JP4169273B2 - 中空コンクリート体製造装置及び中空コンクリート体の製造方法 - Google Patents
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Description
内型枠は、コンクリート打設後に脱型される場合のみならず、場合によってはコンクリート体の一部としてそのまま残置される、いわゆる捨て型枠として使用される場合もある。発泡スチロールを使用する場合の脱型は、型枠端部の開口部から鉄筋棒などを差し込み、発泡スチロールを穿り出すことによりおこなわれている。
<1>内型枠を捨て型枠として使用する場合は、内型枠の転用を図ることができず、したがって施工コストに影響を及ぼすこととなる。
<2>木製材料、鋼製材料にて製作された従来の内型枠を使用する場合、材料としての剛性が高いために、例えば繊維補強セメント系混合材料などの自己収縮性の高い材料を打設すると、内型枠がかかる自己収縮を拘束してしまう。この拘束によって、前記する混合材料の強度発現時に材料内部にて引張応力が生じ、中空コンクリート体内部のひび割れの原因となる。かかるひび割れは構造部材の強度低下を招来する。
<3>内型枠として発泡スチロールのような比較的柔軟な材料を使用する場合には、上記するようなセメント系材料の自己収縮を拘束するといった問題は生じ難い一方、材料が高価であるため、経済的な中空コンクリート体の製造を実現することが極めて難しい。また、発泡スチロールのような材料は転用が不可能であるため不経済である。
<4>内型枠として発泡スチロールや木製材料などの比較的軽量な材料を使用する場合、セメント系材料を打設した際に生じる浮力対策が重要な課題となる。かかる浮力に抗するために、中空コンクリート体の両端を支持するとともに、タイバー等により内型枠と外型枠を連結させるなどしている。このタイバーは打設されたセメント系材料の流動を著しく阻害するために、均質な中空コンクリート体を製造することが困難となるなど品質面での問題がある。
<5>中空コンクリート体の内型枠の脱型作業は一般に困難であり、内空が小さくなればなるほど難しくなる。
また、本発明の中空コンクリート体の製造方法は、上記する中空コンクリート体製造装置を使用した方法であって、前記内型枠及び前記外型枠で包囲された空間にセメント系材料を打設し、養生時間経過後に、前記引張材を引張って前記内型枠を脱型するとともに前記外型枠を脱型して中空コンクリート体を製造することを特徴とするものである。
<1>内型枠の転用が可能であり、型枠コストが中空コンクリート体の製造に及ぼす影響を極めて小さくすることができる。
<2>セメント系材料の打設後から型枠の脱型までに生じるセメント系材料の自己収縮に対して、過度の拘束を与えることがないため、良質な中空コンクリート体を製造することができる。
<3>セメント系材料打設後に型枠に生じる浮力対策として内型枠及び外型枠をタイバー等で連結するといったことがないため、セメント系材料の型枠内の流動を阻害することはない。
<4>中空コンクリート体の中空部寸法の大小に関係なく、容易に内型枠の脱型をおこなうことができる。
以下、内空断面及び外形がともに円形の中空コンクリート体を対象として説明し、製造装置1もかかる円形断面の中空コンクリート体の製造を対象とした構成にて説明する。なお、中空コンクリート体は、上記する断面に拘束されるものでないことはもちろん、製造装置1の各構成部材も製造対象の中空コンクリート体の内空断面及び外形に応じて適宜その形状を相違させることとする。さらに、中空コンクリート体の製造材料であるセメント系材料としては、普通セメントや高強度セメントのほか、繊維補強セメント系混合材料などを使用できる。その中でも、材料強度が高く、高い出来上がり寸法精度が要求される繊維補強セメント系混合材料を使用する場合に本発明の製造装置1を使用するのが好ましい。
外型枠受け台44は、その断面視形状が矩形であり、その上方で中央付近は半円形に切り欠いたように成形され、ある程度長尺な部材であって該半円形内に外型枠3を収容可能に成形される。
内型枠受け台43は、内型枠2を構成する芯材21をその両端部付近で支持する受け台である。内型枠受け台43は、その表面に芯材21の外径を備えた孔を刻設した鋼製板材からなり、芯材21の両端付近の型枠架台4上に夫々立設して固着される。
ここで、内型枠2の脱型時に外型枠3が内型枠2に引きずられて移動しないように、型枠架台4上で外型枠3の下方端部にストッパー41を突設させておく。
外型枠3天端には打設口が設けてあり、漏斗5の先端を該打設口に連通設置してセメント系材料の打設をおこなう。
上記するように、本発明の製造装置1は極めてシンプルな構造であり、構成部材も鋼材にて製作可能であり、さらに内型枠2及び外型枠3を木製材料又は鋼製材料にて製作することで多数回の転用が可能であることから、従来の型枠に比べて非常に経済的である。
さらに、型枠架台4上で、内型枠2及び外型枠3を夫々別個に支持する構成とすることから、従来のタイバーなどで両型枠の相対的な位置関係を確保することによって生じていた、タイバーによるセメント系材料の流動阻止といった問題は生じ得ない。
本発明の内型枠2は、細長の芯材21と、芯材21を包囲するように設けた可撓性筒体22と、可撓性筒体22表面に設けたフィルム23とから構成される。なお、可撓性筒体22とフィルム23の間には潤滑剤24を介在させる(図1参照)。
芯材21は、中空コンクリート体の中空部を形成するための型枠であるため、ある程度の剛性を必要とする。すなわち、打設するセメント系材料の重量や側圧に対して、該芯材21が変形することのないような剛性が必要である。
芯材21は、木製材料や鋼製材料などにて製作でき、その構造は中実構造であっても中空構造であってもよい。鋼管や木管のほか、塩化ビニル管などにて製作できる。
可撓性筒体22の表面に凹凸部220を備えることの効果は、後述する潤滑剤24を可撓性筒体22表面に塗布する際に、かかる潤滑剤の均一な塗布を実現できることにある。
型枠架台4の外型枠受け台44上に外型枠3を載置し、該外型枠3に内型枠2を嵌装後、該内型枠2の両端を内型枠受け台43,43の夫々の孔に嵌装設置する。
内型枠2の端部に吊り詮体7を取り付け、反力体42と吊り詮体7を引張材6にて連結する。なお、かかる作業、セメント系材料を打設して養生期間経過後、実際に内型枠2を引抜く際におこなってもよい。
ここで、外型枠3の前方端部下端はストッパー41にて前方(反力体42側)にスライドしないように固定されている。
外型枠3の天端から例えば漏斗5を介してセメント系材料を内型枠2及び外型枠3の間の空間に充填し、養生させる。
セメント系材料が所要の強度に達した後に、引張材6を引張って内型枠2を脱型し、外型枠3を脱型することで、中空コンクリート体が製造できる。
2・・・・内型枠
21・・・芯材
22・・・可撓性筒体
23・・・フィルム
24・・・潤滑剤
220・・凹凸部
3・・・・外型枠
4・・・・型枠架台
41・・・ストッパー
42・・・反力体
6・・・・引張材
Claims (4)
- 中空コンクリート体を製造する製造装置であって、
細長の芯材と、
前記芯材を包囲する可撓性筒体と、
前記可撓性筒体表面に塗布した潤滑剤と、
前記可撓性筒体表面に前記潤滑剤を介して設けたフィルムと、から内型枠を構成し、
前記内型枠と外型枠を型枠架台上に載置してなることを特徴とする、
中空コンクリート体製造装置。 - 前記可撓性筒体は、その表面に該可撓性筒体の延伸方向に伸びた凹凸部を備えてなることを特徴とする、
請求項1に記載の中空コンクリート体製造装置。 - 前記型枠架台に設けたストッパーにて前記外型枠を固定し、
前記型枠架台に設けた反力体と前記内型枠の端部を引張材を介して連結させて構成し、
コンクリート打設後に、前記引張材を引張ることにより前記内型枠を脱型可能としたことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の中空コンクリート体製造装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の中空コンクリート体製造装置を使用した中空コンクリート体の製造方法であって、
前記内型枠及び前記外型枠で包囲された空間にセメント系材料を打設し、
養生時間経過後に、前記引張材を引張って前記内型枠を脱型するとともに前記外型枠を脱型して中空コンクリート体を製造することを特徴とする、
中空コンクリート体の製造方法。
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