JP4174832B2 - スタータ - Google Patents
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このスタータは、図5に示す様に、円筒形状を有する外周面がボールベアリング100を介してフレーム110に回転自在に支持されると共に、円筒形状の内周に雌ヘリカルスプライン120が形成されたチューブ130と、このチューブ130にモータ(図示せず)の回転力を伝達する一方向クラッチ140と、軸方向の一端側外周に雄ヘリカルスプライン150が形成され、その雄ヘリカルスプライン150がチューブ130の雌ヘリカルスプライン120に係合する出力軸160等を備え、この出力軸160を図示左方向へ移動させて、出力軸160の端部に支持されたピニオン(図示せず)をエンジンのリングギヤ(図示せず)に噛み合わせる方式である。
本発明は、モータの回転力が伝達されて回転する円筒形状を有し、この円筒形状の内周に雌スプラインが形成されたチューブと、軸方向の一端側外周に雄スプラインが形成され、この雄スプラインが雌スプラインに係合して、チューブと一体に回転可能であり、且つチューブに対し軸方向に移動可能に設けられた出力軸等を備えるスタータであって、チューブの軸方向一端面には、外径側より内径側の方が軸方向に低く形成された段差部が設けられて、この段差部に遮蔽部材が配置され、この遮蔽部材は、雌スプラインと雄スプラインとが係合するスプライン係合部の軸方向一端側を閉塞すると共に、少なくとも段差部からスプライン係合部に掛かる部分の板厚が薄く設けられていることを特徴とする。
また、本発明の遮蔽部材は、少なくとも、チューブの段差部からスプライン係合部に掛かる部分の板厚が薄く設けられているので、チューブの軸方向一端面に設けられる段差部を浅く形成することができる。従って、チューブの軸方向一端面に段差部を設けても、チューブの内周に形成される雌スプラインの長さが著しく短くなることはなく、強度面で不利になることはない。
請求項1に記載したスタータにおいて、遮蔽部材は、径方向全体で板厚が略一定なプレート状部材であることを特徴とする。
この場合、例えばワッシャ等の単純なプレート状部材を遮蔽部材として使用できるので、遮蔽部材に掛かるコストを低減できる。また、遮蔽部材の板厚が径方向全体で略一定であるため、請求項1にも記載した様に、段差部を浅く形成することができ、チューブの全長を長くする必要がないので、スタータの設計変更も不要である。
請求項1または2に記載したスタータにおいて、遮蔽部材は、径方向の中央部を板厚方向に貫通する貫通孔が開けられていることを特徴とする。
この構成によれば、チューブに対し出力軸が軸方向に移動する際に、遮蔽部材の貫通孔が通気孔の役目を果たすので、チューブ内に空気が閉じ込められることはなく、出力軸の移動をスムーズにできる。
請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、遮蔽部材は、出力軸の静止位置を規制するストッパ面を兼ねていることを特徴とする。
この構成によれば、エンジン側へ移動(前進移動)した出力軸が戻る時に、出力軸の端面を遮蔽部材に当接させることで、出力軸の移動を停止させることができる。
請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、チューブの他端側内周には、出力軸がエンジン側へ移動した時に、出力軸の移動を規制するストッパ部が設けられ、このストッパ部の内周面が、出力軸に対する摺動面として形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、ストッパ部の内周面と出力軸の外周面との摺動隙間より流出するグリスを低減できるので、遮蔽部材によるグリスの流出抑制効果を期待できる。
請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、モータの回転力をクラッチアウタからローラを介してチューブに伝達する一方向クラッチを備え、クラッチアウタは、ローラの軸方向の移動を規制する側壁部と一体に設けられ、この側壁部とチューブとの間に遮蔽部材が挟持されていることを特徴とする。
請求項1〜6に記載した何れかのスタータにおいて、出力軸は、軸方向の他端側が軸受を介してハウジングに回転自在及び摺動自在に支持され、ピニオンギヤは、軸受より外側(反チューブ側)へ突き出る出力軸の端部に配置されて、出力軸に片持ち支持されていることを特徴とする。
本実施例のスタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転が減速装置とクラッチ(共に後述する)を介して伝達される出力軸3と、この出力軸3上に配置されるピニオンギヤ4と、モータ2の通電回路に設けられるメイン接点(後述する)を開閉制御すると共に、シフトレバー(図示せず)を介して出力軸3を軸方向に移動させる電磁スイッチ5等より構成される。
センタケース12は、モータ2のヨーク17とフロントハウジング18との間に配置されて、減速装置と一方向クラッチの外側を覆っている。
クラッチアウタ19は、前記キャリア部16と一体に設けられて、このキャリア部16がローラ21の軸方向移動を規制する本発明の側壁部を兼ねている。なお、キャリア部16の中央部には、キャリア部16を板厚方向(図1の左右方向)に貫通する貫通孔16aが形成されている。
軸受部20aの内周には、出力軸3がエンジン側(図1の左側)へ移動した時に、その出力軸3の移動を規制するストッパ部20bが設けられている。更に、チューブ20の内周には、軸方向の一端(図示右端)からストッパ部20bまでの間に雌ヘリカルスプライン20cが形成されている。
この段差部20dにプレート状部材23(例えばワッシャ)が配置されて、段差部20dとキャリア部16との間に挟持されている。
チューブ20の軸方向後端であるモータ2側の端部に設けられたプレート状部材23は、チューブ20の外径よりも小さい外径を有している。
プレート状部材23は、少なくとも、チューブ20の内周面と出力軸3の外周面との間に形成された円筒状隙間を、その後端で閉塞しうる範囲にわたって拡がっている。プレート状部材23は、環状であり、その中央に貫通孔としての丸孔23aを有している。プレート状部材23に設けられた丸孔23aは、キャリア部16に設けられた貫通孔16aと連通して、その前後の空間を連通している。
プレート状部材23は、チューブ20の内周面から見ても、それらよりも更に径方向内側へ延び出す環状の壁を提供している。プレート状部材23は、チューブ20の後端に固定されても良く、チューブ20の後端と他の部材との間に挟持されても良い。プレート状部材23に相当する軸方向厚さの薄い板状部分をチューブ20に一体成形して、プレート状部材23に代えることもできる。
始動スイッチ25の閉操作により電磁スイッチ5の励磁コイル26が通電されると、プランジャ27が吸引されることにより、シフトレバーを介して出力軸3が反モータ方向へ押し出される。ここで、出力軸3上のピニオンギヤ4が、エンジンのリングギヤ(図示せず)にスムーズに噛み合った場合は、可動接点32が一組の固定接点30、31に当接してメイン接点が閉じることにより、電機子8に回転力が発生する。
エンジン始動後、始動スイッチ25が開操作されると、励磁コイル26への通電停止により磁力が消滅するため、プランジャ27がリターンスプリングの反力で押し戻され、メイン接点が開くことにより、電機子8への通電が停止される。
また、プランジャ27が押し戻されると、シフトレバーを介して出力軸3が戻され、出力軸3の後端面(モータ側端面)がプレート状部材23に当接して停止する。
上記のスタータ1は、チューブ20の段差部20dに配置されたプレート状部材23がスプライン係合部の一端側を閉塞しているので、出力軸3が軸方向に移動を繰り返しても、スプライン係合部に塗布されているグリスがチューブ20の一端側より外部へ流出することを抑制できる。
2 モータ
3a 雄ヘリカルスプライン(雄スプライン)
3 出力軸
4 ピニオンギヤ
16 キャリア部(側壁部)
18 フロントハウジング
19 クラッチアウタ
20 チューブ
20b ストッパ部
20c 雌ヘリカルスプライン(雌スプライン)
20d 段差部
21 ローラ
23 プレート状部材(遮蔽部材)
23a プレート状部材の丸孔(貫通孔)
Claims (7)
- 回転力を発生するモータと、
このモータの回転力が伝達されて回転する円筒形状を有し、この円筒形状の内周に雌スプラインが形成されたチューブと、
軸方向の一端側外周に雄スプラインが形成され、この雄スプラインが前記雌スプラインに係合して、前記チューブと一体に回転可能であり、且つ前記チューブに対し軸方向に移動可能に設けられた出力軸と、
この出力軸上に配置され、エンジンのリングギヤに回転力を伝達するためのピニオンギヤとを備えるスタータであって、
前記チューブの軸方向一端面には、外径側より内径側の方が軸方向に低く形成された段差部が設けられて、この段差部に遮蔽部材が配置され、
この遮蔽部材は、前記雌スプラインと前記雄スプラインとが係合するスプライン係合部の軸方向一端側を閉塞すると共に、少なくとも前記段差部から前記スプライン係合部に掛かる部分の板厚が薄く設けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記遮蔽部材は、径方向全体で板厚が略一定なプレート状部材であることを特徴とするスタータ。 - 請求項1または2に記載したスタータにおいて、
前記遮蔽部材は、径方向の中央部を板厚方向に貫通する貫通孔が開けられていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
前記遮蔽部材は、前記出力軸の静止位置を規制するストッパ面を兼ねていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜4に記載した何れかのスタータにおいて、
前記チューブの他端側内周には、前記出力軸がエンジン側へ移動した時に、その出力軸の移動を規制するストッパ部が設けられ、このストッパ部の内周面が、前記出力軸に対する摺動面として形成されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜5に記載した何れかのスタータにおいて、
前記モータの回転力をクラッチアウタからローラを介して前記チューブに伝達する一方向クラッチを備え、
前記クラッチアウタは、前記ローラの軸方向の移動を規制する側壁部と一体に設けられ、この側壁部と前記チューブとの間に前記遮蔽部材が挟持されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜6に記載した何れかのスタータにおいて、
前記出力軸は、軸方向の他端側が軸受を介してハウジングに回転自在及び摺動自在に支持され、
前記ピニオンギヤは、前記軸受より外側(反チューブ側)へ突き出る前記出力軸の端部に配置されて、前記出力軸に片持ち支持されていることを特徴とするスタータ。
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