キャスター付きのタンクを使用して人手で原料肉を移送する搬送形態は、多くの手間と時間が掛かるため、ハム製造の生産性を向上するうえで大きな障壁となっている。また、原料肉をインジェクターから移送用のタンクに移す場合や、タンク内の原料肉をマッサージドラムに投入し、あるいはタンブリング機から取り出した原料肉をタンクに移す場合などに、原料肉の表面に付着している肉汁やピックル液が、タンクやマッサージドラムの周辺に飛散して床面を汚し、その水洗い清掃に余分な手間が掛かる。
この点、特許文献2の食肉漬け込み装置によれば、インジェクターで処理された原料肉をマッサージドラムに直接投入するので、原料肉の搬送を能率よく短時間で行える。また、原料肉の投入時に肉汁やピックル液が飛散するのをある程度は抑止できる。しかし、インジェクターおよび投入口の上面周囲が開放された状態のままで原料肉を投入するので、肉汁やピックル液の飛散が皆無になるわけではなく、さらに、マッサージ処理が終わった原料肉は依然としてタンクに移して次工程へ移送しなければならないので、定時毎の床面の水洗い清掃を省くことができない。
本発明の目的は、ピックル液が注入された原料肉をマッサージドラムに対して自動的に搬送供給でき、しかもマッサージ処理された原料肉を自動的に次工程へ搬送送給でき、したがって原料肉の搬送を能率よく行ってハム製造時の生産性を向上できるうえ、ピックル液などがマッサージドラムの周辺床面に飛散するのを一掃し、床面の水洗い清掃の手間を大幅に軽減できる自動搬送型のタンブリング装置を提供することにある。本発明の目的は、ピックル液が注入された原料肉を個々のタンブリング機に対して供給するための供給通路と、マッサージ処理が終わった原料肉を各タンブリング機から次工程へ送給するための送出通路を備えていて、複数のタンブリング機の任意のひとつに原料肉を自動供給でき、さらに、タンブリング機の任意のひとつから原料肉を次工程へ自動送給できる自動搬送型のタンブリング装置を提供することにある。本発明の目的は、タンブリング機に付属する供給通路、および送出通路の水洗い清掃を自動的に行うことができ、したがって、タンブリング機に関連する機器類の定期的な清掃の手間と時間を大幅に軽減して、衛生管理を確実にしかも容易に行える自動搬送型のタンブリング装置を提供することにある。
本発明の自動搬送型のタンブリング装置は、複数基のタンブリング機1と、ピックル液が注入された原料肉M1をマッサージドラム2に供給する原料肉供給手段Aと、マッサージ処理が終わった原料肉M2をマッサージドラム2から次工程へ自動送給する原料肉送出手段Bとを備えている。原料肉供給手段Aは、インジェクター20から送出される原料肉M1を収容する入口タンク23と、入口タンク23から導出される供給通路25と、各マッサージドラム2に対応して供給通路25から分岐される分岐通路26と、各分岐通路26の接続口27を閉止する通路蓋32と、分岐通路26の接続口27とマッサージドラム2に設けた導入口15とを接続する付換通路28と、付換通路28の一端に設けられて、供給通路25内の原料肉M1を付換通路28へ向かって変向案内するガイド体29と、マッサージドラム2に真空圧を作用させる真空源22とを含む。以て、付換通路28の一端を分岐通路26に、他端を対応するマッサージドラム2の導入口15にそれぞれ接続した状態で、マッサージドラム2に真空源22の真空圧を作用させることにより、入口タンク23内の原料肉M1をマッサージドラム2へ自動供給できることを特徴する。
原料肉送出手段Bは、各マッサージドラム2から送出される原料肉M2を受け取る複数個の肉受シュート40と、各肉受シュート40の開口を閉止するシュート蓋41と、各肉受シュート40に連通する送出通路42と、送出通路42の送出端に設けられる出口タンク43と、出口タンク43に真空圧を作用させる真空源22とを含む。以て、出口タンク43に真空源の真空圧を作用させることにより、肉受シュート40内の原料肉M2を出口タンク43へ自動送給できるようにする。
マッサージドラム2の投入口3を開閉するドラム蓋4に導入口15を設ける。ガイド体29は、付換通路28の端部に固定される接合フランジ36と、接合フランジ36から下向きに突設されて供給通路25を仕切る湾曲ガイド37とを含む。肉受シュート40と送出通路42とは、肉受シュート42内の原料肉M2を送出通路42の送出端の側へ向かって変向案内する湾曲壁44を介して連続させる。
複数機のタンブリング機群を複数列状に配置して、各タンブリング機列に沿って供給通路25と送出通路42とを隣接配置する。複数の供給通路25・25と入口タンク23とは切換通路57を介して接続し、切換通路57の内部に入口タンク23内の原料肉M1の送給先を切り換え操作するガイド片58を配置する。複数の送出通路42と出口タンク43とは集合通路59を介して接続する。
断面円形の直管で形成してある供給通路25および送出通路42の内部を水洗い洗浄する通路洗浄装置を備えている。通路洗浄装置は、台車70と、台車上に配置されて回転自在に軸支されるホースリール71と、ホースリール71に巻き取り収納されるホース72と、ホースリール71を巻き込み方向へ回転駆動するリール駆動機構と、ホースリール71に設けたロータリー継手73を介してホース72に高圧の洗浄水を供給する給水機構と、ホースリール71に巻き取り収納されたホース72を繰り出し操作するホース送出機構と、ホース72の繰出し始端に設けられる洗浄ノズル74と、供給通路25および送出通路42の管壁に接当して洗浄ノズル74を通路中心に位置保持するノズルホルダー75とを含む。供給通路25および送出通路42の端部のそれぞれに、洗浄ノズル74およびノズルホルダー75を挿入するための洗浄口30・46を開口し、両洗浄口30・46を開閉可能な通路蓋31・47で閉止する。
洗浄ノズル74に隣接配置したノズルホルダー75は、ホルダー本体89を介してホース72に固定されるローラー枠90と、ローラー枠90の周方向に均等配置される少なくとも3個のローラー91とを含んで構成する。
本発明では、複数基のタンブリング機1と、ピックル液が注入された原料肉M1をマッサージドラム2に供給する原料肉供給手段Aと、マッサージ処理が終わった原料肉M2をマッサージドラム2から次工程へ自動送給する原料肉送出手段Bなどでタンブリング装置を構成した。そのうえで、入口タンク23と、入口タンク23から導出される供給通路25および分岐通路26と、各分岐通路26の接続口27とマッサージドラム2に設けた導入口15とを接続する付換通路28と、供給通路25内の原料肉M1を付換通路28へ向かって変向案内するガイド体29と、マッサージドラム2に真空圧を作用させる真空源22などで原料肉供給手段Aを構成した。
上記のように構成したタンブリング装置によれば、搬送対象とならない分岐通路26の接続口27を通路蓋32で塞ぎ、搬送対象となるマッサージドラム2と、対応する分岐通路26の接続口27とを付換通路28で接続した状態で、マッサージドラム2に真空圧を作用させることにより、入口タンク23内の原料肉M1を搬送対象のマッサージドラム2へ自動的に搬送供給できる。
上記のように本発明のタンブリング装置によれば、ピックル液が注入された原料肉M1をマッサージドラム2に対して自動搬送できるので、従来装置に比べて原料肉M1の搬送を能率よく行ってハム製造時の生産性を向上できる。また、供給通路25、分岐通路26、および付換通路28を介して、原料肉M1を周囲空間から隔離された状態でマッサージドラム2に自動搬送するので、ピックル液などがマッサージドラム2の周辺床面に飛散するのを一掃するのを解消して、床面の水洗い清掃の手間を大幅に軽減できるのはもちろん、原料肉M1を常に衛生的な状態で搬送できる利点もある。
肉受シュート40と、肉受シュート40に連通する送出通路42と、送出通路42の送出端に設けられる出口タンク43と、出口タンク43に真空圧を作用させる真空源22などで原料肉送出手段Bを構成したタンブリング装置によれば、搬送対象とならない肉受シュート40の開口をシュート蓋41で閉止した状態で、出口タンク43に真空源の真空圧を作用させることにより、肉受シュート40内の原料肉M2を出口タンク43へ自動送給して、マッサージドラム2に対する原料肉M1・M2の供給、および次工程への送出とを全て自動化できる。
これにより、マッサージ処理すべき原料肉M1と、マッサージ処理が終了した原料肉M2の搬送をさらに能率よく行って、タンブリング装置の生産性をさらに向上できる。また、原料肉M2を、送出通路42によって周囲空間から隔離された状態で出口タンク43へ自動搬送するので、搬送時にピックル液などの飛散するのを防止し、床面の清掃の手間を大幅に軽減できるうえ、原料肉M1を常に衛生的な状態で搬送できる利点もある。
マッサージドラム2のドラム蓋4に導入口15が設けてあると、マッサージドラム2に搬送された原料肉M1によって導入口15が塞がれるのを良く防止でき、したがって、原料肉M1のマッサージドラム2に対する自動搬送をさらに確実に行うことができる。付換通路28の端部に固定される接合フランジ36と、供給通路25を仕切る湾曲ガイド37とで構成したガイド体29によれば、ガイド体29を接続口27に接続固定することで、付換通路28を同時に接続口27に接続できるので、ガイド体29および付換通路28の接続の手間を省くことができる。肉受シュート40と送出通路42が湾曲壁44を介して連続する通路構造によれば、肉受シュート42内に落下投入された原料肉M2を、送出通路42へ向かって滑らかに変向案内できるので、原料肉M2の出口タンク43に対する自動搬送をさらに確実に行うことができる。
複数機のタンブリング機群が複数列状に配置してあるタンブリング装置において、各タンブリング機列に沿って供給通路25と送出通路42とを隣接配置し、複数の供給通路25・25と入口タンク23とが切換通路57を介して接続され、さらに、複数の送出通路42と出口タンク43とが集合通路59を介して接続してあると、切換通路57の内部に設けたガイド片58を切り換え操作することによって、入口タンク23内の原料肉M1の送給先を変更して、任意のタンブリング機1に原料肉を自動供給できるうえ、タンブリング機1の任意のひとつから原料肉M2を次工程へ自動送給できる。
台車70、ホースリール71、ホース72、リール駆動機構、給水機構、ホース送出機構、洗浄ノズル74、およびノズルホルダー75などで構成した通路洗浄装置によれば、洗浄ノズル74およびノズルホルダー75を、供給通路25や送出通路42に開口した洗浄口30・46から差し込み、ホース72をホース送出機構で送り込み操作しながら、給水機構で高圧の洗浄水を洗浄ノズル74から噴出させることにより、供給通路25や送出通路42の内面に付着している肉片、肉汁、ピックル液などを確実に洗い流すことができる。ホースリール71をリール駆動機構で駆動して、ホース72を巻き取り収納する際にも、高圧の洗浄水を洗浄ノズル74から噴出させることにより、供給通路25や送出通路42の内面を仕上げ洗浄できる。
このように、通路洗浄装置を備えたタンブリング機1によれば、供給通路25、および送出通路42の水洗い清掃を自動的に行うことができ、したがって、タンブリング機1に付属する機器類の定期的な清掃の手間と時間を大幅に軽減して、清掃作業コストを削減できる。さらにタンブリング機1に付属する機器類の衛生管理を、確実にしかも容易に行える。
(実施例) 図1ないし図11は本発明に係るタンブリング装置の実施例を示す。図1および図2において、タンブリング装置は、一定間隔おきに配置される合計6基のタンブリング機1と、ピックル液が注入された原料肉M1を各タンブリング機1のマッサージドラム(以下単にドラムと言う)2に供給する原料肉供給手段Aと、マッサージ処理が終わった原料肉M2をドラム2から次工程へ自動送給する原料肉送出手段Bなどで構成してあり、これら両手段A・B用の通路洗浄装置、およびドラム2用のドラム洗浄装置が付属装置として設けてある。
図3および図4においてタンブリング機1は、基台で回転自在に支持されるドラム2と、ドラム2を回転駆動する駆動機構と、ドラム2の投入口3を揺動開閉するドラム蓋4と、基台下部に配置されてドラム2内の空気を排気する真空ポンプ5などで構成してある。ドラム2はドラム後端に設けた主軸6を支持する軸受7と、投入口寄りのドラム周面を支持する2個のローラー8とで、その回転中心軸が投入口3の側へ向かって上り傾斜する状態で回転自在に支持されている。ドラム2の内面には、ドラム内に収容した原料肉M1を攪拌する螺旋状の攪拌翼2aが設けてある。
駆動機構は、ドラム2の後方上部に配置したモーター10と、モーター10の回転動力を主軸6に伝動するスプロケット伝動機構11とで構成してある。モーター10は正転方向と逆転方向とのいずれへも駆動でき、一体に設けられた減速機で減速した動力をスプロケット伝動機構11でドラム2に伝動する。
ドラム蓋4は、投入口3の一側に設けたアーム13を中心にして揺動開閉でき、蓋壁の中央部には空気を排気するための排気口14が開口され、その横側に原料肉M1の導入口15が開口してある。ドラム蓋4がドラム2と同行回転するのを許すために、アーム13とドラム蓋4とは、排気口14の周囲を囲む軸受を介して相対回転自在に連結してある。排気口14は図示していないロータリー継手および通路を介して先の真空ポンプ5と接続されている。マッサージ処理を行うとき、導入口15は着脱可能なキャップ16で閉止される。
以上のように構成したタンブリング機1は、図1に示すように3基ずつ直線列状に配置され、さらに3基ずつのタンブリング機列が、それぞれの投入口3が対向する状態で配置してある。6基のタンブリング機が設置されたマッサージ区の一側には、原料肉にピックル液を注入するインジェクター20が配置され、マッサージ区の他側には整形工程の肉受台21が配置してある。
原料肉供給手段Aは、インジェクター20から送出される原料肉M1を収容する入口タンク23と、入口タンク23から3基ずつのタンブリング機列に沿って導出される供給通路25と、各ドラム2に対応して供給通路25から分岐される3個の分岐通路26と、各分岐通路26の接続口27とドラム2に設けた導入口15とを接続する付換通路28と、付換通路28の一端に設けられるガイド体29と、ドラム2内に真空圧を作用させる真空ポンプ(真空源)22などで構成する。
図1に示すように、真空ポンプ22は専用の通路と切換バルブ53を介して各ドラム2に接続されており、各ドラム2に対応する切換バルブ53を開操作することにより、必要なドラム2に真空圧を作用させることができる。
入口タンク23は上面のみが開口する角箱状のステンレス容器からなり、その上面開口は着脱可能なタンク蓋で閉止できる。各タンブリング機列に沿って導出される一対の供給通路25・25と入口タンク23とは、三又状の切換通路57を介して連通してあり、切換通路57内に設けたガイド片58を傾動操作することにより、両供給通路25の片方のみを入口タンク23と連通させることができる。入口タンク23の底壁は、供給通路25へ向かって下り傾斜させてあるので、インジェクター20から送出された原料肉M1は、供給通路25へ向かって底壁を滑り落ちる。なお、原料肉は幅および高さがそれぞれ10cm前後で、長さが70cm前後の角棒状の肉塊からなり、その重量は概ね6kgである。
供給通路25は、サニタリー継手を備えた直管やチーズなどを構成部品にして構成してあり、各分岐通路26はチーズによって供給通路25から分岐されている。直管どうし、あるいは直管とチーズとはフランジ接合されて、クランプ金具で固定してあり、必要時にはクランプ金具を取り外して、通路全体を分解し洗浄することができる。供給通路25の送給端には、後述する洗浄ノズル74用の洗浄口30が設けてある。常態における洗浄口30は、ねじ込み装着されるキャップ(通路蓋)31で閉止してある。同様に、各分岐通路26の接続口27はクランプ金具で固定されるキャップ(通路蓋)32で閉止してある。
図4および図5において付換通路28は、プラスチック製のフレキシブルパイプからなり、その一端にフランジ付きの送出口34が固定され、他端にガイド体29が固定してある。送出管34と導入口15、およびガイド体29と接続口27は、それぞれ先に説明したサニタリー継手用のクランプ金具で固定される。ガイド体29は、付換通路28の端部に固定される導入管35と、導入管35の周囲に張り出される接合フランジ36と、接合フランジ36から下向きに突設されて、供給通路25を仕切る部分球面状の湾曲ガイド37とを一体に備えており、テフロン(登録商標)あるいはステンレスを素材にして形成してある。
湾曲ガイド37を分岐通路26の接続口27から差し込んで、接合フランジ36と接続口27に設けたフランジとをクランプ金具で固定することにより、付換通路28を供給通路25に連通することができる。この取り付け状態において、湾曲ガイド37は供給通路25の内部を完全に区切っている。したがって、供給通路25内を移行してきた原料肉M1は、図5に示すように湾曲ガイド37に沿って付換通路28へ向かって変向案内される。なお、付換通路28の接続作業は人手によって行う。
図2および図6において原料肉送出手段Bは、各ドラム2から送出される原料肉M2を受け取る複数個の肉受シュート40と、各肉受シュート40の開口を閉止するシュート蓋41と、各肉受シュート40に連通する状態で3基ずつのタンブリング機群に沿って導出される送出通路42と、送出通路42の送出端に設けられる出口タンク43と、出口タンク43に真空圧を作用させる真空ポンプ22などで構成する。真空ポンプ22は、通路と切換バルブ55を介して出口タンク43に接続されており、切換バルブ55を開操作することにより、真空圧を出口タンク43に作用させることができる。
肉受シュート40は、上面のみが開口する角箱状のステンレス容器からなり、その上面開口が着脱可能なシュート蓋41で閉止してある。肉受シュート40の底壁は、送出通路42の送出方向へ向かって下り傾斜させてあるので、ドラム2から肉受シュート40に送出された原料肉M2は送出通路42へ向かって底壁を滑り落ちる。肉受シュート40と送出通路42とは湾曲壁44を介して連続してある。そのため、シュート底壁を滑り落ちてきた原料肉M2は、湾曲壁44に沿って送出通路42内へ円滑に移動できる。
送出通路42は、供給通路25と同様に、サニタリー継手を備えた複数個の直管どうしをクランプ金具で固定して構成してある、必要時にはクランプ金具を取り外すことにより、通路全体を分解して洗浄することができる。インジェクター20側の送出通路42の端部には、後述する洗浄ノズル74用の洗浄口46が設けてある。常態における洗浄口46は、ねじ込み装着されるキャップ(通路蓋)47で閉止してある(図2参照)。図1に示すように、送出通路42は、肉受シュート40がドラム2の投入口3の真下に位置する状態で、供給通路25よりドラム2に近い側に配置される。タンブリング機群に沿って設けた一対の送出通路42の終端は、集合通路59を介して出口タンク43の上部周面に接続される。
出口タンク43は、下半部が下すぼまりテーパー状に形成してある円筒状のステンレス容器からなり、その上面開口を閉止するタンク蓋と、タンク下端の出口を開閉するゲート体49とをそなえている。出口タンク43は、図示していない架台で高い位置に支持されており、そのゲート体49の下方に整形工程の肉受台21が配置してある。出口タンク43で搬送されてきた原料肉M2をタンク内底へ落下させて、タンク内の原料肉M2によって集合通路59の出口が塞がれるのを防ぐために、集合通路56は出口タンク43の上部周面に接続してある。
次にタンブリング装置の使用手順を説明する。インジェクター20から送出された原料肉M1は、ドラム1基分の原料肉M1(約1.2トン)が貯まるまで入口タンク23に収容される。その間に、空のドラム2の導入口15と、このドラム2に対応する分岐通路26の接続口27とに付換通路28を接続して、ドラム蓋4を閉じる。他の分岐通路26の接続口27を全てキャップ32で塞ぎ、ガイド片58を切り換えて、原料肉M1を送り込む側の供給通路25と入口タンク23と連通させる。入口タンク23に所定量の原料肉M1が貯まったら、切換バルブ53を開操作してドラム2内に真空圧を作用させる。
ドラム2内に作用する真空圧は、付換通路28を介して供給通路25に作用し、その入口タンク23に収容された原料肉M1を、切換通路57を介して供給通路25内へ吸引し引き込む。さらに、付換通路28が接続された分岐部分では、図5に示すように原料肉M1がガイド体29に案内されながら分岐通路26側へ吸引され、付換通路28と導入口15を経由してドラム2内へ引き込まれる。このようにして原料肉M1をドラム2内へ次々と吸引搬送することにより、ドラム2に対して1基分の原料肉M1を自動搬送できる。図5に示すように分岐通路26の内隅部分を湾曲壁38で形成しておくと、原料肉1の供給通路25から分岐通路26への変向移動を円滑化することができる。
ドラム2に対する原料肉M1の搬送が終了したら、付換通路28を取り外したうえで、付換通路28が取り外された導入口15および分岐通路26をそれぞれキャップ16・32で閉止する。この状態で、原料肉M1が充填されたタンブリング機1の駆動機構を稼動してドラム2を駆動し、マッサージ処理を開始する。ドラム蓋4、および分岐通路26から取り外された付換通路28は、新たな空のドラム2と、このドラム2に対応する分岐通路26に接続する。以後、同様の手順に従って原料肉M1を空のドラム2へ自動搬送することにより、全てのタンブリング機1のドラム2に原料肉M1を充填できる。
因みに、実施例に示すタンブリング機1の場合には、ドラム2内に約1.2トンの原料肉M1が充填されるが、インジェクター20は1時間当り3トンの原料肉を処理できるので、1.2トンの原料肉なら25分ほどでピックル液を注入処理できる。したがって、6基全てのタンブリング機1のドラム2に原料肉M1を充填するのに必要な作業時間は、余裕を見込んでも4時間前後あればよいことになる。なお、各タンブリング機1はマッサージ開始から15〜16時間断続して稼動されるので、各ドラム2に対する原料肉M1の充填は、1台のインジェクター20のみで充分な余裕を持って行うことができる。
マッサージ処理が終了したタンブリング機1は、ドラム蓋4を開放し、ドラム2を逆転駆動することにより、図6に示すようにドラム内の原料肉M2を投入口3から肉受シュート40へ排出できる。原料肉M2が投入された肉受シュート40は別にして、これ以外の肉受シュート40の開口をシュート蓋41で閉止したのち、切換バルブ55を開操作して出口タンク43に真空圧を作用させると、その吸引力によって原料肉M2を送出通路42へ吸引し引き込むことができる。送出通路42内を吸引搬送された原料肉M2は、集合通路59を介して出口タンク43へと移動し、自身の重量でタンク内底に落下する。肉受シュート40内の全ての原料肉M2を搬送し終えた時点で切換バルブ55を閉じ操作して搬送作業を終了する。この後、ゲート体49を開放して原料肉M2を肉受台21に排出する。
各タンブリング機1と、原料肉供給手段Aおよび原料肉送出手段Bとは、一定時間おきに、ドラム洗浄装置、および通路洗浄装置を用いて水洗い洗浄する。さらに、所定の運転時間が経過する毎に、原料肉供給手段Aおよび原料肉送出手段Bの全ての構成部品を分解して洗浄する。後者の洗浄頻度は、通路洗浄装置による水洗い洗浄の頻度に比べて小さい。
図7に示すようにドラム洗浄装置は、台車上に設けた洗浄水タンク60と、洗浄水を加圧する高圧ポンプ61と、高圧洗浄水を噴出供給するノズル62と、ノズル62を進退操作する操作シリンダー63と、汚水タンク64などで構成する。操作シリンダー63は、ドラム2の回転中心軸に沿って傾斜支持してあり、そのピストンロッドを進退操作することにより、ドラム2の外面の待機位置と、ドラム内底寄りの進出限界位置との間でノズル62を往復操作できる。ノズル62には、洗浄水を異なる方向に噴出する複数のノズル口が設けてあるので、ドラム2を回転駆動しながらノズル62を往復操作することにより、ドラム内を万遍なく洗浄できる。
通路洗浄装置は、キャスターを備えた台車70と、台車70上に配置されて回転自在に軸支されるホースリール71と、ホースリール71に巻き込み収納されるホース72と、ホースリール71を巻き込み方向へ回転駆動するリール駆動機構と、ホースリール71に設けたロータリー継手73を介してホース72に高圧水を供給する給水機構と、ホースリール71に巻き取り収納されたホース72を繰り出し操作するホース送出機構と、ホース72の繰出し端に設けられる洗浄ノズル74と、洗浄ノズル74に隣接するホース72の外面に設けられるノズルホルダー75などで構成する。
リール駆動機構は、モーター78と、その回転動力をリール軸79に伝動するチェーン伝動機構80とで構成してあり、ホースリール72をホース巻き込み方向へ回転駆動する。ホース送出機構は、ホース72の周側面を挟む二組の繰出しローラー81と、ホース72を挟んで対向する繰出しローラー81の片方2個を同時に回転駆動するモーター82、およびチェーン伝動機構83などで構成してある。ホース送出機構は、台車70の端部寄りに配置してあって、ホース72を供給通路25および送出通路42の通路中心とほぼ同じ高さに支持した状態で繰り出し操作できる。
給水機構は、洗浄水タンク85と、洗浄水を加圧する高圧ポンプ86と、給水バルブ87などで構成する。高圧ポンプ86から導出された給水通路の端部は、リール軸79の軸端に設けたロータリー継手73に接続する。ホースリール71に巻かれたホース72とロータリー継手73とは、リール軸79の内部に形成される通路を介して連通する。
図11においてノズルホルダー75は、ホース72に外嵌固定されるホルダー本体89と、ホルダー本体89に小間隔をあけて隣接固定される2個のローラー枠90と、ローラー枠90で遊転自在に支持されるローラー91とで構成してある。ローラー枠90は、正三角形状のプラスチックブロックからなり、各頂部において3個のローラー91を軸支している。不使用状態のノズルホルダー75は、台車70の端部に設けた受枠に収納される。先の洗浄ノズル74はホルダー本体86の端部に固定してある。
図11に示すように、2個のローラー枠90は、各ローラー枠90に設けた6個のローラー91が正六角形の頂点に位置するように、ホルダー本体89に固定する。また、3個を一組とするローラー91のローラー周面を通る仮想円の直径寸法は、供給通路25および送出通路42を構成する管材の内径寸法より僅かに小さく設定してある。したがって、ノズルホルダー75を供給通路25および送出通路42に挿入した状態においては、洗浄ノズル74を概ね通路中心に位置させた状態で安定支持でき、洗浄ノズル74が高圧の洗浄水の噴出反力を受けて跳ねるのを確実に防止できる。洗浄ノズル74には、噴出方向が異なる6個のノズル穴が設けてある。
供給通路25を洗浄する場合には、各分岐通路26の接続口27をキャップ32で閉止したうえで、キャップ31を取り外して洗浄口30を開放し、洗浄口30の下方に汚水受(図示していない)を配置する。通路洗浄装置のホース送出機構を洗浄口30と正対させ、図10に示すように洗浄ノズル74およびノズルホルダー75を洗浄口30内に差し込んだのち、給水バルブ87を開き、同時にホース送出機構のモーター82を起動して、ホース72を供給通路25内に一定速度で送り込むことにより、供給通路25の内面に付着している肉片、肉汁、ピックル液などを、洗浄ノズル74から噴出する高圧の洗浄水(1平方cm当り30kg)で洗い流すことができる。肉汁などを含む洗浄水は、供給通路25内をホース72の進行方向とは逆に流れて、洗浄口30から汚水受へと流下し回収される。
洗浄ノズル74が切換通路57まで送り込まれたら、ホース送出機構のモーター82を停止したのちリール駆動機構のモーター78を起動して、ホース72を一定速度で巻き取る。ホース72を巻き取る間にも、洗浄ノズル74から高圧水を噴出して仕上げ洗浄を行う。したがって、洗浄ノズル74およびノズルホルダー75が洗浄口30まで戻ってきた状態では、供給通路25および分岐通路26の内面を確実に洗浄できる。なお、入口タンク23、および切換通路57は、供給通路25から取り外して別途洗浄する。同様にして、送出通路42の内部を洗浄できる。その場合には、出口タンク43および集合通路59を送出通路42から取り外して別途洗浄する。
上記の実施例以外に、ガイド体29は付換通路28とは別体に形成することができ、湾曲ガイド37は、分岐通路26へ向かって上り傾斜する傾斜壁や、部分円弧壁で形成することができる。出口タンク43のゲート体49は省略することができる。その場合には、出口タンク43を傾倒操作して原料肉M2を肉受台21に排出することができる。必要があれば、導入口15はドラム2の周壁に開口することができる。
タンブリング機列は単列状に配置することができ、その場合には、切換通路57、および集合通路59を省略できる。必要があればタンブリング機群を湾曲列状に配置し、供給通路25および送出通路42をタンブリング機列に沿って湾曲配置することができる。真空源22は真空タンクであってもよい。各タンブリング機1に標準的に装備される真空ポンプ5の能力が充分に大きい場合には、真空ポンプ5を原料肉M1・M2を搬送するための真空源として利用することができる。