JP4172899B2 - 床暖房パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、パネル本体に内蔵される電気ヒータに結線された電源線の両端部にそれぞれコネクタが接続され、一方のコネクタがパネル本体から引出可能に収容される床暖房パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の床暖房パネルとしては、図7に示すようなものがある。この床暖房パネル50は、同図(a)、(b)に示すように、長手方向に伸びる複数の擬似溝51aと短手方向に伸びる複数の擬似溝51bとが表面に形成された、平面形状が長方形のパネル本体51に自己温度制御特性を有する面状発熱体52が内蔵されていると共に、この面状発熱体52に接続される2本の電源線53及び1本のアース線54がパネル本体51の短手方向を横断するように配設されており、この電源線53及びアース線54の両端部にはそれぞれコネクタ55、56が接続されている。
【0003】
一方のコネクタ55は、図8(a)に示すように、パネル本体51の一方の長辺側に形成された収容凹部57に収容された状態で固定設置されており、他方のコネクタ56は、図7(b)及び図8(b)〜(d)に示すように、パネル本体51の他方の長辺側に形成された収容凹部58にパネル本体51から引出可能に収容されている。
【0004】
固定側のコネクタ55を収容するための収容凹部57は、図7(b)及び図8(a)に示すように、コネクタ55を丁度収容することができる程度の大きさに設定されているが、可動側のコネクタ56を収容するための収容凹部58は、図7(b)及び図8(b)に示すように、コネクタ56の収容作業性を考慮して、収容しようとするコネクタ56に比べて、その幅や奥行きが大きく設定されている。
【0005】
また、パネル本体51の裏面側には、図8(d)に示すように、収容凹部57、58を繋ぐように、2本の電源線53と1本のアース線54とが収容される電源線収容溝59が形成されており、この電源線収容溝59は、電源線53やアース線54の余剰分を収容し易くするために、可動側のコネクタ56が収容される収容凹部58側において、その幅を部分的に大きくした幅広部59aが設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電源線収容溝59に幅広部59aを設けておくと、一方の床暖房パネル50における可動側のコネクタ56に他方の床暖房パネル50における固定側のコネクタ55を接続した後、可動側のコネクタ56を収容凹部58に収容しながら両床暖房パネル50同士を相互に接合する際に、図8(d)に示すように、電源線53やアース線54の余剰分を屈曲させた状態で電源線収容溝59の幅広部59aに容易に収容することができるので、床暖房パネル50の接合作業性(敷設作業性)が向上すると共に、電源線53やアース線54に無理な力が加わらないので、電源線53やアース線54が損傷を受けにくいという利点が得られることは確かである。
【0007】
しかしながら、電源線収容溝59に幅広部59aを設けるということは、パネル本体51に形成される空間が大きくなるということ、即ち、パネル本体の厚みの小さい領域が大きくなるということであり、床暖房パネル50に十分なパネル強度を確保することができなくなるおそれがある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、接合する際における電源線等の余剰分の収容作業性に優れ、しかも、パネル本体の強度低下を最小限に抑えることのできる床暖房パネルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及びその効果】
上記の課題を解決するため、パネル本体と、前記パネル本体に内蔵される電気ヒータと、前記電気ヒータに結線された状態で前記パネル本体を横断する電源線と、前記電源線の一端側に接続された固定側コネクタと、前記電源線の他端側に接続された可動側コネクタと、前記固定側コネクタを前記パネル本体の一方の端部に収容固定する、前記パネル本体の裏面側に形成された固定側コネクタ収容凹部と、前記可動側コネクタを前記パネル本体の相対する他方の端部から引出可能に収容する、前記パネル本体の裏面側に形成された可動側コネクタ収容凹部と、前記固定側コネクタ収容凹部と前記可動側コネクタ収容凹部とを繋ぐように前記パネル本体の裏面側に形成された、前記電源線を収容する電源線収容溝とを備えた床暖房パネルにおいて、前記電源線収容溝を、その一方の側壁が部分的に内側に窪み、他方の側壁における前記窪み部に対応する部分が外側に部分的に突出するように、前記可動側コネクタ収容凹部側で屈曲または湾曲させ、前記可動側コネクタを前記パネル本体から引き出した状態では、内側に窪んだ一方の側壁側に前記電源線が移動し、前記可動側コネクタを前記可動側コネクタ収容凹部に収容した状態では、外側に突出した他方の側壁側に前記電源線が移動することで、前記電源線の余剰分が前記電源線収容溝に収容されるようになっていることを特徴とする床暖房パネルを提供するものである。
【0010】
以上のように構成された床暖房パネルでは、固定側コネクタ収容凹部と可動側コネクタ収容凹部とを繋ぐようにパネル本体の裏面側に形成された電源線収容溝を、その一方の側壁が部分的に内側に窪み、他方の側壁における前記窪み部に対応する部分が外側に部分的に突出するように、可動側コネクタ収容凹部側で屈曲または湾曲させているので、可動側コネクタを可動側コネクタ収容凹部に収容する際、電源線の余剰分が電源線収容溝の屈曲部分に沿うようにスムーズに収容されるので、電源線が損傷を受けにくく、床暖房パネルの接合作業性が低下することもない。
【0011】
また、この電源線収容溝は、一方の側壁が部分的に内側に窪み、他方の側壁における前記窪み部に対応する部分が外側に部分的に突出するように、可動側コネクタ収容凹部側で単に屈曲または湾曲しているだけなので、溝幅が大きくなった幅広部を有している従来の床暖房パネルに比べて、パネル本体の厚みが部分的に薄くなる電源線収容溝の占有面積が小さくなり、パネル強度の低下を最小限に抑えることができるという効果がある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3に示すように、この床暖房パネル1は、長方形状のパネル本体10と、このパネル本体10に内蔵される自己温度制御特性を有する面状発熱体20と、この面状発熱体20に結線された状態でパネル本体10をその短手方向に横断する電源線30a及びアース線30bと、この電源線30a及びアース線30bの両端にそれぞれ接続されたコネクタ40a、40bとから構成されている。
【0013】
前記パネル本体10は、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示すように、表面に突板等の表面化粧材(図示せず)が貼着された、3プライ合板または5プライ合板等の木質板からなるパネル基材11と、このパネル基材11の裏面側に形成された嵌合凹部11aに嵌め込まれる、合板や中質繊維板(MDF)等からなる裏板16a、16bとから構成されており、パネル基材11の表面には、長手方向に伸びる3本の擬似溝12aが一定間隔で形成されていると共に、短手方向に伸びる複数本の擬似溝12bがランダムな位置に形成されている。
【0014】
パネル基材11の端面には、図1(a)、(b)及び図3(a)に示すように、実結合するための雄実部13aまたは雌実部13bが形成されており、パネル基材11の裏面側には、嵌合凹部11aの内側に面状発熱体20を収容するための発熱体収容凹部11bが形成されている。
【0015】
また、パネル基材11の裏面側には、図2(a)に示すように、その長辺部分に前記固定側コネクタ40a及び可動側コネクタ40bをそれぞれ収容するための固定側コネクタ収容凹部14a及び可動側コネクタ収容凹部14bが形成されていると共に、電源線30a及びアース線30bが横断する部分に両コネクタ収容凹部14a、14bを結ぶ浅い連結溝15が形成されている。図3(c)及び図6(a)、(b)に示すように、固定側コネクタ40aは、固定側コネクタ収容凹部14a内に収容された状態で固定設置されるが、可動側コネクタ40bは、パネル基材11から引出可能に可動側コネクタ収容凹部14b内に収容されるようになっている。
【0016】
可動側コネクタ40bをパネル基材11から引出可能に収容する可動側コネクタ収容凹部14bには、図2(a)及び図3(b)、(c)に示すように、その上面に、門型の補強板17が固着されており、この補強板17によって可動側コネクタ収容凹部14bの上面が完全に覆われている。この補強板17は、アルマイト仕上げ(絶縁処理済み)のアルミニウムによって形成されており、図5に示すように、可動側コネクタ収容凹部14bの上面を覆う本体部17aと、この本体部17aの両側縁から垂下した垂下部17b、17cとから構成されている。
【0017】
可動側コネクタ収容凹部14bは、電源線30a及びアース線30bの一部を屈曲させた状態でコネクタ40bと共に収容しなければならないので、図2(a)、図3(c)、図4に示すように、固定側コネクタ収容凹部14aに比べてその幅及び奥行きが大きくなっている。
【0018】
前記面状発熱体20は、図2(c)に交斜線で示すように、発熱部分21が二分割されており、二分割された発熱部分21間の非発熱部分に、固定側コネクタ40a及び可動側コネクタ40bがそれぞれ接続された電源線30a及びアース線30bが予め結線された状態で配設されている。なお、この面状発熱体20には、表面側にアルミニウム箔等からなる熱伝導性の良好な均熱シート(図示せず)が予め貼着された状態で、合成樹脂フィルムによってラミネートされている。
【0019】
この面状発熱体20は、図1(b)及び図3(a)に示すように、パネル基材11に形成された発熱体収容凹部11bに収容した状態で、嵌合凹部11aに裏板16a、16bを嵌め込んでパネル基材11に固定することにより、発熱体収容凹部11b内に保持されるようになっている。
【0020】
裏板16a、16bは、発熱体収容凹部11bに収容された面状発熱体20の発熱部分21を略覆うように、一定の間隔を開けた状態でパネル基材11にそれぞれ固定されており、裏板16a、16bをパネル基材11に固定した状態では、パネル本体10の裏面側における裏板16a、16bの間に、電源線30a及びアース線30bを収容するための電源線収容溝18が、固定側コネクタ収容凹部14aと可動側コネクタ収容凹部14bとを繋ぐように形成されている。従って、裏板16a、16bによって形成される電源線収容溝18に収容された電源線30a及びアース線30bはパネル本体10の裏面側に露出した状態となっている。
【0021】
裏板16a、16bによって形成される電源線収容溝18は、図1(b)及び図6(a)、(b)に示すように、可動側コネクタ収容凹部14b側に屈曲部18aを有しており、図6(a)に示すように、電源線30a及びアース線30bは、屈曲部18aに沿うように僅かに湾曲(屈曲)した状態で収容されている。
【0022】
以上のように、この床暖房パネル1は、固定側コネクタ収容凹部14aと可動側コネクタ収容凹部14bとを繋ぐようにパネル本体10の裏面側に形成された電源線収容溝18を、可動側コネクタ収容凹部14b側で屈曲させることによって、収容される電源線30a及びアース線30bを予め僅かに湾曲(屈曲)させるようにしているので、可動側コネクタ40bを可動側コネクタ収容凹部14bに収容する際、電源線30a及びアース線30bに無理な力が加わることなく、その余剰分が電源線収容溝18の屈曲部18aに沿ってスムーズに収容されることになる(図6(b)参照)。従って、可動側コネクタ40bを可動側コネクタ収容凹部14bに収容する際に、電源線30a及びアース線30bが損傷を受けにくく、しかも、良好な接合作業性を確保することができる。
【0023】
また、この電源線収容溝18は可動側コネクタ収容凹部14b側で単に屈曲させているだけで、従来の床暖房パネルのように、部分的に溝幅を大きくした幅広部が存在しないので、パネル本体10の肉厚が部分的に小さくなる電源線収容溝18の占有面積が小さくなり、電源線収容溝を形成することに伴うパネル強度の低下を最小限に抑えることができるという効果がある。
【0024】
また、この床暖房パネル1では、ある程度の大きさに設定しなければならない可動側コネクタ収容凹部14bの上面にアルミニウム製の補強板17を固着するようにしているので、可動側コネクタ収容凹部14bが形成されている部分におけるパネル本体10の強度低下を有効に抑えることができる。
【0025】
なお、上述した実施形態では、電源線収容溝18を可動側コネクタ収容凹部14b側で屈曲させているが、これに限定されるものではなく、滑らかに湾曲した湾曲部を形成することも可能である。
【0026】
また、上述した実施形態では、電気ヒータとして自己温度制御特性を有する面状発熱体20を使用しているが、これに限定されるものではなく、線ヒータを使用することも可能であり、その場合は、アース線を省略してもよい。
【0027】
また、上述した実施形態は、パネル本体10が長方形状の床暖房パネルであるが、本発明の床暖房パネルは、こういった形状に限定されるものではなく、パネル本体が雁行形状の床暖房パネルについても適用することができることは言うまでもない。
【0028】
また、上述した実施形態では、アルミニウム製の補強板17を使用しているが、アルミニウム以外の金属や合成樹脂によって形成された補強板を使用することもでき、垂下部17b、17cを省略することも可能である。ただし、垂下部17b、17cを設けることによって、補強板17の強度が向上することはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はこの発明にかかる床暖房パネルの一実施形態を示す平面図、(b)は同上の床暖房パネルを示す裏面図である。
【図2】(a)は同上の床暖房パネルにおけるパネル基材を示す裏面図、(b)は同上の床暖房パネルにおける裏板を示す裏面図、(c)は同上の床暖房パネルにおける面状発熱体を示す裏面図である。
【図3】(a)は図1(a)のX−X線に沿った断面図、(b)は図1(a)のY−Y線に沿った断面図、(c)は図1(a)のZ−Z線に沿った断面図である。
【図4】同上の床暖房パネルにおける可動側コネクタを可動側コネクタ収容凹部に収容した状態を示す端面図である。
【図5】同上の床暖房パネルに使用される補強板を示す斜視図である。
【図6】(a)は可動側コネクタを引き出した状態を示す床暖房パネルの部分拡大裏面図、(b)は可動側コネクタを可動側コネクタ収容部に収容した状態を示す床暖房パネルの部分拡大裏面図である。
【図7】(a)は従来の床暖房パネルを示す平面図、(b)は同上の床暖房パネルを示す裏面図である。
【図8】(a)〜(c)は同上の床暖房パネルを示す断面図、(d)は可動側のコネクタをパネル本体に収容した状態を示す床暖房パネルの部分拡大裏面図である。
【符号の説明】
1 床暖房パネル
10 パネル本体
11 パネル基材
14a 固定側コネクタ収容凹部
14b 可動側コネクタ収容凹部
16a、16b 裏板
17 補強板
18 電源線収容溝
18a 屈曲部
20 面状発熱体
30a 電源線
30b アース線
40a 固定側コネクタ
40b 可動側コネクタ
Claims (1)
- パネル本体と、
前記パネル本体に内蔵される電気ヒータと、
前記電気ヒータに結線された状態で前記パネル本体を横断する電源線と、
前記電源線の一端側に接続された固定側コネクタと、
前記電源線の他端側に接続された可動側コネクタと、
前記固定側コネクタを前記パネル本体の一方の端部に収容固定する、前記パネル本体の裏面側に形成された固定側コネクタ収容凹部と、
前記可動側コネクタを前記パネル本体の相対する他方の端部から引出可能に収容する、前記パネル本体の裏面側に形成された可動側コネクタ収容凹部と、
前記固定側コネクタ収容凹部と前記可動側コネクタ収容凹部とを繋ぐように前記パネル本体の裏面側に形成された、前記電源線を収容する電源線収容溝と
を備えた床暖房パネルにおいて、
前記電源線収容溝を、その一方の側壁が部分的に内側に窪み、他方の側壁における前記窪み部に対応する部分が外側に部分的に突出するように、前記可動側コネクタ収容凹部側で屈曲または湾曲させ、
前記可動側コネクタを前記パネル本体から引き出した状態では、内側に窪んだ一方の側壁側に前記電源線が移動し、前記可動側コネクタを前記可動側コネクタ収容凹部に収容した状態では、外側に突出した他方の側壁側に前記電源線が移動することで、前記電源線の余剰分が前記電源線収容溝に収容されるようになっていることを特徴とする床暖房パネル。
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