JP4082066B2 - 航空機用空気調和装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定翼機および回転翼機を含む航空機の燃料系統に窒素富化ガスを供給する機能を備えた空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機における空気調和装置として、エンジンの圧縮部で圧縮されたエンジン抽出空気をラジアルコンプレッサで断熱圧縮し、これを冷却した後に膨張タービンにより断熱膨張させることで冷気を得るエアサイクル式冷却装置が従来から使用されている。
【0003】
軍用機の中には、ミッション中に燃料タンクに被弾した場合に爆発するのを防ぐため、燃料タンクに窒素ガスまたは窒素濃度を高めた空気を注入するOBIGGS(On Board Inert Gas Generation System)を備えるものがある。そのOBIGGSは、エンジン抽出空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜を有する空気分離部を備え、その空気分離から排出される窒素富化ガスを燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域に供給する。近年の民間航空機における事故調査から、燃料タンク内の空間に溜まった空気と燃料蒸気との混合物に機内の配線などから生じたスパークが引火し、火災が発生することが判明している。そのような火災を防止するため、民間航空機においても上記OBIGGSを採用することが検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来においては、空気分離部から排出される酸素濃縮空気は機外空間に放出され、有効利用されることなく無駄になっている。また、空調装置とは独立したOBIGGSでは、空調用とは別に、エンジン抽気が空気分離部に導入されるためエンジン抽出空気量を確保するためにエンジン負荷が増大する。そこで、空気分離部から排出される酸素濃縮空気をキャビンに供給し、キャビンの圧力が地上よりも低い状態に調節されても酸素濃度を大きくすることで息苦しさ等を解消することができる。つまり、分離された酸素濃縮空気はキャビンに注入されるのである。しかし、この機能だけではキャビンに酸素濃縮空気を供給した場合、乗客がほとんど搭乗していない場合や貨物輸送専用の航空機においては、供給される酸素濃縮空気と消費される酸素とのバランスが崩れ、酸素濃度が上がり過ぎるため、万一火災が発生した場合には、その火勢を増大せしめる恐れがあり、少なくとも地上の気圧における酸素分圧を超えて、顕著に高くならない対策が必要であった。また飛行条件、たとえば降下速度が速いなどの時には、燃料系統に送る窒素富化ガスの量が増大するため、やはり酸素濃縮空気が過剰となり、同様の問題を生じる。
本発明は上記問題を解決することのできる航空機用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コンプレッサにより圧縮された空気を膨張タービンにより膨張させることで生成される冷気をキャビン内に導入する航空機用空気調和装置において、そのコンプレッサにより圧縮された空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する空気分離部と、その窒素富化ガスを航空機の燃料周囲領域に導入する手段と、その酸素濃縮空気をキャビンに導入する手段とを備える。これにより、空気分離部から排出された酸素濃縮空気をキャビンに供給することで有効利用できる。
【0006】
本発明は、そのキャビン内の酸素濃度を検出する手段と、そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、その酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出する手段と、キャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路を備え、そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と航空機のエンジンからの抽出空気とが混合後に前記空気分離部に導入されることを一つの特徴とする。これにより、キャビンの酸素濃度が高くなり過ぎるのを防止でき、空気分離部を含む空気調和装置に必要な空気量のうち、かなりの部分がリサキュレーションで賄われるためエンジン抽出空気量を抑制してさらにエンジン負荷を軽減できる。
【0007】
本発明は、そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、そのキャビンに導入されることになる空気中から酸素を選択的に捕捉すると共に、その捕捉した酸素を含む酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出することをもう一つの特徴としている。これによりキャビンの酸素濃度が高くなり過ぎるのを防止できる。この場合、キャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路を備え、そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と航空機のエンジンからの抽出空気とが混合後に前記空気分離部に導入されるのが好ましい。これにより、空気分離部を含む空気調和装置に必要な空気量のうち、かなりの部分がリサキュレーションで賄われるためエンジン抽出空気量を抑制してさらにエンジン負荷を軽減できる。
【0008】
その酸素濃度の設定値は航空機の高度に応じて変更されるのが好ましい。これにより、高高度においてはキャビン内の圧力が低く調節されるため低高度におけるよりも酸素分圧も同様に低下してしまう。しかし、火勢の状況は酸素分圧が大きく影響するため、酸素濃度の設定値を火災に影響しない範囲で大きくし、低高度では高高度よりも酸素濃度の設定値を小さくして火災への影響を小さくすることができる。
【0009】
本発明において、空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜と、空気に含まれる酸素分子の吸着機能を有する吸着材の中の少なくとも一方を有する酸素選択捕捉ユニットを備え、そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、その酸素選択捕捉ユニットにより前記空気分離部から排出される酸素濃縮空気から酸素を選択的に捕捉するのが好ましい。これによりキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると効果的に酸素濃度を低減することができる。
この場合、前記コンプレッサと膨張タービンとの間の空気流路における前記空気分離部の上流と下流とを連絡する空気流路が設けられているのが好ましい。これにより、酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出する場合でも膨張タービンにおける空気流量を確保できるため、冷却能力の低下を抑制できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示す第1実施形態の航空機用空気調和装置は、エンジン1からの抽出空気を、プリクーラ2と呼ばれる熱交換器により冷却し、流量制御バルブ39で流量調整し、後述の循環空気と混合した後にラジアルコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮する。その流量制御バルブ39は図外コントローラからの信号により開度調整可能とされている。これにより昇温された空気をメインクーラ4と呼ばれる熱交換器により冷却した後、再生熱交換機4aで冷却し、水分捕捉のためにウォータセパレータ7に導く。そのウォータセパレータ7で水分除去された空気は、互いに並列に接続された分離バイパス流路75と複数の空気分離部16とに導入される。その分離バイパス流路75は開閉バルブ41により開閉され、その開閉バルブ41はコントローラからの信号により開度調整される。その空気分離部16は導入された空気を酸素濃縮空気と窒素富化ガスとに分離する。その空気分離部16と開閉バルブ41により空気分離ユニットUが構成される。その空気分離部16から流出する酸素濃縮空気は酸素濃度切替えバルブ127に導かれる。その酸素濃度切替えバルブ127は酸素濃縮空気を航空機の機外に放出する手段を構成し、そこに導かれた酸素濃縮空気を機外空間14に放出する状態と、膨張タービン5に導く状態とにコントローラからの信号により空気流路を切替え可能である。その膨張タービン5は濃度切替えバルブ127を介して導入される酸素濃縮空気と分離バイパス流路75から流出する空気をほぼ断熱的に膨張する。これにより、コンプレッサ3と膨張タービン5とにより構成されるエアサイクル式冷却装置により冷気が生成される。その冷気は再生熱交換機4aからミキシングチャンバ13を介して航空機のコックピット空間を含むキャビン8に導入される。そのプリクーラ2およびメインクーラ4においては、ラム空気路9を通る機外空気により冷却が行われる。その膨張タービン5の膨張仕事は、シャフト6を介してコンプレッサ3に伝えられることで圧縮動力として利用される。そのコンプレッサ3とタービン5を結ぶシャフト6には、コンプレッサ3の駆動に必要な動力を補助するためのモータ6aが取り付けられている。そのラジアルコンプレッサ3、メインクーラ4、再生熱交換機4a、膨張タービン5、モータ6a、ウォータセパレータ7および空気分離ユニットUにより冷却処理ユニットAが構成されている。なお、航空機が地上にあってエンジンが停止している際は、エンジン1に代えてAPU(Auxiliary Power Unit)などの高圧空気供給ユニット1′からの抽出空気を空気調和装置に供給することが可能とされている。
【0011】
エンジン1からの抽出空気を上記エアサイクル式冷却装置を通ることなくキャビン8に導くためのバイパス空気流路11が設けられている。そのバイパス空気流路11はホットエアモジュレートバルブ12により開閉される。そのホットエアモジュレートバルブ12はコントローラからの信号により開度調整可能とされている。これにより、バイパス空気流路11を流れる空気流量が調整可能とされている。抽出空気の一部は、そのホットエアモジュレートバルブ12を開くことで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置で冷却されることなく、バイパス空気流路11からミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導かれる。そのキャビン8内の空気は、空気調和装置からの供給分から機体の漏れや機外への空気流路からの放出分を差し引いた分に相当する量だけ流出空気流路40に流出され、その流出空気流路40においてフィルター42により埃や匂いが除去される。その流出空気流路40に流出された空気の一部はファンF1を介してミキシングチャンバ13に導かれる。
【0012】
その流出空気流路40から分岐する補助空気流路71が再生熱交換機72に接続されている。キャビン8から流出空気流路40を介して流出した空気の一部はファンF2により補助空気流路71に導かれた後に再生熱交換機72により加熱される。その補助空気流路71と流出空気流路40とに、吸着部83が空気流路切替機構50を介して接続される。すなわち図2に示すように、多数の吸着部83が回転ドラム80の内部にハニカム状に設けられ、その長手方向は回転軸方向に延びる。各吸着部83内に吸着剤が充填されている。その吸着剤は、空気に含まれる分子を吸着し、また、吸着時よりも温度が上昇することで吸着した分子を放出するもので、例えばシリカゲルのような水分子吸着物質や、ゼオライトのような酸素分子吸着物質から構成できる。本実施形態では、その吸着剤として水分子吸着物質が用いられる。その回転ドラム80の両端面にセパレータ81が相対回転可能にシール部材(図示省略)を介して接合されている。各セパレータ81は、外輪81aと内輪81bとを2本のアーム81cにより接続することで構成され、航空機の機体側に固定される。各セパレータ81の内輪81bにより、回転ドラム80の中心シャフト80aが軸受(図示省略)を介して回転可能に支持される。その中心シャフト80aにモータ82が接続され、そのモータ82がコントローラ25からの信号により駆動されることで回転ドラム80は回転する。各セパレータ81における外輪81aと内輪81bとの間は、2本のアーム81cにより2つの領域81d、81eに区画されている。各セパレータ81における一方の領域81dは配管継手84を介して補助空気流路71に接続され、他方の領域81eは配管継手85を介して流出空気流路40に接続される。これにより、その回転ドラム80の回転により、各吸着部83それぞれを補助空気流路71に接続する状態と流出空気流路40に接続する状態とに切替える空気流路切替機構50が構成されている。なお、吸着部83と空気流路切替機構50の構造は特に限定されず、例えば複数の容器内に吸着剤を充填することで吸着部を構成し、各吸着部を補助空気流路71と流出空気流路40とに交互に接続する切り替えバルブにより空気流路切替機構を構成してもよい。
【0013】
その補助空気流路71から吸着部83に導かれた空気は第3切替えバルブ27に導かれる。その第3切替えバルブ27は、そこに導かれた空気を機外空間14に放出する状態と、ミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導く状態とにコントローラからの信号により空気流路を切替え可能である。
【0014】
その空気流路切替機構50により、流出空気流路40から吸着部83に導かれた空気は、モータ18で駆動される混合前コンプレッサ17に導かれる。その混合前コンプレッサ17により昇圧された空気は、再生熱交換機72において補助空気流路71を流れる空気と熱交換し、放熱器19においてラム空気路9を通る機外空気により冷却された後に、第4切替えバルブ36に導かれる。その第4切替えバルブ36は、コントローラからの信号により、導かれた空気をミキシングチャンバ13を介してキャビン8に導く状態と、エアサイクル式冷却装置に導く状態とに空気流路を切替え可能である。その混合前コンプレッサ17、放熱器19、モータ18、第4切替えバルブ36、空気流路切替機構50、再生熱交換機72、吸着部83、ファンF2によって、キャビン8からの流出空気の圧縮処理ユニットBが構成されている。その圧縮処理ユニットBおよび上記冷却処理ユニットAの数は単一に限定されず複数であってもよい。
【0015】
そのキャビン8から流出空気流路40を介して流出する空気が第4切替えバルブ36を介して再びキャビン8に戻されることでリサキュレーション空気流路が構成される。第4切替えバルブ36は、キャビン8から流出する空気をミキシングチャンバ13を介して直接キャビン8に戻す場合とエアサイクル式冷却装置を介して戻す場合との切り換えを行う。これにより、そのキャビン8から流出する空気は再びキャビン8に戻る循環空気となる。そのキャビン8に戻る循環空気とエンジン1からの抽出空気とが混合されるように、その循環空気の空気流路と抽出空気の空気流路とが接続される。本実施形態では、その第4切替えバルブ36を介してエアサイクル式冷却装置に導かれる循環空気は、流量制御バルブ39を介して供給される抽出空気と混合される。その混合された循環空気と抽出空気とが、エアサイクル式冷却装置のコンプレッサ3でほぼ断熱的に圧縮された後に、上記空気分離部16に導入される。
【0016】
その補助空気流路71を流れる空気の温度は再生熱交換機72により加熱されることで例えば100℃〜140℃になり、一方、キャビン8から流出空気流路40に導かれる空気の温度は例えば20℃〜30℃になる。これにより、キャビン8から流出空気流路40を介して導入される空気が流れる時は低温になるので、吸着部83の吸着剤はキャビン8から流出される空気に含まれる有効成分(ここでは水分子)を吸収する。一方、補助空気流路71を介して導入される空気が流れる時は高温になるので、吸着部83の吸着剤は流出空気流路40を介して導入される空気から吸収した水分子を補助空気流路71を介して導入される空気中に放出することで再生する。例えば、各吸着剤がシリカゲルである場合、20℃ではシリカゲル1.0kgに0.25kg以上の水分子を吸着できるが、100℃ではシリカゲル1.0kgに0.02kg以下の水分子しか吸着できない。これにより、キャビン8から流出される空気中の水分子を、吸着剤により吸着した後にキャビン8に還流する空気中に放出することでキャビン8に戻し、キャビン8の快適性を向上することができる。しかも、吸着剤は再度利用できるように再生される。
【0017】
図3、図4示すように、複数(本実施形態では4つ)の空気分離部16は互いに並列に接続され、それぞれ選択透過膜16aを有する。その選択透過膜16aは、空気中の窒素(N2 )の透過率が酸素(O2 )の透過率よりも高くされている。本実施形態では、各空気分離部16を構成する選択透過膜16aは多数の中空糸膜からなり、それら中空糸膜は容器16cに収納されると共にエポキシ等の樹脂製バインダ16bの中に両端が埋設されることで束ねられ、そのバインダ16bにより容器16cの内周と中空糸膜の両端外周との間が封鎖される。各容器16cの一端開口は、各中空糸膜の一端開口に通じる空気の導入ポート16dとされる。各容器16cの他端開口は、各中空糸膜の他端開口に通じる酸素濃縮空気の排出ポート16eとされる。各容器16cの両端間に形成された開口は、各中空糸膜の両端間外周に通じる窒素富化ガスの排出ポート16fとされる。
【0018】
各空気の導入ポート16dそれぞれは、導入側バルブ16gにより開閉され、その導入側バルブ16gを介してウォータセパレータ7に接続される。これにより、コンプレッサ3によって圧縮された空気が各空気分離部16に空気の導入ポート16dから導入される。各酸素濃縮空気の排出ポート16eそれぞれは上記酸素濃度切替えバルブ127に接続される。各窒素富化ガスの排出ポート16fは互いに接続され、窒素富化ガス排出側バルブ16iにより開閉され、その窒素富化ガス排出側バルブ16iを介して燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域15にガス流路を介して接続される。その酸素濃度切替えバルブ127はコントローラ25に接続され、そのコントローラ25にキャビン8内の酸素濃度の検出センサ25aが接続されている。各酸素濃度切替えバルブ127はコントローラ25によりキャビン8内の酸素濃度の検出値が設定値以上になると酸素濃縮空気を機外空間14に放出する状態に切り替えられ、その検出値が設定値未満になると酸素濃縮空気を膨張タービン5に導く状態に切り替えられる。この機外空間14に至る流路中には減圧できる機能(弁や絞りなど)が付与(図示省略)されているのは言うまでもない。なお、各導入側バルブ16g、窒素富化ガス排出側バルブ16iの開度は、酸素濃度の検出値に応じてコントローラ25により変更されてもよいし、手動により変更されてもよい。また、そのコントローラ25に航空機の高度センサを接続し、その酸素濃度の設定値を航空機の高度に応じて変更してもよい。これにより、高高度においては低高度におけるよりも酸素分圧の低下が大きいことから、酸素濃度の設定値を火災発生のおそれのない範囲で大きくし、低高度では高高度よりも酸素濃度の設定値を小さくして火災発生のおそれを小さくすることができる。
【0019】
これにより、コンプレッサ3により圧縮された空気は、再生熱交換機4aで冷却されてウォータセパレータ7を通過した後に、空気分離部16により窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離される。各空気分離部16における窒素富化ガスの排出ポート16fから排出される窒素富化ガスは、燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域15に導かれた後に機外空間14に放出される。酸素濃縮空気の排出ポート16eから排出される酸素濃縮空気は、キャビン8の酸素濃度が設定値未満であれば膨張タービン5を介してキャビン8に導入され、酸素濃度が設定値以上であれば機外空間14に放出される。上記コンプレッサ3と膨張タービン5との間の空気流路における空気の導入ポート16dの上流と酸素濃度切替えバルブ127の下流とが上記分離バイパス流路75により連絡され、その分離バイパス流路75の開度が上記開閉バルブ41により変更される。その開閉バルブ41はコントローラ25からの信号あるいは手動により開度調整可能とされ、選択透過膜16aを通過する空気流量が調整可能とされている。
【0020】
上記実施形態の空気調和装置を備えた航空機が地上にある時の冷房状態においては、流量制御バルブ39を開状態にすることで、コンプレッサ3と膨張タービン5とから構成されるエアサイクル式冷却装置をフルに作動することができる。
この場合、開閉バルブ41は必要に応じて開度を選択すればよい。すなわち、開閉バルブ41を全開とすることで、空気分離部16に空気を導入しないようにできる。これにより、地上において燃料が積み込まれることで燃料タンクの内部における空洞容積が小さくなり、地上走行(タキシング)を含めても燃料消費が僅かであり、気圧の変化がないことにより、燃料周囲領域15への窒素富化ガスの追加供給が不要な場合に対応できる。
あるいは、開閉バルブ41を閉じることで、空気分離部16に空気を導入することができる。これにより、航空機が地上で待機している間に燃料タンクから蒸発する燃料ガスを、空気分離部16から供給する窒素富化ガスにより希釈して安全性を向上することが可能になる。
また、地上が高温多湿である場合、開閉バルブ41を閉じることで、選択透過膜16aは水分透過率が高いことから空気中の水分を機外に放出することができる。これにより、膨張タービン5に導入される空気中の水分が減少し、凝縮熱の発生が低減されるので、冷却能力を向上すると共にキャビン8内の湿度を低減することが可能になる。
また、高温多湿の地上での冷房状態において、キャビン8から流出した空気から水分を捕捉した吸着部83の吸着剤の再生を行うことができる。その再生に用いられた水分を多く含んだ空気は、第3切替えバルブ27を介して機外空間14に放出される。これにより、地上での冷房時は、キャビン8内の水分を吸着部83において補足して放出するので、キャビン8内の湿度上昇を抑制して快適性を向上でき、さらに、キャビン8から流出されて吸着部83から流出する水分除去された空気は、第4切替えバルブ36からキャビン8に還流される。
【0021】
航空機が離陸し上昇する状態においては、エンジン1の出力が上がるために抽出空気の圧力が高くなる。このため、エアサイクル式冷却装置におけるタービン5での膨張比が大きくなり、より低温の空気が供給される。この場合、エアサイクル式冷却装置から供給される空気によりキャビン8内の温度が過剰に低下するのを防止する必要がある。また、航空機の上昇状態においては外気の温度と水蒸気量とが急激に低下するため、キャビン8内の湿度が過剰に低下するのを防止する必要がある。そのため、吸着部83において再生された暖かく水分を含む空気が、第3切替えバルブ27を介してキャビン8に供給される。また、放熱器19を航空機の上昇中の状態に応じて機能させることで、キャビン8から流出されて吸着部83から流出する水分除去された空気は、切替えバルブ36からキャビン8に還流され、キャビン8は適切な温度、湿度に維持される。
また、上昇状態においては、開閉バルブ41の開度を次第に絞ることで、空気分離部16に供給される空気を次第に増加させる。これにより、燃料消費に応じた量の窒素富化ガスが空気分離部16から燃料周囲領域15に供給される。さらに抽出空気の供給圧が高いため、膨張タービン5の膨張エネルギの方がコンプレッサ3の圧縮仕事よりも著しく大きい場合は、モータ6aを発電機として機能させエネルギ回収をすることも考えられる。
【0022】
航空機が高々度で巡航する状態においては、キャビン8から流出されて吸着部83から流出する水分除去された空気は、混合前コンプレッサ17で昇圧された後に切替えバルブ36からコンプレッサ3に導かれる。これにより、上昇終了後にエンジン1の出力が絞られることで抽出空気量を減少させても、エアサイクル式冷却装置および空気分離部16に導入される空気量を確保できる。この時、開閉バルブ41がかなり絞られる。空気分離部16において酸素が濃縮された空気が膨張タービン5に導入される。さらに、吸着部83において加湿された空気が第3切替えバルブ27からキャビン8に導入される。これにより、キャビン8に導入される空気量を確保し、キャビン8内の酸素濃度低下を防止し、さらに湿度を維持することで快適性を維持できる。また、空気分離部16からは窒素富化ガスが燃料周囲領域15に供給される。
なお、高々度で巡航する際は機外空気は低温となるため、熱交換器2、4に流入する機外空気を絞る弁や、機外空気が熱交換器2、4をバイパスするためのバイパス流路と流路切替え弁をラム空気路に設けるのが好ましい。
【0023】
航空機が降下する状態においては、燃料タンクの内部における空洞容積は燃料が消費された結果大きくなっており、また、降下による気圧上昇があることから、燃料周囲領域15へ窒素富化ガスを大量供給する必要がある。一方、エンジン1の出力は降下時は極端に絞られるため、エアサイクル式冷却装置に供給される抽出空気圧力が低く、抽気量確保が難しくなる。そこで、キャビン8から流出される空気を切替えバルブ36からコンプレッサ3に導くことで循環空気量を増やし、エアサイクル式冷却装置における抽出空気量の低下を補う。また、開閉バルブ41が全閉とされ、空気分離部16からは窒素富化ガスが燃料周囲領域15に供給される。さらに、吸着部83において加湿された空気も第3切替えバルブ27からキャビン8に導入され、キャビン8への空気供給量の低下を防止する。
【0024】
上記実施形態によれば、酸素濃縮空気をキャビン8に供給することで有効利用でき、また、循環空気とエンジン1からの抽出空気とが混合後に空気分離部16に導入されるので、エンジン抽出空気量を抑制してエンジン負荷を軽減できる。さらに、分離バイパス流路75の開度を開閉バルブ41により調節することで、飛行条件に応じて窒素富化空気の流量と空調空気の流量との比を調節できる。そして、キャビン8内の酸素濃度が高くなると酸素濃縮空気を航空機の機外空間14に排出することで、キャビン8の酸素濃度が高くなり過ぎて火災が発生し易くなるのを防止できる。また、酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出する場合でも分離バイパス流路75により膨張タービン5における空気流量を確保できるため、冷却能力の低下を抑制できる。
【0025】
図5および図6は第2実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。本第2実施形態においては、第1実施形態とは異なった酸素濃縮空気を航空機の機外に放出する手段を備える。すなわち酸素濃縮空気を機外空間14に放出する手段として、第1実施形態の酸素濃度切替えバルブ127に代えて酸素選択捕捉ユニット130を備えている。その酸素選択捕捉ユニット130は、空気分離部16から排出されると共にキャビン8に導入されることになる酸素濃縮空気中から、酸素を選択的に捕捉すると共に、その捕捉した酸素を含む酸素濃縮空気を機外空間14に排出する。
【0026】
その酸素選択捕捉ユニット130は、図1において破線で示すように本実施形態では空気分離部16と膨張タービン5との間に配置される。すなわち、その酸素選択捕捉ユニット130は、4つの空気分離部16の中の2つの空気分離部16における酸素濃縮空気排出ポート16eに接続される酸素選択捕捉エレメント131と、両酸素選択捕捉エレメント131に接続される開閉バルブ133とを有する。4つの空気分離部16の中の残りの2つの空気分離部16においては、酸素濃縮空気の排出ポート16eは膨張タービン5に直接に接続される。なお、酸素選択捕捉ユニット130に接続される2つの空気分離部16は残りの空気分離部16よりも空気分離能力が小さくされている。
【0027】
図6に示すように、各酸素選択捕捉エレメント131は選択透過膜131aを有する。その選択透過膜131aは酸素(O2 )の透過率が窒素(N2 )の透過率よりも高くされている。これにより、各酸素選択捕捉エレメント131は酸素濃縮空気排出ポート16eから排出される酸素濃縮空気を、より酸素が濃縮された酸素濃縮空気と、酸素濃縮が解除された酸素濃縮解除空気とに分離する。本第2実施形態では、各選択透過膜131aは多数の中空糸膜からなり、それら中空糸膜は容器130aに収納されると共にエポキシ等の樹脂製バインダ130bの中に両端が埋設されることで束ねられ、そのバインダ130bにより容器130aの内周と中空糸膜の両端外周との間が封鎖される。その容器130aの一端開口は各中空糸膜の一端開口と酸素濃縮空気排出ポート16eとに接続されることで酸素濃縮空気の導入ポート130dとされる。その容器容器130aの他端開口は各中空糸膜の他端開口と膨張タービン5とに接続される酸素濃縮解除空気の排出ポート130fとされている。その容器130aの両端間に形成された開口は、各中空糸膜の両端間外周と開閉バルブ133とに接続される酸素濃縮空気の排出ポート130eとされる。その開閉バルブ133はコントローラ25に接続され、そのコントローラ25にキャビン8内の酸素濃度の検出センサ25aが接続されている。開閉バルブ133の開度はコントローラ25によりキャビン8内の酸素濃度の検出値に応じて制御され、酸素濃度の検出値が大きくなるにつれて大きくなるものとされている。これにより、キャビン8の酸素濃度が高くなれば酸素濃縮空気を機外空間14に放出し、キャビン8の酸素濃度が高くなり過ぎるのを防止できる。他は第1実施形態と同様である。なお、酸素選択捕捉ユニット130を、図1において破線で示すように混合前コンプレッサ17と吸着部83との間、第4切替えバルブ36とコンプレッサ3との間、あるいはプリクーラ2と流量制御バルブ39との間の空気流路に配置してもよく、この場合、その空気流路を互いに並列な2つの流路に分割し、一方の流路に酸素選択捕捉ユニット130を接続すればよい。
【0028】
図7は第2実施形態の変形例を示し、第2実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。この変形例においては、第2実施形態とは異なった酸素選択捕捉ユニット130′を備える。すなわち、全ての空気分離部16における酸素濃縮空気の排出ポート16eが酸素選択捕捉ユニット130′に接続される。各酸素選択捕捉ユニット130′の酸素選択捕捉エレメント131は空気分離部16と連結具140により連結されている。各酸素選択捕捉エレメント131の酸素濃縮解除空気の排出ポート130fは、それぞれ開閉バルブ141により開閉され、各開閉バルブ141を介して切り替え弁142に接続される。その切り替え弁142は導入された酸素濃縮解除空気を膨張タービン5に導く状態と機外空間14に導く状態とに切り替え可能とされている。各空気分離部16における窒素富化ガスの排出ポート16fは、それぞれ開閉バルブ143により開閉され、各開閉バルブ143と窒素富化ガス排出側バルブ16iを介して燃料周囲領域15に接続される。各酸素選択捕捉エレメント131における酸素濃縮空気の排出ポート130eは、それぞれ開閉バルブ144により開閉され、各開閉バルブ144と開閉バルブ133を介して機外空間14に接続される。各空気分離部16と各酸素選択捕捉エレメント131に接続される導入側バルブ16g、開閉バルブ141、143、144とが共通シャフトを介してバルブアクチュエータ73により駆動されることで空気の導入ポート16d、酸素濃縮解除空気の排出ポート130f、窒素富化ガスの排出ポート16f、酸素濃縮空気の排出ポート130eが開閉される。また、開閉バルブ41がバルブアクチュエータ73とは別の第2バルブアクチュエータ173により駆動されることで分離バイパス流路75が開閉される。さらに冗長性を持たせるため、窒素富化ガス排出側バルブ16iが補助バルブアクチュエータ273により駆動されることで窒素富化ガスの排出ポート16fが開閉され、また、補助開閉バルブ141が第2補助バルブアクチュエータ273により駆動されることで分離バイパス流路75が開閉される。
【0029】
図8および図9は第3実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。本第3実施形態においては、第2実施形態とは異なった酸素選択捕捉ユニット230を備えている。その酸素選択捕捉ユニット230は空気分離部16と膨張タービン5との間に配置されている。4つの空気分離部16の中の2つの空気分離部16における酸素濃縮空気の排出ポート16eが膨張タービン5に直接に接続され、残りの2つの空気分離部16における酸素濃縮空気の排出ポート16eが酸素選択捕捉ユニット230に接続される。その酸素選択捕捉ユニット230は、第1、第2切り替えバルブ241 、242と、第1、第2酸素選択捕捉エレメント231、232と、減圧弁233とを有する。
【0030】
その第1切り替えバルブ241は、酸素濃縮空気の排出ポート16eを第1酸素選択捕捉エレメント231に接続すると共に第2酸素選択捕捉エレメント232を機外空間14に接続する第1状態と、酸素濃縮空気の排出ポート16eを第2酸素選択捕捉エレメント232に接続すると共に第1酸素選択捕捉エレメント231を機外空間14に接続する第2状態との間で切替え可能とされている。図9に示すように、各酸素選択捕捉エレメント231、232は、メッシュに収納された多数のビーズ状のゼオライト等の酸素分子吸着物質231a、232aを容器231b、232bに収納することで構成され、各切り替えバルブ241との接続用ポート231c、232c、231d、232dを有する。その第2切り替えバルブ242は、第1切り替えバルブ241が第1状態である時に第1酸素選択捕捉エレメント231を膨張タービン5に接続すると共に第2酸素選択捕捉エレメント232を減圧弁233に接続する第1状態と、第1切り替えバルブ241が第2状態である時に第2酸素選択捕捉エレメント232を膨張タービン5に接続すると共に第1酸素選択捕捉エレメント231を減圧弁233に接続する第2状態との間で切替え可能とされている。酸素選択捕捉ユニット230に接続された2つの空気分離部16の導入側バルブ16gと両切り替えバルブ241、242はコントローラ25に接続され、そのコントローラ25にキャビン8内の酸素濃度の検出センサ25aが接続されている。両切り替えバルブ241、242はコントローラ25からの信号により第1状態と第2状態との間での切替えが同期して繰り返し行われる。その切替えは設定時間毎に行えばよい。酸素選択捕捉ユニット230に接続された導入側バルブ16gは、酸素濃度の検出値が設定値未満では閉じられ、設定値以上になると開かれる。これにより、酸素濃度の検出値が設定値以上になると、両酸素選択捕捉エレメント231、232に第1切り替えバルブ241から交互に導入される酸素濃縮空気は、酸素分子吸着物質231a、232aにより酸素分子を吸着されることで酸素濃縮解除空気とされ、膨張タービン5に導入される。両酸素選択捕捉エレメント231、232に第2切り替えバルブ242から交互に導入される酸素濃縮空気は、減圧弁233により減圧されているため、酸素分子吸着物質231a、232aが吸着した酸素分子が放出されることで酸素濃縮空気とされ、機外空間14に排出される。すなわち圧力スイング方式により酸素分子吸着物質231a、232aによる酸素の吸着と放出とを行うことができる。これにより、キャビン8の酸素濃度が高くなれば酸素濃縮空気を機外空間14に放出し、キャビン8の酸素濃度が高くなり過ぎるのを防止できる。他は第1実施形態と同様である。
【0031】
第3実施形態においては酸素選択捕捉ユニット230は空気分離部16と膨張タービン5との間の空気流路に配置されるが、これ以外の空気流路に配置されてもよく、例えば図1において2点鎖線で示すように、混合前コンプレッサ17と吸着部83との間、第4切替えバルブ36とコンプレッサ3との間、あるいはプリクーラ2と流量制御バルブ39との間の空気流路に酸素選択捕捉ユニット130を配置してもよく、この場合、その空気流路を互いに並列な2つの流路に分割し、一方の流路に酸素選択捕捉ユニット230を接続すればよい。また、例えば吸着部83から流出する空気と吸着部83に導入される空気とを第1酸素選択捕捉エレメント231と第2酸素選択捕捉エレメント232に交互に導入することで、酸素分子吸着物質231a、232aによる酸素の吸着と放出とを圧力スイング方式ではなく温度スウィング方式により行ってもよい。
【0032】
図10〜図12は本発明の第4実施形態の航空機用空気調和装置に関し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して相違点を説明する。
図10に示すように、第4実施形態においては、ラジアルコンプレッサ3で圧縮され、メインクーラ4、再生熱交換機4aで冷却され、ウォータセパレータ7で水分除去された空気は、常開の空気流路75′と互いに並列に接続された複数の空気分離ユニットU′とに導かれる。各空気分離ユニットU′は第1〜第3コントロールバルブ41a、41b、41cに接続される。各コントロールバルブ41a、41b、41cはコントローラからの信号により開度調整される。各空気分離ユニットU′から窒素富化ガスと酸素濃縮空気とが排出され、窒素富化ガスは第1コントロールバルブ41aを介して燃料タンク内部や燃料配管領域等の燃料周囲領域15に導かれた後に、放出路を通って機外空間14に放出される。酸素濃縮空気は、第2コントロールバルブ41bを介して機外空間14に放出可能とされ、第3コントロールバルブ41cを介してキャビン8に導入可能とされている。各コントロールバルブ41a、41b、41cの開度調整により空気分離ユニットU′を通過する空気流量が調整可能とされている。その空気流路75′に導かれた空気は膨張タービン5でほぼ断熱的に膨張される。これにより、コンプレッサ3と膨張タービン5とにより構成されるエアサイクル式冷却装置により冷気が生成される。その冷気は第1実施形態と同様にキャビン8に導入される。そのラジアルコンプレッサ3、メインクーラ4、再生熱交換機4a、膨張タービン5、モータ6a、ウォータセパレータ7および空気分離ユニットU′により冷却処理ユニットA′が構成されている。
【0033】
図11に示すように、複数(本実施形態では4ユニット)の空気分離ユニットU′それぞれは、互いに接続されると共に上記空気流路75′に接続される空気導入口U1′と、互いに接続されると共に上記第1コントロールバルブ41aを介して上記燃料周囲領域15に接続される窒素富化ガス排出口U3′と、互いに接続される酸素濃縮空気排出口U2′とを有する。各酸素濃縮空気排出口U2′は第2コントロールバルブ41bを介して機外空間14に接続され、第3コントロールバルブ41cを介してキャビン8に接続される。その第2コントロールバルブ41bはコントローラ25に接続され、そのコントローラ25にキャビン8内の酸素濃度の検出センサ25aが接続されている。第2コントロールバルブ41bの開度はコントローラ25によりキャビン8内の酸素濃度の検出値に応じて制御され、酸素濃度の検出値が大きくなるにつれて大きくなるものとされている。これにより、キャビン8の酸素濃度が高くなれば酸素濃縮空気を機外空間14に放出し、キャビン8の酸素濃度が高くなり過ぎるのを防止できる。
【0034】
図12に示すように、各空気分離部16′は選択透過膜16a′を有する。その選択透過膜16a′は、空気中の酸素(O2 )の透過率が窒素(N2 )の透過率よりも高くされている。これにより、コンプレッサ3により圧縮された空気は、再生熱交換機4aで冷却されてウォータセパレータ7を通過した後に、空気分離部16′により窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離される。本実施形態では、各空気分離部16′を構成する選択透過膜16a′は多数の中空糸膜からなり、それら中空糸膜は容器16c′に収納されると共にエポキシ等の樹脂製バインダ16b′の中に両端が埋設されることで束ねられ、そのバインダ16b′により容器16c′の内周と中空糸膜の両端外周との間が封鎖される。その容器16c′の一端開口は、各中空糸膜の一端開口と上記空気導入口U1′とに接続されることでコンプレッサ3により圧縮された空気を導入するための空気の導入ポート16d′とされる。その容器16c′の他端開口は、各中空糸膜の他端開口と上記窒素富化ガス排出口U3′とに接続される窒素富化ガスの排出ポート16f′とされている。その容器16c′の両端間に形成された開口は、各中空糸膜の両端間外周と上記酸素濃縮空気排出口U2′とに接続される酸素濃縮空気の排出ポート16e′とされる。これにより、空気の導入ポート16d′はウォータセパレータ7に接続され、窒素富化ガスの排出ポート16f′から排出される窒素富化ガスは燃料周囲領域15に導入可能とされている。また、酸素濃縮空気の排出ポート16e′から排出される酸素濃縮空気は膨張タービン5を介することなくキャビン8に導入可能とされている。すなわち、選択透過膜16a′を透過することで減圧された酸素濃縮空気を膨張タービン5を介することなくキャビン8に導入でき、コンプレッサ3の出口と膨張タービン5の入口との間に圧力降下するものの存在を減少させた結果、この間の圧力差を小さくすることにより構成されるエアサイクル式冷却装置の効率低下を防止できる。
【0035】
各空気分離部16′は、空気の導入ポート16d′を開閉する導入側バルブ16g′と、酸素濃縮空気の排出ポート16e′を開閉する酸素濃縮空気排出側バルブ16h′と、窒素富化ガスの排出ポート16f′を開閉する窒素富化ガス排出側バルブ16i′とを有する。各バルブ16g′、16h′、16i′により空気の導入ポート16d′、酸素濃縮空気の排出ポート16e′および窒素富化ガスの排出ポート16f′は同時に全閉可能とされている。各バルブ16g′、16h′、16i′は第1実施形態と同様のバタイフライ弁等により構成できる。また、各空気分離部16′も空気配管に対して第1実施形態と同様にフランジ部を介して着脱可能に連結され、その連結部は各バルブ16g′、16h′、16i′よりも空気分離部16′側に配置される。これにより、空気の導入ポート16d′、酸素濃縮空気の排出ポート16e′、窒素富化ガスの排出ポート16f′を全閉状態にすれば、空気分離部の破損に対処できるだけでなく空気分離部16′の保守点検や交換を空調空気を流動させた状態で容易に行うことができる。なお、第1コントロールバルブ41aと燃料周囲領域15との間の配管と、第2コントロールバルブ41bと機外空間14との間の配管は空気分離部16′と機外とを連絡する外部連絡流路を構成する。図11に示すように、各外部連絡流路に絞り部E1、E2が設けられている。各絞り部E1、E2は固定絞りでも可変絞り弁でもよい。これにより、第1コントロールバルブ41aや第2コントロールバルブ41bが開き状態で固着される事態が生じても、キャビン8に供給されるべき空気が機外に過剰に流出するのを阻止できる。他は第1実施形態と同様とされている。
【0036】
本発明は上記各実施形態に限定されない。例えば、第4実施形態において第2実施形態や第3実施形態や変形例に示した酸素選択捕捉ユニット130、130′、230を用い、キャビン内の酸素濃度が過大になるのを防止するようにしてもよい。また、酸素選択捕捉ユニットとして、空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜と、空気に含まれる酸素分子の吸着機能を有する吸着材の両方を有するものを用いてもよい。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、空気分離部から排出される窒素富化ガスだけでなく酸素濃縮空気も有効利用でき、空気分離ユニットに導入される空気の量と圧力を確保でき、しかもキャビンの酸素濃度が高くなり過ぎることによる火勢の拡大を防止できる航空機用空気調和装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の航空機用空気調和装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の航空機用空気調和装置における吸着部の構成説明図
【図3】本発明の第1実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの配置説明図
【図4】本発明の第1実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの構成説明図
【図5】本発明の第2実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットと酸素選択捕捉ユニットの配置説明図
【図6】本発明の第2実施形態の航空機用空気調和装置における酸素選択捕捉エレメントの構成説明図
【図7】本発明の第2実施形態の変形例における酸素選択捕捉ユニットの斜視図
【図8】本発明の第3実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットと酸素選択捕捉ユニットの配置説明図
【図9】本発明の第3実施形態の航空機用空気調和装置における酸素選択捕捉エレメントの構成説明図
【図10】本発明の第4実施形態の航空機用空気調和装置の構成説明図
【図11】本発明の第4実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの配置説明図
【図12】本発明の第4実施形態の航空機用空気調和装置における空気分離ユニットの構成説明図
【符号の説明】
1 エンジン
3 コンプレッサ
5 膨張タービン
8 キャビン
15 燃料周囲領域
16、16′ 空気分離部
16a、16a′ 選択透過膜
25 コントローラ
25a 酸素濃度の検出センサ
41b 第2コントロールバルブ
75 分離バイパス流路
127 酸素濃度切替えバルブ
130、130′ 酸素選択捕捉ユニット
231a、232a 酸素分子吸着物質

Claims (6)

  1. コンプレッサにより圧縮された空気を膨張タービンにより膨張させることで生成される冷気をキャビン内に導入する航空機用空気調和装置において、
    そのコンプレッサにより圧縮された空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する空気分離部と、
    その窒素富化ガスを航空機の燃料周囲領域に導入する手段と、
    その酸素濃縮空気をキャビンに導入する手段と、
    そのキャビン内の酸素濃度を検出する手段と、
    そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、その酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出する手段と、
    そのキャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路とを備え、
    そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と航空機のエンジンからの抽出空気とが混合後に前記空気分離部に導入されることを特徴とする航空機用空気調和装置。
  2. コンプレッサにより圧縮された空気を膨張タービンにより膨張させることで生成される冷気をキャビン内に導入する航空機用空気調和装置において、
    そのコンプレッサにより圧縮された空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する空気分離部と、
    その窒素富化ガスを航空機の燃料周囲領域に導入する手段と、
    その酸素濃縮空気をキャビンに導入する手段と、
    そのキャビン内の酸素濃度を検出する手段と、
    そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、そのキャビンに導入されることになる空気中から酸素を選択的に捕捉すると共に、その捕捉した酸素を含む酸素濃縮空気を航空機の機外空間に排出する手段とを備えることを特徴とする航空機用空気調和装置。
  3. 空気を窒素富化ガスと酸素濃縮空気とに分離する選択透過膜と、空気に含まれる酸素分子の吸着機能を有する吸着材の中の少なくとも一方を有する酸素選択捕捉ユニットを備え、
    そのキャビン内の酸素濃度が設定値以上になると、その酸素選択捕捉ユニットにより前記空気分離部から排出される酸素濃縮空気から酸素を選択的に捕捉する請求項2に記載の航空機用空気調和装置。
  4. 前記コンプレッサと膨張タービンとの間の空気流路における前記空気分離部の上流と下流とを連絡する空気流路が設けられている請求項3に記載の航空機用空気調和装置。
  5. その酸素濃度の設定値は航空機の高度に応じて変更される請求項1〜4の中の何れかに記載の航空機用空気調和装置。
  6. そのキャビンから流出する空気を再びキャビンに戻すリサキュレーション空気流路を備え、
    そのキャビンから流出して再びキャビンに戻る循環空気と航空機のエンジンからの抽出空気とが混合後に前記空気分離部に導入される請求項2〜4の中の何れかに記載の航空機用空気調和装置。
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