JP4174248B2 - ポリイミド樹脂、これを含有する樹脂組成物、電子部品用被覆材料及び電子部品用接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリイミド樹脂、これを含有する樹脂組成物、電子部品用被覆材料及び電子部品用接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の分野においては、小型化、薄型化、高速化への対応から、耐熱性樹脂の使用への要望が強く、ポリイミド樹脂は耐熱性、電気絶縁性に優れることから、電子部品用の被覆材料、接着剤として広く用いられるようになっている。被覆材料や接着剤は、多くの場合、溶液の状態で用いられるが、充分にイミド環が閉環したポリイミドは通常、溶媒に溶解しないため、一般には、種々の溶剤に溶解し得るポリイミド前駆体のポリアミック酸の溶液を基材に塗布し、300℃以上で長時間加熱処理することにより脱水・イミド化する方法がとられる。
【0003】
また、ビスマレイミド系ポリイミドなど、溶剤可溶性のポリイミドを用い、ポリイミドの溶液を基材に塗布して、加熱により溶剤を除去してポリイミド樹脂層を形成する方法も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリアミック酸溶液を塗布、長時間加熱して基材上でイミド化する方法は、加熱処理により、基材が熱劣化するおそれがあり、又、加熱が不充分であるとポリアミック酸が完全にイミド化せずにポリアミック酸が樹脂層中に残留し易い。ポリアミック酸が残留するとカルボキシル基やアミノ基が残るので耐湿性、耐腐食性が低下する。
溶剤可溶性ポリイミドの場合、このポリイミドはN−メチルピロリドンなど高沸点の窒素含有極性溶媒にしか溶解せず、このような含窒素極性溶媒を用いて形成されたポリイミド樹脂層は耐溶剤性が低下し易いという問題がある。又、高沸点であるので、塗布後の溶剤の除去が困難である。さらに、溶剤の除去が充分でないと、放置が長くなった場合に吸湿による塗膜の白化が生じることがある。又、特に半導体デバイスのダイボンド材のように後工程で高温にさらされる場合、その工程で溶剤が気化してボイドを生じ、これが剥離やクラックの原因になるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであり、耐熱性、溶剤への溶解性に優れる、新規なポリイミド樹脂及びこのポリイミド樹脂を含有する樹脂組成物を提供し、耐熱性と被覆層、接着層の形成性、低温接着性を満足する電子部品用被覆材料及び接着剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリイミド樹脂は、下記一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】
[式中、Zは芳香族テトラカルボン酸二無水物残基である4価の芳香族基、Y1は下記一般式(II)で表される芳香族ジアミン残基
【0009】
【化5】
【0010】
(式中、R1 、R2 及びR3 は、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、COOR(Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す)または水素であり、相互に異なっていても同一でもよく;R4 、R5 は炭素数1〜9のアルキル基または水素であり、相互に異なっていても同一でもよく、Xは−O−、−S−、−SO2 −、−C(CH3)2−、−CH2−、−C(CH3)(C2H5)−、または−C(CF3)2−を示し;nは1以上の整数である。)を示す。]で表される繰り返し単位1種以上と、下記一般式(III)
【0011】
【化6】
【0012】
(式中、Zは芳香族テトラカルボン酸二無水物残基である4価の芳香族基、Y2はシロキサンジアミン残基または非フェノール性芳香族ジアミン残基を示す。)で表される繰り返し単位1種以上とからなることを特徴とする。
【0013】
又、本発明の樹脂組成物は、前記ポリイミド樹脂からなる(A)成分と、エポキシ樹脂からなる(B)成分とを含有してなることを特徴とする。
又、本発明の電子部品用被覆材料は、前記樹脂組成物を含有することを特徴とする。
又、本発明の電子部品用接着剤は、前記樹脂組成物を含有することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
まず、ポリイミド樹脂につき説明する。
本発明のポリイミドは上記一般式(I)で表される繰り返し単位1種以上と、上記一般式(III)で表される繰り返し単位1種以上とからなる。
上記一般式(I)及び上記一般式(III)におけるZは芳香族テトラカルボン酸二無水物残基である4価の芳香族基であり、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)パーフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1’−(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン二無水物等を例示できる。
【0015】
Zが、このうち、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)パーフルオロプロパン二無水物又はビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物に由来する骨格を有する残基である場合は、溶剤に対する未硬化物の溶解性に優れる点で好ましい。Zがシロキサン含有残基である場合は、基材への接着性に優れる点で好ましい。又、Zがビフェニル骨格を有する残基の場合は硬化物の硬度が向上するので好ましい。
【0016】
上記一般式(I)におけるY1は上記一般式(II)で示されるフェノール性ヒドロキシ基を有する2価の芳香族ジアミン残基である。上記一般式(II)におけるR1、R2、R3は炭素数1〜9、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルコキシ基、COOR(Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す)または水素である。このアルコキシ基におけるアルキル残基は直鎖又は分岐鎖状のいずれでもよい。R1、R2、R3は相互に異なっていても同一でもよい。
【0017】
このうち、R1、R2、R3がアルキル基の場合は、ポリイミドの耐水性が向上する。アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基の場合は、このポリイミドを含有する組成物を電子部品用の被覆材料、接着剤として用いた場合、基材との密着性が向上する。
よって、R1、R2、R3は用途に応じて適宜選択することが好ましい。
特に、R1、R2、R3のうち、1つ又は2つが水素で、残りが水素以外であることが、特性上好ましい。この水素以外のものがメチル基であると耐湿性が向上するので好ましい。
【0018】
上記一般式(II)において、R4、R5、R6、R7は炭素数1〜9、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又は水素であり、相互に異なっていても同一でもよい。R4、R5、R6、R7にアルキル基を導入することにより耐水性を向上させることができる。なお、アミノ基の反応性を高く保つ観点から、このアルキル基はメチル基であることが好ましい。
一般式(II)において、Xは−O−、−S−、−SO2 −、−C(CH3)2−、−CH2−、−C(CH3)(C2H5)−、または−C(CF3)2−であるが、Xが−CH2−であると、このジアミン合成プロセスが容易になるので好ましい。
【0019】
上記一般式(III)において、Y2はシロキサンジアミン残基または非フェノール性芳香族ジアミン残基である。Y 2 が非フェノール性芳香族ジアミン残基である場合、この芳香族ジアミンは非フェノール性であれば特に限定されるものではないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジフェニレンジアミン、3,3’−ジフェニレンジアミン、3,4’−ジフェニレンジアミン、各種ビス(アミノフェニル)エーテル、各種ビス(アミノフェニルオキシ)ベンゼン、各種2,2−ビス(アミノフェニルオキシフェニル)プロパンを例示できる。Y2がシロキサンジアミン残基である場合、下記一般式(IV)で示されるシロキサンジアミン残基を例示できる。
【0020】
【化7】
【0021】
上記一般式(IV)において、W1は炭素数1〜6,好ましくは3のアルキレン基であり、W2は炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は水素がハロゲン原子で置換された1価の炭化水素基である。W2の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素などのハロゲン原子で置換したハロゲン置換炭化水素基を例示できる。これらの炭化水素基の中ではメチル基が特に好ましい。uは1〜120の整数であり、特に、1〜80の整数であることが好ましい。uが120より大きいと未硬化物中のポリイミド樹脂が溶剤に充分に溶解しなくなるおそれがある。
【0022】
本発明のポリイミドにおいては、上記一般式(I)で表される繰り返し単位が10〜90モル%であり、上記一般式(III)で表される繰り返し単位が90〜10モル%であることが好ましい。上記一般式(I)で表される繰り返し単位が10モル%未満であると硬化物の架橋密度が低くなり、耐溶剤性、接着性が低下するおそれがあり、又、硬化物の機械強度に支障をきたすおそれがある。上記一般式(I)で表される繰り返し単位が90モル%を超えると、基材への接着性や硬化物の低応力化といった改質が不充分となる。
又、本発明のポリイミド樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて算出)が5,000〜150,000であることが好ましく、20,000〜100,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、硬化物の機械強度に支障をきたすおそれがある。又、150,000より大きいと、ポリイミド樹脂の末端の酸無水物が加水分解して生成するカルボキシル基や、末端のアミノ基の量が減り、エポキシ樹脂との架橋密度が下がって、ポリイミド樹脂の耐溶剤性が低下するおそれがある。
【0023】
本発明のポリイミド樹脂は、ジアミンの一部として、特定のジアミンを用いる以外は、従来公知の方法により製造することができる。この場合、原料のテトラカルボン酸二無水物としては、前記一般式(I)におけるZの説明で例示したテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
原料のフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族ジアミンとしては前記一般式(II)で示した二価の有機基に対応する芳香族ジアミンが挙げられる。
又、原料のシロキサンジアミンまたは非フェノール性芳香族ジアミンとしては、前記一般式(III)のY2で例示したシロキサンジアミン残基または芳香族ジアミン残基にそれぞれ対応するシロキサンジアミンまたは芳香族ジアミンが挙げられる。
【0024】
本発明のポリイミド樹脂は、溶剤中で合成される。また、このポリイミド樹脂と後述のエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物を、電子部品用被膜形成材料、電子部品用接着剤として用いる場合も溶剤に溶解した溶液として用いられる。従って、ポリイミド樹脂合成時には、ポリイミド樹脂や前記樹脂組成物との相溶性に優れる溶剤を用いることが好ましい。
このような溶剤としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジグライム、トリグライム等のエーテル類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、アセトフェノン等のケトン類;酢酸ブチル、安息香酸メチル、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロパン酸メチル等のエステル類;ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらの中では、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましく用いられる。
【0025】
ポリイミド樹脂の合成法を例示すると、例えば、これらのテトラカルボン酸二無水物と、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族ジアミンと、非フェノール性芳香族ジアミンとを、例えばシクロヘキサン等の溶剤中に仕込み、20〜40℃程度で反応させて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を合成する。ここで、テトラカルボン酸二無水物成分に対するジアミン成分の割合は、ポリイミド樹脂の分子量調整等の必要に応じて適宜決められるが、通常、モル比で0.95〜1.05であり、特に、0.98〜1.02であることが好ましい。なお、ポリイミド樹脂の分子量調整のために無水フタル酸やアニリン等の原料を添加してもよい。これらを添加する場合は、全原料に対して2モル%以下であることが望ましい。
得られたポリアミック酸を80〜200℃、好ましくは140〜180℃に昇温し、ポリアミック酸の酸アミド部分を脱水変換させることでポリイミド樹脂溶液を得ることができる。また、無水酢酸/ピリジン混合溶液をポリアミック酸溶液に添加し、これを150℃程度に昇温することによってもイミド化することができる。
【0026】
次に、本発明の樹脂組成物について説明する。この樹脂組成物は、前記ポリイミド樹脂からなる(A)成分と、エポキシ樹脂からなる(B)成分とを含有してなる。
本発明において用いられるエポキシ樹脂は、その構造や分子量等が特に制限されるものではない。ただし、▲1▼ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とを含有する樹脂組成物が低粘度のワニス状態で使用されること、▲2▼ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂とで架橋構造が形成されること、▲3▼低温、短時間で接着や効果が可能であること、の3点を考慮すると、エポキシ樹脂としては、軟化点が低いものが好ましく、又、1分子中に2個以上のグリシジル基を有するものが好ましい。
エポキシ樹脂の具体例としては、下記一般式(V)で示されるエポキシ樹脂、
【0027】
【化8】
【0028】
(上記式において、Gはグリシジル基を示し、Qは直接結合、メチレン基、ジメチルメチレン基、ジ(トリフルオロメチル)メチレン基、エーテル結合、カルボニル基、チオエーテル結合又はスルホニル基を示し、nは0〜10の数を示す。)、2価のフェノールのジグリシジルエーテル、3価フェノールのトリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を例示できる。
【0029】
このエポキシ樹脂としては、低温短時間での被膜硬化、あるいは低温短時間、且つ低加重での接着を可能にする点から、25℃における粘度が20Pa・sec以下であるものが好ましく、10Pa・sec以下であるものがより好ましく、5Pa・sec以下であるものが特に好ましい。このような低粘度のエポキシ樹脂を用いると、例えば接着剤として用いる場合、低荷重で接着させても、前記樹脂組成物がその上に塗布された樹脂テープと、接着対象である被着体との濡れ性が良好に確保され、接着性、その他の信頼性を高めることができ、チップ等の被着体を破壊するおそれがない。
なお、エポキシ樹脂が上記一般式(V)で示されるものである場合、25℃における粘度が20Pa・sec以下とするためには、上記一般式(V)におけるxが0〜2、より好ましくは0〜0.1のものが用いられる。
【0030】
本発明の樹脂組成物における(A)成分と(B)成分の配合比は質量比で80/20〜20/80が好ましく、75/25〜25/75がより好ましく、60/40〜40/60が特に好ましい。(A)成分が上記範囲より多いと、特に凹凸構造を有する基材面に対して良好な接着性を示さないおそれがあり、このため、耐溶剤性、耐湿性不良となるおそれがある。また、(B)成分が上記範囲より多いと、耐熱性不良となるおそれがある。
【0031】
本発明の樹脂組成物には、その用途に応じて無機充填材を配合することができる。この無機充填材の具体例としては、結晶シリカ、非結晶シリカ等の天然シリカ、合成高純度シリカ、合成球状シリカ、タルク、マイカ、炭化珪素、アルミナ等の非導電性粒子、銀粉のような導電性粒子を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。例えば、半導体デバイスのダイボンド材の場合は、熱伝導性の高いアルミナや銀粉等が好ましく用いられる。無機充填材の配合量は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜選択されるが、組成物全体に対して、通常、85質量%以下(即ち、0〜85質量%)が好ましく、5〜80質量%がより好ましい。
無機充填材の形状も特に制限されるものではなく、球状、破砕物状、無定型等、用途に応じて適宜選択される。
【0032】
エポキシ樹脂は自己縮合型エポキシのようにそれ自体で硬化することも可能であるので、本発明の樹脂組成物は必ずしも硬化剤を必要とするものではないが、エポキシ樹脂用硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂用硬化剤の具体例としては、フェノール樹脂、酸無水物類、アミン類、イミダゾール類を挙げることができる。
【0033】
フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;トリスヒドロキシフェニルプロパン型フェノール樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂等のトリスヒドロキシフェニルアルカン型フェノール樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂;シクロペンタジエン型フェノール樹脂;フェノールアラルキル樹脂等が挙げられる。
【0034】
酸無水物類の具体例としては、ドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物等の脂肪族酸無水物;メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸無水物等の脂環式酸無水物;無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテートアンハイドライド、グリセロールトリメリテートアンハイドライド等の芳香族酸無水物等が挙げられる。
【0035】
アミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;メンタンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の脂環式アミン;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチル時フェニルメタン等の芳香族アミンが挙げられる。
【0036】
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。硬化剤としてはこれらの中から1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
これらの硬化剤の配合量は、硬化剤がフェノール樹脂、酸無水物類またはアミン類である場合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と、それぞれの硬化剤中の官能性基(フェノール性水酸基、酸無水物基及びアミノ基)との当量比がエポキシ基/硬化剤官能基で0.5〜1.5であることが好ましく、0.6〜1.2であることがより好ましい。なお、官能基が酸無水物基である硬化剤の酸無水物基1モルはエポキシ基1モルに対して2当量に相当する。
エポキシ基と硬化剤官能基の当量比が上記範囲内にない場合は、樹脂組成物を硬化させたときの硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性、耐湿性に支障をきたすおそれがある。また、前記イミダゾール類はこれらのフェノール樹脂、酸無水物類、アミン類からなる硬化剤の硬化促進剤として併用することができる。
【0038】
イミダゾール類の配合量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して0〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。イミダゾールの配合量が5質量部より多くなると、樹脂組成物の保存性、硬化物の耐熱性に支障をきたすおそれがある。
【0039】
本発明の樹脂組成物は前述の無機充填材、硬化剤の他、塗工時の作業性、被膜の特性向上のため、必要に応じて消泡剤、レベリング剤等の界面活性剤類;染料、顔料等の着色剤;硬化促進剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤等を添加することができる。
本発明の樹脂組成物は溶液として好ましく用いられ、この溶液に用いられる溶剤は、ポリイミド樹脂の溶剤として説明した溶剤を用いることができる。樹脂組成物溶液における固形分濃度は10〜60質量%、であることが好ましく、20〜40質量%がより好ましい。
【0040】
ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂の配合にあたってはポリイミド樹脂溶液に直接エポキシ樹脂を添加してもよく、ポリイミド樹脂を溶解している溶剤と同一の溶剤にエポキシ樹脂を溶解し、ポリイミド樹脂溶液に、このエポキシ樹脂溶液を添加してもよい。
【0041】
本発明の樹脂組成物は電子部品用被覆材料として好適に用いられる。
本発明の樹脂組成物は、例えば、半導体素子や各種電子部品用オーバーコート剤、硬質またはフレキシブル基板分野などにおける層間絶縁膜、表面保護膜、ソルダレジスト層、液状封止剤、耐熱塗料、エナメル線用ワニス、電気絶縁用含浸ワニス、注型ワニス、マイカ、ガラスクロス等の基材と組み合わせたシート用ワニス、MCL積層板用ワニス、摩擦材料用ワニス等として使用する、被覆材料として特に好適に用いられる。
【0042】
また、本発明の樹脂組成物は、例えば半導体デバイスのダイボンド材、各種基板積層用接着剤等の電子部品用接着剤として好適に用いられる。
この接着剤は一方の被着体の被接着面に直接塗布して、塗布面から溶剤を除去した後、他の被着体を重ねて接着してもよいが、接着剤をフィルム状に加工して用いることが好ましい。フィルム状に加工して用いる場合、接着剤の厚みは20〜150μmであることが好ましい。厚みが20μm未満であると、凹凸面に対し、充分な平滑性が得られなくなるおそれがあり、150μmを超えると、寸法ずれや塗料のはみ出しが生じるおそれがある。
【0043】
接着剤をフィルム状に加工する方法は特に限定されるものではないが、前記樹脂組成物をコーター等を用いて適当な基材上に塗布し、溶剤を除去する方法を採用することができる。基材としては、例えば離型性に優れるシリコーン樹脂、ポリエステルフィルム、又は離型処理を施したポリエステルフィルム等が用いられる。溶剤除去は、例えば、熱風ヒーター、赤外線ヒーター等を用いて所定の温度・時間で加熱することにより行われる。さらにこれをテープ状に切断して巻き取ればテープ状の接着剤が得られる。ここで必要に応じて基材を除去して、接着剤のみからなるフィルムやテープにしてもよい。
【0044】
フィルムへの加工において、溶剤を除去する際に加熱が充分でないとフィルム中に溶剤が残存し、ボイドが生じ、これが剥離・クラックの原因になる等のおそれがある。逆に加熱が過度であるとポリイミド樹脂とエポキシ樹脂の反応が進行してしまい、フィルムの柔軟性又は接着性に支障をきたすおそれがある。また、加熱が急激、即ち一気に溶剤の沸点以上に加熱すると、フィルム中やフィルムの表面にボイドが残存したり、フィルムの厚みが不均一になる等の問題が発生するおそれがある。したがって、溶剤の除去にあたっては、溶剤の沸点未満の温度より段階的に昇温させ、除去することが望ましい。
【0045】
本発明の熱硬化性樹脂組成物の電子部品用接着剤は電子部品用途に用いられ、特に半導体デバイスのダイボンド材のように耐熱性・接着性が要求される用途においてその性能を発揮する。
接着方法は特に制限されるものではないが、150〜250℃、0.98〜98kPa(0.01〜1kgf/cm2)、0.5〜20秒程度の条件で熱圧着することにより広範な被着体、例えばアルミニウム、ニッケル、金、銀、白金、鉄、銅、亜鉛、パラジウム、錫等の金属やこれらの合金や酸化物、ケイ素とその酸化物、窒化ケイ素、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂とこれらの組成物等に対して良好な接着性を発揮する。
なお、25℃における粘度が20Pa・sec以下、特に10Pa・sec以下のエポキシ樹脂を用いた場合、0.98〜98kPa程度の低荷重での圧着でも良好な接着を与える。
【0046】
より具体的な接着方法として、被着体の間に接着剤フィルムを挟んで熱圧着する、又は一方の被着体に接着剤フィルムを仮圧着し、続いてもう一方の被着体を載せて全体を本圧着する等の方法がとられる。ここで後者の2段階で接着する方法においては、仮圧着は比較的低温で、本圧着は高温で行うことが望ましい。これにより接着剤フィルムは仮圧着では被着体になじむ程度に接着し、本圧着では強固な接着が生成され、またポリイミド樹脂とエポキシ樹脂が反応して架橋構造が形成され、耐熱性・耐溶剤性に優れる接着剤層が得られる。
【0047】
この場合、本発明の電子部品用接着剤は、(A)成分と(B)成分とを質量比で80/20〜20/80の配合比で含むため、加熱圧着時にフィルムが十分に軟化して、被接着面との濡れ性が確保される。したがって、表面が平滑な被接着面はもとより、表面が凹凸構造を有する被接着面に対しても優れた接着性を発揮する。このため、ガラス・エポキシ樹脂プリント基板等のガラス繊維が複合された電子部品に対して好適に用いられる。
【0048】
【実施例】
以下、合成例及び実施例、比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0049】
〔合成例1〕ポリイミド樹脂の合成
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.8g(0.1モル)、及びシクロヘキサノン400gを仕込んだ。別途、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン〔MW:840〕16.8g(0.02モル)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(3,5−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノール]24.7g(0.05モル)、及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル6.0g(0.03モル)をシクロヘキサノン100gに溶解してジアミン混合溶液を調製した。このジアミン混合溶液を、反応系の温度が50℃を超えないように調整しながら上記フラスコ内に滴下した。滴下終了後、更に室温で10時間撹拌した。
次に該フラスコに水分受容器付きの還流冷却器を取り付けた後、トルエン30gを加え、150℃に昇温してその温度を6時間保持したところ、黄褐色の溶液が得られた。こうして得られた溶液を室温(25℃)まで冷却した後、メタノール中に投じて沈殿させ、得られた沈降物を乾燥し、ポリイミド樹脂Aを得た。
このポリイミド樹脂Aの重量平均分子量(ポリスチレン換算)は36,000であった。得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)を図1に示す。また、ポリイミド溶液を250℃、3時間でフィルム化し、TMA(熱機械分析)により測定したポリイミド樹脂AのTgは184℃であった。
【0050】
〔合成例2〕
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.3g(0.1モル)、及びシクロヘキサノン300gを仕込んだ。別途、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン〔MW:840〕16.8g(0.02モル)、2,2´−メチレンビス[4−メチル−6−(3,5−ジメチル−4−アミノベンジル)フェノール]24.7g(0.05モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]パーフルオロプロパン12.3g(0.03モル)をシクロヘキサノン100gに溶解してジアミン混合溶液を調製した。このジアミン混合溶液を、反応系の温度が50℃を超えないように調整しながら上記フラスコ内に滴下した。これ以降の操作は全て合成例1と同様に行い、ポリイミド樹脂Bを得た。
得られたポリイミド樹脂Bの重量平均分子量を合成例1と同様の条件で測定したところ50,000であった。得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)を図2に示す。合成例1と同様にして測定したポリイミド樹脂BのTgは192℃であった。
【0051】
〔合成例3〕
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)パーフルオロプロパンジアンヒドリド44.4g(0.1モル)、及びシクロヘキサノン300gを仕込んだ。別途、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン〔MW:1660〕33.2g(0.02モル)、両末端アミノ化o−クレゾールノボラック30.9g(0.05モル)、及び1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン8.78g(0.03モル)をシクロヘキサノン100gに溶解してジアミン混合溶液を調製した。このジアミン混合溶液を、反応系の温度が50℃を超えないように調整しながら上記フラスコ内に滴下した。これ以降の操作は全て合成例1と同様に行い、ポリイミド樹脂Cを得た。
得られたポリイミド樹脂Cの重量平均分子量を合成例1と同様の条件で測定したところ32,000であった。得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)を図3に示す。合成例1と同様にして測定したポリイミド樹脂CのTgは176℃であった。
【0052】
〔合成例4〕
撹拌機、温度計、及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.8g(0.1モル)、及びシクロヘキサノン400gを仕込んだ。別途、アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン〔MW:840〕16.8g(0.02モル)、及び2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン32.8g(0.08モル)をシクロヘキサノン100gに溶解してジアミン混合溶液を調製した。このジアミン混合溶液を、反応系の温度が50℃を超えないように調整しながら上記フラスコ内に滴下した。これ以降の操作は全て合成例1と同様に行い、下記式を繰り返し単位とするポリイミド樹脂Dを得た。得られたポリイミド樹脂Dの重量平均分子量を合成例1と同様の条件で測定したところ24,000であった。得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトル(IRスペクトル)を図4に示す。合成例1と同様にして測定したポリイミド樹脂DのTgは180℃であった。
【0053】
〔実施例1〜6、比較例1〕
ポリイミド樹脂(A〜D)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:188、25℃における粘度:13.6Pa・sec)、無機充填剤(粒径1〜10μm、フレーク状の銀粉)、イミダゾール誘導体(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール:2PHZ)、MEK(メチルエチルケトン)を表1に示すように配合して熱硬化性樹脂組成物を得た。なお、表中の配合比を示す数字は質量部を表す。
離型用シリコーンで表面処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに上記の熱硬化性樹脂組成物をそれぞれ塗布し、50℃で30分、次いで80℃で、30分乾燥して溶剤を除去して厚さ50μmのフィルムとした。
【0054】
これらのフィルム状接着剤を用いて、基板1の上にフィルム状接着剤2を介してICチップ3を搭載した図5に示すような半導体装置を作成した。
基板1としては、銅めっきリードフレーム、42アロイリードフレーム、および被着面上に円柱状(100μmφ×30μmH)のガラス・エポキシ樹脂の凸条が碁盤目状に形成されたガラス・エポキシ樹脂基板の3種を用いた。
具体的には、基板1の上に上記実施例1〜6、比較例1で得たフィルム状接着剤2(10mm×10mm×50μm)をのせ、150℃、98kPa(1kgf/cm2)、1秒の条件で仮圧着した。
次いで、その上にSiチップ3(10mm×10mm×0.3mm)をのせ、240℃、9.8kPa(100gf/cm2)、10秒の条件で圧着して半導体装置を作成した。
【0055】
これらの半導体装置に付き、以下の(a)〜(c)の諸試験を行った。
(a)接着性:上記で得られた半導体装置について被着体と接着剤層の間の状態を超音波探傷装置を用いて観測し、剥離発生数/総数を測定する。剥離発生数の少ないほど優れた接着性を示している。
(b)吸湿後の耐半田クラック性:上記で得られた半導体装置を121℃/100%/202.65kPa(2atm)RH雰囲気中に24時間放置する。これを240℃の半田浴に10秒間浸漬し、クラック発生数/総数を測定する。
(c)耐溶剤性:上記で得られた半導体装置をメチルエチルケトン中に5分間浸漬し、外観上接着剤層が溶解した装置数/総数を測定する。
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から明らかなように、本発明の範囲から外れるポリイミドを用いた比較例1では、吸湿後の耐半田クラック性試験で全試験体にクラックが発生している。また、耐溶剤性試験でも全試験体で接着剤層の溶解が見られる。接着性試験についても、リードフレームを用いた装置は半数以上に剥離が発生し、ガラスエポキシ基板を用いた装置でも一部に剥離が発生している。
これに対して、本発明に係る実施例の装置は、耐溶剤性試験では1例も接着剤層での溶解の発生がないという優れた効果を発揮している。また、接着性試験でも、ポリイミド樹脂/エポキシ樹脂が90/10以外のものでは剥離の発生が1件もない。吸湿後の耐半田クラック性試験でも、ポリイミド樹脂/エポキシ樹脂が90/10および10/90以外のものではクラックの発生が見られない。
特にポリイミド樹脂/エポキシ樹脂の配合比が20/80〜80/20の好ましい範囲内である実施例1〜4では、接着性、耐半田クラック性、耐溶剤性のいずれにおいても1件も不良品が発生していないという優れた効果を示していることが分かる。
【0058】
【発明の効果】
本発明のポリイミド樹脂は通常のポリイミドと異なり、種々の汎用溶剤に溶解性を有する。従って、従来のポリイミド樹脂が高沸点含窒素極性溶媒を使用しなければならなかったのに対し、比較的低沸点の溶剤を使用可能となり、ポリイミド樹脂の基材への塗布、硬化にあたって溶剤が残存するおそれが少なくなり、従って、溶剤残存によるボイドやクラックの形成のおそれが少ないという特徴を有する。
また、その構造内にフェノール性ヒドロキシ基を有している。従って、エポキシ樹脂との組成物としてこれを基材上に塗布、加熱したときにフェノール性水酸基によりエポキシ基を開環して架橋構造を形成することにより、高度の耐熱性と接着性を示す。
【0059】
本発明の樹脂組成物は、このポリイミド樹脂とエポキシ樹脂を含有するので、比較的低沸点溶剤の溶液とすることができ、フェノール系ヒドロキシ基を有するので、この樹脂組成物の基材上への塗布、硬化にあたって、容易に架橋が進み、低温、短時間で耐溶剤性、接着性を示す硬化被膜が得られる。
本発明の電子部品用被覆材料は、この樹脂組成物を用いてなるので比較的低温で硬化させることができる。得られる被膜は耐溶剤性、接着性、耐熱性、可撓性に優れたものとなる。
本発明の電子部品用接着剤は、この樹脂組成物を用いてなるのでそれを支持体上に塗布して接着剤層を形成した場合、十分な柔軟性を有する均一な低温接着性を示すものとなり、かつ加熱により硬化された後であっても十分な可撓性を有しており、かつ耐熱性、熱履歴による寸法安定性が優れたものとなる。したがって、本発明の電子部品用接着剤は、フレキシブル配線基板、TAB用銅張り基板等の柔軟性を必要とする積層材料の接着剤として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 合成例1の生成物のIRスペクトルである。
【図2】 合成例2の生成物のIRスペクトルである。
【図3】 合成例3の生成物のIRスペクトルである。
【図4】 合成例4の生成物のIRスペクトルである。
【図5】 試験に用いた半導体装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1:基板、2:フィルム状接着剤、3:ICチップ
Claims (12)
- 下記一般式(I)
- 前記一般式(I)で表される繰り返し単位が10〜90モル%であり、前記一般式(III)で表される繰り返し単位が90〜10モル%である請求項1記載のポリイミド樹脂。
- 重量平均分子量が5,000〜150,000である請求項1または2記載のポリイミド樹脂。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂からなる(A)成分と、エポキシ樹脂からなる(B)成分とを含有してなる樹脂組成物。
- 前記(B)成分をなすエポキシ樹脂が1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂を少なくとも含有することを特徴とする請求項4記載の樹脂組成物。
- 前記(B)成分をなすエポキシ樹脂の25℃における粘度が20Pa・sec以下であることを特徴とする請求項4または5記載の樹脂組成物。
- 前記(A)成分と前記(B)成分の質量比(A)/(B)が20/80〜80/20であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらに(C)成分として無機充填材を含有する請求項4〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- さらに(D)成分として、硬化剤を含有する請求項4〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 溶剤として、非含窒素系極性溶媒を含有する請求項4〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項4〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する電子部品用被覆材料。
- 請求項4〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含有する電子部品用接着剤。
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