JP4169499B2 - 荷役車両のシリンダ速度制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷役車両のシリンダ速度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のホイールローダは、エンジンを高回転のままブームを上昇すると、最揚高到達時にブームシリンダがストロークエンドに達して急激にブームの上昇が止まり、大きなショックが発生する。その結果、バケットから荷こぼれしたり、車体が大きく揺れて不安定な状態になる。従来よりオペレータはこのような問題を避けるために、ブームの最揚高直前にアクセルペダルを戻してエンジンの回転数を下げる操作を行い、それによってブームシリンダの動作速度を低下させてストロークエンドでの衝撃を緩和するようにしている。また、自動的に衝撃を緩和する装置として、シリンダ位置を検出して電磁制御弁により油量を絞るものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブームの最揚高直前にアクセルペダルを戻すタイミングはオペレータの勘に頼るため、経験の浅いオペレータではタイミングの取り方が難しく、慎重になるあまりタイミングが早すぎて作業性が悪くなるということや、オペレータによってはタイミングを無視して度々ショックを発生させ車体にダメージを与える場合もあった。
さらに、ホイールローダによる土砂掘削の場合も、バケット最後傾時には車両のけん引力と、バケットシリンダがストロークエンドに達した時のショックとが加わり、荷こぼれしたり、各部品の寿命に悪影響を及ぼしていた。また、(比例)電磁制御弁を用いる方法は、装置が高価となる。
【0004】
そこで、本発明は、荷こぼれしたり車体にダメージを与えることがなく、かつ、操作性に優れた荷役車両のシリンダ速度制御装置及び方法を安価に提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る荷役車両のシリンダ速度制御装置は、バケットを保持するブームと、該ブームを昇降させるブームシリンダと、バケットを前後傾させるバケットシリンダと、アクセルペダルの踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータと、該ポテンショメータの出力電圧に応じてエンジンの回転数を制御するエンジンコントローラと、を備えた荷役車両に於て、上記ブームシリンダと上記バケットシリンダのいずれかのストロークエンド位置を検出すると上記ポテンショメータをOFFしてエンジン低速回転用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラに送信する低電圧送信切換手段を、具備し、該低電圧送信切換手段によって上記ストロークエンド位置でエンジンの回転数を減少させて、上記ブームシリンダ及びバケットシリンダの動作速度を低下させるようにしたものである。
【0006】
また、アクセルペダルを所定踏み角度以下の低速回転位置に戻すとポテンショメータをONに切換える解除スイッチを付設した。
【0007】
また、バケットを保持するブームと、該ブームを昇降させるブームシリンダと、アクセルペダルの踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータと、該ポテンショメータの出力電圧に応じてエンジンの回転数を制御するエンジンコントローラと、を備えた荷役車両に於て、上記ブームの最揚高直前位置を検出すると上記ポテンショメータをOFFしてエンジン低速回転(アイドリング)用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラに送信する低電圧送信切換手段を、具備し、該低電圧送信切換手段によって上記最揚高直前位置でエンジンの回転数を減少させて、ブームシリンダの動作速度を低下させるようにしたものである。
【0008】
また、バケットと、バケットを前後傾させるバケットシリンダと、アクセルペダルの踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータと、該ポテンショメータの出力電圧に応じてエンジンの回転数を制御するエンジンコントローラと、を備えた荷役車両に於て、上記バケットの最後傾直前位置を検出すると上記ポテンショメータをOFFしてエンジン低速回転(アイドリング)用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラに送信する低電圧送信切換手段を、具備し、該低電圧送信切換手段によって上記最後傾直前位置でエンジンの回転数を減少させて、バケットシリンダの動作速度を低下させるようにしたものである。
【0009】
また、バケットを保持するブームと、該ブームを昇降させるブームシリンダと、上記バケットを前後傾させるバケットシリンダと、アクセルペダルの踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータと、該ポテンショメータの出力電圧に応じてエンジンの回転数を制御するエンジンコントローラと、を備えた荷役車両に於て、上記ブームの最揚高直前位置を検出すると上記ポテンショメータをOFFしてエンジン低速回転(アイドリング)用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラに送信する第1の低電圧送信切換手段を、設けると共に、上記バケットの最後傾直前位置を検出すると上記ポテンショメータをOFFしてエンジン低速回転(アイドリング)用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラに送信する第2の低電圧送信切換手段を、設け、上記第1の低電圧送信切換手段又は上記第2の低電圧送信切換手段によって上記最揚高直前位置又は上記最後傾直前位置でエンジンの回転数を減少させて、ブームシリンダ及びバケットシリンダの動作速度を低下させるようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0011】
図1は本発明の実施の一形態における荷役車両を示し、図1と図2に示すように、荷役車両に於て、1は車両本体であり、車両本体1のフロントフレーム18に一対のブーム2,2が揺動自在に取付けられると共に、バケット3が一対のブーム2,2の先端に揺動自在に保持されている。4はブーム2を昇降させるブームシリンダであり、5はバケット3を前後傾させるバケットシリンダである。また、この荷役車両は、図3の回路図に示すように、アクセルペダル6の踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータ7と、ポテンショメータ7の出力電圧に応じてエンジン9の回転数を制御するエンジンコントローラ8とを備える。本実施の形態では、荷役車両がホイールローダの場合を例示している。
【0012】
しかして、図3に示すように、本発明に係る荷役車両のシリンダ速度制御装置は、ホイールローダのような荷役車両に於て、ブーム2の最揚高直前位置とバケット3の最後傾直前位置───即ちブームシリンダ4とバケットシリンダ5のストロークエンド位置───の少なくともいずれか一方を検出すると、ポテンショメータ7をOFFしてエンジン低速回転用の所定低電圧を、エンジンコントローラ8に送信する低電圧送信切換手段10を備えると共に、ポテンショメータ7をONに切換える解除スイッチ11,11が付設されている。解除スイッチ11, 11が2個描かれているが、一方はブームシリンダ4用、他方はバケットシリンダ5用である。
【0013】
図3の回路図を具体的に説明すると、ポテンショメータ7と、エンジンコントローラ8と、エンジン9の電子制御ガバナ12とは、直列に電気接続されている。そして、電源13とエンジンコントローラ8の間に上記低電圧送信切換手段10が配設されている。
【0014】
低電圧送信切換手段10は、前記第1の低電圧送信切換手段と第2の低電圧送信切換手段を合わせたものである。そして、この低電圧送信切換手段10は、図3で明らかなように、近接スイッチ24と、近接スイッチ14と、回路切換えリレー39と、抵抗Rを有する回路部15とを備える。回路切換リレー39は、電源13との電気接続をポテンショメータ7側と、抵抗R側に切換えるものであり、(近接スイッチ24の)切換リレースイッチ部27又は(近接スイッチ14の)切換リレースイッチ部17によって、回路切換リレー39は、切換わる。
【0015】
近接スイッチ14は、ブーム2の最揚高直前位置───ブームシリンダ4のストロークエンド位置───を検出する検出部16と、ノルマリークローズの切換リレースイッチ部17とを、有している。
また、近接スイッチ24は、バケット3の最後傾直前位置───即ちバケットシリンダ5のストロークエンド位置───を検出する検出部26と、ノルマリークローズの切換リレースイッチ部27とを、有している。
【0016】
通常は、(図3の実線のように、)回路切換リレー39は、ポテンショメータ7側にONとなっているが、検出部16又は26にてシリンダストロークエンド位置が検出されると、切換リレースイッチ部17又は27が(実線から)破線のように切換わって、OFF(開)となり、回路切換リレー39によって、ポテンショメータ7から抵抗R側へ切換わり(ポテンショメータ7がOFFとなり)、エンジン低速回転用の所定低電圧がエンジンコントローラ8へ送信され、エンジン9の回転数は、直ちに減少する。
このように、近接スイッチ24,14は直列に接続されると共に、これらに対して、2個の解除スイッチ11, 11は夫々並列に接続されている。
【0017】
ブーム2用の近接スイッチ14は、図4に示すように、例えばフロントフレーム18の(平面視コの字型の)ブーム取付部19にブラケット20等を介して固着される。21は被検知プレートであり、ブーム2の基端側に固着される。このとき、ブーム2が最揚高直前位置───つまりブームシリンダ4がストロークエンド位置───となったときに被検知プレート21が近接スイッチ14の検出位置に近接するように、近接スイッチ14と被検知プレート21との位置関係や被検知プレート21の形状・大きさを設定する。
【0018】
なお、本実施の形態では、近接スイッチ14と被検知プレート21はブームキックアウト───ブーム2の上昇を予めセットした高さに止める装置───に共用することができ、この場合、キックアウト高さを最揚高直前位置にセットしておけば、作業レバーの中立復帰と同時にエンジン回転も減少できる。
【0019】
次に、図3を参照しつつブーム用シリンダ速度制御方法を説明する。図1と図5(イ)に示すように、ブーム2の下降状態(近接スイッチ14の位置から被検知プレート21が外れている状態)に於て、アクセルペダル6が踏み角度0°のアイドル位置のとき、ポテンショメータ7はONであり、解除スイッチ11はOFFとなっている。このアクセルペダル6のアイドル位置では、ポテンショメータ7からエンジンアイドリング用の所定低電圧がエンジンコントローラ8へ送信され、この所定低電圧に応じてエンジンコントローラ8が電子制御ガバナ12を作動制御し、それによってガバナ12がエンジン9の燃料噴射ポンプ22による燃料噴射量を低速回転に調整している。
【0020】
そして、ブーム昇降用作業レバーを上昇段に入れ、アクセルペダル6を踏み込んでいく。検出部16による被検知プレート21の非検出状態であるところの図5(イ)から図5(ロ)に示すように、ブーム2が最揚高直前位置───シリンダストロークエンド位置───まで上昇すると、プレート21が近接スイッチ14にて検出され、図3の切換リレースイッチ部17が破線位置(OFF)となり、回路切換リレー39が破線位置となって、抵抗R側に切換わり、エンジンコントローラ8へ所定低電圧が送られて、エンジン回転数は低速回転に減少する。
このとき、アクセルペダル6を強く踏込んでいても、直ちにエンジン回転数が低速になるので、ブーム2が(ショックなく)スムースに最揚高位置に到達する。
なお、解除スイッチ11のON・OFF切換えは、アクセルペダル6によるか、又は、ブーム昇降作業レバーによっても良い。
【0021】
次に、図3と図6と図7に於て、バケット3の最後傾直前位置(バケットシリンダのストロークエンド位置)でエンジン9の回転数を減少させる具体的構成とその作動について説明する。
近接スイッチ24は、例えばバケットシリンダ5のシリンダ本体28の外周面に付設される。29は近接スイッチ24にて検出される被検知面30を有するバケットシリンダ5に沿って設けられた被検知バーであり、被検知バー29の直角折曲状の一端29aがバケットシリンダ5のロッド先端31に固着されている。この被検知バー29は、所定長さ寸法の切欠凹部32が形成されており、また、他端29b側が上記被検知面30とされている。
【0022】
なお、本実施の形態では、被検知バー29はバケットレベラ───バケット3を水平状態で停止する装置───に共用することができ、バケット3を前傾させた後、バケット前後傾用の作業レバーを後傾段に入れておくと、バケット3が水平位置になったときに自動的にレバーが中立段に戻って水平状態で停止する。33はバケットレベラ用近接スイッチである。
【0023】
図3と図6と図7を参照しつつバケットシリンダ5の速度制御方法を説明すると、図1と図7(イ)に示すように、被検知バー29の他端29bの被検知面30が近接スイッチ24から十分離間した状態(バケット3の水平状態又は前傾状態)に於て、アクセルペダル6がアイドル位置のとき、ポテンショメータ7はONであり、解除スイッチ11はOFFとなっている。
そして、バケット前後傾用作業レバーを後傾段に入れ、アクセルペダル6を踏み込んでいくと、バケットシリンダ5が伸長駆動し、揺動するベルクランク35にてプッシュロッド36が引かれてバケット3が後傾していく。
【0024】
そして、図6と図7(ロ)に示す如く、バケットシリンダ5がストロークエンド位置となると近接スイッチ24にて被検知バー29の他端29bの被検知面30が検出され、これによって低電圧送信切換手段10にて抵抗R側へ切換わり、ポテンショメータ7がOFFとなる。それによってエンジン9の回転数が減少し、バケットシリンダ5の動作速度が低下する。このとき、アクセルペダル6を一杯に踏み込んだ状態のまま(最大踏み角度)であっても、それとは無関係にエンジン回転数がローアイドルまで減少しシリンダ速度が低下するので、バケットシリンダ5は緩やかにストロークエンドに達し、バケット3が最後傾位置に緩やかに(ショックを発生することなく)到達する。
その後、一杯に踏み込んだアクセルペダル6を所定踏み角度以下の位置に戻すと、ポテンショメータ7が(実線で示す如く)ONとなる。
【0025】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されるので、次に記載する効果を奏する。
【0026】
(請求項1によれば)バケット3の後傾しかつブーム2を昇降させて土砂等を掘削・積込みする作業に於て、低電圧送信切換手段10によりブーム2の最揚高直前位置を検出するか、バケット3の最後傾直前位置を検出すると、自動的にエンジン9の回転数を減少させてブームシリンダ4及びバケットシリンダ5の動作速度を低下させることができる。即ち、バケットシリンダ5を緩やかにストロークエンドに到達させてバケット3を緩やかに最後傾位置に到達させ、かつ、ブームシリンダ4を緩やかにストロークエンドに到達させてブーム2を緩やかに最揚高位置に到達させることができる。従って、掘削作業時にバケット3が最後傾位置に到達する際のショック(衝撃)や、荷役(積込み)作業時にブーム2が最揚高位置に到達する際のショックが大幅に低減し、荷こぼれを防ぐことができると共に、衝撃によって車体が大きく揺れることがなく安定し、さらに、衝撃によって車体や各部品にダメージを与えることがなくなり寿命が延びる。
また、低電圧送信切換手段10にてブーム2の最揚高直前位置を検出するか、バケット3の最後傾直前位置を検出すれば、アクセルペダル6の踏み角度が最大であってもエンジン回転数が自動的に減少するので、オペレータがブーム2の最揚高直前又はバケット3の最後傾直前にタイミングを見計らってアクセルペダルを戻してエンジン回転数を減少させるという勘や熟練に頼った操作をすることが不要となり、荷役操作・掘削操作の簡便化と作業能率の向上を図ることができる。
【0027】
(請求項2によれば)解除スイッチ11にてポテンショメータ7をOFFからONに切換え、再びアクセルペダル6によるエンジン回転数の調整を可能とするので、バケット3やブーム2を迅速に次動作させることができる。このとき、一旦踏み込んでいたアクセルペダル6を所定踏み角度以下のアイドル位置に戻すというオペレータの一連の動作中に解除スイッチ11が働き、ポテンショメータ7がOFFからONに切換わるので、操作が簡便である。
【0028】
(請求項3によれば)エンストの発生を防止して、迅速に次の作業に移り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の一形態における荷役車両を示す側面図である。
【図2】 バケット及びブーム等を示す要部斜視図である。
【図3】 本発明に係る荷役車両のシリンダ速度制御装置の実施の一形態を示す回路図である。
【図4】 ブームの最揚高直前位置を検出する近接スイッチの取付位置及び取付構造を示す説明図である。
【図5】 上昇するブームの最揚高直前位置を近接スイッチにて検出する状態を示す作用説明図である。
【図6】 バケットの最後傾直前状態を示す説明図である。
【図7】 バケットシリンダの伸縮状態を示す説明図である。
【符号の説明】
2 ブーム
3 バケット
4 ブームシリンダ
5 バケットシリンダ
6 アクセルペダル
7 ポテンショメータ
8 エンジンコントローラ
9 エンジン
10 低電圧送信切換手段
11 解除スイッチ
Claims (3)
- バケット(3)を保持するブーム(2)と、該ブーム(2)を昇降させるブームシリンダ(4)と、バケット(3)を前後傾させるバケットシリンダ(5)と、アクセルペダル(6)の踏み角度に応じて電圧を出力するポテンショメータ(7)と、該ポテンショメータ(7)の出力電圧に応じてエンジン(9)の回転数を制御するエンジンコントローラ(8)と、を備えた荷役車両に於て、上記ブームシリンダ(4)と上記バケットシリンダ(5)のいずれかのストロークエンド位置を検出すると上記ポテンショメータ(7)をOFFしてエンジン低速回転用の所定低電圧を、上記エンジンコントローラ(8)に送信する低電圧送信切換手段(10)を、具備し、該低電圧送信切換手段(10)によって上記ストロークエンド位置でエンジン(9)の回転数を減少させて、上記ブームシリンダ(4)及びバケットシリンダ(5)の動作速度を低下させるようにしたことを特徴とする荷役車両のシリンダ速度制御装置。
- アクセルペダル(6)を所定踏み角度以下の低速回転位置に戻すとポテンショメータ(7)をONに切換える解除スイッチ(11)を付設した請求項1記載の荷役車両のシリンダ速度制御装置。
- シリンダストロークエンド位置でのエンジン(9)の回転数を、エンストしない程度のアイドリングとした請求項1記載の荷役車両のシリンダ速度制御装置。
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