JP4173043B2 - 食品に含まれる標的成分の定量方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
食品に含まれる標的成分の定量方法、特にラテックス免疫凝集法を利用した定量方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品には有用物質やアレルギー原因物質が含まれている場合があり、食品に含まれる特定成分の定量が必要となる場合がある。
従来、食品に含まれる特定成分の定量には、ELISA法(enzyme-linked immunosorbent assay)が繁用されてきた。
しかしながら、ELISA法は、定量感度は優れているものの、測定に長時間を要するという問題点があった。一方、ラテックス免疫凝集法を利用した食品の分析技術として、食品中の特定細菌の検出方法及び検出用試薬(特許文献1)、乳性炭酸飲料の変敗菌判定方法及び判定試薬(特許文献2)等が知られているが、これらはいずれも食品に含まれる細菌の検出方法、すなわち細菌を定性的に検出する方法であって、食品に含まれる特定成分を迅速かつ精確に定量できる方法ではない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−133684号公報
【特許文献2】
特開2002−58426号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、食品に含まれる特定成分を迅速かつ精確に定量できる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の定量方法を提供する。
(1)食品に含まれる標的成分の定量方法であって、前記食品又はその処理物と、ポリエチレングリコール及び1.2〜2.4%塩化ナトリウムを含む緩衝液を含有する安定化剤とを混合した後、前記食品又はその処理物と、前記標的成分に特異的に反応する抗体の、等電点が4.0〜6.0であるF(ab’)断片のみを結合させた微粒子とを液体中で接触させ、抗原抗体反応により生じる凝集の程度について光学的に検出した0.5〜2.5分間の濁度の変化率を指標として前記標的成分を定量することを特徴とする前記定量方法。
(2)前記微粒子が、ラテックス粒子であることを特徴とする前記(1)記載の定量方法。
(3)前記標的成分が、有用物質又はアレルギー原因物質であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の定量方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、「食品」には任意の飲食物が含まれ、食品の具体例としては、牛乳、加工乳、バター、チーズ、練乳、粉乳、ヨーグルト等の乳及び乳製品;清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の氷菓;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;サラダ油、天ぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料等が挙げられる。
【0007】
本発明において、「標的成分」とは、定量対象となる成分を意味し、特異的に反応する抗体を作製し得る限り、その種類は特に限定されるものではない。標的成分の具体例としては、タンパク質、ペプチド、糖(糖タンパク質の糖部分を含む)又はこれらの混合物等が挙げられ、具体的には、ラクトフェリン、ラクトアルブミン、ラクトペルオキシダーゼ、免疫グロブリン、リゾチーム等の有用物質;乳(カゼイン、β−ラクトグロブリン)、卵(卵白アルブミン)、小麦(グリアジン)、そば、落花生等のアレルギー原因物質が挙げられる。また、食品中の標的成分の含有量は特に限定されるものではないが、食品中の標的成分の含有量は通常0.00001〜50質量%、好ましくは0.0001〜20質量%である。本発明の定量方法は、食品中の標的成分の含有量が微量であっても、迅速かつ精確にその定量を行うことができる。
【0008】
食品に含まれる標的成分が液体に分散可能な状態にある場合(例えば、食品が液体である場合、食品が液体に溶解可能である場合)には、食品をそのまま、標的成分に特異的に反応する抗体又はその断片を結合させた微粒子と液体中で接触させることができるが、食品に含まれる標的成分が液体に分散可能な状態にない場合には、食品に適当な処理を施して標的成分が液体に分散可能となるようにする。食品に施す処理としては、例えば、破砕等が挙げられる。
【0009】
食品又はその処理物は、標的成分に特異的に反応する抗体又はその断片を結合させた微粒子と液体中で接触させる前に、安定化剤で処理することが好ましい。食品又はその処理物は、タンパク質、脂肪、糖質、灰分等の種々の成分を含んでおり、各種マトリックスが不均一な状態にあるが、食品又はその処理物を安定化剤で処理することにより、各種マトリックスの存在状態を均一化することができ、かかる均一化を施した後、標的成分に特異的に反応する抗体又はその断片を結合させた微粒子と接触させることにより、標的成分の定量感度を向上させることができる。
【0010】
安定化剤の具体例としては、血清アルブミン;グリシン、システィン、グルタミン酸等のL−アミノ酸;グルコース、マンノース、ガラクトース、果糖等の単糖類、マンニトール、イノシトール、キシリトール等の糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖等の二糖類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等の多糖類及びそれらの誘導体等の糖類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体;ポリエチレングリコール(分子量は6000であることが好ましい)等が挙げられる。安定化剤による処理は、食品又はその処理物と安定化剤含有液とを混合することにより行うことができる。安定化剤含有液の溶媒としては1.2〜2.4%NaClを含む緩衝液を用いることが好ましく、安定化剤の添加量は0.2〜5質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明において、「抗体」には、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれもが含まれ、「抗体の断片」には、食品に含まれる標的成分に反応し得る限り、いかなる断片も含まれる。抗体の断片の具体例としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片等が挙げられる。また、「標的成分に特異的に反応する」とは、標的成分には反応するが、食品に含まれる他の成分には反応しないことを意味する。
【0012】
抗体は、例えば、標的成分を免疫用抗原として用いて、次のようにして得ることができる。
ポリクローナル抗体の作製に当たっては、まず、免疫用抗原を用いてラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ウシ等の哺乳動物を免疫する。免疫の際には、抗体産生誘導する為に、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)等の免疫助剤を用いてエマルジョン化した後、複数回の免疫することが好ましい。標的成分対する抗体力価を測定し、抗体力価が上昇した後に採血し、抗血清を得る。
【0013】
モノクローナル抗体の作製に当たっては、ポリクローナル抗体の場合と同様に免疫用抗原を用いて哺乳動物を免疫した後、抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞としては、例えば、脾臓細胞、リンパ節細胞、胸腺細胞、末梢血細胞等が挙げられるが、脾臓細胞が一般的に利用される。次いで、ハイブリドーマを得るために、抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合を行う。細胞融合処理後、選択培地を用いて培養し、目的とするハイブリドーマを選別する。次いで、増殖したハイブリドーマの培養上清中に、目的とする抗体が存在するか否かをスクリーニングする。次いで、限界希釈法、軟寒天法、フィブリンゲル法、蛍光励起セルソーター法等によりハイブリドーマのクローニングを行い、最終的にモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを取得する。取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法としては、通常の細胞培養法等を利用することができる。また、ハイブリドーマをマウス等の腹腔内に移植した後、腹水を採取し、当該腹水からモノクローナル抗体を取得することもできる。
【0014】
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体の精製が必要とされる場合には、硫酸アンモニウムによる塩析、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の方法を適宜選択して又はこれらを組み合わせて利用することができる。
【0015】
微粒子に結合させる抗体又はその断片としては、F(ab’)断片のみを用いることが好ましい。Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fc断片等の混合物を結合させた微粒子を用いる場合よりも、F(ab’)断片のみを結合させた微粒子を用いる場合の方が、標的成分の定量感度を向上させることができる。F(ab’)断片は、抗体をペプシン処理した後、アフィニティークロマトグラフィー等を利用して精製することにより得ることができる。F(ab’)の等電点は好ましくは4.0〜6.0である。
【0016】
「微粒子」は、標的成分と微粒子とを接触させる際に用いられる液体に対して不溶性である限り、その材質は特に限定されるものではなく、微粒子の材質としては、例えば、ラテックス、ベントナイト、コロジオン、カオリン、羊赤血球等が挙げられる。ラテックスには、乳化重合又は乳化剤を用いない重合方法で合成された種々の合成樹脂ラテックスが含まれ、ラテックスの具体例として、ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニルアクリレート等が挙げられる。ラテックスとしては、粒径の均一な粒子を再現性よく合成できる点から、スチレンを構成単位とする単重合体及び共重合体が好ましい。
【0017】
微粒子の粒径は、標的成分と微粒子とを接触させる際に用いられる液体に分散可能である限り特に限定されるものではないが、標的成分の定量感度を向上させる点から、0.05〜0.5μmであることが好ましく、0.1〜0.3μmであることがさらに好ましい。
【0018】
微粒子に抗体又はその断片を結合させる方法としては、疎水結合を利用した物理吸着法、微粒子又は抗体が有する官能基(例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、トシル基、チオール基等)を利用した共有結合法等が挙げられる。ラテックス粒子を用いる場合には、特別な処理をしなくても容易に抗体又はその断片をラテックス粒子に結合させることができる。抗体又はその断片は、微粒子に十分量結合させることが好ましく、ラテックス粒子を用いる場合には、例えば、ラテックス粒子と抗体又はその断片とを含む液体を、20〜25℃で0.5〜6時間攪拌することにより、ラテックス粒子に十分量の抗体又はその断片を結合(感作)させることができる。
【0019】
微粒子に抗体又はその断片を結合させた後、微粒子表面の未反応の部位を、ウシ血清アルブミン等によりブロックすることが好ましい。これにより、非特異的結合を防止できるとともに、微粒子の反応液中における安定性を向上させることができる。
【0020】
食品又はその処理物と、標的成分に特異的に反応する抗体又はその断片を結合させた微粒子とを接触させる際に用いられる液体としては、標的成分、抗体又はその断片等が安定して存在できる限り特に限定されるものではなく、例えば、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリエタノールアミン緩衝液等の緩衝液を用いることができる。緩衝液は、標的成分と抗体又はその断片との抗原抗体反応を妨げない限り、任意の成分を含むことができる。
【0021】
食品又はその処理物と、標的成分に特異的に反応する抗体又はその断片を結合させた微粒子とを接触させる際の条件は、標的成分と抗体又はその断片との抗原抗体反応を生じさせることができる限り特に限定されるものではないが、反応温度は通常0〜40℃、好ましくは20〜37℃であり、反応時間は通常0.5〜5分間、好ましくは0.5〜2.5分間である。
【0022】
抗原抗体反応によって生じる抗原と抗体との凝集物は非常に小さく、抗原量が少ない場合には凝集を検出することは困難であるが、本発明においては、抗原抗体反応が微粒子の凝集という形で現れるため、凝集を容易に検出することができる。
【0023】
凝集の検出方法は特に限定されないが、光学的に検出することが好ましい。光学的検出方法としては、液体の吸光度(透過光)又は散乱光を測定する方法等が挙げられる。吸光度(透過光)又は散乱光は市販の光学機器を用いて測定することができる。測定に用いられる波長は、食品、標的成分、微粒子等の種類に応じて異なるが、通常300〜1000nm、好ましくは550〜900nmである。
【0024】
本発明においては、抗原抗体反応により生じた凝集の程度を指標とすることにより、標的成分を定量することができる。すなわち、凝集の程度と標的成分濃度との相関関係(検量線)に基づき、凝集の程度から標的成分を定量することができる。「凝集の程度」には、凝集量及び凝集速度が含まれ、光学的検出方法によれば、凝集の程度を液体の濁度又は濁度の変化率として測定することができる。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕
ウシラクトフェリン(純度99%、ミライ社製)50mgを調製粉乳(ラクトフェリン不含、明治乳業社製)100g及び超高温熱処理(UHT)殺菌牛乳(ラクトフェリン不含、森永乳業社製)100mLに添加するとともに、ウシラクトフェリン100mgをヨーグルト(ラクトフェリン不含、森永乳業社製)100gに添加した。なお、ラクトフェリンの純度はHPLC(Shodex C4P−50 4D;4.6mmID×150mmL)によって測定した。
上記調製粉乳、牛乳及びヨーグルトのウシラクトフェリン濃度をELISA法及び本発明の定量方法により測定した。
【0026】
(1)イムノアッセイ用試験溶液の調製
[ELISA法]
希釈は0.05%Tween及び1%ゼラチンを含有するPBSを用いて行った。調製粉乳及び牛乳については31,250倍及び62,500倍に希釈し、ヨーグルトについては62,500倍及び125,000倍に希釈した。
【0027】
[本発明の定量方法]
希釈は、2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する1.2%NaCl溶液を用いて行った。調製粉乳及び牛乳については500倍、1000倍及び2000倍に希釈し、ヨーグルトについては1000倍、2000倍及び4000倍に希釈した。
【0028】
(2)ウシラクトフェリンに対するイムノアッセイ
[ELISA法]
アフィニティー精製したヤギ抗ウシラクトフェリン抗体(Bethyl A10−126A−2)を0.1mol/L 重炭酸ナトリウム(pH9.6)で0.5μg/mLに希釈し、50μLをNunc−Immunoplate Maxisorp F96の各ウェルに加えた。室温で2時間インキュベーションを行った後、抗体溶液を除去し、各ウェルを0.05%Tween含有PBSで4回洗浄した。次いで、1%ゼラチン(Biorad 170−6537)を含有するPBS 200μLを各ウェルに加え、室温で1時間インキュベーションした。次いで、このPBSを除去し、各ウェルを0.05%Tween含有PBSで4回洗浄した。
【0029】
試験溶液(50μL)を各ウェルに加えて、室温で1.5時間インキュベーションした。インキュベーション後、試験溶液を除去し、各ウェルを0.05%Tween含有PBSで4回洗浄した。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ウシラクトフェリン抗体(Bethyl A10−126P−4)を0.05%Tween及び1.0%ゼラチンを含有するPBSで2000倍に希釈し、50μLを各ウェルに加えた。室温で1時間インキュベーションした後、抗体溶液を除去し、各ウェルを0.05%Tween含有PBSで洗浄した。使用する直前にO−フェニレンジアミン(OPD)タブレット(Sigma社製)を20mLの蒸留水に溶解させて、その溶液の100μLを各ウェルに加えた。15分間インキュベーションした後、8mol/L HSO 20μLを各ウェルに加えた。マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの492nmにおける吸光度を測定した。
【0030】
[本発明の定量方法]
硫安精製の後にアニオン交換クロマトグラフィーを行うことにより、ウサギポリクローナルIgGをウサギ抗血清から精製した。ウサギポリクローナルIgGをペプシンで消化することにより、F(ab’)断片を得た後、アフィニティークロマトグラフィーにより精製して未消化IgG及びFcフラグメントを除去した。ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)により精製度を測定した結果、未消化IgG及びFcフラグメントのコンタミネーションは検出されなかった。また、F(ab’)断片の等電点は4.0〜4.6であった。
【0031】
直径0.1〜0.3μm、比重1.002のポリスチレンラテックス粒子を用いた。穏やかに振動させながら、ラテックス粒子をゆっくりとF(ab’)断片と混合した。恒温槽中で溶液を穏やかに攪拌させながら25℃で4時間インキュベーションした。インキュベーション後、溶液を遠心し、上清を除去した。非特異的結合を回避し、F(ab’)断片でコーティングしたラテックス粒子の反応緩衝液中における安定性を向上させるために、ラテックス粒子表面の未反応の結合部位をウシ血清アルブミン(BSA)でブロックした。
【0032】
試験溶液(15μL)を、1%ポリエチレングリコール6000(安定化剤)及び1.2%NaClを含有するトリス緩衝液200μL(試薬1)に添加し、攪拌した。6分後、均一に混合したラテックス粒子溶液(試薬2)30μLを加えた。反応混合物の800nmにおける吸光度の変化率を試薬2の添加後30〜150秒間測定した。
【0033】
ELISA法及び本発明の方法による測定は、1日あたり併行して6回行い、これを3日間行った。これと同時に吸光度とウシラクトフェリン濃度との相関・回帰分析を行い(検量線の作成)、吸光度の測定値から希釈倍率を乗じ、サンプル中のウシラクトフェリン濃度を算出した。結果を表1に示す。表1中の数値は、サンプル100g又は100mLあたりのウシラクトフェリン量(mg)を表す。
【0034】
【表1】
Figure 0004173043
【0035】
〔試験例2〕
ウシラクトフェリンを含有する乳製品(ヨーグルト(森永乳業社製)、ラクトフェリン錠菓(森永乳業社製))のウシラクトフェリン濃度をELISA法及び本発明の定量方法により測定した。なお、ヨーグルトのウシラクトフェリン含有量は50.0mg/100gであり、ラクトフェリン錠菓のウシラクトフェリン含有量は20.0g/100gである。
【0036】
ELISA法及び本発明の定量方法は試験例1と同様に実施した。但し、ELISA法においては、ヨーグルトを31,250倍及び62,500倍に希釈し、ラクトフェリン錠菓を1.25×10倍及び2.5×10倍に希釈した。また、本発明の方法においては、ヨーグルトを500倍、1000倍及び2000倍に希釈し、ラクトフェリン錠菓を2×10倍、4×10倍及び8×10倍に希釈した。
【0037】
ELISA法及び本発明の方法による測定は、1日あたり併行して6回行った。これと同時に吸光度とウシラクトフェリン濃度との相関・回帰分析を行い(検量線の作成)、吸光度の測定値から希釈倍率を乗じ、サンプル中のウシラクトフェリン濃度を算出した。結果を表2に示す。表2中の数値は、サンプル100gあたりのウシラクトフェリン量(mg)の平均値であり、括弧内の数値は、不偏標準偏差値である。
【0038】
【表2】
Figure 0004173043
【0039】
試験例1及び2に示される結果から、本発明の定量方法によれば、たとえ食品中の標的成分の含有量が微量であっても、ELISA法よりも迅速かつ精確に、標的成分を定量できることが判明した。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、たとえ食品中の標的成分の含有量が微量であっても、標的成分を迅速かつ精確に定量できる方法が提供される。

Claims (3)

  1. 食品に含まれる標的成分の定量方法であって、前記食品又はその処理物と、ポリエチレングリコール及び1.2〜2.4%塩化ナトリウムを含む緩衝液を含有する安定化剤とを混合した後、前記食品又はその処理物と、前記標的成分に特異的に反応する抗体の、等電点が4.0〜6.0であるF(ab’)断片のみを結合させた微粒子とを液体中で接触させ、抗原抗体反応により生じる凝集の程度について光学的に検出した0.5〜2.5分間の濁度の変化率を指標として前記標的成分を定量することを特徴とする前記定量方法。
  2. 前記微粒子が、ラテックス粒子であることを特徴とする請求項1記載の定量方法。
  3. 前記標的成分が、有用物質又はアレルギー原因物質であることを特徴とする請求項1又は2に記載の定量方法。
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