JP4174605B2 - 航空機用空気調和装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定翼機および回転翼機を含む航空機の機内温度、酸素分圧、圧力を制御すると共に、燃料系統に酸素濃度を下げた空気を供給する空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機における空気調和装置として、エンジンの圧縮部で圧縮された抽出空気を、機外空気と熱交換して冷却した後にラジアルコンプレッサで断熱圧縮し、これを再度機外空気と熱交換して冷却した後に、膨張タービンにより断熱膨張することで、調温、調圧された冷気を得るエアサイクル式冷却装置が従来から主に使用されている。
【0003】
軍用機の中には、ミッション中に燃料タンクに被弾した場合に爆発するのを防ぐため、燃料タンクに窒素ガスまたは窒素濃度を高めた空気を注入するOBIGGS(On Board Inert Gas Generation System)を備えるものがある。また、近年の民間航空機における事故調査から、燃料タンク内の空間に溜まった空気と燃料蒸気との混合物に機内の配線などから生じたスパークが引火し、火災が発生することが判明している。そのような火災を防止するため、民間航空機においても上記OBIGGSを採用することが検討されている。
【0004】
そのOBIGGSは、空気成分の分離機能を有する空気分離部により構成されている。その空気分離部として、透過率が酸素透過率よりも高い選択透過膜を用いるタイプのものがある。その選択透過膜にエンジンからの抽出空気を導入することで窒素富化ガスを生成している。
【0005】
図14に示す従来の航空機用空気調和装置は、エンジン101からの抽出空気を、プリクーラ102と呼ばれる熱交換器により冷却した後、ラジアルコンプレッサ103でほぼ断熱的に圧縮し、これにより昇温された空気をメインクーラ104と呼ばれる熱交換器により冷却し、膨張タービン105でほぼ断熱的に膨張させる。これにより冷気が得られる。そのプリクーラ102およびメインクーラ104においては、ラム空気路109を通る機外空気により冷却が行われる。その膨張タービン105の膨張仕事は、シャフト106を介してコンプレッサ103に伝えられることで、圧縮動力として利用される。なお、航空機が地上にある時や低空飛行時においては、外気温度が高く、空気の水分含有量が多いため、膨張タービン105での膨張時に空気中の水分が凝縮して霧状の水滴が発生する。そのため、膨張タービン105の下流に水分捕捉のためのウォータセパレータ107が配置される。そのウォータセパレータ107を通過した冷気が航空機のコックピット空間を含むキャビン108内に供給されることで冷房が行われる。なお、航空機が地上にあってエンジンが停止している際は、エンジン101に代えてAuxiliary Power Unitと呼ばれる補助エンジンなどの高圧空気供給ユニットからの抽出空気を空気調和装置に供給することが可能とされている。
【0006】
高々度等において暖房を行うため、エンジン101からの抽出空気をキャビン108に導くためのバイパス空気流路111が設けられ、そのバイパス空気流路111はホットエアモジュレートバルブ112により開閉される。抽出空気の一部は、そのホットエアモジュレートバルブ112を開くことで、コンプレッサ103と膨張タービン105とから構成されるエアサイクル式冷却装置で冷却されることなく、ウォータセパレータ107の下流に配置されたミキシングダクト113に導かれる。そのミキシングダクト113において、エアサイクル式冷却装置により冷却された抽出空気と冷却されていない抽出空気とが混合される。よって、ホットエアモジュレートバルブ112の開度を調整することで適度な温度の空気が得られる。その適度な温度の空気がキャビン108内に供給されることで暖房を行うことができる。なお、高々度を巡航する際にはラム空気路109は絞られているため、プリクーラ102やメインクーラ104においてエンジン101からの抽出空気は過剰に冷却されず、ある程度高温に維持される。そのキャビン108内の空気は、空気調和装置からの供給分から、機体からの漏れ分を除いた分に相当する量だけ減圧弁110から直接に機外空間114に放出される。
【0007】
従来のOBIGGSは、上記コンプレッサ103および膨張タービン105により構成されるエアサイクル式冷却装置とは独立して、空気分離部116を備えている。すなわち、プリクーラ102を通過した抽出空気を、エアサイクル式冷却装置に導入される前に分流する分岐空気流路111aが設けられ、その分岐空気流路111aに空気分離部116が設けられている。その空気分離部116は、多数の中空糸が組込まれた選択透過膜116aをチャンバ116bにより覆うことで構成されている。その選択透過膜116aは、空気中の窒素(N2 )、二酸化炭素(CO2 )の透過率が酸素(O2 )の透過率よりも高くされている。エンジン101の抽出空気は、その選択透過膜116aを透過する窒素富化ガスと、残りの酸素濃縮空気とに分離される。その選択透過膜116aによる窒素分離能力は抽出空気圧力に応じて変動する。その窒素富化ガスは燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域115に供給され、必要以上に供給された分は放出路を通って機外空間114に放出される。その選択透過膜116aを透過しなかった酸素濃縮空気は減圧弁110aから機外空間114に放出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気分離部116は、空気調和装置を構成するエアサイクル式冷却装置とは独立して設けられている。そのため、空気分離部116により窒素を分離した残りの酸素濃度が高められた空気が、有効利用されることなく無駄になる。さらに、エアサイクル式冷却装置と空気分離部116の両方を並行して使用した場合、エンジンからの抽出空気量が増えるためにエンジン負荷が増加する。
【0009】
また、航空機の降下時はエンジン出力が絞られるため、エンジンの抽出空気圧力が低下する。その抽出空気圧力が低下すると選択透過膜116aによる窒素分離能力が低下する。一方、巡航の後に降下する航空機は燃料を消費した状態になっており、燃料タンク内の空間容積が大きくなるため窒素富化ガスが大量に必要とされる。その結果、必要とされる窒素富化ガスの供給が不足する。
【0010】
さらに、従来の空気調和装置によりキャビン108に供給された空気は機外に放出されていた。すなわち、機外圧に比べてキャビン108の内圧は上空では高くなるため、その圧力差を有する空気が有効利用されることなく無駄になる。
【0011】
本発明は、上記問題を解決することのできる航空機用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンまたは高圧空気供給ユニットからの抽出空気を冷却装置により冷却して航空機のキャビン内に導入する航空機用空気調和装置であって、そのキャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路を備え、そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と前記抽出空気とが混合されるように、そのリサキュレーション空気流路と抽出空気の空気流路とが接続され、その循環空気を、その抽出空気との混合前に圧縮する混合前コンプレッサが、前記リサキュレーション空気流路に備えられ、その混合された循環空気と抽出空気を、窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜を有する空気分離部が前記リサキュレーション空気流路に備えられ、その窒素富化ガスは航空機の燃料周囲領域に導入可能とされ、その酸素濃縮空気はキャビン内に導入可能とされ、前記冷却装置はコンプレッサと膨張タービンとを備え、その混合された循環空気と抽出空気とは、その冷却装置のコンプレッサにより圧縮された後に前記空気分離部に導入される。
本発明によれば、空気分離部により窒素を分離した残りの酸素濃縮空気は、キャビンに戻ることで有効利用される。また、冷却装置と空気分離部の両方を並行して使用する場合、エンジンからの抽出空気量の増加を抑制してエンジン負荷を低減できる。
また、冷却装置のコンプレッサを利用して、混合された循環空気と抽出空気の圧力を、空気分離部の選択透過膜により空気成分を分離する上で必要な圧力まで昇圧できる。
さらに、抽出空気との混合前に循環空気を抽出空気圧力と同程度に加圧し、循環空気が逆流するのを防止して混合を円滑に行うことができる。
【0013】
前記コンプレッサから前記膨張タービンに空気を導くための常開の空気流路を備え、その常開の空気流路を流れる空気の一部がその常開の流路から分岐する流路を介して前記空気分離部に導かれ、前記選択透過膜は酸素透過率が窒素透過率よりも高くされ、その選択透過膜を透過した酸素濃縮空気は前記膨張タービンを介することなく前記キャビンに導入可能とされているのが好ましい。これにより、選択透過膜を透過することで減圧された酸素濃縮空気を膨張タービンを介することなくキャビンに導入でき、一方、常開の流路を通った空気はコンプレッサ出口と膨張タービン入口との間の圧力降下量を小さくし、エアサイクル式冷却装置の効率低下を防止できる。
【0014】
前記酸素濃縮空気は前記膨張タービンにより膨張され、その膨張タービンの出力が、前記冷却装置のコンプレッサおよび前記混合前コンプレッサの中の少なくとも一方を駆動するための動力として用いられるのが好ましい。
これにより、膨張タービンの膨張仕事を有効利用することができる。
さらに空気調和装置は、前記抽出空気が流れる補助抽出空気流路と、前記混合前コンプレッサの上流において、前記補助抽出空気流路と前記循環空気の空気流路とに接続される切替えバルブとを備え、前記切替えバルブは第1状態と第2状態との間で切替え可能とされ、前記切替えバルブが第1状態である時、前記循環空気は前記混合前コンプレッサに導かれると共に、前記補助抽出空気流路から前記循環空気の空気流路への前記抽出空気の流れが遮られ、前記切替えバルブが第2状態である時、前記補助抽出空気流路から前記循環空気の空気流路へ前記抽出空気が導かれると共に、前記循環空気の流れが遮られる機能を有するのが好ましい。その切替えバルブが第2状態である時、混合前コンプレッサにより循環空気に代えて抽出空気が圧縮され、また、補助抽出空気流路は循環空気の空気流路を介して抽出空気の空気流路に接続される。よって、抽出空気の圧力が極端に低くなる場合においては、抽出空気をそのまま冷却装置に供給することなく、混合前コンプレッサにより圧縮された抽出空気を、混合前コンプレッサにより圧縮された循環空気に代えて冷却装置に供給できる。これにより、例えば機体が降下する状態においては切替えバルブを第2状態にするような運用が好ましい。すなわち、機体の降下時は燃料タンクにおける空洞容積は燃料が消費された結果大きくなっており、また、降下による気圧上昇があることから、燃料周囲領域へ窒素富化ガスを大量供給する必要がある。このため、冷却装置に供給される空気圧力は、空気分離部において十分な流量の窒素富化ガスを得られる値でなければならない。そのため、エンジンの出力が絞られることで抽出空気圧力が大幅に低下する降下時においては、抽出空気をそのまま冷却装置に供給するのは困難になる。一方、降下時であっても抽出空気の圧力は未だ循環空気の圧力よりも高い場合が多い。よって、混合前コンプレッサにより循環空気に代えて抽出空気を圧縮することで、抽出空気の圧力と循環空気の圧力との差圧の分だけ、混合前コンプレッサの作動に要するエネルギを低減できる。その結果、装置全体の消費電力すなわち消費エネルギをより低減できる。
さらに、前記混合前コンプレッサは複数段の圧縮部を有し、その複数段の圧縮部のうちの少なくとも2以上の圧縮部を、直列に接続する状態と、並列に接続する状態に接続切替え可能な機構が設けられているのが好ましい。この場合、その複数段の圧縮部を、前記切替えバルブが第1状態である時に直列に接続し、前記切替えバルブが第2状態である時に並列に接続するのが好ましい。これにより、各段の混合前コンプレッサにおける圧縮比を切替えバルブが第1状態である時と第2状態である時とで略同一にすれば、混合前コンプレッサにおける流量を切替えバルブが第2状態である時は第1状態である時の略段数倍にできる。よって、機体が降下する状態においては切替えバルブを第2状態にすることで電力消費の増大を防止できる。よって、機体の降下時における空気流量確保のために混合前コンプレッサの数を増大させる必要がない。
【0015】
前記冷却装置のコンプレッサおよび前記混合前コンプレッサの中の少なくとも一方は、駆動に必要な動力の少なくとも一部をモータから供給されるのが好ましい。
これにより、その冷却装置のコンプレッサの圧縮仕事と混合前コンプレッサの圧縮仕事の合計と、膨張タービンの膨張仕事との差を、そのモータの動力により補うことができる。
【0016】
その混合前コンプレッサにより圧縮された循環空気を冷却可能なCOP(成績係数)の高いベーパサイクル式熱交換ユニットを備えるのが好ましい。
これにより、キャビンに供給される空気温度を少ない入力エネルギで適切に調整することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に示す第1実施形態の航空機用空気調和装置は、エンジン1からの抽出空気を、プリクーラ2と呼ばれる熱交換器により冷却し、流量制御バルブ39で流量調整した後、ラジアルコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮する。その流量制御バルブ39はコントローラ(図示省略)からの信号により開度調整可能とされている。これにより昇温された空気をメインクーラ4と呼ばれる熱交換器により冷却した後、再生熱交換機4aで冷却し、水分捕捉のためにウォータセパレータ7に導く。そのウォータセパレータ7に導かれた抽出空気は開閉バルブ41と空気分離部16に導かれる。その開閉バルブ41はコントローラからの信号により開度調整される。その空気分離部16で選択透過膜16aを通過せずに残った空気と、その開閉バルブ41から流出する空気は膨張タービン5でほぼ断熱的に膨張され、これにより冷気が得られる。その冷気は再生熱交換機4aを介して航空機のコックピット空間を含むキャビン8に導入される。そのプリクーラ2およびメインクーラ4においては、ラム空気路9を通る機外空気により冷却が行われる。その膨張タービン5の膨張仕事は、シャフト6を介してコンプレッサ3に伝えられることで、圧縮動力として利用される。なお、航空機が地上にあってエンジンが停止している際は、エンジン1に代えてAPUなどの高圧空気供給ユニットからの抽出空気を空気調和装置に供給することが可能とされている。
【0018】
一方、キャビン8の暖房のため、エンジン1からの抽出空気を、上記コンプレッサ3と膨張タービン5により構成されるエアサイクル式冷却装置を通ることなく、キャビン8に導くためのバイパス空気流路11が設けられている。そのバイパス空気流路11はホットエアモジュレートバルブ12により開閉される。そのホットエアモジュレートバルブ12はコントローラからの信号により開度調整可能とされ、バイパス空気流路11を流れる空気流量が調整可能とされている。抽出空気の一部は、そのホットエアモジュレートバルブ12を開くことで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置で冷却されることなく、バイパス空気流路11に導かれる。そのバイパス空気流路11に導かれた抽出空気はキャビン8に導かれる。そのキャビン8内の空気は、空気調和装置からの供給分から機体の漏れや機外への空気流路からの放出分を差し引いた分に相当する量だけ流出空気流路40に流出され、その流出空気流路40においてフィルター42により埃や匂いが除去される。
【0019】
そのキャビン8から流出する空気を再びキャビン8に戻すリサキュレーション空気流路が構成される。これにより、そのキャビン8から流出する空気は再びキャビンに戻る循環空気となる。そのキャビン8から流出空気流路40に流出される循環空気は、モータ18で駆動される混合前コンプレッサ17に導かれる。そのキャビン8から流出して再びキャビン8に戻る循環空気と、エンジン1からの抽出空気とが混合されるように、その循環空気の空気流路と抽出空気の空気流路とが接続される。本実施形態では、その混合前コンプレッサ17により昇圧された循環空気は、熱交換器35aにおいてラム空気路9を通る機外空気により冷却された後に、流量制御バルブ39を介して供給される抽出空気と混合される。その混合された循環空気と抽出空気とが、エアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮された後に、開閉バルブ41の開度に応じて、上記空気分離部16に導入される。
【0020】
上記空気分離部16は、本実施形態では処理能力が大きく大型航空機に適したものとされている。その空気分離部16は多数の細管状の選択透過膜16aを束ねてチャンバ16bにより覆うことで構成され、窒素富化ガスと酸素濃縮空気とを生成する。そのため、その選択透過膜16aは、空気中の窒素(N2 )、二酸化炭素(CO2 )の透過率が酸素(O2 )の透過率よりも高くされている。これにより、再生熱交換機4aで冷却され、ウォータセパレータ7を通過した抽出空気を、選択透過膜16aを透過して窒素富化ガス(本実施形態ではN2 =92%以上)とすることができる。その窒素富化ガスは燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域15に導かれた後に、放出路を通って機外空間14に放出される。その選択透過膜16aを透過しなかった空気の酸素濃度が上がる。この酸素が濃縮された酸素濃縮空気は膨張タービン5に導かれる。上記開閉バルブ41はコントローラからの信号により開度調整可能とされ、選択透過膜16aを通過する空気流量が調整可能とされている。なお、選択透過膜16aの外側は、燃料周囲領域15におけると同様ほぼ機外圧力となっている。
【0021】
上記実施形態によれば、空気分離部16により窒素を分離した残りの酸素濃縮空気はキャビン8に戻されることで有効利用される。また、エアサイクル式冷却装置と空気分離部16の両者が機能する場合において、エンジン1からの抽出空気量の増加を抑制してエンジン1の負荷を低減できる。そのエアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3を利用して、混合された循環空気と抽出空気の圧力を、空気分離部16の選択透過膜16aにより空気成分を分離する上で必要な圧力まで昇圧できる。また、混合前コンプレッサ17により抽出空気との混合前に循環空気を抽出空気圧力と同程度に加圧し、循環空気が逆流するのを防止して混合を円滑に行うことができる。その酸素濃縮空気は膨張タービン5により膨張され、その膨張タービン5の出力がコンプレッサ3を駆動するための動力として用いられるので、膨張タービン5の膨張仕事を有効利用することができる。その混合前コンプレッサ17は、駆動に必要な動力をモータ18から供給されるので、その冷却装置のコンプレッサ3の圧縮仕事と混合前コンプレッサ17の圧縮仕事の合計と、膨張タービン5の膨張仕事との差を、そのモータ18の動力により補うことができる。
【0022】
図2は本発明の第2実施形態の航空機用空気調和装置を示す。上記第1実施形態と同様部分は同一符号で示し、相違点を説明する。
この第2実施形態においては、モータ18で駆動される混合前コンプレッサ17が、エアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3および膨張タービン5と一体的に回転する。これにより、そのモータ18は補助駆動源として用いられる。また、熱交換器35aに代えて、ベーパサイクル式熱交換ユニット30が設けられている。その混合前コンプレッサ17により昇圧された循環空気は、熱交換ユニット30のエバポレータ35により冷却された後に、チェック弁39aを介してエアサイクル式冷却装置に導かれることで、流量制御バルブ39を介して供給される抽出空気と混合される。そのチェック弁39aは、混合前コンプレッサ17により循環空気が十分に加圧される前に、エンジン1からの抽出空気が逆流するのを防止する。その熱交換ユニット30は、HFC134aなどの冷媒を用いた冷却サイクルにより構成される。すなわち、その冷媒は、モータ31により駆動されるコンプレッサ32によって圧縮され、コンデンサ33においてラム空気路9を通る機外空気に熱を放出することで凝縮される。その凝縮された冷媒は膨張弁34において減圧されることで温度が低下する。その低温になった冷媒は、エバポレータ35において上記のように空気から熱を吸収することで蒸発する。ベーパサイクル式熱交換ユニット30を採用することで、エネルギ消費効率(COP)を高くすることができるため、少ないエネルギでより多くの熱を放出することが可能になる。他は第1実施形態と同様とされている。
本第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、循環空気をベーパサイクル式熱交換ユニット30により冷却することで、キャビン8に供給される空気温度を適切に調整することができる。膨張タービン5の出力がコンプレッサ3と混合前コンプレッサ17を駆動するための動力として用いられるので、膨張タービン5の膨張仕事を有効利用することができる。そのコンプレッサ3と混合前コンプレッサ17は、駆動に必要な動力をモータ18から供給されるので、そのコンプレッサ3の圧縮仕事と混合前コンプレッサ17の圧縮仕事の合計と、膨張タービン5の膨張仕事との差を、そのモータ18の動力により補うことができる。
【0023】
図3〜図6は本発明の第3実施形態の航空機用空気調和装置を示す。上記第1実施形態と同様部分は同一符号で示し、相違点を説明する。図3は航空機が地上にある時の状態、図4は離陸後の上昇時の状態を、図5は高々度での巡航時の状態、図6は降下時の状態を示す。
【0024】
本実施形態の航空機用空気調和装置は、エンジン1からの抽出空気を、プリクーラ2と呼ばれる熱交換器により冷却し、流量制御バルブ39で流量調整した後、ラジアルコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮する。その流量制御バルブ39はコントローラ25からの信号により開度調整可能とされている。これにより昇温された空気をメインクーラ4と呼ばれる熱交換器により冷却した後、再生熱交換機4aで冷却し、水分捕捉のためにウォータセパレータ7に導く。そのウォータセパレータ7に導かれた抽出空気は開閉バルブ41と空気分離部16に導かれる。その開閉バルブ41はコントローラ25からの信号により開度調整される。その空気分離部16で選択透過膜16aを通過せずに残った空気と、その開閉バルブ41から流出する空気は膨張タービン5でほぼ断熱的に膨張され、これにより冷気が得られる。その冷気は再生熱交換機4aを介して航空機のコックピット空間を含むキャビン8に導入される。そのプリクーラ2およびメインクーラ4においては、ラム空気路9を通る機外空気により冷却が行われる。その膨張タービン5の膨張仕事は、シャフト6を介してコンプレッサ3に伝えられることで、圧縮動力として利用される。そのコンプレッサ3とタービン5を結ぶシャフト6には、コンプレッサ3の駆動に必要な動力を補助するためのモータ6aが取り付けられている。航空機が降下する際はエンジン1からの抽出空気圧が低いので、モータ6aによる動力アシストによって、空気分離部16にとっては適正となる圧力にまで昇圧することが可能となる。
なお、航空機が地上にあってエンジンが停止している際は、エンジン1に代えてAPUなどの高圧空気供給ユニットからの抽出空気を空気調和装置に供給することが可能とされている。
【0025】
エンジン1からの抽出空気を上記エアサイクル式冷却装置を通ることなくキャビン8に導くためのバイパス空気流路11が設けられている。そのバイパス空気流路11はホットエアモジュレートバルブ12により開閉される。そのホットエアモジュレートバルブ12はコントローラ25からの信号により開度調整可能とされている。これにより、バイパス空気流路11を流れる空気流量が調整可能とされている。抽出空気の一部は、そのホットエアモジュレートバルブ12を開くことで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置で冷却されることなく、バイパス空気流路11に導かれる。そのキャビン8内の空気は、空気調和装置からの供給分から機体の漏れや機外への空気流路からの放出分を差し引いた分に相当する量だけ流出空気流路40に流出され、その流出空気流路40においてフィルター42により埃や匂いが除去される。
【0026】
そのバイパス空気流路11と流出空気流路40に、第1吸着部23と第2吸着部24とが空気流路切替機構50を介して接続される。本実施形態の空気流路切替機構50は第1切替えバルブ21と第2切替えバルブ22とを有する。各吸着部23、24は、容器23a、24aに充填された吸着剤23b、24bを備える。各吸着剤23b、24bは、空気に含まれる分子を吸着し、また、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した分子を放出する。例えば、各吸着部23、24は、シリカゲルのような水分子吸着物質や、ゼオライトのような酸素分子吸着物質から構成できる。本実施形態では、その吸着剤23b、24bとして水分子吸着物質が用いられる。
【0027】
その空気流路切替機構50により、各吸着部23、24はバイパス空気流路11に接続される状態と、流出空気流路40に接続される状態とに切替え可能とされている。本実施形態においては、バイパス空気流路11を流れる抽出空気が第1吸着部23と第2吸着部24とを交互に通過するように、そのバイパス空気流路11を第1吸着部23と第2吸着部24とに交互に接続する。また、流出空気流路40を流れる空気が第1吸着部23と第2吸着部24とを交互に通過するように、その流出空気流路40を第1吸着部23と第2吸着部24とに交互に接続する。
その第1切替えバルブ21は、図中破線で示す第1状態と図中実線で示す第2状態とに切替えられる。その第1状態では、エンジン1からバイパス空気流路11に導かれた空気を第1吸着部23に導くと共に、第2吸着部24から流出する空気を混合前コンプレッサ17に導く。その第2状態では、エンジン1からバイパス空気流路11に導かれた空気を第2吸着部24に導くと共に、第1吸着部23から流出する空気を混合前コンプレッサ17に導く。
その第2切替えバルブ22は、図中破線で示す第1状態と図中実線で示す第2状態とに切替えられる。その第1状態では、第1吸着部23から流出する空気を第3切替えバルブ27に導くと共に、キャビン8から流出する空気を第2吸着部24に導く。その第2状態では、第2吸着部24から流出する空気を第3切替えバルブ27に導くと共に、キャビン8から流出する空気を第1吸着部23に導く。
【0028】
その空気流路切替機構50は航空機に搭載されるコントローラ25により制御される。その制御により、各吸着部23、24は、バイパス空気流路11に接続される状態と流出空気流路40に接続される状態とに切替えられる。すなわち、両切替えバルブ21、22は、コントローラ25から内蔵タイマー等により設定された設定時間毎に送られる切替信号により、第1状態と第2状態とに切替えられる。この際、第1切替えバルブ21が第1状態では第2切替えバルブ22が第1状態とされ、第1切替えバルブ21が第2状態では第2切替えバルブ22が第2状態とされる。すなわち、そのバイパス空気流路11を流れる抽出空気が両吸着部23、24の中の一方を通過する時は、その流出空気流路40を流れる空気が両吸着部23、24の中の他方を通過し、そのバイパス空気流路11を流れる抽出空気が両吸着部23、24の中の他方を通過する時は、その流出空気流路40を流れる空気が両吸着部23、24の中の一方を通過するように、その空気流路切替機構50は制御される。
【0029】
これにより、そのホットエアモジュレートバルブ12を開くことでバイパス空気流路11に導かれる抽出空気は、第1切替えバルブ21を介して両吸着部23、24の中の何れか一方に導かれた後に、第2切替えバルブ22に導かれる。その吸着部23、24から第2切替えバルブ22に導かれた空気は第3切替えバルブ27に導かれる。その第3切替えバルブ27は、そこに導かれた空気を機外空間14に放出する状態と、キャビン8に導く状態とにコントローラ25からの信号により空気流路を切替え可能である。
【0030】
そのキャビン8から流出空気流路40に流出される空気は、第2切替えバルブ22から両吸着部23、24の中の何れか一方に導かれる。しかる後に、モータ18で駆動される混合前コンプレッサ17に導かれる。その混合前コンプレッサ17により昇圧された空気は、ベーパサイクル式熱交換ユニット30のエバポレータ35において冷却された後に、第4切替えバルブ36に導かれる。その第4切替えバルブ36は、コントローラ25からの信号により、導かれた空気をキャビン8に導く状態と、エアサイクル式冷却装置に導く状態とに空気流路を切替え可能である。その熱交換ユニット30は、HFC134aなどの冷媒を用いた冷却サイクルにより構成される。すなわち、その冷媒は、モータ31により駆動されるコンプレッサ32によって圧縮され、コンデンサ33においてラム空気路9を通る機外空気に熱を放出することで凝縮される。その凝縮された冷媒は膨張弁34において減圧されることで温度が低下する。その低温になった冷媒は、エバポレータ35において上記のように空気から熱を吸収することで蒸発する。
【0031】
そのキャビン8から流出空気流路40を介して流出する空気が第4切替えバルブ36を介して再びキャビン8に戻されることでリサキュレーション空気流路が構成される。第4切替えバルブ36は、キャビン8から流出する空気を直接キャビン8に戻す場合とエアサイクル式冷却装置を通過して戻す場合との切り換えを行う。これにより、そのキャビン8から流出する空気は再びキャビンに戻る循環空気となる。そのキャビン8から流出して再びキャビン8に戻る循環空気と、エンジン1からの抽出空気とが混合されるように、その循環空気の空気流路と抽出空気の空気流路とが接続される。本実施形態では、その第4切替えバルブ36を介してエアサイクル式冷却装置に導かれる循環空気は、流量制御バルブ39を介して供給される抽出空気と混合される。その混合された循環空気と抽出空気とが、エアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮された後に、上記空気分離部16に導入される。
【0032】
そのエンジン1からプリクーラ2を介してバイパス空気流路11に導かれる抽出空気の温度は100℃〜140℃であり、一方、キャビン8から流出空気流路40に導かれる空気の温度は20℃〜30℃である。これにより、キャビン8から流出される空気が流れる時は低温になるので、吸着剤23b、24bはキャビン8から流出される空気に含まれる有効成分(ここでは水分子)を吸収する。エンジン1からの抽出空気が流れる時は高温になるので、吸着剤23b、24bはキャビン8から流出される空気から吸収した水分子を抽出空気中に放出することで再生する。例えば、各吸着剤23b、24bがシリカゲルである場合、20℃ではシリカゲル1.0kgに0.25kg以上の水分子を吸着できるが、100℃ではシリカゲル1.0kgに0.02kg以下の水分子しか吸着できない。これにより、キャビン8から流出される空気中の水分子を、吸着剤23b、24bにより吸着し、エンジン1からの抽出空気中に放出することで、キャビン8に戻してキャビン8の快適性を向上する。しかも、吸着剤23b、24bは再度利用できるように再生できる。各吸着剤23b、24bを酸素分子吸着物質として機能するゼオライトとした場合は、キャビン8から流出される空気中の酸素分子を、吸着剤23b、24bにより吸着し、エンジン1からの抽出空気中に放出することでキャビン8に戻してキャビン8の快適性を向上する。しかも、吸着剤23b、24bを再度利用できるように再生できる。各吸着剤23b、24bを水分子を吸着する吸着剤と酸素分子を吸着する吸着剤の双方により構成すれば、水分と酸素の両方を吸着できるので、キャビン8の快適性をより向上できる。この場合、そのシリカゲルとゼオライトは交互に層状に配置するのが好ましい。
【0033】
上記空気分離部16は、本実施形態では処理能力が大きく大型航空機に適したものとされている。その空気分離部16は多数の細管状の選択透過膜16aを束ねてチャンバ16bにより覆うことで構成され、窒素富化ガスと酸素濃縮空気とを生成する。そのため、その選択透過膜16aは、空気中の窒素(N2 )、二酸化炭素(CO2 )の透過率が酸素(O2 )の透過率よりも高くされている。これにより、再生熱交換機4aで冷却され、ウォータセパレータ7を通過した抽出空気を、選択透過膜16aを透過して窒素富化ガス(本実施形態ではN2 =92%以上)とすることができる。その窒素富化ガスは燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域15に導かれた後に、放出路を通って機外空間14に放出される。その選択透過膜16aを透過しなかった空気の酸素濃度が上がる。この酸素が濃縮された酸素濃縮空気は膨張タービン5に導かれる。上記開閉バルブ41はコントローラ25からの信号により開度調整可能とされ、選択透過膜16aを通過する空気流量が調整可能とされている。なお、選択透過膜16aの外側は、燃料周囲領域15におけると同様ほぼ機外圧力となっている。
【0034】
図3に示す地上での冷房状態においては、流量制御バルブ39を開状態にすることで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置をフルに作動することができる。
この場合、開閉バルブ41は必要に応じて開度を選択すればよい。すなわち、開閉バルブ41を全開とすることで、空気分離部16に空気を導入しないようにできる。これにより、地上において燃料が積み込まれることで燃料タンクの内部における空洞容積が小さくなり、地上走行(タキシング)を含めても燃料消費が僅かであり、気圧の変化がないことにより、燃料周囲領域15への窒素富化ガスの追加供給が不要な場合に対応できる。
あるいは、開閉バルブ41を閉じることで、空気分離部16に空気を導入することができる。これにより、航空機が地上で待機している間に燃料タンクから蒸発する燃料ガスを、空気分離部16から供給する窒素富化ガスにより希釈して安全性を向上することが可能になる。
また、地上が高温多湿である場合、開閉バルブ41を閉じることで、選択透過膜16aは水分透過率が高いことから空気中の水分を機外に放出することができる。これにより、膨張タービン5に導入される空気中の水分が減少し、凝固熱の発生が低減されるので、冷却能力を向上すると共にキャビン8内の湿度を低減することが可能になる。
また、高温多湿の地上での冷房状態において、ホットエアモジュレートバルブ12を多少開くことで、各吸着剤23b、24bの再生を行うことができる。その再生に用いられた水分を多く含んだ空気は、第3切替えバルブ27を介して機外空間14に放出される。これにより、地上での冷房時は、キャビン8内の水分を吸着部23、24において補足して放出するので、キャビン8内の湿度上昇を抑制して快適性を向上でき、さらに、熱交換ユニット30のエバポレータ35での結露を防止して冷房能力の低下を阻止できる。このため、熱交換ユニット30もフル作動が可能であり、エアサイクル式冷却装置と併せて、キャビン8の冷房能力を大きくできる。また、キャビン8から流出されて吸着部23、24から流出する水分除去された空気は、第4切替えバルブ36からキャビン8に還流される。
【0035】
図4に示す機体が離陸し上昇する状態においては、エンジン1の出力が上がるために抽出空気の圧力が高くなる。このため、エアサイクル式冷却装置におけるタービン5での膨張比が大きくなり、より低温の空気が供給される。この場合、エアサイクル式冷却装置から供給される空気によりキャビン8内の温度が過剰に低下するのを防止する必要がある。また、航空機の上昇状態においては外気の温度と水蒸気量とが急激に低下するため、キャビン8内の湿度が過剰に低下するのを防止する必要がある。そのため、吸着部23、24において再生された暖かく水分を含む抽出空気が、第3切替えバルブ27を介してキャビン8に供給される。また、熱交換ユニット30を航空機の上昇中の状態に応じて機能させることで、キャビン8から流出されて吸着部23、24から流出する水分除去された空気は、切替えバルブ36からキャビン8に還流され、キャビン8は適切な温度、湿度に維持される。
また、上昇状態においては、開閉バルブ41の開度を次第に絞ることで、空気分離部16に供給される空気を次第に増加させる。これにより、燃料消費に応じた量の窒素富化ガスが空気分離部16から燃料周囲領域15に供給される。さらに抽出空気の供給圧が高いため、膨張タービン5の膨張エネルギの方がコンプレッサ3の圧縮仕事よりも著しく大きい場合は、モータ6aを発電機として機能させエネルギ回収をすることも考えられる。
【0036】
図5に示す高々度での巡航時の状態においては、キャビン8から流出されて吸着部23、24から流出する水分除去された空気は、混合前コンプレッサ17で昇圧された上切替えバルブ36からコンプレッサ3に導かれる。これにより、上昇終了後にエンジン1の出力が絞られることで抽出空気量を減少させても、エアサイクル式冷却装置および空気分離部16に導入される空気量を確保できる。この時、開閉バルブ41がかなり絞られる。空気分離部16において酸素が濃縮された空気が膨張タービン5に導入される。さらに、吸着部23、24において加湿された空気が第3切替えバルブ27からキャビン8に導入される。これにより、キャビン8に導入される空気量を確保し、キャビン8内の酸素分圧低下を防止し、さらに湿度を維持することで快適性を維持できる。また、空気分離部16からは窒素富化ガスが燃料周囲領域15に供給される。
なお、高々度で巡航する際は機外空気は低温となるため、熱交換器2、4に流入する機外空気を絞る弁や、機外空気が熱交換器2、4をバイパスするためのバイパス流路と流路切替え弁をラム空気路に設けるのが好ましい。
【0037】
図6に示す機体が降下する状態においては、燃料タンクの内部における空洞容積は燃料が消費された結果大きくなっており、また、降下による気圧上昇があることから、燃料周囲領域15へ窒素富化ガスを大量供給する必要がある。一方、エンジン1の出力は降下時は極端に絞られるため、エアサイクル式冷却装置に供給される抽出空気圧力が低く、抽気量確保が難しくなる。そこで、キャビン8から流出される空気を切替えバルブ36からコンプレッサ3に導くことで循環空気量を増やし、エアサイクル式冷却装置における抽出空気量の低下を補う。また、開閉バルブ41が全閉とされ、空気分離部16からは窒素富化ガスが燃料周囲領域15に供給される。さらに、吸着部23、24において加湿された空気も第3切替えバルブ27からキャビン8に導入され、キャビン8への空気供給量の低下を防止する。この場合、キャビン8における暖房が過剰にならないように、熱交換ユニット30を作動させ、キャビン8の温度を調整する。
【0038】
上記第3実施形態によれば、キャビン8から流出された空気中に含まれる必要な成分分子を再びキャビン8内に戻すことができる。また、各吸着剤23b、24bは再び空気中の分子を吸着できるように再生される。その吸着剤23b、24bが水分子を吸着および放出することで、キャビン8内の湿度を維持するのに寄与できる。その吸着剤23b、24bが酸素分子を吸着および放出する場合には、キャビン8内の酸素濃度を維持するのに寄与できる。しかも、吸着部23、24と空気流路切替機構50とを付加するという簡単な構成でキャビン8内空気の再生ができる。そのバイパス空気流路11を流れる空気流量が調整可能とされているので、エアサイクル式冷却装置により冷却してキャビン8内に導入する空気量と、冷却することなくキャビン8内に導入する空気量との比を調整し、キャビン8内の温度を適正に維持できる。
また、選択透過膜16aにより分離する窒素富化ガスにより燃料火災の発生を防止でき、酸素濃縮空気によりキャビン8内の酸素濃度を維持する(すなわち、機内が地上よりも低い気圧となっても、酸素分圧は地上でのレベルを維持する)のに寄与できる。そのキャビン8から流出空気流路40を介して流出される空気は、吸着剤23b、24bにより少なくとも水分子を吸着され、吸着部23、24を通過した後に混合前コンプレッサ17により圧縮され、さらにコンプレッサ3で昇圧された後に、空気分離部16の選択透過膜16aに供給される。これにより、キャビン8から流出された空気を酸素濃縮空気として再びキャビン8内に送り込むことができ、エンジン1からの抽出空気量を増大させることなく、キャビン8内の圧力を制御するのに必要な空気量を確保することができる。また、選択透過膜16aに導かれる空気を圧縮することで、効率良く窒素富化ガスを得ることができる。さらに、航空機の飛行状態に応じてエンジン1からの抽出空気量や外気の温度、湿度、酸素濃度、圧力が変化した場合に、キャビン8内の温度、湿度、酸素濃度、圧力を最適に維持することができ、さらに吸着剤23b、24bから放出された水分を含む抽出空気を湿度が過剰になる場合には機外空間14に放出することでエアサイクル式冷却装置の結露を防止することも可能になる。
【0039】
上記第3実施形態によれば、空気分離部16により窒素を分離した残りの酸素濃縮空気はキャビン8に戻されることで有効利用される。また、エアサイクル式冷却装置と空気分離部16の両者が機能する場合において、エンジン1からの抽出空気量の増加を抑制してエンジン1の負荷を低減できる。そのエアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3を利用して、混合された循環空気と抽出空気の圧力を、空気分離部16の選択透過膜16aにより空気成分を分離する上で必要な圧力まで昇圧できる。また、混合前コンプレッサ17により抽出空気との混合前に循環空気を抽出空気圧力と同程度に加圧し、循環空気が逆流するのを防止して混合を円滑に行うことができる。その酸素濃縮空気は膨張タービン5により膨張され、その膨張タービン5の出力がコンプレッサ3を駆動するための動力として用いられる。よって、膨張タービン5の膨張仕事を有効利用することができる。そのコンプレッサ3と混合前コンプレッサ17は、駆動に必要な動力をモータ6a、18から供給されるので、その冷却装置のコンプレッサ3の圧縮仕事と混合前コンプレッサ17の圧縮仕事の合計と、膨張タービン5の膨張仕事との差を、そのモータ6a、18の動力により補うことができる。さらに、循環空気をベーパサイクル式熱交換ユニット30により冷却することで、キャビン8に供給される空気温度を適切に調整することができる。
【0040】
図7は吸着部83および空気流路切替機構50′の変形例を示す。この変形例においては、回転ドラム80の内部に、その回転軸方向に延びる多数の吸着部83がハニカム状に設けられ、各吸着部83内にシリカゲル等の吸着剤が充填されている。その回転ドラム80の両端面にセパレータ81が相対回転可能にシール部材(図示省略)を介して接合されている。各セパレータ81は、外輪81aと内輪81bとを2本のアーム81cにより接続することで構成され、航空機の機体側に固定される。各セパレータ81の内輪81bにより、回転ドラム80の中心シャフト80aが軸受(図示省略)を介して回転可能に支持される。その中心シャフト80aにモータ82が接続され、そのモータ82がコントローラ25からの信号により駆動されることで回転ドラム80は回転する。各セパレータ81における外輪81aと内輪81bとの間は、2本のアーム81cにより2つの領域81d、81eに区画されている。各セパレータ81における一方の領域81dは配管継手84を介してバイパス空気流路11に接続され、他方の領域81eは配管継手85を介して流出空気流路40に接続される。これにより、その回転ドラム80の回転により、各吸着部83をバイパス空気流路11に接続する状態と流出空気流路40に接続する状態とに切替える空気流路切替機構50′が構成されている。他は上記実施形態と同様とされる。
【0041】
図8は本発明の第4実施形態の航空機用空気調和装置を示し、第3実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。この第4実施形態においては、航空機が地上にあってエンジンが停止している際は、エンジン1に代えてAPUなどの高圧空気供給ユニット1′からの抽出空気を空気調和装置に供給する。タービン5から流出する冷気は、再生熱交換機4aからミキシングチャンバ13を介して航空機のコックピット空間を含むキャビン8に導入される。エンジン1からの抽出空気の一部は、ホットエアモジュレートバルブ12を開くことで、バイパス空気流路11からミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導かれる。
【0042】
キャビン8から流出空気流路40に流出された空気の一部は、ファンF1を介してミキシングチャンバ13に導かれる。流出空気流路40から分岐する補助空気流路71が再生熱交換機72に接続されている。キャビン8から流出空気流路40を介して流出した空気の一部は、ファンF2により補助空気流路71に導かれた後に再生熱交換機72により加熱される。
【0043】
補助空気流路71と流出空気流路40とに、図7に示された吸着部83が空気流路切替機構50′を介して接続される。すなわち、各セパレータ81における一方の領域81dは配管継手84を介して補助空気流路71に接続され、他方の領域81eは配管継手85を介して流出空気流路40に接続される。これにより、回転ドラム80の回転により、各吸着部83それぞれを補助空気流路71に接続する状態と流出空気流路40に接続する状態とに切替える空気流路切替機構50′が構成されている。
【0044】
補助空気流路71から再生熱交換機72を介して吸着部83に導かれた空気は第3切替えバルブ27に導かれる。第3切替えバルブ27は、そこに導かれた空気を機外空間14に放出する状態と、ミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導く状態とにコントローラ(図示省略)からの信号により空気流路を切替え可能である。流出空気流路40から吸着部83に導かれた空気は、第5切替えバルブ90を介してモータ18で駆動される混合前コンプレッサ17に導かれる。その混合前コンプレッサ17により昇圧された空気は、再生熱交換機72において補助空気流路71を流れる空気と熱交換され、第3実施形態の熱交換ユニット30に代わって機能する放熱器19においてラム空気路9を通る機外空気により冷却され、しかる後に第4切替えバルブ36に導かれる。第4切替えバルブ36は、コントローラからの信号により、導かれた空気をミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導く状態と、エアサイクル式冷却装置に導く状態とに空気流路を切替え可能である。
【0045】
補助空気流路71を流れる空気の温度は再生熱交換機72により加熱されることで例えば100℃〜140℃になる。一方、キャビン8から流出空気流路40に導かれる空気の温度は例えば20℃〜30℃になる。これにより、キャビン8から流出空気流路40を介して導入される空気が流れる時は低温になるので、吸着部83の吸着剤はキャビン8から流出される空気に含まれる有効成分(ここでは水分子)を吸収する。一方、補助空気流路71を介して導入される空気が流れる時は高温になるので、吸着部83の吸着剤は流出空気流路40を介して導入される空気から吸収した水分子を補助空気流路71を介して導入される空気中に放出することで再生する。
【0046】
エンジン1から流量調節バルブ89を介して送られる抽出空気が流れる補助抽出空気流路91が設けられている。混合前コンプレッサ17の上流かつ吸着部83の下流において、補助抽出空気流路91と循環空気が流れる流出空気流路40とに第5切替えバルブ90が接続される。第5切替えバルブ90はコントローラからの信号により第1状態と第2状態との間で切替え可能とされている。第5切替えバルブ90は第1状態である時、循環空気を混合前コンプレッサ17に導くと共に、補助抽出空気流路91から流出空気流路40への抽出空気の流れを遮る。第5切替えバルブ90は第2状態である時、補助抽出空気流路91から流出空気流路40へ抽出空気を導くと共に、循環空気の流れを遮る。
【0047】
これにより、第5切替えバルブ90が第1状態である時は第3実施形態と同様の作用効果を奏する。第5切替えバルブ90が第2状態である時は、補助抽出空気流路91は流量制御バルブ89の下流において流出空気流路40を介して混合前コンプレッサ17に接続される。これにより、混合前コンプレッサ17により循環空気に代えて抽出空気が圧縮され、その圧縮された抽出空気はエアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3に導かれる。また、第5切替えバルブ90が第2の状態になった時は、流量制御バルブ39は全閉となる。よって、混合前コンプレッサ17により圧縮された循環空気に代えて、混合前コンプレッサ17により圧縮された抽出空気によりエアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3に供給される空気の全量が賄われる。これにより、機体が降下する状態において第5切替えバルブ90を第2状態にすることで電力消費の増大を防止できる。すなわち、機体の降下時は燃料タンクにおける空洞容積は燃料が消費された結果大きくなっており、また、降下による気圧上昇があることから、燃料周囲領域15へ窒素富化ガスを大量供給する必要がある。一方、降下時でも抽出空気の圧力は循環空気の圧力よりも高い。よって、混合前コンプレッサ17により循環空気に代えて抽出空気を圧縮することで、抽出空気の圧力と循環空気の圧力との差圧分だけ、混合前コンプレッサ17の作動に要するエネルギを低減できる。その結果、装置全体の消費エネルギを削減できる。
【0048】
例えば、機体が42000ft(12800m)から降下を開始する時、キャビン8の内圧が11.3psi(77.9kPa)、抽出空気の圧力が約20psi(138kPa)、空気分離部16を正常に作動させるためにコンプレッサ3の入口での空気圧が30psi(207kPa)程度必要である場合を想定する。この場合、循環空気を混合前コンプレッサ17により圧縮することでコンプレッサ3の入口での空気圧を確保すると、混合前コンプレッサ17の圧縮比は2.65になる。これに対し、抽出空気を混合前コンプレッサ17により圧縮することでコンプレッサ3の入口での空気圧を確保すると、混合前コンプレッサ17の圧縮比は1.5になる。すなわち、混合前コンプレッサ17の圧縮比は小さくなるので消費エネルギを削減できる。他は第3実施形態と同様で、同様部分は同一符号で示す。
【0049】
図9、図10は第4実施形態の変形例に係る混合前コンプレッサ17′と接続切替え機構を示す。この混合前コンプレッサ17′は遠心翼車により構成される2段の圧縮部17a、17bを有する。一方の圧縮部17aの入口は第5切替えバルブ90に接続される。一方の圧縮部17aの出口は第6切替えバルブ92に接続される。他方の圧縮部17bの入口は第7切替えバルブ93に接続される。他方の圧縮部17bの出口は再生熱交換機72に接続される。第6切替えバルブ92と第7切替えバルブ93は接続切替え機構を構成する。第5切替えバルブ90が図9に示す第1状態である時、第6切替えバルブ92と第7切替えバルブ93は一方の圧縮部17aの出口を他方の圧縮部17bの入口に接続する。第5切替えバルブ90が図10に示す第2状態である時、第6切替えバルブ92は一方の圧縮部17aの出口を再生熱交換機72に接続し、第7切替えバルブ93は他方の圧縮部17bの入口を第5切替えバルブ90に接続する。すなわち2段の圧縮部17a、17bは、第5切替えバルブ90が第1状態である時は直列に接続され、第5切替えバルブ90が第2状態である時は並列に接続される。これにより、混合前コンプレッサ17′における圧縮率を第5切替えバルブ90が第1状態である時と第2状態である時とで略同一にすれば、混合前コンプレッサ17′における流量を第5切替えバルブ90が第2状態である時は第1状態である時の略2倍にできる。よって、機体が降下する状態において第5切替えバルブ90を第2状態にすることで電力消費の増大を防止できる。よって、機体の降下時における空気流量確保のために混合前コンプレッサ17′の数を増大させる必要がない。なお、混合前コンプレッサ17′は3段以上の圧縮部を有するものであってもよい。この場合においては、直列に接続する状態と並列に接続する状態との間で切替えられる圧縮部は少なくとも2段でよい。
【0050】
例えば各圧縮部17a、17bにおける圧縮率を1.6〜1.7、コンプレッサ3の入口での空気圧が30psi(207kPa)程度、流量が120LBS/min(54.4kg/min)程度を必要とし、循環空気の圧力は11.3psi(77.9kPa)、温度は80°F(299.8K)、抽出空気の圧力は20psi(138kPa)、温度は200°F(366.5K)、混合前コンプレッサ17の効率は75%である場合を想定する。この場合、循環空気を混合前コンプレッサ17で圧縮するとすれば圧縮仕事のために117kWの電力が必要で、且つ2段圧縮にする必要があった。これに対して抽出空気を混合前コンプレッサ17で圧縮することで、54.7kWの電力と単段圧縮で足りる。なお、第6切替えバルブ92と第7切替えバルブ93の作動は、第5切替えバルブ90との連動は必須ではない。例えば地上において気温が高くない場合は冷房能力を高める必要はないため、コンプレッサ3入口圧をあまり高くする必要はない。同時に燃料周囲領域15への窒素富化ガス供給量も少なくてよいため、空気分離部の選択透過膜に作用する圧力も高めなくてよい。このような場合には、第5切替えバルブ90が第1状態である時に両圧縮部17a、17bが並列に接続されてもよい。
【0051】
図11〜図13は本発明の第5実施形態の航空機用空気調和装置を示し、第4実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。この第5実施形態においては、コンプレッサ3から膨張タービン5に空気を導くための常開の空気流路75′を備える。その空気流路75′を流れる空気の一部が、互いに並列に接続された複数の空気分離ユニットU′を構成する空気分離部16′に導かれる。各空気分離ユニットU′は、第1〜第3コントロールバルブ41a、41b、41cに接続される。各コントロールバルブ41a、41b、41cはコントローラからの信号により開度調整される。各空気分離ユニットU′から窒素富化ガスと酸素濃縮空気とが排出される。窒素富化ガスは、第1コントロールバルブ41aを介して燃料周囲領域15に導かれた後に、放出路を通って機外空間14に放出される。酸素濃縮空気は、第2コントロールバルブ41bを介して機外空間14に放出可能とされ、また、第3コントロールバルブ41cを介してキャビン8に導入可能とされている。各コントロールバルブ41a、41b、41cの開度調整により空気分離ユニットU′を通過する空気流量が調整可能とされている。その空気流路75′に導かれた空気は膨張タービン5でほぼ断熱的に膨張される。
【0052】
図12に示すように、複数(本実施形態では4ユニット)の空気分離ユニットU′それぞれは、互いに接続されると共に上記空気流路75′に接続される空気導入口U1′と、互いに接続されると共に上記第1コントロールバルブ41aを介して上記燃料周囲領域15に接続される窒素富化ガス排出口U3′と、互いに接続される酸素濃縮空気排出口U2′とを有する。各酸素濃縮空気排出口U2′は、第2コントロールバルブ41bを介して機外空間14に接続され、第3コントロールバルブ41cを介してキャビン8に接続される。
【0053】
図13に示すように各空気分離部16′を構成する選択透過膜16a′は、空気中の酸素(O2 )の透過率が窒素(N2 )の透過率よりも高くされている。これにより、ウォータセパレータ7を通過した空気は、空気分離部16′により窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離される。選択透過膜16a′は多数の中空糸膜からなる。それら中空糸膜は、容器16c′に収納されると共にエポキシ等の樹脂製バインダ16b′の中に両端が埋設されることで束ねられる。そのバインダ16b′により容器16c′の内周と中空糸膜の両端外周との間が封鎖される。その容器16c′の一端開口は、各中空糸膜の一端開口と上記空気導入口U1′とに接続され、これによりウォータセパレータ7に接続される空気導入ポート16d′として機能する。その容器16c′の他端開口は、各中空糸膜の他端開口と上記窒素富化ガス排出口U3′とに接続され、これにより窒素富化ガス排出ポート16f′として機能する。窒素富化ガス排出ポート16f′から排出される窒素富化ガスが燃料周囲領域15に導入される。その容器16c′の両端間に形成された開口は、各中空糸膜の両端間外周と上記酸素濃縮空気排出口U2′とに接続され、これにより酸素濃縮空気排出ポート16e′として機能する。酸素濃縮空気排出ポート16eから排出される酸素濃縮空気は、膨張タービン5を介することなくキャビン8に導入可能とされている。すなわち、選択透過膜16a′を透過することで減圧された酸素濃縮空気を膨張タービン5を介することなくキャビン8に導入できる。これにより、コンプレッサ3の出口と膨張タービン5の入口との間の圧力差を小さくし、エアサイクル式冷却装置の効率低下を防止できる。各空気分離部16′における空気の導入ポート16d′を開閉するバルブ16g′が設けられている。他は第4実施形態と同様で、同様部分は同一符号で示す。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態における吸着部の数を3つ以上にし、吸着部の数の増加に応じて切替えバルブの数を増やしてもよい。例えば吸着部の数を3つ以上とする場合、何れか一つまたは複数個の吸着部を流出空気流路に接続し、残りの吸着部をバイパス空気流路に接続し、設定時間毎に、流出空気流路に接続される吸着部とバイパス空気流路に接続される吸着部とを予め設定した順序で変化させてもよい。吸着部23、24を構成する吸着剤23b、24bはシリカゲルやゼオライトに限らず、空気に含まれる他の物質の吸着能力を有するものを使用しても良い。
上記実施形態における各膨張タービンを多段にしてもよい。
コントローラ25は、吸着部23、24の内部や出入口につながる配管等に設けた温度センサ、水分センサ、酸素センサ等からの信号に基づいて切替動作信号を出力させてもよい。また、上記実施形態では、航空機の状態に応じたコントローラからの信号により各バルブ12、39、41の開度を調節したり、各切替えバルブ 21、22、27、36を切替えることで、図4〜図6に示すように空気調和装置の状態を変更したが、これに代えて、空気調和装置における空気や冷媒の流路に温度センサや流量センサを設け、それらセンサからの信号に応じて各バルブ12、39、41の開度を調節したり、各切替えバルブ21、22、27、36を切替えてもよい。
エンジン1からの抽気空気は、プリクーラ2に入る前のものを供給してもよく、この場合、空気の温度が高いため少量の空気の供給で各吸着剤23b、24bを再生できる。上記実施形態ではベーパサイクル式熱交換ユニット30により循環空気を抽出空気との混合前に冷却したが、混合された循環空気と抽出空気とを冷却するようにしてもよい。
上記実施形態ではコンプレッサ3により圧縮される前の抽出空気を循環空気と混合したが、コンプレッサ3により圧縮された抽出空気を混合前コンプレッサ17で圧縮された後の循環空気と混合し、しかる後にメインクーラ4により混合された抽出空気と循環空気とを冷却するようにしてもよい。
さらに、ベーパサイクル式熱交換ユニット30として、状況に応じて機体外から取り入れた熱により循環空気を加熱する暖房モードに切替え可能なものを用いてもよい。
混合前コンプレッサ17は複数ユニット搭載し、第5切替えバルブ90を第1状態にしたユニットと第2状態にしたユニットを混在するような運用を行ってもよい。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジン負荷を増大することなく、空気分離ユニットに導入される空気の量と圧力を確保でき、装置の小型軽量化により民間航空機でのOBIGGSの実用化により燃料火災の発生防止に寄与でき、しかもキャビン内の快適性を向上できる航空機用空気調和装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における航空機用空気調和装置の構成説明図
【図2】本発明の第2実施形態における航空機用空気調和装置の構成説明図
【図3】本発明の第3実施形態における航空機用空気調和装置の航空機が地上にある時の構成説明図
【図4】本発明の第3実施形態における航空機用空気調和装置の航空機が上昇時の構成説明図
【図5】本発明の第3実施形態における航空機用空気調和装置の航空機が高々度での巡航時の構成説明図
【図6】本発明の第3実施形態における航空機用空気調和装置の航空機が降下時の構成説明図
【図7】本発明の変形例の航空機用空気調和装置における吸着部の構成説明図
【図8】本発明の第4実施形態における航空機用空気調和装置の構成説明図
【図9】本発明の第4実施形態の変形例において、第5切替えバルブが第1状態である時の混合前コンプレッサと接続切替え機構を示す図
【図10】本発明の第4実施形態の変形例において、第5切替えバルブが第2状態である時の混合前コンプレッサと接続切替え機構を示す図
【図11】本発明の第5実施形態の航空機用空気調和装置の構成説明図
【図12】本発明の第5実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの配置説明図
【図13】本発明の第5実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの構成説明図
【図14】従来の航空機用空気調和装置の構成説明図
【符号の説明】
1 エンジン
3 コンプレッサ
5 膨張タービン
6a モータ
8 キャビン
15 燃料周囲領域
16 空気分離部
16a 選択透過膜
17、17′ 混合前コンプレッサ
17a、17b 圧縮部
18 モータ
30 ベーパサイクル式熱交換ユニット
90 第5切替えバルブ
91 補助抽出空気流路

Claims (8)

  1. エンジンまたは高圧空気供給ユニットからの抽出空気を冷却装置により冷却して航空機のキャビン内に導入する航空機用空気調和装置であって、
    そのキャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路を備え、
    そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と前記抽出空気とが混合されるように、そのリサキュレーション空気流路と抽出空気の空気流路とが接続され、
    その循環空気を、その抽出空気との混合前に圧縮する混合前コンプレッサが、前記リサキュレーション空気流路に備えられ、
    その混合された循環空気と抽出空気を、窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜を有する空気分離部が前記リサキュレーション空気流路に備えられ、
    その窒素富化ガスは航空機の燃料周囲領域に導入可能とされ、その酸素濃縮空気はキャビン内に導入可能とされ、
    前記冷却装置はコンプレッサと膨張タービンとを備え、
    その混合された循環空気と抽出空気とは、その冷却装置のコンプレッサにより圧縮された後に前記空気分離部に導入される航空機用空気調和装置。
  2. 前記酸素濃縮空気は前記膨張タービンにより膨張され、
    その膨張タービンの出力が、前記冷却装置のコンプレッサおよび前記混合前コンプレッサの中の少なくとも一方を駆動するための動力として用いられる請求項1に記載の航空機用空気調和装置。
  3. 前記冷却装置のコンプレッサおよび前記混合前コンプレッサの中の少なくとも一方は、駆動に必要な動力の少なくとも一部をモータから供給される請求項1または2に記載の航空機用空気調和装置。
  4. その混合前コンプレッサにより圧縮された循環空気を冷却可能なベーパサイクル式熱交換ユニットを備える請求項1〜3の中の何れかに記載の航空機用空気調和装置。
  5. 前記抽出空気が流れる補助抽出空気流路と、
    前記混合前コンプレッサの上流において、前記補助抽出空気流路と前記循環空気の空気流路とに接続される切替えバルブとを備え、
    前記切替えバルブは第1状態と第2状態との間で切替え可能とされ、
    前記切替えバルブが第1状態である時、前記循環空気は前記混合前コンプレッサに導かれると共に、前記補助抽出空気流路から前記循環空気の空気流路への前記抽出空気の流れが遮られ、
    前記切替えバルブが第2状態である時、前記補助抽出空気流路から前記循環空気の空気流路へ前記抽出空気が導かれると共に、前記循環空気の流れが遮られる請求項1〜4の中の何れかに記載の航空機用空気調和装置。
  6. 前記混合前コンプレッサは複数段の圧縮部を有し、
    その複数段の圧縮部のうちの少なくとも2以上の圧縮部を、直列に接続する状態と、並列に接続する状態に接続切替え可能な機構が設けられている請求項5に記載の航空機用空気調和装置。
  7. 前記混合前コンプレッサは複数段の圧縮部を有し、
    その複数段の圧縮部のうちの少なくとも2以上の圧縮部を、前記切替えバルブが第1状態である時に直列に接続する状態と、前記切替えバルブが第2状態である時に並列に接続する状態に接続切替え可能な機構が設けられている請求項5に記載の航空機用空気調和装置。
  8. 前記冷却装置において前記コンプレッサから前記膨張タービンに空気を導くための常開の空気流路を備え、その常開の空気流路を流れる空気の一部が前記空気分離部に導かれ、前記選択透過膜は酸素透過率が窒素透過率よりも高くされ、その選択透過膜を透過した酸素濃縮空気は前記膨張タービンを介することなく前記キャビンに導入可能とされている請求項1に記載の航空機用空気調和装置。
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