JP4172850B2 - 触媒の製造方法および該触媒を用いた不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

触媒の製造方法および該触媒を用いた不飽和ニトリルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いるニオブ含有酸化物触媒の製造方法およびこの触媒の存在下に不飽和ニトリルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンなどのアルカンを原料にして、気相接触アンモ酸化反応によって、不飽和ニトリルを製造する方法が注目され多数の触媒が提案されている。
例えば、Mo−V−Nb−Teを含む酸化物触媒が、特開平2−257号公報、特開平5−148212号公報、特開平5−208136号公報、特開平6−227819号公報、特開平6−285372号公報、特開平7−144132号公報、特開平7−232071号公報、特開平8−57319号公報、特開平8−141401号公報等に開示されている。
【0003】
これらの公報には、ニオブの原料としてNb2 5 、ニオブ酸、シュウ酸ニオブ、Nb2 (C2 4 5 、Nb(OC2 5 5 、酒石酸ニオブ、シュウ酸ニオブアンモニウム、酒石酸ニオブアンモニウム、NbCl3 、NbCl5 、Nb(O−nBu)5 等の使用を教示している。
Mo−V−Sb−Nbを含む酸化物触媒が、特開平5−213848号公報、特開平9−157241号公報等に、また、W−V−Te−Nb系酸化物触媒が特開平6−228073公報に開示されている。これらの公報は、ニオブの原料としてシュウ酸ニオブアンモニウム塩、Nb2 5 、NbCl5 、Nb(OC2 5 5 等の使用を教示している。
【0004】
特開昭64−38051号公報はV−Sb−W−Nbを含む酸化物触媒を開示し、ニオブの原料としてNb(OC2 5 5 の使用を教示している。
特開昭63−295545号公報はBi−V−Mo−Nbを含む酸化物触媒を開示し、ニオブの原料としてNb2 5 の水性スラリ−を使用することを開示している。
特開平9−316023号公報はニオブ含有原料液としてニオブ酸のシュウ酸水溶液の使用を開示している。特開平2−257号公報等はニオブ含有原料液としてシュウ酸ニオブアンモニウムの水溶液の使用を開示している。また、特開平6−227819号公報はニオブ含有原料液としてNb(O−nBu)5 を1、4−ブタンジオールに溶解させた液の使用を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ニオブ含有酸化物触媒の改良された製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いるニオブ含有酸化物触媒の製造方法を鋭意検討した結果、ニオブ化合物を酸性水溶液または塩基性水溶液に溶解したときの、少量の不溶固形分を分離除去して得られたニオブ化合物を用いて製造した触媒が、不飽和ニトリルの収率を向上させること、および該触媒を再現よく製造しうることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0007】
即ち、本願発明は、
(1)プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いられ、下記式(1)で示される成分組成を有するニオブ含有酸化物触媒の製造方法において、下記のA、BまたはCの方法によって固形分を分離除去して得られるニオブ含有原料液を用いて製造することを特徴とするニオブ含有酸化物触媒の製造方法;
A.下記の2つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸をジカルボン酸水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。
【0008】
B.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸を酸性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
C.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
Mo 1 p q Nb r s n ・・・(1)
(式中、XはTeおよびSbから選択される少なくとも1種類以上の元素であり、ZはTa、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、r、sおよびnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦p≦0.6、0.01≦q≦0.6、0.01≦r≦0.6、0≦s≦1、そしてnは構成元素の酸化数によって決まる原子比である。)
【0010】
(2)下記式(1)で示される成分組成を有するニオブ含有酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンをアンモ酸化反応させて対応する不飽和ニトリルを製造するにあたり、下記のA、BまたはCの方法によって固形分を分離除去して得られるニオブ含有原料液を用いて製造した触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリルの製造方法;
A.下記の2つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸をジカルボン酸水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。
【0011】
B.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸を酸性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
C.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ酸を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
Mo 1 p q Nb r s n ・・・(1)
(式中、XはTeおよびSbから選択される少なくとも1種類以上の元素であり、ZはTa、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、r、sおよびnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦p≦0.6、0.01≦q≦0.6、0.01≦r≦0.6、0≦s≦1、そしてnは構成元素の酸化数によって決まる原子比である。)
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の触媒製法に用いるニオブ含有原料液は、下記のA、BまたはCの方法によって製造される。
A.下記の2つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ化合物をジカルボン酸水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。
B.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ化合物を酸性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
【0014】
C.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
1.ニオブ化合物を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
3.得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
【0015】
本発明のニオブ含有原料液に含まれるジカルボン酸は、シュウ酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸等から選ぶことができ、好ましくは、シュウ酸、酒石酸である。
本発明のニオブ含有原料液の調製に用いるシュウ酸の原料は、シュウ酸二水和物またはシュウ酸無水物から選ぶことができる。
本発明のニオブ含有原料液の調製に用いるニオブ化合物は、ニオブ酸、酸化ニオブ、ニオブの有機酸塩等から選ぶことができる。好ましくはニオブ酸、シュウ酸水素ニオブである。ニオブ酸は一般組成式「Nb2 5 ・nH2 O」で表現される。ニオブ水酸化物または酸化ニオブ水和物と称される化合物もニオブ酸に含まれる。
【0016】
本発明の触媒の製法に用いるニオブ含有原料液の、ジカルボン酸/ニオブのモル比は、好ましくは1〜8、特に好ましくは2〜4である。
一般に、これらのニオブ化合物はジカルボン酸を含む水性溶媒中での溶解性が十分でないために均一な溶液が得られない場合が多い。例えば、工業的に入手できるニオブ酸は、シュウ酸水溶液に溶解した場合、ロットによって、均一に溶解するものものもあるが、大部分の場合、不溶解部分により懸濁状を呈する。
【0017】
A.方法について説明する。
1.まず、ニオブ化合物をジカルボン酸水溶液に溶解させて懸濁液を得る。ニオブ化合物としては、ニオブ酸、シュウ酸水素ニオブが好ましい。ジカルボン酸としては、シュウ酸が好ましい。ジカルボン酸/ニオブのモル比は、好ましくは、1〜8、特に好ましくは、2〜4である。これらのニオブ化合物とジカルボン酸水溶液を混合し、加熱攪拌することによって、ニオブ化合物を溶解させ、水性懸濁液を得ることができる。加熱したときの水性懸濁液の温度は、50〜100℃であることが好ましい。
2.次に、得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。分離は吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等によって行うことができる。
【0018】
次にB.方法について説明する。
1.まず、ニオブ化合物を酸性水溶液に溶解させて水性懸濁液を得る。ニオブ化合物としては、ニオブ酸、酸化ニオブ、ニオブの有機酸塩が好ましく、特に好ましくは、ニオブ酸、シュウ酸水素ニオブである。酸性水溶液としては、シュウ酸、酒石酸等のジカルボン酸、ギ酸、酢酸、トリフリオロ酢酸等のカルボン酸、硫酸等の硫黄を含む酸素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸等のリンを含む酸素酸、硝酸、亜硝酸等の窒素を含む酸素酸、フッ酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等のハロゲン化水素酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲンを含む酸素酸、炭酸、ホウ酸およびこれらの混合物の水溶液等を用いることができる。好ましくは、シュウ酸、酒石酸、濃硫酸、濃塩酸、フッ化水素酸の水溶液である。これらのニオブ化合物と酸性水溶液を混合し、加熱攪拌することによって、ニオブ化合物を溶解させ、水性懸濁液を得ることができる。加熱したときの水性懸濁液の温度は50〜100℃であることが好ましい。
【0019】
2.次に、得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得る。分離は吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等によって行う。
3.次に、得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得る。塩基性化合物としては、溶液部から析出させうる塩基性化合物であれば問題ないが、例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、およびこれらの混合物等が用いられる。塩基性化合物は水溶液にして用いることが好ましい。析出率を高めたり、析出物の洗浄を容易にするためにるために酸性水溶液に塩基性化合物を添加した後のpHは2〜12であることが好ましく、特に好ましくは5〜10である。ニオブ酸中のアルカリ金属の混入を少なくしたい場合は、アンモニア水を用いるのが好ましい。
【0020】
4.次に、得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得る。分離は吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等によって行うことができる。ニオブ酸は、水洗等で洗浄することが好ましい。ここで得られたニオブ酸は、湿ったまま用いてもよいし乾燥させてよい。ニオブ酸中のNb2 5 としての含有率は10〜84重量%であることが好ましい。ニオブ酸の乾燥を行う場合は、ガスを流通させながら行い、局所加熱がない条件で行うことが好ましい。
5.次に、得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
【0021】
次にC.方法について説明する。
1.まず、ニオブ化合物を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得る。ニオブ化合物としては、ニオブ酸、酸化ニオブが好ましい。塩基性水溶液としては、アルカリ金属水酸化物、アンモニア、およびこれらの混合物等の水溶液を用いることができる。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液である。これらのニオブ化合物と塩基性水溶液を混合し、加熱攪拌することによって、ニオブ化合物を溶解させ、水性懸濁液を得ることができる。加熱は、オートクレーブ等において100℃以上で行うことが好ましい。
2.次に、得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得る。分離は吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等によって行う。
【0022】
3.次に、得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得る。酸性化合物としては、溶液部から析出させうる酸性化合物であれば問題ないが、例えば、シュウ酸、酒石酸等のジカルボン酸、ギ酸、酢酸、トリフリオロ酢酸等のカルボン酸、硫酸等の硫黄を含む酸素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸等のリンを含む酸素酸、硝酸、亜硝酸等の窒素を含む酸素酸、フッ酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等のハロゲン化水素酸、過塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸等のハロゲンを含む酸素酸、炭酸、ホウ酸およびこれらの混合物を用いることができる。好ましくは、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸、硝酸、亜硝酸、炭酸である。酸性化合物は水溶液にして用いることが好ましい。析出率を高めたり、析出物の洗浄を容易にするためにるために塩基性水溶液に酸性化合物を添加した後のpHは12〜6であることが好ましく、特に好ましくは10〜7である。
【0023】
4.次に、得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得る。分離は吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーション等によって行う。ニオブ酸は水洗等で洗浄することが好ましい。ここで得られたニオブ酸は、湿ったまま用いてもよいし乾燥させてよい。ニオブ酸中のNb2 5 としての含有率は10〜84重量%であることが好ましい。ニオブ酸の乾燥を行う場合は、ガスを流通させながら行い、局所加熱がない条件で行うことが好ましい。
【0024】
5.次に、得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
触媒の組成は限定されないが、次の式▲1▼で示される成分組成を有する触媒において、特にその性能の差が顕著になる。
Mo1 p q Nbr s n ▲1▼
(式中、XはTeおよびSbから選択される少なくとも1種類以上の元素であり、ZはTa、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、r、sおよびnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦p≦0.6、好ましくは0.2≦p≦0.4、特に好ましくは0.25≦p≦0.35、0.01≦q≦0.6、好ましくは0.05≦q≦0.4、特に好ましくは0.1≦q≦0.3、0.01≦r≦0.6、好ましくは0.03≦r≦0.4、特に好ましくは0.05≦r≦0.3、0≦s≦1、好ましくは、0≦s≦0.1、そしてnは構成元素の酸化数によって決まる原子比である)
【0025】
式▲1▼で示される成分組成を有する触媒を製造するに当たっては、原料として以下の化合物を用いることができる。
モリブデンの原料には、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを好適に用いることができる。
バナジウムの原料には、メタバナジン酸アンモニウムを好適に用いることができる。
テルルの原料にはテルル酸を、アンチモンの原料にはアンチモン酸化物を好適に用いることができる。
【0026】
Ta、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属の原料としては、それら金属の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩などを用いることができる。
シリカ担持触媒を製造する場合、シリカの原料には、シリカゾルを好適に用いることができる。アルカリ金属イオンで安定化したシリカゾルよりもアンモニウムイオンで安定化したゾルを用いることが好ましい。
式▲1▼の触媒は下記の原料調合、乾燥および焼成の3つの工程を経て製造することができる。
【0027】
(原料調合工程)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウムおよびテルル酸の混合水溶液を調製する。アンチモンを用いる場合は、メタバナジン酸アンモニウム水溶液と酸化アンチモンからなるスラリ−をリフラックス条件下に加熱した後、ヘプタモリブデン酸アンモニウムを添加し、場合に応じてテルル酸を添加して混合水溶液を調製する。
この混合水溶液に、本発明のニオブ含有原料液を添加し混合液を得る。アンモニアを混合液に添加することもできる。
Ta、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属を用いる場合、これらの金属の硝酸塩、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、アンモニウム塩、炭酸塩などの水溶液または懸濁液を攪拌しながら該混合液に添加して原料調合液を得る。
シリカ担持触媒を製造する場合は、攪拌下、該調合液にシリカゾルを添加して、原料調合液を得る。
【0028】
(乾燥工程)
原料調合工程で得られた調合液を噴霧乾燥法または蒸発乾固法によって乾燥させ、乾燥粉体を得る。噴霧乾燥法における噴霧化は、遠心方式、二流体ノズル方式または高圧ノズル方式などが採用できる。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーターなどによって加熱された空気が用いるられる。このとき熱風の乾燥機入口温度は150〜300℃が好ましい。噴霧乾燥は簡便には100℃〜300℃に加熱された鉄板上へ調合液を噴霧することによって行うこともできる。
【0029】
(焼成工程)
乾燥工程で得られた乾燥粉体を焼成することによって酸化物触媒を得ることができる。焼成は実質的に酸素を含まない窒素等の不活性ガス雰囲気下、500〜700℃、好ましくは550〜650℃で実施する。焼成時間は0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。不活性ガス中の酸素濃度は、ガスクロマトグラフィーまたは微量酸素分析計で測定して、好ましくは1000ppm以下、特に好ましくは100ppm以下である。焼成は回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉等を用い、酸素を実質的に含有しない不活性ガスを流通させながら焼成することが好ましい。この焼成の前に大気雰囲気下または大気流通下で200℃〜350℃、10分〜5時間で前焼成することもできる。
【0030】
このようにして製造された触媒は、特にプロパンまたはイソブタンを気相接触アンモ酸化させて不飽和ニトリルを製造するための触媒としてに好適に用いられる。
プロパンまたはイソブタンとアンモニアの供給原料は必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのガスを使用できる。
供給酸素源として空気、酸素を富化した空気、または純酸素を用いることができる。更に、希釈ガスとしてヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気、窒素などを供給してもよい。
【0031】
反応に供給するアンモニアのプロパンまたはイソブタンに対するモル比は0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1.2である。本発明の触媒をプロパンまたはイソブタンのアンモ酸化に用いる場合は、従来触媒を用いる場合に比べて相対的に小さい該モル比を適用することができる。反応に供給される分子状酸素のプロパンまたはイソブタンに対するモル比は、0.2〜6、好ましくは0.4〜4である。
反応圧力は0.1〜10atm、好ましくは1〜3atmである。
反応温度は350℃〜600℃、好ましくは380℃〜470℃である。
接触時間は0.1〜30(sec・g/cc)、好ましくは0.5〜10(sec・g/cc)である。
反応は、固定床、流動床、移動床など従来の方式を採用できる。反応は単流方式でもリサイクル方式でもよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下にプロパンのアンモ酸化反応の実施例などを用いて、本発明を更に詳細に説明する。
各例において、プロパン転化率、アクリロニトリル選択率、アクリロニトリル収率はそれぞれ次の定義に従う。
プロパン転化率(%)=〔(反応したプロパンのモル数)/(供給したプロパンのモル数)〕×100
アクリロニトリル選択率(%)=〔(生成したアクリロニトリルのモル数)/
(反応したプロパンのモル数)〕×100
アクリロニトリル収率(%)=〔(生成したアクリロニトリルのモル数)/(供給したプロパンのモル数)〕×100
【0033】
(ニオブ原料液の調製法)
(ニオブ含有原料液C1の調製)
26gの水に、4.24gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて均一な水溶液を得た。得られた水溶液に2.18gのニオブ酸(X)(Nb2 5 として76.0重量%)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却して、懸濁したニオブ含有原料液C1を得た。
得られたニオブ含有原料液C1のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。主要な製法因子(ニオブ酸の種類、シュウ酸/ニオブのモル比)を表1に記載した。
【0034】
(ニオブ含有原料液C2の調製)
26gの水に、4.24gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて均一な水溶液を得た。得られた水溶液に2.21gのニオブ酸(Y)(Nb2 5 として75.0重量%)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却して、懸濁したニオブ含有原料液C2を得た。
得られたニオブ含有原料液C2のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0035】
(ニオブ含有原料液C3の調製)
26gの水に、4.24gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて均一な水溶液を得た。得られた水溶液に2.27gのニオブ酸(Z)(Nb2 5 として73.0重量%)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却して、懸濁したニオブ含有原料液C3を得た。
得られたニオブ含有原料液C3のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0036】
(ニオブ含有原料液E1の調製)
590gの水に、97.33gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に50.0gのニオブ酸(X)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、シュウ酸/ニオブのモル比が2.70の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去して約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E1を得た。
得られたニオブ含有原料液E1について、下記の分析法〔ニオブ含有原料液の分析法〕に従って、ニオブの濃度とシュウ酸の濃度を決定し、それぞれ、0.386mol−Nb/kg、1.05mol−シュウ酸/kgであった。この結果から、ニオブ含有原料液E1のシュウ酸/ニオブのモル比は2.71である。この値を表1に記した。
【0037】
分離した固形分全量を坩堝に集めて120℃で2時間乾燥後、850℃で2時間熱処理して酸化物0.16gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、0.40%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。
主要な製法因子〔ニオブ酸の種類、ニオブ原料液の種類、ニオブ原料液の調製(溶媒、懸濁分分離工程の有無・不溶解部比率、ニオブ原料液の製法、沈殿剤)、シュウ酸/ニオブのモル比〕を表1に記載した。
〔ニオブ含有原料液の分析法〕 ニオブ含有原料液E1から10gを坩堝に精秤し、95℃で一夜乾燥後、850℃で2時間熱処理して0.513gのNb2 5 を得た。この結果から、ニオブ含有原料液E1のニオブの濃度は0.386mol−Nb/kgであった。
【0038】
一方、ニオブ含有原料液E1から3gを300mlのガラスビーカーに精秤し、約80℃の熱水200mlと1:1硫酸10mlを順次加えて試料液を得た。得られた試料液をホットスターラー上で約70℃に保ちながら、1/4規定KMnO4 を用いて、KMnO4 によるかすかな淡桃色が約30秒以上続く点を終点として滴定した。この結果から、ニオブ含有原料液E1のシュウ酸の濃度は、下記の式に従って計算して1.05mol−シュウ酸/kg−液であった;
2KMnO4 +3H2 SO4 +5H2 2 4
→K2 SO4 +2MnSO4 +10CO2 +8H2
【0039】
(ニオブ含有原料液E2の調製)
582gの水に、96.03gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に50.0gのニオブ酸(Y)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、シュウ酸/ニオブのモル比が2.70の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去して約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E2を得た。
得られたニオブ含有原料液E2を、ニオブ含有原料液E1の分析法に従って、ニオブの濃度とシュウ酸の濃度を決定し、各々、0.361mol−Nb/kg、1.05mol−シュウ酸/kgであった。この結果から、ニオブ含有原料液E2のシュウ酸/ニオブのモル比は2.91である。この値を表1に記した。
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物2.73gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、7.28%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0040】
(ニオブ含有原料液E3の調製)
582gの水に、96.03gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に54.00gのニオブ酸(Y)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、シュウ酸/ニオブのモル比が2.50の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用)固形分を分離除去して約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E3を得た。
【0041】
得られたニオブ含有原料液E3を、ニオブ含有原料液E1の分析法に従って、ニオブの濃度とシュウ酸の濃度を決定し、各々、0.386mol−Nb/kg、1.05mol−シュウ酸/kgであった。この結果から、ニオブ含有原料液E3のシュウ酸/ニオブのモル比は2.71である。この値を表1に記した。
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物3.20gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、7.90%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0042】
(ニオブ含有原料液E4の調製)
565gの水に、93.45gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に50.00gのニオブ酸(Z)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、シュウ酸/ニオブのモル比が2.70の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去して約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E4を得た。
【0043】
得られたニオブ含有原料液E4を、ニオブ含有原料液E1の分析法に従って、ニオブの濃度とシュウ酸の濃度を決定し、各々、0.385mol−Nb/kg、1.05mol−シュウ酸/kgであった。この結果から、ニオブ含有原料液E1のシュウ酸/ニオブのモル比は2.72である。この値を表1に記した。
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物0.27gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、0.74%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0044】
(ニオブ含有原料液E5の調製)
800gの水に、302.14gのシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を加え攪拌し、約70℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に50.0gのニオブ酸(Y)を添加し、約70℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、シュウ酸/ニオブのモル比が8.50の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去し、均一な水溶液S5を得た。
【0045】
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物0.50gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、1.33%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。得られた水溶液S5に25%アンモニア水をpH=9になるまで添加することによって沈殿を生じさせて懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕することによって固形分を分離回収した。濾過器上の回収固形分を300ccの水を5回注ぐことによって洗浄した。次いで洗浄した固形分を真空乾燥機にて70℃で2.5時間乾燥した。
【0046】
得られた乾燥固形分から1.000gを坩堝にとり、850℃で2時間熱処理して0.470gのNb2 5 を得た。この結果から、乾燥固形分のNb2 5 含有量は47.0重量%である。
得られたニオブ酸から3.52gを取り、水24.6gにシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を4.23g加えた水溶液に添加し約60℃に加熱し溶解させ均一な水溶液を得た後、約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E5を得た。
得られたニオブ含有原料液E5のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0047】
(ニオブ含有原料液E6の調製)
120℃の乾燥機にて、空気流通下1.5時間かけて乾燥した以外は、ニオブ含有原料液E5の調製法を反復して、乾燥固形分を得た。得られた乾燥固形分をニオブ含有原料液E5の場合と同様に分析した。この結果から、乾燥固形分のNb2 5 含有量は81.1重量%である。
得られたニオブ酸から2.04gを取り、水26.1gにシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を4.24g加えた水溶液に添加し約60℃に加熱し溶解させ均一な水溶液を得た後、約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E6を得た。
得られたニオブ含有原料液E6のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。主要な製法因子を表1に記載した。
【0048】
(ニオブ含有原料液E7の調製)
1200gの水に、392.0gの酒石酸〔H6 4 6 〕を加え攪拌し、約80℃で溶解させて水溶液を得た。得られた水溶液に50.0gのニオブ酸(Y)を添加し、約80℃で1時間溶解した後、約30℃まで冷却し、酒石酸/ニオブのモル比が9.26の水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去し、均一な水溶液S7を得た。
【0049】
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物1.60gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、4.27%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。
得られた水溶液S7に25%アンモニア水をpH=9になるまで添加することによって沈殿を生じさせて懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕することによって固形分を分離回収した。濾過器上の回収固形分を300ccの水を5回注ぐことによって洗浄した。次いで洗浄した固形分を真空乾燥機にて約70℃で2.5時間乾燥した。
【0050】
得られた乾燥固形分から1.000gを坩堝にとり、850℃で2時間熱処理して0.475gのNb2 5 を得た。この結果から、乾燥固形分のNb2 5 含有量は47.5重量%である。
得られたニオブ酸から3.48gを取り、水24.6gにシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を4.23g加えた水溶液に添加し約60℃に加熱し溶解させ均一な水溶液を得た後、約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E7を得た。
得られたニオブ含有原料液E7のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。
主要な製法因子を表1に記載した。
【0051】
(ニオブ含有原料液E8の調製)
テフロン製の内筒を備えた1Lのオートクレーブに、300gの水、8.0gのニオブ酸(Y)および60.0gの水酸化カリウム〔KOH〕を順次加えて封入し、攪拌下、200℃で15時間加熱した。オートクレーブを冷却して内容物を取り出し、水性懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過で〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕固形分を分離除去し、均一な水溶液S8を得た。
【0052】
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物0.16gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、2.67%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。
得られたS8に、濃硝酸をpH=7になるまで添加することによって沈殿を生じさせて懸濁液を得た。
得られた懸濁液を吸引濾過〔濾紙はTOYO社製No.101(135mm)、quantity100を使用〕することによって固形分を分離回収した。濾過器上の回収固形分を300ccの水を5回注ぐことによって洗浄した。次いで洗浄した固形分を真空乾燥機にて70℃で2.5時間乾燥した。
【0053】
得られた乾燥固形分から1.000gを坩堝にとり、850℃で2時間熱処理して0.480gのNb2 5 を得た。この結果から、乾燥固形分のNb2 5 含有量は48.0重量%である。
得られたニオブ酸から3.45gを取り、水24.6gにシュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を4.24g加えた水溶液に添加し約60℃に加熱し溶解させ均一な水溶液を得た後、約30℃に冷却し、均一なニオブ含有原料液E8を得た。
得られたニオブ含有原料液E8のシュウ酸/ニオブのモル比は2.70であった。この値を表1に記した。
主要な製法因子を表1に記載した。
【0054】
(ニオブ含有原料液E9の調製)
シュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を108.50g用い、水を579g用いた以外はニオブ含有原料液E1の調製法を反復して、ニオブ含有原料液E9を得た。
得られたニオブ含有原料液E9を、ニオブ含有原料液E1の分析法に従って、ニオブの濃度とシュウ酸の濃度を決定し、各々、0.386mol−Nb/kg、1.17mol−シュウ酸/kgであった。この結果から、ニオブ含有原料液E9のシュウ酸/ニオブのモル比は3.02である。この値を表1に記した。
分離した固形分全量を、ニオブ含有原料液E1の固形分定量の方法と同じ処理をして、酸化物0.14gを得た。この量は、用いたニオブ酸のNb2 5 換算量に対し、0.37%に相当する。この値を不溶解部の比率として表1に記した。
主要な製法因子を表1に記載した。
【0055】
(ニオブ含有原料液C4の調製)
シュウ酸二水和物〔H2 2 4 ・2H2 O〕を4.729g用いた以外はニオブ含有原料液C1の調製法を反復して、懸濁したニオブ含有原料液C4を得た。
得られたニオブ含有原料液C4のシュウ酸/ニオブのモル比は3.01であった。この値を表1に記した。
主要な製法因子を表1に記載した。
【0056】
【比較例1】
(触媒の調製)仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を次のようにして調製した。
水80gに、ヘプタモリブデン酸アンモニウム〔(NH4 6 Mo7 24・4H2 O〕20.00g、メタバナジン酸アンモニウム〔NH4 VO3 〕4.37gおよびテルル酸〔H6 TeO6 〕5.72gを加え、攪拌下、約60℃に加熱して溶解させた後、約30℃まで冷却して混合液Aを得た。混合液Aにニオブ含有原料液C1を全量添加し、約30分間攪拌して原料調合液を得た。得られた調合液を140℃に加熱したテフロンコーティング鉄板上に噴霧して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体3gを内径20mmの石英管に充填し300Ncc/ min.の窒素気流中で600℃で2時間焼成して触媒を得た。用いた窒素ガスの酸素濃度は306WA型微量酸素分析計(テレダインアナリティカルインスルーメント社製)を用いて測定した結果、1ppmであった。
【0057】
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒0.3gを内径4mmの固定床型反応管に充填し、反応温度T=420℃、プロパン:アンモニア:酸素:ヘリウム=1:1.2:3.0:14.8のモル比の混合ガスを流量F=6Ncc/min.で流した。反応温度Tは、触媒層外壁部で測定した。このとき圧力Pは1atmであった。接触時間は1.2(=W/F×60×T/(273+T)×P)(sec・g/cc)である。反応ガスの分析はオンラインクロマトグラフィーで行った。得られた結果をプロパン転化率、アクリロニトリル選択率およびアクリロニトリル収率を指標にして表1に示す。
【0058】
【比較例2】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液C2を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0059】
【比較例3】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液C3を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0060】
【実施例1】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E1を32.27g用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0061】
【実施例2】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E2を34.50g用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0062】
【実施例3】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E3を32.31g用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0063】
【実施例4】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E4を32.36g用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0064】
【実施例5】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E5を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0065】
【実施例6】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E6を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0066】
【実施例7】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E7を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0067】
【実施例8】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E8を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0068】
【実施例9】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液E9を32.25g用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0069】
【比較例4】
(触媒の調製)ニオブ含有原料液C4を全量用いた以外は比較例1の触媒調製を反復して、仕込組成式がMo1 0.33Nb0.11Te0.22n で示される触媒を得た。
(プロパンのアンモ酸化反応試験)得られた触媒についてプロパンのアンモ酸化反応を比較例1と同じ条件下に行った。得られた結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
Figure 0004172850
【0071】
【発明の効果】
本発明の触媒を用いることによって、プロパンまたはイソブタンから不飽和ニトリルを高い収率で製造することができる。および該触媒を再現よく製造し得た。

Claims (2)

  1. プロパンまたはイソブタンのアンモ酸化反応に用いられ、下記式(1)で示される成分組成を有するニオブ含有酸化物触媒の製造方法において、下記のA、BまたはCの方法によって固形分を分離除去して得られるニオブ含有原料液を用いて製造することを特徴とするニオブ含有酸化物触媒の製造方法。
    A.下記の2つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸をジカルボン酸水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。
    B.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸を酸性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
    3.得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
    4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
    5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
    C.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
    3.得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
    4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
    5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
    Mo 1 p q Nb r s n ・・・(1)
    (式中、XはTeおよびSbから選択される少なくとも1種類以上の元素であり、ZはTa、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、r、sおよびnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦p≦0.6、0.01≦q≦0.6、0.01≦r≦0.6、0≦s≦1、そしてnは構成元素の酸化数によって決まる原子比である。)
  2. 下記式(1)で示される成分組成を有するニオブ含有酸化物触媒の存在下、プロパンまたはイソブタンをアンモ酸化反応させて対応する不飽和ニトリルを製造するにあたり、下記のA、BまたはCの方法によって固形分を分離除去して得られるニオブ含有原料液を用いて製造した触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリルの製造方法。
    A.下記の2つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸をジカルボン酸水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して均一なニオブ含有原料液を得る。
    B.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸を酸性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
    3.得られた溶液部に塩基性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
    4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
    5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
    C.下記の5つの工程を経て得られるニオブ含有原料液
    1.ニオブ酸を塩基性水溶液に溶解して水性懸濁液を得、
    2.得られた水性懸濁液から固形分を分離除去して溶液部を得、
    3.得られた溶液部に酸性化合物を添加することによって沈澱を生じさせて水性懸濁液を得、
    4.得られた水性懸濁液から固形分を分離回収してニオブ酸を得、
    5.得られたニオブ酸とジカルボン酸を水に溶解して均一なニオブ含有原料液を得る。
    Mo 1 p q Nb r s n ・・・(1)
    (式中、XはTeおよびSbから選択される少なくとも1種類以上の元素であり、ZはTa、W、Cr、Ti、Zr、Y、Yb、La、Ce、Bi、Sn、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Pb、P、Pr、Nd、Sm、Gdおよびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、p、q、r、sおよびnはMo1原子当たりの原子比を表し、0.1≦p≦0.6、0.01≦q≦0.6、0.01≦r≦0.6、0≦s≦1、そしてnは構成元素の酸化数によって決まる原子比である。)
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