JP4168903B2 - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主としてポリエステルの原料として使用される、液体状ジオールに、固体状ジカルボン酸が分散して成る固液分散体を用いるポリエステルの製造方法に関する。詳しくは、静置状態におけるジカルボン酸の沈降速度が有意に遅く、分散安定性に優れ、ポリエステルを製造するときのエステル化反応速度が速い、工業的に極めて有用な固液分散体を用いるポリエステルの製造方法に関する。
ジカルボン酸とジオールから成る固液分散体、例えばテレフタル酸(以下「TPA」という場合がある)とエチレングリコール(以下「EG」という場合がある)から成る固液分散体は主としてポリエステルの原料として使用されている。ポリエステルは、直接重合法の場合、TPA等のジカルボン酸をEG等のジオール中に懸濁分散させて固液分散体(スラリー)を形成し(スラリー化工程)、固液分散体中の芳香族ジカルボン酸をジオールと反応させてエステル化し(エステル化工程)、得られたエステルを溶融状態で重縮合して(溶融重縮合工程)、製造する。また、引き続き、得られたポリエステルを造粒、結晶化処理後、固体状態で重縮合する(固相重縮合工程)場合もある。
ポリエステルを安定的に製造するためには、原料として用いるジカルボン酸/ジオールスラリーの沈降防止が必要である。原料スラリーは通常、TPA等のジカルボン酸とEG等のジオールを、攪拌機と循環ポンプを有するスラリー調製槽、又は、回転するスクリューを有するラインミキサー等で攪拌混合して調製し、攪拌機と循環ポンプを有するスラリー貯槽で混合しながら貯蔵して、エステル化反応槽に供給する。従来用いられているスラリーでは、調製後の沈降速度が速いため、不測の事態により攪拌や循環が停止した場合、TPA等のジカルボン酸が速やかに沈降して粘度が増加し、再攪拌や再循環が困難な状況となってしまう。この場合、原料スラリーの供給が停止し、反応自体を休止しなければならない可能性があり、安定生産性が損なわれる。
このような問題の解決手段は従来提案されていないが、TPA等のジカルボン酸とEG等のジオールからなるスラリーに関しては、以下に例示するような提案が成されている。
特許文献1には、スラリーの調製比率をコントロールすることでスラリーの粘度とスラリー粘度の安定性とを特定範囲にしたTPA/EGスラリーがポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という場合がある)の製造に適していることが示されている。この技術は、TPAとEGの親和性の改善や、スラリーの不均一性の改善を目的としており、静置状態での分散安定性の改善に寄与する物理的な性状やエステル化速度の向上に関する記述はない。
特許文献2には、特定条件で測定したスラリー粘度が50センチポイズ以下で粒径が100μm以下であるTPAがPETの製造に適していることが示されている。この技術は、具体的には粒径が96μm以上のTPAを用いており、また、形成されるPETの品質改善を主な目的としており、小粒径のジカルボン酸で特異的に発現するスラリーの分散安定性やエステル化速度の向上に関する記述はない。
特許文献3には、粒径分布の幅(W)と平均粒径(D)との比W/Dが1.2〜1.8である芳香族ジカルボン酸がPETの製造に適していることが示されている。この技術は、具体的には粒径が92μm以上のTPAを用いており、また、少量のジオールを使用した安定なスラリーの形成とエステル化工程の反応性向上の両立を目的としており、小粒径のジカルボン酸で特異的に発現するスラリーの分散安定性やエステル化速度の向上に関す
る記述はない。
また、ジカルボン酸の平均粒径を制御する方法としては、既存のジカルボン酸を乾式粉砕、及び/又は、分級して所望の粒径に調製する方法や、ジカルボン酸の晶析条件をコントロールして調製する方法、更には、晶析途中、及び/又は、晶析後のジカルボン酸を乾燥する前に湿式粉砕する方法が、広く一般的に知られている。しかし、ジカルボン酸を乾式粉砕する場合は、静電気爆発の懸念があるためその対策に要する設備・運転コストが大きいという問題があり、ジカルボン酸を分級する場合は、ジカルボン酸の歩留まりが低下するという問題がある。また、ジカルボン酸の晶析条件をコントロールして調製する場合や、乾燥前に湿式粉砕する場合は、ジカルボン酸の乾燥効率が低下するという問題がある。かつ、何れの場合も、得られるジカルボン酸の粉体流動性やジオールへの分散性が低下するという問題がある。
特公昭50−19313号公報 特開平5−320328号公報 特開平9−95466号公報
本発明の目的は、機械部品の破損や漏電遮断器の作動等に例示される不測の事態により固液分散体貯槽の攪拌や循環が停止した場合にも、再攪拌や再循環が可能であり、かつ、エステル化速度が向上したポリエステルの製造方法を提供することである。
本発明者らは、ジオールに、ジカルボン酸が分散して成る固液分散体について検討した結果、ジカルボン酸の平均粒径が、固液分散体の沈降性やエステル化速度に大きく影響していることを見出し、本発明に至った。則ち、本発明のポリエステルの製造方法は、ジオールとジカルボン酸とを混合して固液分散体を調製する工程と、ジオールとジカルボン酸とをエステル化する工程と、形成されたエステルを重縮合してポリエステルを形成する重縮合工程とを含むポリエステルの製造方法において、ジオールにジカルボン酸が分散してなる固液分散体中のジカルボン酸を粉砕することにより平均粒径が1μm〜60μmのジカルボン酸が分散して成る固液分散体を調製してエステル化工程に供することを特徴とするポリエステルの製造方法である。
本発明の、ポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸の沈降が遅いため、不測の事態により攪拌や循環が停止した場合にも再攪拌が可能であり、安定的に生産を維持できる。また、エステル化反応速度が速く、工業的に有用である。
本発明において、固液分散体とは、固体状態の物質と液体状態の物質が分散して成るものであり、固体が液体中に懸濁分散して成るスラリーや、乳化液、ペースト、更には、液体が付着含浸した固体等を意味する。
本発明におけるジオールは、ジカルボン酸との分散体を形成しているときに液体であるジオールであり、好ましくは炭素数が2〜8の範囲の脂肪族ジオール及び炭素数が3〜8の範囲の脂環族ジオールから選ばれる1以上のジオール、特に好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1以上のジオールであることが望ましい。
本発明におけるジカルボン酸は、ジオールとの分散体を形成しているときに固体であるジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸、特に好ましくは、テレフタル酸、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1以上のジカルボン酸であることが望ましい。
なかでも、ジカルボン酸の80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上がテレフタル酸であり、ジオールの80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上がエチレングリコールであるのが特に好ましい。
なお、本発明においては、ジオール以外の多価アルコールやモノアルコール、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸やモノカルボン酸を少量含んでいても良い。
本発明の製造方法に用いる固液分散体は、一旦、ジオールにジカルボン酸を分散させて固液分散体を調製後、固液分散体中のジカルボン酸を粉砕することにより得られることを特徴とする。粉砕後の固液分散体を構成するジカルボン酸は、平均粒径が1〜60μm、好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上であり、一方、好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下、特に好ましくは35μm以下である。
平均粒径が60μmを越える場合、固体成分の沈降による流動性の低下という問題の改善度合いが小さく、また、エステル化速度の向上幅が小さく、好ましくない。また、平均粒径が1μm未満の場合、分散体の流動性低下が著しく、好ましくない。
本発明の製造方法に用いる固液分散体を構成するジカルボン酸は、粒径が160μm以上であるジカルボン酸の比率が、本発明に用いる固液分散体を構成するジカルボン酸全体に対して、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下、特に好ましくは2重量%以下であることが望ましい。粒径が160μm以上のジカルボン酸の比率がこの範囲である場合、得られるジカルボン酸/ジオール分散体の沈降分離速度が遅いため、特に好ましい。
本発明のジカルボン酸について規定する平均粒径及び粒径は、以下のレーザー回折式粒径分布測定方法により測定される。
<レーザー回折式粒径分布測定方法>
測定装置として、島津製作所製レーザー回折式粒径分布測定方法SALD−1100を用い、計算方法(METHOD OF CALCURATION)は「D」とする。
測定装置のサンプル吸引・排出パイプの先端を500mL(1mL=1×10-63
ビーカーの脱塩水に浸析し、サンプル吸引・排出用ポンプ(以下「ポンプ」という)を起動して脱塩水を測定装置中に循環させることにより、充分に洗浄する。
100mLビーカーに脱塩水を80mL計り取り、サンプル吸引・排出パイプ先端部をこのビーカーの脱塩水に浸析し、ポンプを起動する。
50mLビーカーに、本発明の固液分散体を構成するジカルボン酸を0.2g計り取り、ライオン社製「ママレモン」を1〜2滴加え、更に脱塩水を2〜3mL加えて混合する。ここで、「計り取るジカルボン酸」は、ジカルボン酸単体であっても、ジオールが水溶性の場合はジカルボン酸とジオールとの混合体であっても良い。混合体の場合は、計算上、ジカルボン酸の重量が0.2gとなるよう、混合体を計り取る。また、「ママレモン」は分散剤の機能を果たすので、測定結果に実質的に影響がなく、同様の機能を有する他の分散剤を用いても良い。
50mLビーカーにて調製した混合体を全量、100mLビーカーに加える。
モニターに表示されるグラフが充分に安定したところで、粒径分布の測定を3回行う。
それぞれの測定チャートから、小粒径から積算した累積体積分率が50%に相当する粒径(CUM.Q3:(%)=50.00に相当するDIAM.X:(μm)の値)を読みとり、単純平均値を算出する(この平均値が「平均粒径」となる)。また、粒径160μm以上に相当する体積頻度(DIF.q3:(%))の値を積算し、単純平均値を算出す
る(この平均値が「粒径が160μm以上のジカルボン酸の比率」となる)。
本発明に用いる、ジオールに平均粒径が1〜60μmのジカルボン酸が分散してなる固液分散体は、既存のジカルボン酸をジオールに混合分散後、湿式粉砕により粒径をコントロールする。湿式粉砕方法としては、ビーズミルに代表される、硬質のメディア中で攪拌粉砕する方法、分散体に圧力を掛け、オリフィスを高速通過させて粉砕する方法、分散体同士を高圧下で高速衝突させて粉砕する方法、超音波のエネルギーにより粉砕する方法、高速回転している回転部と固定部とを近接配置することで得られる剪断・圧縮・摩擦等のエネルギーにより粉砕する方法等が例示できる。エステル化反応に用いるジオール中で湿式粉砕することにより、乾燥工程やジオールへの再分散工程を経ることなくそのままエステル化反応に供することができる。また、ジカルボン酸の歩留まりが高く、また、粉塵の発生が少なくできる。
粉砕前のジカルボン酸の平均粒径は、ジカルボン酸の粉体流動性やジオールへの分散性に問題がなければ特に制限はないが、通常、80〜300μm、好ましくは85〜200μm、更に好ましくは90〜150μmであることが望ましい。粉砕前のジカルボン酸の平均粒径がこの範囲である場合、粉体流動性やジオールへの分散性が良好であり、また、粉砕により所望の平均粒径に調整することが容易であるため、特に好ましい。
本発明の固液分散体を構成するジオールとジカルボン酸の比率は、ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数が、好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.05〜3.0、特に好ましくは1.05〜2.0であることが望ましい。ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数がこの範囲である場合、得られる固液分散体の流動性が高く、又、本発明の固液分散体を用いてポリエステルを製造する場合の熱負荷が小さく、特に好ましい。
本発明のポリエステルの製造方法は、前記のようなジオールにジカルボン酸を分散させて固液分散体を得る工程(スラリー化工程)、スラリー化工程で得られた固液分散体中のジカルボン酸を湿式粉砕する工程(粉砕工程)、湿式粉砕後の固液分散体を反応原料として用いるジオールとジカルボン酸のエステル化工程、形成されたエステルを重縮合する重縮合工程とを含む、ポリエステルの製造方法である。
スラリー化工程では、攪拌翼を具えた容器に、ジカルボン酸及び必要により添加される他のカルボン酸と、ジオール及び必要により添加される他のアルコールとを投入して、必要に応じて温度コントロールをしながら、攪拌して懸濁分散させれば良い。あるいは、インラインミキサーにて、ジオール及び必要により添加される他のアルコールとジカルボン酸及び必要により添加される他のカルボン酸とを攪拌分散して、配管等を用いて粉砕工程に輸送しても良い。固液分散体を構成するジオールとジカルボン酸の比率は、ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数が、好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.05〜3.0、特に好ましくは1.05〜2.0であることが望ましい。ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数がこの範囲の場合、得られる固液分散体の流動性が高く、本発明のポリエステルの製造方法における熱負荷が小さく、特に好ましい。
本発明においては、スラリー化工程で得られた固液分散体を湿式粉砕法にて粉砕し、ジカルボン酸の粒径を調整する。湿式粉砕後の固液分散体は、その粘度が高い場合や、次工程までの輸送経路が長い場合は、ロータリーポンプ、スクリューフィーダー等を用いて次工程に圧送しても良い。あるいは、インラインミキサーと湿式粉砕機とを次工程の上部直近に設け、得られる固液分散体を次工程に滴下しても良い。なお、ここで「次工程」とは、通常はエステル化工程に相当するが、本発明では特にエステル化工程に限定されず、粉砕後の固液分散体の一部をスラリー化工程に戻すことや、同一の、及び/又は、異なる粉砕工程に送ることを包含する。
エステル化工程では、スラリー化工程で得られた固液分散体を220〜300℃、好ましくは250〜270℃の温度で、常圧乃至加圧下、好ましくは常圧乃至0.3MPaの圧力下に反応させ、生成する水を除去しながらジカルボン酸とジオールとを反応させてエステルを得る。エステル化率は、通常、90%以上、好ましくは95%以上とする。反応には、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物等の触媒を用いても良い。
溶融重縮合工程では、エステル化工程で得られたエステルを240〜300℃、好ましくは260〜290℃の温度で、常圧乃至減圧下、好ましくは、常圧から、200〜20Paの圧力まで段階的に減圧させることにより、生成する水やジオールを除去しながら重縮合を行う。
又、引き続き、得られたポリエステルを造粒、結晶化処理後、固体状態で重縮合(固相重縮合)しても良い。
このようにして得られたポリエステルは、繊維、飲料用ボトル、延伸フィルム、未延伸シート等、従来から公知の用途に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態を、ジオールとしてエチレングリコール(以下、EGと略す)を用い、ジカルボン酸としてテレフタル酸(以下、TPAと略す)を用い、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略する)を製造する場合について説明する。
(原料)
EGとしては、三菱化学(株)製のEGを用いた。
TPAとしては、三菱化学(株)製のTPA(平均粒径95.4μm,粒径が160μm以上のジカルボン酸比率14%、以下、「原料TPA」という)を用いた。
(固液分散体の調製)
原料TPAをEGに混合分散して調製した。調製量や比率は、各実施例、比較例によって異なる。
(粉砕装置)
実施例に用いた固液分散体は、原料TPAとEGからなる固液分散体を湿式粉砕することにより粒径をコントロールした。湿式粉砕には、以下に示す3種類の装置のうち何れか1つ以上の装置を用いた。
装置−1:
吉田機械興業株式会社製「ダマトリ君」(型式:YSDTG、呼び寸法:1S)。
この装置は、配管中に分岐・合流する流路とオリフィスを有し、処理流体が通過する際の衝突と剪断によるエネルギーで、固体成分を粉砕し、液中に分散させる装置である。
装置−2:
吉田機械興業株式会社製「Ysナノマイザー」(型式:YSNM−1500−0005)。
この装置は、プランジャーポンプと、その加圧方向に垂直なオリフィスプレートを有し、プランジャーポンプで加圧した処理流体をオリフィスプレートに衝突・通過させる際の、衝突と剪断によるエネルギーで、固体成分を粉砕し、液中に分散させる装置である。
装置−3:
アシザワ株式会社製「パールミルSTS」(型式:PM1STS、ベッセル有効容積:1.2×10-3)。
この装置は、ピン付きのアジテータシャフトをピン付きのベッセル内で回転させてベッ
セル内のメディア(ガラス、金属、セラミックス等からなるビーズ状球体)を攪拌する際の剪断によるエネルギーで、ベッセル内を通過する処理流体中の固体成分を粉砕し、液中に分散させる装置である。
(粒径測定)
固液分散体を構成するジカルボン酸の粒径測定は、前記の方法により、レーザー回折式粒径分布測定方法にて実施した。
(沈降速度測定)
沈降速度を測定するTPAを10g(EG/TPA混合体の場合はその混合比から算出してTPA含量が10gとなるような混合体の重量)を、100mlビーカーに計り取る。
このビーカーにEGを追加し、ビーカー中の全EG量が50gとなるようにする。
ビーカーの内容物をスパチュラにて混合し、概略均一な固液分散体とし、その後、スターラーにて3分間攪拌混合する。
得られた固液分散体を、100mlメスシリンダー(胴径約32mm、全高約250mm)に移し替え、メスシリンダーの液面を50ml±1mlとする。
移し替えが終了した時点を0時間目とし、沈降分離液面(TPAの沈降分離によって目視確認可能な上澄み液と白濁液の界面の位置)を経時観察する。液面は、メスシリンダーの目盛りとして読み取る。0時間目の液面を基準として、5時間目、12時間目、24時間目の液面低下幅にて、沈降速度を評価する。
(エステル化速度評価)
EG115重量部と原料TPA166重量部とを混合し、ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数(以下、「モル比」という)=1.85の固液分散体を調製した。この固液分散体を、ステンレス製の内容積30Lのオートクレーブにて、攪拌しながら、温度261℃、大気圧に対する相対圧力0.05MPa、平均滞留時間4.5時間で連続的にエステル化反応させ、エステル化率=86%のオリゴマー(以下、「敷オリゴマー」という)を得た。
(敷オリゴマーの作製)
ステンレス製の内容積2Lの容器に、敷オリゴマーを0.45kg、TPAを0.372kg、EGを0.167kg計量した。ここで、TPAとEGとは、予めビーカー内で混合・攪拌して固液分散体を形成し、各実施例・比較例に記載の条件で湿式粉砕処理を行ったものである(ただし、比較例2のみは湿式粉砕処理を実施していない)。前記ステンレス容器を、285℃に温調しているオイルバスに浸け、攪拌しながら、内温が260℃に到達するまで加熱して、敷オリゴマーを融解させ、敷オリゴマー、TPA、EGとを均一混合状態とした。
内温が260℃に到達した時点を0分目とし、0分目より、EGを150mL/時間の流量で連続添加しながら、窒素流通下、温度260℃、大気圧に対する相対圧力0.1MPaの条件で2時間、エステル化反応を行った。途中、エステル化率を測定するためのサンプルを30分間経過毎に採取した。前記サンプル採取時は、一時的に容器内の圧力を常圧まで復圧した(エステル化反応実施)。採取したサンプルを230℃でN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、室温まで冷却後、三菱化学製自動滴定装置「GT−100」にて酸価とケン価とを測定して、以下の式にて、エステル化率を算出した(エステル化率測定)
Figure 0004168903
また、エステル化率を縦軸、採取時間を横軸として、直交軸に各サンプルのデータをプロットし、各プロットを直線で結んだ際の、エステル化率=95%に相当するエステル化時間と、エステル化率=70%に相当するエステル化時間との差分を、エステル化時間とする(エステル化時間の算出)。
ここで、溶融重縮合工程に供給するエステル化物のエステル化率は、通常、95%程度で十分であるため、エステル化率が70%から95%に到達する時間を、エステル化速度を評価する基準とする。エステル化率が95%に到達するまでの時間が短いほど、エステル化速度が速いといえる。
[実施例1]
EGを0.245kg、原料TPAを0.455kg、それぞれビーカーに計り取り、ビーカー中で攪拌混合し、固液分散体を調製した。この場合、ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数(以下、「モル比」という)=1.44となる(固液分散体の調製)。
この固液分散体(重量0.7kg)を、ロータリーポンプを用いて、装置−1(ダマトリ君)に接続された循環流路に流速700kg/時で6分間循環させ(平均循環回数100回)、引き続き、装置−2(Ysナノマイザー)に供給し、プランジャーポンプの圧力設定を50MPaとして1回通過させた(粉砕操作)。
この処理品の、平均粒径、粒径が160μm以上のTPAの比率、沈降速度の測定結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1と同様にして固液分散体を調製し、装置−2でのプランジャーポンプの圧力設定を80MPaとした以外は実施例1と同様にして粉砕操作を実施した。
この処理品の、平均粒径、沈降速度、エステル化速度の測定結果と、エステル化時間の算出結果を、表1に示す。
[実施例3]
EGを2.45kg、原料TPAを4.55kg、それぞれペール缶に計り取り、ペール缶中でスリーワンモータにて攪拌混合し、固液分散体を調製した(モル比=1.4)(固液分散体の調製)。
この固液分散体(重量7kg)を、メディアとして平均粒径2mmの球状ジルコニアが3.5kg充填された装置−3(パールミルSTS)に供給し、流速0.96m3/時に
て1回通過させた。このとき、アジテータシャフトの回転数設定は1655回転/分とした。なお、初期の処理品約2.1kgは仕分けし、残りの約4.9kgを正規の処理品とした(粉砕操作)。
この処理品の、実施例1と同様の測定結果を表1に示す。
[実施例4]
EGを8.48kg、原料TPAを7.52kg、それぞれペール缶に計り取り、ペール缶中でスリーワンモータにて攪拌混合し、固液分散体を調製した(モル比=3.0)(固液分散体の調製)。
この固液分散体(重量16kg)を、メディアとして平均粒径2mmの球状ジルコニアが3.5kg充填された装置−3(パールミルSTS)に供給し、流速0.96m3/時
にて1回通過させた。このとき、アジテータシャフトの回転数設定は1655回転/分と
した。なお、初期の処理品約2.21kgは仕分けし、残りの約13.8kgを正規の処理品とした(粉砕操作)。
この処理品の、実施例1と同様の測定結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例4で得られた正規の処理品を、実施例4と同様にして、更に3回粉砕処理を実施した(計4回、装置−3で粉砕操作を行ったことになる)。
この処理品の、実施例1と同様の測定結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にして固液分散体を調製したのみで、粉砕操作は行わなかった。
この固液分散体(未粉砕品)の、平均粒径、沈降速度の測定結果と、エステル化時間の算出結果を実施例1と同様の測定結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同様にして固液分散体を調製し、装置−2での操作を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にして粉砕操作(即ち、装置−1での粉砕操作のみ)を実施した。
この処理品の、実施例1と同様の測定結果を表1に示す。
[比較例3]
原料TPAを篩い分けすることにより平均粒径50.5μmのTPAを得た。
実施例1と同様にして固液分散体を調製したのみで、粉砕操作は行わなかった。
この固液分散体を調製する作業は、原料TPAを篩い分けする際の歩留まりや作業性が低く、また、篩い分けにより得られたTPAのEGへの分散性が低く、工業的に実施するには不適当な作業であった。
[実施例7]
内容積1×10-33のオートクレーブ中にエステル化率90%のPETオリゴマー1
50gと、実施例1で得られた処理品150gとを計量し、反応温度約260℃、常圧にて3時間エステル化反応を行った。得られたエステル化物に、重合触媒として三酸化二アンチモン(Sb23)を300重量ppm添加し、温度を約260℃から約280℃に順次上昇させ、圧力を大気圧から約200Paに順次減圧して、3時間溶融重合反応を行った。
この溶融重合は、未処理品(比較例2で調製した固液分散体)を用いて同様の処方で溶融重合を実施したときと同様に、特に問題なく実施できた。また、得られたポリエステルの極限粘度は0.65であった。
以上から、EGにTPAが分散してなる固液分散体中のTPAを粉砕することにより平均粒径が1μm〜60μmのジカルボン酸が分散して成る固液分散体を調製してエステル化工程に供することを特徴とするポリエステルの製造方法は、静置状態におけるジカルボン酸の沈降分離速度が有意に遅いことが示された。また、実施例2では60〜90分でエステル化率が95%に到達しているのに対し、比較例1では90分以上要していることから、本発明の方法によりエステル化速度が向上していることが判る。更に、ジオール中で湿式粉砕した固液分散体を用いても、PETの重合性に問題ないことが確認できた。
Figure 0004168903

Claims (7)

  1. ジオールとジカルボン酸とを混合して固液分散体を調製する工程と、ジオールとジカルボン酸とをエステル化する工程と、形成されたエステルを重縮合してポリエステルを形成する重縮合工程とを含むポリエステルの製造方法において、ジオールにジカルボン酸が分散してなる固液分散体中のジカルボン酸を粉砕することにより平均粒径が1μm〜60μmのジカルボン酸が分散して成る固液分散体を調製してエステル化工程に供することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. ジカルボン酸全体に対して、粒径が160μm以上のジカルボン酸の比率が20重量%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  3. カルボン酸が、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸から選ばれる1以上のジカルボン酸であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエステルの製造方法。
  4. ジオールが、炭素数が〜8の範囲の脂肪族ジオール及び炭素数が〜8の範囲の脂環族ジオールから選ばれる1以上のジオールであることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載のポリエステルの製造方法。
  5. ジオールの80重量%以上がエチレングリコールであり、ジカルボン酸の80重量%以上がテレフタル酸であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のポリエステルの製造方法。
  6. ジオールのモル数/ジカルボン酸のモル数が1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のポリエステルの製造方法。
  7. 粉砕前のジカルボン酸の平均粒径が80〜300μmであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のポリエステルの製造方法。
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