JP4175454B2 - クローラー車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特にブルドーザのような土木機械として通常使用される、揺動キャタピラキャリッジ(carriage)を備えたクローラー車両もしくは無限軌道車両に関するものである。より具体的には、本発明は、長手方向軸と、支持フレームと、該支持フレームの両側に配置された2つの長手方向キャリッジとを有する車両に関するものである。これらのキャリッジは、車両を駆動するためのキャタピラをそれぞれ支持すると共に、各後部の旋回軸によりフレームに接続されていて、車両が走行する地面の起伏にあわせて、実質的に垂直の揺動面において後部横断軸回りに回転する。
【0002】
【従来の技術】
上述した形式の車両において、各キャリッジの前端部は、通常、揺動面におけるキャリッジの動きを案内するための垂直ガイドによりフレームに接続されている。
【0003】
上述した形式の既知クローラー車両が特に風塵や泥濘の荒れ地条件で運転されると、キャリッジの前端部同士を接続するガイドは、厳しい摩耗及び損傷を受け、従って、継続的な保守と、頻繁な交換とを必要とするようになる。
【0004】
取り得る解決策としては、これらのキャリッジの前端部が前部横断部材により互いに接続されており、前部横断部材の中央部分は車両のフレームに枢着されていて、長手方向軸に平行な軸回りに回転する。具体的には、横断部材の各端部は、後部横断軸に対して垂直な円柱形のヒンジピンにより各キャリッジに枢着されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この解決策では、それぞれの揺動面において一方のキャリッジを上方に回らせ他方のキャリッジを下方に回らせるような荒れ地で運転する場合に、キャリッジ、後部ヒンジ及び前部ヒンジピンが受ける厳しくかつ危険であると思われる曲げ、捩り、および曲げと捩り両方の応力が作用するために十分ではない。
【0006】
実際に、左右のキャリッジが後部横断軸を中心として反対方向に次第に回るときに、これらのキャリッジの前端部間の距離が増すのに対して、前端部は横断部材により実質的に剛に互いに結合されたままであり、そのため、キャリッジに対して、そして間接的であるが後部ヒンジに対して、応力が発生し、その結果、歪みが発生する。
【0007】
従って、本発明の目的は、上述の欠点に対して簡単かつ低コストな解決策となるように設計された揺動キャタピラキャリッジを備えたクローラー車両を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、長手方向軸と、該長手方向軸に沿って延びるフレームと、該フレームの両側にある2つのキャタピラキャリッジと、前記各キャタピラキャリッジ及び前記フレームの間に介在して、前記各キャタピラキャリッジが、前記フレームに関し、前記長手方向軸に対して垂直の少なくとも第1ヒンジ軸の回りに揺動することを可能とするための第1接続手段と、前記第1ヒンジ軸に対して実質的に平行の接続横断部材と、前記接続横断部材及び前記各キャタピラキャリッジの間に介在して、前記接続横断部材及び前記各キャタピラキャリッジが、前記第1ヒンジ軸に対して垂直の第2ヒンジ軸の回りに相対的に揺動することを可能とするための第2接続手段とを有するクローラー車両が提供されている。
【0009】
このクローラー車両は、前記キャタピラキャリッジが前記第1ヒンジ軸の回りに揺動するときに、前記接続横断部材の長さを2つの所定値間で変えるための補償手段を更に備えていることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、一つの実施例について説明する。なお、本実施の形態は本発明を限定するものではない。
【0011】
図1における符号1は、特にブルドーザのような土木機械として通常用いられるクローラー車両もしくは無限軌道車両を表わしている。このクローラー車両1は、長手方向軸3を有すると共に、この軸3の方向に延びる支持フレーム2を備えている。車両1は更に、支持フレーム2の両側に配置された2つのキャタピラキャリッジ4を備えており、該キャタピラキャリッジ4は長手方向軸3に対して実質的に平行に延びている。
【0012】
図1及び図2を参照するに、各キャタピラキャリッジ4は、支持構造体6とキャタピラ7とを備え、キャタピラ7は、支持構造体6により支持されると共にその周囲に沿って走行する。各キャタピラ7は、既知の方法(図示せず)で駆動され車両1を推進する。これらの支持構造体6は、それぞれの接続アセンブリ9(詳細には図示されていないが、その内の1つのみが図1に示されている)により支持フレーム2に接続された後部部分8をそれぞれ備えており、該接続アセンブリ9によって、キャタピラキャリッジ4は、双方のキャタピラキャリッジ4が互いに平行である中間規準位置の両側で、軸3に対して垂直な水平ヒンジ運動軸10を中心として、支持フレーム2に関し揺動もしくは首振りが可能である。接続アセンブリ9は、支持フレーム2と後方部分8の接続部に、ある程度の半径方向及び軸方向への隙間を持たせている。
【0013】
図1〜図5を参照するに、支持構造体6はまた、前部接続フォークもしくは分岐構造部12をそれぞれ備えており、各前部接続フォーク12は、支持フレーム2に対峙すると共に、水平ヒンジ運動軸10に垂直な規準軸17に沿って形成された円筒形の座部15,16の形状を定める2本のアーム部13,14を備えている。
【0014】
各支持構造体6は、横断部材18により特定されるフロントサスペンションによって互いに結合され支持されている。該横断部材18は、水平ヒンジ運動軸10に対して実質的に平行であると共に、既知のヒンジ装置20(図1)により支持フレーム2に結合される中央部分19を設けていて、横断部材18が、軸3に平行な中央軸21と垂直であると共に、図2の面に一致する垂直面P(図3)において、中央軸21を中心として揺動することができる。
【0015】
横断部材18は、反対方向に延びる2つのアーム部22を備え、各アーム部22は、それぞれの前部接続フォーク12のアーム部13,14の間に間挿されると共に、接続アセンブリ25によりフォーク12に接続される部分23で終端している。この接続アセンブリ25は、座部15,16と、部分23に貫通形成された長手方向座部26(図4及び図5)と、座部15,26及び16に係合するヒンジピン(補償手段)30とから構成されている。
【0016】
特に図3〜図5を参照すると、ヒンジピン30は、その両端に、同軸状の円柱端部分36,37を備えており、該端部分36,37が、横断部材18及び各キャタピラキャリッジ4の相対揺動(oscillation)を可能にするような軸方向に固定された回転方式で規準軸17に沿って各座部15,16に係合する。ヒンジピン30は更に、規準軸17に関して平行ではあるが中心がずれている軸40に沿って端部分36,37間に延在する円柱形の中間部分38を備えている。この中間部分38は、端部分36,37の直径と直径との間の直径(各直径の平均値)を有すると共に、図4に関し、端部分36の上側母線(generating line)と端部分37の下側母線の延長部を規定する2つの直径方向に対峙した母線を有している。
【0017】
端部分37は座部26に係合すると共に、接続アセンブリ25の一部を形成する関節式継手もしくは球面継手44の介在により、部分23に接続されている。この球面継手44は、部分23に一体的に接続されると共に、球面座部46の形状を定める外側リング45と、中間部分38に接続されると共に、軸方向の反対方向に滑動可能であって(図3)球面座部46に係合する球形ヘッド48を備える内側リング47とから構成されている。
【0018】
図1〜図5を参照すると、実際に使用する場合、支持フレーム2に関するキャタピラキャリッジ4の位置は、地形もしくは地面の起伏に応じて自動的に適応する。無限軌道車両1が平らな土地を走行するときには、これらのキャタピラキャリッジ4は中間規準位置(図5参照。諸部材は図2において実線で示されている。)に留まっており、各ヒンジピン30は、それぞれの軸17及び40が、軸21に平行であり、しかも、軸10に対して垂直でかつキャタピラキャリッジ4の揺動もしくは首振り面に対して平行な面Qにある、第1作動位置に設定されている。逆に、無限軌道車両1が下り坂或いは隆起上を走行するときには、これらのキャタピラキャリッジ4が軸10を中心として反対方向に回転するので、横断部材18は、平面Pにおいて軸21回りにロックする。キャタピラキャリッジ4及び横断部材18が揺動するときに、軸17は支持構造体6により保持されてそれぞれの面Qにおいて軸10回りに回転するが、軸40は横断部材18及び関節式継手44により保持されて軸21回りに回転する。面Pにおける軸17及び40の経路間の相違の結果、各ヒンジピン30は、接続横断部材18の軸21から偏心部分38の軸40までの距離が変わるように、座部15,16において各軸17回りに自動的に回転する。
【0019】
各ヒンジピン30は、接続横断部材18の軸21から偏心部分38の軸40までの距離の値がL1(図2)である第1作動位置(図2及び図5)から、軸17,40が軸21に関して半径方向の同じラインRと交差する第2限界作動位置(図2及び図4)に自由に回転し、そして、接続横断部材18の軸21から偏心部分38の軸40までの距離の値はL1より大きいL2になる。具体的には、値L1及びL2間の差は中間部分38の偏心量の2倍に等しい。
【0020】
同時に、各関節式継手44は、それぞれのヒンジピン30の傾きを横断部材18の傾きに適応させ、一方、中間部分38への内側リング47の滑り結合は、ヒンジピン30を軸方向に案内すると共に、キャタピラキャリッジ4が揺動するときの軸17(図3)に沿ったフォーク12及び部分23が移動する経路間の差Dを補えるようになっている。
【0021】
図6は、接続アセンブリ25の変形例を概略的に示しており、この変形例において、内側リング47は案内ピン30の中間部分38に一体的に接続されているが、アーム部13,14は軸17に沿ってそれぞれ案内座部15,16の形状を定め、そして端部分36,37が軸方向に滑動する態様でアーム部13,14に接続された滑動体の形状を定めている。図6から分かるように、横断部材18に一体的に接続された外側リング45は、座部15,16内での案内ピン30の滑り運動のため、軸10回りにキャタピラキャリッジ4が揺動もしくは首振り運動する間、面Pに留まっていることができる。
【0022】
同時に、案内ピン30だけでなく後部接続アセンブリ9により許容される支持構造体6及び支持フレーム2間の隙間のため、各キャタピラキャリッジ4は、軸10に対して交差する任意の軸回りに揺動もしくは首振りすることが可能である。また、無限軌道車両1が走行している地面の起伏に適応するキャタピラキャリッジ4の能力を更に改善するのに十分ではあるが、各キャタピラキャリッジ4の横方向位置を比較的に少量の運動により軸10に平行に適応させることが可能である。
【0023】
従って、支持フレーム2に関するキャタピラキャリッジ4の位置は、支持構造体6又は接続アセンブリ9,25に対して過酷な応力もしくは歪みを発生することなく地面の起伏に従うように適応させることができる。実際上、接続アセンブリ25は、キャタピラキャリッジ4が横断部材18を空間のどの方向に向かせることを可能にしている。このような適応性は、無計画ではなく、管理された仕方で関節式継手44により、特に、中間部分38の偏心度により決まる2つの限界作動位置間で位置が変わる案内ピン30により生ずる。
【0024】
また、フォーク12及び案内ピン30間の接続部が比較的に直接に塵芥のような外部原因物質から保護されているので、接続アセンブリ25は、構造的に信頼性がある。
【0025】
更に、案内ピン30は、その形状のため、座部15内に軸方向に挿入し、内側リング47に通し、そして座部16に挿入することにより、比較的に容易に一操作で組み立てることができる。
【0026】
明らかに、本発明の範囲から逸脱することなく、この明細書に記載し図示したようにクローラー車両に変更を加えることができる。
【0027】
特に、案内ピン30以外の補償装置を設けて接続横断部材18の軸21から偏心部分38の軸40までの距離を変えてもよいし、関節式継手以外の接続アセンブリを中間部分38と部分23との間に介在させてもよく、両方とも備えていても良い。
【0028】
更に、関節式継手44は、横断部材18とは異なって支持構造体6により支持することができ、また、案内ピン30は、横断部材18と一体のフォークにより支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による揺動もしくは首降り式キャタピラキャリッジを備えたクローラー車両の平面図であり、明瞭にするため種々の部分は除去してある。
【図2】異なる作動位置にある図1のクローラー車両の詳細を示す概略拡大正面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った、1つの作動位置にある図2の詳細の拡大断面図である。
【図5】図2のV−V線に沿った、別の作動位置にある図2の詳細の拡大断面図である。
【図6】上述した図におけるクローラー車両の変形例を示す部分側面図であり、キャタピラ可動台車は2つの異なる作動位置にある。
【符号の説明】
1 クローラー車両(無限軌道車両)
2 フレーム
3 長手方向軸
4 キャタピラキャリッジ
9 接続アセンブリ(第1接続手段)
10 水平ヒンジ運動軸(第1ヒンジ軸)
15 座部(案内手段)
16 座部(案内手段)
17 規準軸(第2ヒンジ軸)
18 接続横断部材
25 接続アセンブリ(第2接続手段)
30 ヒンジピンもしくは案内ピン(補償手段,円柱体)
36 同軸円柱端部分(滑り手段)
37 同軸円柱端部分(滑り手段)
38 中間部分(偏心部分)
44 球面継手(接続手段,関節式継手)
46 球面座部
48 球形ヘッド
L1,L2 接続横断部材の軸から偏心部分の軸までの距離の所定値
Claims (6)
- 長手方向軸(3)と、該長手方向軸(3)に沿って延びるフレーム(2)と、該フレーム(2)の両側にある2つのキャタピラキャリッジ(4)と、該各キャタピラキャリッジ(4)及び前記フレーム(2)の間に介在して前記各キャタピラキャリッジ(4)が前記フレーム(2)に関して前記長手方向軸(3)に対して垂直の少なくとも第1ヒンジ軸(10)の回りに揺動することを可能とするための第1接続手段(9)と、該第1ヒンジ軸(10)に対して実質的に平行の接続横断部材(18)と、前記接続横断部材(18)及び前記各キャタピラキャリッジ(4)の間に介在して前記接続横断部材(18)及び前記各キャタピラキャリッジ(4)が前記第1ヒンジ軸(10)に対して垂直の第2ヒンジ軸(17)の回りに相対的に揺動することを可能とするための第2接続手段(25)を有するクローラー車両(1)において、
前記第2接続手段(25)の一部が、補償手段(30)として形成され、前記補償手段(30)は、前記キャタピラキャリッジ(4)の各々について、対応する前記第2ヒンジ軸(17)の回りに回転するように前記キャタピラキャリッジ(4)に接続されており、前記補償手段(30)は、長手方向の両端に前記第2ヒンジ軸(17)に沿った円中心の軸を有する円柱形の2つの同軸円柱端部分(36,37)と、該2つの同軸円柱端部分(36,37)の間に前記第2ヒンジ軸(17)に対して平行で、かつずれて配置されている軸(40)を通るような円中心を有する円柱形の偏心部分(38)とを備えており、前記補償手段(30)は、前記偏心部分(38)と前記接続横断部材(18)とを可動可能に接続するための接続手段(44)を備えており、前記2つの同軸円柱端部分(36,37)が、前記キャタピラキャリッジ(4)により支持された案内手段(15,16)に対して、前記第2ヒンジ軸(17)に沿って相対的に並進するのを許容する滑り手段として構成されており、
前記補償手段(30)は段付形状に形成されており、一方の同軸円柱端部分(36)は、他方の同軸円柱端部分(37)の直径よりも大きく形成されており、前記偏心部分(38)は、前記一方の同軸円柱端部分(36)と前記他方の同軸円柱端部分(37)の直径との間にある大きさの直径を有する円柱形状に形成されており、前記偏芯部分(38)の全体は、前記一方の同軸円柱端部分の半径方向内側に配置されており、前記補償手段(30)を前記他方の同軸円柱端部分(37)から前記案内手段(15,16)内に挿入することによって、前記案内手段(15,16)内への前記補償手段(30)の装着を容易にするように構成されており、前記キャタピラキャリッジ(4)が前記第1ヒンジ軸(10)の回りに揺動するときに、補償手段(30)は、接続横断部材(18)の軸(21)から偏心部分(38)の軸(40)までの距離を2つの所定値(L1,L2)間で変化させるように構成されていることを特徴とするクローラー車両。 - 前記接続手段は球面継手(44)であることを特徴とする請求項1に記載のクローラー車両。
- 前記各球面継手(44)は、前記偏心部分(38)により支持される球形ヘッド(48)と、該球形ヘッド(48)に係合すると共に、前記接続横断部材(18)により支持される球面座部(46)とを備えていることを特徴とする請求項2に記載のクローラー車両。
- 前記第1接続手段(9)は、前記各キャタピラキャリッジ(4)が前記第1ヒンジ軸(10)に対して交差する少なくとも1つの軸回りに前記フレーム(2)に関して揺動可能に構成されてていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクローラー車両。
- 前記2つの所定値(L1,L2)の差は前記偏心部分(38)の偏心度の2倍に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクローラー車両。
- 前記補償手段(30)は、前記キャタピラキャリッジ(4)が前記第1ヒンジ軸(10)回りに揺動する際に、前記長手方向軸(3)と、前記第1ヒンジ軸(10)と、前記長手軸方向および前記第1ヒンジ軸に直交する高さ方向の軸とからなる3つの直交軸における前記キャタピラキャリッジ(4)及び前記接続横断部材(18)間の径路 の差を補償するように作動可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のクローラー車両。
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