多機能表示素子を作製することができる。
実施形態2・インプレイン素子
以下、本発明の実施の形態の1例を詳細に説明するが、本発明が以下に実施例に限定されるものではない。
【0208】
なお、説明の便宜上前述の実施の形態の図面に示した部材と同一の部材には同一の符号を付記しその説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図39から41に基づいて説明すれば次の通りである。図39は、本実施例の形態にかかる表示素子108の概略図を示す断面図である。本表示素子は、基板51に発色素子を備えた構成である。
【0209】
基板51は絶縁性基板からなり、本基板上にお互いに平行に配置された電極52と、電極52を覆うように形成された絶縁膜53、電極52と平行に形成された電極55、電界によって光学変化を起こす超分子構造体54、電極55及び素子101を覆うように設置された保護膜57から構成される。
【0210】
電極52及び55は図40に示すように、まずお互いが平行で電極55に対して垂直な方向に伸びたライン及び画素部を形成する電極55に平行なラインを備えたくし型電極を形成する。得られたくし型電極を覆うように絶縁膜63を形成し、さらにその上に電極55を電極52のくし歯と平行に形成することで電極52と55を形成しこれらの電極に囲まれた64が画素領域となる。ここでは、単純間トリック上の電極構造としたが、インプレイン用のアクティブ素子を用いた電極構造にしてもよい。
【0211】
ここでは、表示素子108を基板51上への順次積層プロセスによって形成した。本表示素子では電極構造がインプレイン型であるので、電極構造を作製した後では、機能膜53、超分子構造体54、保護膜57を順次積層するだけで表示素子とすることができる。これらの有機系膜上に電極形成プロセスなどを行うことがなく、有機膜表面や内部を侵食されることのない表示素子を作成することができる。
【0212】
このようにして作製した、表示素子108に対して、超分子構造体54として前述の実施の形態で挙げたような材料を用いた。機能膜53については電界のかかる方向は横方向であるので超分子構造体を基板に対して平行方向に配向させた。さらに、分子の向きも電界効果が向上するように同一方向に配列した。また、横電極によって電極間は分子長に対して非常に長くなってしまうので、電界の効果を高めるように機能膜53に電荷輸送効果のある成分を混合することで素子の性能を向上させる材料もあった。
【0213】
超分子構造体54は、本表示素子でも前述の実施の形態1と同じようにスイッチング挙動を起し表示素子として機能した。
さらに、図41に示すような単層発色素子109、110、111を積層して作製した表示素子112においても実施の形態1同様にカラー表示素子として、従来の反射型ディスプレイに比べて非常に明るいディスプレイを作製することができた。しかしながら、本形態では、表示素子107に比べて電極の開口率が小さいため、107に比べてやや暗い表示素子となった。
【0214】
また、実施の形態例5、6におけるマルチシーンディスプレイの形態も同じ材料系で同様の表示を行うことができた。
このように、インプレイン構造によっても従来の表示素子より優れた性能を有する表示素子を作製することができた。
実施形態3・多機能表示素子
以下、本発明の実施の形態の1例を詳細に説明するが、本発明が以下に実施例に限定されるものではない。
【0215】
なお、説明の便宜上前述の実施の形態の図面に示した部材と同一の部材には同一の符号を付記しその説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図42に基づいて説明すれば次の通りである。図42は、本実施例の形態にかかる表示素子113の概略図を示す断面図である。本表示素子は基板51に発色素子を備えた構成である。
【0216】
基板51は絶縁性基板からなり、本基板上にお互いに平行に配置された電極52と、電極52を覆うように形成された絶縁性機能性膜53、電界によって光学変化を起こす超分子構造体54、電極52と垂直に交差するように配置された対抗電極55、電極55と超分子構造体54の間に形成された絶縁性機能性膜53、さらに超分子構造体54’さらにその上に電極52と平行かつ同じ形状に形成された電極52’及び素子113を覆うように設置された保護膜57から構成される。
【0217】
本構成の表示素子113は、実施の形態1で示した転写法によって、有機系膜上に電極プロセスが行われないように作製された。
こうして得られた表示素子113に超分子構造体54として前述の実施の形態1で挙げたような材料を用いた。
【0218】
この構成では、2層の長分子構造体層に中心の電極55を標準電位として用いることで、同時に電極をかけることができる。
超分子構造体54および54’に同一の超分子構造体を用いたところ、2層によって発色を制御できるので、単一の材料では制御が難しいものでも階調表示を容易に制御することができた。
【0219】
超分子構造体54および54’に片側に発光材料、片方に発色材料を用いたところ、2層同時制御によって発光と発色を同時に制御することができる。実施の形態1の表示素子の例5、6では超分子構造体H、Iの混合体、超分子構造体Jが極性反転や電界の閾値に大きな差がなければ2つの表示形態をコントロールできなかったが、ここでは独立に、しかも同時に駆動できるので表示形態の特性差がなくても制御することができる。また、発色させ、同時に発光させることも可能でありさらに多彩な表示形態を作り出すことができる。
【0220】
このように、本実施の形態によって多機能表示素子を作成することができる。
実施形態4・画素分割表示素子
以下、本発明の実施の形態の1例を詳細に説明するが、本発明が以下に実施例に限定されるものではない。
【0221】
なお、説明の便宜上前述の実施の形態の図面に示した部材と同一の部材には同一の符号を付記しその説明を省略する。
本発明の他の実施の形態について図43に基づいて説明すれば次の通りである。図43は、本実施例の形態にかかる表示素子114の概略図を示す断面図である。本表示素子は基板51に発色素子を備えた構成である。
【0222】
本構成は実施の形態1と同様であるが、電極52が1画素内で分割されてそれぞれを独立に駆動できるところが異なっている。
本構成によって、実施の形態1で用いた超分子構造体54を用いたところ、分割されていない画素による駆動では電界の強弱によって階調表示を制御することが難しかった材料でも、分割画素による独立駆動によって画素分割階調表示を行うことができた。また、応答速度が高速である利点を生かして、時間分割による階調表示と組み合わせるとさらに細かい階調表示が可能となる。
【0223】
また、本構成によって、実施の形態1例5、6で用いた超分子構造体H、Iの混合体、超分子構造体Jを用いたところ、画素内のそれぞれの分割画素で電極を反転制御することで、発光、発色が可能なマルチシーン表示素子を作製することができた。実施の形態1の表示素子の例5、6では超分子構造体H、Iの混合体、超分子構造体Jが極性反転や電界の閾値に大きな差がなければ2つの表示形態をコントロールできなかったが、ここでは独立に、しかも同時に駆動できるので表示形態の特性差がなくても制御することができる。さらに、発光と発色表示を同時に行うこともできるので、さらに多機能な表示も可能である。
【0224】
さらに、図44に示すように、各分割画素ごとに異なる超分子構造体を転写法によって形成することで、分割画素それぞれを独立させ1画素において多機能な表示機能を持たせることができる。ここでは、2分割した画素に発光及び発色材料を転写法によって作製したところ、画素内のそれぞれの分割画素で電極を制御することで、発光、発色が可能なマルチシーン表示素子を作製することができた。上述した素子同様に、ここでも各分割画素を独立にしかも同時に駆動できるので、表示形態の特性差がなくても制御することができる。
【0225】
このように、画素分割を行いそれぞれを独立駆動することで、階調表示や多機能表示素子を作製することができた。
【0226】
【発明の効果】
本発明の第1の態様における表示素子または調光素子は、環状化合物と前記環状化合物に包接された鎖状化合物からなる超分子構造体と、前記超分子構造体を少なくとも1枚の支持基板と封止材料に狭持された素子からなり、超分子構造体の1状態として上記鎖状化合物が環状化合物を貫通できるロタキサン構造体を持ち、鎖状化合物上を環状化合物が移動することができ、外部刺激によって環状化合物の移動を制御することで、上記超分子体の相互作用変化を起こし光学特性を変化させる構成である。この構成により、超分子構造体のスイッチングを用いた新規な表示素子を提供できる。
【0227】
本発明の第2の態様における表示素子または調光素子は、第1の態様の構成において、上記超分子構造体が上記鎖状化合物が環状化合物を貫通できるロタキサン構造体であり、かつ鎖状化合物の少なくとも一端に前記環状化合物が鎖状化合物から脱離できないような置換基が導入されている構成である。この構成により、分子シャトルによるスイッチング原理に基づく新規な表示素子を提供できる。本発明の第3の態様における表示素子または調光素子は、第1の態様の構成において、上記相互作用変化が、環状化合物と鎖状化合物が包接状態と解離状態をとる構成である。この構成によって、超分子構造体の包接−解離現象によるスイッチング原理に基づく新規な表示素子を提供できる。
本発明の第4の態様における表示素子または調光素子は、第1及び第2の態様の構成において上記相互作用変化が、環状化合物の鎖状化合物上における停止位置変化である構成である。この構成によって、超分子の分子シャトル移動によるスイッチング原理に基づく新規な表示素子、特に、応答速度や素子の安定性に優れた表示素子を提供できる。
本発明の第5の態様における表示素子または調光素子は、第2の態様の構成において、上記相互作用変化が末端部と環状化合物との相互作用による鎖状化合物上移動である構成である。この構成によって、超分子の分子シャトル移動によるスイッチング原理に基づく新規な表示素子特に動画表示可能な応答速度を持ち、さらにセルの信頼性に優れた表示素子を提供することができる。
本発明の第6の態様における表示素子または調光素子は、第1から第5の態様の構成において上記支持基板が電極を備え、電気的刺激によって上記超分子構造体の相互作用を制御する構成である。この構成によって、表示の書き換え、さらには動画表示を任意に行うことができ、及び超分子構造体のシャトル移動駆動力として働くことができる。
本発明の第7の態様における表示素子または調光素子は、第6の態様の構成において電気的刺激を上記支持基板に対して上下から与える構成である。この構成によって、表示の書き換え、さらには動画表示を任意に行うことができ、特に均一な電気刺激を与えることができる。
本発明の第8の態様における表示素子または調光素子は、第6の態様の構成において上記電気的刺激を上記支持基板に対して同一平面上から与える構成である。この構成によって、表示の書き換え、さらには動画表示を任意に行うことができ、特に有機構成膜を侵すことなく表示素子を作成できる。
本発明の第9の態様における表示素子または調光素子は、第1から第6の態様の構成において上記超分子構造体が上記基板に対して略垂直または略並行に配向している構成である。この構成によって、外部刺激の効果を効果的に伝達し超分子構造体の光学特性変化を効果的に発現させることができる。
【0228】
本発明の第10の態様における表示素子または調光素子は、第1から第9の態様の構成において上記超分子構造体が単一分子内で相互作用変化および光学変化を完結する構成である。この構成によって、超分子構造体の光学特性変化を効果的に発現させ、さらには信頼性に優れた表示素子を提供することができる。
【0229】
本発明の第11の態様における表示素子または調光素子は、第1から第10の態様の構成において、上記素子が電極と超分子構造体間に少なくとも一層以上の中間層を含む構成である。この構成によって、光学特性変化を効果的に発現させることができる。
【0230】
本発明の第12の態様における表示素子または調光素子は、第11の態様の構成において、上記機中間層が電極と超分子構造体間に設置され、電界印加時の電極と超分子構造体間のインターフェイスとして機能する構成である。この構成によって、電極からの電気刺激を効果的に超分子構造体に伝達し、超分子構造体の光学特性変化を効果的に発現させることができる。
【0231】
本発明の第13の態様における表示素子または調光素子は、第1から第6の態様の構成において、上記超分子構造体を含む系が固形である構成である。この構成によって、信頼性の高い表示素子を提供することができる。
【0232】
本発明の第14の態様における表示素子または調光素子は、第1から第13の態様の構成において、上記超分子体の環状化合物が複数の環状化合物で形成されたチューブ状化合物である構成である。この構成によって、超分子構造体に外部刺激に対する閾値を持たせ信頼性の高い表示素子を提供することができる。
【0233】
本発明の第15の態様における表示素子または調光素子は、第1から第14の態様の構成において、上記超分子構造体の環状化合物が鎖状化合物中に複数個包接されている構成である。この構成によって、超分子構造体に外部刺激に対する閾値を持たせ、信頼性の高い表示素子を提供することができる。
【0234】
本発明の第16の態様における表示素子または調光素子は、第15の態様の構成において、上記環状化合物がチューブ状であり、鎖状化合物がチューブ内を移動する構成である。この構成によって、鎖状化合物の移動によるスイッチング原理に基づく新規な表示素子、特に高速応答性、高い信頼性を有する表示素子を提供することができる。
【0235】
本発明の第17の態様における表示素子または調光素子は、第1から第6の態様の構成において、上記超分子構造体は外部刺激を与えられる最小単位内に少なくとも2種類以上の異なる構成単位を持つ構成である。この構成によって、階調表示を用意に可能にする表示素子を提供することができる。
【0236】
本発明の第18の態様における表示素子または調光素子は、第1から第17の態様の構成において、上記構造体を構成する系に、少なくとも2種類以上の鎖長の異なる鎖状化合物が含まれていることを特徴としている。この構成によって、階調表示を用意に可能にする表示素子を提供することができる。
【0237】
本発明の第19の態様における表示素子または調光素子は、第1から第5の態様の構成において、上記超分子構造体の外部刺激による光学特性変化の形態が同一素子内の外部刺激の与えられる最小単位内で、少なくとも二種類以上起こる構成である。この構成によって、多機能な表示素子、特にマルチシーンディスプレイを提供することができる。
【0238】
本発明の第20の態様における表示素子または調光素子は、第1から第5の態様の構成において、上記超分子構造体が、外部刺激による光学特性変化の形態が同一分子内で少なくとも二種類以上設けられる構成である。この構成によって、多機能な表示素子、特にマルチシーンディスプレイを提供することができる。
【0239】
本発明の第21の態様における表示素子または調光素子は、第1から第20の態様の構成において、上記超分子構造体と電極から構成される素子において、1層の標準電極と前記標準電極を挟み込む少なくとも2層以上の超分子構造体、さらに前記超分子構造体の外側に設置された電極が設けられ、上記三つの電極によって同時に2層の超分子構造体を制御する構成である。この構成によって、超分子構造体の階調表示素子や多機能な表示素子を提供できる。
【0240】
本発明の第22の態様における表示素子または調光素子は、第1から第21の態様の構成において、上記超分子構造体と電極から構成される素子において、1表示画素が複数に分割されている構成である。この構成によって、超分子構造体の階調表示素子や多機能な表示素子を提供できる。
【0241】
本発明の第23の態様における表示素子または調光素子は、第1から第22の態様の構成において、上記超分子構造体と電極から構成される素子の少なくとも一部分が、転写法によって製造される構成である。この構成によって、超分子構造体や有機機能膜を侵すことなく素子構成膜を積層でき、特性を十分発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超分子構造体の例を示す図である。
【図2】本発明に係る本発明の表示素子の概略図を示す図である。
【図3】本発明に係る超分子構造体の分子シャトルの概略図を示す図である。
【図4】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象の1例を示す図である。
【図5】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象の1例を示す図である。
【図6】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象の1例を示す図である。
【図7】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象の1例を示す図である。
【図8】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図9】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図10】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図11】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図12】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図13】本発明に係る超分子構造体の包接−解離現象による光学特性の変化の1例を示す図である。
【図14】本発明に係る超分子構造体の分子ステーション現象の1例を示す図である。
【図15】本発明に係る超分子構造体の分子ステーション現象の1例を示す図である。
【図16】本発明に係る超分子構造体の分子ステーション現象の1例を示す図である。
【図17】本発明に係る超分子構造体の分子ステーション現象の1例を示す図である。
【図18】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図19】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図20】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図21】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図22】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図23】本発明に係る超分子構造体の末端基の相互作用の1例を示す図である。
【図24】本発明に係る超分子構造体の末端基相互作用による光学変化の1例を示す図である。
【図25】本発明に係る発色団の構成を示す図である。
【図26】本発明に係る超分子構造体の末端基相互作用による光学変化の1例を示す図である。
【図27】本発明に係る電極構造の1例を示す図である。
【図28】本発明に係る電極構造の1例を示す図である。
【図29】本発明に係る電極構造の1例を示す図である。
【図30】本発明に係る超分子構造体の1例を示す図である。
【図31】本発明に係る超分子構造体の相互作用の1例を示す図である。
【図32】本発明に係る表示素子の構造の1例を示す図である。
【図33】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図34】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図35】本発明に係る実施の形態における表示素子の製造方法の1例を示す図である。
【図36】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図37】本発明に係る実施の形態における超分子構造体の配列の1例をを示す図である。
【図38】本発明に係る実施の形態における超分子構造体の配列の1例を示す図である。
【図39】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図40】本発明に係る実施の形態における電極形成方法の1例を示す図である。
【図41】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図42】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図43】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【図44】本発明に係る実施の形態における表示素子の概略を示す図である。
【符号の説明】
1:鎖状化合物
2:環状化合物
3:誘導体
4:鎖状化合物上の異なる組成単位
5:鎖状化合物上の異なる組成単位
6:基板
7:超分子構造体
8:封止材料
9:対抗基板
10:側面封止材料
11:区画化材料
12:ストッパー
13:交換鎖状化合物
14:媒質(バインダー樹脂)
15:屈曲性鎖状化合物
16:顕色化合物
17:化合物
18:末端誘導基
19:末端基一部組成部
20:輸送体
21:移動体
22:キャリア
23:キャリア生成部
24:対キャリア
25:電極
26:電極保護層
27:スルーホール電極
28:チューブ状化合物
51:基板
52:電極
53:絶縁性機能膜
54:超分子構造体
55:対抗電極
56:絶縁性機能膜
57:保護層
58:転写基板
59:転写剥離層
60:白色反射板
61:発色相互作用基
62:発光相互作用基
63:絶縁膜
64:表示画素
101:表示素子
102:基板
103:転写基板
104:単色発色素子
105:単色発色素子
106:単色発色素子
107:積層カラー素子
108:インプレイン表示素子
109:単層インプレイン表示素子
110:単層インプレイン表示素子
111:単層インプレイン表示素子
112:積層インプレイン表示素子
113:2層同時駆動素子

Claims (31)

  1. 環状化合物と前記環状化合物に包接された鎖状化合物からなり、外部刺激によって前記環状化合物が前記鎖状化合物上を移動することができる超分子構造体、及び少なくとも1枚の支持基板から構成される表示素子または調光素子。
  2. 環状化合物と前記環状化合物に包接された鎖状化合物からなり、外部刺激によって前記環状化合物が前記鎖状化合物上を移動することができる超分子構造体を、少なくとも1枚の支持基板と封止材料によって狭持してなる表示素子または調光素子。
  3. 超分子構造体が、環状化合物と前記環状化合物を鎖状化合物が貫通することができるロタキサン構造体を有する請求項1および2に記載の表示素子または調光素子。
  4. 超分子構造体が、環状化合物が鎖状化合物から脱離しないように前記鎖状化合物の少なくとも一端に置換基を導入している請求項1から3に記載の表示素子または調光素子。
  5. 超分子構造体が、外部刺激により、環状化合物と鎖状化合物との間に包接状態と解離状態とを起こし光学特性を変化させる請求項1から4に記載の表示素子または調光素子。
  6. 環状化合物と前記環状化合物に包接される鎖状化合物からなる超分子構造体において、環状化合物を移動し停止し環状化合物と鎖状化合物との相対的位置を変化させることによって、相互作用変化を発現する請求項1から5に記載の表示素子または調光素子。
  7. 環状化合物を移動し停止し、環状化合物と鎖状化合物の末端部との相対的位置を変化させることによって、相互作用変化を発現する請求項6に記載の表示素子または調光素子。
  8. 外部刺激を支持基板に備えた電極により電気的刺激として与える請求項1から7に記載の表示素子または調光素子。
  9. 電気的刺激が、支持基板の間で、または支持基板に対して同一平面上で与えられる請求項8に記載の表示素子または調光素子。
  10. 超分子構造体が、支持基板に対して垂直もしくは略垂直または平行もしくは略平行に配向している請求項1から9に記載の表示素子または調光素子。
  11. 相互作用変化およびこれに伴う光学変化が、超分子構造体の単一分子内で完結する請求項1から10に記載の表示素子または調光素子。
  12. 超分子構造体と支持基板の間に、少なくとも一層の中間層を含む請求項1から11に記載の表示素子または調光素子。
  13. 中間層が、電界印加時支持基板に備えた電極と超分子構造体間のインターフェイスとして機能する請求項12に記載の表示素子または調光素子。
  14. 超分子構造体又は前記超分子構造体を含む系が固体である請求項1から13に記載の表示素子または調光素子。
  15. 超分子構造体における環状化合物が、複数の環状化合物で形成されたチューブ状化合物である請求項1から14に記載の表示素子または調光素子。
  16. 超分子構造体における環状化合物が、鎖状化合物中に複数個包接されている請求項1から15に記載の表示素子または調光素子。
  17. 環状化合物がチューブ状であり、鎖状化合物がチューブ内を移動する請求項1から16に記載の表示素子または調光素子。
  18. 超分子構造体が、外部刺激を与えられる最小単位内に少なくとも2種類以上の異なる構成単位をもつ請求項1から17に記載の表示素子または調光素子。
  19. 超分子構造体を構成する系に、少なくとも2種類の鎖長の異なる鎖状化合物が含まれている請求項1から18に記載の表示素子または調光素子。
  20. 超分子構造体の外部刺激による光学特性変化が、同一素子内の外部刺激の与えられる最小単位内で、少なくとも二種類の形態で起きる請求項1から6に記載の表示素子または調光素子。
  21. 超分子構造体が、外部刺激による光学特性変化が同一分子内で少なくとも二種類の形態で起きる請求項1から6に記載の表示素子または調光素子。
  22. 請求項1から21に記載の表示素子または調光素子と電極から構成される素子構成において、1層の標準電極、前記標準電極を挟み込む少なくとも2層の超分子構造体および前記超分子構造体の外側に電極を備え、前記三つの電極によって同時に2層の超分子構造体を制御する方法。
  23. 請求項1から22に記載の表示素子または調光素子と電極から構成され素子構成において、1表示画素が複数に分割され、分割された画素に各々独立に電界を印加する方法。
  24. 支持基板上に、電極、絶縁性機能膜、環状化合物と前記環状化合物に包接された鎖状化合物からなり外部刺激によって前記環状化合物が前記鎖状化合物上を移動することができる超分子構造体、前記電極と平行または垂直に交差するよう配置される対抗電極、及び保護膜を順次積層する表示素子または調光素子の製造方法。
  25. 超分子構造体が、環状化合物と前記環状化合物を鎖状化合物が貫通することができるロタキサン構造体を有する請求項24に記載の表示素子または調光素子の製造方法。
  26. 超分子構造体が、環状化合物が鎖状化合物から脱離しないように前記鎖状化合物の少なくとも一端に置換基を導入している請求項24、25に記載の表示素子または調光素子の製造方法。
  27. 超分子構造体が、外部刺激により、環状化合物と鎖状化合物との間に包接状態と解離状態とを起こし光学特性を変化させる請求項24から26に記載の表示素子または調光素子の製造方法。
  28. 環状化合物と前記環状化合物に包接される鎖状化合物からなる超分子構造体が、環状化合物を移動し停止し環状化合物と鎖状化合物との相対的位置を変化させることによって、相互作用変化を発現する請求項24から27に記載の表示素子または調光素子の製造方法。
  29. 環状化合物を移動し停止し、環状化合物と鎖状化合物の末端部との相対的位置を変化させることによって、相互作用変化を発現する請求項28に記載の表示素子または調光素子の製造方法。
  30. 請求項24から29に記載の表示素子または調光素子の製造方法において、表面画素が複数に分割され、分割された画素に各々独立電界を印加できるよう配置する製造方法。
  31. 請求項24から29に記載の表示素子または調光素子の製造方法において、少なくとも一部分に転写法を用いる製造方法。
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