JP4173240B2 - 結合アッセイ用の空間的に明瞭に範囲が定められた固相の製造方法 - Google Patents

結合アッセイ用の空間的に明瞭に範囲が定められた固相の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層コート(multilayer coating)を固体の非孔質支持体に塗布(apply)するための方法、空間的に範囲が定められた(spacially defined)固相のスミアリング(smearing)を防止するための方法、ストレプトアビジンまたはアビジンをコーティングした固相への非特異的結合を低減するための方法、および本発明の方法により製造される固相に関する。
【0002】
【従来の技術】
イムノアッセイ、核酸ハイブリダイゼーションアッセイなどのアナライトを測定するための結合アッセイは非常に広範囲に用いられている。結合アッセイによるアナライトの検出は、液相を固相と接触させる不均一試験法を用いて行うことができる。その固相は、アナライトが特異的に結合できる受容体分子を含有する試験ゾーン(test zones)を含む。続いて、例えば標識によってアナライトの結合を検出する。
【0003】
アナライトの信頼性のある定性的または定量的測定のためには、再現性のある方法で、正確に測定された量の受容体分子を用いて、結合アッセイの試験ゾーンを作製する必要がある。試験ゾーンの大きさのバラツキ、試験ゾーンの境界の不明瞭さ、受容体分子のスミアリング、試験ゾーンにおける受容体密度のバラツキ、および非特異的な結合部位により、検出したシグナルレベルに差異(バラツキ)が生じ、そのために正確な評価試験結果が得られない。
【0004】
固相および固相上に位置する試験ゾーンが小さくなるに従って、これらの問題は通常強く影響する。異なるアナライトを検出するための異なる受容体分子を含む個々の試験ゾーンが互いに近接している場合には、該試験ゾーンの境界の不明瞭さおよび/または受容体分子のスミアリングにより、特異的な試験ゾーンへ別のアナライトに対する受容体分子が混入してしまう可能性があり、その結果、誤った試験結果をもたらし得る。この問題は、感染症検出のための定性試験では特に深刻である。したがって、例えば、受容体分子のスミアリングによって生じる誤陽性のサンプルは、HIV試験では結論を下すことは到底できない。
【0005】
多くの試験フォーマット(test formats)は、ペーパーディスクまたは他の多孔質材料のような多孔質の支持体材料の使用をベースとしている。例えばEP-A-0427984およびEP-A-0063810に記載されている試験フォーマットでは、受容体分子を、支持体材料によって吸収される溶液として多孔質材料に塗布することによって、受容体層が多孔質材料の上に形成される。このコーディング溶液の吸収によってコーティング領域が広がり、これは特に支持体材料の局所的微細構造に依存する。したがって、特に小型化(miniaturized)試験フォーマットでは、この方法を用いて再現性がある均一な試験ゾーンを作製することは困難である。さらに、そのような多孔質支持体材料をベースとする小型化試験フォーマットでは評価が困難である。多孔質材料の表面のデコボコおよび不均一があると、通常は、試験ゾーンの或る限られた範囲の光学的解像度だけしか対応できない。
【0006】
したがって、多孔質支持体材料の代わりに非孔質表面を有する支持体材料を用いる試みが行われている。米国特許第4,591,570号は、抗体アレイを用いた数種類の抗原の同時検出のためのイムノアッセイ装置を記載しており、そこにおいて、ガラスまたはプラスチックが支持体として用いられている。この支持体材料を使用すれば、試験フォーマットの全体の大きさを相当小さくすることが可能になり、ひいては必要とされるサンプル量が相当低減できるようになる。しかしながら、非孔質表面を用いた場合であっても、受容体分子のスミアリングの問題は生じ、これは特に小型化した試験方法を用いた場合に顕著である。スミアリングの原因は、塗布したコーティング溶液が制御されずに広がって行くこと、すなわち、輪郭が規定の(regular)ままである領域が大きくなってゆくことであり得る。加えて、塗布したコーティング溶液が制御されずに流れてゆくことも起こる可能性があり、このため輪郭が変則的(irregular)なものになる可能性もある。最終的には、このスミアリングによって、コーティング溶液で濡れているゾーンの外側の領域への受容体分子のキャリーオーバー(損失)が生じ得る。
【0007】
さらに、低分子量の受容体分子のような一般的に用いられる受容体分子の多くは、非孔質表面を有する固体支持体にほとんど吸着しないか、あるいは低い再現性で該固体支持体に吸着される。その上、受容体分子を固相に塗布するのに通常用いられる多くの受容体分子の水系溶液は安定化のために界面活性剤を含有しており、これによって、非孔質表面を有する固体支持体への受容体分子の吸着を少なくとも部分的に防止している。
【0008】
非孔質表面への受容体分子の結合能を改善するために、多層コートを施すことができる。しかしながら、そのようなコートを用いた場合でさえも、個々の試験ゾーン内で大きさのバラツキや境界の不明瞭さが生じ、これは特に小型化試験フォーマットの評価においてかなりの問題となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を解決し、結合アッセイ用の空間的に範囲が明瞭に定められた試験ゾーンを得るための方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、本発明により、固体の非孔質支持体上に多層コートを塗布するための方法であって、
(a)該固体支持体の試薬領域にプレコート(下塗り)を塗布する工程と、
(b)該プレコートを施した支持体を水系溶液で洗浄する工程と、
(c)該プレコートに結合可能な受容体分子を含有する第2コートを、プレコートを施した支持体上に、該試薬領域上で空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布する工程と
を含む上記方法によって達成される。
【0011】
本発明によれば、まず、固体非孔質支持体にプレコート(下塗り;precoating)を塗布する。このプレコートは、固体支持体の試薬領域の表面の一部または表面全体の全域にわたって塗布してもよいし、あるいはスポット(斑点)の形態で塗布してもよい。プレコートは全領域にわたって塗布するのが好ましい。プレコートは、典型的には、水系溶液として支持体に塗布される。プレコートは、第2コートの結合を可能にするものであればどのような分子から構成されるものであってもよい。プレコートは、高親和性の結合対の第1の結合相手を含むことが好ましく、そのような結合相手としては、例えば、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、並びにそれら物質の類似体、誘導体およびコンジュゲート、または抗体(例えば、抗マウス抗体)が挙げられる。しかしながら、第2コートと共有結合によって結合するように設計された分子(例えば、アミン基、スルフィド基またはシリル基を含有する分子)をプレコートとして塗布することも可能である。
【0012】
水系溶液の受容体分子をそのようなプレコートに小さな液滴の形態で塗布する場合、受容体分子を該溶液から該プレコート上に拡散させて、該プレコートに結合させる。しかしながら、塗布した液滴は流れ、その結果、スポットゾーンの輪郭および大きさに差異が生じてしまうことが判った。このことによって、個々の試験ゾーンにおける受容体分子密度に差異(バラツキ)が生じ、そのためにシグナルレベルに差異(バラツキ)が生じて、結局は誤った結果となり得る。
【0013】
驚くべきことに、現在では、処理工程(b)(すなわち、プレコーティングした支持体を水系溶液で洗浄する工程)を導入することにより、再現性のある、均一な試験スポットが得られるようになることが判った。プレコーティングした支持体の洗浄は純水を用いて行ってもよいが、好ましくは、イオン強度の低い緩衝液を用いる。プレコーティングした支持体の洗浄に用いる水系溶液または洗浄溶液は、緩衝物質、界面活性剤および/または他の添加剤を含有することができる。基本的に、緩衝物質としては、あらゆる通常の緩衝物質または当業者には公知である緩衝物質が使用可能である。洗浄溶液中に存在する緩衝物質の濃度は、好ましくは250mM以下、特に好ましくは100mM以下、最も好ましくは40mM以下である。洗浄液として本発明による機能に関して最良の結果が得られるのは、緩衝物質が10mM以下、好ましくは5mM以下、最も好ましくは2mM以下の濃度で存在する場合である。幾つかの緩衝物質、並びにそれらの好ましい濃度範囲(C1)、特に好ましい濃度範囲(C2)および最も好ましい濃度範囲(C3)を表1に示す。
【0014】
【表1】
Figure 0004173240
【0015】
本発明の方法をさらに最適化するために、受容体分子をプレコートに結合させる相互作用の種類に応じて、最適な反応条件を保証する緩衝剤を選択することが可能である。例えば、ストレプトアビジンを含むプレコートでは5〜9のpH範囲が最適である。
【0016】
本発明によれば、酢酸またはギ酸のような揮発性成分を含む緩衝剤の組合せも使用可能である。しかしながら、そのような緩衝剤の組合せでは、揮発性成分が揮発して緩衝剤の残分になった後で、プレコート上でのpHが大きく変動する可能性がある。何故ならば、緩衝剤の1つの成分だけが揮発し、他の成分は表面に残るからである。したがって、揮発性成分のみ、または不揮発性成分のみから構成される緩衝剤の組合せを用いることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる洗浄溶液はまた、緩衝物質に加えて、または緩衝物質に代えて界面活性剤を含有することができる。洗浄溶液に界面活性剤を添加することは、プレコートから実質的に残留物を残さずに洗浄溶液を除去することを補助する。洗浄溶液は、界面活性剤を(全容量に対する体積として)0.05%(vol/vol)以下、特に0.02%(vol/vol)以下、さらに好ましくは0.01%(vol/vol)以下、最も好ましくは0.005%(vol/vol)以下の濃度で含有することが好ましい。最良の結果が得られるのは、洗浄溶液中の界面活性剤の濃度が0.003%(vol/vol)以下、さらに好ましくは0.002%(vol/vol)以下、最も好ましくは0.001%(vol/vol)以下の場合である。幾つかの好ましい界面活性剤について、好ましい濃度C1、特に好ましい濃度C2、最も好ましい濃度C3を表2に示す。
【0018】
【表2】
Figure 0004173240
【0019】
実質的に残留物を残さずに洗浄溶液を除去するのには、基本的にあらゆる界面活性剤が好適である。或る界面活性剤が或る試験フォーマットにとって適切かどうかは、当業者であれば、コートの種類および技術的条件(例えば、試薬支持体のフォーマット)に応じた2〜3の予備実験によって決定できる。特に、界面活性剤によって、後に塗布される液体が流れたり少ししか広がらなくなってしまうことのないように注意を払わねばならない。この理由から、界面活性剤SDSを用いる場合には、(特に使用濃度に関して)特に注意を払わねばならない。
【0020】
本発明で用いられる洗浄溶液はまた、本発明の方法に対して有利な効果を有する他の添加物を含有することも可能である。特に、プレコートに対して安定化効果を有する添加物を用いることができる。これによって、製造プロセスにおいて、試薬支持体のプレコーティングと各結合アッセイ用の特異的コートの塗布との間に時間的間隔をあけることが可能になる。そのような他の添加物の例としては、糖類、塩類、およびブロッキング試薬が挙げられる。これらの物質についての好ましい濃度C1、特に好ましい濃度C2、最も好ましい濃度C3を表3に示す。
【0021】
【表3】
Figure 0004173240
【0022】
好ましい糖類は、分子量が1000以下、特に好ましくは500以下の低分子量の糖類(例えば、ショ糖)である。1つ、2つまたは3つの糖ユニットを含む低分子量の糖オリゴマーが最も好ましい。
好ましく用いられる塩類は、酒石酸二ナトリウム・二水和物のような結晶を形成しにくい塩類である。
ブロッキング試薬としては、ペプトンのような低分子量のタンパク質が好ましく用いられる。
【0023】
洗浄溶液中の各物質の濃度は、コートの種類や試験フォーマットの大きさ等の特定の試験要件に応じて調整することができる。したがって、例えば、比較的大きな反応領域(直径:>1cm)を有する試薬支持体の場合、可能性のある残留物の量を最小にするような吸引を達成するためには、純水または比較的低濃度の上記物質(緩衝剤、界面活性剤、他の添加物)を含有する洗浄溶液を用いるのが好ましい。
【0024】
水系溶液はプレコートの上にさっと流し、次に完全に除去(例えば、吸引)して、プレコートを乾燥状態にするのが好ましい。疎水的特性を有するプレコートを用いることが好ましい。
【0025】
次に、洗浄したプレコートに第2コートを塗布する。この第2コートはプレコートに結合可能な受容体分子を含み、空間的に範囲が定められたゾーンとして試薬領域上に塗布される。受容体分子は、プレコートとして塗布される結合対の第1の結合相手と(例えば免疫学的反応やストレプトアビジン/アビジン相互作用などにより)高い親和性で相互作用し得るかまたは共有結合で結合し得る結合対の第2の結合相手を含有することが好ましい。つまり、例えばストレプトアビジンまたはアビジンをプレコートとして塗布してもよく、その場合、受容体分子はビオチン成分を含む。受容体分子は、平衡定数KM≧108 l/molの高親和性の相互作用によってプレコートと結合させるのが好ましい。洗浄したプレコートへの第2コートの塗布により、再現性のある均一な輪郭および大きさの試験ゾーンを得ることができる。
【0026】
この効果は、添付の図面によりさらに明確になる。
図1は、洗浄工程を行わない従来の方法により得られる小型化試験ゾーンを示す。
図2は、本発明の方法により得られる小型化試験ゾーンを示す。
【0027】
図3は、洗浄工程の効果を説明するものであり、図3中、aは、コーティングされていないEnzymun試験管(コーティングされていないポリスチレン管)に水を入れたものを示し、bはストレプトアビジンをコーティングしたEnzymun試験管(ストレプトアビジンをコーティングしたポリスチレン管、Boehringer Mannheim、注文番号No.1144553、「Enzymun-Test Streptavidin Tube」)に水を入れたものを示し、cはストレプトアビジンでコーティングした後で洗浄・乾燥したEnzymun試験管に水を入れたものを示す。
【0028】
図1および図2に示す試験ゾーンの比較により、洗浄工程により達成される利点、すなわち、試薬領域上に再現性がある均一な試験ゾーンのスポット輪郭が得られる、ということがはっきりと証明される。
【0029】
図3のaに示すようにコーティングされていないEnzymun試験管に水を入れた場合、完全に水平な水−空気界面が形成される。このことは、水による壁面の濡れが小さいことを意味する。これに対して、ストレプトアビジンでプレコーティングしておいたEnzymun試験管に水を入れた場合には、図3のbに示すように大きく湾曲した水−空気界面が生じる。プレコーティングによって、壁面の濡れが大きくなる。まずストレプトアビジンでプレコーティングしておいた試験管を水系溶液で激しく洗浄て乾燥した場合にもまた、図3のcに示すように水平な水−空気界面が生じる。プレコートは洗浄工程後には疎水的特性を示し、このために壁面は水にほんのわずかにしか濡れない。
【0030】
本発明によれば、固体の非孔質支持体として、あらゆる固体の非孔質材料を用いることができる。この支持体は好ましくは金属、ガラス、またはプレスチックからなり、特にポリスチレンからなるものが好ましい。
【0031】
第2コートは、直径10μm〜10mmの空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布するのが好ましい。本発明の方法は小型化試験フォーマットの作製に特に好適なので、第2コートは直径10μm〜500μm、特に好ましくは直径20μm〜200μmの空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布することが好ましい。第2コートの塗布は公知の方法を用いて行うことが可能である。第2コートは水系溶液として体積0.00001〜1μlの微小液滴の形態で、例えば液体ジェット法(liquid jet process)を用いることにより塗布することが都合がよい。しかしながら、本発明によれば、マイクロタイタープレートやキュベットのような大きな反応容器をコーティングすることもまた可能である。
【0032】
固体支持体の試薬領域の領域全体をコーティングし、その後でこの領域全体のプレコートに第2コートを空間的に範囲が定められた試験ゾーンの形態で塗布することが好ましい。しかしながら、プレコートをスポットの形態で予め塗布しておくことも可能である。しかし、この場合には、このプレコーティングしたゾーン上に第2コートを正確に配置しなければならないので、さらに手間がかかってしまう。
【0033】
本発明の方法は再現性があるので、幾つかの同一または異なる試験ゾーンを含む試験系、特に必要とされるアナライトの量および分析時間を相当低減できるように小型化した形態の該試験系を提供することが可能になる。したがって、幾つかの空間的に範囲が定められた第2コートのゾーンを支持体に塗布することが好ましい。これらのゾーンは全て同じ受容体分子を含んでいてもよい。この場合、複数種の異なるサンプルを1つの試験支持体上で同時に試験することが可能である。該ゾーンの少なくとも2つが異なる受容体分子を含んでいる場合、数種のアナライトを1つのサンプル中で同時に測定することが可能である。そのような系では、空間的に明瞭に範囲が定められた試験ゾーンを作製すること、並びに受容体分子の如何なるスミアリングも防止することが特に重要である。そのような場合にだけ、特異的な試験ゾーンに結合可能な目的のアナライトが確かに測定されること、および他の試験ゾーンの受容体分子による近隣ゾーンの汚染が誤った結果をもたらさないこと、を確実にすることが可能となる。
【0034】
本発明のさらに別の主題は、上記の方法により得ることができ、固体支持体上に施したプレコートと、幾つかの空間的に範囲が定められた円形のゾーンの形態で該プレコートに結合している第2コートとを含んでなる固相であって、該第2コートが該プレコートに結合している受容体分子を含有していること、および該第2コートのゾーンの直径が10μm〜10mmであり、かつ各ゾーン間での差異が10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは2.5%未満であることを特徴とする上記固相である。この固相は、試験ゾーンの直径が10〜500μm、好ましくは20〜200μmの小型化試験系で用いるのが特に好ましい。
【0035】
さらに、本発明は、そのような固相を1種または数種のアナライトの検出に使用すること、特にイムノアッセイ、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ等の結合アッセイにおいて使用することを包含する。
【0036】
本発明のさらに別の主題は、固体支持体上、特に非孔質支持体上の空間的に範囲が定められたコーティングゾーンの均一性を改善するための方法であって、
(a)該固体支持体の試薬領域上にプレコートを塗布する工程と、
(b)該プレコートを施した支持体を水系溶液で洗浄する工程と、
(c)該プレコートに結合可能な第2コートを、該プレコートを施した支持体上に、該試薬領域上で空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布する工程と
とを含むことを特徴とする上記方法である。
【0037】
結合アッセイ用の固相を製造および/または使用する際に頻繁に生じる問題は、再コーティング溶液を塗布した際の、目的とする空間的に範囲が定められたゾーン外への受容体分子のスミアリングである。
【0038】
したがって、本発明の第2の態様は、受容体分子を含有するコーティング溶液を、固体支持体の範囲が定められた所定の領域に塗布し、続いて再コーティング溶液で処理することによって得られる、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングを防止する方法であって、
(a)該受容体分子が範囲が定められた所定の領域内に本質的に定量的に結合するように該コーティング溶液を塗布すること、および
(b)後処理溶液(再コーティング溶液)の塗布によって、該範囲が定められた所定の領域から溶離した受容体分子の再結合を防止すること、
の手段の少なくとも1つを含んでなる上記方法に関する。
【0039】
驚くべきことに、これらの手段の少なくとも1つを用いることにより、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングを防止でき、その結果として、再現性のある輪郭および大きさを有する明瞭に範囲が定められた試験ゾーンが得られることが判明した。この方法は、単一層コーティングにも多層コーティングにも使用可能である。
【0040】
受容体分子は、通常、水系溶液として小さな液滴の形態で固体支持体に塗布され、該支持体は場合によってはプレコーティングされていてもよい。次に、受容体分子は該溶液から該固体支持体またはプレコートへ拡散されて、これに結合する。この結合相互作用は、免疫学的反応またはストレプトアビジン/アビジン−ビオチン相互作用のような高親和性の相互作用であってもよく、あるいは共有結合であってもよい。従来技術の通常の固相系では、コート塗布の後に続くプロセスによって、例えばアナライトを分析するための実験を行った場合、または再コーティング溶液を塗布した場合に、該固相からの未結合の、または適切に結合していない分子の溶離が起こる。
【0041】
特異的にコーティングされた固相は、通常、非特異的結合部位をブロックし、かつ外部からの影響に対して受容体分子を安定化する機能を有する再コーティング溶液で処理する。これが必要とされる理由は、固相の試薬領域上の試験ゾーンが通常は完全に100%占領されないからである。しかしながら、支持体上またはプレコート上に残っているフリーな部分は、目的のアナライト以外の他のサンプル成分が結合し得る非特異的な結合部位に該当する。
【0042】
さらに、受容体分子のコートは、通常、わずかな比率の損傷分子も含有し、そこに目的のアナライト以外の他のサンプル成分が非特異的に結合し得る。そのような部位は、例えば不活性タンパク質を含有する再コーティング溶液を塗布することによりブロックされ、こうして分析中にサンプル成分が後から結合できないようになる。さらに、再コーティング溶液は、受容体分子またはコーティングを外部の影響(例えば、温度や湿度)に対して安定化させるのにも役立つ場合が多い。例えばマイクロタイタープレートまたはESチューブのような分析系の多くの実施態様において、再コーティング溶液がブロッキング作用および安定化作用を果たす操作が存在する。
【0043】
再コーティング溶液の使用は多くの試験フォーマットにとって必要であるが、これは同時に先に塗布した受容体分子のスミアリングを伴う。再コーティング溶液を塗布すると、未結合の、または適切に結合していない受容体分子の溶離が起こる。残念なことに、これらの溶離受容体分子は、固体支持体またはプレコートの依然として結合可能な部位(accessible sites)に結合可能であり、そのため、予め空間的に範囲が定められた固相のスミアリングが生じる。何故ならば、受容体分子は第1の塗布部以外にも付着できるからである。そのようなスミアリングは、特にそれぞれ異なる受容体分子を含む幾つかの空間的に範囲が定められたゾーンを支持体に塗布した場合には重大な欠点である。受容体分子の溶離および固相の他の部位への溶離受容体分子の結合は、試験ゾーンにおける受容体の混在をまねき得るので、明確な分析結果を得ることができなくなる。この問題は特に小型化試験フォーマットにおいて生じる。再コーティング溶液が全く用いられない試験においても、サンプル溶液を塗布した最後の時点で、同様の問題が生じる。
【0044】
今や、驚くべきことに、本質的に定量的な受容体分子の結合を所定のゾーン内で起こすコーティング溶液の塗布を行うことにより、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングを防止することが可能であることが判明した。受容体分子がほぼ100%結合するので、該受容体分子の溶離を防止できる。受容体分子は、好ましくは90%より多く、特に好ましくは95%より多く、最も好ましくは99%より多く結合する。本質的に定量的な受容体分子の結合は、所定のゾーンを完全に占領するのに十分な限界濃度より低い受容体分子濃度を有するコーティング溶液を用いることによって達成されるのが好ましい。コーティング溶液が、試験ゾーンに結合し得る量よりも少ない受容体分子を含有する場合には、塗布された受容体分子は全て試験ゾーンに結合し、後になって(例えば再コーティング溶液によって)溶離する可能性のある未結合の受容体分子または適切に結合していない受容体分子は存在しない。各種の受容体分子についての限界濃度を表4に示す。
【0045】
【表4】
Figure 0004173240
【0046】
限界濃度より低い濃度(好ましくは限界濃度の50%未満、特に好まくは25%未満)の受容体分子を含有するコーティング溶液を用いるのが好ましい。
【0047】
さらに、強力に結合する受容体分子、例えば単量体抗体ではなく架橋抗体を用いることが好ましい。特に、抗体を架橋させて120万ダルトンより大きな分子量の多量体(polymer)を形成することによってスミアリングを防止することが可能である。その理由は、高度に架橋したタンパク質は固体支持体(特にプラスチック表面)に非常によく結合することが判明したからである。自己凝集して数百万ダルトンの範囲の巨大分子を形成する組換え体HBc抗原、並びにtBSA−ビオチン、tBSA−ストレプトアビジンまたはtBSA−抗-TSH抗体のようなtBSAコンジュゲートが受容体分子として特に好ましく用いられる。あらゆる場合において、受容体分子がほぼ100%結合すること、したがって目的とするゾーンの外側に少しも受容体分子のスミアリングが生じないことが判明した。
【0048】
受容体分子は、固体支持体に直接塗布してもよいし、あるいは固体支持体に塗布されたプレコートに塗布してもよい。プレコートの場合には、該プレコートに対して少なくとも108 l/molの高い結合親和性を有する受容体分子を用いることが好ましい。
【0049】
さらに、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングは、コーティング溶液に溶離遅延剤を添加することによって防止できることが判明した。溶離遅延剤とは、コーティング溶液が乾燥した後で試験ゾーン上にコート(塗膜)を形成して、再コーティング溶液またはサンプル溶液を添加した際の未結合の受容体分子または適切に結合していない受容体分子の直接的な溶離を防止または遅延させる物質であると理解される。好適な溶離遅延剤は、例えば、ショ糖、PVP(ポリビニルピロリドン)またはデキストランのような、好ましくは分子量が10,000〜100,000ダルトンの糖類である。他の好適な溶離遅延剤はゼラチンおよびセルロース誘導体であり、受容体分子が先に塗布したプレコートと反応する場合に特に好ましく用いられるのはメチルセルロースである。溶離遅延剤の添加は、少なくとも固体支持体上の全てのフリーな部位が適切な手段によってブロックされて溶離受容体分子がもはや結合することも洗い出されもしなくなるまで、未結合の受容体分子の溶離を遅延させる。
【0050】
第2の態様では、再コーティング溶液を塗布することにより、所定の領域から溶離した受容体分子の再結合が防止される。これは、好ましくは、再コーティング溶液にブロッキング物質を添加することによって達成される。この場合、ブロッキング物質が可能な限り迅速に結合するのを確実にすることが重要である。これは、0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上の高濃度のブロッキング物質、例えば1重量%のBSA(ウシ血清アルブミン)、プロテインC、カゼイン等を再コーティング溶液に添加することによって達成可能である。さらに好適なブロッキング物質は、例えば、ペプトン、ウシIgG、ウサギIgG、コラーゲン、ゼラチン、ポリエチレングリコールおよび界面活性剤(例えばTween 20)である。
【0051】
ブロッキング物質(特にブロッキングタンパク質)の結合速度はまた、3% MgCl2のような適切な緩衝添加物によって改善可能である。コーティング溶液を固体支持体に直接塗布するのではなくプレコートに塗布する場合には、該プレコートと特異的に反応するブロッキング物質を選ぶ。ブロッキングタンパク質のような非特異的ブロッキング物質の代わりに、またはそれに加えて、プレコートに特異的に結合可能な特異的ブロッキング物質を用いることにより、ブロッキング効果をさらに改善することができる。この場合、ビオチン化受容体分子を含有する溶液を、例えばストレプトアビジン・プレコートに塗布する。乾燥後、ビオチン溶液をこれに塗布して、依然としてフリーのままのストレプトアビジン結合部位を飽和させる。
【0052】
最後に、本発明によれば、溶離した受容体分子がすぐに強力に薄められるように再コーティング溶液を短時間で塗布することによって、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングを防止することも可能である。これについての最長時間は通常500ミリ秒、好ましくは250ミリ秒、特に好ましくは50ミリ秒である。この場合、迅速な混合を確実に行って、再コーティング溶液中に局所的に溶離受容体分子が高濃度になる領域が生じないようにすることが有利である。効率的な混合は、例えば再コーティング溶液を可能な限り早い流速で塗布して、可能性のある再コーティング溶液と試験ゾーンとの接触時間を確実に最小にすることによって達成できる。
【0053】
特に好ましくは、上記の手段の中の幾つかを組合せて用いて、溶離した受容体分子が目的の試験ゾーン外に結合しないようにする。コーティング溶液に溶離遅延剤を添加し、再コーティング溶液にブロッキング物質を添加し、それと同時に再コーティング溶液の迅速な混合を確実に行うことが特に有利であることが明らかになっている。
【0054】
この方法は小型化試験フォーマットの場合に特に有利であるので、空間的に範囲が定められた固相は直径が10〜500μm、特に好ましくは20〜200μmであることが好ましい。
【0055】
本発明はまた、空間的に範囲が定められた固相のスミアリングを防止するための上記の方法により得られる固相に関し、該固相は、受容体分子を含有するコーティング溶液を固体支持体の所定の領域に塗布し、続いて再コーティング溶液で処理することによって製造され、そこにおいて、該受容体分子は空間的に範囲が定められたゾーン内に配置されており、該受容体分子の80%以上、特に90%以上、特に好ましくは95%以上が該空間的に範囲が定められたゾーン内に存在することを特徴とする。このような固相は、信頼性が高く再現性のある分析結果を可能にする。この種の固相は1種または数種のアナライトの検出に使用可能である。
【0056】
結合アッセイにおける誤った結果の別の多い原因は、非特異的な結合、すなわちストレプトアビジンまたはアビジンをコーティングした固相への目的のアナライト以外のサンプル成分の結合である。
したがって、本発明はまた、ストレプトアビジンまたはアビジンをコーティングした固相への非特異的な結合を低減するための方法であって、
(a)巨大分子とビオチンとからなるコンジュゲートを塗布する工程と、
(b)単量体ストレプトアビジンまたはアビジンを固相に塗布する工程と
を含む上記方法に関する。
【0057】
驚くべきことに、この方法は、ストレプトアビジンまたはアビジンをコーティングした固相への非特異的な結合を相当低減できることが判明した。単量体ストレプトアビジンを用いることによって、特に固相へのコンジュゲートおよび他のサンプル成分の非特異的な結合が相当低減される。
【0058】
好ましくは、tBSAのような巨大分子とビオチンとからなるコンジュゲートを水系溶液として微小液滴の形態で固体支持体に塗布する。この場合、巨大分子とビオチンとが1:1〜1:3、特に好ましくは1:1〜1:2の比率でなるコンジュゲートを用いることが好ましい。このように少ないビオチン化理論量のコーティングタンパク質を用いれば、特にコンジュゲートの非特異的な結合をさらに一層低減することが可能になる。
【0059】
ストレプトアビジンまたはアビジンをコーティングした固相への非特異的結合を低減するための本発明の方法はまた、固相の直径が好ましくは10mm以下、特に好ましくは5mm以下の小型化試験フォーマットに特に好適である。
本発明のさらにもう1つの主題は、上記の方法によって得られる固相であり、これは、巨大分子とビオチンとからなるコンジュゲートのプレコート、および該プレコートの上に施した単量体ストレプトアビジンまたはアビジンの層を有することを特徴とする。そのような固相は特にアナライトの検出に用いられる。
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0060】
【実施例】
[実施例1]ストレプトアビジンをコーティングした表面へのスポットの作製
試験ゾーンを、高分子量化合物BSA−ストレプトアビジン(粒径:約100nm)を含有するコーティング溶液でコーティングした。15分間の反応時間後、コーティング溶液を吸引し、試験ゾーンを0.05% NaCl、0.2%ショ糖および0.05% BSAを含有する溶液でブロックした。図1に示す試験ゾーンでは、プレコートを5分間インキュベートした後で吸引乾燥しただけであり、一方、図2に示す試験ゾーンでは、水系媒体を用いて本発明による洗浄工程を行い、続いて吸引乾燥した。
【0061】
[実施例2]
3.7gのTris[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]および4.75gのMES(2-モルホリノエタンスルホン酸)を5リットルの水に溶解させた。プレコーティングした反応容器(公称容量:50μl)にこの洗浄緩衝液5mlを流して洗浄した。続いて、この反応容器を1個または数個の吸引ニードル(aspiration needles)を用いて吸引乾燥した。この洗浄・乾燥したプレコートの上に第2コートを塗布することによって、例えば図2に示すような空間的に狭く範囲が定められた試験ゾーンを得た。
【0062】
[実施例3]
ストレプトアビジン・プレコートを固体支持体上に塗布した。このコートの上に、モノビオチン化抗体を含有するコーティング溶液を小さな液滴の形態で塗布した。該液滴を乾燥した後、これに50mM K2HPO4中に3mg/mlのビオチンを含有する溶液を塗布した。数秒後、該ビオチン溶液を除去し、1% BSA(ウシ血清アルブミン)および2%ショ糖を含有する溶液を塗布し、これも数秒後に除去した。続いて、この系を乾燥させた。このようにして、目的の反応領域外での受容体分子のスミアリングがない、空間的に明瞭に範囲が定められた固相を得た。
【0063】
[実施例4]
各種のストレプトアビジン固相上での非特異的結合について調べた。結果を表5に示す。
【0064】
【表5】
Figure 0004173240
【0065】
上記から明らかなように、本発明によるコンジュゲートと単量体ストレプトアビジンとの組合せにより、非特異的な結合がかなり低減される。
【0066】
[実施例5]直接コーティング
まず、数個の同一のペプチドをBSAに結合させてポリハプテンを得た。このポリハプテンを、5mM Mes、5mM Trisおよび1%ショ糖を含有する緩衝液中に50μg/mlの濃度で溶解させた。続いて、体積150plの液滴をポリスチレン製支持体に塗布し、約5秒間インキュベートし、約60秒間乾燥した。その後、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を塗布し、10秒間インキュベートした。続いて、該溶液を吸引し、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加した。その後、該溶液を吸引し乾燥した。
【0067】
[実施例6]ストレプトアビジンのプレコーティング
まず、ビオチン化巨大分子(例えば、熱凝集BSA)を100μg/ml(PBS中)の濃度でポリスチレン製支持体(公称容量:50μl)に塗布し、5分間インキュベートした。続いて、これを吸引し、100μg/ml(PBS中)の濃度のストレプトアビジン溶液を添加した。5分間インキュベートした後、洗浄工程を行い、続いて該溶液を吸引乾燥した。
【0068】
各種のビオチン化DNA捕捉プローブ(18-mer)を、5mM Mes、5mM Tris、1%ショ糖および0.5mg/ml BSAを含有する緩衝液に1μMの濃度で溶解させた。続いて、体積約150plの液滴をポリスチレン製支持体にアレイの形状に塗布した。約5秒間インキュベートし、約60秒間乾燥した後、50mMリン酸二カリウム中に3mg/mlのビオチンを含有する溶液を添加し、2秒間インキュベートした。続いて、該溶液を吸引し、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加し、該溶液を吸引し乾燥した。
【0069】
[実施例7]抗-マウス抗体によるプレコーティング
PAB<マウス−Fcγ>S IgGを0.9%塩化ナトリウム中に40mMリン酸カリウムを含有する緩衝液(pH 7.4)に30μg/mlの濃度で溶解させた。この溶液を反応容器(公称容量:50μl)に加えた。15分間インキュベーションし、続いて吸引した後、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加した。5分間インキュベートした後、本発明に従って洗浄工程を行い、続いて該溶液を吸引乾燥した。
【0070】
融合タンパク質(マウス−Fcγ+CD28)を5mM Mes、5mM Tris、1%ショ糖および0.5mg/ml BSAを含有する緩衝液に100μg/mlの濃度で溶解させた。体積約150plの液滴を上記のコーティングしたポリスチレン製支持体に塗布し、約5秒間インキュベートした。約60秒間乾燥した後、50mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)、100μg/mlマウスIgG、1mg/ml BSAを含有するブロッキング溶液を加えた。10秒間インキュベートした後、該溶液を吸引し、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加し、該溶液を吸引し乾燥した。
【0071】
[実施例8]普遍的ストレプトアビジン試験ゾーン
BSAおよびストレプトアビジンを含有する粒径約100nmの巨大分子を20mMリン酸緩衝液(pH 7.4)および1%ショ糖を含有する溶液に500μg/mlの濃度で溶解させた。体積約150plの液滴をポリスチレン製支持体に塗布し、約5秒間インキュベートし、約60秒間乾燥した。続いて、1% BSAおよび2%ショ糖を含有する溶液を添加し、約10秒間インキュベートし、吸引した。次に、1% BSA、2%ショ糖、1μg/mlビオチン化抗-TSH抗体を含有する溶液を添加し、20分間インキュベートし、吸引した。最後に、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加し、吸引し、乾燥した。その結果、非常に精密な小型化TSH特異的固相が得られた。
【0072】
[実施例9]抗-風疹抗体用の試験ゾーン
ビオチン化巨大分子(例えば、熱凝集BSA)を100μg/ml(PBS中)の濃度でポリスチレン製支持体(公称容量:50μl)に塗布し、5分間インキュベートし、吸引した。続いて、100μg/ml(PBS中)の濃度のストレプトアビジン溶液を添加した。5分間インキュベートした後、本発明にしたがって洗浄工程を行い、続いて該溶液を吸引乾燥した。
【0073】
ビオチン化抗-風疹抗体を5mM Mes、5mM Tris、1%ショ糖および0.5mg/mlのBSAを含有する緩衝液に50μg/mlの濃度で溶解させた。体積約150plの液滴を上記の支持体に塗布した。これを約5秒間インキュベートし、約60秒間乾燥した。続いて、50mMリン酸二カリウム中に3mg/mlビオチンを含有する溶液を添加し、約2秒間インキュベートし、該溶液を吸引した。次に、0.1% Tween 20、1% BSA、3U/mlウイルス(風疹ウイルス)溶菌液をPBS中に含有する溶液を添加し、20分間インキュベートし、吸引した。続いて、1% BSAおよび2%ショ糖を含有するブロッキング溶液を添加し、吸引し、乾燥した。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄工程を行わない従来の方法により得られる小型化試験ゾーンを示す。
【図2】本発明の方法により得られる小型化試験ゾーンを示す。
【図3】本発明の洗浄工程の効果を説明する写真である。

Claims (7)

  1. 固体の非孔質支持体上に多層コートを塗布するための方法であって、
    (a)該固体支持体の試薬領域の全領域にプレコート(下塗り)を塗布する工程と、
    (b)該プレコートを施した支持体を水系溶液で洗浄する工程と、
    (c)該プレコートに結合可能な受容体分子を含有する第2コートを、プレコートを施した支持体上に、該試薬領域上で空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布する工程と
    を含む前記方法。
  2. 前記第2コートが、直径10μm〜10mmの空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記固体支持体が特異的結合対の第1の結合相手でプレコーティングされ、前記受容体分子がその第2の結合相手を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第2コートの空間的に範囲が定められた幾つかのゾーンを支持体に塗布し、そこにおいて、該ゾーンの少なくとも2つがそれぞれ異なる受容体分子を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 固体の非孔質支持体上に施されたプレコートと、幾つかの空間的に範囲が定められた円形のゾーンの形態で該プレコートに結合している第2コートとを含んでなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により得られる固相であって、該第2コートが該プレコートに結合している受容体分子を含み、そして該第2コートの該ゾーンの直径が10μm〜10mmで、かつ各ゾーン間の差異が10%未満であることを特徴とする前記固相。
  6. 1種または数種のアナライトを検出するための請求項5に記載の固相の使用。
  7. 固体支持体上の空間的に範囲が定められたコーティングゾーンの均一性を改善するための方法であって、
    (a)該固体支持体の試薬領域の全領域上にプレコートを塗布する工程と、
    (b)該プレコートを施した支持体を水系溶液で洗浄する工程と、
    (c)該プレコートに結合可能な第2コートを、該プレコートを施した支持体上に、該試薬領域上で空間的に範囲が定められたゾーンの形態で塗布する工程と
    を含むことを特徴とする前記方法。
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