JP4169649B2 - レンズの外周加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、レンズの外周加工を行う芯取機上で、加工しようとするレンズの厚さを測定し、得られた測定値に基づいてレンズの外周を加工する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズの加工には、レンズ表裏の球面の加工工程と、加工された球面によって決定される光軸を基準としてレンズの外周を加工する工程とが含まれており、光軸を基準にして外周を研削加工する機械を芯取機と呼んでいる。加工されたレンズは、その品質の確認のために、全品検査又は抜き取り検査でレンズの厚さや外径、真円度などを測定している。従来このレンズの測定は、加工機械とは別に設けた測定装置を用いて行われており、加工機械から取り出したレンズを測定装置に乗せて計測を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
加工されたレンズを加工機械とは別に設けた測定装置で計測する従来手段では、測定工程が加工工程とは別に設けられることとなるので余計な時間がかかり、測定装置へのレンズの搭載や測定装置の操作などに余計な手数がかかって、レンズの生産性を低下させ、また加工コストを上昇させる。更に外周加工をしてからレンズの厚さを計測すると、厚さが所定の許容範囲から外れた不良品に対しても外周加工を行うこととなるので、加工時間に無駄が生ずる。更に砥石の切込み量を一定にして、厚さにばらつきのあるレンズの外周の面取加工を行うと、厚いレンズでは面取幅が大きくなり、薄いレンズでは面取幅が狭くなるというように、外周加工にもばらつきが生ずる。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、芯取機におけるレンズの外周加工前に、レンズの加工機械上でレンズの厚さを測定する手段と、レンズの厚さによって外周加工精度にばらつきが生ずるのを防止する手段とを提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一般的な構造の芯取機は、同一軸線上に配置した下ワーク軸1bと上ワーク軸1aとの対向端にそれぞれ取付けたカップ状の下ホルダ3と上ホルダ4との間でレンズ5の球面を挟んで、加工対象となるレンズを把持している。一般に下ワーク軸1bは軸方向位置が固定で、上ワーク軸1aを昇降させることにより、レンズの把持と開放とを行っている。この発明では、上記のような芯取機の上ワーク軸1aの軸方向位置を計測する手段を設けて、レンズを把持したときに、上ワーク軸1aの位置を計測することにより、レンズの厚さを測定するようにしたものである。
【0006】
この発明の芯取機では、同一軸線上に配置された軸方向位置固定の下ワーク軸1bと上下動可能な上ワーク軸1aとの対向端に装着されたカップ状のホルダ3、4でレンズ5を挟持して当該レンズの加工を行うレンズ加工機械に、前記上ワーク軸の軸方向位置を計測する計測手段61、62、53を設けて、レンズ5が上下のホルダ3、4に光軸を一致させて挟持された時点で、前記計測手段の計測値を読取る。
【0007】
上ワーク軸1aの軸方向位置は、上ワーク軸自体又は当該上ワーク軸を軸支している昇降台17の軸方向位置を計測することによって行われる。計測するタイミングは、上下のホルダ3、4でレンズ5を軽く把持してワーク軸1a、1bを同期高速回転させるなどして、レンズ5の光軸をワーク軸1a、1bの軸心と一致させた後の、外周加工をする前のタイミングである。
【0008】
レンズ外周の面取加工などを行うときは、上記の方法で計測したレンズの厚さに基づいて、当該レンズの上面周縁の加工時における工具位置を補正するという加工方法を採用することにより、レンズ5の厚さのばらつきによって影響されることなく、常に一定の形状の加工を行うことができる。
【0009】
例えば、レンズの上面周縁の面取加工を行う場合、測定されたレンズの厚さが基準厚さに対してδ(+値又は−値)だけ偏倚しているときは、面取用の砥石6の軸方向位置をδだけ偏倚させて加工を行うか、またはその面取角度に関連して決定される切込み深さの偏倚分だけ砥石の切込み深さを変化させて加工を行えば、レンズ厚さのばらつきと無関係に、常に一定幅の面取加工を行うことができる。
【0010】
ンズ厚さの測定は、レンズの球面を加工した後でその球面によって決定される光軸を基準としてレンズの外周を加工する芯取機上で行うのが最も合理的である。即ち、軸方向位置を固定された下ワーク軸1bと、この下ワーク軸と同一軸線上で上下動可能な上ワーク軸1aと、上下のワーク軸の対向端に装着されたカップ状のホルダ3、4と、これらのホルダで挟持されたレンズ5の外周を加工する砥石6と、この砥石の上下位置を制御するNC装置53とを備えた芯取機において、前記砥石と共に上下動する部材52に装着されて、前記上ワーク軸又は上ワーク軸と共に昇降する部材17の所定位置を検出するセンサ61を備えている芯取機を用いることによって、レンズの加工工程中の最も好ましい段階で行うことが可能になる。
【0011】
即ち、上記構造を備えた芯取機を用いて、当該機械による外周加工前にレンズの厚さ測定を行うようにすれば、所定の許容範囲より厚いレンズは、外周加工を中止して球面加工工程に戻し、所定の許容範囲より薄いレンズは、外周加工をすることなく不良品として加工ラインから排除するようにすれば、再生可能なレンズを無駄にすることがなく、また再生不可能なレンズに無駄な加工を行うこともなくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。図において、1a及び1bは同一垂直線上に配置された上下のワーク軸、6は砥石(工具)、14は砥石台(工具台)、15はZスライドである。
【0013】
下ワーク軸1bは、コラム(機械フレーム)13に固定した下軸受ケース50に回転自在かつ上下動不能に軸支されている。下ワーク軸1bの上端には、上向きカップ状の下ホルダ4が装着され、下端には下従動歯車18が固定されている。上ワーク軸1aは、コラム13に固定した上下方向の直動ガイド51で上下移動自在に装着された上軸受ケース(昇降台)17に軸支されており、下端には下向きカップ状の上ホルダ3が装着され、上端には上従動歯車16が固定されている。
【0014】
コラム13の上部にはプーリ19、20が軸支され、当該プーリにはワイヤ21が下向きコの字状に掛け回され、当該ワイヤ21の一端に上軸受ケース17が連結され、他端にバランス錘22が連結されて、上ワーク軸1aを上方に軽く付勢している。上従動歯車16の軸心上部には、スラスト軸受(図には表れていない)が内蔵され、その上方にクランプシリンダ23が配置されている。このクランプシリンダの下向きのロッド24が伸長して、前記スラスト軸受を押圧することにより、上ワーク軸1aが下降して、上ホルダ3と下ホルダ4との間でレンズ5を上下方向に挟持する。図2に示すように、上ホルダ3は、下向きカップ状、下ホルダ4は、上向カップ状で、その周縁の径は互いに等しい。レンズ5は、上下のホルダ3、4のカップの周縁で挟持された状態で保持される。
【0015】
ワーク軸1(1a、1b)に隣接して駆動軸28が平行に軸支されている。駆動軸28には、上下に駆動歯車30、31が固定されており、それぞれ上下の従動歯車16、18に噛合している。下駆動歯車31には、ワーク軸駆動用のサーボモータ29に固定したピニオン32が噛合している。上従動歯車16は、歯幅を大きくしてあり、レンズ5の装脱の際に上ワーク軸1aが上動したときも、上駆動歯車30との噛合が外れないようになっている。
【0016】
レンズ5の外周加工を行う砥石6は、砥石台14に固定した砥石軸ケース52にワーク軸1a、1bと平行に軸支され、砥石台14に搭載した図示しないモータでベルトを介して駆動されている。砥石台14は、直動ガイド33と送りねじ34とを介して砥石6の切り込み方向(X方向)に移動位置決め自在に、Zスライド15に装着されている。Zスライド15は、垂直方向の直動ガイド36及び送りねじ37でワーク軸1a、1bと平行な方向(Z方向)に移動位置決め自在に、コラム13に装着されている。X方向送りねじ34を回転駆動するX送りモータ35及びZ方向送りねじ37を回転駆動するZ送りモータ38は、NC装置53によって制御されるサーボモータであり、従って砥石台14のZ方向及びX方向の移動量は、NC装置53によって認識されている。
【0017】
砥石軸ケース52の上軸受ケース17側側面には、ブラケット60を介して近接センサ61が横向きに固定されている。一方、上軸受ケース17には、センサ61に対向させて、検出エッジ62が設けられている。センサ61が検出エッジ62を検出すると、その検出信号がNC装置53に送られ、NC装置は、その時点でのZスライド15の移動量を参照することにより、検出エッジ62の上下方向の位置を認識できる。
【0018】
加工しようとするレンズ5は、上ワーク軸1aが上動した状態で、図示しないローダにより、下ホルダ4上に置かれる。次に、クランプシリンダ23に低圧の空気圧が供給され、レンズ5を上下のホルダ3、4で軽く挟持する。この状態でサーボモータ29を高速回転すると、上下のワーク軸が高速同期回転し、レンズ5はその球面の曲率に従って安定位置に移動し、レンズ5の光軸がワーク軸1a、1bの軸心に一致する。このレンズ5のローディング時に、センサ61と検出エッジ62とが略対向する位置関係となるように、砥石台14を移動しておく。
【0019】
レンズ5の光軸を出すための上記動作が終了したら、Zスライド15を若干上下動させて、センサ61で検出エッジ62を検出し、検出信号をNC装置53に送る。NC装置53は、検出信号を受けたときのZスライド15の位置情報から、検出エッジ62の高さを計測する。一般的には、正確な厚さに加工した基準レンズを予め上下のホルダ3、4で把持してそのときのZスライド15の位置をNC装置に登録しておき、加工するレンズ5を把持した状態で検出エッジ62を検出したときのZスライド15の位置と上記登録された位置との差から、レンズ5の厚さ誤差を測定する。
【0020】
NC装置53にレンズ5の厚さの許容範囲を予め登録しておき、上記方法により計測された厚さ誤差が許容範囲内にあるかどうかをNC装置に判定させる。そして、厚さが許容範囲を+側に超えていれば、外周加工を中止してレンズ5を再加工品パレットへと搬出する。また、厚さが許容範囲を−側に超えていれば、不良品ボックスに排出する。
【0021】
厚さが許容範囲内であれば、クランプシリンダ23に所定圧の空気圧を供給してレンズ5をクランプし、サーボモータ29を所定の回転数で回転して、砥石6によりレンズ5の外周加工を行う。この外周加工に際し、レンズ上面の周縁の面取加工を行うときには、Zスライド15の位置を測定された厚さ誤差δだけ補正する。すなわち、厚さ誤差δが+であれば、Zスライド15の位置をδだけ上方に補正して加工を行い、−であれば下方に補正して加工を行う。これにより、レンズ5に厚さの誤差があっても、レンズ上面の面取幅Cを正確に加工できる。なお、レンズ5は、下面を軸方向固定の下ホルダ4で支持されているので、下面外周の面取加工時には、このような補正操作は不要である。
【0022】
所定の外周加工が終了したら、サーボモータ29を停止し、クランプシリンダ23の空気圧を開放し、上ワーク軸1aを上動させて、加工済レンズを加工済ワーク用のパレットへと搬出する。以上の動作を繰り返すことにより、レンズ芯取機において、レンズの厚さ測定、不良レンズの再加工品パレット又は不良品ボックスへの振り分け、合格レンズに対する外周加工が連続的に行われる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、レンズ芯取機のワーク軸上で、外周加工前に、加工しようとするレンズの厚さ測定及び不良レンズの前行程戻し又は排除を行うことができ、レンズの厚さ測定を別工程で行う必要がなくなるばかりでなく、不良レンズに対する加工が行われなくなるので、加工能率を向上させることができ、また、レンズの外周加工を個々のレンズの厚さ誤差を加味して、より正確に行うことができるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の芯取機の機構部分の一例を示す模式的な側面図
【図2】レンズホルダを断面にしてレンズの保持状態を示した説明図
【符号の説明】
1a 上ワーク軸
1b 下ワーク軸
3 上ホルダ
4 下ホルダ
5 レンズ
17 上軸受ケース
38 送りモータ
52 砥石軸ケース
53 NC装置
61 センサ
62 検出エッジ

Claims (1)

  1. 同一軸線上に配置された軸方向位置固定の下ワーク軸(1b)及び上下動可能な上ワーク軸(1a)と、この上下のワーク軸の対向端に装着されたカップ状のホルダ (3,4) と、前記ワーク軸と平行なZ方向及び切り込み方向であるX方向の移動量をNC装置 (53) によって制御されて前記ホルダで挟持されたレンズ (5) の外周を加工する砥石 (6) とを備えた芯取機に、
    前記上ワーク軸又は上ワーク軸と共に昇降する部材 (17) の所定位置を検出するセンサ (61) を前記砥石と共に上下動する部材 (52) に装着し、前記NC装置 (53) にレンズ (5) の厚さの許容範囲を登録し、
    前記レンズ(5)を前記上下のホルダ(3,4)に光軸を一致させて挟持した後、前記センサで前記所定位置を検出し、当該検出したときの前記Z方向の位置情報から、レンズ (5) の厚さ誤差 ( δ ) を測定し、
    厚さ誤差 ( δ ) が前記許容範囲内にあるかどうかをNC装置に判定させ、許容範囲内であれば、前記砥石台の位置を測定された厚さ誤差 ( δ ) 分だけ補正して砥石 (6) でレンズ (5) の外周加工を行い、厚さ誤差 ( δ ) が許容範囲を+側に超えていれば外周加工を中止してレンズ (5) を再加工品パレットへと搬出し、厚さ誤差 ( δ ) が許容範囲を−側に超えていれば不良品ボックスに排出することを特徴とする、レンズの外周加工方法
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