JP4172971B2 - 変性ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変性ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリオレフィンの特性をさらに向上させるために、様々な試みが行われている。例えば、ポリオレフィンの接着性、塗装性、印刷性、親水性その他の化学的特性の向上を目的とした、アルコキシアミノシラン化合物等のシランカップリング剤と変性ポリオレフィンとの反応、及びその反応物が開示されている(例えば、特許文献1−5参照)。このうち、特許文献1(特開昭59−184272号公報)以外の公報は、変性ポリオレフィンとアルコキシアミノシラン化合物との単純な組み合わせからなる組成物を開示するのみであり、シラン化合物と、このシラン化合物が高分散可能な性状を持つ重合体との組み合わせについては言及していない。このような単純な組み合わせの場合には、組成物の溶融張力の向上が望めないばかりか、組成物がゲル化する恐れがある。
【0003】
一方、変性ポリオレフィンとシラン化合物を配合した組成物に、さらに、未変性ポリオレフィンを配合した組成物が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、この特許文献6では、シラン化合物を未変性ポリオレフィン中に高分散させることを強調した記載はない。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−184272号公報
【特許文献2】
特開平1−501949号公報
【特許文献3】
特開平4−348106号公報
【特許文献4】
特開平5−112694号公報
【特許文献5】
特開2001−226535号公報
【特許文献6】
特開昭59−184272号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、ポリプロピレンの溶融張力を向上させるためには、複雑な工程や特殊な設備を使用することが必須とされているのが現状である。
従って、極めて汎用的な設備と実用的な原料とを組み合わせて、ポリプロピレンの溶融張力を向上させることが求められていた。
【0006】
本発明は、溶融張力と流動性とのバランスに優れた変性ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の極性基部を有するポリプロピレン系樹脂、シランカップリング剤及び酸化防止剤を混合して得られる組成物が、高い溶融張力を発現することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、下記(A)及び(B)を混合して得られる、溶融張力(MT)及びメルトフローレシオ(MI)が、MT/7×(MI)−0.8>1の関係を満し、かつ、130℃のパラキシレン不溶成分量(G値)が1重量%以下の変性ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(A)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部を1×10−6〜0.25重量%含むポリプロピレン系樹脂:100重量部(B)シランカップリング剤:0.001〜1重量部
【0008】
本発明の第二の態様によれば、シランカップリング剤(B)が10〜10,000ppm、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm含まれるように、シランカップリング剤(B)、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)、及び上記ポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)を混合し、
混合物100重量部に対し、上記変性ポリプロピレン系樹脂(A3)を0.1〜30重量部混合することを含む変性ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0009】
本発明の第三の態様によれば、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm含まれるように、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)と、上記ポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)とを混合し、
シランカップリング剤(B)と、上記変性ポリプロピレン系樹脂(A3)とを反応させ、
混合物100重量部に対し、反応物0.1〜30重量部を混合することを含む変性ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の変性ポリプロピレン系樹脂組成物について説明する。
本発明の変性ポリプロピレン系樹脂組成物は、下記(A)及び(B)、又は下記(A)、(B)及び(C)を混合して得られる。
(A)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部を1×10−6〜0.25重量%含むポリプロピレン系樹脂:100重量部(B)シランカップリング剤:0.001〜1重量部
(C)リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤:0.05〜1重量部
【0011】
まず、本発明の組成物の各成分について説明する。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物(以下、変性剤という)に由来する極性基部を、1×10−6〜0.25重量%、好ましくは、2×10−5〜0.15重量%、より好ましくは、5×10−5〜0.10重量%含むポリプロピレン系樹脂であれば特に制限されない。
極性基部の含有量が1×10−6重量%未満になると、有機ケイ素化合物(B)との反応があまり進まず、組成物の溶融張力が上がり難くなる。一方、0.25重量%を超えると、ゲル化して、逆に組成物の溶融張力が低下したり、耐熱性や機械物性が低下したりする。
尚、極性基部の含有量は、ポリプロピレン系樹脂(A)をフィルム成形し、それを用いてフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定して求めることができる。
【0012】
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、及びプロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン等)とのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体又はこれらの混合物である。このうち、好ましくは、プロピレン単独重合体である。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂(A)の極性基部は、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸アミド基、カルボン酸イミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、オキサゾリン基等の極性基を含む。このうち、好ましくは、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基である。
【0014】
本発明で用いる変性剤は特に制限されないが、好ましくは、上記の極性基を含む不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体である。
不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、不飽和モノ若しくはジカルボン酸、又はこれらの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、具体的には、カルボン酸の無水物、エステル、ハライド、アミド、イミド及び塩等が挙げられる。このうち、好ましくは、不飽和ジカルボン酸又はその無水物である。
【0015】
不飽和モノ又はジカルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸(エンディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸等が挙げられる。
【0016】
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水エンディック酸、アクリル酸メチル、アクリル酸アミド、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アミド、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル等が挙げられる。
【0017】
これら不飽和カルボン酸又はその誘導体のうち、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物であり、より好ましくは、マレイン酸無水物である。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
このようなポリプロピレン系樹脂(A)は、例えば、極性基を含まないポリプロピレン系樹脂、ラジカル開始剤及び上記変性剤を溶融混練して製造することができる。このとき、配合条件、反応条件等の条件は、極性基部の割合が1×10−6〜0.25重量%となるように適宜調節することができる。
ラジカル開始剤としては、例えば、ブチルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルジエチルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、4,4−ジ−t−ブチルペルオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサハイドロフタレート、ジ−t−ブチルペルオキシアゼレート、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキソエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルカーボネート、サクシニックアシッドペルオキシド及びビニルトリス−(t−ブチルペルオキシ)シラン等が挙げられる。このうち、好ましくは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンである。
【0019】
本発明では、ポリプロピレン系樹脂(A)として、極性基部を含まないポリプロピレン系樹脂(未変性ポリプロピレン系樹脂)と、極性基部を含むポリプロピレン系樹脂(変性ポリプロピレン系樹脂)との混合物を用いることもできる。このとき、変性ポリプロピレン系樹脂中の極性基部の割合や、これらの配合割合は、混合物中に含まれる極性基部の割合が、最終的に1×10−6〜0.25重量%となるように適宜調節することができる。
【0020】
ポリプロピレン系樹脂(A)として、このような混合物を用いる場合には、好ましくは、下記(A1)及び(A3)、又は下記(A2)及び(A3)の混合物を用いる。
(A1)メルトフローレシオが、好ましくは、0.01〜100g/10分、より好ましくは、0.1〜50g/10分、さらに好ましくは、1〜20g/10分であり、融点が、好ましくは、145〜170℃、より好ましくは、155〜170℃である未変性ポリプロピレン系樹脂
(A2)メルトフローレシオが、好ましくは、0.01〜100g/10分、より好ましくは、0.1〜50g/10分、さらに好ましくは、1〜20g/10分であり、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm])が、好ましくは、40〜90モル%、より好ましくは、60〜80モル%である未変性ポリプロピレン系樹脂
(A3)極性基部の含有量が、好ましくは、0.001〜1重量%、より好ましくは、0.01〜0.5重量%であり、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度が、好ましくは、0.7dl/g以上、より好ましくは、0.7〜5.0dl/g、さらに好ましくは、0.8〜3.0dl/gである変性ポリプロピレン系樹脂
尚、ここで用いる未変性ポリプロピレン系樹脂(A2)は、未変性の軟質ポリプロピレン系樹脂である。
【0021】
このような混合物を用いた場合には、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)と、シランカップリング剤(B)との反応(溶融張力発現成分の形成反応)が、未変性ポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)中で行われることになる。これにより、溶融張力測定時の糸切れの一因となるゲルの発生が抑制できる。また、溶融張力向上発現に有効な成分を未変性樹脂中に均一に分させることができる。
【0022】
未変性ポリプロピレン系樹脂(A1)及び(A2)において、メルトフローレシオが0.01g/10分未満になると、樹脂組成物の成形性が低下する恐れがある。一方、100g/10分を超えると、溶融張力向上による加工性の改善効果が小さくなる恐れがある。
融点が、145℃未満になると、ポリプロピレン樹脂の耐熱性が損なわれる恐れがある。
ペンタッド分率が40モル%未満になると、軟質ポリプロピレン樹脂の強度と耐熱性が損なわれる恐れがある。一方、90モル%を超えると、軟質ポリプロピレン樹脂の柔軟性が損なわれる恐れがある。
【0023】
変性ポリプロピレン系樹脂(A3)において、極性基部の含有量が0.001重量%未満になると、溶融張力改善効果があまり発現しない恐れがある。一方、1重量%を超えると、シランカップリング剤(B)との反応が進み過ぎてゲル化し、溶融張力が低下する恐れがある。
極限粘度が0.7dl/g未満になると、溶融張力発現に有効な特性を持つ成分が効率的に生成しない恐れや、得られる樹脂組成物のメルトフローレシオや溶融張力が低下する恐れがある。一方、5.0dl/gを超えると、未変性ポリプロピレン系樹脂(A1)及び(A2)との混ざりが不良となり、ゲル分の副生が起こり易くなる恐れがある。
【0024】
未変性ポリプロピレン系樹脂(A2)は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解エンタルピーが、好ましくは、100J/g以下、より好ましくは、90J/g以下である。100J/gを超えると、柔軟性が損なわれる場合がある。また、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm]及び[rrrr])が、好ましくは、([rrrr]/1−[mmmm])≧20%の関係を満たす。この値は、より好ましくは20〜30%である。20%未満になると、弾性回復性が損なわれる場合がある。
【0025】
変性ポリプロピレン系樹脂(A3)は、極性基部とポリマー鎖とのモル比(β値)が、好ましくは、0.5〜3であり、より好ましくは、0.8〜2.0である。モル比が0.5未満になると、極性基部が少な過ぎて、樹脂組成物の溶融張力が改善されない場合がある。一方、2を超えると、分子鎖が切断され過ぎて、極限粘度が小さくなる恐れがある。
尚、β値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子量(Mn)から算出した変性ポリプロピレン系樹脂(A3)のポリマー鎖数(モル/g)と極性基部(モル/g)との比率を意味し、この値が1の場合、ポリマー鎖1本当たり、1分子の変性剤が付加したことになる。
【0026】
変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の配合量は、未変性ポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは、1〜20重量部である。配合量が0.1重量部未満になると、ポリプロピレン系樹脂(A)中の極性基部が少な過ぎになる恐れがある。一方、30重量部を超えると、逆に極性基部が多過ぎになる恐れがある。
【0027】
このような未変性ポリプロピレン系樹脂(A1)及び(A2)は、公知の方法で適宜重合することができる。また、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)は、上記と同様の方法で製造することができる。
【0028】
シランカップリング剤(B)は、特に制限されないが、好ましくは、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物である。
XnSiYm(OR)4−(n+m) (1)
[式中、Xは、極性基部と反応し得る官能基を含む置換基であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、Rは、炭化水素基であり、nは、1、2又は3であり、mは、0、1又は2であり、(n+m)は、1、2又は3である。]
【0029】
上記一般式(1)において、Xとしては、例えば、アミノ基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基又はメルカプト基を含む置換基が挙げられる。このうち、好ましくは、アミノ基を含む置換基である。Yの炭化水素基及びRとしては、例えば、炭素数1〜4の置換又は非置換のアルキル基及びアルケニル基が挙げられる。このうち、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基である。nは、好ましくは、1であり、mは、好ましくは、0〜1であり、(n+m)は、好ましくは、1〜2である。
【0030】
このような有機ケイ素化合物としては、例えば、N−(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、3−(1−アミノプロポキシ)−3,3−ジメチル−1−プロペニルトリメトキシシラン、メチルトリス(2−アミノエトキシ)シラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)ジエトキシメチルシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノプロピルトリメキシシシラン、3−ベンジルアミノプロピルトリメキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシラン、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、アリルアミノトリメチルシラン、N−3−(アクリロキシー2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸基、(3−トリメキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン、N−(トリメトキシシリルプロピル)イソチオウロニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリ−n−ブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、2−アミノエチルアミノメチルベンジロキシジメチルシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェニノキシ)プロピルトリメトキシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、トリ−t−ブトキシシラノール、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリジドキシプロピル)トリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、O−(ビニロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、ユレイドプロピルトリエトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジノプロピルシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン等が挙げられる。このうち、好ましくは、3−アミノプロピルトリエトキシシランである。これらは、一種単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
有機ケイ素化合物(B)の配合量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部当たり、0.001〜1重量部、好ましくは、0.1〜0.5重量部である。配合量が0.001重量部未満になると、溶融張力改善効果が少なくなる。一方、1重量部を超えると、配合量が増えた割には溶融張力改善効果が発現しないため、有機ケイ素化合物(B)が有効活用されない。また、製造コストのアップを引き起こす。さらに、ゲル化して、逆に溶融張力が低下する恐れもある。
【0032】
酸化防止剤(C)としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、イルガフォス168(商品名))、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(アデカ・アーガス社製、PEP−36(商品名))、4,4’−ビフェニレンジフォスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(クリアラント・ジャパン製、Sande Stab P‐EPQ(商品名))等のリン系酸化防止剤や、テトラキス(メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、イルガノックス1010(商品名))、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート(アデカ・アーガス社製、MARK A060(商品名))、n−オクタデシル−3(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製、イルガノックス1076(商品名))等のフェノール系酸化防止剤が挙げられる。このうち、好ましくは、イルガノックス1010及びイルガフォス168である。リン系及びフェノール系酸化防止剤は、それぞれ1種単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの酸化防止剤を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
酸化防止剤(C)の配合量は、ポリプロピレン系樹脂(A)100重量部当たり、0.05〜1重量部、好ましくは、0.1〜0.5重量部である。配合量が0.05重量部未満になると、ポリプロピレン樹脂加工中及び保存中の品質低下につながる恐れがある。一方、1重量部を超えると、コストアップとなる場合がある。
【0034】
本発明の変性ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力(MT)及びメルトフローレシオ(MI)が、MT/7×(MI)−0.8>1の関係を満たす。この比は、好ましくは、2を超える値である。
この関係を満たす組成物は、従来のポリプロピレン系樹脂に比べ、溶融張力を高く保ちつつ、良好な流動性を示す点で優れている。
一方、この関係を満たさない組成物は、溶融張力が不足しているため、大型ブロー成形や発泡成形用、その他、ドローダウンが大き過ぎると適用し難い用途、成形方法に用いることが困難となる。
【0035】
この関係は、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)とシランカップリング剤(B)の反応により生成する成分が、MTの向上に寄与する構造体(高分子量で、かつ分岐構造を有する構造体)になると成立する。即ち、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の分子量が著しく小さい場合(例えば、[η]が0.19)には、生成する分岐構造体の分子量が低いために、式の関係を満たし得るMT向上成分が形成されない。また、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の極性基部/ポリマー鎖(β値)が著しく高い場合(例えば、βが12)には、分岐構造体の形成に止まらず三次元網目構造体の形成まで反応が進行すると考えられる。このように生成した網目構造体は、単にゲル成分になるにすぎず、MT向上成分としては働かない。
式の関係が成立するためのもう一つの因子としては、MT向上成分が樹脂中に均一分散していることを挙げることができる。このためには、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)が未変性ポリプロピレン系樹脂(A1,A2)中に均一分散(十分に相溶)することが重要となる。即ち、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の分子量が、未変性ポリプロピレン系樹脂(A1,A2)の分子量と大きく異なる場合や、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の極性が著しく高い場合(例え ば、酸量が4重量%と著しく高い場合)には、相溶性が著しく低下するため、MT向上成分の未変性ポリプロピレン系樹脂(A1,A2)中での均一分散が妨げられ、式の関係を満たすことができなくなる。
言い換えると、MT向上に寄与可能な構造体形成に有効な変性ポリプロピレン系樹脂(A3)を選択し、かつ、生成したMT向上成分が樹脂中に均一に分散可能な製造条件を選ぶことによって、MT値を自在に調節できる。このようなMTの調節によって、式の関係を満たすような高MT品が得られる。
【0036】
また、本発明の変性ポリプロピレン系樹脂組成物は、130℃のパラキシレン不溶成分量(G値)が1重量%以下である。好ましくは、0.7重量%以下、特に好ましくは、0.5重量%以下である。
G値は超高分子量でゲル化した成分量であり、G値が1重量%を超えると、組成物を成形した場合に外見不良となる場合がある。
G値が1重量%を超えている場合は、変性ポリプロピレン(A3)の配合量や酸量を減らす、シランカップリング剤(B)の配合量を減らす、又は変性ポリプロピレン(A3)のβ値を減らすことにより、G値を1重量%以下にできる。
【0037】
本発明の組成物には、必要に応じて、核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、外部潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、難燃剤、難燃助剤その他の添加剤や、熱可塑性樹脂等を適宜配合することができる。核剤としては、例えば、アルミニウムジ(p−t−ブチルベンゾエート)その他のカルボン酸の金属塩、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウムその他のリン酸の金属塩、タルク、フタロシアニン誘導体等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、ミネラルオイル、シリコーンオイル等が挙げられる。難燃剤としては、例えば、臭素化ポリスチレン、臭素化シンジオタクチックポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモンその他のアンチモン化合物等が挙げられる。これらの添加剤及び熱可塑性樹脂は、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
次に、本発明の組成物の製造方法について説明する。
本発明の組成物は、下記(A)及び(B)、又は下記(A)、(B)及び(C)を混合することにより製造できる。
(A)エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部を1×10−6〜0.25重量%含むポリプロピレン系樹脂:100重量部(B)シランカップリング剤:0.001〜1重量部
(C)リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤:0.05〜1重量部
尚、各成分の好適な配合量は、上述の通りである。
ここで、各成分を混合する方法としては、溶融混練法や、溶液ブレンド法等が挙げられるが、経済性を考慮すると、溶融混練法が好ましい。また、溶融混練法を用いる場合には、シランカップリング剤(B)を、ポリプロピレン系樹脂(A)中に、予め分散させることが好ましい。各成分の混合は、好ましくは、80〜350℃、より好ましくは、130〜250℃で、好ましくは、1秒〜6時間、より好ましくは、30秒〜3時間行う。
【0039】
また、ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記(A1)及び(A3)、又は下記(A2)及び(A3)を混合することにより製造できる。
(A1)メルトフローレシオが0.01〜100g/10分であり、融点が145〜170℃である未変性ポリプロピレン系樹脂:100重量部
(A2)メルトフローレシオが0.01〜100g/10分であり、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm])が40〜90モル%である未変性ポリプロピレン系樹脂:100重量部
(A3)前記極性基部を0.001〜1重量%含む、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度が0.7dl/g以上である変性ポリプロピレン系樹脂:0.1〜30重量部
【0040】
本発明の組成物は、好ましくは、下記の方法で製造する。
シランカップリング剤(B)が10〜10,000ppm、好ましくは、100〜5000ppm、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm、好ましくは、1000〜5000ppm、含まれるように、シランカップリング剤(B)、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)、及びポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)を混合する。その後、この混合物100重量部に対し、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)を0.1〜30重量部混合する。
【0041】
または、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm、好ましくは、1000〜5000ppm含まれるように、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)と、ポリプロピレン系樹脂(A1)又は(A2)とを混合する。一方、シランカップリング剤(B)と、変性ポリプロピレン系樹脂(A3)とを反応させる。その後、混合物100重量部に対し、反応物0.1〜30重量部を混合する。
【0042】
本発明の組成物は、溶融張力が高いため、ポリプロピレン系樹脂の成形性を大幅に向上させることが可能となる。本発明の組成物は、シート成形、フィルム成形、熱成形、発泡成形、ブロー成形その他の成形法による成形が可能であるが、特に、溶融張力が不足するために、従来のポリプロピレン系樹脂では成形が困難であったブロー成形や発泡シート成形を行う場合に有効である。
このような本発明の組成物は、既存の製造装置で簡単に製造できるため、極めて汎用性に富んでいる。また、比較的高価な有機ケイ素化合物の必要量も少なくて済むため、製造コストの面において経済的である。
本発明の組成物の成形体は、各種汎用トレー、自動車用内装材等に使用できる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、各種パラメータの測定方法は以下の通りである。
(1)極限粘度[η]:重合体をデカリンに溶解し、135℃で測定した。
(2)重合体の立体規則性[mmmm]及び[rrrr]:重合体を1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶液に溶解し、13C−NMR(日本電子(株)製、商品名:LA−500)を用いて、130℃でプロトン完全デカップリング法により測定したメチル基のシグナルを用いて定量した。
尚、ペンタッド分率[mmmm]及び[rrrr]は、エイ・ザンベリ(A. Zambelli)等が、マクロモレキュールズ(Macromolecules)誌 第6巻 925頁(1973)で提案した、13C−NMRスペクトルから求められるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位におけるメソペンタッド分率及びラセミペンタッド分率をそれぞれ意味する。
また、13C−NMRスペクトルのピークの帰属決定法は、エイ・ザンベリ(A. Zambelli)等が、マクロモレキュールズ(Macromolecules)誌 第8巻 687頁(1975)で提案した帰属に従った。
【0044】
(3)分子量分布(Mw/Mn)及び数平均分子量(Mn):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
(4)無水マレイン酸含有率(変性率):上記の方法で求めた。
(5)無水マレイン酸に由来する極性基部/ポリマー鎖(モル比):上記の方法で求めた。
(6)融解エンタルピー(ΔH):示差走査熱量計(DSC)で測定した。
(7)メルトフローレシオ(MI):JIS−K7210に準拠し、長さ8mm、直径2.095mmのオリフィスを用い、樹脂温230℃、荷重2.16kgで測定した。
(8)溶融張力(MT):長さ8mm、直径2.095mmのオリフィスを用い、樹脂温230℃、引取り速度3.1m/分で測定した。
(9)130℃パラキシレン不溶部量(G値)の測定方法:1リットルの丸底フラスコに変性プロピレン系樹脂組成物1g、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)250mg、パラキシレン500ミリリットルを加え、130℃で3時間攪拌した。得られたパラキシレン溶液を迅速に400メッシュのステンレス製金網で濾過し、その後、金網を90℃で4時間乾燥し、秤量して金網を通過しなかった成分の量を求め、130℃パラキシレン不溶部量とした。
【0045】
製造例1
[無水マレイン酸変性プロピレン重合体の合成]
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したオクタン60ミリリットルと、ジエトキシマグネシウム16gとを加えた。これを40℃に加熱し、四塩化ケイ素2.4ミリリットルを加えて20分間攪拌した後、フタル酸ジブチル1.6ミリリットルを添加した。この溶液を80℃まで昇温し、引き続き、四塩化チタン77ミリリットルを滴下し、内温125℃で2時間攪拌し、接触操作を行った。その後、撹拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。100ミリリットルの脱水オクタンを加え、撹拌しながら125℃まで昇温し、1分間保持した後、撹拌を停止して固体を沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰り返した。その後、さらに四塩化チタン122ミリリットルを加え、内温125℃で2時間攪拌し、2回目の接触操作を行った。その後、上記の125℃の脱水オクタンによる洗浄を6回繰り返し、固体触媒成分を得た。
【0046】
(2)予備重合触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム25ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン2.5ミリモル、及び上記(1)で調製した固体触媒成分4gを加えた。これに、室温下、撹拌しながらプロピレンを導入した。1時間後、撹拌を停止し、結果的に固体触媒成分1g当たり4gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分を得た。
【0047】
(3)プロピレン重合体の合成
内容積10リットルの攪拌機付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換した後、脱水処理したヘプタン6リットル、トリエチルアルミニウム12.5ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.3ミリモルを加えた。ここに、系内の窒素をプロピレンで置換した後、撹拌しながらプロピレンを導入した。内温80℃、全圧0.8MPaに系内が安定した後、上記(2)で調製した予備重合触媒成分をTi原子換算で0.08ミリモル含んだヘプタンスラリー50ミリリットルを加え、プロピレンを連続的に供給しながら80℃で3時間重合を行った。
重合終了後、50ミリリットルのメタノールを添加し、降温、脱圧した。内容物を全量フィルター付ろ過槽へ移し、85℃に昇温して固液分離した。さらに、85℃のヘプタン6リットルで固体部を2回洗浄し、真空乾燥して、プロピレン重合体2.5kgを得た。固体触媒成分1g当たりの触媒活性は、重合3時間で9.8kg/g−cat.・3hrであった。この重合体は、以下の特性を示した。
▲1▼極限粘度[η]:7.65dl/g
▲2▼Mw/Mn:3.99(Mn:37万)
▲3▼Mwが100万以上の成分量:41重量%
▲4▼13C−NMRによるペンタッド分率[mmmm]:96.3mol%
【0048】
(4)無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−1)の合成
上記(3)で合成したプロピレン重合体2kgに、無水マレイン酸(変性剤、MAH)6gと、パーヘキシン25B/40(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−2/無機担体(40/60(wt/wt)品))(商品名、ラジカル開始剤、化薬アクゾ製、PH)2gとを加えてドライブレンドし、20ミリの二軸押出機で溶融混練した。得られたペレット状サンプル1kgに、アセトン0.5kgと、ヘプタン0.7kgとを加え、85℃で2時間加熱撹拌した。尚、この加熱撹拌は、耐圧容器中で実施した。操作終了後、金網でペレットを回収し、これを1.5kgのアセトン中で15時間浸漬した。その後、金網でペレットを回収し、風乾した後、80℃で6時間、130℃で6時間真空乾燥して、無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−1)を得た。この重合体は、以下の特性を示した。
▲1▼無水マレイン酸含有率(変性率):0.095wt%
▲2▼極限粘度[η]:1.35dl/g
▲3▼無水マレイン酸に由来する極性基部/ポリマー鎖(モル比):1.0
【0049】
実験例1
MI:7.3g/10分、MT:0.7g、Tm:161℃のポリプロピレンパウダー(ホモポリプロピレン、H700、出光石油化学(株)製)(未変性PP−1):380gに、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES):0.3g、イルガノックス1010(商品名、フェノール系酸化防止剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.24g、イルガフォス168(商品名、リン系酸化防止剤、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製):0.56g、ステアリン酸カルシウム:0.2g、製造例1(4)で合成した無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−1):20gを加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0050】
実験例2
MI:4.2g/10分、MT:0.6g、Tm:161℃のポリプロピレンパウダー(ホモポリプロピレン、H400、出光石油化学(株)製)(未変性PP−2):360gに、APTES:1.0g、イルガノックス1010:0.24g、イルガフォス168:0.56g、ステアリン酸カルシウム:0.2g、酸変性PP−1:40gを加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0051】
実験例3
MI:1.8g/10分、MT:1.8g、Tm:160℃のポリプロピレンパウダー(ホモポリプロピレン、F200GP、出光石油化学(株)製)(未変性PP−3):380gに、APTES:1.0g、イルガノックス1010:0.24g、イルガフォス168:0.56g、ステアリン酸カルシウム:0.2g、酸変性PP−1:20gを加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0052】
実験例4
製造例1(4)において、MAHを8g、PHを0.8gに変更した以外は、製造例1(4)と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体(変性率:0.057wt%、極限粘度:1.79dl/g、極性基部/ポリマー鎖:0.84)(酸変性PP−2)を合成した。
実験例1において、酸変性PP−1の代わりに、酸変性PP−2を用いた以外は、実験例1と同様にしてポリマー組成物を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0053】
実験例5
製造例1(4)において、MAHの量を24g、PHの量を16gにした以外は、製造例1(4)と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体(変性率:0.43wt%、極限粘度:0.75dl/g、極性基部/ポリマー鎖:1.78)(酸変性PP−3)を合成した。
実験例1において、酸変性PP−1の代わりに、酸変性PP−3を用いた以外は、実験例1と同様にしてポリマー組成物を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0054】
比較例1
実験例1において、APTESを用いなかった以外は、実験例1と同様にしてポリマー組成物を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0055】
比較例2
実験例1において、酸変性PP−1の代わりに、変性率:4.2wt%、極限粘度:0.19dl/g、極性基部/ポリマー鎖:2.10の無水マレイン酸変性プロピレン重合体(三洋化成社製、ユーメックス1010(商品名))(酸変性PP−4)を用いた以外は、実験例1と同様にしてポリマー組成物を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0056】
比較例3
実験例1において、酸変性PP−1の代わりに、変性率:4.1wt%、極限粘度:0.56dl/g、極性基部/ポリマー鎖:12.0の無水マレイン酸変性プロピレン重合体(東洋化成社製、東洋タック1000P(商品名))(酸変性PP−5)を用いた以外は、実験例1と同様にしてポリマー組成物を得た。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0057】
実験例6
実験例1で用いた未変性PP−1:800gに、APTES:2.0g、イルガノックス1010:0.48g、イルガフォス168:1.12g、ステアリン酸カルシウム:0.4gを加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、APTESを2,500ppm、酸化防止剤を2,000ppm含むポリプロピレンペレットを製造した。このペレット380gと、酸変性PP−1のペレット20gとを混合し、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0058】
実験例7
実験例6において、APTESの使用量を1gに変更した以外は、実験例6と同様にして、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0059】
実験例8
実験例6において、酸変性PP−1の代わりに、実験例4で用いた酸変性PP−2を用いた以外は、実験例6と同様にして、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0060】
比較例4
実験例6において、酸変性PP−1を用いなかった以外は、実験例6と同様にして、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0061】
実験例9
製造例1(3)で合成したプロピレン重合体:800gに、無水マレイン酸:0.8g、パーヘキシン25B/40:0.32g、イルガノックス1010:0.48g、イルガフォス168:1.12g、ステアリン酸カルシウム:0.4gを加え、20mmの二軸押出機を用い、230℃で溶融混練した。得られた無水マレイン酸変性プロピレン重合体(変性率:0.049wt%、[η]:1.96dl/g、極性基部/ポリマー鎖:0.71、酸変性PP−6)のペレット状サンプル:400gに、APTES:1.0gを加え、酸変性PP−6とAPTESとの反応物を得た。
次に、イルガノックス1010:0.24g、イルガフォス168:0.5g:ステアリン酸カルシウム0.2gを含む、MI:7.3g/10分、Tm:161℃のポリプロピレン(未変性PP−4)380gと、上記反応物20gとを、二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。各種物性値の測定結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
参考例1〜8
参考として、チーグラナッタ触媒を用いて重合した、以下のホモポリプロピレン樹脂1〜8のMI、MT、MT/MTc(MTc=7×(MI)−0.8)を表2に示す。これら樹脂1〜8のmmmmは全て96〜96.5モル%であった。
【0064】
【表2】
【0065】
実験例1〜9、比較例1〜4、未変性PP−1〜3及び参考例1〜8の組成物のMIとMTとの関係を図1に示す。図中において、計算値はMT/7×(MI)−0.8=1を表す。この図から、実験例の組成物は、比較例の組成物に比べて溶融張力が高く、良好な流動性を示し、実用性に優れていることが分かる。
【0066】
製造例2
[未変性プロピレン重合体の合成]
(1)固体触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン20ミリリットル、ジエトキシマグネシウム4g、及びフタル酸ジブチル1.6gを加え、系内を90℃に保ち、攪拌下、四塩化チタン4ミリリットルを滴下した。さらに、四塩化チタン111ミリリットルを滴下投入して110℃に昇温した。得られた固相部に四塩化チタン115ミリリットルを加え、110℃でさらに2時間反応させた。反応終了後、生成物を精製ヘプタン100ミリリットルで数回洗浄して固体触媒成分を得た。
【0067】
(2)予備重合触媒成分の調製
内容積0.5リットルの攪拌機付三つ口フラスコを窒素ガスで置換した後、脱水処理したヘプタン300ミリリットル、及び上記(1)で調製した固体触媒成分10gを加えた。系内を15℃にした後、トリエチルアルミニウム4.2ミリモル、及びシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMDS)1.1ミリモルを加え、撹拌しながらプロピレンを導入した。2時間後、撹拌を停止し、結果的に固体触媒成分1g当たり2gのプロピレンが重合した予備重合触媒成分を得た。
【0068】
(3)プロピレン重合体の合成
内容積10リットルの攪拌機付ステンレス製オートクレーブを十分乾燥し、窒素置換した後、プロピレン2kg、トリエチルアルミニウム6ミリモル、CHMDS2.4ミリモル、及び1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン(ADMB)0.48ミリモルを加え、65℃に昇温した。次いで、上記(2)で調製した予備重合触媒成分0.12gを投入し、70℃で3時間重合した。その結果、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度[η]が5.26dl/gのプロピレン重合体960gを得た。この重合反応を繰り返すことにより、未変性プロピレン重合体の原料となるプロピレン重合体を合成した。
【0069】
(4)未変性プロピレン重合体の合成
上記(3)で合成したプロピレン重合体100重量部に、イルガノックス1010:0.06重量部、イルガフォス168:0.14重量部、ステアリン酸カルシウム:0.05重量部、パーヘキシン25B/40:0.035重量部を加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて180℃で溶融混練し、未変性プロピレン重合体(未変性PP−5)のペレットを製造した。得られた重合体ペレットの物性を表3に示す。
【0070】
製造例3
[無水マレイン酸変性プロピレン重合体の合成]
製造例2(3)で合成したプロピレン重合体100重量部に、無水マレイン酸:0.3重量部、パーヘキシン25B/40:0.1重量部を加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用い、180℃で溶融混練した。得られたペレット状サンプル1kgに、アセトン0.5kgと、ヘプタン0.7kgとを加え、85℃で2時間加熱撹拌した。尚、この加熱撹拌は、耐圧容器中で実施した。操作終了後、ペレットを回収し、これを1.5kgのアセトン中で15時間浸漬した。その後、ペレットを回収し、風乾した後、90℃で6時間真空乾燥して、無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−7)を得た。この重合体の物性を表3に示す。
【0071】
製造例4
[未変性プロピレン重合体の合成]
製造例2(4)において、パーヘキシン25B/40の使用量を0.015重量部に変更した以外は、製造例2(4)と同様にして、未変性プロピレン重合体(未変性PP−6)を合成した。この重合体の物性を表3に示す。
【0072】
製造例5
[未変性プロピレン重合体の合成]
(1)プロピレン重合体の合成
製造例2(3)において、CHMDSの使用量を0.48ミリモルに変更した以外は、製造例2(3)と同様にして、プロピレン重合体1,070gを合成した。
(2)未変性プロピレン重合体の合成
製造例2(4)において、製造例2(3)で合成したプロピレン重合体の代わりに、上記(1)で合成したプロピレン重合体を用いた以外は、製造例2(4)と同様にして未変性プロピレン重合体(未変性PP−7)を合成した。この重合体の物性を表3に示す。
【0073】
製造例6
[無水マレイン酸変性プロピレン重合体の合成]
製造例3において、製造例2(3)で合成したプロピレン重合体の代わりに、製造例5(1)で合成したプロピレン重合体を用いた以外は、製造例3と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−8)を合成した。この重合体の物性を表3に示す。
【0074】
製造例7
[未変性プロピレン重合体の合成]
(1)プロピレン重合体の合成
製造例2(3)において、CHMDSの使用量を0.48ミリモルに変更し、ADMBの使用量を1.44ミリモルに変更した以外は、製造例2(3)と同様にして、プロピレン重合体を849g合成した。
(2)未変性プロピレン重合体の合成
製造例2(4)において、製造例2(3)で合成したプロピレン重合体の代わりに、上記(1)で合成したプロピレン重合体を用いた以外は、製造例2(4)と同様にして未変性プロピレン重合体(未変性PP−8)を合成した。この重合体の物性を表3に示す。
【0075】
製造例8
[無水マレイン酸変性プロピレン重合体の合成]
製造例3において、製造例2(3)で合成したプロピレン重合体の代わりに、製造例7(1)で合成したプロピレン重合体を用いた以外は、製造例3と同様にして無水マレイン酸変性プロピレン重合体(酸変性PP−9)を合成した。この重合体の物性を表3に示す。
【0076】
実施例1
製造例2(4)で合成した未変性PP−5ペレットの粉砕品:380gに、APTES:1.0g、製造例3で合成した酸変性PP−7:20gを加え、十分にブレンドした。このパウダーブレンド物を、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0077】
実施例2〜4
実施例1において、酸変性PP−7の配合量を10g(実施例2)、30g(実施例3)、40g(実施例4)に、未変性PP−5の配合量を390g(実施例2)、370g(実施例3)、360g(実施例4)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0078】
実施例5〜6
実施例1において、APTESの配合量を、0.3g(実施例5)、0.6g(実施例6)に変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0079】
実施例7
実施例1において、未変性PP−5の代わりに、製造例4で合成した未変性PP−6を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0080】
実施例8
実施例1において、未変性PP−5の代わりに、製造例5で合成した未変性PP−7を用い、酸変性PP−7の代わりに、製造例6で合成した酸変性PP−8を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0081】
実施例9
実施例1において、未変性PP−5の代わりに、製造例7で合成した未変性PP−8を用い、酸変性PP−7の代わりに、製造例8で合成した酸変性PP−9を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0082】
比較例5
実施例1において、APTESを用いなかった以外は、実施例1と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0083】
比較例6
実施例1において、酸変性PP−7を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0084】
比較例7
実施例1において、酸変性PP−7の代わりに、酸変性PP−4を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表3に示す。
【0085】
実施例10
未変性PP−5ペレット:100重量部に、イルガノックス1010:0.03重量部、イルガフォス168:0.07重量部、ステアリン酸カルシウム:0.025重量部、APTES:0.25重量部を加え、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、APTESを2,500ppm含むペレットを製造した。引き続き、このペレット:100重量部と、酸変性PP−7:5重量部とを、20mmの二軸押出機を用いて230℃で溶融混練し、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0086】
実施例11〜13
実施例10において、酸変性PP−7の使用量を、3重量部(実施例11)、8重量部(実施例12)、12重量部(実施例13)に変更した以外は、実施例10と同様にして、ポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0087】
実施例14〜15
実施例10において、APTESを800ppm含むペレット(実施例14)、1,600ppm含むペレット(実施例15)を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0088】
実施例16
実施例10において、未変性PP−5の代わりに、製造例4で合成した未変性PP−6を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0089】
実施例17
実施例10において、未変性PP−5の代わりに、製造例5で合成した未変性PP−7を用い、酸変性PP−7の代わりに、製造例6で合成した酸変性PP−8を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0090】
実施例18
実施例10において、未変性PP−5の代わりに、製造例7で合成した未変性PP−8を用い、酸変性PP−7の代わりに、製造例8で合成した酸変性PP−9を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0091】
比較例8
実施例10において、酸変性PP−7を用いなかった以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0092】
比較例9
実施例10において、酸変性PP−7の代わりに、酸変性PP−5を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリマー組成物を製造した。製造条件及び各種物性値の測定結果を表4に示す。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
実施例1〜18、比較例5〜9、未変性PP−5〜8及び参考例1〜8の組成物のMIとMTとの関係を図2に示す。図中において、計算値はMT/7×(MI)−0.8=1を表す。この図から、実施例の組成物は、比較例の組成物に比べて溶融張力が高く、良好な流動性を示し、実用性に優れていることが分かる。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融張力と流動性とのバランスに優れた変性ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験例1〜9、比較例1〜4、未変性PP−1〜3及び参考例1〜8の組成物のMIとMTとの関係を示すグラフである。
【図2】 実施例1〜18、比較例5〜9、未変性PP−5〜8及び参考例1〜8の組成物のMIとMTとの関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 下記(A)及び(B)を混合して得られる、溶融張力(MT)及びメルトフローレシオ(MI)が、
MT/7×(MI)−0.8>1
の関係を満し、かつ、130℃のパラキシレン不溶成分量(G値)が1重量%以下の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)下記(A2)及び(A3)の混合物である、エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物に由来する極性基部を1×10−6〜0.25重量%含むポリプロピレン系樹脂:100重量部
(A2)メルトフローレシオが0.01〜100g/10分であり、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm])が40〜90モル%であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解エンタルピーが100J/g以下であり、 13 C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm]及び[rrrr])が、
[rrrr]/(1−[mmmm])≧20%
の関係を満たす未変性ポリプロピレン系樹脂:100重量部
(A3)前記極性基部を0.001〜1重量%含む、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度が0.7dl/g以上である変性ポリプロピレン系樹脂:0.1〜30重量部
(B)シランカップリング剤:0.001〜1重量部 - 前記ポリプロピレン系樹脂(A)とシランカップリング剤(B)と共に、さらに、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)を0.05〜1重量部混合して得られる請求項1に記載の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記エチレン性二重結合及び極性基を同一分子内に含む化合物が無水マレイン酸である請求項1又は2に記載の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記変性ポリプロピレン系樹脂(A3)の前記極性基部とポリマー鎖とのモル比が0.8〜2である請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤(B)が、下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物である請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
XnSiYm(OR)4−(n+m) (1)
[式中、Xは、前記極性基部と反応し得る官能基を含む置換基であり、Yは、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基であり、Rは、炭化水素基であり、nは、1、2又は3であり、mは、0、1又は2であり、(n+m)は、1、2又は3である。] - 前記一般式(1)のXが、アミノ基を含む置換基である請求項5に記載の変性ポリプロピレン系樹脂組成物。
- シランカップリング剤(B)が10〜10,000ppm、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm含まれるように、シランカップリング剤(B)、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)、及び下記ポリプロピレン系樹脂(A2)を混合し、
前記混合物100重量部に対し、下記変性ポリプロピレン系樹脂(A3)を0.1〜30重量部混合することを含む、130℃のパラキシレン不溶成分量(G値)が1重量%以下の変性ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(A2)メルトフローレシオが0.01〜100g/10分であり、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm])が40〜90モル%であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解エンタルピーが100J/g以下であり、 13 C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm]及び[rrrr])が、
[rrrr]/(1−[mmmm])≧20%
の関係を満たす未変性ポリプロピレン系樹脂
(A3)前記極性基部を0.001〜1重量%含む、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度が0.7dl/g以上である変性ポリプロピレン系樹脂 - リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)が500〜10,000ppm含まれるように、リン系及び/又はフェノール系酸化防止剤(C)と、下記ポリプロピレン系樹脂(A2)とを混合し、
シランカップリング剤(B)と、下記変性ポリプロピレン系樹脂(A3)とを反応させ、
前記混合物100重量部に対し、前記反応物0.1〜30重量部を混合することを含む、130℃のパラキシレン不溶成分量(G値)が1重量%以下の変性ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(A2)メルトフローレシオが0.01〜100g/10分であり、13C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm])が40〜90モル%であり、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解エンタルピーが100J/g以下であり、 13 C−NMRを測定して求めたペンタッド分率([mmmm]及び[rrrr])が、
[rrrr]/(1−[mmmm])≧20%
の関係を満たす未変性ポリプロピレン系樹脂
(A3)前記極性基部を0.001〜1重量%含む、135℃、テトラリン中で測定した極限粘度が0.7dl/g以上である変性ポリプロピレン系樹脂
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